SNOW 日記

主人公は万年雪に囲まれた村で、老舗温泉旅館を経営している従姉から旅館のアルバイトを頼まれる。
昔に一度だけ行ったことのある、記憶の片隅に残る雪の村。
だが、その村について早々、落石事故に遭い瀕死の重傷を負ってしまう。
次に目が覚めると、従姉が経営する温泉旅館『龍神天守閣』にいた。重傷を負ったはずが、なぜか無事に生きている。
そして、その日から主人公は、見えない運命に翻弄されていくのであった。

(パッケージ裏解説より)

 『Snow』は2003年1月、当時ビジュアルアーツ傘下にあったスタジオメビウスより発売されたゲームです。当時色々な意味で(発売されるまで何度も延期になったり、某ゲームに似ていると言われたり)話題になったゲームですが、何故今頃やっているかといえば、そりゃ安く落ちていたからです..って未も蓋も無いな(^^;)。
 毎度のことながら,ネタばれ全開ですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね...って、今頃やる方が珍しいか(^^;)。
4月11日

 ソフトにはCD-Rom版とDVD版があるようですが、今回買ったのはCD-Rom版の方です。というわけで、VaioのノートPCにインストールしようとインストールCD1をセットしたのですが、何故か『画像がありません』という表示が出て読み込んでくれないんです。盤を見ると少しばかり傷が入っているもののさほど問題がないと思われるし...というわけで、苦肉の策としてインストールCD1をMacでCD-Rにコピーし、そのコピーCD-Rをセットしてみたら、今度はちゃんとインストールが始まりました。そしてそのまま3枚のインストールCDから無事にインストール終了。
 やれやれ、最初からハラハラさせられました。

 無事にスタート場面も出て来て、スタートボタンをポチッとすると、無事にメニュー画面に変わりました。
 雪が降る情景とBGMがはやはり『KANON』を彷彿とさせるものがありますね。
 でわ、いよいよゲーム開始。
 白い世界の中の物悲しくも神秘的なモノローグ...かと思ったら突然女の子に「パンツを見たな」と蹴飛ばされて、あげくのはては石をぶつけられて気を失う主人公(彼方)..というところでOP。
 OPも『KANON』を彷彿とさせますが、伝説とか「永遠の輪廻」とかは『AIR』を彷彿とさせるものがあります。

 彼方が意識を取り戻すと、そこでは自分自身の葬式が行われていたのだから吃驚。
 とはいっても、『Lien』のように主人公が死んで幽霊になっているわけではなく、生き返ったんですけれどね。
 彼方は『龍神天守閣』に向かう途中で落石事故に遭い、運ばれた時にはどこからどう見ても死んでいるとしか思えない状態だったそうですから、そんな彼が突然起きだしたのだから、従姉のつぐみさんが吃驚したのも当然といえば当然かもしれません。
 それにしてもなんというか、独特なテンションの持ち主ですよね、つぐみさんって...ちゃんと3食ご飯を作ってくれるかと思えば、バイト代が日給200円だったり......優しいのか腹黒いのか良くわからない人です。

 瀕死の重傷だったはずなのに(というか死んでいたはずなのに)、意識を取り戻した時にはほとんど傷も治っていたのが不思議ですね。これは彼方に何かそういう力があるのか、それともこの村にある伝説が何か関わっているのか...少なくとも、つぐみさんの言う「若いから」は理由になりませんよね。

 彼方が旅館の1階に下りると、そこには葬式用の寿司を食べている少女の姿が...彼女は彼方に石をぶつけて気絶させた少女ですね。一緒にいた猫はピロにしか見えないのですが(^^;)。

 逃げ出した少女を追いかけているうちに道に迷ってしまった彼方の前に、「あんま〜ん」という不思議な台詞とともに坂から転げ落ちてきた別の少女。
 「えう〜」という口癖のとあんまん好きのその少女の名は雪月澄乃(肉まんじゃなくてあんまんなんですね)。なんだか口調が某従姉に似ているような...(^^;)。
 このときには彼方自身は忘れていたけれど、彼方澄乃は10年前にも会っているんですよね。しかもそのときに幼いながらに結婚の約束までしているんです。
 主人公が夢の中で過去を思い出すというのも、やはり『KANON』を彷彿とさせます。

