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花のサンフランシスコ
San Francisco (Be Sure To Wear Flowers In Your Hair)
スコット・マッケンジー
Scott McKenzie

1967年
全米4位,全英1位
 この曲はいわゆる『サマー・オブ・ラヴ』を象徴する曲として知られますが(別の見方をすればお気楽脳天気ソングともいえるのですが(^^;),私にとっては初めてリアル・タイムで好きになった洋楽のひとつなんですよね。とはいっても,当時私は9歳。「はたして9歳の子どもが洋楽を好きになるのか?」という疑問があるかもしれませんが,好きになってしまったものは仕方がありません。私にとっては間違いなく1967年の夏を象徴する曲なのです。中学生になってから,レコード店でこのシングル盤を見つけたときには狂喜乱舞したもんです(本当に踊りはしなかったけれどね(^^;)。
 『サマー・オブ・ラヴ』云々を別にしても,12弦ギターのイントロから始まり朗々と歌われるこの曲は,間違いなく
フォーク・ロックを代表する曲のひとつであり,そのメロディーのPOPな美しさは特筆すべきものがあります。また,シタールがそこはかとなくサイケな香りを醸し出していますね。
 ちなみに,この曲には『
Let's Go To Sanfrancisco』(Flowerpot Men)というアンサー・ソングがありますが,この曲もまたソフト・ロック系のPOPファンに人気のある曲なのです。
 
作者はママス&パパスのJ.Philips ,収録アルバムは『Anthology 1960-1970/Stained Glass』,その他1960年代のコンピレーション・アルバム多数に収録されています。 BACK

シーズン
Seasons
アース&ファイア
Earth & Fire

1971年
全米*位,全英*位
日本(AJP20)1位
 オランダのバンドといえば『ヴィーナス』のショッキング・ブルーが有名ですが,このアース&ファイアもまた女性ボーカルをフィーチャーしたバンドです。シンプルだけれど印象的なギターのイントロから始まるこの『シーズン』という曲の魅力はなんといってもその日本人の琴線に触れまくる哀愁を帯びたメロディーにあります(もっとも,それはオランダのバンドに共通する魅力でもあるんですけれどね)。そして,アップ・テンポな曲調の前半とテンポを落としアコースティック・ギターとリコーダーのみのバックで歌われる後半の対比もまたこの曲の魅力の一つです。ところで,この曲の作者はバンドのメンバーではなく,やはりオランダのバンドとして有名なゴールデン・イアリングのメンバーなんですよね。
 この曲からはあまり想像できませんが,実は
アース&ファイアはプログレ・バンドとしても認知されており,ベスト盤に収録されている曲の中にもメロトロンをフィーチャーしたプログレの香りのする曲が収録されています。
 
作者はG.Kooymans ,収録アルバムは『Greatest Hits』です。  BACK

See You Again
See You Again
高野 寛
Hirosi Takano

1988年
全米*位,全英*位
 日本を代表するPOP職人の一人高野寛のデビュー・アルバム1曲目にしてデビュー・シングルとなった曲ですが,これがなんとも気恥ずかしいまでに無垢なPOPなんですよね。歌詞なんか最初聴いたときには恥ずかしさで背中がむずむずしちゃいましたよ(^^;)。それなのに何度も聴きたくなるのは,この曲がビートルズ-->>トッド・ラングレン直系のPOPなメロディーを持っているからなんでしょうね。歌詞の方も何度か聴くうちに抵抗がなくなった....というよりも,この曲の無垢なメロディーにはあの無垢な歌詞じゃなければダメなんだ....と思うようになりました。
 正直言って,曲の出来からいえば,後にトッド・ラングレンがプロデュースした『虹の都』や『ベステンダンク』といった曲と比べれば完成度は低いのですが,逆にその完成度の低さが
青春期の甘酸っぱさやほろ苦さを醸し出しているのかもしれません。
 作者は
高野寛,プロデューサーは高橋幸宏,収録アルバムは『hullo hulloa』 BACK

