『CLANNAD〜AFTER〜』アニメ日記 1

第1話『夏の終わりのサヨナラ』 2008/10/03放送

 アバンは菜の花畑の中を進む電車の中で楽しそうに話す父と子の姿から始まるので、原作を知らない人からは「何だろうこれは?」と思われてしまうかもしれないけれど、実はこれって後々意味を持つ場面なんですよね。このアバンを見ただけでも、京都アニメーションの原作の咀嚼力を伺い知ることができます。

 そして、新OPの『時を刻む唄』の素晴らしいこと。
 これはCLANNAD本編のBGMのひとつである『同じ高みへ』に歌詞を付けたものなのですが、まさに『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』そのものを体現した曲であるといっても過言ではありません。やっぱりLiaのヴォーカルって良いですね。第1期で『メグメル』を歌ったriyaのヴォーカルも嫌いではありませんが、やっぱり『Key』の作品にはLiaのヴォーカルが一番ぴったりはまるんですよ。

 さて、記念すべき『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』第1話は、原作ゲームにもあった草野球の試合ですが、第1期から半年過ぎた今、登場人物の再紹介をするにはオールスターそろい踏みであるこの野球ネタが一番ふさわしいと言えるでしょう。 え?ゲーム本編のヒロインが2人出てないじゃないかって? 一人は本体が病院だから仕方がないとして、もう一人のお方は...まぁ彼女も色々とお世話しなければならない人たちがいるってことで(^^;)。

 春原のギャグ担当ぶりは相変わらずで、野球では活躍するどころか、足を引っ張りまくり、女性陣達から散々な事を言われてました。まさに汚名献上です。いや〜、春原はやっぱりこうじゃなくっちゃいけません(^^;)。
 それに比べて女性陣達の強いこと。人間離れした身体能力を持つ智代(今回の試合でも、初めてバッターボックスに立ったにもかかわらず特大ホームランを放っています)は当然として、美佐枝さんもいとも簡単に元甲子園球児からヒットを打ってますし、さらにはことみ芽衣までも....

 一方で、自分世界に入っている芳野祐介の姿もたっぷりと拝む事ができました...いやもうくどいほどに(^^;)。もっともそのために、すっかりギャグな人になってしまってるんですけれどね...(^^;)。実は彼も美佐枝さんと同様、朋也達が通う高校の先輩であり、ゲーム本編の美佐枝シナリオでは若き頃の(今と少しも変わらない)芳野祐介も登場しています。

 最後に、朋也が打った打球が光の玉に変わる場面では、思わず感動しちゃいましたよ。こういう演出の上手さもまた京都アニメーションの魅力なんですよね。

 OP同様Liaが歌うEDの『TORCH』もまた良い曲で、こりゃもうCD買うしかありませんね。

 というわけで、『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』第1回は、期待通り...いや、それ以上の出来で大いに満足です。

 ところで、相手チームの名前である『スメル・ライク・ティーンスピリット』にはちょっぴり笑ってしまいました。これって、グランジ・ロックの立役者であるニルヴァーナが1991年に放った大ヒットの曲名なんですよね。

 そして、『マクロスF』を見た後だと、アルトグレイスが親しげに会話している様子にちょっぴり違和感を持ってしまう、困った私がここにいます(^^;)。
 

第2話『いつわりの愛をさがして』 2008/10/10放送

 今回は春原のターン...と思わせて実は早苗さんのターンでした(^^;)。

 春原のことが心配で、野球の試合が終わった後も古河家に滞在する芽衣ちゃんを安心させるためにと、『偽りの恋人』作戦を提案する朋也。 朋也にとってはいつもの春原いじりのひとつのように思えるけれど、深層心理では、自分自身が『』という恋人を得たことで変わることができたという思いがあるのかもしれません。

 『偽りの恋人』作戦の標的第一号は藤林。ある意味ノリの良い姉とは異なって真面目で純情であるがそんな作戦に乗ってくれるはずもなく、しかも、藤林姉妹が互いに朋也に好意を持っていて、そのフラグが一挙にへし折られる様子を目の前で見ていたというのに......これはあきらかに春原の人選ミスです。
 当然のごとく困って泣き出してしまう
 が泣けば当然そこにが現れるわけで、渾身の辞書攻撃&キックのコンボを受け宙を舞う春原。ついでに朋也も頬を引っ叩かれ、顔に紅葉模様を作ってしまうのですが、これはまぁ自業自得といっても仕方がないでしょう。

