Bluejeans & Moonbeams / Captain Beefheart & Magic Band
(1974) Virgin CVD 2023

01.Party of Special Things To Do
02.Same Old Blues
03.Observatory
04.Pompadour Swamp
05.Captain's Holiday
06.Rock'n'roll's Evil Doll
07.Further Than We've Gone
08.Twist Ah Luck
09.Bluejeans And Moonbeams

personal : Don Van Vliet / Vocal,Harmonica
     
Dean Smith / Guitars
     
Ira Ingber / Bass
     
Bob West / Bass
     
Michael Smotherman /Back Vocal,Keyboards,
     
Gene Pello / Drums
     
Jimmy Caravan /Keyboards,

 実はこのアルバム,キャプテン・ビーフハート・ファンの間では最も評判の悪いアルバムなんです。曰く「キャプテン・ビーフハートの許可無しに勝手にミックスして発売された」「普通すぎる」「バックの演奏がマジック・バンドらしくない」etc...
 しかし,同じキャプテン・ビーフ・ファン私には,
このアルバムがそんなに酷いアルバムだとはどうしても思えないんですよ。確かにそれまでのキャプテン・ビーフハートのサウンドともそれ以後のキャプテン・ビーフハートのサウンドとも異なる,普通のロックのようなサウンドなので,通常のファンからは物足りなく感じるのでしょうが,私にとっては,逆にその普通さが魅力なのです。
 というのも,その
サウンドが普通であるが故に,かえってキャプテン・ビーフハートのボーカルの旨さが際だって聞こえるからです。キャプテン・ビーフハートのサウンドって,ちょっと聞くだけでは難解でとっつきにくい印象を受けがちで,普通のロック・ファンからは敬遠されがちなのですが,そういう人達にもこのアルバムなら安心して(^^;)お薦めできます。そして,このアルバムを聴くことによって,キャプテン・ビーフハートのボーカルの魅力に目覚めてくれたら,これは素晴らしいことですよね。
 もちろん,それだけの理由からこのアルバムを名盤としているわけではありません。それ以上に『Same Old Blues』『Observatory』『Further Than We've Gone』『Bluejeans And Moonbeams』といったメロディアスな名曲が収録されていることが,このアルバムを名盤とする一番の理由なのです。
 そして,バックの演奏(一応マジック・バンド名義となってますが)も,アメリカン・ロックのバンドとして聴けば,決して悪くないものだと思いますよ。
 実はあのケイト・ブッシュも1970年代後半のインタビューの中で好きなアルバム10枚の中にこのアルバムを入れているんですよね....う〜む,さすがはケイト様,良くわかってらっしゃる(^_^)。
 
キャプテン・ビーフハート初心者で,1970年代のアメリカン・ロックが好きで,旨くて味のあるボーカルを聴きたいと思っている方なら,絶対にお薦めのアルバムですね。


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Replicas / Tubeway Army (1979) Beggers Banquet

01.Me! I Disconnected From You
02.Are 'Friends Electric?
03.The Machman
04.Prayng To The Aliens
05.Down In The Park
06.You Are In My Vision
07.Replicas
08.It Must Have Been Years
09.When The Machines Rock
10.I Nearly Married A Human

Produce - Gary Numan
All Truck Written by Gary Numan

 1979年に『Cars』の全英No.1ヒット(全米9位)を放ったゲイリー・ニューマンが,それ以前にTubeway Armyというバンド名義で出したアルバムです。もっとも実際はほとんどゲイリー・ニューマンのソロといっても良い内容なんですけれどね。
 このアルバムが発売された1979年はPunk&New Wave全盛期であり,その中にあって
シンセサイザーを中心とした無機質なサウンドのこのアルバムは英国で大当たりし,なんとレッド・ツェッペリンの『In Through TheOut Door』を抜き去って全英1位となっています。
 確かにこのアルバムで聴くことができるサウンドは,シンセサイザーを中心とした演奏だけではなく,ゲイリー・ニューマンのヴォーカルもまた無機質な印象を受けるものなのですが,
メロディーそのものは非常にPOPでわかりやすいものなんですよね。もっとも,だからこそ大ヒットしたのでしょうが....

