2002年1月8日

Live At The Isle Of Wight Festival 1970
[ワイト島ライヴ1970]

Who

 世界最強のROCK バンドザ・フー絶頂期のライブを収録したのがこのDVDです。
 1970年にワイト島で行われたフェスティヴァルの模様は「The Isle Of Wight Music Festival 1970 Message To Loveワイト島1970 -輝かしきロックの残像-』」という映画で発表されていますが(その中でWhoはメチャクチャにカッコイイ「Young Man Blues」を演奏しています),これはそのフェスティヴァルにおけるWhoの演奏を収録したものです。しかし,これは残念ながら完全版ではありません。というのも,この日Whoは3時間以上ものライヴを行っていたからです。それでも全20曲85分収録されているので,実際に見る分には十分に納得のいくものとなっています。
 とにかく,このライヴに於けるWhoはカッコイイの一言に尽きます。
 ピート・タウンゼントは白いツナギ姿で風車のように腕を回しながらギターを弾き,ロジャー・ダルトリーは投げ縄のようにマイクを振り回し,キース・ムーンは鬼神のようにドラムを叩きまくり,ジョン・エントウィッスルは動きはないものの骸骨のジャンプ・スーツを着てギターよりも派手なベースを弾きまくる
 この凄まじいステージは凡庸のロックバンドが100個束になっても敵いませんね。ライブ・バンドとしては,この時期のWhoは史上最強と言っても過言ではありません。
 「ハードな荒々しさ」「繊細さ」「美しさ」それらロックの持つ魅力のすべてがこのライヴにあるのです.

 『Live At Leads』でお馴染みの「Young Man Blues」「Shakin' All Over」「Summertime Blues」といった曲ももちろん素晴らしいのですが,このライブの真骨頂はなんといっても「Overture」で始まり「Tommy Can You Hear Me?」で終わる『Tommy』の曲ですね。
 この当時のライヴをもし生で見ていたら,感動のあまり座り小*しちゃったかもしれません(^^;)
 結局1度も来日することなく解散状態となってしまったWhoですが,日本でピート・タンゼントがギターを弾く姿を見ることはもう不可能なんでしょうかねぇ?(:_;)

 それにしても,日本でのWhoの評価はあまりにも低すぎはしませんか?



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2002年2月5日

Wildflowers(1968)

Judy Collins

 大ヒット曲『青春の光と影 (Both Sides Now)』(全米8位)が収録され,ジュディ・コリンズの名前を一躍高めたアルバム(全米5位)です。

 全10曲中,ジュディ・コリンズ自身のオリジナルは3曲で,残りは2曲がジョニ・ミッチェル(『青春の光と影 』等,3曲がレナード・コーエン,1曲がジャック・ブレルの曲となっています。残り1曲はトラッドなのでしょうか,作曲者が記載されていません。

 全般的にアコースティック・ギターとストリングスを中心としたクラシカルな趣のバック演奏にジュディ・コリンズの美しく癖のないボーカルが加わることによって,今でいう『癒し系』のサウンドとなっています。いやほんと,ジュディ・コリンズの声って透明感があって良いですね。最近の歌手のやたらとこねくりまわしたような歌い方に少々辟易としているだけに,彼女の歌声がとても爽やかに心に染みます(これは余談にまりますが,ゲーム『Air』の挿入歌『青空』を聴いたときに,ふとジュディ・コリンズの歌声を思い出してしまったんですよね)。
 しかし,クラシカル&トラッドな色彩の強いこのアルバムの中にあっては,名曲である『青春の光と影 』がやや浮いた印象を受けてしまうのもまた事実です。

 私的ベスト・トラックは,『Michael From Mountai』と『青春の光と影 (Both Sides Now)』(あ,どちらもジョニ・ミッチェルの曲だ)です。

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2002年2月26日

Aerial Ballet(1968)

Nilsson

 ニルソン初のヒット曲(1969年.全米6位.全英23位)で後に映画『真夜中のカウボーイ』でも使われた『うわさの男(Everybody's Talkin'』(作者はFred Neil),モンキーズもレコーディングした『Daddy's Song』(『Head』収録),スリー・ドッグ・ナイトがヒットさせた『One』(ゲームにあらず(^^;)等が収録されているニルソン初期の名盤です。

