夏夢夜話日記

妹,綾香の突然の死。

それから数年を迎えた年の初夏。

町を離れていた幼馴染の氷室凉子が帰ってきた。
再会を懐かしむ伶二と小鳥。
しかし,3人の間には大きな溝ができていた。

ある日,伶二の元に絵本の個展の招待状が届いた。
伶二は2人のうちいずれかを個展へと誘う。
しかし,会場で偶然にも凉子と小鳥が鉢合わせしてしまい,
二人の関係は完全に壊れてしまった。

やがて伶二はペルソナと名乗る不思議な人物に出会う。
ペルソナは,謎かけのような言葉をかけて,去ってゆく...。
瞬間いつもの街並みと異なった世界が...。

そこは,絵本で見た『フェルネラント』そのものの世界だった。

『ケース裏解説』より

 『夏夢夜話』はKIDから今年(2003年)8月に発売となったPS2用ゲームです。某所での評判が高く,またシナリオに『Cross †Channel』の田中ロミオが参加しているということから興味をもっていたのですが,中古でわりと安く落ちていたので,ありがたく拾ってきました。もっとも,メモリ・カードを買い換えなければならなかったので,結局は良いお値段になってしまったんですけれどね(^^;)。
 そして,これはそのリアルタイムなゲーム記であり,当然ながらネタばれ全開ですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね(^^;)。
12月1日

 PS2ソフトですから,インストゥール等の必要はなく,普通であればDiscを挿入すればすぐに始められるはずなんですが,しかし,それでもトラブルは向こうからやってくるものなのです。そのドタバタ騒ぎについてはこちらをごらんください(^^;)。

 さて,色々トラブルはありましたが,いよいよゲームのスタートです。
 Openingは...う〜む,何だか『Moon.』というか『エヴァンゲリオン』というか(いずれもラストの方)...なんというか歌がねぇ...う〜む,ちょっとゲームの雰囲気に合わないんじゃないですか?(^^;)。曲としてはそんなに悪くはないんですけれどね....。
 キャラ絵は....これもはっきり言って好みではないですねぇ(^^;)。う〜む,ちょっぴり心配になってきちゃったぞ(^^;)。

 まぁ,とりあえずやってみましょう。

 死んでしまった妹綾香の夢で始まります。あ,綾香〜?....う〜むどうしても格闘お嬢様を思いだしてしまう名前だよなぁ(^^;)。

 謎の手紙(フィルネラント展への招待状)を受け取る主人公。

 そして,小鳥の登場(もちろん某『とらは』とは関係ありません(^^;)。主人公(伶二)べったりの年下の幼馴染。元気だけれどマイペースな女の子。何故か主人公(伶二)のことを『に〜さん』と呼んでいます。
 学校へ行くと転校生が。彼女の名前は氷室凉子。彼女もまた幼馴染の一人(数年前に進学のために何も言わずにこの町を去ってしまった)。
 彼女が伶二のことを「に〜さん」と呼ぶ小鳥を冷たい目で見るのには,何か理由があるんでしょうね。
 綾香が死ぬ前まで,綾香凉子小鳥,そして伶二の4人はいつも一緒にいる仲良しグループだったというのに....いったい何があったんでしょう?

 『フェルネラント』とは童話に書かれた世界であることがわかります。

 図書館のお姉さん,さん(伶二達のことを昔から知っている)が,凉子が戻ってきたという話を聞いて表情が固くなってしまったのは何故なんでしょう?
 その凉子伶二からさんの話を聞いて顔が青ざめてるし....きっと凉子の過去に何かが隠されているんでしょうね。

 放課後,伶二の前に童話の中に出てきた仮面&マント(ペルソナ)が現れ,謎の言葉を残して消えてしまいます。また謎が増えてしまった(^^;)
 
 小鳥の啓蒙もあり,演劇部は星野碧のフェルネラントを舞台とした童話を題材にした劇をすることに。

 帰宅途中にまたペルソナが現れ,会わせたい人がいると言って,伶二を古い洋館通称幽霊屋敷に連れていきます。そして,そこにいたのは金髪の少女フランシーヌ(しかし,最初は人形だったはずなのに)。
 
 町の中にも様々な不思議が浸食し始めているようです。....物語の世界との境目がなくなってきているのか?

