第17話『姉と妹の無言歌〜Lieder Ohne Wrote〜』 2007/01/26放送

 いや〜,可愛過ぎます壮絶に可愛過ぎます犯罪的に可愛過ぎます

 正直,私にとってはゲーム本編では一番印象の薄いヒロインであり,前回にも書いたように,サブキャラである姉の香里の方にころんでしまったのですが,アニメ版の栞にはすっかり魂持ってかれちゃいましたよ。

 毎回見るたびに思うんですが,京都アニメーションはヒロインの魅力の表現力にとても長けていますね。これは,原作及びヒロイン達のキャラ設定を熟知しているからできることであって,どこぞのアニメのように原作の設定を無視するような所には絶対にできないことなのです。

 夜の公園で「恋人...」と言いたいところを抑えて「お兄ちゃん...」と言う,あの微妙な間と表情。
 祐一と別れた後,それまでの笑顔から辛そうな哀しそうな表情に変わるところ。
 有名な「起こらないから奇跡って言うんですよ」という台詞も,後ろを振り向きながらあんな笑顔で言われたら,切なさが余計増すってもんです。

 しかし,何よりも今回の一番の見どころは,学校に制服を着て登校してきたです。
 初めて入った食堂で,カレーを食べる,ただそれだけの場面なのに,まぁ表情のくるくる良く変わること。
 特に,が辛いモノが苦手だとわかった後の
 (祐一)「ワサビは」
 (栞) 「見るのも嫌です」(目を伏せる)
 (祐一)「カラシは」
 (栞) 「聴くのも嫌です」(耳をふさぐ)
 (祐一)「タバスコは」
 (栞) 「人類の敵です」(毅然と)
 (祐一)「アイスクリームは」
 (栞) 「それは大好きです」(満面の笑顔)
 という台詞のテンポの良さと,のリアクションは,何度見ても飽きません。
 そして,翌日,お弁当を持ってきたが,「ここですよ」と祐一に向かって大きく手を振る場面も可愛らしいのですが,祐一に頭をなでられた後のあの笑顔....これは反則ですよ。
 が作ってきたお弁当の中身も実に美味しそうで,さすがは食に拘る京都アニメーションです。
 しかし,あの大きなお弁当にも,自分が生きているうちに少しでも多くの自分の手料理を食べて欲しいという切ない想いが隠されているんですよね。

 一方,香里は前回祐一にはあれほど感情を顕わにしたのに,学校でも,街角でも,そして家出も,相変わらずを無視し続けたままです。
 それでも,自分の部屋に入った後,力が抜けたように座り込み,じっと哀しみを耐える様子から,彼女の思いの深さが感じられます。香里とって,の存在が大きいものであるからこそ,彼女はその辛い現実から目を背け続けているのでしょうね。
 でも,これはこれでとても辛いことだと思うのですが....

 さて,その他のキャラはですが,名雪はますます影が薄くなり,今回は「お昼だよ」の台詞すら北川に奪われてしまうしまつです。
 その一方であゆは,登場シーンこそ少ないものの,落ち込む祐一を励ましたり,ヒントを与えるという重要なポジションを担っています。「また,お前だったら誕生日に何が欲しい?」という祐一の質問に「たい焼き!」と即答するというお約束も忘れてはいません。

 の余命が幾ばくもないと知った祐一がものみの丘に行き,そして今はもういない真琴に語りかけるというアニメーション・オリジナル場面にはじ〜んとくるものがありましたね。こういったフォローをきっちりとやってくれるのもまた京アニ・クォリティです。

 それにしても,途中作画がヤバイかな?と思った回もありましたが,後半に入って作画が劣化するどころか,ますます向上していってるのは驚きです。
 特に今回の冒頭で,祐一香里が並んで歩いているときの川の流れの,夜の公園の刻々と色を変える噴水の,そして降りしきる雪の圧倒的なまでの美しさは,単なるアニメの領域を遥かに超えています。

 さて,次回はいよいよ『栞編』の最後ですが...はたして栞に奇跡は起きるんでしょうか?
 死亡ルートの方がストーリーとしては良いのだろうけれど,それは何か嫌だなぁ...
 

