向日葵日記

初夏
罪を犯すと『特別な義務』を負わされる社会。
罪人を更正指導する『特別高等人』という職業を目指す主人公・森田賢一は,その最終試験のため,とある田舎町を訪れる。
『一日が12時間しかない』『大人になれない』などといった義務を負う少女たちと学園生活を送るが,
『恋愛できない』少女・夏咲と出会ってから,賢一の歯車が狂いだす。
崖にひっそりと建てられた自分の墓,山間洞窟に隠された父親の遺産が次々と賢一を追い詰めた。
贖罪を問われることになった男が見た車輪の国の真実とは....。
重厚な世界観を軽妙なタッチで描いた感動のヒューマン・ドラマ。

【ケース裏解説文より】

 『車輪の国,向日葵の少女』は2005年にあかべぇそふとつぅから発売されたゲームです。シナリオが素晴らしいと評判になり,『ゲーム乱舞界』の2005年人気投票でも第3位にランク・インしています。というわけで,以前から気になっておりAmazonで『初回限定版』を注文したんですが,出荷予定が過ぎてもなかなか届かないな...と思っていたら,突然『入荷しません』とメールが来てキャンセルされちゃいました。で,仕方なしに『通常版』を注文しなおして,ようやく届いたというわけです。
2月22日

 我が家の恋愛ゲーム専用機,Sony Vaio PCV-J12にインストール。3GB必要ということで,インストールにかなり時間がかかりましたが,なんとか無事にインストール終了。
 が,しかし,『対応OS』に『Windows Me』の名前が見あたらないじゃないですか...そうなんです。実は我が家の恋愛ゲーム専用機は未だに『Windows Me』なんですよね。
 でもまぁ『windows 98』も対象なんだから,きっと『Windows Me』だって動くに違いない(^^;)と試しにやってみたら...あ,ちゃんと動きました!
 とはいえ,オープニング・ムーヴィーはぶつ切りなんて言葉が生やさしいくらいに酷い状態で,どんな曲なのかわからないくらだったんですけれどね(^^;)。

 というわけで,とりあえず『第1章』終了。

 まずは主人公(森田賢一)の自己紹介から始まるのですが,彼のあまりにもの饒舌ぶりに呆れてしまい,最初はどうしようかと思っちゃいましたよ(^^;)。
 何しろ自称『完全超人』で「7歳の時近所のアブナイお兄ちゃんに監禁され10歳で北の国に連れて行かれ13歳で新興宗教に入団,15歳でSM小屋に入って調教される。」という過去を持つというんですから,なんだ,こいつは?って思ってしまいますよね。
 しかも,父親が覆面レスラーで「車道に飛び出してきた幼女を庇って星になった」って...タイガーマスクじゃないんだから(^^;)。

 このゲーム世界は『日本』ではない別の国の話で,『日本』はSF小説の中に出てくる国となっています。
 なのに「罪を犯すと『特別な義務』を負わされる社会」という以外は生活習慣その他はほとんど『日本』そのものなんですよね。

 そして,このゲームに出てくる3人のヒロインはそれぞれ『義務』を持っているのです。
 『異性間接触の禁止(恋愛できない義務)』を持つ日向夏咲(ひなたなつみ)。
  主人公(異性)との接触を極端なまでに恐れ,主人公のことを「森田くん」又は「森田さん」と呼ぶ。ぼーっとしていることが何よりも好きで,誰かの帰りを待っているらしい。口癖は「どもどもです」。
 『一日12時間の義務』を持つ三ツ廣さち(みつひろさち)。
  元気印の少女。数学は得意だが国語は苦手,主人公を『モリケン』と呼び,住処のない主人公を自分の部屋に同居させる。
 『親権者に絶対服従の義務』を持つ大音灯花(おおねとうか)。
  真面目な学級委員だが,うっかりミスが多い自爆タイプ。いじられやすい性格だが,いじられることが大嫌い。主人公のことを『森田賢一』とフルネームで呼ぶ。
 しかし,何故彼女達が『義務』を負うようになったのか,その理由は『第1章』では明らかになりません。

 その他のキャラとしては
 主人公の教官で町の『特別高等人』でもある法月将臣
 灯花の母親でクラス担任でもある大音京子
 さちの同居人でスーパーで働く異民の少女まな
 自称『童話作家』でつかみどころのない性格の卯月セピア(本名は磯野君)。
 といったところが重要な役割を担っているようです。

 それにしても,法月将臣という人は恐ろしい人ですね。
 登場したときは「ああ,この人は主人公のライバルになる人なんだな」と思わせた南雲えり嬢を,集合時間に遅れたというだけの理由で射殺しちゃうんですから....これには吃驚しちゃいましたよ。
 個人的には磯野君が良いですね。彼の斜めにずれた発言は実に笑い所が多くてGoodです。
 しかも,それが天然なのか,それとも計算したうえのものなのか判断がつかないところがまた良いんですよね。