 標的第二号は最強超人の智代。最初はビビってしまう春原ですが、それを指摘されると逆に燃えてしまうのが春原という男なんですね。でも、落ち着くための深呼吸がラマーズ法...って、どこで覚えたんですか?(^^;)
 春原が隣に座っても完全スルーの智代さん。ちょっと触れた部分を汚いものを払うような仕草は、ちょっと可哀想過ぎはしませんか?まぁこれまでのいきさつを考えればそれも仕方が無いという事ではありますが。
 結局いつもどおり智代キックで宙を舞う春原

 標的第三号はことみちゃん。中の人が唯一『春原好き』を明言していただけあって、素直にOKしてくれたのですが、凶悪殺傷兵器である超音波バイオリン攻撃の前になすすもなくリタイアする春原。デートの度にあの攻撃に遭ってたら命の問題に関わりますから、この撤退は賢明と言えるでしょう。

 標的第四号は宮沢有紀寧。なんだかんだといって面倒見の良い彼女ですから、もしかしたら引き受けてくれたかもしれませんが、この日は強面の先客がおり、「おれ達のゆきねぇに何を言いやがる」と、文字通り吊るし上げられ、逝ってしまう春原

 これで『偽りの恋人』作戦も終わりかと思われたとき、救いの女神が登場。
 その救いの女神こそ、我らが早苗さんなのです。まぁ別の所では本当に女神なんですけれどね(^^;)
 何故か『偽りの恋人』作戦をあっさりと了承してくれる早苗さん。
 これには朋也も吃驚です。
 どうやら早苗さんなりに春原のことを心配してくれてるようなのですが...

 いやぁ、まさか早苗さんのコスプレショーを見る事ができるとは思いませんでした。女性警官、ナースはまぁ良いとして、ネコ耳メイドに果ては体操着にブルマ姿まで拝む事ができるとは....眼福!眼福!
 でも、一番板についていたのは女教師スタイルなんですけれどね。
 それにしても、自分の母親に嫉妬しなければならないも難儀な娘です。
 そんなも風呂上がりで髪留めを使っておでこを出している姿がメチャ可愛らしいんですが...。何だか新たなの魅力を発見したような気がします。

 「将来を誓った恋人がいる」と言う春原に、その恋人と会わせろと迫る芽衣ちゃん。
 というわけで、予行演習をした後迎えたデート本番当日、彼らの前に現れたのは....
 えええええっ!? 三つ編み眼鏡に女子高生の制服って...
 そこまでやりますか、早苗さん!
 それがまた似合い過ぎるから困りものです。
 朋也じゃなくたってあれは見とれてしまいますよ。
 

第3回『すれちがう心』 2008/10/17放送

 今回も春原のターンと思わせて、実は見事なまでにメーデーな回でした。
 いや、シナリオとしてはゲーム本編の『春原シナリオ』を元にしているんですが、芽衣ちゃんの可愛らしさばかりが印象に残って仕方がありません。
 『Kanon』のといい、京都アニメーションは可愛らし女の子を可愛らしく動かすテクニックに非常に長けていますね。しかも、ただ可愛らしく動かすだけでなく、ちょっとした表情や仕草から彼女の感情の細かいところまで見る者に伝えてくれるんです。

 それにしても、芽衣ちゃんからあの顔と声で「お兄ちゃん」なんて呼ばれたら、朋也じゃなくても悶絶しちゃいますよ。
 しかし、悶絶してすっかり危ない人状態になっているところを藤林姉妹ことみに目撃されてしまうとは......ありゃぁ百年の恋も一遍に醒めてしまいますね。
 でもなぁ、芽衣ちゃんの「お兄ちゃん」攻撃は天然果汁100%じゃなくて、朋也の反応を楽しんでいる部分もあるように思えてならないんですけど......いや、そんな腹黒さもまた、芽衣ちゃんの魅力なんですけれどね。
 そんな小悪魔ぶりを見せる芽衣ちゃんですが、彼女の兄、春原に対する思いは純粋そのものです。すっかりやさぐれてヘタレの極みでしかない春原ですが、芽衣ちゃんにとっては、今でも『お兄ちゃん』なんですよね。

