クラナド 日記

--春

ありふれた学園生活から始まる,

の物語。

(パッケージ裏解説より)

 今年(2004年)前作『Air』から約3年半ぶりに発売されたKeyの新作です。いつまでたっても発売されないので,もしかしたら完成を諦めたのでは....なんて思ったこともありましたが,ようやく無事に発売されました。しかし,期待していた『リアライズ』が今ひとつだったんで,『クラナド』は大丈夫なんだろうな....という不安も多々あります。とはいえ,特典のアレンジCDの出来が良いので,期待しても良いような気もするんですけれどね....
 これはそのリアルタイムなゲーム記であり,当然ながらネタばれ全開ですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね(^^;)。
4月30日

 我が家の恋愛ゲーム専用機,Sony Vaio PCV-J12にインストール。媒体はDVD-ROMで,容量は2GB以上あるみたいです。しかし,Voice無しでこの容量ということは....シナリオの方もかなりやりがいがあるような気がします。いや,そうあって欲しいんですけれどね(^^;)。

 インストールは無事終了。
 では,さっそくやってみますかね。

 まるで『One』の『えいえんの世界』を彷彿とさせるような謎の多いオープニング。
 そして,HPでもお馴染みのプロローグ。
 いやもうこの時点で,これは期待できるな....というオーラを放っています。
 特に素晴らしいのが音楽です。もう涙が出そうになるくらいに良いです。

 身体が弱く,長期欠席のために留年してしまった少女,古河渚の願いは廃部となってしまった演劇部を作り直すこと。落ち込んだときには食べたい食べ物の名前を口にして気合いを入れます....(^^;)。
 実家はパン屋で,更正しそこなったまま大人になった不良という感じの父親と,若々しいけれどかなり天然の入った母親がいます。この母親(
早苗さん)の作るパンは最凶という噂も....(^^;)。

 同級生でクラス委員の藤林椋。見るからに大人しそうで委員長をやらされているタイプ。占い好きだけれど「乙女のインスピレーション」というのがなんとも....(^^;)。

 図書室で本を切り抜いている少女一ノ瀬ことみ。彼女とは会話がまったく噛み合いません。そして,半ば強制的にお弁当を食べさせられてしまうのだけれど,しょっぱなから「あ〜ん」はないでしょう(^^;)。

 学校にバイクでやって来た不良二人をあっという間にのしてしまった坂上智代はこの春転入してきた2年生。主人公(朋也)のことを『岡崎』と呼び捨てにする等,先輩を先輩とも思っていない様子。かつて伝説となった強さを持つ少女に春原は何度も無謀な戦いを挑みますが,毎回瞬殺され,時にはダスター・シュートから捨てられてしまう有様(^^;)。

 藤林椋の双子の姉妹のとはまったく逆の性格で,朝っぱらからバイク(原付)で朋也に突っ込んだりしています。じゃなくてじゃないのか?と思わせるような凶暴さを見せる一方姉御肌の面倒見の良さも見せます。ペットはウリボウのボタン。

 無心に木彫りをしている少女伊吹風子。姉の結婚をいっしょに祝ってもらうためのプレゼントとして作っているらしいのだけれど,しかし,何故ヒトデなんでしょう?口癖は「最悪です」で,主人公のことを「ヘンな人」と呼びます。それにしても,想に浸っているときは何をされても気が付かないってのは危ないぞ(^^;)。朋也から弄られるためのキャラであるとともに,ある秘密を持っています。

 自称第2図書室の図書委員の宮沢有紀寧。資料室なのに「いらっしゃいませ」ってのは何か変でしょ。しかも朋也が冗談でコーヒー注文したらホントに出てくるし....。彼女のの天然ぶりって一ノ瀬ことみと重なる部分がありますね。

 個人的に好きなキャラといえば,やっぱり坂上智代藤林杏といったタイプなんですが,性格的には古河渚のいじましいほどの可愛らしさがなんとも言えませんね。こりゃもう朋也でなくても放っておけないですって(^^;)。

 そ〜いや,この岡崎朋也君は「困っている女の子や一生懸命何かをやっている女の子を放っておけない」という典型的なギャルゲー主人公タイプであり,また浩平や祐一と同じ様な口は禍の元の典型的Key型主人公タイプなんですね。
 そして,この
朋也と悪友の春原陽平との日常生活における掛け合い漫才が実に笑えます。もう何回爆笑したことやら.....

 しかし,その一方で時折インサートされる『幻想世界』の静寂で不思議な世界が表す物は一体何なんでしょう?