第18話『消え去りゆく緩徐楽章〜adagio〜』 2007/02/02放送

 2月1日はの誕生日。
 実際に放送されたのは日付が変わった2月2日午前1時だけれど,TV時間でいえば2月1日の25時。この日にあえて栞の誕生日の話を持ってくるとは...やるな!京都アニメーション。

 祐一が栞のために行ったのは,誕生日前日のお誕生日パーティー。
 そのパーティーに祐一が誘ったのは,あゆ名雪北川と名も知らぬの同級生。
 もちろん,香里も誘ったのは言うまでもありません。
 しかし,誕生パーティーの会場である百花屋には香里の姿はありませんでした。
 それでも,名雪から秋子さんの手作り苺ジャム(残念ながらあのジャムではありませんでした(^^;),あゆからたい焼き,名も知らぬ同級生から手作りスコーンをもらい,嬉しそうな
 しかし,その楽しげな雰囲気も香里の登場でぎこちないものになってしまいます。
 いや,来ただけでも大きな進歩なんですけれどね...香里も机の中にしまってあったと一緒に写っている写真を見て,誕生パーティー行くことを決意したものの,実際に顔を合わせると,何を話して良いのかわからなかったんでしょう。
 そんなダウナーな雰囲気を変えてくれたのが,漢北川です。パーティーが始まった当初,祐一のことを女に手を出すのが早いと締め上げていた彼ですが,香里の間の微妙な雰囲気にいち早く気が付いたのも彼であり,実は気配りの人なのかもしれませんね。それでも,香里にもにもダンスの相手を断られてしまうとは....不憫な(:_;)。
 北川祐一のダンスに笑い転げる店内....香里もつられて笑いそうになるものの,お互いに視線が合うとそらしてしまう状態が続きます。しかし,は視線をそらすのを止め,しっかりと香里に視線を向けます。それでも,から視線をそらしてしまう香里。この視線だけで語るという細かな描写がきっちりとできるのが京アニ・クォリティー。前半のわざと目を見せなかった場面は,このシーンとの対極として作られたのかも知れませんね。
 そんな二人の様子を北川と爆笑ダンスを踊りながらもじっと見続けている祐一は,なんか保護者って感じです。

 パーティーが終わり,店を出た後,このままで終わってしまうのかと思われたとき,香里の口から
 「栞は,私の妹だから
 という待ちに待った言葉が聞かれます。それも満面の笑顔で...ああ,この笑顔を私は待ち望んでいたんですよ。もちろん,も嬉しそうです。
 「相沢君,後は任せたわよ」と二人を残してその場を立ち去る香里。しかし,そこにはこれまでのような虚無感はありません。彼女は彼女なりに現実を受け入れたということなのでしょう。

 そして,最後のデート。モグラ叩きにリヴェンジしたり,アイスを食べたり,まるでカップルのように楽しんだ二人が最後に向かったのは,あの噴水のある公園。
 手を繋ぎたいというの可愛らしさは相変わらず破壊的です。

 噴水の淵に座った祐一に感謝すとともに,祐一あゆと初めてあったその日の夜にリストカットをしたことを打ち明けます。そして,それはリストカットをしようとしたとき,祐一あゆの笑い声が聞こえたような気がしたからだと....その夜のの笑いながら涙をこぼし,そして最後には号泣するという難しい場面もしっかりと描かれていて,またそれだけに哀しみに溢れていて,見ていて辛い物がありました。

 「行きたい場所,やりたいこと,まだ沢山あるのに」
 「私,死にたくないんだと思う」
 「人のことを好きになってはいけなかったのに」
 等,それまで隠していた思いを口にする
 「栞と会えて,本当に良かったと思っている」と答える祐一
 それに答えるように
 「私,笑っていられましたか?」と笑顔を浮かべる
 これらが,噴水の照明の変化とともに語られるのですから,とても幻想的に感じられます。そう,すべてが幻だったように...