 徐々に態度が柔らかくなってきた凉子ちゃん。笑顔すら見られるようになってきました。
 しかし,そんな凉子伶二の関係を危惧したのか,小鳥が突然伶二にキスを....しかもそれを凉子に見られてしまい,凉子小鳥の仲はこれ以上ないというくらいに最悪になってしまいます。

 そして「フェルネラント展」へどちらを誘うかで,この先シナリオが分岐するらしいのだけれど....いやぁ,どっちでやろうかなぁ....

 よし,「凉子,君に決めた!」(^^;)ってなところで,今日はお終いです。

12月5日

 凉子と『フェルネラント展』へ行くと,あろうことか,そこで凉子小鳥の修羅場が....
 泣きながら詰め寄る小鳥ちゃんが切ないですね。
 ここで凉子がフェルネラントの童話の作者であることがわかるのですが,しかし,何故彼女はこの展覧会のことをほとんど知らなかったのでしょう?

 二人が去った後,一人寂しく終電で帰る伶二君。
 ところが,海里の駅に着くと,そこはフェルネラント...しかも,銀河鉄道みたいな空飛ぶ蒸気機関車がやってきちゃうし....
 途方に暮れる伶二君の前に現れたのがピエロのコロンビーナ
 そのコロンビーナ通称コロンに連れられて元の世界の家に帰ることができた伶二君。

 次の日の昼,凉子ちゃんの後を追いかけていくと,あの幽霊屋敷に。
 そこでペルソナと出会うのですが,「この姿で」昼に出会うのは初めて....とはどういう意味なんだろう?

 凉子ちゃんの家からの帰り道またしてもフェルネラントへ入り込んでしまいます。

 そして,コロンが無くしたピエロの「涙」を探しにイベントが発生。

 精霊に連れられて涙の湖の底「嘆きの街」へ降りた伶二はそこで自分がかつて凉子を傷付けたことを思い出します。しかし,何故凉子綾香の死が自分のせいだと思ったのだろう?
 湖面に出て精霊から教わった方向へ向かうと,そこには晶さんそっくりの飛行機乗りのアメリアさんとが。
 そして,彼女の飛行機飛行機に乗せてもらい雲の上へ西風の神(ゼフィロス)に会いに行きます。
 そこでの妖精シルフコロンのドタバタぶりが実に楽しいのですが,それだけにプレッシャーに押しつぶされそうなコロンの(まだ12歳だというのに)叫びには胸が痛みます。

 妖精シルフの手助けもあって(といってもコロンが「涙」を無くしたのは彼女のせいなんですけれどね(^^;),ピエロの涙は『ためいきの水晶宮』にあるらしいことがわかり,アメリアの飛行機で『ためいきの水晶宮』に行く伶二コロン。二人はそこで自分自身の本音(?)と対峙しますが,水晶の鏡の向こうの二人の言葉は伶二コロンの心を抉ります。
 ようやくのことで『涙』を見つけるがそれはすでに壊れていました。

 あきらめきれないコロンに懇願された伶二はかつてコロンの師匠であったアルルカンの元へ向かいます。
 しかし,かつての大ピエロは「ピエロ以外の何者にもなれない自分自身に絶望し」ただの酔っぱらいになっていたのです。そこで伶二はサーカスに行けなかった日の情景を目にします。ん?綾香の声がコロンと同じみたいだけれど,これは何か意味があるんですかね?