 しかし、磯貝さな子こと早苗さんとデートをしている時の春原の言動はそんな芽衣ちゃんの思いをことごとく粉砕するようなものばかりで、いやもうあのダメっぷりは某ラインバルの主人公並みです。
 でも、春原がこんな奴になってしまったのには原因があるんですけれどね。
 第2期前半で3回もかけて春原の物語を描くのは、高校卒業後地元で就職する春原は後半登場する機会がほとんど無くなってしまうからであるとともに、卒業前に春原のリゾンベならぬ再生も描いておく必要があると考えたからなんでしょう。やっぱり春原兄妹は京都アニメーションから愛されていますね。

 今回はすっかりダメダメ人間ぶりをさらしまくってる春原ですが、ちゃんとギャグ要員としての役割も果たしているのがさすがというか.....いや、ほんとに『便所カバー』ネタをやってくれるとは思いませんでした。

 次回はいよいよ、あのサッカーの話ですか。いやぁ前半はかなり辛い展開になりそうで、見る前から心が痛くなりそうです。

 それにしても、初っ端の「磯貝さな子、17歳です」には思いっきり吹きました。
 ここまで堂々と中の人ネタをやってくれるとは....
 冷静に考えれば、1年ダブってる高校3年生のの姉が17歳であるわけがないのにね(^^;)。
 

第4回『あの日と同じ笑顔で』 2008/10/24放送

 3回にわたった『春原&芽衣編』もハッピー・エンドで終了。
 なのに、何故私は涙を流しているのだろう?
 朋也春原が初めて出会ったとき、互いの傷だらけの顔を見て大笑いをしたという、ラストの回想シーンを見たとき、胸の内からじわ〜っと熱いものがこみあげ、涙がこぼれてきたのです。
 でも、その涙は不快なものではなく、清々しさすら感じるものでした。
 朋也春原の関係は、端から見ればサッカー部のうんこ野郎の台詞じゃないけれど、学園内のはぐれ者同士の馴れ合い関係にしか見えないかもしれませんが、しかし、そこには心の底から笑いあえる固い友情の絆が存在しているのです。
 はたしてこの世の中に、心から笑いあえる親友がいる人がどれだけいるでしょう?
 たとえば、『Clannad』ゲーム本編のヒロイン達は姉妹であるを除くと孤独な少女ばかりで,特にことみの孤独ぶりときたら、心が痛くなるくらいのものがありました。
 それと比べるとアニメではヒロイン達が互いに友情を築き上げているのが良いですね。
 特に藤林姉妹ことみは遊ぶときも一緒で、まるで三姉妹のようにすら見えます。

 ヒロインといえば、今回,アニメではメイン・ヒロインから外されてしまった宮沢有紀寧の物語も,その一部が語られていましたね。
 芽衣と同じように問題児だった兄を持つ有紀寧の「(今は)仲良しです」と浮かべた笑顔は、ゲーム本編を知る者には辛いものがありますが,これについても後で補完されるのでしょうね。

 それにしても、サッカー部のクソッタレぶりときたら.... 
 ゲーム本編では文字でしか表現されなかった奴らの悪逆非道ぶりですが、それが映像になると、ここまで許し難き所業に見えるとは....
 いやぁ、あそこまでゲスなクズ野郎ぶりを見せてくれたサッカー部員には、ある意味演技賞を与えたいくらいです。

 そして、芽衣ちゃんをいじめるサッカー部のうんこ野郎の前に「芽衣を泣かせるんじゃねぇ!」と颯爽と登場する春原。いやぁ漢ですなぁ。
 でも、これまで芽衣ちゃんを一番泣かせて(悲しませて)いたのは自分自身だってことを忘れないように。

 ちなみに朋也春原の出会いは偶然の出来事ではないのですが,これについての補完はあるのかな?
 

