アトラク=ナクア日記

 アトラク=ナクア』はAlice Softから1997年に発売されたゲーム(18禁)です。当時は『アリスの館4.5.6』として3本のゲームがパックとなって売られていたのですが,現在ではバラ売りで,1本当たりの単価を安くして(定価2800円)売られています。
 以前からストーリーが面白いと評判が高く,また売値が新品で2100円と安かったので買ってみました。

 これはそのリアルタイムなゲーム記です。
 当然ながらネタばれ有りですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね(^^;)


3月17日

 
我が家の新恋愛ゲーム専用機,Sony Vaio PCV-J12にインストールする。ヴォイス入りではないので,最近のゲームのように容量を圧迫することもなく(ハードディスク80MB以上といいますから,最近のゲームの約1/10ですね),スムーズにインストールは終了。

 オープニングの印象『痕』+『久遠の絆』って感じですね。女郎蜘蛛の初音と僧しろがね)の戦い。この二人の間には深い因縁があるようですが,これはきっとシナリオが進むうちに分かってくるのでしょうね。
 戦いによって傷ついた初音は傷をいやすために高校の中に巣を作るのですが,この初音さん,誰かに似ているな....と思ったら,鬼化した
千鶴さん()がセーラー服を着たらきっとこんな感じだと思います(^^;)。あ,冬目景の『羊のうた』の千砂にも似てますね(もちろん,こちらが後ですが)。
 絵柄は塗りがなんだかベタっとした感じですが,キャラそのものはなかなか魅力的だと思います。
 音楽はゲームの内容上ダークな感じのものが多いのですが,曲そのものはそんなに悪くないと思います。
 文字は全体に現れるときと,上部又は下部だけに現れるときがあります。いずれにせよ見づらいということはありません。

サチホ』終了
 沙千保が『』になる場合と『外界』のままの両方とも終了しました。このゲームは途中の選択肢によってフラグが立つというタイプのものではなく,ただ最後の選択のどちらかを選ぶかだけで『贄』か『外界』が決定するようです。
 また,選択肢の数そのものも少なく,ゲーム性は皆無といっても過言ではないでしょう。まさにこれはヴィジュアル・ノヴェルですね。

 それにしても,初音姉さまはカッコイイですね。もっとも,彼女の場合はかなこを助けるのも沙千保を見逃すのも,善悪じゃなくてその場の気分なんでしょうけれど....
 その一方でこの章のメイン・ヒロインである
沙千保は何だか影が薄いですね(^^;)。かえってかなこの方がその一途さ故に狂気すら感じさせる分存在感があるように思えます。真夜中のお茶会のシーンのかなこは,ほんとにいじらしいですよね。
 しかし,可哀想なのは美由紀です。『
外界』エンドだと初音姉さまから食べられちゃうのですから(^^;)。『』エンドでも沙千保によって階段から突き落とされちゃうしね....う〜む,『久遠の絆』の吉川絵里のような哀しいキャラです。

ツグミ』終了
 サチホ』が終了すると(『』『外界』に関わらず)自然に『ツグミ』へと章が移ります。
 この章のヒロインである
つぐみは,沙千保の恋人である渡辺鷹弘鷹久じゃないのね(^^;)の妹ですが,病弱で大人しい沙千保とは対照的に活発で明るい実に可愛らしい女の子です。
 また,この章で重要な役割を果たすのが体育教師の
猪口なのですが,この男がまた徹底的に嫌な男として描かれています。なんだか『同級生2』の某先生を彷彿とさせるようなキャラクターですね(^^;)。お〜い,教え子を襲っちゃいけないぞ!(^^;)。
 この章においても
つぐみが『』になる場合と『外界』のままの両方がありますが,前者における初音姉さまは実に鬼畜で恐ろしいですねぇ....いやぁ千鶴さんと同じくらいに怒らせてはいけない女性だということが良くわかりました(^^;)。一方後者における初音姉さまは何だか必殺仕置き人みたいで(^^;)実にカッコイイですね。
 なお,この章で初めて
が登場するのですが,この人物もまた善なのか悪なのか良くわからない謎の人物です。

3月19日

タカヒロ』終了。

 う〜む,なんといいますか,重いですねぇ(^^;)。
 
沙千保の場合は,淫靡な中にも切なさを感じさせるストーリーとして楽しめたのですが,つぐみの場合はひたすらダークで痛いシナリオのために心がずっしり重くなってしまいました。あれではあまりにもつぐみが可哀想じゃないですか。
 
沙千保はかたっぱしから男の精気を絞りとるという嬉し恐ろしい行為はとっても,人を殺すことはしません。しかし,つぐみ初音を怒らせたために人の命を奪うことによってしか精気を得ることができず,そして,最後には大切な人の命まで奪うことになってしまうのです。もう徹底して救われません。

 それにしても鷹弘君は思ったよりも役立たずでしたね(^^;)。登場した頃は,初音があやかしの存在であることに気づいたり等,おっ,この男はやるのでは?と思わせながら,結局は何もできないままでした。う〜む,もっとヒーローっぽいキャラだと思っていたのになぁ....だらしない(^^;)。