 伶二が一緒にいるという言葉を聞いてサーカスに戻る決心のついたコロン(コロンからずっといっしょにいて欲しいと願われてしまったら...そりゃぁ嫌とは言えないよね)。しかし,時は既にサーカス開始の時間に。そこに現れたペルソナの手を借りて(どうやらそれは伶二自身の力らしいのだけれど)時間を巻き戻し,サーカス初日前日戻ることができた二人。
 しかしそして,伶二はサーカス開幕の直前にコロンと一緒にフェルネラントに残るか,それともコロンと別れて元の世界に帰るかの決断をせまられます。

 とりあえずは『残る』を選択してしまうのは仕方ないことでしょう。ねぇ(^^;)。
 というわけで,コロンと一緒に永遠ともいえる時を過ごすことになるバッド・エンドを迎えます。でも,コロンはもちろん伶二も幸せそうだし,普通の童話ならば「二人は末永く幸せに暮らしました。メデタシメデタシ」のハッピー・エンドなんでしょうね。

 さて,それでは『帰る』を選択してみましょう。
 「逃げないために帰るのだ」と告げる伶二。その言葉を聞いて自分自身も逃げていたことを自覚するコロン。最後に「ありがとう」と言って舞台に向かうコロンが切ないですなぁ(:_;)。

 そしてまた列車の中にいる伶二
 次に気付くと,小鳥凉子がいがみ合うフェルネラント展の会場に戻っていました。
 これがペルソナの言う報いなのでしょうか?
 しかし,話の内容は少し異なっているんですよね。

 というところで,今日は終了です。
 う〜む,すっかりフェルネラント世界に填っている自分がいます。
 この世界は凉子の内面世界なのでしょうが,どうもそれだけではないような気もするし....
 この先どのような話が待ち受けているのか,とても楽しみですよ。

12月7日

 目覚めると伶二は何故か自分の部屋に戻っていた。
 学校の帰りに図書館へ寄りさんと話す。その中でさんが白い猫を2匹飼っていることがわかります。ということは,アメリアはやっぱり....
 そして何故かそこに現れた凉子の家で食事をすることになります(昨日のお詫びらしい)。
 いやぁ,驚いた,談笑を交わしていた凉子の両親が木偶人形だったとは...
 これはいったいどういうことなんだろう?

 翌日の夜凉子に連れられて裏山の洋館に行くと,そこにはあの人形のフランシーヌの姿が。
 そして,いつの間にか凉子の姿がペルソナに変わっています。はたしてペルソナが言う払わなければならないツケとは何なのか?

 で,気が付いたら伶二君は空から真っ逆様に落ちるところ
 あやうく激突死するところをアメリアに救われるが,このアメリアは以前会ったアメリアとは別の話のアメリアらしく,そのためか相棒の2匹の猫(ドゥ&トロワ)までしゃべっています。どうやらこの世界では猫が話すのは当たり前のことのようです。

 アメリアに連れられてザガリウス博士に会いに。この人は前のフェルネラントで時計職人だった人ですね。
 ザガリウス博士の話によれば,元の世界に戻るためには,フェルネラントのジオラマを動かすゼンマイ用の「星鯨の髭」を探しに行くか,かつて異形の者が現れたという「雪の国」へ行くか,二つの方法があるということで,とりあえずはまず「星鯨」を選択してみましょう。

 『星鯨』を捕まえるためにアメリアの飛行機で鯨狩りの名人だったエイハブ船長に会いに行く。
 彼は現在は鯨狩りをやめて鯨を食べるという巨大クラゲ状生物のクラーケンを狩ることを生業としています。彼の手助けを得るためにクラーケン狩りの手伝いをすることになる伶二アメリア
 苦労の末クラーケン・ハントを終えた後,エイハブ船長の助けを借りて星鯨狩りに行きます。
 ようやくつかまえた星鯨。しかし,エイハブ船長の懇願もあって逃がすことに....。
エイハブ船長の話を聞いたら,こりゃ嫌とは言えませんよね(^^;)。

 その夜,なんと伶二の寝る毛布の中にアメリアが入ってきます。PS2だというのにこの展開はまさか....
 「自分自身のこの世界に於ける存在感を確かめたいために
伶二を利用していた」と謝るアメリア伶二にキスをして,そして.....う〜む,そうか,アメリアにはおへそがあったのか...(^^;)。