第5回『君のいた季節』 2008/10/31放送

 まさかと思った『美佐枝シナリオ』突入。
 いやぁ、これは嬉しい誤算です。
 というのも、ゲーム本編の『美佐枝シナリオ』が、サブ・シナリオとは思えないくらい,しみじみ心にしみる物語だったからです。

 初っ端からジャイアント・スゥイングという超大技で春原を振り回していた美佐枝さんですが、彼女は朋也達が通う高校のOBであり,初めて女子で生徒会長になった伝説の人でもあるのです。
 現生徒会長の智代の目標とする存在であることは、第1期の那珂でも語られていましたよね。

 『美佐枝シナリオ』は、その美佐枝さんの高校時代の物語であり、伝説の生徒会長であった彼女が何故学生寮の寮母を勤めているのか、その理由が明らかになる話なのですが....それにしても、制服姿の美佐枝さんの可愛らしさときたら、こりゃ反則以外の何ものでもありません。

 そんな美佐枝さん(というより美佐枝ちゃん?)の前に現れた少年、志麻は彼女に「何でもいいから一つだけ願いを叶える」と言いますが,そんな話を突然聞かされても信じる訳はなく、逆に想い人から誤解された事で怒った美佐枝ちゃんから、見事なスープレックスを決められてしまいます。
 それにもめげずに校門の前で待ち続ける志麻君を最初は邪見に扱っていた美佐枝ちゃんですが、それにしても、あれだけ多彩な技を高校生の頃からマスターしていたとは......いやもうさすがとしか言いようがありません。
 しかし、元々が面倒見の良い美佐枝ちゃんですから、しだいに志麻君ときちんと話すようになっていきます。
 志麻君の話しによれば,彼は彼女に恩返しをするためにやってきたということですが、その肝心の恩の内容については覚えていないというのは、なんとも不思議です。
 でも、その理由については、きっと次回明らかになることでしょうね。

 ところで、ゲーム本編では志麻君の女装イベントや、芳野祐介登場のイベントもあるのですが、アニメではそこまでやってくれるんでしょうか?少なくとも志麻君の女装イベントだけでも見てみたいものです(^^;)。

 そ〜いや、ゲーム本編では立絵すらなかったのに重要な役割を果たしていた美佐枝ちゃんの友人であるユキサキの二人もも今回のアニメに登場していましたね。
 

第6回『ずっとあなたのそばに』 2008/11/07放送

 いや〜、今回は女装志麻君の姿を見られただけで大満足です。
 原作ゲームでは立ち絵のひとつもなかったんで、どんなものになるかと思っていたのですが、さすがは京アニ、まさかあれほどの破壊力があるとは....
 女装志麻君が生徒会の教室の前で美佐枝さんに「これからも、ずっといっしょにいられると嬉しいです」と思わず打ち明けてしまうシーンでは、これなんて百合アニメ?と思ってしまいましたよ。 そ〜いや、第1期でも渚&椋の百合ネタもあったし、実は京アニって百合ネタ好きなのか?

 などとほざいてはおりますが、後半では何度泣きそうになったことか。
 いやもう切なさ全開のお話でした。
 人外のモノとの恋愛ストーリーは『Kanon』の真琴シナリオもあるように、Keyの定番ネタのひとつではあるのですが、決して結ばれる運命にないことがわかっているだけに、切なさもひとしおなんですよね。

 Keyの定番といえば、『願いをかなえる』というのもまたそのひとつですが、美佐枝さんが願ったのは、あの有名な「ボクのことを忘れてください」の対極にあるような「ずっと、いつまでも私のことを好きでいてください。いつまでも、いつまでも私のことを好きでいてください。」という願い。もっとも、この真逆のように思える二つの願いは、同じ心情から出て来た言葉なんですけれどね。

 しかし、本物の志麻賀津紀はすでにこの世の人ではなく、自分は彼の想いを伝えに来た存在であることを思い出した志麻君は、美佐枝さんの前から姿を消してしまいます。「さようなら、美佐江さん。僕はあたなを一生好きでい続けます。ずっと、いつまでも・・・」という言葉を残して。
 あれほど女性として魅力的な美佐枝さんに浮いた話のひとつもなかったのは、これが一番の原因なんでしょう。そりゃぁ、こんな切ない別れを体験してしまったら、恋愛に対して臆病にもなってしまうというものです。

 もっとも、志麻君は約束どおりとずっと美佐枝さんの側にいたんですけれどね。本来のネコの姿で......