 時計の針が午前0時を廻ったとき,にスケッチブックをプレゼントする祐一
 そのスケッチブックを胸に抱き「大切にします」と言ったは,突然祐一の頬にキスをします。
 これが彼女にできる精一杯のお礼の気持ちだったんでしょうね。
 「暖かい飲み物を買ってきます」とその場を立ち去った
 戻るのが遅いと探しに行った祐一が目にしたのは「ほんとうに ありがとうございました さようなら」と描かれていたスケッチブックのみで,の姿はもうどこにもありませんでした。
 ひとり「ハッピーバースディ,栞」とつぶやく祐一

 なるほど,死亡させるわけでも,奇跡を起こさせるわけでもなく,とりあえず一時退場(おそらく入院生活?)って形を取ったんですね。話の流れを考えれば,確かにこの方法しかないのかもしれませんが...
 でもまぁ,この回で死亡しなかったことだけは嬉しいですね。
 いやもう,こんな可愛い娘を不幸にしては絶対にいけませんよ。

 ところで,名雪の「祐一はそういうのじゃないんだよ。」という台詞はどういう意味だったんでしょうね?
 もしかして,他のヒロイン達に対して釘を刺していたんでしょうか?(^^;)
 

第19話『ふれあいの練習曲〜etude〜』 2007/02/09放送

 まさか,との別れの次の回であゆとのキス・シーンがあるとは!
 でもなぁ...あのキスは恋人同士のキスには思えないんだよねぇ...
 前回,祐一の頬にしたキスには明確な恋愛感情が見られましたが,
 今回のあゆ祐一のキスには何故かそれが感じられないのです。
 大切な人を目の前で失った者同士が互いの心の隙間を埋めるためのキス...そんな感じがしてならないんですよね。
 ところで,目の前で大切な人が消えた...ってところで,祐一まで思い浮かべてしまうのはどうかと...彼女の場合は未遂に終わってるじゃないですか(^^;)。

 それはともかくとして,今回はあゆシナリオの重大要素がいくつも出てきましたね。
 まずは,天使の人形と3つのお願い...そして最初の願い「僕を忘れないでください」。
 もっとも,祐一あゆと再会するまでは彼女のことを忘れていたような気もするのですが...とはいえ,たい焼きを買ってあげるという約束は無意識にせよきちんと果たしているんですけれどね。
 次は,今まで夢の中に何度も出てきた大木が実際にあったということ。その大木に登ったあゆが風に吹かれるシーンでは思わずドキッとしてしまいましたよ。そういえば,先にも書いた「目の前で大切な人が消えた」...ってところで,一瞬この木が映るんですよね。
 三つ目はあゆが付けているカチューシャが祐一から貰った物であることが明らかになったこと。しかし,不思議なことにいつあげたのか,いつもらったのか,二人とも覚えていないのです。確かに,7年前祐一が自分の街に帰ってしまう2日前まであゆはカチューシャではなく白いリボンを付けているんですよね。
 祐一の「俺は女の子にカチューシャをあげるクセがあるのか」という台詞は,舞にあげたウサ耳カチューシャを念頭に置いてのことなんでしょうか?

 そして,今回一番の大活躍を見せたのが,眠り姫こと名雪さんです。
 駅伝ラストを走り,なんと7人抜きの区間賞でチームを優勝に導くという大活躍を見せてくれます。
 しかも,最後が胸の差というのが...あれがあゆだったら,きっと負けてたな(^^;)。
 ゲーム本編では名雪が陸上部の部長であるということは語られていても,実力がどれほどのものかについてはまったく語られていないのですが,このアニメでは,高校陸上界では有名な存在という設定になっています。それまで緊張感も無くほんにゃらとした表情だった名雪が,たすきを受ける寸前に別人のようにキリっとした表情になり,そ〜か,名雪さんにもこんな表情ができるんだ...と,ちょっと惚れ直してしまいました。そのくせして,家では相変わらず眠り姫ぶりで,今回は朝,顔を洗いに行って溺れてしまうという離れ業を見せてくれます。
 しかしなぁ,「お前好きな人いないのか?」なんて,よくもまぁそんな残酷なことを聞けるもんですねぇ...祐一くんは...
 名雪が「小学校の頃好きな人がいたけれど,ふられてしまった」というその『好きな人』が自分のことだとちっともわからないとは...さすがゲーム主人公らしい朴念仁ぶりです。
 それだけでなく,名雪あゆの気持ちもわかっているし,祐一の中の隠された気持ちまでわかっているみたいです。ぼ〜っとして見えていても,さすがは秋子さんの娘ですね。でも,わかってしまうだけに,他の人の幸せを優先し,自分の気持ちを抑え込んでしまうんでしょうね。
 駅伝大会優勝のお祝いに何か買ってやるという祐一名雪が買ってもらったのは,苺色のビー玉ひとつ。祐一が買ってくれるものなら何でも嬉しいのでしょうが,それにしても欲のない娘さんです。でも,ゲーム本編では,祐一苺サンデーを情け容赦なく奢らせるという場面もあるのですが...まぁ,苺関連の食物に関しては別物ということで....(^^;)。
 ところで,
苺色のビー玉を見て,雪ウサギの目を思い浮かべてしまったのは,私だけでしょうか?