 『第1章』は『恩赦祭』(その日一日だけ義務から離れることができる日)の夜に賢一夏咲さち灯花セピアの5人で行ったパーティーのために賢一法月から手酷い体罰を受け(実はこの年から『恩赦祭』は廃止になっていたのです),その後で賢一夏咲の保護観察官となり,そして何故か法月の命によりさちの保護観察官となったところで終了。

 この時点で夏咲がその帰りを待ち,そしてさちセピアが裏切り者として憎んでいる樋口ケン森田賢一その人であることが明らかになります。

 余談ですが,このゲームには「ケツの穴に手ぇつっこんで奥歯ガタガタ言わせるぞ」とか「キックオフ視線」とか,今の若い人にはわからない言葉が何気なく出て来るのですが,Old Gamerにとっては嬉しいネタですね。
 

3月1日

 『第2章』終了

 『第2章』は三ツ廣さちの物語....ではなく,さちまなの『姉妹』の物語でした。

 三ツ廣さちがネットカジノで作った借金の免除と引き替えに『生活時間制限』の義務を負い,それでも働こうとしなかったため,制限時間がどんどん縮められていった,という経緯を知った時には,正直しょうがねぇ娘だなぁ...と,思いましたが,どうにも憎めないところがあるんですよねぇ...この娘は...
 そして,さちと一緒に暮らす異民の少女まな。この娘がまた実に良くできた娘で,もしかしたらこのゲームに出てくる女性の中で一番強い心を持っているんじゃないか...と思ってしまうくらいです。彼女が夜スーパーで働いている理由がまたなんともいじらしいんですよね。

 さちに誘われて,父樋口三郎が洞窟に隠したという宝を探しに行く賢一
 洞窟の中では,さちが岩の隙間に落ちて身動きがとれなくなったり等アクシデントがありながらも,無事にお宝をゲット。
 お宝はダイヤモンドと樋口三郎のメモに添付されていたメモリ。
 そしてそのメモにはケン宛のメッセージとして「(この社会に違和感を覚えるときが来たのならば,このメモリの中を閲覧しなさい)(パスワードは璃々子に預けた)」と書かれていたのです。

 宝探しから帰った後,さちから一緒に風呂に入ろうと誘われる賢一
 この時の選択肢でさちを選ぶとHシーンへ突入。ううむ,なかなか早い展開ですね(^^;)。

 さちはそのダイヤを売った金で自分の義務を解消しようと思っていたのですが,そんなとき,法月から「まなは南方の王国に移住し,宮内庁に雇用されることになった」と告げられてしまいます。実は売られたも同然なんですけれどね。
 しかし,それ以上の金額を払えばまなを取り戻すことが出来る,と聞いて,ダイヤを換金した金でまなを助ける決意をするさち

 さて,まながスーパーで働いていた理由ですが,それはさちに画材を買ってプレゼントするためだったのです。さちはかつて権威ある賞をとったほどの絵の才能のある少女なのですが,その受賞作が巻き起こした盗作騒ぎに傷つき,絵筆をとらなくなってしまったという過去があります。まなはかつてさちが描いた絵の大ファンであるとともに理解者であり,さちになんとかまた絵を描かせたいと考えていたのです。
 ところが,まなから画材をプレゼントされたさちまなに罵詈雑言をあびせます。
 しかし,「このままじゃいけないとわかっていながら踏ん切りがつかずにずるずると今まで過ごしてきた」という気持ちもさちは持っていたのです。

 そんなとき,まなを取り戻す金額が上がりダイヤを換金した金では足りなくなってしまいます。
 一度はその金で自分の義務を解消しようとするさちですが,「まなを助けるためには一生働いてもいい」と本音を叫びます。
 その言葉を聞いた賢一さちの描いた絵を高額で買い取り,その金でまなを救うこと法月に告げます。

 一度はまなのために絵を描く決意をしたさちですが,長年描いていなかったせいもあり,またまなの期待からのプレッシャーもあって,まったく何も描けない状態が続きます。
 賢一は手を抜いた絵を描いたさちの時間を10時間にし,続いて雨の日に絵を描きに行かなかったさちの時間を8時間にしてしまいます。実はこれも賢一の作戦のひとつだったんですけれどね。
 これですっかり投げやりになってしまったさちを見たまな
 「まなが出て行くから気にしないで絵を描いてね」
 「お姉ちゃんががんばって描いた絵なら,まな,なんでもうれしいよぉ」
 「まなのお姉ちゃんはすごいんだよ」
 と言い残してさちの部屋を出ていってしまいます。

