2003/06/20
Down By The Jetty / Dr,.Feelgood 1975

 1曲目『She Does It Right』におけるウィルコ・ジョンソンソリッドで切れ味抜群のギターを聴いただけで,そのあまりの格好良さに圧倒されてしまうアルバムですが,日本では当初パンク系のアルバムとして紹介されていたんですよね。確かにパンクとも通じる部分があるサウンドですが,ジャケットに並んでいるむさ苦しいオッサン面を見れば,彼等がパンク・バンドでないことは一目瞭然です(^^;)。これはキッズ向けのパンクではなく,キッズ達にも受ける大人の音楽なのです。このアルバムが発売された当時の曲の多くが今聴くと妙に古臭く感じるのに,当時としては古臭さかったはずのこのサウンドが逆に古臭さを感じないのは,これが時代を超越した魅力のあるサウンドだからなんでしょうね。 BACK

2003/06/26
Music For Sunday Lovers / Milton Nascimento 2003

 ブラジル音楽界の巨匠ミルトン・ナシメントが1969年から1978年にかけてEMIから出した8枚のアルバムからセレクトされたベスト盤です(ミルトン本人公認)。ブラジル音楽というとサンバとかボサノバが有名ですが,ミルトンの作り出す音楽はそれらをルーツとしながらもジャズやロック時にはクラシックの要素も取り入れたまさにミルトン・ミュージックと称すべき独自の音楽なのです。美しいメロディーと洗練されたサウンドも魅力的ですが,それ以上に魅力的なのが彼自身の歌声です。とてもあのお顔からは想像の出来ない美しい歌声は聴く者の心をとらえて離さない魅力を持っています。そんなミルトンの代表曲23曲が収録されているこのベスト盤はミルトン初体験の人にこそ聴いて欲しいアルバムですね。名曲『マリア・マリア』1曲だけでも持っている価値有りです。それにしても,このアルバムタイトルだけはなんとかならなかったもんですかね?(^^;) BACK

2003/07/06
Sigh Into A Universe / Pete Hastings 1997

 某CD屋の10枚500円コーナーの中に埋もれていた1枚であり,それまでこのPete Hastingsというミュージシャンについてはまったく知りませんでした。買ってからネットで調べてみたんですが,これがまたほとんど情報が無いんですよね(日本語による情報は皆無です(^^;)。というわけで,未だにどういう活動をしているミュージシャンであるかは不明のままなのです。それでは肝心の曲の方はどうかといえば,基本的にはトラッド風のアコースティック・サウンドがメインなのですが(ケルト音楽の影響強し),ジャズっぽい部分もあったりアシッド・フォーク的な部分もあったり,曲によってはBeckを彷彿とさせるものもあったりと,なかなか一筋縄ではいかないサウンドです。所謂インディーズ・レーベル(個人レーベル?)から出ていると思われるアルバムですが,こういうのを聴くと,アメリカのミュージック・シーンの層の厚さというものを今更ながら実感させられますね BACK

2003/07/14
Pathfinder / Beggars Opera 1972

 イギリスの抒情派プログレ・バンド,Beggars Operaの3rdアルバム。プログレとはいっても決して難解なものではなく,美しいメロディーの聞き易いPOPな曲の方が多いのです。それでいながらクラシカルな味わいを感じるあたりにいかにも英国のバンドといった印象を受けますね(曲によってはトラッド風な部分もあります)。そして,そのクラシカルでなおかつPOPな味わいをもつ代表的な曲が『マッカーサー・パーク』です。Jimmy Webb作のこの曲は数多くのミュージシャンによってとりあげられている名曲ですが,その中にあってもBeggars Operaのヴァージョンは1,2位を争う出来だと思います。他の曲もすべて『マッカーサー・パーク』くらいの出来だったら,このアルバムは間違いなく歴史に残る名盤となったんですけれどね.... BACK

2003/07/28
The Thorns / Thorns 2003

 マシュー・スウィート,ピート・ロージー,ショーン・マリンズというソロ・キャリアを積んだ3人のミュージシャンが組んだバンドの初アルバムですとはいえ,個人的にはマシュー(ヲタク)スウィートが参加しているってんで買ったわけですが....(^^;)。さて,3声によるハーモニーというとCS&Yやアメリカがまず頭に思い浮かびますが,このソーンズのサウンドもまさにそういったバンドの系譜にあります。特にPOPな部分などはジョージ・マーティンがプロデュースしたアメリカとの共通点が多いかもしれません。とはいえ,全編アコースティックなサウンドであるかといえばそうではなく,バックのサウンドはしっかりとロックしたものもあります。もっとも,そういった曲でもメロディーとコーラスは美しいのですが....。こういうアルバムを聴くと,やっぱり人間の声って良いなぁ〜っとつくづく思ってしまいますね。 BACK