 最後に,祐一あゆに対して「栞はもう...」と絶句する場面は,数日前の夜に「栞の病気については良くわからない」と祐一あゆに話したことを踏まえてのことではないでしょうか...おそらく,祐一は「栞はもう...」の後に『助からない』という言葉を口にしそうになり,それを抑え込んだのだと思います。

 P.S.回想で祐一あゆの手作り碁石クッキーを食べるシーンが,フルメタル・パニックOVA『わりとヒマな戦隊長の一日』で,テッサカリーニン特製ボルシチを食べるシーンとダブって見えちゃいました。
 

第20話『別れの夜想曲〜nocturn〜』 2007/02/16放送

 なんなんですか,この初っぱなからのラヴラヴぶりは!
 お互い思いっきり告っちゃってるじゃないですか!
 初恋の恥ずかしい話をしながら頬を赤らめるなんて,まさにバカップル!
 キスも1回だけじゃないし(2回目はおでこだけれど)...
 これじゃぁもうあゆエンド以外はありえませんね。
 全国の名雪ファンの皆様ご愁傷さまです。

 祐一は7年前からあゆのことが好きで,今も好きって...前回名雪が言っていたとおりで...
 第18回で名雪が言っていた「祐一はそういうのじゃないんだよ。」とは,まさにこのことだったんですね。
 それがわかっていても複雑なのが乙女心。
 名雪が朝ちゃんと起きているのも,授業時間にもちゃんと起きているのも,内心穏やかではないからなんでしょうね。そういえば,前回授業時間に起きていたのは秋子さんが病気になったときでしたっけ...
 なんか,今回は名雪の寂しげな表情ばかりが印象に残ります。

 『京アニ版カノン』はこれまで,メイン・ルートに入ると魅力が当社比30%はUPするという傾向があったのですが,あゆの場合もやはり確実に魅力UPしてますね。
 ただでさえ表情豊かな娘なのに,頬を赤らめたり,怒ってみたり,嬉し涙を流したり,いやぁ実に良く表情が変わります。
 特に入浴シーンでキスをした自分の唇を指でなぞるところなんか,色っぽさを感じちゃいましたよ...うぐぅのくせに(^^;)。そ〜いや,風呂場に浮いているアヒルのおもちゃは『ふもっふ』の温泉編でも出てましたね...すんごく邪魔な存在だったけれど...(^^;)。
 そして,これはオリジナル・イベントだと思うけれど,「俺,月宮あゆ」には笑ってしまいました...思いっきり可愛かったけれどね。
 オリジナル・イベントといえば,あゆの制服姿もそうじゃないかな?
 袖口からちょこんと指を出して口のあたりに持ってくる姿は,某メイドロボを彷彿とさせるものがあります。そ〜いや,確か祐一と話している場面で「はわわわ」と言ってたような....これって,中の人つながりで狙っている?(^^;)。
 これで秋子さんまで制服姿になってくれたら完璧なんだけれど...さすがにそれはないだろうな(^^;)

 しかしながら,幸せな日が長く続かないのも『カノン』のセオリーでして,あゆが通っているという学校があるはずの場所にはただ大きな木の切り株があるだけであることがわかってしまうと,あゆ祐一に謝罪をしながら姿を消してしまいます。まるで,はじめからそこには誰もいなかったかのように....
 「ボク,ここにいたらいけないの?」というあゆの悲痛な叫びが胸に刺さります。

 ということは,次に名雪のシナリオをやって,最終的にはあゆエンドという流れだと思うのだけれど,でも,これだと東映版と同じで....いや,まさか,あの京都アニメーションがそんなことをやるわけありませんよね。
 きっと,「あっ!!」と驚く展開を見せてくれるはずです。きっとね!!
 

