ぼくらがここにいるふしぎ日記

 5年前,新一は,幼なじみの珠子と未生とともに蜃気楼を見に出かけました。
 しかし,その1週間後に未生が不慮の事故で亡くなるといった不遇っぷり。
 そして現在。本の偶然から新一は珠子と一緒に下校の途中,またも蜃気楼に遭遇。
 さらに気が付けば珠子の姿はなく,代わりに未生が新一の傍らに。
 彼は,ほんの少し,だけど確実に違う世界にいる自分に気付きます。
 果たして新一は元の世界に還ることが出来るのでしょうか?

(パッケージ裏解説より)

 『ぼくらがここにいるふしぎ。』はFlyinghineから2002年に発売されたゲームです。シナリオをあの荒川工氏が担当しているということで,以前から気にはなっていたんですが,何故かほとんど話題にならなかったんですよね。そのためになんとなく二の足を踏んでいたのですが,先日秋葉原で安く落ちているのを発見し,これは私にやれという天の啓示なのだな,と思い買ってきたというわけです。
 これはそのリアルタイムなゲーム記であり,当然ながらネタばれ全開ですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね(^^;)。
1月8日

 我が家の恋愛ゲーム専用機,Sony Vaio PCV-J12にインストール。フルにインストゥールしても400Bにならないなんて,最近のゲームとしては極めて少ない方ですよね。

 インストゥールは問題なく終了。

 小学生時代の主人公(新一)と珠子未生の3人で蜃気楼を眺めるオープニング。
 ここで出てくる10年に一度の蜃気楼の話は,このゲームの鍵となる話なんでしょうね。

 場面は変わって5年後の高校生活。珠子と二人で体育をサボる新一(というより珠子に拉致されたのだが)。台詞は最初から荒川テイストで満ちあふれています。また,キャラクターもいわゆる普通の立ち絵ではなく,サブ・ウインドウの中に顔のアップが描かれているのですが,その分表情は実に豊かです。

 オープニング・ムーヴィーは曲を含めて特に可も無し不可も無しって感じです。

 しかし,それにしても相変わらずキャラクターは皆強烈なまでに個性的ですね。
 美形でナルシストで女嫌いの
圭一郎
 スキンヘッドでサングラスで自称抒情派詩人の
(男)。
 珠子の友人で姉御肌の
莢子と見た目お嬢様だけれどダークなフォースを醸し出す
 クールで女王様的な三雲
千秋部長。

 また,マエリョー萌えの変態不思議教師である弓原先生を含め,教師もおかしな人ばかりというのもまた荒川的学園風景です。

 ヴォイスは女性キャラには顔の出ない脇役その1のような存在にも付きますが,男性キャラにはまったく付きません。清いというかなんというか....(^^;)。

 何故か文芸部に所属している新一珠子。そして莢子圭一郎もお約束通り同じ文芸部。
 だが,男子は雑用係としてパシリ状態。あまつさえ,部費を稼ぐために他の部の部室掃除までさせられる始末。もっとも,その金は女子が食べるお菓子代に消えているという噂も...(^^;)。
 特に
新一君は人一倍使われている...というかあれは半ば自主的行為だよね。

 家に帰れば帰ればでお気楽作家の父の面倒も見なければならない新一君。
 しかも,その父親の編集者であり美と凶暴さを併せ持つ
さん(名前通りのイメージだ(^^;)の食事まで作らなければなりません。
 そして,朝
珠子を朝起こすのも新一の仕事。しかし,乙女が『東京裁判』の映画の夢を見るなんてね...(^^;)

 いやぁ〜,最初から荒川工らしい饒舌ともいえる台詞の応酬で(彼の文章はテンポが良いのでそれが気にならないのですが...),好きな人にはたまらないものがあるのですが,これを受付けない人もまた多いのかもしれません。そういう意味では人を選ぶゲームかもしれませんね。
 つ〜か,ここに至るまで一つとして選択肢による分岐すらないのですから,ゲームとは言えないのかもしれません(^^;)。

 また,音楽好きの荒川工らしく,至る所に音楽ネタ(それもわりとディープなもの)がちりばめられています。私が気付いただけでも『早川義夫の「かっこいいことはなんてかっこわるいんだろう」』『ボコーダーライクなエフェクト』『マイブラ=マイ・ブラディ・ヴァレンタイン』等がありました。私はその存在を知らないのですが『マゾンナ』というのもまたロックネタなんでしょうね。

