『第5章』終了
冒頭では法月に拾われた後の賢一の人生が描かれています。
高等人の養成施設での過酷な日々。
その段階が終了すると,今度は異民の住むダウンタウンに放置され,そこで危険と隣り合わせの日々を送ることに。ある日携帯電話の製造工場を経営する異民の男に拾われ,工場で働き始めた賢一は,やがて社長付きの秘書に抜擢され欲望を植え付けられてしまいます。実はこの社長もまた指導教官の一人だったんですね。
南方戦線から帰った後,高等人になることから降りようと思った賢一の前に法月は極刑となった姉を連れて現れます。
『極刑=世界から存在を認められない義務。』それは「誰とも目を合わせられず,人前で言葉を発することも,人に触れることも許されない。目線を合わせた者,話しかけた者,触れた者も同罪で強制収容所に送られる」という,まさに『極限の刑』。
賢一が高等人になったら姉璃々子の監督を任せてもらえるように取りはからうと告げる法月。
それこそが賢一が高等人になることを決意した最大の理由なのです。
夏咲の安否は不明。
身柄を拘束され夏咲の部屋で謹慎を命じられていた賢一は,見張りの治安維持警察の男を倒して脱出。
追われる身となった賢一を助けた磯野は,彼を自分の隠れ家に連れて行きます。そこはかつて賢一の家があった場所。
出会った時から賢一が樋口健であることに気付いていたと話す磯野。
本来なら連座制でひどい義務を負わされるところだったが,狂っているので許されたということですが,これは演技だったんでしょうね。
また,前髪を伸ばしているのは「傷を隠しているから」...ということですが,本当にそれだけなんでしょうか?
しかし,法月からは「3日後,夜9時に日向夏咲の公開処刑を行う」と携帯電話で告知を受けてしまいます。
えええっ!なんと,そうだったんだ!
この町で璃々子がいつも賢一のそばにいたとはね...
賢一が「あんた」と呼びかけていたのは璃々子であり,独り言が多いのも,実は璃々子に話しかけていたってことなんですね....いやぁ,ゲームのある種のお約束毎を逆手に取るとは....なかなかやってくれます。当然,「お休み,お姉ちゃん」というのも単なる独り言じゃなく,すぐそばに璃々子がいたってことなんですね。なるほど,だから賢一は灯花の家ではソファでなく床に寝ていたのか....
「手を貸そうか」とクールに告げる璃々子。
いやぁ,姉さん格好良過ぎです!
磯野に「あなたとはどこか気が合いそうだと思ってたのよ」と話す璃々子。
それを聞いて,最悪のコンビが誕生した予感がする賢一....いや,そりゃ確かにそうなんですが...(^^;)。
賢一が夏咲の家にいるときは灯花の家にいたという璃々子ですが,実は灯花と璃々子は以前から知り合いだったそうです。
その灯花も行方不明で,さちも治安警察に追われていると話す璃々子。
そして,なんと法月は夏咲を断頭台にかけるともりとのこと....
メモリを読み出そうとしたらパスワードを忘れてしまったと言う璃々子。
「どんまい,わたし」じやないでしょう(^^;)。いや,確かに姉さんらしいといえば姉さんらしいんですけれど...(^^;)(^^;)。
璃々子といっしょにさちと灯花を探しに行く賢一。
向日葵畑で向日葵の絵を描いていたさちを治安警察に捕まる寸前に助け,隠れ家へ...そこで賢一は,自分が樋口健であることを告げます。
「まぁ,好きになっちゃったからしょうがないよね」...って,いかにもさちらしい台詞ですよね。
翌日,検問所で「この町にモノを入れてよ」と抗議している灯花も隠れ家へ連れていきます。
賢一が璃々子の弟で樋口健であることを知り混乱する灯花。
それにしても,「でこでこでこり〜ん」のギャグや「ぶっ殺すぞ」は璃々子が灯花に教えたものだったとは....灯花の性格がねじ曲がったのはお姉ちゃんのせいだったんですね(^^;)。
灯花の言葉で38桁のパスワードを思い出した璃々子。
メモリの中には特別高等人のIDデータから機密の暗号鍵,国家の機密まで入っていたのですが....まさか法月が樋口三郎の学友だっとはね....