 ようやく本気になって絵を描く決心をしたさちは,体調不良にも弱音を吐くことなく『向日葵とまな』の絵を描き続けます。
 しかし,制限時間になっても絵を描き終えることができなかったさち。このときになって自分がいかに時間を無駄に使っていたかを悔やみます。そんなさちに引き続きを描かせる賢一。以前さちから削った時間をここで充当したのです。
 そこに
まなを連れて法月が登場。厳しいことを言いながらも結局は賢一の越権行為を許します。
 う〜む,
法月というのは実は良い人なのか.....いやいやこれも法月の想定内のことで,賢一法月の手のひらで踊らされているだけなのかもしれません。

 腕が動かなくなっても描き続けたさち...しかし絵は完成しなかった。
 自分が
さちの元を離れなければならなくなるのがわかっていながらも,泣きながら
 「絵を買ってはだめ。甘やかしてはだめ」
 「賢一みたいに優しい人は,ときどき人をダメにするんだよ」
 と言う
まな
 
さちもまた「その優しさだけは受け取れない」賢一の購入の申し出を断ります。
 これは
さちまなの二人で話し合って決めたこと。

 法月に連れられて去って行くまなを「行ってらっしゃい」と送り出すさち
 もちろん,この後
さちは号泣しちゃうんですけれどね....。

 と,感動したと思ったら....
 やっぱり,
まなに関わる一連のことは法月が仕組んだことだったのです。
 いやぁ,ますます
法月のとっつあんのことがわからなくなってきましたよ。

 謎といえば,セピアこと磯野くんは本当に謎が多い人です。
 どうも彼の不可解な言動は意識してやっていることのように思えるんですよね。
 そして,
賢一がケンであることもわかっているんじゃないでしょうか?
 

3月5日

 『第3章』終了

 『第3章』は大音灯花大音京子の『母子』の物語でした。

 冒頭は賢一が幼い頃,姉璃々子から与えられた試練の思い出から始まります。
 水泳,木登り,肝試し....そして何故かロウソク責めまで...
 お姉ちゃんのちょっとアブナイ性格が良いですね(^^;)。
 「健は私のもの....たとえ私が極刑を負ったとしても,ずっとずっとそばにいるからね」
 と言う
璃々子
 「強くなって,お姉ちゃんを助ける」と約束する
ケン(賢一)

 それにしても,肝試しイベントにおける璃々子の台詞の
 「捜し物は何ですか?」
 「それは見つけにくいものですか?」
 「かばんの中も机の中も捜したけれど見つからないのよ」
 ....って,夢の中にでも行ってしまうつもりだったんでしょうか.....(^^;)(^^;)。

 京子灯花の大音母子は内乱の混乱を避けてこの僻地の町に引っ越すまで都会に住んでおり,別れた灯花の父親は現在でもその都会に住んでいるらしいのですが,京子灯花に父親のことについてはまったく話そうとはしません。
 それだけではなく,灯花に『大人になれない義務』を負わせた理由すら賢一に話そうとしないのです。
 
灯花自身,何故自分に義務が科せられたのか,その理由がわかっていません。
 ただ,一方的に『義務』の名の下に灯花の自由を奪っているようにしか思えない京子ですが,灯花が風呂場で眠ってしまっただけで心配したり,灯花が昔修学旅行のお土産に買ってきたナイフを大切に持っていたりもするのです。
 「負け犬」という言葉に異常に反応したり,どうやら京子さんは精神的に危うい面もあるようです。

 父親から届いた手紙を京子が破り捨てたことが原因で家出をする灯花
 州境にある検問所から逃げ出した灯花は,あやうく射殺されるところ,向日葵畑の中で賢一に助けられます。
 それまで『森田賢一』とフルネームで呼んでいた
灯花が,このとき初めて『けんいち』と呼ぶのですが,その様子が実に可愛らしいんですよねえ。
 しかし,無事に帰ってきた灯花に対して京子は『外出禁止』と『友人との会話の禁止』を言い渡します。

 参加者の中には死人も出るという『親権者適正研修』。
 その研修に京子が参加しないですむためには,灯花の『認知証明書』が必要。
 しかし,法月の言葉に誘導されてしまった灯花は,「お母さんが研修に行くことを止めません」と言ってしまいます。
 後に残った賢一に「親権者が死亡する。自動的に義務が解消される。そして,森田の試験は次の段階に進む」「お前がいつまでも現状維持を続けるからこういう結末になったのだ」と告げる法月

 賢一宛に届けられた「戸籍謄本」には,京子灯花の母親ではないことが書かれていました。父親は京子の弟だったのです。
 そして,磯野が拾ってきた父親からの手紙を読んだ灯花は,それが京子灯花への悪意に満ちたものだったことを知り,賢一に助けを求めます。
 間一髪のところで
京子を助け出した賢一。それには,灯花が昔修学旅行のお土産に買ってきたナイフが大いに役に立ったのです。
 それにしても,賢一が南方戦線で半年生き延びたというのは本当なのでしょうか?

