祈 る こ と を 諦 め た 一 人 と の 出 会 い

とあるカトリック系病院のホスピス。
通称「7F」と呼ばれるその場所には
住人だけに受け継がれるルールがあるという。

舞台は前作の6〜7年前。夏。
セツミと彼女を取り囲む人達との
アナザーのようなストーリーです

HP紹介文から

 『ナルキッソス(narcissu) - Side 2nd』は、ねこねこソフトから発売された『銀色』等でシナリオを担当していた片岡とも氏の個人サイト『ステージ☆なな』からDLできるフリー・ソフトで、小説にもなった前作『ナルキッソス(narcissu) 』の続編です。

 続編といっても『ナルキッソス(narcissu) 』の後の物語ではなく、上記のとおり『ナルキッソス(narcissu) 』のヒロインであるセツミがまだ7階の住人ではなかった6〜7年前のある夏の物語です。
 もちろん、セツミも登場しますが、これはセツミと彼女の短すぎる人生においてもっとも大きな影響を与えた女性である姫子とのひと夏の物語なのです。

 当然ながら姫子は『7F』の住人であり、小説版『ナルキッソス(narcissu) 』の中で「7Fの病人にもかかわらず、車で勝手に飛び出しては怒られていた患者」として話の中に登場しています。実はその話をしていたのは姫子の親友であった優花なんですが、小説版『ナルキッソス(narcissu) 』の優花と『ナルキッソス(narcissu) - Side 2nd』に登場する優花とはまるで別人のようです。なんというか小説版の優花は、まるで姫子みたいなんですよね。

 小説版はさておき『ナルキッソス(narcissu) - Side 2nd』本編ですが、前作『ナルキッソス(narcissu) 』同様、大いに楽しませていただきました。いやもちろん読んでいて『楽しい』話ではないシリアスな内容なのですが、最後まで一気に読んでしまう(読ませてしまう)魅力のある物語だったということです。
 前作が基本的にセツミの二人だけで物語が進むのに対して、『Side 2nd』には先に名前が出た優花姫子の妹の千尋セツミの母、そして名前は出てこないけれど、敬虔なカトリック教徒であった姫子が自称『エセカトリック』となるきっかけとなった『ネロ』と呼ばれた少女等、様々な人物が登場し、その分だけ物語も広がりを見せています。
 この『ネロ』と呼ばれた少女の話がまた良いんです。彼女があまりにも無垢で純粋でなおかつ健気なだけに、「どうして彼女が...」と、姫子でなくとも神の存在に疑問を抱いてしまいますよ。いやもう明け方のお祈りの場面なんか切なくて切なくて...

 前作でセツミが地図に詳しかったのも、自動車に詳しかったのも、姫子の影響大なのですが(あの5万円も)、セツミが『7F』の住人となったときにまず頭に浮かべたのが姫子の姿だったのは間違いないでしょう。もっとも性格的なものまではさすがに影響は受けなかったみたいですけれどね。
 同じ目的の旅であっただろうにも関わらず、セツミがそれを実行し、姫子が実行しなかったのは、単に二人の性格の違いや姫子が『エセ』といいながらもカトリック教徒であったからというよりも、セツミが二人とも『7F』の住人であったのに対して姫子セツミは(その時点では)そうでなかったことが、一番大きな理由だと思います。

 それにしても、この『ナルキッソス(narcissu) - Side 2nd』に参加した声優の豪華なこと...これが商品化もされているとはいえ基本的には無料でDLできるソフトの声優陣とはとても思えません。
 姫子(ひめこ) CV:柳瀬なつみ
 セツミ CV:綾川りの
 千尋(ちひろ) CV:後藤邑子
 優花(ゆか) CV:岩居由希子
 少女(ネロ) CV:能登麻美子
 セツミの母  CV:田中涼子
 こりゃもう下手なパッケージ・ソフトよりもずっと豪華じゃないですか!