 4月前半から中盤にかけては,演劇部を復活させるために一生懸命な
とそれを助ける朋也,そして邪魔しているんだか協力しているんだか良くわからない春原を中心に話が進んでいきますが,どうも演劇部の復活は難しい様子です。

5月1日

 『風子シナリオ』終了。
 病院で眠り続ける少女?....なんだ,『あゆシナリオ』の焼き直しじゃないか!と言いたい人は好きに言って下さい。
 それでも,私がこのシナリオで3回泣かされたことは間違いのない事実なんです。
 『創立者祭で朋也から説得されて公子さんが結婚を決意した場面
 『すべてを忘れてしまったと思われた春原が「思い出せないけれど,そいつのことが好きだった」と言う場面
 『姉公子の結婚式に在校生達が集まり祝福する様子を見届けて風子が消えていく場面』
 まぁ,確かにクサイ展開かもしれないけれど,それまでのシナリオの流れが上手くできているだけに,実に心にせまってくるんですよね。
 特に最後の場面は風子の願いがかなった場面でもあるだけに泣けましたねぇ....ほんとに。

 実は風子シナリオを狙おうと思ってゲームを進めていたわけではなく,あまりにも風子が弄りがいのある存在だったので,ついつい呼び止めてはからかっていたら,いつの間にか風子シナリオに入っていたのです。
 最初は口の悪いちょっとおかしな少女という印象しか受けなかったのですが,ゲームが進み彼女に隠された謎とその純粋な想いが明らかになるにつれて,朋也ではないけれど,放ってはおけない存在になってくるんですよね。親衛隊ができるってのも良くわかりますよ。

 もまたこのシナリオにおいて重要な役割を果たすのですが,この娘の表裏のない純粋な優しさがまた素晴らしいのです。優しいといえば,古河家そのものがとても暖かく優しいある種理想的な家族と言えるのかもしれません。

 5月11日の創立者祭まではどちらかといえばギャグ・メインのシナリオだったのが,その日を境に哀しいシナリオと変わっていくあたりは構成の上手さを感じさせますし,前半がギャグ・メインだっただけに,かえって後半の哀しさが浮き上がってくるんですよね。

 エンディングも口の悪い人に言わせればご都合主義かもしれませんが,『リアライズ』をやった後だけに,こういうほのぼのとしたハッピー・エンドにはとても救われましたよ。

 ところで,Keyのゲームのヒロインには口癖がつきものですが,風子の口癖は『最悪です』で間違いないでしょう。しかもこれには『最悪です』『そこはかとなく最悪です』『ぷち最悪です』のヴァージョンがあるんですよね(^^;)。
 他のKey作品のヒロインの特性である好きな食べ物は特にありませんが,そのかわりヒトデ好きという特性を持っています。
 このあたりも2次作品の良いネタになるんでしょうね,きっと。

 さて,次はどの娘のシナリオにしようかな?

5月3日

 『智代シナリオ』終了。
 シナリオそのものはそんなに素晴らしい....とは思えません。が,しかし,智代というキャラクターがとても良いんですよ。いやもう惚れました。惚れまくりました。
 心身共に強くて,頭が良くて,美しくて,それでいて一途でと,綾香好きの私にとってはこりゃもう好きにならずにいられないキャラですよ。もっともお嬢様ではないみたいだけれど。

 「男より強い女がいるわけがない」と言いながら瞬殺されてしまった春原のリヴェンジに付き合って智代の元に通ううちに親しくなり,いつの間にか朋也春原のバカコンビと智代は一緒にお昼を食べる間柄となります。しかし,上級生の教室に堂々と入って来るとは....さすがに智代は大物です。
 そんな智代から「こんな楽しい日常があることさえ,ずっと知らなかった」「だから私と一緒に過ごしてくれないか」なんて言われて断れる男がいますか?

 すると次の日から智代ちゃんが朝家まで起こしに来るじゃないですか。
 本来進む方向の違う二人はちょっとした紆余曲折を経て恋人となるのですが,それからの智代ちゃんのまぁ可愛いこと。
 「そんな私のために,神様が残しておいてくれたのかもな」
 「私の未来の恋人として」
 なんて破壊的な台詞もさらりと言っちゃうし....
 だからと言って教室で野獣化しちゃいけないよな,朋也君。ほら,停学になっちゃったじゃないですか。

 停学中でも智代ちゃんの朝ご飯を食べられるなら,それもまた幸せってもんです。
 5月の連休も智代ちゃんとべったり過ごして....でも,この頃が幸せの絶頂期だったのかもしれません。

 家族関係(父母の不和)を原因に荒れていた頃には不良達を軒並み倒す最強伝説の少女であった智代ですから,選挙中は色々な噂が飛び交ったりもしたのですが,朋也達の協力を得て(特に春原の身体を張った協力は涙ものです(^^;)無事生徒会長に当選します。

 しかし,それが朋也智代のすれ違いの始まりでした。
 目的に向かってまっすぐに進む智代の姿と比べ前に進むことができない自分自身に自己嫌悪を抱く朋也。しかも,教師や生徒会の生徒から「自分の存在が智代の足枷となっている」と言われ,朋也は自分は智代にとって疫病神であると思うようになります。なんというヘタレ野郎だこと!