 実は,京子自身がかつて灯花と同じ義務を科せられたいたのです。
 政府高官の娘でありながら,親が異なるということで差別されながら育てられたという過去を持つ京子
 灯花京子と同じ境遇の弟の子供だったのです。しかし,その弟(父親)は,灯花に義務を負わせて好きなようにしつけていた。つまり虐待していたのです。そしてそのことが原因で実の親が親権を失ったために,灯花は義務を負ったままで京子に引き取られたのです。
 灯花の義務を解消する決意をする京子

 実質的には義務解除となった灯花ですが,京子は何故か灯花が台所で調理をすることを許しません。
 そして,京子自身が料理に対して何かしらのトラウマを抱えている様子。
 しかし,京子の突然の激甘親ばかぶりには吃驚ですね(^^;)。
 申請を済ませたのになかなか『義務解除の通知』が来ないと思っていたら,灯花の実の親から「実の母親から父親も反省しているのでいっしょに暮らさないか」という電話がかかってきたのです。父親は改心して現在では一流レストランのシェフをしているそうです。料理好きな灯花にとっては理想の父親像ともいえますね。
 義務の解消が遅れていたのは,灯花の親権をめぐって裁判所がごたごたしていたからなんですね。
 それ以来ぎくしゃくするようになってしまったた灯花京子

 そんなとき,法月賢一灯花を呼び出し,どちらの親を選ぶか決めろと告げます。
 あえて灯花を迷わせるようにする法月
 そして,賢一には3日以内に灯花にどちらの親を選ばせるよう告げます。

 どちらの親を選ぶか決められない灯花は,決定を賢一に委ねようとします。
 そこに,夜食にとお茶漬けを作ってきた京子(これは彼女が初めて灯花に作った料理なのです)
 彼女は灯花に「あちらの親に親権を返す」と命令します。そう,まだ義務は生きているので,灯花はこの命令に従わなければならないんですよね。
 「おかあさん」と泣きながらお茶漬けを食べる灯花

 京子の誕生日のために丹誠こめてシチューを作る灯花は,「お母さんに喜んでもらいたいから料理を作る」と話します。
 夕食の席で「灯花のやけどは京子が虐待でつけたもの」であることを暴く
賢一
 それを聞いて荒れる
京子は,せっかく灯花が作ったシチューをぶちまけてしまいます。
 実はシチューは
京子の料理に対するトラウマとなったメニューだったんですよね。
 しかし,
灯花は「おかわりあるから」と,何度京子からぶちまけられながらも,新たな器にシチューを入れて渡し続けます。それも優しい笑顔を浮かべながら....
 そして,
 「法律上私は向こうの子供になるけれど,私の居場所はここなの」
 「過去に嫌なことがあって,色々な人の心が傷ついて,それをいつまでも繰り返すなんて,もうやめよう」
 「みんなで仲良くしていこうよ。私は,みんなの子供なんだよ。だから,そのうちみんなで,食卓を囲もうよ」と語ります。
 彼女は『親を選ばないという選択肢』を選んだのです。
 それを聞いて
 「あなたが必要なの」と泣く
京子

 と,一応のハッピー・エンドを迎えたわけだが....
 これも
法月の仕組んだものだったのか?
 

3月8日

 『第4章』終了

 『第4章』は日向夏咲賢一の物語でした。いや,正確には日向夏咲樋口健の物語と言ったほうがいいですね。

 冒頭は夏咲の幼い恋心が描かれています。
 7年前の
夏咲はぼーっとしているのが好きであることは変わらないけれど,明るくて前向きな少女で,とても現在の夏咲と同一人物とは思えません。
 
磯野も少しアブナイ傾向はあるにせよ,大人びて達観したようなところがある少年で,これまた現在の磯野と同一人物とは思えません。
 少しも変わらないのは,当時から女王様気質だった
さちだけかもしれませんね。
 平和な町がある日突然戦場となり,生き残った人達は洞窟の中に隠れて暮らすようになります。
 食料が尽きてきたため,
さち磯野と3人で食料を探しに出るのですが,軍隊を見つけて慌てて木から落ちたさちは腰をうって動けなくなり,それを助けようとした磯野も動けなくなってしまいます。一人動けるが洞窟まで助けを求めに行くことになるのですが,途中「樋口三郎のこどもを見つけ次第射殺しろ」という軍人達の話を聞いて恐怖におののき,一人で誰も知らない洞窟に逃げ込み,そしてそのまま坑道を通って逃げ出してしまったのです。
 逃げ出してきた
に「これまでの無価値な人生を捨てて社会に貢献しろ」と言う法月法月によって樋口健森田賢一になったのです。