あの娘のスタイル
She's Just My Style
ゲイリー・ルイスとプレイボーイズ
Gary Lewis & The Playboys

1966年
全米3位,全英*位
 ゲイリー・ルイス有名な喜劇俳優ジェリー・ルイスの息子)のヴォーカルはお世辞にも上手いといえないし,バンドもレコーディングではスタジオ・ミュージシャンが演奏していました。しかし,そんなことと,この曲の持つPOPな輝きとは何の関係もありません....いや,別の角度から見れば関係があるな。というのも,この曲のアレンジをやっているのは,あのレオン・ラッセルなのです(作者の一人としてもレオン・ラッセルの名前が入っています)。なんともセンスの良いこのPOPサウンドがレオン・ラッセルの手によるものと思うと(たとえば,イントロのピアノとベースのユニゾンとか,サビのビーチ・ボーイズ風のハーモニーとか),とても納得がいきますね。ちなみにこの曲のリード・ギターもレオン・ラッセルが弾いているそうです。
 作者はLewis,Russell,Lesslie,Capps ,プロデュースはSnuff Garrett,収録アルバムは『She's Just My Style』(Best盤にも当然収録)です。 BACK

木枯らしの少女
She's My Kind Of Girl
ビョルン&ベニー
Bjorn & Benny

1970年
全米*位,全英*位
日本(AJP20)1位
(1972年)
 洋楽の中には,日本限定でヒットした曲というものがありますが,『AJP20』で1972年3月第1週から4週間連続1位の大ヒットとなったこの曲もまたそのひとつです。元々は1970年に『ただれた関係』という凄い邦題がついた映画のサントラとして作られた曲なのですが,これをたまたまパリで耳にした音楽関係者がプッシュしたことにより1972年になって日本でもシングルとして発売されたそうです。スウェーデン出身の(日本では)無名のデュオの曲をいきなりシングルにしちゃうなんて,今から考えればとんでもない暴挙に思えますが,当時はこうやってヒット曲を掘り出すのもレコード会社の洋楽担当者の手腕のひとつと思われていたようですね。おそらく,パリでこの曲を耳にしたという音楽関係者は「見つけたぞ!」と小躍りしたに違いありません。それぐらい,この曲の北欧的哀愁メロディーとフォーク・ロック風味の爽やかなサウンドは,まさに日本人の好みのツボにピッタリはまる魅力に満ちあふれているんですよね。
 この後ヒットに恵まれず,いつの間にか消えてしまったと思われたビョルン&ベニーですが,1970年代後半から1980年代かけてにヒットを連発したABBABBが実はビョルン&ベニーであるということを知ったときには,驚くとともに「なるほどなぁ」と納得したものです。
 作者はB.Andersin & B.Ulvaus ,プロデュースはB.Andersin & B.Ulvaus,収録アルバムは『Ring Ring』(ABBA名義)です。  BACK

あの娘はアイドル
She'd Rather Be With Me
タートルズ
Turtles

1967年
全米3位,全英4位
 タートルズが『ハッピー・トゥゲザー』に続いて放ったヒット曲で,作者も同じGary Bonner & Alan Gordonです。軽快なドラムとギターのイントロから始まるこの曲は,聴いているだけでHappyになってしまうようなメロディー(特にサビの部分の盛り上がりが気持ち良いんです)は当然として,バックのサウンドがまたシンプルだけれど小粋なサウンドで実にセンスが良いんです。当然の如くタートルズお得意の『パパパ〜・コーラス』も炸裂してます(^^;)。
 というわけで,この曲は彼等の代表曲である『
ハッピー・トゥゲザー』と比べても遜色のない名曲であり,実際英国ではこの『あの娘はアイドル』の方がヒットしているんですよね。そういえば,1977年にベイ・シティ・ローラーズを脱退したパット・マグリンがカヴァーして日本(だけ)でヒットさせてましたっけ....いや,正直言いましょう。実は当時これがタートルズの曲とは知らず,「なんだパット・マグリンのくせに(^^;)良い曲じゃないか!」と思っていたというのは事実です(^^;)。
 