 そして,放課後二人でアイスを食べ終えた後,朋也智代に別れを告げます。
 「一緒にいたい」という言葉も切なく辛いけれど,それ以上に別れ際の
 「こんな女とつきあってくれてありがとう」「一生の思い出だ」という台詞が泣かせますね。

 智代と別れますますヘタレになっていく朋也に比べて,智代はますます輝きを増していきます。
 そんな彼女と付き合っていたことがあることを不思議に思う朋也

 年が明け,就職先が決まった(といっても希望した職じゃなかったのだが)朋也は学校の坂の下で智代と再会します。
 彼女は「桜を残すという目標は達成できたが,朋也と過ごせるはずだった時間を失ってしまった」と話し,
 そして「私は何もいらない...おまえと一緒の春がいい」と思いを口にしてハッピー・エンド。

 とまぁ,これだけ見たら大した内容じゃないですよね(^^;)。
 ところが,構成が上手いものだからどんどん物語の中に引き込まれていっちゃうんですよね。
 もちろんそれ以上に智代ちゃんの魅力が大きいのもまた事実なんですが....

 ちなみに,1回目は4月中に智代と別れてしまうバッド・エンドでした。
 どうやら,最初はちゃんととも話さなければいけないようです。つまりメイン・ヒロインは無視してはいけないってことなんでしょうね。

5月4日

 『渚シナリオ』終了。
 これまでやったシナリオではオープニング・テーマが流れなかったので,もしかしてこれはバグ?かと思ったこともありましたが,そ〜か,メイン・ヒロインであるの時に初めて流れるんですね。しかもそのタイミングが絶妙だもんで,思わずゾクっときてしまいましたよ。

 『渚シナリオ』は『バスケット部との3 on 3勝負』と『創立者祭における演劇』といういかにも学園物らしい2つのイベントが軸となっていますが,このシナリオのメインはなんといっても『家族』です。
 実の息子に対して他人として接している朋也の父親に対して,暑苦しいほどに濃密な愛情溢れるの家族(これはまさにAir神奈が求めて得られなかったものです)。特に後半になって明らかになる渚の両親(秋生早苗)の過去とに注いだ愛情の深さを知ると,親という存在について考えさせられてしまいます。いや,私も一応親なんですけれどね(^^;)。
 それにしても,秋生という人はKeyの主人公がそのまま大人になったような性格の人ですね。
 早苗さんの若さもまたKeyの伝統のひとつなのかもしれませんが....(^^;)。

 それにしても,て本当に良い娘ですよね。まさに両親の愛情で純粋培養されて育った娘って感じがします。春原ならずとも「なんでこんないい子がおまえの彼女なんだよおおお」と叫びたくなっちゃいますよね,いやほんと。あの「えへへ」笑いの前では何でも許せちゃう気持ちになってしまいます。
 そして,が創立者祭の演劇で演じたのは「世界にたったひとり残された女の子の物語。冬の日の幻想物語。」なのですが,これは時折インサートされる『幻想世界』の物語そのものです。しかも,これはだけではなく,朋也もまた既視感をおぼえた話なのです。ということは,朋也幻想世界』の彼女と僕と何らかの関係があるということなんでしょうか?
 もちろん,彼女の『だんご大家族』好きとは何の関係はないと思いますが.....(^^;)

 とはいえ,『創立者祭』以後,が寝込んでからのシナリオはなんとなく流れているだけという感じで...え?これで終わりなの?という不満がなきにしもあらずです。これは『Air』の『観鈴シナリオ』で感じたものと似ているのですが....ということはシナリオ』にも『Air編』のようなものがあるということなんでしょうか?
 そういえば幻想世界』の謎もまったく解明されないままですしね....