 ここから現在の夏咲の物語になるのですが,人の話を聞かないし,会話は噛み合わないし,視線を合わせただけで怖がるし,と,さすがの賢一もどうやって手を付ければ途方にくれる状態でした。
 周囲から自分を切り離すようにして,注目を避けようとしている
夏咲は,自ら考えることも放棄してしまっている様子。そのうえ自ら義務を解消させたいとは思っていないようだから,ほんとどうなることやらと思ってしまいました。

 崖から落ちそうになる夏咲を助けようとして自分が崖から落ちてしまった賢一
 
賢一が助けを求めても,「無理です」と拒絶するなんて,ほんと酷いよ夏咲ちゃん(^^;)。
 夢の中で
夏咲と初めて向日葵畑で出会った頃のことを思い出す賢一
 こどもの頃は恐がりで,いじめられそうだからと学園を休んでいた
が学園に通えるようになったのは夏咲の力によるものが大きいのです。
 ところが
夏咲との関係に焼き餅をやいた佐久間によってはまた登校拒否になってしまうのです。そ〜いや,この佐久間ってのは,夏咲が義務を負う原因を作った奴ではないですか....う〜む,こんなやつは小学生のうちに始末しておくべきでしたね(^^;)。
 そんな
を助けたのもまた夏咲でした。家に閉じこもったままのを一晩中外で待っていた夏咲
 「わたしね,ケンちゃんがいいんだよ」
 「好きかも,えへへ」
 「これからはなっちゃんとよんで」
 だなんて,まったく可愛いたらありゃしないじゃないですか!

 結局賢一は大した怪我もなく助かったのですが,これを機に夏咲の態度がかなり軟化し,それまで一緒にとらなかった食事を一緒にとるようになったり,普通に会話をするようになってきたのです。

 それにしても,身に覚えのない罪(完全な冤罪です)のために,3ヶ月も拘留されて尋問を受け自白を強要され続けたら,誰でもおかしくなっちゃいますよね。すっかり精神的に壊されてしまった夏咲は結局罪を認めてしまうことになるのですが,それ以後の夏咲の生活もまた災難続きだったのです。
 両親と住んでいた家は借家になり,叔母から家を追い出され寮に押し入れられた
夏咲は,学園に通うようになっても,机が人に触れないように少し離されたり,信じようと決めた女の子から裏切られたり....それに追い打ちをかけるように,完全に孤独だった夏咲を助けてくれた寮の管理人のおじさんからもセクハラを受けてしまうのです。これでは夏咲が人を信じられなくなりのも当然です。

 そんな夏咲に自分が樋口健であることを告げる賢一
 最初は「ケンちゃんの知ってる私はもういなくなっちゃったんだよ」と,受け入れようとしなかった
夏咲ですが,「なっちゃんが,いいんだよ」とかつて夏咲から言われた言葉を返す賢一を受け入れます。
 これで安心した
賢一は義務解消の書類を作るのですが,法月は「児戯に等しい」と突き返し,夏咲賢一に好意を抱いている限り,一生義務が解消されることはないと告げます。
 その話を聞いて,心を閉ざし,
賢一に嫌われようとする夏咲
 それにさらに追い打ちをかけるように,
法月夏咲に両親が強制収容所で死亡したことを告げます。
 そして,
賢一には「日向はお前の力の及ばない不慮の事故で死んだ。それは減点の対象にはならず,お前は試験に合格する」と告げます。
 いやぁ,相変わらずとっちゃんはやることがえげつないです(^^;)。

 一度は死を選んだ夏咲ですが,
 「なっちゃんは強い。だから簡単に命を投げ出したりしない。俺はそう信じてる」という
賢一の言葉に
 「信じるなんて言われたら,裏切れないじゃないですか」と自ら命を断つことをやめます。
 そして,部屋に戻った後
 「さわったら,さわられたらダメなのに,好きになったらいけないのに」
 「それでも,そばにいてほしいんだよ」
 と叫ぶ
夏咲を,賢一はそれが重大な義務違反であると知りながら抱きしめてしまいます。