 翌日,アメリア伶二が乗る飛行機は小型トラック大のハエ?に襲われ,奮戦空しく飛行機は墜落してしまいます。
 そして,気が付くと
ペルソナが目の前に。
 
伶二はキネトスコープの中に囚われたアメリアを助け出すが,そのアメリアから「この世界に残る」か,さもなければ「飛行機で戦う」かの選択を迫られてしまいます。
 前者を選ぶと,
伶二アメリアの二人で冒険の旅を送り続けるバッド・エンドに(いや二人幸福そうだし,何故これがバッド・エンドなのだと言いたいくらいですが(^^;)。
 そして,後者を選ぶと,飛行機で戦い
アメリアを殺すことになってしまうエンディングに。いくら彼女自身が望んでいたこととはいえ,これはハッピー・エンドじゃないよね(:_;)。

 その他に『夢』を忘れて小鳥との日常の生活にもどるエンディング。というのもありました。

12月8日

 少し戻って,『雪の国』へ行くを選択。
 『雪の国』の上空アメリアの飛行機から落ちてしまった(実際はドゥのせいなんだけれどね(^^;)伶二はトランプの兵士に助けられ氷の城へ。
 そこには『雪の女王』が。いかにも雪の女王様って感じの冷たくて高飛車な話し方をする女性です。
 彼女は伶二に城の外へ出ていくことを固く禁じます。
 ところが,懐中電灯を使う伶二を見て魔法使いと勘違いした雪の女王は,態度を一変し,伶二に自分を『春の女王』に変えてくれるよう懇願します。
 彼女もまた自分に触れた者は皆氷になってしまうという過酷な現実と孤独から逃れたいと思っていた女の子だったんですね。

 隣の国へ行った伶二雪の女王はそこで別の魔法使いと出会い,雪の女王の一番大切な物を代償とすることによって雪の女王を『春の女王』に変えることに成功します。
 雪の女王に訪れたしばしの幸せな時。普通の女の子のように食べ,人と触れ合うことは当然として,洗濯すら彼女にとってはこの上もない至福の時でした。

 しかし,彼女が『春の女王』になったことで,雪の国の雪が溶け,かつて雪に覆われていた場所からは『異形が』出現。それが魔法使いの言うところの代償だったのです。
 このままではフェルネラント全体が異形に浸食されてしまうため,一番大切な物を代償にもう一度『雪の女王』に戻ることを決めた彼女の最後のキスが切ないですね。

 う〜む,やっぱり魔法使いペルソナだったんですね。あの慇懃無礼な口調からそうではないかと思ってはいたんですが....(^^;)

 これ以後は『星鯨』と同じように飛行機で戦いアメリアを殺すことになってしまうエンディングとなります。

  フェルネラントからまたフェルネラント展のあの修羅場へ逆戻り。
  しかし,ここでの凉子は人でなく人形だったのです。これっていったい....?

12月12日

 3度目の月曜日。しかし,今回は凉子が学校にいません(来てないのではなく最初から転校してきていないのだ)。から凉子が自殺未遂を計り長期入院をしていることを知らされた伶二は病院へ行きますが,そこには魂の抜け殻となった凉子の姿が....

 帰りの夜汽車の中で人形少女フランシーヌ改めコッペリアの登場。
 しばらく彼女と旅をすることになる。実際のところ半ば脅迫されてなんだけれどね....いやぁ,このお人形さんはちょっと怖いですよ(^^;)。
 夜汽車の窓の外に見えるフェルネラントは常夢の国に浸食されつつあった。

 フェルネラントの氷の中の少女はやはり凉子だったんですね。
 コッペリアはここがフェルネラントの源だという。つまり,フェルネラントは凉子の心が生み出した世界だったんですね。しかし,それを凉子自身が消し去ろうとしているのです。
 
 人形少女コッペリアの願いは心を手に入れること。そのためには凉子の最後の夢が必要らしい。

 凉子の心の中の世界であったフェルネラントは,そのほとんどが常夢の国に浸食されていたが,その中にあって「南の島」「アルルカンの小屋」「雲の神殿」「涙の湖」の4つの場所だけが光を残していました。
 しかし,そこで彼等が見ていたのはコッペリアによって見せられる幸せな夢。特に猫のドゥとトロワの夢は切なくて....なんだか泣けちゃいますね(:_;)。
 そしてすべてのフェルネラントの光りは消え去り宝石へと姿を変えてしまったのです。