 私が初めてこのアルバムを聴いた時に抱いた印象は『懐かしさ』です。というと奇妙に思うかも知れませんが,私が『Rplicas』のサウンドから感じたのは,古いSF映画のような『懐かしい未来の音』なのです。だからといって,私が実際にそういう映画を見たのかどうかは定かではなく,ただ単にそう感じただけのことなんですけれどね。
 特に『Down In The Park』『I Nearly Married A Human』といった曲からそういう印象を受けました。
 もっとも,それは単にサウンドから感じた物であり,実際は
歌詞もほとんどが人間性を拒否するようなネガティヴな内容であり,懐かしさを感じるようなものじゃないんですけれどね(^^;)

 しかしながら,歌詞の内容に拘らずにサウンドだけ聴けば,これはクールでポップなアルバムとして,現在でも十分に楽しめるアルバムだと思います。
 発売当時,日本ではさほど話題とならなかったのですが,それは当時の日本におけるPunk&New Waveのイメージって,セックス・ピストルズ,クラッシュ,ストラングラーズ等のハード・エッジなものが主流であり,ゲイリー・ニューマンのようなクールなサウンドはあまり人気がなかったからなんでしょうね。

 なお,収録曲の『Are 'Friends Electric?』も英国本国では1位となっています。



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Torouble / Sailor (1975) Epic 465581 2   NEW

01.Girls, Girls,Girls
02.Trouble In Hong Kong
03.People In Love
04.Coconut
05.Jacaranda
06.Glass Of Champane
07.My Kind Of Girl
08.Panama
09.Stop That Man
10.The Old Nickelodeon Sound

personal : Grant Serpell / Drums, Perc, Vocal
     
Phil Pickett / Bass, NIckelodeon. Guitaron, Piano, Vocal
     
Henry Marsh / NIckelodeon, Acordion, Piano, Vocal...erc
     
Georg Kajanus / Guitar, Charango, Vocaal...etc

Produce - Jeffrey Lesser / Rupert Holmes

 パリの歴史的なカフェLe Matelotで活躍していたバンドというふれ込みでデビューしたバンドですが,もちろんこれは一種のジョークで,彼等はイギリスのバンドです(メンバーにはノルウェー出身者やドイツ出身者はいますけどね)。でも,当時のML誌では大真面目にこの由来を紹介しているんですよね(^^;)。そして,このアルバムは彼等の2ndアルバムであり,また日本におけるデビュー盤となったアルバムです。

 1976年か1977年にNHK-FMで放送されたBBSライヴの音源で彼等のサウンドを初めて聞いた時には,そのあまりにも素敵なPOPぶりに一遍にノック・アウトされてしまいました。その時に演奏していたのが,このアルバムに収録されている「Girls, Girls,Girls」「Glass Of Champane」「Jacaranda」といった曲なのです。

 彼等のサウンドは所謂エスニック風のサウンドなのですが,それはヨーロッパ人(特にイギリス人)が異国情緒を感じるという意味でのエスニックであり,決して正式なものではありません。しかしながら,その卓越したポップ・センス故に,そのサウンドは少しも胡散臭い物とはなっていんですよね。
 実際そうであるかどうかはわかりませんが,セイラー(船乗り)というバンドのコンセプトは,船乗り達が航海の途中に各国で聴いた音楽を演奏するというものなのではないでしょうか。

 また,NIckelodeon, Acordion, Charangoといった通常のロック・バンドが使わないような楽器を使を含めて,ほとんどの楽器がアコースティックであるにも関わらず,何故かベースだけがシンセ・ベースであるというのも,彼等のサウンドをユニークなものとしています。でも,違和感はほとんど感じないんですよね。ところで,このNIckelodeonってどんな楽器なんでしょう?(^^;)。

 ちなみに,メンバーのPhil Pickett は,カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ(Karma Cameleon)」の作者の一人でもあります。

 なお,収録曲のGirls, Girls,Girls」「Glass Of Champane」はそれぞれ全英7位,全英2位のヒットとなっています。

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To Heart Animation Sound Track / 和田薫 (1999) Fix KCIA5039

01.Yell(Original Version)   02.Ever Green Days  03.夜明け  04.朝のおむかえ  05.楽しい仲間たち  06.ゆれる想い  07.心のアルバムに  08.ひとりのときに  09.想いの強さが力になる  10.好きと言えない,いとしさ  11.黒魔術  12.ずーっと,夢だったんだ II  13.ひとり,夜に想う  14.好きと言えない,いとしさ II  15.心のアルバムに II  16.風を駆けぬけて  17.その気持ちを見つめて  18.Ever Green Days(Piano Version)  19.好きと言えない,いとしさ(Piano Version)  20.サブタイトル  21.Intermission  22.Yell(カラオケ)   23.Ever Green Days II  24.ずーっと,夢だったんだ  25.Ever Green Days III  26.想いの強さが力になる II  27.この気持ち届けたい  28.心のアルバムに II  29.好きと言えない,いとしさ III  30.次回予告  31.Yell(TV Version)  32.ボーナストラック(特典映像使用メドレー

Composed & Arranged by 和田薫

 このアルバムはジャケットを見てもお分かりのとおり,『To Heart』というアニメのサントラ盤です。しかし,このアルバムに収録されている曲(一部を除く)を聴いて,これがアニメのサントラ盤だと思う人は少ないでしょうね。というのも,このアルバム,ほぼ全曲がストリングスやピアノといったアコースティック楽器によって演奏されており,またその多くがクラシカルな味わいを持つサウンドであるからです。
 こういうサウンドって,映画のサントラなら珍しくはないのですが,アニメのサントラとしてはとても珍しいですよね。まぁ,映画のサントラであれ,ゲームのサントラであれ,そこに収められている曲が良ければ何の問題もないのですが....

