2007/09/30
Slade Alive! / Slade 2006

 『Slade Alive!』といえば,英国のロック・バンド,スレイドが1972年にリリースしたLive盤のタイトルですが。これはその『Slade Alive!』に1978年にリリースされた『Slade Alive Vol.2』と1982年にリリースされた『Slade On Stage』,そして1980年に行われたレディング・フェス出演時のLiveを加えたLiveてんこ盛りの2枚組CDです。日本ではグラム・ロックのバンドのあだ花的存在でしかなかったスレイドが,何故本国イギリスでは16曲ものTop10ヒット(内6曲がNo.1!)を持つ国民的ロック・バンドであったのか,その理由がこのCDでわかったような気がします。つまり,スレイドの本質はLiveバンドであり,そのLiveを目にすることができなかった日本ではほとんど評価されず,逆にTV等でLiveを目にする機会の多かったイギリスでは高い評価を受けたのではないでしょうか。そう思わせるぐらいこの2枚組CDにはスレイドのLiveバンドとしての魅力がぎっしり詰まっています。私自身,POPでハードなスレイドのサウンドはグラム・ロック時代から好きだったのですが,彼等のLiveがここまで素晴らしいものだとは思わず,認識を新たにしたしだいです。 BACK

2007/10/16
Something For The Weekend / Stackridge 1999

 1970年代に『田舎のビートルズ』と表され,(一部で)高い評価を受けていた英国産POP Bandスタクリッジが1999年に再結成してリリースしたアルバム。正直に言いますと,スタクリッジのアルバムを聴くのはこれが初めてだったりします。彼等が1970年代に残したアルバムは名盤の誉れ高く,一度は聴いてみたい...とは思っていたのですが,なかなか遭遇することができず,たまに遭遇しても懐具合からスルーしてしまったり...というわけで,これまで一度も聴いたことがなかったのでえす。たまたまこの再結成盤がお手軽な価格で落ちていたので,ものは試しと拾ってきたのですが,いや〜,こんなに良い物だとは思いませんでしたよ。1曲目からラスト・ナンバーまで極上のPOPサウンドがぎっちりと詰まっています。POPでありながら凝りに凝ったこのサウンドは,POPの全てを知り尽くした工の技といっても過言では無いでしょう。それでいながら,十数年ぶりに再結成して作られたアルバムだとは思えない瑞々しさに溢れているのもまたこのアルバムの魅力なのです。それにしても,このアルバム・ジャケットのおフザケぶりときたら....もしかしたら,これって「ビートルマニアとそれを阻止する警官の写真」なのかな? BACK

2007/10/24
Eternity's Children / Eternity's Children 1999

 ソフト・ロック・ファンから高い評価を受けているアメリカの男女混合ポップ・バンド,エタニティーズ・チルドレンが1968年にリリースした1stアルバム『Eternity's Children』と2ndアルバム『Timeless』を一枚にまとめたCD。1stアルバムはソフト・ロックの最重要人物の一人であるカート・ベッチャーが手がけているだけあってクリスタル細工のような繊細で凝りに凝ったソフト・ロック・サウンドを聴かせてくれます。特に5曲目の『Lifetime Day』とシングルにもなった6曲目の『Mr.Bluebird』の見事なまでのPOPぶりときたら,いやもう身も心もとろけてしまいそうです。
 それではプロデューサーがカート・ベッチャーからゲイリー・パクストンに替わった2ndがツマラナイかといえば,そんなことはなく,1stに劣らぬ見事なソフト・ロック・サウンドを聴かせてくれます。こちらにはメンバーの自作曲も何曲か収録されているのですが,これがまた『Look Away』を筆頭になかなか良い感じなんですよね。
 これは60年代POPが好きという人には,自信を持ってお薦めできるアルバムであり,当然ながら,ソフト・ロック・ファンは必聴です! BACK

2007/11/18
Goin' Down / Tubes 1996

 サンフランシスコ出身の『シアトリカル・ロック』バンド,チューブスの初期(1975年〜1977年)のアルバム4枚とLive音源から34曲がセレクトされた2枚組コンピ盤。竹馬のようなロンドンブーツやボンデージのようなフツーではないファッションのために色物バンドのような印象が強いのですが,毒気のある歌詞はともかくとして,サウンドの方はトッド・ラングレンにも通じるハイセンスなPOP感覚あふれるものなんですよね。実は,そのトッド・ラングレンDisc-2に全曲が収録されている4thアルバム『Remote Control』のプロデュースをしているのですが,これが見事なまでにトッド色に染まったサウンドとなっているんですよね......もちろん,良い意味で。特にバラードの名曲『Love's A Mystery』からプログレ・ハードな『Telecide』の流れは聴き応えがあります。もっとも,サウンドの多彩さという点ではフラメンコ,60s風Girl's POPS,テクノポップ,ハードロックといったサウンドが混然としたDisc-1の方が楽しめるかもしれません。余談になりますが,『Up From The Deep』の冒頭で日本語のナレーションが流れてきたのにはちょっと吃驚してしまいました......だって「秋のテトロンはテイジンです」なんですよ(^^;)。 BACK

2007/12/04 NEW
Incantations / Mike Oldfield 1978

 1978年にこのアルバムがリリースされたとき,二つのことに驚かされました。まず一つはジャケットです。そこに写っていたマイク・オールドフィールドは,長かった髪の毛を切り,髭を剃り,こざっぱりしたジャケットを着ており,それまでの世捨て人然としたイメージがまったくなかったのです。まさに「誰?こいつ」って感じでした(^^;)。そしてもう一つは,曲の長さです。それまでの3枚のアルバムもA面B面で1曲という大曲でしたが,このアルバムはなんと2枚で1曲という更に倍率アップの長さになっていたのです。ちなみにトータルで72分以上あります。それだけ長いと,アナログ盤の時はA面聴いたらひっくり返してB面,それが終わったらレコードを換えて......と,かなり面倒臭い状況だったので,part1からpart4まで通して聴くことは滅多にありませんでした。それもあってか,個人的には前3作と比べると評価の低いアルバムだったんですよね。しかし,こうしてpart1からpart4まで通しで聴くことができるCDで聴いてみると,『Incantations』という曲がPart1からpart4までトータルして一つの曲であるということが良くわかり,改めてこのアルバム(曲)の魅力に気付かされました。じっくり聴いても良いけれど,BGMとして流しても,これがまた気持ちが良いんですよね。マイク・オールドフィールド前期4部作の最後を飾るに相応しい名盤です。 BACK