2002/07/18
Scott 3 / Scott Walker 1969

 1960年代中期から後期にかけてアイドルとしても絶大な人気を誇ったスコット・ウォーカーのソロ3作目です。しかしながら,ここで聴かれるのは,ストリングスをバックに歌われるスコットの陰鬱ともいえる歌声であり,アイドルという言葉の対極にあるものと言っても過言ではありません。彼の歌声はロック・シンガーというよりも,どちらかといえば正統派のポピュラー・シンガーの系統にあるものですが,その(顔に似合わぬ(^^;)深い歌声は,聴く者の心奥深くに入り込んでくるのです。決して明るいサウンドではありませんが,最近のミュージシャン(たとえばRadioheead)からリスペクトされているというのも理解できるような気がします。  BACK 

2002/08/01
Leaf Piano Collection Vol.1 / 勝又 隆一 2002

 これはLeafから出ているゲーム(主に18禁(^^;)の音楽をピアノ・アレンジしたCDです。Leafというゲーム会社は音楽に力を入れている会社だけに,ここに収められているのは元々名曲といっても良いほどの曲ばかりであり,当然ピアノ・アレンジされたヴァージョンも素晴らしいものとなっています(個人的にはちょっと納得のいかないヴァージョンもあるんですけれどね(^^;)。このCDを聴いて,これが18禁ゲーム(恋愛ゲーム)の音楽だと思う人はいないんじゃないでしょうか?。おそらく近い将来,様々なTV番組でこのCDに収録されている曲がBGMとして使用されることは間違いないでしょう。 BACK

2002/08/18
Dead Bees On A Cake / David Sylvian 1999

 元ジャパンの(という前書きはもう不要なのかもしれませんね)デヴィッド・シルヴィアンの現時点での最新アルバムです。サウンド的には地味です。どちらかといえばクラいサウンドかもしれません。しかしながら,その美しさは圧倒的なものがあります。なによりも素晴らしいのが彼自身の歌声です。決して声量があるわけでも音域が広いわけでもありませんが,一度心の中に入り込んだら心の一番奥底まで達してしまう,そんな魅力を持っているのです。また,先にサウンドは地味であると書きましたが,これが良く聴くとジャズから民族音楽まで幅広い音楽性を持った実にセンスの良いサウンドであることがわかります。ストリングス・アレンジやピアノ奏者として,旧友の坂本龍一も参加,その他元ジャパンのメンバーも参加しています。  BACK

2002/08/29
Live From New York City,1967 / Simon & Garfunkel 2002

 サイモンとガーファンクルの1967年のライヴが今頃になってようやく発売されました。実は彼等の1960年代のライヴ・アルバムって,オフィシャルではこれが初めてなんですよね。ポール・サイモンのアコギ1本をバックに歌われる2人のハーモニーは息ぴったりで,どうしてこんなに素晴らしいライヴ音源(音質もとても35年も前の録音とは思えません)が今まで発売にならなかったのか,不思議でなりません。楽曲の素晴らしさとポール・サイモンのギターの上手さを再認識させてくれる1枚ですね。  BACK

2002/09/03
Emerge / Litter 1968 

 アメリカのガレージ/サイケ・バンドの3枚目にしてラスト・アルバムとなった作品です。といっても,このバンドに関してはそれ以外の知識はまったくないんですけれどね(^^;)。サウンド的にはガレージ/サイケとハード・ロックの狭間にあるようなサウンドなのですが(ファズなギターが格好いい!!),ガレージ/サイケ・バンドの中では飛び抜けて演奏力が高いバンドだと思います(もちろんメンバー自身が演奏していればの話ですが(^^;)。また,このアルバムではBaffalo Springffieldの『For What It's Worth』をカヴァーしているのですが,クレジットを見るまでそうであるとは気付かなかったくらいにガレージ/サイケなアレンジ(というよりPUNKかな?)がされていて,これが実に格好良いんです。個人的にはこっちのアレンジの方がロックとしては好きですね。  BACK

