2004/05/22
Leaving Friday Harbor / Battlefield Band 1999

 アイルランドと同じケルト文化圏であるスコットランド出身のベテラン・トラッド・バンド(1970年デビュー)の21枚目のアルバム。バトルフィールド・バンドは頻繁にメンバー交代を行っており,このアルバムを発売した頃にはオリジナル・メンバーはただ一人でメンバーの年齢も20代から50代とバラエティーに富んでいますが,そんな年齢差はつゆも感じさせない非常にまとまった演奏を聴かせてくれます。その中でも最年少メンバーであるフィドル奏者のジョン・マッカスカーは若手No.1フィドル奏者としてソロでも活躍しています。『トラッド=民謡=古い音楽』という印象があるかもしれませんが,このCDを聴けば,そういうイメージがまったくの間違いであることに気が付くでしょう。確かに使用している楽器は古典的なものが多いのですが,そのサウンドはとても洗練されているのです。つまり,イギリスにおいてトラッドは今なお生きている音楽であるということですね。 BACK

2004/05/31
Comic Strip / Serge Gainsbourg 1996

 稀代の女誑しにしてロリコン親父であり,そしてフランス・ポピュラー音楽界の天才(奇人)でもあるセルジュ・ゲーンズブールが1966年から1969年にかけて発表した曲の中から20曲をセレクトして作られたコンピ盤です。もちろん,ジェーン・バーキンとともに歌ったエロティックな愛の賛歌『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』も収録されています。しかし,『馬鹿者のためのレクイエム』『'69はエロの年』というタイトルの曲が収録されているのもさることながら,アルバム・タイトルの邦題が『エロティック・ゲーンズブール〜コミック・ストリップ』というのもいかにもゲーンズブールらしいというか...(^^;)。とはいえ,収録されているそれらの曲が巫山戯ているかといえば,そんなことはなく,いずれも素晴らしいメロディーを持った曲ばかりなんですよね。外見はともかく(^^;),彼がフランスを代表するミュージシャンの一人であることは間違いありません。 BACK

2004/06/05
The Best Of The Jetset / Jetset 1992

 Puffyの(というより大貫亜美)『ただいま』の作者でもあるPaul Bevoirが在籍していた60年代なりきりバンドのベスト盤です。収録されている全29曲のいずれもが1960年代中期の香り溢れるPOPな曲ばかりです。といってもJerryfishのような完成度の高いPOPサウンドではなく,PunkというかGarage的な荒削りさもあったりして,それがかえって60年代っぽかったりするんですよね。また,彼等のなりきりぶりはサウンドだけではなく,その服装や宣伝用のポスターにいたるまですべてにわたって徹底しています。いやもうここまでやれば大したもんですよ(^^;)。
 1980年代という時代のせいか,当時はほとんど話題にならなかったバンドですが,1960年代中期から後期にかけてのPOPなRockが好きな人ならば絶対に聴いて損はしないと思います。ただ,残念なことに,現在彼等のアルバムはこのBest盤を含めて入手が困難なんですよね(:_;)。 BACK

2004/07/09
Wise After The Event / Anthony Phillips 1978

 英国プログレバンドの老舗Genesisの初代ギタリストであったAnthony Phillipsのソロ第2作です。前作がアコースティックな中世的サウンドがメインであったのに対し,本作はGenesisとも共通する所謂プログレらしいサウンドとなっています。このサウンドの変化はおそらくプロデューサーであるRopert Hineによるものなんでしょうね。ヴォーカルが弱いのが難点といえば難点なんですが,美しいメロディーを持つ曲が多いので,それもあまり気にはなりません。特にクラシカルな味わいのある『Regrets』はこれ1曲だけでも持っていて良かったと思わせる名曲です。プログレ・ファンにとってはMichael GilesMel Collinsが参加しているのも嬉しいですね。Peter Crossによるジャケットもまた秀逸です。 BACK

2004/07/16
Live In Berlin / Sailor 2002

 1970年代中期から後期にかけて活躍した無国籍POPバンドが1995年に行った再結成ライヴを収録したアルバムです。彼等のようなPOPバンドの再結成ライヴはとりあえず集まってみました的なおざなりなものが多いのですが(時には自分達は演奏すらしていないものもあります),1曲目の『A Glass Of Champane』を聴いただけで,そんな心配はあっという間に消えてしまいました。それぐらいこのLive盤で聴くことのできるサウンドは,彼等の全盛期である1970年代中期と比べても遜色のない生きたサウンドなのです。かえってワールド・ミュージックの時代を経過した今だからこそ彼等の無国籍なサウンドの魅力がストレートに伝わってくるのではないでしょうか?もちろん,Sailorサウンドの要である楽器『ニッケルオデオン』の音もたっぷりと楽しむことができます。 BACK

