此花ルチアルート 終了
事の始まりはオカルト研究会の元に届けられた一通の投書。
そこには「その少女がそばにいるだけで周囲の者の元気がなくなり病気になってしまう。そして彼女のことを話したり詳しく調べようとする者も呪われてしまう」という呪われた少女アサヒハルカのことが書かれていた。
その少女がなんとなくルチアのことを彷彿とさせるため、瑚太郎はアサヒハルカのことを調べ始める。
アサヒハルカの呪いで死んだといわれる岸田隆吾という少年は実在しており、しかも吉野の同級生だったという。当然ながら吉野はアサヒハルカの呪いの話は知っていたが、アサヒハルカという少女は存在しなかったという。しかし、過去にあの吉野でさえアサヒハルカの呪いを恐れる出来事が起きたことは確かであり、吉野からは「やばいと感じたらっすぐ手を引け」という忠告すら受ける。
それでも吉野から岸田隆吾と同級生であった小学校4年1組の連絡網を借りることができ、たまたま先生からコピーの用事を頼まれれたルチアとともに連絡網をコピーするが、何故か連絡表のコピーだけではなく「私を起こさないで」と印刷された用紙も出てくる。
なんともオカルト研究会らしいホラーな出来事だが、これはほんの序章にしか過ぎなかった。その夜、携帯電話が壊れてしまったため瑚太郎が連絡をとれない間に、吉野を含む元4年1組全員の家の電灯や窓ガラスが割れるという出来事が起きていた。吉野たちは4年間にも同様の出来事を経験していたらしい。
翌日、ルチアにアサヒハルカの話をすると、かつての自分の境遇とかぶるところのある彼女に同情したルチアは自ら協力を申し出る。これは「怪談にされたアサヒハルカの名誉を守るための調査」であり、それがルチアの心の傷を癒すことになるのではないかと、改めて認識する瑚太郎。
しかし、その夜、ルチアの前に現れた少女は「私をどうして起こすの」「私もあなたも、同じ悲しみを背負ってきた、仲間でしょう?」さもないと「私と同じ悲しみと苦しみを味わうことになるよ」と告げ、それからルチアが触れた植物が腐り始めるようになる。
瑚太郎は元4年1組の生徒たちの間でアサヒハルカの話が禁忌となった直接の原因である4年前の同窓会の出来事を、その日アサヒハルカの話を取材に来ていた元中学校新聞部部員自身の口から聞く(その元新聞部部員だった原木は、ルチアとちあきがパフェ対決をした店の店員で、あの元暗黒激辛会の一人だった)。はも当日ガラスや蛍光灯が割れるのを見ただけでなく、アサヒハルカと出会っており、彼女からつかまれた腕には今でも青黒く五指の形をした痣が残っていた。
店を出た瑚太郎の腕をつかみ、「私を起こさないで」と告げた少女はアサヒハルカではなくルチアだった。アサヒハルカがルチアにとり憑いたのか・・・それとも・・・。意識を取り戻したあと「草木も動物も人間も、この世界のすべてが、私たちを受け入れてくれないんだ」と泣きじゃくるルチア。
自分の推理を立証するために、かつてアサヒハルカがいたという孤児院を訪ねる瑚太郎。しかし、そこには「第4種特定有害産業廃棄物処分場」の掲示が。さらにフェンスを乗り越えて中に入ってみると、そこはまぎれもなく孤児院の跡地だった。
孤児院の礼拝堂に姿を現したルチアは自分がアサヒハルカ(旭春花)であり、千年後の過酷な未来を生き残ることができるように改造された人間であることを告げる。そして 「私の存在は、ただそれだけで人に害をなす」ということも。
ルチアの毒を打ち消すために自分自身の中のアクセルを全開にする瑚太郎。このアクセルというものが何であるのかわかりませんが、これが瑚太郎の持つ特殊能力なんでしょう...しかし、「俺は死なない」って、なんだかどこぞの101回もプロポーズした人の台詞みたいですね(^^;。
そんな二人の間に現れたガーディアン達のリーダーはあの西九条先生。地球を守るというガーディアンという組織には全世界で数億の人間が所属しているとのこと。
当然それだけ大きな組織なら相対する組織もあり、それがガイアという組織で、現在、風祭市は地球を滅ぼすか否かの鍵を握るたった一人の人物をめぐって、一食即発の事態となっており、悪いことに現在風祭市はガイアの勢力下にあるらしい。当然ながらルチアもそして静流もまたガーディアンの一員であり、学年が違う二人が親友であるという理由もこれでよくわかりました。もっともそれだけではなく、静流が毒が効かない特別な体質の持ち主であるということも大きな理由なんですけれどね。
ツンデレのテンプレートどおり、デレた後のルチアは見事なまでにデレ倒してくれます。