 翌朝,突然法月夏咲の部屋にやってきます。
 命ぜられるままに二人が学園まで行くと,
法月は「賢一に恋愛感情を抱いていない。」と言う夏咲に対してそれが本当であるかどうかを試すと告げます。それは賢一でさえ乗り越えることができなかった試練。
 6時間以上「好きじゃないです」と繰り返し,ようやく
法月から合格を言い渡されたとき,夏咲はすっかり壊され,「嫌い...ケンちゃんなんて嫌い...みんな嫌い...」と繰り返すようになってしまいました。
 そんな
夏咲賢一を牢獄に連れていった法月は,賢一に「きさまは義務を犯した」と怒りつけます。
 なんと,
夏咲達3人の少女の新しいバッチには盗聴器がしかけてあったのです。なるほど,だから法月賢一と少女達が言ったこと行ったことを知っていたんですね。
 
賢一に「法を犯したのか」「どうなんだ」と詰め寄る法月
 その時,
夏咲賢一の手を握り
 「私が罪を犯したんです」と告げます。
 笑顔で「小さい頃からずっとずっと,ケンちゃんのことが,大好きでしたから」と叫ぶ
夏咲
 「強制収容所に送られるのだぞ」という
法月の言葉にも少しもひるまず,
 「最後に,自分の気持ちが伝えられて,それだけでわたしはうれしいの!」と答えます。

 必ず夏咲を助けると決意する賢一。
 というところで,『第4章』は終了。
 なんか中途半端な感じもしますが,それはこのまま『第5章』につながるからなんでしょうね。
 

3月10日

 『第5章』終了

 冒頭では法月に拾われた後の賢一の人生が描かれています。
 高等人の養成施設での過酷な日々。
 その段階が終了すると,今度は異民の住むダウンタウンに放置され,そこで危険と隣り合わせの日々を送ることに。ある日携帯電話の製造工場を経営する異民の男に拾われ,工場で働き始めた賢一は,やがて社長付きの秘書に抜擢され欲望を植え付けられてしまいます。実はこの社長もまた指導教官の一人だったんですね。
 南方戦線から帰った後,高等人になることから降りようと思った賢一の前に法月は極刑となった姉を連れて現れます。
 『極刑=世界から存在を認められない義務。』それは「誰とも目を合わせられず,人前で言葉を発することも,人に触れることも許されない。目線を合わせた者,話しかけた者,触れた者も同罪で強制収容所に送られる」という,まさに『極限の刑』。
 賢一が高等人になったら姉璃々子の監督を任せてもらえるように取りはからうと告げる法月
 それこそが賢一が高等人になることを決意した最大の理由なのです。

 夏咲の安否は不明。
 身柄を拘束され夏咲の部屋で謹慎を命じられていた賢一は,見張りの治安維持警察の男を倒して脱出。
 追われる身となった賢一を助けた磯野は,彼を自分の隠れ家に連れて行きます。そこはかつて賢一の家があった場所。
 出会った時から賢一樋口健であることに気付いていたと話す磯野
 本来なら連座制でひどい義務を負わされるところだったが,狂っているので許されたということですが,これは演技だったんでしょうね。
 また,前髪を伸ばしているのは「傷を隠しているから」...ということですが,本当にそれだけなんでしょうか?

 しかし,法月からは「3日後,夜9時に日向夏咲の公開処刑を行う」と携帯電話で告知を受けてしまいます。

 えええっ!なんと,そうだったんだ!
 この町で璃々子がいつも賢一のそばにいたとはね...
 賢一が「あんた」と呼びかけていたのは璃々子であり,独り言が多いのも,実は璃々子に話しかけていたってことなんですね....いやぁ,ームのある種のお約束毎を逆手に取るとは....なかなかやってくれます。当然,「お休み,お姉ちゃん」というのも単なる独り言じゃなく,すぐそばに璃々子がいたってことなんですね。なるほど,だから賢一灯花の家ではソファでなく床に寝ていたのか....

 「手を貸そうか」とクールに告げる璃々子。
 いやぁ,姉さん格好良過ぎです!
 磯野に「あなたとはどこか気が合いそうだと思ってたのよ」と話す璃々子
 それを聞いて,最悪のコンビが誕生した予感がする賢一....いや,そりゃ確かにそうなんですが...(^^;)。
 賢一夏咲の家にいるときは灯花の家にいたという璃々子ですが,実は灯花璃々子は以前から知り合いだったそうです。
 その灯花も行方不明で,さちも治安警察に追われていると話す璃々子
 そして,なんと法月夏咲を断頭台にかけるともりとのこと....