1月9日

 学校からの帰り道(それは5年前に3人で約束をした日),海岸で10年前と同じ蜃気楼を見てしまった新一珠子とキスをしようとしたら,そこには珠子の姿はなく,代わりに死んだはずの未生の姿が。
 すっかりパニックな新一君。一方未生の方は現状をそのまま受け入れているようです。
 こちらの世界では未生が生きていて,逆に珠子が死んでしまっているという。しかも,未生の話によれば,新一未生は付き合っているらしい。

 こちらの世界では未生が朝起こしに来ます,それも午前5時に(^^;)。
 未生って,母子ともどもかなり天然さんのようですが,文芸部の部長さんなんですよね。 
 ちなみに三雲さんは薙刀部の部長さんです。
 それ以外はタマがいないことを除いては元の世界とほとんど変わりがない...つまり新一君が文芸部のパシリであることも変わりありません(^^;)。

 どうやら恋人同士らしい新一未生は新一の部屋でキスを交わし,そしてパ*ずりまでも(^^;)。

 翌日の放課後,新一はクラスメイトの河野さんから告白されてしまうのですが,この河野さんって,「ぼくらがここにいるふしぎ。〜if,then,else〜」の河野はるかさんなんですね。先にこのサイドストーリーを読んでしまうと,なんだか切ないものがあります。

 ところが,この状況を文芸部御一行様に見られてしまい,何故か新一の家で『新一の慰め&新一の手料理堪能パーティー』が催されることに。
 その夜結ばれる新一未生
 こっそりいたしたつもりなのに,ほかの面子にはすっかりばれていたようです(^^;)。

 未生珠子,そして新一の3人で絵本を書くことになったいきさつは,新一の話(蜃気楼の中で母親と出会った話)を形に残しておきたいからだそうです。
 「ぼくらがここにいるふしぎ」とは3人が絵本を書く手本となった絵本の題名であり,元の世界において,その絵本を海に落としてしまった未生はそれを拾おうとして海に落ちて死んでしまったのです。

 ブランコのイベント(こちらの世界での新一未生の思い出),そして蜃気楼の見える海岸での別れにはじんわりとくるものがありました。
 確かにこのエンディングはあっさりし過ぎているような気がしますが,しかし,個人的にはこのくらいの方がさっぱりして良いなぁ....と思います。

1月10日

 さて,次は『珠子サイド』のシナリオです。
 海岸でタマ新一にキスをしようとするところまでは同じですが,そこからはタマ視点になります。

 念願の新一とのキスをしたのに何故か心に空しさを感じるタマ
 彼女は新一がこちら側の新一でないことをわかっていないんですよね。

 それにししても,「『ちう』より先のことはずいぶん前に済ませた」とは...?
 実は2年前にすでに済ませているらしいんですよね....(^^;)。それなのにキスは初めてとは....(^^;)?
 というわけで,部室で始めちゃうわけですが,何故かここで視点が新一視点に戻ります。
 しかし,タマがバックからお願いしたのにはちゃんと理由があったんですね。

 新一との間に原因不明の距離感を感じてしまうタマ
 例えば,新一のブランコの話もそのひとつ。これは未生シナリオで出てきた...つまりあちら側のできごとなのだから,タマが知る由もありません。

 逆に(こちら側の)新一の左手とタマの右手に残る傷は二人にとっては大切な思い出。
 当然ながらあちら側の新一はそれを知るはずもないわけで,しかし,新一がこちら側の新一でないことを知らないタマは深く傷ついてしまのです。
 自分の部屋で一人自分が未生の身代わりになっていれば良かったと思ってしまうタマ
 そこに現れた新一からこれまでのいきさつを知らされる。部屋を立ち去ろうとする新一をひきとめるタマの姿がなんともいじらしいですね。
 それでも,親が寝ている2階でいたしちゃうのはいかがなものかと....(^^;)。

 夕焼けの海岸で消えていく新一を見送るタマ
 5年前の約束はこうして守られたわけなんですね。

 う〜む,確かに量的に(テキストの)物足りないといえば物足りないかもしれません(^^;)。
 やっぱり,両方の新一がそれぞれの世界に還った後の話も見たかったと思います。