2002/09/05
Jesus Of Cool / NIck Lowe 1978

 イギリスを代表するPOP職人の一人,ニック・ロウの実質的1stアルバムであり,人によっては(たとえば私)彼の代表作とする作品でもあります。とにかくシンプルかつ小粋なアレンジによる珠玉のPOPナンバーがびっしりと詰まっているPOPファン必聴の1枚であることは間違いありません。特に『Tonight』〜『So It Goes』の黄金POP2連チャンは昇天物ですね。なお,CDには後のRockpileメンバーによる『Heart Of The City』のLiveヴァージョンや,BCR讃歌(^^;)の『Rollers Show』等のボーナス・トラックも収録されており,まさに一粒で二度美味しい盤となっております。  BACK

2002/09/11
Rock'n'Roll High School / Ramones etc... 1979

 ラモーンズ主演のハチャメチャR&Rおバカ映画のDVDです。確か当時日本では封切られていなかったはずで,当然私もこの映画を見たことはありませんが,しかしサントラ盤だけは持っていました。というのも,ラモーンズのライヴが収録されていたからなんですね(実際はオーヴァー・ダビングしてるそうですが(^^;)。そして,私はこれを聴いて一気にラモーンズのファンになっちゃったというわけです。
 さて,肝心の映画の方ですが,B級映画の巨匠ロジャー・コーマン(凄い名前だな)制作ということもあって,見事なまでなB級作品です。所々笑えるギャグはあるものの映画としてははっきり言って面白くありません。が,しかし,ラモーンズがライヴを含め数多くのシーンに登場するだけでも,買う価値は十分にありました。やっぱりこの頃のラモーンズは格好いいですよ,うん。  BACK

2002/09/21
Diga / Diga Rhythm Band 1976

 Greatful DeadのMickey Heartをプロデューサーにして作られたアルバムですが,このDiga Rhythm Bandは全員がパーカッショニストというバンドであり,当然ながらJerry Garciaがギターで参加している2曲を除いてはすべてパーカッションだけで演奏されています。もっともヴァイブやマリンバのような楽器も使われていますので,まったくメロディーがないわけではありません(たとえば懐かしさをおぼえるメロディーが印象的な『Sweet Sixteen』のような曲もあります)。サウンド的にはワールド・ミュージック+ジャズという感じですが,1970年代にこのようなワールドミュージック系のバンドがいたとはまったく知りませんでしたね(^^;)。  BACK

2002/10/01
The Complete BBC Recordings / Bonzo Dog Doo Dah Band  2002

 裏ビートルズとも呼ばれ,モンティ・パイソンとも関係の深かったイギリスのバンド,Bonzo Dog Doo Dah Bandが1967年から1969年にかけてBBCに残した音源(1曲のみ1986年)を集めたアルバムです。元々一筋縄ではいかないPOPミュージックを聴かせてくれるバンドですが,このBBCに残した音源(おそらくスタジオ・ライヴだと思います)では,さらに輪をかけたヒネクレ具合を見せてくれます。特にジョン・レノンの『Give Peace A Chance』のパロディーである『Give Booze A Chance』(Boozeは酒の意味)は抱腹絶倒ものですね。また,そのあまりにも奇妙奇天烈なメンバーのいでたちからついつい見失いがちになってしまいますが,実は彼等の作り出す音楽はとてもメロディアスでPOPなのです。  BACK

2002/10/07 
Sea Change / Beck  2002

 ベックの新作は『Mutation』をプロデュースしたNIgel Godrichがプロデュースしているだけに,『Mutation』と共通するアコースティックな楽器メインのサウンドとなっています。その中でも今回印象的なのはなんといてもストリングスですね。その湿り気を帯びたストリングスの響きがより一層サウンドに深みを与えています。特にアコギとストリングスのみをバックに歌われる『Already Dead』はスコット・ウォーカーを彷彿とさせるものがありますが,もしかしたらBeckもファンなんでしょうかね?それにしても,Beckの作るサウンドって,時代不特定の不可思議な魅力に満ちているとは思いませんか? BACK