月姫日記

 子供の頃の怪我の後遺症で「モノの壊れやすい線」が見えてしまう主人公「遠野志貴」は,8年間預けられていた家を離れ,実家へ戻ることになった。
 古い洋館での,すでに他人のような妹,そして二人の使用人との新しい生活が始まる。
 時を同じくして多発する猟奇殺人事件。被害者は一様に全身の血液を抜かれていた。
 ある出来事をきっかけに,志貴は吸血鬼達の壮絶的な戦いに巻き込まれて行くことになる。

純白の吸血鬼は微笑む。
「私を殺した責任,とってもらうからね」

6月23日

 インターネット上で話題騒然であった同人ゲーム(TYPE-MOON)『月姫』をようやく入手できました。しかし,横浜に同人ソフトを売ってる店があったのを今まで知らなかったとは....不覚でした(^^;)。
 さっそく当家の恋愛ゲーム専用機,Sony Vaio PCV-J12にインストールしようとしたのですが,ところが,何度インストールのボタンを押しても「インストールに失敗しました」とアラートが出るだけでインストールができないんです。これには参りました。で,説明書を読んでみると,なんと「tukihime」のフォルダをそのままHDにCopyしてもOKということがわかり,その通りにしてみると,今度は無事に成功しました。ふぅ〜,やれやれです。

 オープニングは何やらダークで神秘的な雰囲気です。この不思議なオープニングの謎はおそらくゲームを進めるうちにわかるんでしょうね。
 いよいよゲームの開始。最初に出会うのは学校の先輩である
シエルですが,この人はなんともマイ・ペースな人ですね。そして,主人公が実家である遠野家(う〜むどうしても美凪(AIR)の名字とダブってしまうな(^^;)に戻ると,そこで彼を待っていたのは8年間別れ別れであった妹秋葉と,琥珀翡翠の二人のメイドさん(二人は姉妹です)でした。秋葉は....う〜む,怖い妹です。兄としての権威なんか全然ありませんね(^^;)。琥珀翡翠の姉妹はまったく正反対の性格の持ち主という感じですが,どうやらこの二人にも何か謎が隠されているようです。
 最後に登場したのが,おそらくこのゲームのメイン・ヒロインと思われる
アルクェイドですが,なんと,主人公は初対面の彼女を切り刻んで殺してしまいます。ところが,数日後,彼女は何事もなかったかのように主人公の前に現れ,そして,彼女の「私を殺した責任,とってもらうからね」の一言で主人公は彼女の吸血鬼狩りの手伝いをするはめになってしまったのです。
 しかし,
アルクェイドは一度主人公から殺されたというのに,この明るさは一体何なんでしょうね?

 主人公の遠野志貴は『』の長瀬ちゃんタイプの人間みたいですが,しかし,吸血鬼相手に「お前はバカか」と言えるってのは,やっぱり強い人間なのかもしれません....ただ単に無謀なだけかもしれませんが....

 そして,ゲームは進み....
 初回は公園であっけなくカオスにやられて
バッド・エンド....
 お次は館のそばで包帯だらけの謎の男に刺されて
バッド・エンド....
 その次も学校で包帯だらけの謎の男に刺されて
バッド・エンド....

 4回目でやっとアルクェイドシナリオのトゥルー・エンドを迎えることができました。
 いやぁ,このエンディングは切なくて良いですね。思わずじ〜んときちゃいましたよ。
 そしてついでに
グッド・エンドも終了させましたが....う〜む,やっぱりシナリオ的にはトゥルー・エンドの方が絶対に面白いですね。
 でも,
グッド・エンドアルクェイドの笑顔を見ると,これはこれでやっぱり良いなぁ....と思っちゃうんですよね。

 さて,初日の感想ですが,さすがにインターネット上で話題騒然となっただけあって,とても面白いゲームだと思いました。
 これは間違いなく『
』『』(@Leaf)の正統的後継者となるゲームですね
 