極刑という7年間の孤独に耐えた璃々子。
彼女は大学で学んだことを基礎にこの7年間で社会の破り方を学んだと語ります。
しゃきっとしなさい。いま,ここにあなたと私がいるでしょう?救いたい仲間がいるでしょう?それ以外にどんな現実があるというの?」と賢一に活を入れる璃々子。
彼等が立てた夏咲救出策戦とは
まず,さちと灯花と璃々子で法月の注意をひき,その隙に賢一が幽閉されている夏咲を助けに行く。
そして,磯野が夏咲の安全を確保した後,賢一が法月と戦うというもの。
公開処刑のおふれを治安警察の男が述べた直後,さちが前に出て不満の声を上げ,磯野は爆弾を持っていると言って処刑台に近付く。そのとき,学園の屋上から向日葵が描かれた大きな幕が下ろされ,璃々子が屋上から観衆にメッセージを送り始めます。
自分がこれまで見てきたこと聞いてきたことを話す璃々子に,町の人々は徐々に耳を傾け始め,やがて一部の人々は暴徒化しはじめたのです。
「たとえ何度踏みつぶされようとも,向日葵はまた,太陽へ向かって花を咲かせるのです」と璃々子が話したとき,「ならばもう一度踏みつぶせばよい」と屋上に法月が現れ,璃々子に銃口を向けます。
が,しかし,屋上にいたのは璃々子ではなく灯花だったのです。実は璃々子は下の放送室で話していたんですね。そして,これは灯花が自分で決めたことだったのです。
しかし,法月は「概ね予定通りか」と言って灯花に何もせず屋上から姿を消してしまいます。
この隙に夏咲を助け出し磯野に委ねた賢一の前に法月が現れ,銃口を突きつけます。
一瞬の隙をついて拳銃をたたき落とし,法月の弱点である左側から攻撃する賢一。
しかし,法月に不意打ちをくらって倒されてしまいます。
なんと,左足を引きずっていたのもフェイクだっとは.....とっつぁん,あんたって人は....(^^;)。
「お前の負けだな」という法月の言葉を聞きながら意識を失う賢一。
賢一が意識をもどすと,そこは牢獄の中。しかも両手を鎖で繋がれているじゃないですか。
さち,灯花,璃々子,夏咲もいっしょ。磯野は不明。
そこに現れた法月は,「人間が身体という器に支配されているから。どんな崇高な人間でも,殴られた瞬間には『痛み』だけに支配される」と言って,璃々子に暴力をふるいます。
「弱さという種に,暴力という水をじっくり撒いて,慎重に,花を愛でるように,時間をかけてゆっくりと,貴様らを更正させてやる」と言って部屋を出ていく法月。
「樋口三郎とここ(牢獄)に5年いた」「三郎も青年時代一度屈したのだ」と話す法月。
彼は「この中で一番弱いのは森田だ」と言い放ちます。それは賢一がドラッグをやっていたから....
そんな法月に,「1ヶ月でここを抜け出す」と宣言する賢一。
しかし,しだいに弱っていく賢一たち。
特に法月から激しい暴力をふるわれる璃々子の衰弱が激しい。
痛めつけられる璃々子の姿を見て「頼む,やめてくれ」と叫ぶ賢一。
しかし,法月は「こうして,大切な人間を生かさず殺さず痛めつけ,ゆっくりと,人間の意志とやらがくじけるのを待つとしよう」と言って去っていきます。
ドラッグの禁断症状に苦しむ賢一は,牢獄に入れられてから1ヶ月目,自分を信じてくれると言う少女達の前で法月に屈してしまいます。
が,しかし!賢一のドラッグもまたフェイクだったんですね。
賢一が吸っていたのはドラッグではなくただのハーブだったとは....う〜む,役者だのう....
法月を倒し(ただし殺しはしない)牢獄を脱出する賢一たち。
さちを先頭にかつて賢一が逃げ出した洞窟の中を進む一行。
かつて使った坑道は土砂崩れで崩れていたが,縦穴に何故かハシゴが下がっていた。そして,頭上から聞こえるのは磯野の声。ああ,彼も生きていたんですね。
さち,灯花,夏咲の順で無事に登りきるが,その後で何故かハシゴが落とされてしまいます。しかも呼びかけても何の返答もなし。
璃々子を背負ったまま自力で縦穴を登る決意をする賢一。
銃で撃たれて怪我をしているため,途中意識を失いそうになりながらも,なんとか登り切ることができた賢一ですが,目の前には....ああ,やっぱり法月の姿が。
ところが,「お前は牢獄で私を破った。そして今私のもとを離れていく。それだけのことだな」「三郎の遺産は息子に返さなければな」とメモリを返して法月は去っていってしまいます。
そうか,法月はかつての親友である三郎の息子である賢一と娘である璃々子を彼なりに守っていたのかもしれませんね。でなければ,二人ともとっくに死んでいたかもしれません。
『エピローグ』
治安警察が去った後,賢一がさちとともに生きていくことを告げてから5年後
世界で最も権威のある文化賞の絵画部門にさちが選ばれ,その受賞後のパーティーに現れた,とある南方の国の王室主席秘書官,アンテリアム・ド・ムァヌー。
彼女こそ,あのまなの成長した姿だったのです。
「こんな日が来るのを信じていましたから。それだけを夢見て,今まで生き抜いてきましたから」と語るまな。
こうしてさちとまなが再会を果たして,『さちルート』終了。
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