 その次に出会った少女は『妙な少女』こと芽依子
 彼女は澄乃の同級生らしいのですが、確かに妙なノリの少女です。ふざけているようで何か達観したようなところもあるし...この村の医者である橘誠史郎の娘ということになっているのに「娘ではない」と言ってみたり、実になんとも不思議な少女です。
 しかも、村に伝わる龍神の伝説は真実でないとも言っているらしく、どうやら彼女はこの物語の根幹に関わってくる存在のようです。
 が、しかし、残念ながら彼女は攻略対象じゃないようなんですよね。個人的には一番お気に入りのキャラなのにつくづく残念です。もっとも『Snow』の続編にあたるゲームではメイン・ヒロインになっているそうなので、ぜひそちらもやってみたいものです。

 次に現れたのは、彼方の側にいる女性はすべて悪とみなして攻撃をしかけてくる緑髪の少女、日和川旭。彼女もまた10年前に彼方と関わりがあった少女のようですが、見た目の年齢から考えると10年前だと幼児以下だと思うんですけど... しかし、彼女はルートの関係上か、ゲーム開始後1週間で彼方に別れを告げて去ってしまいます。

 冒頭で彼方に石をぶつけて気絶させた少女は若生桜花
 彼女がいつも猫のシャモンと一緒に神社にいるのは、そこで両親が戻ってくるのを待っているからだそうですが、しかし、言葉遣いといい浮世離れした所が多くて、彼女もまた人にあらざるモノなのかもしれません。桜花彼方も雷が恐いという共通点があり、二人の間にも何か縁がるのかもしれませんね。

 また、龍神の滝に向かう途中リュックを奪取した猿を追いかけると、森の中で動物達に囲まれて眠っている少女と出会うのですが、これまたルートの関係上か、2/11現在では名前すらわからない状態です。彼女もヒロインの一人のようなんですけれどね。

 ヒロインではありませんが、澄乃の母親である小夜里さんも気になる存在ですよね。つ〜かね、若過ぎでしょう、高校生娘を持つ母親としては。
 つぐみさんの「ダメよ、彼方ちゃんを、娘と取り合うなんて」という台詞もなんかシャレになりませんよ。
 ところで、つぐみさんと小夜里さんの間の忌憚の無いやりとりを見ていると仲の良い友達同士にしか見えないのですが、二人の年齢差ってどうなってるんでしょうね?

 さて、現在ゲームはおそらく『澄乃』ルート邁進中だと思うのですが、2/11現在、彼方澄乃の間はすっかりラヴラヴ・モードです。
 Hシーンこそないもの、澄乃にオナニーを実地で教えたりしてる彼方ですが、キスはまだデコチュー止まりというのが不可思議です。
 それにしても、澄乃の天然マイペースぶりは凄いですね。いやぁこれにナチュラルに対応できる彼方君はなかなかの大物だと思います。
 

4月18日

 『澄乃シナリオ』終了。
 正直、澄乃のような子犬系キャラは苦手なうえ、ダラダラとした日常が続いていたものだから正直言って「止めちゃおうかな?」とちょっぴり思ったりもしましたが、2月11日になって、青天の霹靂の出来事が...なんとつぐみさんが突然旅館を彼方に押し付けて蒸発してしまいます。
 そしてその夜、「学園にね、中退届けだしてきたからね〜」「お世話になりま〜す」と澄乃がやってきます。それに対して澄乃の母親である小夜里さんはどうしたかといえば、これが店ごと引っ越して来ちゃいます。押し掛け女房というのは聞いたことがありますが、押し掛け母娘ってのは珍しいんじゃないでしょうか? このタイミングの良さといい、実はつぐみさんと小夜里さんの間には事前に話ができていたんじゃないかと疑ってしまいます。