シナリオ的にはかなり長い話なんですが,途中飽きさせることもなく読ませるあたり,作者の文章能力の高さが伺え,原稿用紙で約5000枚分のシナリオというのもまんざら嘘でないような気がします。
 
グラフィックの方ですが,これは正直言って「やっぱり同人ゲームだなぁ」というレベルでして,あまり上手い絵だとは思いませんでした。しかし,ゲームが進む内に,これで良いのかもしれない....と思うようになってきたんですよね(^^;)。
 
音楽は場面に合っており特に問題はないのですが,ちょっと曲数が少ないような気がします。もっとも,同人ゲームとしてはレベルが高いと思いますけれどね。

 さて,お次はシエル先輩のシナリオをやってみようかな?   BACK

6月24日

 シエル先輩シナリオのトゥルー・エンドグッド・エンドを終了。
 いやぁ〜,面白かった。正直言って
アルクェイドシナリオより楽しむことができました。といっても,アルクェイドシナリオの出来が悪いというわけではありません。シエル先輩シナリオとアルクェイドシナリオは互いを補完し合うような形になっているため,アルクェイドシナリオを終えた後だからこそ,シエル先輩シナリオの方がより一層楽しめたというわけです。

 このシナリオにおいて,シエル先輩とアルクェイドの関係,シエル先輩とロアの関係,アルクェイドロアの関係,そして主人公とロアの関係が明らかになるのですが,これが実に良く考えられているため,『月姫』の物語世界に深く入り込んでいくことができました。宿敵ロアも実は哀しい男だったんですね
 それにしても,
アルクェイドロアの関係って,なんとなく『アトラク=ナクア』の初音の関係を彷彿とさせませんか(^^;)。

 このゲームでは戦闘シーンも含めてダークなシーンが割と多く登場するのですが(たとえば茶道室におけるロアシエルに対する行為等),先にあげた『アトラク=ナクア』のつぐみのような救いのないものではないため,ダーク系が苦手な私でも十分に許容範囲です。最後に救いがあればそれで良いのです(^_^)。

 シエル先輩が幸せになれるトゥルー・エンドも良いのですが,アルクェイドも幸せそうなグッド・エンドの方が好きですね。きっとグッド・エンドの世界って,二次作品の一番良いネタになってるんじゃないでしょうか。アルクェイドシエル先輩の魎呼阿重霞(@『天地無用!』)を彷彿とさせるような関係は実に楽しそうです....志貴君にとっては大変かもしれないけれど,これも自業自得ってもんです(^^;)。
 えねま的には現時点ではアルクェイドが一番のお気に入りですね。どうも私はこうゆう猫系の性格のキャラに弱いようです。これと比べると一途な性格のシエル先輩は犬系キャラになるのかな?そういえば,シエル先輩とカレー(カレーパン)ってのも二次作品の良い定番のネタになるんだろうな....

 細かいことなんですが,エンディング後のバンド演奏によるBGMはちょっといただけませんね。あれはゲーム終了後の余韻を台無しにしちゃいますよ。

 謎として残っている主人公(志貴)の過去と人外の力については,きっと残った秋葉等のシナリオで明らかになるんでしょうね。う〜む,楽しみです。  BACK

6月25日

 秋葉シナリオのトゥルー・エンドノーマル・エンドを終了。
 前半は
秋葉ではなく,同級生の弓塚さつきがメインの物語なのですが,吸血鬼となってしまった彼女の最後はとても哀しくて切ないですね。いや,これだけでも完結したストーリーとして十分ですよ。

