2004/01/07
The Graham Gouldman Thing / Graham Gouldman 1968

 10ccのGraham Gouldmanが1968年に出した初ソロ・アルバムです。初ソロ・アルバムとはいっても,当時Graham Gouldmanはすでにソング・ライターとして数々のヒット曲を放っており,このアルバムにもHolliesでヒットした『Bus Stop』,Yardbirdsでヒットした『For Your Love』,Herman's Hermitsでヒットした『No Milk Today』,Wayne Fontanaでヒットした『Pamela,Pamela』といった曲のセルフ・カヴァーが収録されています。これらのセルフ・カヴァーはヒットしたヴァージョンの単なる焼き直しではなく,新たなアレンジがされているのですが,これが実にセンス良いんです。このあたりはアレンジを担当しているJohn Paul Jonesのセンスなんでしょうね。もちろん,曲そのものの出来が素晴らしいのは言うまでもありません。
 それ以外のオリジナル・ナンバーもPopな名曲揃いで,特に『The Impossible Years』と『My Father』はヒットしても不思議ではないくらいです(実際はまったくヒットしなかったのですが....(^^;)
 これは,1960年代中期から後期のPOP Misicが好きな人ならば絶対に聴く価値のあるアルバムであると断言しちゃいます。 BACK

2004/01/10
New World / Zombies 1991

 1960年代に『She's Not There』『Time Of The Season』等のヒットを放った英国バンドZombiesが1991年に出したリユニオン・アルバムです。ところが,このアルバムには中心人物の一人であるRod Argentが『Time Of The Season』のセルフ・カヴァー1曲以外は参加していないためか,発売当時はあまり高い評価を得られなかったんですよね。それじゃぁつまらないアルバムであるかといえば,そんなことはありません。いかにもZombiesらしい洗練されたPOP Musicで満ちあふれています。特にRod Argentと並ぶZombiesのソング・ライターであるChris Whiteが作った『New World』『Heaven's Gate』といった曲はPOPの秘孔を突きまくりです。もちろん,Colin Blunstoneの哀愁あふれるヴォーカルもこのアルバムの魅力のひとつであることは間違いありません。
 英国的POP Musicが好きな人ならば,絶対に聴いて損はしないアルバムだと思います。 BACK

2004/01/24
Black Flower / NIrvana 1969

 アメリカのあの有名なバンドではなく,1960年代後半から1970年代初めにかけて活動したイギリスのサイケ・ポップ・バンドの3rd Albumです。メンバーであるAlex SpyropoulsPatric Cambell Lyonsの作り出すサンドは,ジャケットの怪しげな雰囲気とは異なり,美しいメロディーのサイケ色漂うPOPサウンドとなっています。それ故に,このアルバムは本によってはソフト・ロックとして紹介されることもあるんですよね。
 おそらく,このアルバムのサウンドの特色の一つであるオーケストラ・サウンドは,アレンジを担当しているTony Viscontiの趣味なのだろうし,また,プロデューサーであるChris Thomasも1970年代British Popの立て役者の一人であるだけに,このアルバムのPOPさに大きく貢献していることは間違いないでしょう。 BACK

2004/02/03
Marquee Moon / Television 1977

 ニュー・ヨーク・パンクを代表するバンド,テレヴィジョンの1stアルバムの紙ジャケ&リマスター盤です。このアルバムに収録されている神経を直接刺激してくるサウンドを聴いていると,まるで自分自身の神経がピックで弾かれるギターの弦になった様な,ヒリヒリとしてそれでいてこの上もない快感となっていくのです。これは初めてこのアルバムを聴いた時以来少しも変わりません。所謂パンク・ロックのほとんどがこの四半世紀の歴史の中で風化したり別な物へと姿を変えてしまった中,この『Marquee Moon』は風化するどころか,その冷たく輝く氷の炎は今でも孤高の輝きを保っているのです。
 ボーナス・トラックとしては1stシングルとなった『Little Johnny Jewel』(このシングル・ヴァージョンは初めて聴きました)の他3曲のテイク違いナンバーと,1曲のインスト・ナンバー(これが実に謎です(^^;)が収録されています。 BACK

2004/02/12
Can You Still Feel ? / Jason Falkner 1999

 1990年代を代表するPOPバンドであるジェリーフィッシュの1stアルバムに参加していたジェイソン・フォークナーのソロ第2作です。前作『Author Unknown』同様商業的には成功したアルバムとはいえませんが,しかし,これは間違いなくPOPミュージックの名盤なのです。何が良いって,まずメロディーが良いんです。1曲として捨て曲はなく,すべての曲がPOPな魅力溢れるメロディーを持っています。また,曲によってはサイケな香りがもするのも私にとってはツボなんですよね。しかも,作詞作曲だけではなく,すべての楽器とヴォーカルをジェイソン・フォークナー一人で演っているのだから吃驚です。
 曲によってはBeckと共通するものもあるのですが,これは(共同)プロデューサーがBeckRadioheadのプロデュースをしているNigel Godrichだからなんでしょうね。 BACK

2004/02/19
Rattus Norvegicus / Stranglers 1977

 今なお現役バンドとして活躍しているストラングラーズの1stアルバムです。発売当時はPunk全盛期ということもあってPunkバンドとして売り出されたのですが,危険な香りのするルックスはともかくとして,サウンドの方は全然Punkじゃありませんでした。私が初めてこのアルバムを聴いたときの印象は『Doors』です。特にキーボードの音色にそれが顕著なのですが,実はギターからもDoorsの香りがするんですよね。当時彼等はDoorsからの影響を否定していましたが,後にはちゃんと認めています(^^;)。
 とはいえ,ストラングラーズがこの上もなく格好良いロック・バンドであることは紛れもない事実でして,以前AdidasのCMでも使われていた『Peaches』や『Hanging Around』といった曲の素晴らしさは今なお輝きを失っていません。また,ハードなサウンドの陰に隠れてはいますが,実はメロディーの良い曲も多く,後の欧州的耽美サウンドの萌芽はデビュー当時からあったのだな....と改めて思いました。 BACK