 そして3人で新たに旅館を経営する日々が始まるのですが、彼方の仕事はといえば、相変わらず龍神の滝への水汲みが主と、ほとんど変わりなし...つ〜か、旅館を引き継いだのなら、他にやることがいっぱいあるんじゃないですか?
 でも、別の意味でのやることはしっかりやっていて、2月15日には澄乃と初めてのHをしちゃいます。しかし、内風呂ならまだしも旅館の露天風呂でHしちゃうなんて、他のお客に見られたらどうするつもりだったんでしょう?いや、あれだけの大声を出してたら、静かな山間部のことです、辺り中にアノ声が響いたんじゃないでしょうか。それでも、その次のHも露天風呂なんですから、この二人はよっぽど野外プレイが好きなんですね(^^;)。
 二人の関係はつぐみさんも認めるところで(じゃなかったら店ごと引っ越してきたりはしませんよね)、実質上は夫婦同然の甘〜い生活を送る日々が続きます。

 そんな生活に陰りが差したのが2月19日のこと。朝から三食連続で同じ食事を作ってしまったことを発端に、澄乃はどんどんと記憶を失ってしいきます。 診療所ので診察をしてもらうと、澄乃は一種の記憶がなくなっていく病気にかかっており、治る可能性も低いという診断が。

 それから、これまでの甘〜い生活が嘘のような過酷な生活が始まります。
 自分だけが食事を食べてないと暴れたり、雪を食べたり、それに加えて発熱で寝込んでしまう澄乃
 それでも始めの頃は「迷惑をかけてごめんなさい」と謝罪していた澄乃ですが、ついには彼方のこともそして母親の小夜里さんのことすら忘れてしまいます。

 絶望に襲われた彼方は、芽依子から聞かされた「彼方が助かったのは、澄乃が願いが叶うという龍神の社でお百度参りをしたおかげ」という話を思い出し、最後の望みと、自分も雪の降る中お百度参りを始めます。
 気力体力をふりしぼってお百度参りを終えた3月2日の朝、彼方が目を覚ますと、そこには「彼方ちゃんがいないからビックリしたよ〜」と笑顔で話しかけてくる澄乃の姿が...
 奇跡が起きてこれでハッピーエンドかと思ったら....甘かった。
 まさかその次の展開が待っているとは...

 3月3日、それは澄乃のウエディングドレスが完成する日。 前日から熱を出し、当日の朝から高熱を出しながらも、どうしても今日ウェディング・ドレスを取りに行くと言い張る澄乃の姿を見て、小夜里さんは何か思うことがあったのでしょう。彼方澄乃を背負わせてウェディング・ドレスを取りに行かせるのですが、彼方を送り出すときの言葉はまるで今生の別れのようで......小夜里さんにはもう二度と澄乃が帰ってこないことが分かっていたんですね。

 彼方の背中で「私とても幸せだったよ」と眠るように息を引き取る澄乃
 澄乃が記憶を取り戻したのは、死ぬ前の最後の灯火のような奇跡だったのです。

 この先の出来事は彼方が見た幻だったのでしょうか?
 いつの間にか一人で神社の鳥居の前にいた彼方は、懐かしいようなそれでいて切ない少女の声を聞きます。
 その声がする方に向かうと、神社の前に澄乃桜花の姿が...
 会話の内容からすると二人はまるで母と娘のように思えます。
 そして彼方を見た二人が「お帰りなさい」と笑顔で迎える場面でゲームは終了。
 ということは、桜花が帰ってくるのを待っていた両親というのは澄乃彼方だった...というより、二人の前世が桜花の両親だったのでしょうか?

 色々と謎は残りますが、それらの謎は今後の話の中で明らかになるんでしょうね。

 個人的にはぜひとも『小夜里さんルート』があったらと希望したいところですが...いやぁ小夜里さんってホントに良いですよねぇ!