5月6日

 『幸村シナリオ』終了。
 これは『渚シナリオ』でバスケット・ボールの試合に負けた所から分岐されるもので,定年間際のジジイこと幸村先生をメインとしたシナリオです。
 今ではほとんど怒ることもない幸村先生ですが,実は前任地の高校では泣く子も黙る厳しい生活指導の先生でしたが,その一方で生徒を辞めさせないことを信念としてしていました。
 そして,その幸村先生が最後に面倒をみた悪ガキ二人が朋也春原だったのです。幸村先生がこの二人を引き合わせたのも,二人とも学校を辞めさせないためだったんですね。

 卒業式当日。自分達を卒業させてくれた幸村先生に二人で礼を言う春原朋也

 何気ない話なんだけれど心に染みる話でした。

 『杏シナリオ』終了。
 この藤林杏という女の子は坂上智子とともに初期段階においてお気に入りだった女の子です。どうも,私は彼女のように気が強くて可愛い女の子に弱い傾向があるみたいですね。
 しかし,バイクで平気で人を撥ねてしまうのはどうかと思うぞ(もっとも朋也限定なのだが....これってドラマチックな出会いを狙っているのだろうか?(^^;)。また,辞書投げの名人でもあり,狙った獲物は百発百中です(だからこそ『渚シナリオ』のバスケ・イベントがあるですけれどね)。しかも彼女は遅刻の常習犯というまったくヒロインらしくないダークな面も持っているんですよね。それでいながら学級委員とは....よほど人望があるのか,それとも恐れられているのか...(^^;)。

 このシナリオは『君が望む永遠』と共通点が多いと言われますが,自分も主人公のことが好きであるにも関わらず,同じ人物のことを好きである親友(妹)のために,自ら恋愛成就のセッティングをしてあげるが,結局後に修羅場を迎える(^^;)という点なんか,確かに似ています。
 主人公が特に好きでもないのに打ち明けられたのでとりあえず付き合い始めるだけではなく,二人の女の子の間で心が揺れるヘタレ具合もまた似ていると言えますね(^^;)。
 そういう意味で杏=水月椋=遙という図式が成り立つかもしれません。そ〜いや,前者が長髪で後者が短髪という共通点もありますね。もちろん当然ながら性格も似ています(前者の凶暴性を秘めた部分を含めて)。

 それじゃぁこのシナリオは単なる『君が望む永遠』のパクリかといえばそんなことはなく,同じ様な材料を使っていても味付けが異なっているため,ちゃんと『クラナド』独自の味わいがあるんですよね。

 『君が望む永遠』の『水月』シナリオにおいて,時としてヒロインである水月よりもの方が魅力的に描かれていたように,この『杏シナリオ』においても,よりも妹のの方を魅力的に描いている部分が多々あります。少なくとも『萌え』という尺度からすれば,の方がよりも上かもしれません。純情さと一途さにおいてはがNo.1キャラだと思うのですが....
 それだけに,朋也が別れを告げようとしたときのの「朋也君が望む女の子になるから...」「私お姉ちゃんの代わりになりますから」という必死な台詞が心をえぐるんですよね。
 そして,エピローグで,謝る朋也に「謝られて..それを許してしまうと...あの時間が嘘だったように思えてしまうんです」「私には大切な思い出です」と笑顔で話すは,ほんとに良い娘すぎて涙が出ちゃいそうになってしまいましたよ。

 しかし,その一方で「あんた達の仲が良くなってくの...見てるのが辛いの」「『恋人』になっていく二人のそばにいるのが辛い」等の切ない気持ちもきちんと描かれているので,「ごめんなさい...あたし...あんたのことが好き」と告白しながらも,「だからもうあたしに優しくしないで」「ばいばい」と言って去っていくの姿を見るがまた辛いんですよ。

 それにしても,エンディングはしてやられましたね。もしかしたら....とは思ったんですが,本当にそうだったとは....(^^;)。

 P.S.『そして便座カバー』ネタには死ぬほど笑いました。

5月9日

椋シナリオ』終了。
 といえば「ぼん」(^^;)。
 いわゆる『救済シナリオ』であり,それ以上でもそれ以下でもありません。
 『勝平シナリオ』があるんだから,これはいらなかったような気もします。

勝平シナリオ』終了。
 のバイクにはねられるのが初登場という不幸な美少年勝平は,他のシナリオには登場しないこのシナリオだけのオリキャラです(シナリオのラストでがつきあい始めた人物が勝平なのかもしれないけれど)。
 
 見た目が女の子のような美少年のため,春原から惚れられてしまう勝平ですが,彼はバイクにはねられたときに(朋也の目前ではねられたのとは別件)介抱してくれた少女に一目惚れをしていたのです。
 その少女はだったのですが,勝平をはねたのもまただったんですよね(もはやこれは犯罪だよね)。
 会ったとたんに一目惚れの勝平
 それを見て複雑な思いの。そりゃそうだ,朋也のことが好きだったはずなんですから。う〜ん,もしかしたら,このシナリオのせいでは評価を下げているかもしれませんね(^^;)。