 何故、朋也がネコの志麻君の想いを夢で見る事が出来たのか....それは朋也がもっとも、あちら側の世界に近い人間だからなんでしょう。
 それにしても、ネコの姿に戻っても朋也を通して「美佐枝さんに幸せになって欲しい」という想いを伝える志麻君は本当に良い奴過ぎます。
 志麻君の想いを知って「私ももう一花咲かせるかな」と笑顔を浮かべる美佐枝さん。
 いやもうぜひとも幸せになってください。

 ところで、原作ゲームで秋祭りのシーンってありましたっけ?
 どうにもこのあたりがうろおぼえなんですよ。
 そもそも、美佐枝さんが自分の側にいるネコが志麻君であることを知る場面があったかどうかすら覚えていないんですよね。
 う〜ん、どうだったかなぁ...このあたりは京アニのオリジナルのような気がするんですが....,,ま、違っていたら単なるボケだと思ってください(^^;)。

 そ〜いや、今回ちゃんと芳野さんも登場していましたね。美佐枝さんとは同学年ではなく、1年先輩(それも生徒会にとっては迷惑な)だったのか。
 そして、公子さんはこの当時から先生だったんんですね。ということは、公子さんと芳野さんとは教師と教え子で結婚しちゃったってことになるわけで....つ〜か、それじゃぁ今公子さんは何歳なんだ?
 まぁ、このアニメには高校生の娘がいるのに17歳を名乗ってしまう人がいるのだから、それは大した問題じゃないか(^^;)。

 しかし、今回の『美佐枝シナリオ』で一番の名脇役はなんといってもサキユキの二人ですよね。美佐枝志麻君が付き合うようになったのもこの二人の尽力があったからこそだし、何よりも志麻君に女装をさせた張本人がこの二人なのですから.....(^^;)。
 

第7回『彼女の居場所』 2008/11/14放送

 原作ゲームでヒロインの一人でありながら、アニメ第1期ではヒロインの座からはずされてしまったという悲惨な経歴を持つ『ゆきねぇ』こと宮沢有紀寧嬢ですが、第2期にしてようやく彼女の単独ストーリーが放送されることになりました。たった2回とはいえ、第1期で悔し涙にくれたゆきねぇファンにとっては、きっと感慨深いものがあるに違いありません。

 今回と、そして次回のストーリーを通して第1期から彼女が見せていた、誰に対しても分け隔てなく(あの春原に対してさえ)優しく接する姿勢が、どこから生まれてきたものなのか、そして何故あの儚げな雰囲気を持つ少女が、見るからに厳つい漢達から『ゆきねぇ』と慕われるのか、その謎が明らかになるはずです。

 有紀寧とその兄で最強伝説を持つカズトが属するグループのメンバーが集まる店は、有紀寧曰く「家庭に居場所の無い者達が集まる場所」......ということは、もし朋也春原達と出会っていなかったら、彼自身もそこにいた可能性もあるというわけです。家族と和解する前の智代もまたその1人だったかもしれません....いや、人とつるむことを良しとしない一匹狼の智代は、対立する二つのグループ双方と単独で戦っていた可能性の方が高いかな?となると,朋也vs智代の戦いも有り得たわけで....これはこれで面白かったかもしれません

 さて、原作ゲームと一番異なる点ですが、それは朋也有紀寧の間に恋愛関係が無いというところです。朋也が恋人同士になった後ですから、それはやはり無理というものでしょう。何しろ朋也はあの溜まり場に行くときすらも一緒に行っちゃうくらいですからね。
 確か原作ゲームではカズト朋也と雰囲気が似ているという設定だったけれど、アニメでは有紀寧本人の口から「自分と似ている」ということで、ここでまた念入りに朋也との恋愛フラグを消し去っています。
 ということは、このストーリーのメインとなるのはやはり家族の関係になるのでしょうか。

 そ〜いや、春原カズトと勘違いした(これは春原自身がまいた種ですが)対抗グループの面々が朋也達を襲ったとき、それを一撃で倒したのは夜間見回り警備中の智代だったのですが、彼らは智代がかつて不良達を恐怖のどん底に突き落とした最凶少女だったことを知らなかったのでしょうか? もっとも、あまりにも智代の攻撃が早すぎて、自分たちが誰にやられたかわからなかったという可能性が高いんですけれどね。
 