 凉子の最後の夢を回収するために氷に覆われている凉子の元へ向かうコッペリア
 凉子を覆っていた氷は自分が作り出したフェルネラントまでが自分を傷付けるため,凉子自身が張り巡らせたものだという。

 コッペリアは自分をじゃましたであろう凉子の強い分身であるところのコロンビーナ雪の女王アメリア伶二が消してくれたのだと笑います。それじゃぁ,今までの旅はいったい何のために?と悩む伶二

 凉子を覆っていた氷が剥がれ落ちる度に過去の思い出(綾香との)が現れますが,それを見ると,4人の中心にいたのが綾香だったということが良くわかります。

 それにしても,綾香の死の本当の原因(理由)とは?....結局これはわからないままなんですよね。

 伶二と二人きりで夢を見続けることだけを願う凉子
 大きな時計の針が凉子を貫こうとする瞬間,すでに消えてしまったものと思っていたコロンビーナ雪の女王アメリアが登場。彼女達は消えてしまったわけではなく,伶二の心の中にいたのです。
 そして,自分の分身である彼女達の,そして伶二の言葉により目覚める凉子
 うん,確かにお姫様は王子様のキスで目を覚ますんだよね。
 いやぁ,めでたしめでたし.(^_^)
 だが,しかし,これで終わったわけではなく,今度は小鳥を救わなければならないとペルソナから告げられます。

 それにしても,コッペリアて一体誰が何のために作った人形なんでしょうね?そして何故丘の上の洋館にその姿があったのでしょう?
 そして,綾香の死の原因もペルソナの正体もまだわからないままです。

 他のエンディングとしては,綾香を含めた4人の楽しくて平和な日常が続くという,伶二の夢の中の世界のバッド・エンドがありますが.....これも捨てがたい魅力のあるエンディングですよね。

12月26日

 小鳥のフェルネラントも終了し,『夏夢夜話』も無事終了しました。
 凉子のフェルネラントですでにわかっているとおり,小鳥のフェルネラントに登場するキャラクターは小鳥の内面の一部なのですが,個人的には凉子のフェルネラントよりも小鳥のフェルネラントのキャラクターの方が魅力的に感じました。
 小鳥凉子では凉子の方が好みなはずなのに....不思議だ....(^^;)。

 小鳥のフェルネラントは大きく分けて『砂漠〜飴の国』『悪霊の住む森〜魔女の家』『ヴァランチーヌの屋敷』に別れるのですが,そのすべてに登場するいわば小鳥のフェルネラントの案内人的な存在がアリスです。もちろんあの『不思議の国のアリス』と関係有り...というか,そのまんまの姿です。もっとも,中身は違いますけどね(^^;)。
 凉子のフェルネラントにもアメリアのように何度も登場するキャラクターがいます。しかしコロンビーナの時のアメリア雪の女王の時のアメリアではまったく関連のない別人のような存在なんですよね。
 ところが小鳥のフェルネラントのアリスは,シチュエーションは違えども,実は同一人物なんです。もっとも,アリス本人はそれをおぼえていないんですけれどね。

 『砂漠〜飴の国』にはクリスという少年(実は無性)が登場しますが,彼(彼女?)は小鳥の分身ではなく,どうやら現実世界を逃避してフェルネラントにに自分の世界(飴の国)を作ってしまった人(どうやら現実世界では病気で寝たきりの女の子のようです)のようです。
 当然といいますか,クリスの元に残り二人で生活するというバッド・エンドも存在します。
 まぁ確かにクリスて,男の子にしておくには可愛すぎますからね(^^;)。
 その他にも何故か火星人(あのタコ型の)まで登場してくるのですが....しかし,何故火星人なんだろう?もしかしたら小鳥て自分自身を異星人的な存在と思っていたんでしょうかね?