ショッピングタワーKAZAMOでの初デートでは、「こたろー」と名前を呼んでみたり、で「手・・・繋いで・・・・下さい」と恥ずかしげに言ってみたり、彼女のうろたえぶりや赤面ぶりは、それだけでご飯3杯は軽くいけます。デートの締めはルチアが密かにあこがれていた展望レストランでの食事(もっともこれは静流からのリークがあったのですけど)。そうなれば当然・・・いや、全年齢版なんでキスだけなんですが。しかし、ルチアが「お前がいてくれたから、私は生きていたいと、心底思えるようになった」と言えるぐらいに幸せな気持ちになったことは確かです。
しかし、幸福の後には絶望が待っているというのもまた定番で、デートの後、静流が倒れたという知らせが待っていました。しかもその原因はルチアの出してきた毒。ルチアに投与されている抑制剤は完全にルチアの毒を押さえきることができるものではなく、それでも静流には自分の身体の中で必要な薬を作り出す能力(曰く歩く製薬工場)があり、それがルチアの毒に対する抗体を作り出していたので、これまで普通に接することができていたのだが、しかし解毒ができていたわけではないため、溜まっていた毒が急激に回ってしまったのが倒れた原因とのこと。
それでも死に至るものではなく、血液の交換で対処できたのだが、静流が自分の毒で倒れてしまったことはルチアに大きな衝撃を与えることとなった。瑚太郎の命を自分の毒で奪ってしまうのではないかという恐れと、抑制剤がまったく効かなくなってしまったことから、自分が生きる意味を失ってしまったルチアの前に現れたのは、かつてルチアの身体を現在の身体に改造した研究者の一人であるブレンダ。本来なら恨むべき相手なのだが、生きる意味を失ってしまったルチアにとって「あなたは人類の誰もなしえない、崇高な任務のため生まれた」「8年前のあの日から奪われた、あなたの生きる意味をあなたに返すためにやってきた」という言葉は甘く響き、ルチアは千年後の世界にに送り出してもらう約束の元、ブレンダの任務に従うことになる。
収穫祭の前日、突然瑚太郎の前にルチアが現れ、約束どおり二人でパフェを食べに行くが、そこで彼女は自分には抑制剤の後遺症から味覚も嗅覚もないことを告げる。ルチアは辛さに強かったのではなく、味覚や嗅覚が無いから辛さすらもわからなかったのだ。
「私は、自分の与えられた運命を全うする。そのためだけに、私は存在するからだ」と瑚太郎に別れを告げ瘴気を周囲に撒き散らしながら去っていくルチア。その毒はあまりにも強く、彼女が通った後には死体だけが残っていた。
意識を失っていた瑚太郎の前に現れたのはちはや。彼女もまたルチアの毒の影響を受けない身体を持っているようだが、果たして彼女は何者なのだろう?
ルチアの毒によって「鍵」の存在も消えたであろう風祭市に米軍のクラスター核爆弾を落とすことによって証拠の隠滅を図るだなんて・・・ガーディアンという組織は決して正義の組織ではないようですね。
ルチアが最後の場所として選んだのは、初デートの場所であり彼女の最大の幸福の場所であったショッピングタワーKAZAMO。
その場に駆けつけた静流、ちはや、瑚太郎の説得にもまったく耳を傾けようとしないルチアは、「瘴気を生み続け、世界を7日で滅ぼし、旧世界を滅ぼし、新世界を開く鍵となる」と告げる。
そんなルチアの心を引き戻したのは
「俺が許可する。お前は俺のために生きろ」「俺はずっと一緒にいる。同情からではないぞ。お前と一緒にいないと死んじまうからだよ!」という情けないといっても良い瑚太郎の言葉と抱擁。しかし、これは「生きる意味」「自分が必要であると求められること」を何よりも必要として求めていたルチアの心を引き戻すには十分過ぎる言葉だったに違いありません。
西九条の誘いで瑚太郎もガーディアンの一人となり、以後ルチアと行動を共にすることになる。風祭市の一件でガーディアンの旧勢力は引退を余儀なくされ、西九条の働きでルチアの身の安全は保障されることになったものの、1年経過してもまだルチアの抑制剤は完成せず世界各地のシェルターを渡り歩き、静流から「世界で一番豪勢な引きこもり」と言われる生活が続いている。 これは決して幸せな生活とはいえないし、当然ながら自らの毒で数十万の人間の命を奪ってしまったルチアの罪の意識が消えるわけではありません。しかしながら、瑚太郎もルチアも二人とも間違いなく未来を見つめて生きていることだけは間違いなく、それだけは救いといえるでしょう。
確かにこれは今までのKEYには見られなかったスタイルの物語であり、故に驚きと人によっては落胆を感じるかもしれません。しかし、このようなある種ダークな物語がこれまで無かったわけではありません。KEYのメインスタッフがTACTICS時代に製作した『MOON.』にも異能力の持ち主やカルトな集団が登場しており、この『REWRITE』というゲームは『MOON.』の系譜を継いだ原点復帰のゲームということができるかもしれませんね。
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