第8回『勇気ある闘い』 2008/11/21放送

 『ゆきねぇシナリオ』も今回で終了。2話で完結とは短い気がしないでもありませんが、ゲーム本編のヒロインの中では一番短いシナリオでしたから、これもまぁいたし方の無い事かもしれません。
 正直、個人的にはゲーム本編の中では一番印象の薄いシナリオだったので、あまり期待はしてなかったのですが、さすがは京アニ、適切かつ絶妙な調理で見事な一品料理に仕上げてくれました。京アニ版アニメの方が、ゲーム本編よりずっと出来が良いのではないでしょうか(いやもちろん、これは個人的な感想なんですけれどね)。

 前回「智代にやられた4人は自分たちが誰にやられたかわからなかったのではないか」と書きましたが、実際に気がついてないようで「そんなに強い人間はこの町にはカズト以外にいない」ということになり,抗争はますます悪化の一途をたどります。 それにしても『智代とまともに勝負できるのはカズトだけ』って...どれだけ強いんですか、智代さん(^^;)。その智代さんが伝説の少女だった時代にカズト達のグループと争った様子が見られないは、逆をいえば彼らが世間に害をなすグループでなかったという証拠といえるかもしれません。

 この抗争は最終的には頭同士のタイマン(一対一のガチンコ勝負)で雌雄を決することになるわけですが、有紀寧達のグループの頭であるカズトは入院中ということで、その代理としてタイマンに挑む事になったのが、対抗グループからカズトと誤解を受けていた春原
 何故春原がそれを断らなかったのかといえば、頼まれると断れない性格である故かもしれませんが、ここで断れば有紀寧達のグループからボコられるし、タイマン勝負をすれば相手のリーダーである佐々木からボコられるし、どうせボコられるならカッコいい方を選ぼうと思ったというのが正しいのではないかと....

 タイマン勝負当日、緊張する春原達にが取り出した早苗さんからの差し入れとは、あのレインボーパンを凌駕した『ハイパーレインボーパン』....「うぉっ、まぶし!」とばかりに光り輝いております。さらに取り出したのが、早苗さんの友人が作ったという究極のジャム。その色って....その色って.....もしかして、あのA子さんお手製の『謎ジャム』なのか?
 「最強のコラボ」って、そりゃそうでしょう、殺傷力から言えば...
 当然ながら『最強のコラボ』を口にした春原&宮沢グループの皆様は、即死されてしまいました(いや、気を失っただけなんだけれどね(^^;)。

 そんな間の悪いときに佐々木登場。宮沢グループの生き残りは早苗さんのパンの殺傷力を知っていた朋也のみ...
 ということで、佐々木vs朋也のガチンコ・タイマンの開始。不良とはいっても、学校をさぼる程度の朋也と、喧嘩慣れしている佐々木とでは勝負になるはずもなく、朋也佐々木からフルボッコにされます。
 しかし、ここぞというときには諦めるということを知らないのが朋也という男。何度倒されても起き上がり、佐々木に向かっていく姿は、さながらかつて一世を風靡した熱血マンガの主人公のようです。そ〜いや『智代アフター』でも同じようなシーンがありましたっけ...

 とはいえ人間の体力気力には限りがあり、ついに朋也が動けなくなったところに現れたのが伝説の男カズト
 伝説の男の割には華奢な身体だな...と思ったら、その正体は有紀寧でした。
 実は有紀寧の兄カズトは交通事故ですでにこの世を去っていたのです。しかし歯止めであったカズトの死が知られたら、佐々木達のグループとの全面戦争は必至。ということで、カズトは入院しながらも宮沢グループの頭として存在しているというシナリオを作ったというわけです。
 「何故そこまでするんだ」という佐々木の問いに、「争いを止めるためだろ!」と怒りの声を上げる朋也は漢ですねぇ。

 後日、カズトの墓の前で手を合わせる佐々木グループと宮沢グループ。やっと、有紀寧の願いが届いたのか、そこに光の玉が現れます。
 『美佐枝シナリオ』でも光の玉については触れられていましたが、現実世界に光の玉が現れるのはこれが初めてではないでしょうか。
 そして、有紀寧の口から語られるこの町に伝わる光の玉にまつわる伝承。これでいよいよ幻想世界と現実世界のシンクロが高まってきたという印象を受けますね。

 次回から本格的に『アフター・ストーリー』が始まるのでしょうか。
 それを思うと期待とともに胸の痛みを感じずにはいられません。

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