2004/07/23
Does Humor Belong In Music ? / Frank Zappa 2003

 かつて日本で唯一オフィシャルな国内版LD(Video)として発売された1984年のLive映像がDVD化されたものです。CDでも同名タイトルの物が発売されましたが,それとは収録曲が大幅に異なっています。このDVDに収録されているのは,Zappa御大の曲の中でもPOPでしかもお下劣な歌詞の曲が中心なんですよね。どのくらいお下劣かといえば,日本語だったら絶対に放送禁止間違いなしでしょうね(^^;)。ところが,演奏の方はとてつもなく上手くてカッコイイんですよね。それも,何であんなふざけたアクションをとりながらあれほどまでに凄い演奏ができるんだろう?と楽器を弾く人間だったら嫌になっちゃうくらいのレベルです。これは今だに「Zappaは難解だ」なんて誤解している人にこそ見ていただきたいLive映像ですね。しかし,対訳がついている国内盤だったら,歌詞の方も楽しめるのに.ねぇ..この点についてはつくづく残念です。 BACK

2004/07/29
Kanon Air Piano Arrange Album Re-Feel / KIYO/riya 2003

 音楽に定評のあるゲーム・メーカーKeyのゲーム『Kanon』と『Air』の挿入曲をピアノ・アレンジしたアルバムです(各々5曲ずつ)。ゲーム音楽をピアノ・アレンジしたものといえば,Leaf作品の曲をピアノ・アレンジした『Leaf Piano Collection』がありますが,残念ながら,このアルバムにはアレンジのやり過ぎでちょっとガッカリさせられた曲もあるんですよね(^^;)。確かにアレンジも大切なのですが,それが原曲のイメージを壊してしまうとなると,こりゃもう本末転倒ってものです。それと比べると,この『Re-Feel』に収録されている曲はほぼ原曲のイメージに忠実なので(『青空』のサビにはちょっと違和感を感じる部分もありますが),聴いていてとても安心感があります。私がこの手のアルバムに求めるのは斬新なアレンジではなく,いかに原曲の雰囲気を壊すことなくピアノ・アレンジできているか否かなんです。ピアノ1台で演奏されてもメロディーの素晴らしさが少しも変わらない....ということは,Key作品の曲は,それだけ良いメロディーを持っているということですね。 BACK

2004/08/04
Animals Should Not Try To Act Like People / Primus 2003

 アメリカの超テク変態バンドのプロモヴィデオ集DVDに新録のスタジオ盤CDをセットした2枚組です。CDの方もそれなりに楽しめるのですが,DVDの面白さときたら,これはもう筆舌に尽くしがたいものがあります。元々変なバンドだとは思っていたのですが,まさかここまで変だとはねぇ....(^^;)。特にBass&VocalのLes Claypolの変態ぶりは突き抜けてます。それでいて,演奏の方は超絶技巧だというのが摩訶不思議なんですよね。
 DVDにはプロモ以外にもLive映像も収録されているのですが,これが何故か海賊版並みの画像なんです。おそらく初期のLiveを家庭用のビデオで撮影したものだと思いますが,他にもちゃんとしたLive映像があるだろうにわざわざこういう映像(ある意味とてもレアな)を収録するあたり,何だか彼等らしいな....と思っちゃいますね。
 ただ,残念なのが,音声が5.1chじゃないってことです。せっかくのDVDなんだから,ぜひそこまでやって欲しかったですね。 BACK

2004/08/15
Get It On - The Seventies DVD Jukebox / V.A. 2003

 副題のとおり,1970年代の音楽映像22曲を収録したDVDです。収録されているのはドイツの音楽番組『Beat Club』や『Musik Laden』で放送された映像なのですが,そのほとんどが口パクのヴィデオ・クリップではなくライヴ・ヴァージョンであるというのが嬉しいですね。曲によってはオーヴァー・ダビングされているものもあるのですが,それもきちんと映像処理されています。たとえば,Jeff Beck Groupの『Definity Maybe』ではJeff Beckのギターが3本重ねられているのですが,その部分の映像ではなんと3人のJeff Beckがギターを弾いているんです(^^;)。もっともあの時代の映像らしいというのか....変にサイケな映像処理がなされている曲があるのは,ちょっとアレなんですけれどね(^^;)。
 映像の方は以前発売された『Beat Club』や『Musik Laden』のLDに収録されたものと比べて特に向上したようにはあまり感じませんが,サウンドの方は一応『5.1ch』や『dts』化されています....といってもあまり違いは分からないんですけれどね(^^;) BACK

2004/09/28
Andrea / Sunrays 1966

 SunraysBeach Boysのウィルソン兄弟の父親,マレー・ウィルソンがプロデュースをしていたということでBeach Boysのクローン的な印象を持たれているバンドですが,BadfingerBeatlesのクローンと認知されていたが故に同時代では過小評価されていたのと同様,このバンドもまた過小評価されていました。私自身存在すら知りませんでしたしね(^^;)。ところが最近になってSoft Rockファンの間で再評価されているというので聴いてみたのですが,確かに単なるBeach Boysフォロワーのサーフィン・サウンドではなく,いかにもSoft Rockファン好みの洗練されたPOPサウンドなんですよね,これが。しかも,アルバム中約半数の曲がバンド・メンバーのオリジナルですから,Sunraysが個性も実力もあったバンドであったことは間違いありません。1960年代のPOP Musicが好きな方にはぜひお薦めしたいアルバム。 BACK