The Rembrandts

 1970年代後半にロサンジェルスで活躍していたGreat BuildingsというNew Wave バンドのメンバーであったダニー・ワイルド(Vo,AG,Bass,Key,Perc)とフィル・ソーレム(Vo,EG,AG,Key)は,バンド解散後それぞれ別個に音楽活動をしていたが,1990年に再会したことを機にコンビを組んで作曲活動を始めた。
 そしてガレージで作り上げたデモ・テープをアトコ・レコードに送ったところ,これがアトコ・レコード社長デレク・シュルツマンに認められ契約,同年1stアルバム『The Rembrandts』を発売。1stシングルの『Just The Way It Is,Baby』はスマッシュ・ヒット(全米14位)となり順調なスタートを切る。
 その後も1992年に2ndアルバム『Untitled』,1995年に『L.P.』とコンスタントにアルバムを発表。特に『L.P.』収録の『I'll Be There For You』は全米17位,全英3位の大ヒットとなる。
 順風満帆に思われたレンブランツだったが,その後
ダニーフィルはコンビを解消(理由は不明),ダニーは1998年にDanny Wild + The Rembrandts名義で『Spin This』を発表し,一方フィルTHRUSHというバンドを結成し,2000年に同名アルバムを発表する。
 しかし,2001年に二人はレンブランツを再結成し,再結成アルバム『Lost Together』(残念ながら未聴)を発表。

 とまぁ,簡単にレンブランツ(あの有名な画家の名前が由来なんでしょうね)の歴史を書いてみましたが,実はこのバンドのアルバムって,所謂『廉価盤』コーナーの常連と化しているんですよね。
 それでは,それだけの値段(100円〜600円)の価値しかないサウンドであるかといえば,否!そんなことはありません。POPアルバムとしては間違いなく1級品のアルバムばかりなのです。
 特にメロディーの美しさは,数多ある1990年代POP系バンドの中でもトップ・クラスです。いや,本当ですってば,嘘だと思ったら300円捨てるつもりで彼等のアルバム(特に1st〜3rd)を買ってみてください。ビートルズ直系のPOPサウンドが好きな人ならば,必ず気に入るはずです。
 それに,300円だったら,もし気に入らなかったとしても,そんなに損した気にはならないでしょう?(^^;)

The Rembrandts / Rembrandts (1990) AMCY-933 


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The Rembrandts
 レンブランツの記念すべき1stアルバムです。新人ながら(といってもキャリアは古いのですが)プロデュースは自分達で行っています。サウンドそのものはシンプルであり,おそらくアトコ・レコードに送ったデモ・テープはさほどこのアルバムと変わりないものだったのでしょうね。それならば,アトコ・レコード社長デレク・シュルツマンが惚れたというのも理解できます。それほどこのアルバムに収録されている曲は素晴らしいPOPミュージックばかりなのです。サウンド的なギミックには一切頼らず,曲そのもの(メロディー)で勝負したこのアルバムは,たとえ時代が変わろうとも普遍的な魅力を保ち続けることができるでしょう。また,エヴァリー・ブラザーズ直系ともいえる2声のハーモニーも彼等の魅力のひとつなのです。
 えねま的お気に入りは,胸キュンPOPの『Just The Way It Is,Baby』と,切なくなるようなバラードの『Someone』です。

Untitles / Rembrandts (1992) AMCY-467


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The Rembrandts
 前作同様POPな魅力に溢れているアルバムですが,ハードなギター・サウンドの曲があったり,トラッド風な曲があったり,ラテンな曲があったり等,前作よりもサウンドの幅が広がっています。もちろん,POPで美しいメロディーとハーモニーは健在です。アメリカのスクィーズと言ったら,サウンドの傾向が分かりやすいかもしれませんね(もちろん個性は違うのですが(^^;)
 彼等の場合は1960年代のサウンドを取り入れたというよりも,曲を作ってみたら,それが自分達が子供の頃に深層心理に『刷り込まれた』1960年代のサウンドだったって感じがします。つまり,それだけ自然なサウンドという印象を受けるんですよね。
 えねま的お気に入りは,中期及び後期ビートルズ直系POPの『Johnny Hace You Seen Her ?』と『Maybe Tomorrow』(Badfingerとは別物(^^;),そしてコーラスワークの素晴らしい『Hang On, Clementine!』です。

L.P. / Rembrandts (1995) AMCY-884


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The Rembrandts
Don Smith
 前2作のカラフルなイラストのジャケットからモノクロ写真のジャケットに変わりましたが,多少ロック色が強くなったような印象は受けるもののPOPで美しいメロディーとハーモニーは変わりありません。タイトルに合わせてCD盤の表面はレコード盤(LP)のようになっており,また1曲目が始まる前に針のプチプチ音が入っている等細かな点にも彼等のアナログに対する愛情と拘りが感じられますね。
 このアルバムのプロデュースは今までのようにレンブランツだけではなくDon Smithも参加しています。Don Smithという人がが他にどのような活動をしてきたプロデューサーであるかは良くわからないのですが,前2作に比べてロック色が強くなったのは,おそらく彼の手腕によるものなのでしょう。
 そして,このアルバムを代表する...いや,1990年代を代表するPOPソングといっても過言ではないのが『I'll Be There For You』です。アメリカのTV番組『フレンズ』のテーマ曲として作られたこの曲は全米17位,全英3位という彼等にとって最大のヒット曲となりました。
えねま的お気に入りは,『I'll Be There For You』は当然として,切なくなるようなメロディーの『Don't Hide Your Love』と『Drowning In Your Eyes』もはずせませんね。

Spin This / Danny Wilde + Rembrandts (1998) EW-851


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Gavin Mackillop
 フィル・ソーレムが去った後に出たレンブランツのアルバムであり,実質的にはダニー・ワイルドのソロ・アルバムというべき作品です。ちなみにジャケットの写真は間違えて逆さまにしたわけではありません(^^;)。基本的には前作までと変わらないサウンドなのですが,しかし,何かこうひとつ物足りないんですよね。フィルと2人によるハーモニーが無くなってしまったということもその原因の一つなんですが,それだけじゃなくて,前作までにあったPOPマジックのようなものが無くなってしまったような....そんな気がしてならないんです。
 結局2001年に
フィル・ソーレムとのコンビを復活してレンブランツの再結成アルバムを作ったのも必然だったのでしょうね。
 ところで『
Shakespeare's Tragedy』でオーケストラのアレンジと指揮をしているのは,あのVan Dyke parksなのです。どういう関係の繋がりなのかわかりませんが,これにはちょっとビックリしてしまいました。

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