 でも,この章で一番災難だったのは鮎川君ですね。沙千保からは精気を搾り取られてしまうし,つぐみからは殺されそうになってしまうし....でもまぁ,どちらの場合にせよ,殺されなかっただけ良かったのかもしれません。

 結論,初音姉さまは決して怒らせてはいけません(^^;)。

3月24日

カナコ』『ホコロビ』『終章』終了。

 
カナコ』はかなこと和久を中心として物語が進みます。裕福ではあるが家庭に恵まれないかなこと,大阪からの転校生であり,何か心に大きな傷を持つ和久との心の触れ合い....というと恋愛ゲームでは良くあるパターンですが,このゲームに関しては当然のことながらハッピー・エンドはありません。和久は贄となるか,さもなければ生きていても記憶を消されてかなこのことは忘れてしまいます。それはかなこが助けを呼ぶときにどちらの名前を呼ぶかで決まるのですが,結末が想像とは逆だったのにはちょっと驚いてしまいました。

 それにしても宇都宮君は嫌なキャラだなぁ....かなり電波入ってるし(^^;)。まぁ,確かにみゃ〜ちゃんはいじめたくなるキャラではあるけれどね(^^;)。

 夜のシーンのつぐみも悲惨だけれど,兄の鷹弘君も負けず劣らず悲惨ですね。下手に意識があるだけに,その辛さは計り知れないものがあります。特に沙千保との絡みは切ないですね。

 『ホコロビ』で新たに登場するのが(りん)です。彼女は初音よりも先輩なのだけれど,とてもそうは見えませんよね(^^;)。そして,この眼鏡キャラの女の子の登場によって,初音の作った結界にほころびが生まれてくるのです。

 それにしても,何故初音かなこが望むにも関わらず,彼女を贄にしなかったのでしょう?
 その謎は後になって明らかになります。

 この章でいよいよの活動が活発になってきます。しかし,何故初音が戦うのか,その理由は明らかにされません。ただ,初音が銀と神社の娘の間にできた子どもを殺したことは明らかになります。それだけではなく,初音燐の間にも深い因縁があったのです。

 そして『終章』において初音の最後の戦いが行われます。そして,初音の関係についても明らかになります。それは,性別は異なれど,初音かなこの関係に近いものだったのです。だからこそ,初音かなこを殺しもせず,また贄にもしなかったのですね。

 初音の戦いもまた愛憎の果てに行われたものでした。それ故戦いの結果はあれ以外には考えられませんね。なんとも切なく哀しい物語の終末でした。
 そして
かなこ,彼女にとってはあの結末が幸せだったのでしょうか?

 ところで,贄になった者達はあの後どうなったのでしょうね?初音の死とともにこの世から消えてしまったのでしょうか?だとしたら,かなり救われない話ですよね。

 p.s.かなこ『咎なし』でゲームを進めると,とても哀しい結末になるんですね。いわゆるバッド・エンドなのでしょうが,私はこちらのエンディングの方に心を惹かれてしまいます。みゃ〜ちゃがとても可愛いしね(^^;)。また,このストーリーにおいて,和久が大阪の高校から転校してきた理由もわかりました。

3月27日

総評

 
さすがに各方面で高い評価を受けているだけあって,読み物としてはとても楽しめる作品でした。しかし,元々が『アリスの館4.5.6』という3本セットの作品の一つであるためか,ボリューム的にはやや物足りない印象があります。時間があまりないので分けて実施したのですが,集中して取り組めば,おそらく半日くらいで終わってしまうのではないでしょうか?(もっともCGをコンプリートするためにはそれ以上の時間を要しますが)。
 ただ,個人的にはダークな話が苦手なので,贄となった
つぐみ鷹弘の話は救いがなくて,ちょっと辛いものがありましたね。
 しかし,
文章そのものが上手いために,辛い内容でもついつい読まされてしまうんですよ。ですから,ゲーム時間が短いことを別としても,最後まで少しも飽きることなくやりとげることができました。

 絵柄は概ね好みなのですが,アップになると別人に見える絵がいくつかあったのがちょっと残念ですね。個人的にはもっとCGの数があると嬉しかったのですが....
 音楽は特に印象に残るものはありませんでしたが,ゲームの雰囲気に合ったものが多く,BGMとしての機能はしっかりと果たしていたと思います。音そのものは1997年という時代を考えれば可もなく不可もなくってところでしょうか?
 システム的にはセーブが3カ所しかできないのが一番辛いですね。しかし,一度ゲームを終了した後は各章からゲームを再開させることができるようになります。しかも,その時に登場人物の状態を変更することもできるのです。これはとても良いですよね。その他は特に気になることはありません。

 ゲームとしては選択肢が少ないし,ボリューム的にも物足りない感じがしないでもありませんが,2千円台という値段から考えると,とてもお得なゲームですので,ストーリー重視の方ならやって損はしないと思います。ただ,ダークな傾向の内容が苦手な方にはあまりお薦めできませんね。


 

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