 当然そんなこととはつゆ知らぬ朋也君は勝平との友情を深めていくのですが,この朋也勝平の友情と,勝平の愛情がこのシナリオの核となっているのです。
 病に倒れながらも治療を拒む勝平。彼の頑なな心を愛情で解きほぐし手術を受ける決意をさせたのはであり,そして,その二人を支えていたのが朋也なのです。
 その陰には愛の伝道師(^^;)芳野祐介のアドバイスもあありました。
 
 もしかしたら,このシナリオでの一番の見所は,エピローグにおける5年後のの看護婦姿かもしれませんね(^^;)。

有紀寧シナリオ』終了。
 資料室の少女,宮沢有紀寧のシナリオはヒロインの一人としては内容がちょっと薄すぎるような気がします。個人的には『勝平シナリオ』よりも印象に残らないシナリオでした。ヒロインなのに...なんだか不憫な気がしてなりません。
 また,キャラクターとしても図書室の少女一ノ瀬ことみと被る面があるために,どうしてもボケ具合で遙かに凌駕することみの陰に隠れてしまうんですよね。
 
 このシナリオのテーマは『兄弟愛』と『友情』なのでしょうが,印象に残っているのは実は『おまじない』なんです。
 この『おまじない』の一番の被害者は当然のごとく春原君なのですが,朋也も「体育館に二人きりで閉じこめられるおまじない」(なんだこりゃ(^^;)でと一緒に体育館に閉じこめられ,あやうくイケナイシチュエーションになるところでした(実際は他のキャラと閉じこめられるパターンもあるようなんですが)。

 周辺の不良達から「ゆきねぇ」と慕われている有紀寧ですが,彼女が甘えることができるのは朋也だけ。というのも,朋也が亡き兄に雰囲気が似ているから....というベタな展開。

 その兄の命日,有紀寧達と墓地に行った朋也は光りの玉を手に受けるのですが,ゲーム本編中で光りの球を手に受けるのはこれが初めてだし,また,会話の中で光りの球について言及するのもこれが初めてです。どうやら光りの球は幸せの象徴らしいですね。

5月10日

春原シナリオ』終了
 『クラナド』の名(迷)脇役春原陽平君とその妹芽衣のシナリオです。
 春原の替わりに妹の電話に出るとこちらのシナリオに分岐します。

 東北の実家から訪ねてくる妹に,サッカーをやめても違う幸せを追っている姿を見せるために,妹がいる期間限定で誰かに彼女のふりをしてもらおうとする春原君ですが,誰からも相手にされず,それどころかからはボコられてしまいます。
 しかし,何故か早苗さんが春原の彼女役を引き受けてくれることに。春原は早苗さんが高校生の娘()の母親だということを知らないのですが,まぁそれも仕方のないことでしょう。

 春原の妹芽衣は中学生なのに家事もできる,とても春原の妹とは思えないほどに良くできた娘さんです。
 彼女にとっては,だらしのないどうしようもない兄貴でも,「すごく頼れて」「優しい」兄であり,見捨てることのできない存在なのです。まぁ,実際の兄妹だとこういうことは滅多にないでしょうから,それだけ芽衣ちゃんが良い子だってことなんでしょう(^^;)。

 そんな芽衣に「お兄ちゃん」と呼ばせて悶絶する朋也は馬鹿丸出しですが,これも実妹がいない人間の幻想なんですけれどね(^^;)。
 兄として煮え切らない態度の春原の注意をひくために,朋也芽衣の偽の恋人となりデート(プリンセスクレープとプリクラ,そして100円ショップのイベント)をしますが,腕を組んで離れようとしない芽衣ちゃんから朋也は帰り際にほっぺにちゅうされちゃいます。

 春原にもう一度サッカーをやらせたいがために,サッカー部の陰湿ないじめ(ボール拾い)にも泣き言ひとつ言わない芽衣がなんとも健気です。
 もちろん,最後の最後にお約束通り春原が助けに来るのですが,ありきたりでもここはこうじゃなくちゃね(^_^)。
 しかし,考えてみれば,サッカー部にとって春原って「わがままで嫌な奴」でしかなかったのもまた事実なんですよね。だって,彼のために試合に出られなくなってしまったんですから....だからといって,芽衣ちゃんに対する仕打ちは断じて許せるものではありませんが....

 個人的にはメインであるべき『有紀寧シナリオ』よりも,こちらの方が楽しめました。

GAMEに戻る

次のページに進む