 メモリを読み出そうとしたらパスワードを忘れてしまったと言う璃々子
 「どんまい,わたし」じやないでしょう(^^;)。いや,確かに姉さんらしいといえば姉さんらしいんですけれど...(^^;)(^^;)。

 璃々子といっしょにさち灯花を探しに行く賢一
 向日葵畑で向日葵の絵を描いていたさちを治安警察に捕まる寸前に助け,隠れ家へ...そこで賢一は,自分が樋口健であることを告げます。
 「まぁ,好きになっちゃったからしょうがないよね」...って,いかにもさちらしい台詞ですよね。
 翌日,検問所で「この町にモノを入れてよ」と抗議している灯花も隠れ家へ連れていきます。
 賢一璃々子の弟で樋口健であることを知り混乱する灯花
 それにしても,「でこでこでこり〜ん」のギャグや「ぶっ殺すぞ」は璃々子灯花に教えたものだったとは....灯花の性格がねじ曲がったのはお姉ちゃんのせいだったんですね(^^;)。

 灯花の言葉で38桁のパスワードを思い出した璃々子
 メモリの中には特別高等人のIDデータから機密の暗号鍵,国家の機密まで入っていたのですが....まさか法月樋口三郎の学友だっとはね....

 極刑という7年間の孤独に耐えた璃々子。
 彼女は大学で学んだことを基礎にこの7年間で社会の破り方を学んだと語ります。
 しゃきっとしなさい。いま,ここにあなたと私がいるでしょう?救いたい仲間がいるでしょう?それ以外にどんな現実があるというの?」と賢一に活を入れる璃々子

 彼等が立てた夏咲救出策戦とは
 まず,さち灯花璃々子法月の注意をひき,その隙に賢一が幽閉されている夏咲を助けに行く。
 そして,磯野夏咲の安全を確保した後,賢一法月と戦うというもの。

 公開処刑のおふれを治安警察の男が述べた直後,さちが前に出て不満の声を上げ,磯野は爆弾を持っていると言って処刑台に近付く。そのとき,学園の屋上から向日葵が描かれた大きな幕が下ろされ,璃々子が屋上から観衆にメッセージを送り始めます。
 自分がこれまで見てきたこと聞いてきたことを話す璃々子に,町の人々は徐々に耳を傾け始め,やがて一部の人々は暴徒化しはじめたのです。

 「たとえ何度踏みつぶされようとも,向日葵はまた,太陽へ向かって花を咲かせるのです」と璃々子が話したとき,「ならばもう一度踏みつぶせばよい」と屋上に法月が現れ,璃々子に銃口を向けます。
 が,しかし,屋上にいたのは璃々子ではなく灯花だったのです。実は璃々子は下の放送室で話していたんですね。そして,これは灯花が自分で決めたことだったのです。
 しかし,法月は「概ね予定通りか」と言って灯花に何もせず屋上から姿を消してしまいます。

 この隙に夏咲を助け出し磯野に委ねた賢一の前に法月が現れ,銃口を突きつけます。
 一瞬の隙をついて拳銃をたたき落とし,法月の弱点である左側から攻撃する賢一
 しかし,法月に不意打ちをくらって倒されてしまいます。
 なんと,左足を引きずっていたのもフェイクだっとは.....とっつぁん,あんたって人は....(^^;)。
 「お前の負けだな」という法月の言葉を聞きながら意識を失う賢一

 賢一が意識をもどすと,そこは牢獄の中。しかも両手を鎖で繋がれているじゃないですか。
 さち灯花璃々子夏咲もいっしょ。磯野は不明。

 そこに現れた法月は,「人間が身体という器に支配されているから。どんな崇高な人間でも,殴られた瞬間には『痛み』だけに支配される」と言って,璃々子に暴力をふるいます。
 「弱さという種に,暴力という水をじっくり撒いて,慎重に,花を愛でるように,時間をかけてゆっくりと,貴様らを更正させてやる」と言って部屋を出ていく法月

 「樋口三郎とここ(牢獄)に5年いた」「三郎も青年時代一度屈したのだ」と話す法月
 彼は「この中で一番弱いのは森田だ」と言い放ちます。それは賢一がドラッグをやっていたから....
 そんな法月に,「1ヶ月でここを抜け出す」と宣言する賢一

 しかし,しだいに弱っていく賢一たち。
 特に法月から激しい暴力をふるわれる璃々子の衰弱が激しい。
 痛めつけられる璃々子の姿を見て「頼む,やめてくれ」と叫ぶ賢一。
 しかし,法月は「こうして,大切な人間を生かさず殺さず痛めつけ,ゆっくりと,人間の意志とやらがくじけるのを待つとしよう」と言って去っていきます。

 ドラッグの禁断症状に苦しむ賢一は,牢獄に入れられてから1ヶ月目,自分を信じてくれると言う少女達の前で法月に屈してしまいます。
 が,しかし!賢一のドラッグもまたフェイクだったんですね。
 賢一が吸っていたのはドラッグではなくただのハーブだったとは....う〜む,役者だのう....
 法月を倒し(ただし殺しはしない)牢獄を脱出する賢一たち。