2004/02/26
Premium Edition / Doors 2004

 ドアーズがTV番組に残したLive映像を収録した『Soundstage Performance』と,1981年に初のオフィシャル・ビデオとして発売された『No One Here Gets Out Alive』の2本をセットにしたDVDです。
 『Soundstage Performance』には,トロントのTV番組『The Rock Scene : I Like It』(1967年8月),コペンハーゲンのTV番組(1968年9月),アメリカPBS TVの『クリティーク・ショー』(1969年5月)の3番組におけるLive映像(口パクではなく生演奏)が収録されているのですが,一番の見所は何と言ってもトロントのTV番組の映像ですね。まさかTV番組で『The End』を演奏しているとは思いもしませんでした。当然ながら件の箇所はカットされているのですが,それでもデビュー当時からドアーズには強烈な存在感があったことが良くわかる映像です。コペンハーゲンのTV番組の映像はこれまでにもいくつかの映像に収録されていますが,しかし,こうしてまとまった形で収録されたのは初めてだと思います。そして,ドアーズにとって最後のTV出演となった『クリティーク・ショー』の映像ですが,これは初めて見るものです。元のビデオが劣化しているせいか,所々画面が乱れることがありますが,それでも十分に見応えがあります。髭のジムってのもなかなかカッコイイですね。
 『No One Here Gets Out Alive』は初の伝記である同名の本(邦題は『ジム・モリソン-知覚の扉の彼方へ』)を元に作られたヒストリー物の映像で,私も20年以上前に輸入版ビデオで購入したことがあるのですが,その時は動くドアーズ(特にジム・モリソン)の姿を見ることができただけで,とても感動したものです。しかし,ここで見ることが出来る映像はその後個別にソフトとして発売されたものも多く,単に映像として見るならば,さほど価値があるとは言えませんが,ジム・モリソンを中心としたドアーズのヒストリー物として見るならば,なかなか良くできた作品だと思います。何よりも字幕付きというのが有り難いです(^^;)。 BACK

2004/03/04
Keep On Doing / Roches 1982

 ニューヨーク出身の3姉妹コーラス・グループの3rdアルバムです。このアルバムもまたキング・クリムゾンロバート・フリップがプロデュースを担当しているのですが,なんと裏ジャケットにも3人の後ろでギター(しかもアコースティック!)を弾いているフリップ翁の姿を見ることが出来ます。またバック・ミュージシャンとして,パーカッションにビル・ブラッドフォード,ベースにトニー・レヴィン,そしてもちろんフリップ翁と,キング・クリムゾンのメンバーが総出で(エイドリアン・ブリューはいないけれど)参加しています。
 だからといってクリムゾン的なサウンドかといえばそうではなく,基本的にはアコースティック・ギターとコーラスによるシンプルなサウンドです。これはこれで気持ちが良いんですけれどね。もちろんフリップ翁のギターの音色が印象深い『Losing Free』『Sex Is For Children』『Keep On Doing What You Do』のような曲も収録されていますので,フリップ・ファンもご安心を(^^;)。 BACK

2004/03/24
Love Is Always Seventeen / David Gates 1994

 1960年代からモンキーズ等に曲を提供したソング・ライターであり,また1970年代にはブレッドのリーダーとして数々の名曲を世に送り出したデヴィッド・ゲイツが1994年に出したソロ・アルバムです。正直言いまして,このアルバムが出ていることは知っていました。しかし,牧場経営のために音楽活動を離れてから十数年ぶりに出したアルバムであるため,「もしもブレッド時代の面影がみじんも残っていない曲ばかりだったらどうしよう?」という恐れが先に立ち,どうしても聴くことができなかったんです。
 で,実際聴いてみると,1曲目のAORっぽいアレンジの『Avenue Of Love』は「悪くはないんだけれどねぇ」という感じでしたが,次に流れてきたタイトルナンバーでもある『Love is Always Seventeen』を聴いたときには思わず涙がこぼれそうになってしまいました。何故なら,そこにはブレッドの頃と少しも変わらない切なくてそれでいて心が暖かくなるメロディーがあったのです。もちろん,あの柔らかく美しいヴォーカルも健在です。他にもメロディーの美しい曲が多く,これは大人が聴くPOP アルバムであると言えるのではないでしょうか? BACK

2004/03/31
Flowers Never Cry / Mystic Astrologic Crystal Band 1991

 ソング・ライターでありリード・シンガーでもあるスティーヴ・ホフマン率いるバンドが1967年と1968年にGNPから出した2枚のアルバムを1枚にしたCDです。まったく名前も知らないバンドなのですが,いかにもサイケなジャケットに心惹かれて買ってみました。
 で,実際に聴いてみると,シタールやタブラを使った曲があったり,アソシエーションのようなコーラスの曲があったり,ファズ・ギターを使った曲があったり,奇妙な効果音を使った曲があったりと,あの時代らしいサイケなサウンド全開です。しかも,それがとてもローカルなバンドとは思えないほどに洗練されているんです。しかし,それ以上に素晴らしいのがそのPOPなメロディーです。いずれもシングル・カットしても可笑しくない曲ばっかりなんですよね。どうしてこれほど魅力的なサイケでPOPなバンドが,当時ほとんど話題にもならなかったのか不思議でなりません。POPでサイケなサウンドが好きな方なら絶対に聴く価値がありますね。 BACK