1月14日

 上記2つで本編シナリオは終了で,残りはオマケ・シナリオのようなものです。
 つまり,新一珠子未生以外のサブ・キャラ達の物語になるというわけです。

 まずは『唯&千秋編
 当然途中までは同じシナリオです。
 途中から君が何やら千秋さんの弱みを握っているらしいことがわかります。 
 それでいながら,千秋さんから罵られることに快感を覚える君って...(^^;)。
 君は中学生の頃から千秋さんが時折見せる寂しさが気になっていたのですが,ある日トイレの個室の中で泣いている千秋さんの姿を見かけてしまいます。何故見かけたかといえば,彼がトイレの扉を開けちゃったからなのですが,そとのときの台詞がいかにも君らしいというか...(^^;)。
 そして何故かシャワー室へ拉致された君は千秋さんから襲われてしまうのです。しかも「出しなさい」って命令までされちゃうし(^^;)...
 その後千秋さんのマンションへ連れて行かれた君は千秋さんから彼女が泣いていた理由を教えられます。
 それからあまたHをいたしちゃうんですが,そんなときまで口調が丁寧なのはさすが君といいますか...
 という回想シーンの後,君は千秋さんに最初に出会ったあのトイレへ連れていかれ,そしてまたH。
 そ〜かぁ,倒錯してはいても,実は君と千秋さんはLoveLoveだったんですね。

 『梓&徹編
 朝からさんにボコられる新一父ことさん。
 でも,その後にさんから迫られてHしちゃうわけで...
 このときの選択肢によって体位が変わります(CG取得のためにはどちらも必要ですね)
 二人は大人同士の割り切った関係....とさんは言うけれど,さんの方はそうでもないような...
 しかし,さんには再婚する意志はまったくないらしい。それだけ死んだ奥さんのことを愛してるってわけなのかもしれないけれど....そのわりにはやることはやってるんだよねぇ(^^;)
 ところで,さんが書いた絵本とはあの絵本(「ぼくらがここにいるふしぎ」)なのでしょうか?

 『まゆり&圭一郎編
 男の子達からイヂめられているリボンの女の子を計略により女の子を助ける新一君。
 確かにあの年頃の男の子って生理用品とかに異常に興味を持つんだよね。
 それにしても可愛い女の子だよなぁ...と思ったら,助けられてお礼を言いながら背負ったカバンの中から雪崩を繰り返すドジぶりを見せてくるし....そうかと思ったらキレのよいパンチももってるし...クマさんパンツもなかなかだし(^^;)。
 それにしても,「良いすけべい」というのも面白い表現だな。
 で,この女の子は圭一郎君の妹のまゆりちゃんであることがわかります。
 兄バカぶり全開の圭一郎君。そ〜いや,君はまゆりちゃんにセクハラじみたことをして半殺しになったことがあると言ってたっけ....(^^;)
 次の日新一君はスーパー帰りのまゆりちゃんから相談を受けることになります。圭一郎への愛を語るまゆりちゃん。でも,二人は兄妹なんですよね。
 「圭君がダメなら圭君に似た人を好きになる」と言って新一君にマウントポジションをとるまゆりちゃんの姿を見て,圭一郎は気絶してしまいます。しかし,殺されないで良かったね,新一君(^^;)
 圭一郎まゆりは血のつながらない兄妹というお約束(^^;)。
 圭一郎を思い自慰をするまゆりの姿を見ちゃったら,これはもうやるしかないわけで....(^^;)
 しかし,まゆりちゃんって何歳なんだ?
 圭一郎の4歳下というと...○学生?そりゃぁ犯罪でしょうが(^^;)。
 ああそうか,箱の注意書きに書いてある『犯罪にあたる行為』って,このことだったんですね(^^;)。

美潮&徹編
 未生のお母さんです。
 未生が死んでしまった世界では旦那とアツアツな姿を見せてくれる彼女ですが,未生が生きている世界では旦那と離婚してるんですね。
 新一未生とよろしくやっているときにさんも美潮さんとよろしくやってしまうわけで...ああ,良く似た親子なんだなぁ...と思っちゃいますね。
 ところで,この世界のさんはさんともできているんでしょうか?.....う〜む,まぁ,親子ですからねぇ(^^;)

 しかし,母親がそれなりに活躍する恋愛ゲームってのは良くあるんですが,このゲームのさんのように父親が活躍する恋愛ゲームってあまり無いですよね。
 そ〜いや,荒川工の代表作である『Lien〜終わらない君の唄〜』にも玄照という強力な父親キャラが出ていましたっけ...

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