 『うわさの男(Everybody's Talkin')』以外の12曲はすべてニルソンのオリジナルで,いずれもオールド・タイムな雰囲気漂うポップの名曲揃いです。バックのサウンドもバンド演奏によるロック的なものよりも,弦楽器や管楽器をフューチャーしたコンテンポラリーなものが多いですね。そのせいもあって,このアルバムは,所謂ソフト・ロックのアルバムとして語られることが多いようです。
 ヴォーカルはすべてニルソンによるオーヴァー・ダヴィングなのですが,これが実になんともポップでドリーミィーな味わいのある良い声なんですよね。噂によると4オクターヴ以上の音域があるということですが,確かに声の幅は非常に広く,表現力も豊かです。後期になると,この声が酒の飲み過ぎで荒れてしまったのが残念でなりません。ちなみに1970年代中盤,彼が酒飲みの友としてつるんでいたのが,ジョン・レノンとキース・ムーンです(あ,全員故人だ(^^;)。

 私的ベスト・トラックは,『Daddy's Song』『Together』そして『One』です。



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2002年4月1日

Late NIghts Early Days(1997)

Missing Persons

 元ザッパ・バンドのメンバー(Dale&Terry Bozzio, Warren Cuccrullo,Patrick O'hearn)によって結成されたミッシング・パーソンズは,その出自からすると信じられないくらいにPOPなロックを聴かせてくれたバンドですが,このアルバムは彼等がデビュー盤を発売する前の1981年に行ったLiveを収録したアルバムです。
 デビュー・アルバム『Spring Session M』はPOP-Rockアルバムとして非常に良くできた作品であり,それ故に全米アルバムチャートの30以内に入るヒット作となったのですが,若干きれいにまとまりすぎていてパワーに欠けるという印象がありましました,しかし,このアルバムはLiveということもあり,ロック的なパワーにあふれたサウンドとなっています。特にテリー・ボジオのドラムはスタジオ盤とはまったく違うパワーに溢れていて,実にカッコイイですね。
 また,その他のミュージシャンも皆超絶技巧の持ち主ということもあり,POPなサウンドでありながらも,非常に上手さを感じる演奏を聴かせてくれます。デイル・ボジオのヴォーカルも予想以上に上手いのには,ちょっと驚いてしまいました(^^;)。ただ,スタジオ盤同様パトリック・オハーンがベースでなくシンセ・ベースを弾く曲が多いのが残念です。

 『Spring Session M』が出た当初は,フランク・ザッパとは全然違うサウンドという印象が強かったのですが,こうしてLIVEの演奏を聴くと,実はフランク・ザッパからの影響をしっかりと受けていることが良くわかります。特に『No Way Out』『Us Drag』といった曲は1980年代のザッパによるPOPサウンドと共通するものを感じますね。

 ところで,このライヴ盤が発売されたのは,バンド解散から10年以上も経った1997年なのですが,何故これだけの音源をそれまで発売しなかったんでしょうね?1980年代の早い内にこのライヴ盤を発売していれば,ミッシング・パーソンズの人気ももっと高まっただろうに...と思うと残念でなりません。

 私的ベスト・トラックは,テリー・ボジオがドラムを叩きまくっている『Here+Now』と『No Way Out』です。

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2002年4月12日

Rock Bottom(1974)

Robert Wyatt

 ソフト・マシーン,マッチング・モウルといったプログレッシヴ・ロック・バンドのドラマーとして活躍していたロバート・ワイアットが,4階の窓から落ちるという事故のために脊髄を損傷し下半身不随となった後に出した復帰第1作がこのアルバムです。ちなみに,このCDは今年発売された紙ジャケット盤です。

 サウンドはジャズ色の強い所謂プログレッシヴ・ロックに分類されるものですが,ロバート・ワイアット自身のキーボードをメインとしたシンプルで繊細でそれでいて力強さを感じさせるものとなっています。
 しかし,特筆すべきは何といってもロバート・ワイアットの歌声ですね。以前からドラマーであるとともにボーカリストとしても活躍していた彼ですが(マッチング・モウルの『オー・キャロライン』は名曲です),このアルバムではそのボーカルの魅力が全開となっています。
 特に1曲目の『Sea Song』の美しさは,まさに天上の音楽という言葉がふさわしいでしょう。

 このアルバムはリチャード・シンクレア,ヒュー・ホッパーといった古くからの仲間の他に,前年に『チューブラー・ベルズ』で衝撃のデビューを飾ったマイク・オールド(ケヴィン・エアーズ絡みか?)も参加しており,『Little Red Robin Hood HIt The Road』では,いかにも彼らしい旋律のギターを弾いています。
 なお,プロデューサーはピンク・フロイドのドラマーであるニック・メイスンが担当しています。

 これは,ロバート・ワイアットにしか作れない唯一無二のサウンドなのです。



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