 秋葉シナリオにおいても,シエル先輩は登場するのですが,なんか自分自身のシナリオの時よりも性格がキツイというか,最初から全開で飛ばしてるって感じです。
 彼女はこのシナリオにおいても重要なポジションにいますが,それでもあくまでも補助的な役割でして,中心となるのは,
志貴秋葉そしてシキの三人です。ところで,ここに登場するシキアルクェイドシエル先輩のシナリオに出てきたロアと同一人物だと思うのですが,なんだかずいぶんと印象が違いますね。こちらのシキの方が人間っぽいというか,ずいぶん男前です(^^;)。
 弓塚さつきが消えた後,秋葉志貴の通う高校へ転校してくるのですが,ここでのシエルVS秋葉の女の戦いはなかなか楽しいですね(^^;)。後に秋葉が転校してきた本当の理由が明らかになるのですが....いやぁ,なんとも切ない乙女心です。

 ストーリーが進むうちに志貴が退魔の血筋にある者であることと,遠野家の血筋の秘密がわかってくるのですが,この辺りは『』からの影響を強く感じますね。といっても,これは悪い意味でそう言ってるのではなくて,前にも書きましたが,このゲームが『』の正統な後継者だということを言いたいわけです。

 それにしても,秋葉は表情が豊かな娘ですね,全キャラの中で一番立ち絵の数が多いんじゃないでしょうか?...いや,数えたわけじゃないんですけれどね(^^;)。
 しかし,考えてみれば,この娘はまだ高校1年生なんですよね....なのにいいんだろうか?(^^;)(^^;)
 また,秋葉に関しては「貧乳」もおそらく二次作品の良いネタになってるんでしょうね,きっと(^^;)。

 さて,トゥルー・エンドですが,悲しみを乗り越えて明日に向かっていく秋葉の健気な姿がとても良いですね。果たして志貴君は戻ってくるのでしょうか?
 もうひとつのノーマル・エンドは....これはちょっと辛いところがありますね。確かに志貴は幸せを感じているのかもしれないけれど,翡翠に心配かけちゃいけませんよ。在る意味,このエンディングにおける志貴は狂気が入っているように思えてなりません。

 と,シナリオ的には大いに楽しめたのですが,ひとつだけ大きな不満があります。それはアルクェイドの出番がほとんど無いってことですね。後ろ姿だけってのは,あまりにも可哀想じゃないですか?.....少なくともメイン・ヒロインだというのに.....まぁ,シナリオ上,彼女が活躍するような場面がないんだから仕方がないんですけれどね(^^;)  BACK

6月28日

 翡翠シナリオのトゥルー・エンドグッド・エンドを終了。
 ついに
アルクェイドだけではなく,シエル先輩もほとんど登場しなくなり,遠野家オンリーのシナリオとなりました。というよりも,ここでは秋葉すら脇役であり,これはもう完全に翡翠琥珀の物語なんですね。
 
翡翠の極端なまでな対男性潔癖症の原因と琥珀の笑顔の秘密を含む姉妹の隠された過去,それがこのストーリーにおけるメイン・テーマなのです。
 そして,何故に
シキ志貴に対してあれほどまでに憎悪を抱いていたのか,その理由もあきらかになるのですが,そこには姉妹の(特に琥珀の)あまりにも哀しい過去が関係してくるのです。
 それを思うと,
トゥルー・エンドにおける琥珀の笑顔は本当に辛いものがあります。しかし,翡翠琥珀の分まで前向きに生きようとするのが救いとなっていますね。
 そして,グッド・エンドは....う〜む,これは本当にグッド・エンドなんでしょうか?まぁ,シキ以外は誰も(弓塚さつきは除く)死んでいないのだから,不幸ではないのかもしれませんが.....ん〜,確かに忘れてしまったほうが幸せな過去というものもありますからね....複雑です(^^;)。

 それにしても,このシナリオにおける弓塚さつきはなんだか悲惨というか...あまりにも救われないような気がします。
 また,他のシナリオでは圧倒的な強さを見せていたシキのなんとも弱いこと....やはりロアの転生がないからなんでしょうね...というよりも赤毛秋葉の力がそれだけ強力なのかもしれません....怒らせると本当に怖そうだもんな(^^;)。
 それに,遠野の親父がロリコンだったということも判明したし....(^^;)