 さて,EDが終了しメニュー画面に戻ると、それまでの雪が降り続く山々が緑の山々へと変化し、新たに『Legend』の文字が。
 ということは、次はこの『Legend』をやれということなんですね。
 

4月22日
 『Legend』終了。

 そのタイトル通り、ここでは一年中雪が降り続ける龍神の里に伝わる『龍神伝説』の真実の物語が語られます。
 伝説では、龍神の娘と人間の男が恋に落ちたために天罰が下り、それ以来龍神の里には一年中雪が降り続くようになったと伝えられていますが、確かに龍神の娘と人間の男が恋に落ちたために天罰が下ったことには間違いないのですが、龍神の里に一年中雪が降り続くのにはまた別の哀しい理由があったのですね。

 そして、『Snow』の物語に出て来る主人公やヒロイン達は、皆この『Legend』の登場人物と深い関わりを持っているのです。

 彼方は龍神の娘、菊花と恋に落ちた宮司の白桜の生まれ変わり。
 澄乃はその龍神の娘、菊花の生まれ変わり。
 だからこそ、この二人は現世でも恋に落ちたのも必然なのでしょう。
 そして、澄乃が『澄乃シナリオ』で彼方と結ばれたことによって記憶を失い、そして最後には死んでしまったのも、これまた前世からの因縁なのでしょうね。
 また、彼方澄乃が雷を苦手とするのも、やはり前世の記憶が原因なのかもしれません。

 芽依子白桜の妹鳳仙の生まれ変わり...ではなく、鳳仙その人。
 鳳仙は先見で見た兄の生まれ変わりが現れるのを待ち続けるために、龍神姉にこの姿のまま生かして欲しいと願い、それ以来何百年も娘の姿のまま生きているのです。
 芽依子彼方のことをなんだかんだといじって楽しんでいるのは、彼方に兄と同じものを感じたからなんでしょうね。
 そして、芽依子が攻略対象でないのも、彼方の前世である白桜の妹であるが故なんでしょうが、本人じゃなく前世なんだから構わないと思うんですけれどね。実際、鳳仙は兄である白桜のことを心の奥では愛していたのだし...
 それ故、芽依子の「彼方さんが誰を好きになっても構わないが、その相手を泣かすなよ」という言葉には重みがあります。

 龍神の社で両親を待ち続けている少女、桜花は生まれてくることができなかった白桜菊花の娘。桜花は生き返った彼方のことを始めの頃は幽霊扱いしていたけれど、この世の人でないのは実は桜花の方だったんじゃないですか(^^;)。
 ところで、桜花と一緒にいた猫のシャモンの正体は何だったんでしょうか?

 「彼方に近づく奴は、みんな敵なのだー!」と言う緑髪の少女、は、掛け軸の中から現れた妖しウサギのあさひ。ということは、彼方白桜の生まれ変わりだとわかっていたわけですね。
 そして、彼方が掛け軸を見て感じた違和感はそこに描かれていたはずのウサギが消えていたからなんですね。

 『澄乃シナリオ』ではまだ名前もわからない(というか会話すらしていない)森の中で動物達に囲まれるようにして眠っていた娘は菊花の姉である龍神姉。そういえば、『Ledend』でも彼女の名前はわからないままでした。
 彼女もまた菊花同様白桜に想いを寄せていたのですが、何故龍神である姉妹が二人とも白桜に想いを寄せていたのか、これは大いなる謎です。
 祈ると願いが叶うといわれる『龍神の社』ですが、そこで願いを叶えていたのは、実は龍神姉であり、澄乃の願いを叶え、瀕死の重傷...というか、ほとんど死んでいた彼方の命を救ったのも彼女の力によるものなんですね。
 ということは、澄乃の記憶が戻るようお百度参りをしている最中に倒れてしまった彼方を旅館まで連れて行ったのも彼女なのかもしれません。

 なるほど、『Snow』という物語は,この『Legend』から始まった哀しい輪廻を断ち切る物語なのですね。
 

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