 永遠の子どもではなく大人になることを望んでいたアリスですが,こちら側の世界に来る直前に激しい拒否反応を示し,また現れた扉の向こう側へと消えてしまったのは,変化を望みながらも変化を恐れる小鳥の心の内の葛藤故なのでしょう。

 『悪霊の住む森〜魔女の家』には森の奥に住む死霊と呼ばれた少女レミが登場します(この名前をつけたのは伶二です)。綾香そっくりの少女レミ綾香の真似をしていた否定すべき小鳥自身の分身なんでしょうね。霧の街でレミを口々に罵る住人達もまた小鳥の内面の声なのです。
 死刑の寸前に助けられたレミですが,彼女は自分が人を喰らう死霊であることを自ら告白し,そして消えていきます。こうして小鳥綾香になろうとした今までの自分自身を葬ったのです。
 このシナリオにおいて伶二はひょんなことからアリスとともに魔女の弟子となります。この魔女の家にはアルマデルという明るい少女,テウという愛想無しのメガネ少女,ファウという内気娘の3人(実は書物の精グリモア)も住んでいるのですが,彼女達がまた実に魅力的なキャラクターなんです。それ故,後に伶二はこの3人のグリモアの中から一人を選ばなければならないのですが,この時に悩むこと悩むこと(^^;)。
 結局アルマデル(通称アル)を選んだんですけどね(何だか望東鳩の志保みたいなキャラだったもんで(^^;)。レミが囚われの身となったとき,伶二は魔女の家を離れて旅立つのですが,この時のアリスとの別れも切ないのですが,それ以上にアルとの別れが切なかったですね。いや,私なら絶対に旅のお供に持っていきますよ(^^;)。グリモアが異なれば,この場面も当然変わるはずで....これは後日やってみる価値がありますね。
 このシナリオでのアリスは過去に囚われた小鳥の分身なのでしょう。

 『ヴァランチーヌの屋敷』にも若き女主人ヴァランチーヌの友人にしてメイドとしてアリスが出てきますが,この楽園で過ごすアリスが一番幸せそうに見えます。しかし,これもまた偽りの幸せのひとつでしかありませんでした。
 もちろん,楽園で楽しく暮らすバッドエンドもありますが....
 伶二ヴァランチーヌの屋敷を離れることを決意したとき,アリスがお茶会を開くのですが,これは前回伶二が魔女の家を離れるときにアリスと約束をしたお茶会なんですよね。とはいえ,アリス自身はそれを覚えていなかったのですが....
 突然の楽園の崩壊。ヴァランチーヌは姿を消し,アリスはバラバラに砕け散ってしまいます。
 そして,伶二はネコ耳戦士のシャルと一緒にアリスの破片を集める旅に出ます。もちろんこのシャルもまた小鳥の分身なのです。戦士としては一流なのに,時折見せる猫っぽい仕草がなんともアンバランスでカワイイんですよね。
 これまでアリスと旅をした場所でアリスの破片を集める二人を襲う『恐怖』。それは現実社会で小鳥に対して浴びせられた罵詈雑言だったのです。
 海の中を移動するために入った星鯨の腹の中でアルと再会。彼女からテウファウが魔力を失ってしまったためにただの本になってしまったことを告げらるのですが,その彼女もまた本へと姿を変えてしまうのです。
 最後にヴァランチーヌの屋敷でアリスの破片を見つけた後,シャルは黒騎士との戦いに敗れ消え去ってしまいました。
 このアリスレミといった小鳥の分身を執拗に付け狙っていた黒騎士の正体は...そう,小鳥自身だったんですね。
 伶二の言葉からようやく自分自身を取り戻した小鳥。これでようやくフェルネラントの旅は終了です。

 そして,エピローグ
 ここで,何故綾香が洋館へ通っていたのか,何故凉子小鳥綾香に対して深い負い目を持っていたのか,そして人形のフランシーヌコッペリアの関係等数々の謎が明らかになります。

 それにしても,このゲームほどバッドエンドが心地よいゲームはありませんね。
 何しろ,他のゲームだったらハッピー・エンドになるようなエンディングがバッドエンドとなっていることが多いのですから.....もっとも,一見ハッピー・エンドに思えるこれらのエンディングが,実は幻でしかないのもまた事実なんですけれどね(^^;)。

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