 しかし,なんといっても翡翠が可愛い!
 表情の少ない子がだんだんと笑顔を見せるようになるってのは,この手のゲームの一つの王道なんだけれど,やっぱり良いものは良いのです,はい。
 現時点では,アルクェイドに続いてお気に入りNo.2に決定です。
 
 このゲームの凄いところは,シナリオが変わるたびに謎がどんどんと解明されるだけでなく,それぞれのシナリオが別々のものではなく,互いに相乗効果を持っているために物語に深みが出てくるところです。市販のゲームにもこういう奥行きの深いゲームってなかなかありませんからね.....
 また,バッド・エンドを迎えても,「
知得留先生(^^;)」が懇切丁寧に教えてくれるというサービスがあるので安心です。
 システム的にも丁寧に作られていると思いますね。  
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6月29日

 最後のシナリオ,琥珀シナリオのトゥルー・エンド終了。
 このシナリオは
翡翠シナリオが終わらないとできないようになっています(再販版以後)。

 裏ルートと言われる「遠野家ルート」の中でも,この琥珀シナリオが一番裏側に位置しているシナリオなのかもしれません。
 ある意味これは秋葉の裏(ダーク)シナリオであるともいえますね。それぐらいにこのシナリオにおける秋葉の存在感は大きく,それ故秋葉の苦しみと哀しみがダイレクトに伝わってきます。
 逆をいえば,琥珀シナリオでありながら,琥珀の存在感が少し薄いような気もします....(^^;)。もっとも,これは翡翠シナリオで琥珀の過去の秘密がすでにわかっているせいもあるんですけれどね。

 このシナリオにおいてはアルクェイドシエル先輩が登場しないのは当然の事ながら,シキすらほんの脇役にしか過ぎず(立ち絵すらない(:_;),基本的には琥珀vs秋葉の物語となっています。
 そして,このゲームで一番怖いのは,反転してなおかつ嫉妬に狂った秋葉だけれど,一番恐ろしいのは笑顔の琥珀だということが良くわかりますね(^^;)。

 それにしても,志貴君はまだ高校生のくせして,ナニのシーンでは思いっきり親父臭いとは思いませんか?あれはどうみても経験豊富な大人の台詞にしか聞こえませんよね(^^;)。そして,初回から2回3回は当たり前で,場合によってはバックまでいただいちゃうという,考えて見れば思いっきり鬼畜な野郎だったりしますが,この辺りも初期Leaf作品の主人公の血筋をダイレクトに引いているって感じがしますね....(^^;)。

【最後に】
 
このゲームは「自分たちのやりたいゲームを作る」という同人ゲームの長所が全面に出てなおかつ成功した希有なゲームであるといえます。ゲームに限らず,普通「自分たちのやりたいゲームを作る」と自己満足だけで終わる物が多いのですが(というより大半の物はそうでしょう),この『月姫』はエンターテイメントとしても十分に成り立つ普遍性(もちろん良い意味で)を持っているのです。これはシナリオや絵もさることながら,このゲームの企画監修を担当した人のバランス感覚が非常に優れているからでしょう。

 同人ゲームという特殊なジャンルであるため,同人ショップなるものが近場にない地方在住の人にとっては入手困難なゲームかもしれませんが,これは絶対にやって損はしないゲームです。
 特にシナリオ重視のヴィジュアル・ノヴェル派の方ならやらないと一生の損ですよ。
 それにしても,これだけのゲームが2500円で売っていることを考えると,一般の市販ゲームの定価8800円には疑問を持たざるをえません。確かに量販店や専門店で買えば6000円台で買えるかもしれませんが,それでもやっぱり高いですよね。
 すべてのゲームを2500円にしろとはいいませんが,一律横並びの8800円という定価は止めにして,制作費等を含めたきちんとした計算の元にそれぞれのゲームに合った値段をつけるべきだと思います。
 これはゲームに限らず,すべてのエンターテイメント・ソフトについていえることなんですけれどね。

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