 アニメそのものが派手さのないどちらかといえば地味な内容であるため,サントラに収録されている曲も静かで穏やかな曲が多いのですが,その中でも『Ever Green Days』『好きと言えない,いとしさ』『想いの強さが力になる』といった曲は,所謂『癒し系』の音楽としても十分に作用するのではないでしょうか?(『癒し』という言葉はあまり好きではないのですが)
 私は睡眠導入音楽として,このアルバムから上記の曲を含む数曲を利用していますが,これらの曲を聴くと,実になんとも心安らいで心地よい眠りに入ることができるんですよね。

 ちなみにこのアニメは同名のゲーム(元々は18禁だった(^^;)をアニメ化したものですが,高校生の何気ない日常を描いた,『懐かしさ』すら感じさせる作品となっており,個人的にはとても気に入っています(もちろん,ゲームの方も大好きですが(^^;)。

 そういえば,朝のワイド・ショー等で,しばしばこのアルバムの収録曲が使われているのを耳にしますが,これはある意味楽曲の良さを証明しているってことになりますね。

 あ,但し『Yell』だけはなかったことにしてください。これは和田薫氏の作品ではありませんし,あのヴォーカルはちょっとねぇ....(^^;)



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We Are Ever So Clean / Blossom Toes (1967) Polydor POCP-2190

01.Look At Me I'm You
02.I'll Be Late For Tea
03.The Remarkable Saga Of The Frozen Dog
04.Telegram Tuesday
05.Love Is
06.What's It For
07.People Of The Royal Parks
08.What On Earth
09.Mrs. Murphy's Budgerigar
10.I Will Bring You This And that
11.Mitser Watchmaker
12.When The Alarm Clock Rings
13.The Intrepid Balloonist's Handbook,Volume One
14.You
15.Track For Speedy Freaks (Or Instant LP Digest)

personal : Brian Belshaw / Bass,
     
Brian Godding / Guitar, Vocal
     
Jim Cregan / Guitar, Vocal
     
Kevin westlake / Drums,

Produce - Giorgio Gomelsky

 これは数あるサイケデリック・ミュージックのアルバムの中で,間違いなくベスト3に入るくらいに素晴らしいアルバムです。なのに,知名度は圧倒的に低いんですよね(^^;)。
 というのも,このアルバムは,当時日本では国内盤すら出なかったのですから,知る人がほとんどいないのも当然ですね。また,ブロッサム・トウズ自身アルバムを2枚出しただけで,レコード会社の倒産により解散に追い込まれ,いつの間にか歴史の中に埋もれてしまったのです。
 もちろん,私も実際にこの盤を手にするまでその名前すらも知りませんでした。
 ところが,ある日,音盤屋でこのCDを見たときに,帯の「サイケデリック」という文字と,いかにも当時の雰囲気がプンプンと臭うようなジャケットに心惹かれてしまい,ついつい買ってしまったのです。

 最初聴いたときには「本当に1960年代のバンドなのか?もしかしたら,XTCの覆面バンド『DUKES OF STRATOSPHEAR』のように,現在活躍している大物バンドがサイケ風の音楽を演っているのではないか」と思ってしまいました。実際はその逆で,XTCの方がこのアルバムのようなサウンドを出そうとしていたのでしょうけれどね。
 逆をいえば,このアルバムはそれだけ古さを感じさせないPOPで洗練されたサウンドに満ちあふれているということです。サウンド的には一口で言って『POPなサイケ』なのですが,楽器の演奏のみならず,テープの逆回転を含む効果音の入れ方,ストリングスやホーン・セクションの使い方等,そのどれもが非常にセンスが良いんですよね。それ故古さを感じさせないのですが....
 そして,メロディーがまた素晴らしいんです。シングル・ヒット間違いなしのPOPなナンバーが何曲も収録されているのに,どうして当時話題にならなかったのか,ほんと,不思議でなりません。

 えねま的お気に入りナンバーは,DUKES OF STRATOSPHEARを彷彿とさせる1曲目の『Look At Me I'm You』,POPでサイケな『I'll Be Late For Tea』,メロディーの美しさが際だつ『Mitser Watchmaker』といった曲です。

 POPでサイケな曲がお好きな方なら絶対に一度は聴くべきアルバムですね。

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