2003/08/06
The O.P.King / O.P.King 2003

 たまたまTVで放送された『O.P.Kingのテーマ』を見て,あれ?これって奥田民生じゃないの?と思ってインタネで検索してみたら,奥田民生がYO-KING,大木温之,佐藤シンイチロウと期間限定バンドを組んでミニ・アルバムを出すというじゃないですが!。というわけで,さっそく発売日当日に買いに行ったのがこのCDです。実はこのCDはKi/oon,SME,KINGの3社からそれぞれ色違いで発売されていまして,私が買ったのはKi/oon盤です。もしかしたら,CCCDでは?という危惧があったのですが,例のマークも貼られておらず,きちんと正規のCDでした。良かった良かった(^_^)。
 さて,肝心のサウンドの方ですが,これが今時ここまでやっていいの?ってくらいにストレートなロックンロールなのです。それもアメリカではなくいわゆるリバプール・サウンドって感じのロックンロールです。リバプール・サウンドといえばビートルズですが,このアルバムでO.P.KingがカヴァーしているR&Rナンバーは3曲ともビートルズがデビュー前からステージで演奏している曲なのです。このあたりの選曲もなかなか渋くて良いですね。 BACK

2003/09/03
Other Peoples Rooms / Mark-Almond 1978

 プロデューサーにTommy Lipuma,バックにSteve Gadd,Will Leeといった名うてのセッションメンバーを迎えて作られた,Mark-Almondのアルバムの中でもっともフュージョン&AOR的なサウンドのアルバムです。当時はPunk&New Wave全盛期であり,この手のサウンドは良識ある(^^;)ロック・ファンにとっては唾棄すべきものであったのですが,彼等のサウンドだけは私にとっては別格の存在でした。何よりもJon Markの決して上手くはないけれど味わい深いヴォーカルが心に染みるんですよね。久しぶりにCDで聴いてみたのですが,当時よりもさらに良さがわかってきたような気がします。そうなんです,これこそが真の意味でのAORなのです。夜誰もいない部屋でゆっくりとくつろぎながら聴きたい音楽ですね。全曲良い曲ばかりなんですが,特に「Just a Friend」の切なさには泣けます。 BACK

2003/10/03
Second Flight / Pilot 1975

 1970年代を代表するPOPバンドのひとつであるパイロットが1975年に出した2枚目のアルバムです。シングル・ヒットした『Call Me Around』『January』ももちろんPOPな魅力溢れる名曲なんですが,このアルバムにはそれ以外にも『You're My No.1』『Love Is』といったPOPな名曲が多数収録されています。
 彼等が活動していた1970年代にはBCRに在籍していたメンバーがいるということが災いしてなかなか正統な評価を受けることができずにいたのですが,現在ではビートルズを代表とするBritish POPの正統な後継者であるPOPバンドとして高く評価されるようになりました。そういえば,プロデューサーはビートルズとも縁の深いアラン・パーソンズでしたっけ...。
 そんな彼等の魅力は何といってもメロディーにあります。その胸がキュンと切なくなるような甘酸っぱいメロディーにはPOPの魅力がぎっしりと詰まっているのです。 BACK

2003/10/16
Open Book / Lemon Trees 1993

 2000年に発売された『The DIG』誌に『「幻の名盤」100〜レノンズ・チルドレン』の1枚として紹介されていたので以前から気になっていたアルバムですが,実際に聴いてみると確かにビートルズの遺伝子を色濃く受け継いだサウンドです。何よりもメロディーがPOPなのが良いですね。
 この手のサウンドって,ともすれば「1960年代サウンドの美味しいところ取り」と言われてしまいますが,しかし,実際に「1960年代サウンドの美味しいところ取り」をするにはかなりのセンスが必要とされるんですよね。そういう意味では元ワールド・パーティーのガイ・チェンバース率いるこのレモン・トゥリーズは実に素晴らしいセンスを持っていると言えます。それ故,ただ単に懐古的なサウンドではなく1960年代サウンドの良質な部分を1990年代的解釈できちんと昇華したサウンドとなっているのです。
 気持ちの良いPOPサウンドを聴きたい方にはぜひお薦めしたいアルバムですね。 BACK

2003/10/24
The Heritage Sessions / Mob 1995

 ソフト・ロックを語る上ではずすことのできないプロデューサーの一人でであるジェリー・ロスが作ったレーベル『Heritage』に所属していたバンドThe Mobが1970年に録音した音源を収録したアルバムです(とはいえ,どう聴いてももっと後の時代の録音としか思えない曲も収録されているのですが(^^;)。プロデュースはもちろんジェリー・ロスですが,そのサウンドはジェリー・ロスがプロデュースした他のミュージシャンのアルバムと比べるとPOP色が薄いように思えます。それよりもブラス・ロック的傾向が強く,同時期のシカゴやBS&Tと比べても決して遜色ないサウンドだと思いますね。また,ほとんどの曲をバンドのメンバーであるJames HolvayとGary Biesbierが作っていることからも,実際に自分達がやりたいサウンドを出していたのではないでしょうか?。とはいえ,かろうじてTop100に2曲入っただけで,バンドとしてはほとんど売れなかったんですけれどね(^^;)。 BACK