 作者はGary Bonner & Alan Gordon,収録アルバムとしては,Rhinoから出ている『20 Greatest Hits』があります。 BACK

サムデイ・マン 
Someday Man
モンキーズ
Monkees

1969年
全米81位,全英*位
 『すてきなミュージック(Listen To The Band』のB面として発表された曲ですが,当時はすでにモンキーズ人気が急下降の時期であったため,A面であっても少しも不思議ではない名曲であるにもかかわらず,ほとんど話題にもなりませんでした。しかし,後に作者の一人であるポール・ウィリアムスがソロ・アルバムのタイトルにしたことなどもあって,現在ではソフト・ロックの名曲として高く評価されています。もっとも,個人的にはポール・ウィリアムスのヴァージョンよりモンキーズのヴァージョンの方がずっと素敵でPOPだと思います。そういえば,ポール・ウィリアムスはモンキーズのオーディションに落ちた中の一人だったんですよね。
 しかし,これほど完成度の高いPOPナンバーがシングルのB面なんですから,いかにモンキーズの楽曲が粒ぞろいであるかがわかりますよね。
 作者は
Roger Nichols&Paul Willimams。元々はアルバム未収録の曲でしたが,現在『Instant Replay』にボーナス・トラックとして収録されています。 BACK

スペンド・ユア・ライフ 
Spend Your Life
ファースト・クロウ・トゥ・ザ・ムーン
First Crow To The Moon

1967年
全米*位,全英*位
 『POPのお薦め』の中で,この曲が一番マイナーな曲かもしれませんね。というのも,このファースト・クロウ・トゥ・ザ・ムーンというバンドは,本国アメリカでもシングル盤を1枚出しただけのローカル・バンドなのです。当然というか,この曲もまったくヒットしていません。それでも,これが実に良い曲なんですね。サウンド的にはこの時代に良くあるサイケ&ガレージ系のサウンドなんですが,日本のGSにも通じる哀愁あふれるメロディーがなんとも言えぬ味を出しているんです。特にミドル8からサビにかけてのコーラス&ハーモニーは哀愁メロディー&サイケ好きである私の琴線ふれまくりです。
 ところで,この不思議なバンド名『
First Crow To The Moon』は,実は『First Crew To The Moon』の誤植だという話もあるのですが,だとしたらちょっとおマヌケな話ですよね。
 
作者はメンバーのJerry Millstein ,収録アルバムはSundazedから出ている『Psychoderic Microdots Vol.3』です。  BACK

愛のストーリー
Story In Your Eyes
ムーディー・ブルース
Moody Blues

1971年
全米23位,全英*位
日本(AJP20)10位

 『愛のストーリー』(しかし,なんとも言えない邦題ですね(^^;) は,私が初めて聴いたムーディー・ブルースの曲です。初めてラジオで聴いた時にはムーディー・ブルースが所謂プログレ・バンドであるとはまったく知らず,ギターのカッコイイRockだなぁ....ぐらいにしか思いませんでした。それでも何故かコーラスとストリングスが普通のRockとは何だか違うように思えたんですよね(このときにはメロトロンの存在すら知りませんでした)。そして,この曲と『サテンの夜』によって,中学生だった私は熱烈なムーディー・ブルース・ファンになるのですが,それはまた別の話です。
 この曲の魅力はなんといっても(日本人好みの)哀愁のあるメロディーですが,それを歌うジャスティン・ヘイワードの歌声と,そして彼自身が弾くギターもまた良いんですよね。もちろん,コーラスとメロトロンも魅力的であるのは言うまでもありません。

 作者はJustin Hayward ,プロデュースはTony Clark,収録アルバムは『Every Good Boy Deserves Favour(童夢)』です。  BACK


白い渚のブルース
Stranger On The Shore
アッカー・ビルク
Acker Bilk

1962年
全米1位,全英1位
 イギリスのミュージシャンが初めて記録した全米No.1ソング,それがこの『白い渚のブルース(それにしても凄い邦題だな(^^;)なのです。実はビートルズじゃなかったんですね(^^;)。作者であり演奏者であるアッカー・ビルクはジャズ・クラリネット奏者なのですが,この『白い渚のブルース』はジャズというよりイージー・リスニングといった方がお似合いの曲です。しかし,この曲の持つやさしく甘いメロディーにはどうにも抗えない魅力があるんですよね。当時日本でも大ヒットした曲ですから,もしかしたら幼い私の耳に自然に入ってきたものが心の奥底に刻まれているのかもしれません。
 ちなみに,スクィーズがこの曲をカヴァーしているらしいのですが,ぜひそれも聴いてみたいものです。
 作者はAcker Bilk,収録アルバムは『Stranger On The Shore』です。 BACK