 さちを先頭にかつて賢一が逃げ出した洞窟の中を進む一行。
 かつて使った坑道は土砂崩れで崩れていたが,縦穴に何故かハシゴが下がっていた。そして,頭上から聞こえるのは磯野の声。ああ,彼も生きていたんですね。
 さち灯花夏咲の順で無事に登りきるが,その後で何故かハシゴが落とされてしまいます。しかも呼びかけても何の返答もなし。
 璃々子を背負ったまま自力で縦穴を登る決意をする賢一
 銃で撃たれて怪我をしているため,途中意識を失いそうになりながらも,なんとか登り切ることができた賢一ですが,目の前には....ああ,やっぱり法月の姿が。
 ところが,「お前は牢獄で私を破った。そして今私のもとを離れていく。それだけのことだな」「三郎の遺産は息子に返さなければな」とメモリを返して法月は去っていってしまいます。

 そうか,法月はかつての親友である三郎の息子である賢一と娘である璃々子を彼なりに守っていたのかもしれませんね。でなければ,二人ともとっくに死んでいたかもしれません。

 『エピローグ』
 治安警察が去った後,賢一さちとともに生きていくことを告げてから5年後
 世界で最も権威のある文化賞の絵画部門にさちが選ばれ,その受賞後のパーティーに現れた,とある南方の国の王室主席秘書官,アンテリアム・ド・ムァヌー
 彼女こそ,あのまなの成長した姿だったのです。
 「こんな日が来るのを信じていましたから。それだけを夢見て,今まで生き抜いてきましたから」と語るまな
 こうしてさちとまなが再会を果たして,『さちルート』終了。
 

3月13日

 後は各ヒロインのエンディングの回収のみですが,どのシナリオもほとんど同じなんで,ひたすらスキップを繰り返さなければならないのが,苦痛でしたね。これはこの作品の一番の欠点だと思います。

 『さちバッドエンド
 教室でさちとHした後,法月から呼び出され,殺されてしまうというデッド・エンド。

 『灯花バッドエンド
 義務は解消になったが,学校にも行かず,すっかり自堕落な生活に堕ちてしまった灯花

 『灯花エンド
 1年後,都会に連行されていた京子は解放され戻ってくる。
 初めて両親を迎え緊張する灯花にキスをして落ち着かせる賢一だが,「家の中での限度はわきまえてね」と京子さんから釘を刺されてしまう。
 そこにやってきたのは父親...でわなく磯野だった...京子さんも磯野にはまんざらでない感じ...?
 実は磯野灯花の両親を案内してきたんですね。
 灯花が満面の笑顔で「めしあがれ」と言う場面で終了。

 それにしても,キスをしたり甘えたりしている時の灯花はヤバイくらいに可愛いですね。
 かとおもえば昼間はかなりツンツンしてるし,灯花は立派なツンデレです。

 『夏咲バッドエンド
 夏咲を助けることができず冷酷な高等人として生きる賢一

 『夏咲エンド
 1年後,夏咲と学園をサボって散歩ピクニック。
 バカップルな会話をする二人。
 「なんかね,とってもしあわせだよぉ...」
 その夜二人は初H。
 向日葵畑で夏咲が「私はケンちゃんが...だぁいすき」と抱きつく場面で終了。

 『璃々子エンド
 事務所のソファで璃々子と初H。
 賢一は特赦により義務が取り消しとなった璃々子と都会で暮らしている。
 この国を変えるべく大統領に立候補した賢一
 「おやすみ,健...ずっと私を守ってね」という璃々子の言葉で終了。

 このエンディングを見ると,法月が自分と三郎が果たせなかった『この国を変える』という夢を賢一に託していたようにも思えるんですよね。

 『ハーレム・エンド
 1年後,京子さんは連行されていた都会から戻ってきた。
 夏咲は自由になり,璃々子も特赦が出て義務が解消になる。
 さちは毎日絵を描いている。
 灯花は両親を招いて食卓を囲んだ。
 夏咲は毎日笑っている。 
 璃々子は都会に出る準備をしているが基本的には家にいる。
 4人のヒロイン達から誰を選ぶか詰め寄られる賢一
 そして,最後はこの4人の少女に囲まれて記念写真(カメラマンは磯野君)を撮る場面で終了。

 それにしても,「健の童貞は奪ったから」とさらりと嘘を付くお姉ちゃんって....(^^;)。
 やっぱり,個人的には璃々子お姉ちゃんがNo.1キャラですね!

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