シュガー・シュガー
Sugar Sugar
アーチーズ
Archies

1969年
全米1位,全英1位
日本(AJP20)7位
 アーチーズは実在のバンドではなく,アメリカで制作されたTVアニメの中のバンドです。これには途中から自己主張が激しくなったモンキーズにうんざりしたドン・カーシュナーが,絶対に文句を言わないアニメのバンドにしたというまことしやかな話が伝わっています(^^;)。もちろんアニメの登場人物達が演奏できるわけもなく,実際に演奏しているのはスタジオ・ミュージシャンであり,ヴォーカルを担当しているのはセッション・シンガーとして名高いロン・ダンテなのです。ちなみにロン・ダンテは同時期にカフ・リンクスとして『トレイシー』のヒットを放っているんですよね。
 そういう制作事情は別にして,この『シュガー・シュガー』という曲が
実に良くできたPOPナンバーであるという事実には変わりがありません。シンプルだけど的を射たアレンジと軽快だけれどちょっぴり胸がキュンとなるような甘酸っぱいメロディーを持つこの曲は,まさにヒットするために生まれてきたといっても過言ではないでしょう。
 
作者はメンバーのJeff Barry & Andy Kim ,Best盤ならば必ず収録されているはずです。  BACK

サマーワイン
Summer Wine
ナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッド
Nancy Sinatra & Lee Hazelwood

1967年
全米49位,全英*位
 ナンシー・シナトラの1960年代のヒット曲『シュガータウンは恋の町(Sugar Town)』 『憎いあなた(These Boots Are Made For walking)』の作者&プロデューサーであるリー・ヘイゼルウッドナンシー・シナトラは1960年代後半にデュエットを組んでおり(恋仲だったという噂もありますが),この『サマーワイン』もその時期にリリースされた曲のひとつです。もっとも,デュエットといっても,リーナンシーが交互に同じメロディーを歌うという,何だかカラオケで良くあるようなデュエット・スタイルなんですけれどね(^^;)。
 『サマーワイン』は本国アメリカにおいてはあまりヒットしなかった曲ですが,日本では良くラジオから流れていた記憶があります。でなければ,当時10歳にもなっていない私が覚えているはずがないですよ。そして,低音で男臭いリーの歌声と,セクシーな(当時そういう概念を持ち合わせていたかどうかは微妙ですがナンシーの歌声に,なんだか『大人の歌』だなぁ...とわけもわからず感じていたことも,何故か良く覚えているんですよね。
 作者及びプロデュースはLee Hazelwood ,収録アルバムは『Fairytales & Fantasies : The Best Of Nancy And Lee』です。
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サニー
Sunny
ボビー・ヘブ
Bobby Hebb

1966年
全米2位,全英12位
日本(AJP20)12位
(1968年)
 アメリカ・カントリーの殿堂Grand Ole Opryに初めて出演した黒人シンガーであるボビー・ヘブが自作自演で歌ったこの曲は,日本でも1966年と1968年の2度にわたりヒットしています。
 シンプルだけれどクールで美しいメロディーを持つ名曲であるだけに,黒人白人を問わず数多くのミュージシャンがカヴァーしてますが(スティーヴィー・ワンダー,ボニーM,ゲイリー・ルイス&プレイボーイズ),日本でも奥田民生がカヴァーしていますね(『Car Songs Of The Year』に収録されているのは某社のクルマと同じ名前だからだろうか?(^^;)。
 黒人シンガーの曲でありながらあまり黒っぽさを感じないのは,ソフト・ロック系のプロデューサーとして知られるジェリー・ロスがプロデュースしているからなのかもしれません。
 作者はBobby Hebb ,プロデュースはJerry Ross,収録アルバムは『続 僕たちの洋楽ヒット Vol.7』です。  BACK