第21話『君のいない輪舞曲〜ronde〜』 2007/02/23放送

 冒頭で,あゆのふたつめのお願いが明らかになります。
 「祐一くんと同じ学校に通いたい」
 あゆが常日頃話していた学校の話は,祐一あゆに話した自分達の学校そのままだったんですね。

 あゆが消えてすっかり傷心モードの祐一を,「私たちは家族なんだよね!」と自分の心を抑えてまでも励まそうとする名雪の健気なこと!
 さすがは私的『嫁にしたいKanonキャラNo.2』だけはあります。No.1?そりゃぁもちろん秋子さんに決まってるじゃないですか!
 しかし,その秋子さんが...秋子さんがぁっっっっ!!...とそれはさておいて,
 名雪の部屋で 一緒に勉強をするイベントをこういう形でもってくるとは思いませんでしたよ。夜の9時ですっかりおネムの糸目モードにチェンジしちゃうのも,もしかしたら祐一を和ませるためにやってるんじゃぁないかと思えてしまうくらいで...
 それにしても,あの無防備な寝姿はなんですか!
 なんかもう,好きにしていいよ...と誘ってるようにさえ見えちゃったのは,私だけじゃないですよね(^^;)
 なのに,あの寝姿にときめかない祐一はホントに男なんでしょうかね?
 何気なくピロまで祐一に気をつかっているのですが...やっぱりヤツは普通の猫じゃありませんな。

 祐一にとって,7年前からあゆとの待ち合わせの場所であった駅前のベンチは,名雪にとっては7年前の哀しい思い出の場所でもあったのです。
 もしかしたら,初日に名雪が2時間も遅刻して行ったのは,祐一との再会を嬉しく思いながらも,その一方で,また祐一に拒絶されてしまうのではないか...もしかしたら自分の存在すら忘れているのではないだろうか...と不安に思っていたからなのかもしれませんね。

 「もう一つのお願いは未来の自分のため,または他の誰かのためにとっておく」というあゆの言葉に従って,あゆとともに瓶詰めにした天使の人形を埋めたことを思い出した祐一は,北川名雪とともに土掘りをするのですが,ホント,北川名雪の二人は人が良すぎです。特に北川はゲーム本編よりも良い人ぶりがパワーアップしているように思えます。

 登校途中に壊れた雪ウサギを見つけ,可哀想だからと作り直す名雪。彼女にとって壊れた雪ウサギを見ることはこのうえもなく哀しいことなんでしょうね。だからこそ,片目が無くなっていた雪ウサギのために,先日(19話で)祐一から買ってもらった大切な苺色のビー玉を取り付けてあげたのでしょう。
 その雪ウサギを見ているうちに,7年前,勇気を出して「ずっと好きだったんだよ」「受け取って欲しいな」と名雪が差し出した手作りの雪ウサギを払いのけて壊すという,自分がとった鬼畜な行為を思い出す祐一

 しかし,そのとき,もっと大切ものが壊されていたのです。
 授業中呼び出され,先生から秋子さんが交通事故に遭ったと知らされる名雪祐一
 それにしても,あの事故のシーンは...あそこまでやりますかねぇ...あれじゃぁ生きていることすら不思議って感じですよ。

 次回は鬱モード突入の名雪ですか...今回が名雪祭りだっただけに,余計に見るのが辛そうですね。
 しかし,あの目覚ましの場面をどういう風に持っていくんでしょう?...まさか無しってことは無いと思うのですがかなり難しいと思うんですよ...もっとも,これは次の次の回になるのかもしれませんけどね。
 

第22話『追憶の交響曲〜symphony〜』 2007/03/02放送

 いやぁ,まいりました。
 最後にあんな展開もってくるなんてね...
 あそこで彼女が登場するなんて夢にも思いませんでしたよ(後で見直すと伏線はちゃんとあるんですけれどね)。
 「京都アニメーションは原作をなぞるしかできない」などとほざいていたお馬鹿さん達は,すぐさま京都アニメーションの方を向いて土下座しなさい!!
 いやいや,彼女の登場がもしなかったとしても,今回の放送は素晴らしかった。
 構成,音楽,作画,どれをとっても素晴らしく,京都アニメーション版『Kanon』は終盤にきてますます凄味が増してきているように思えます。

 事故現場に落ちていた潰れた苺のショートケーキが名雪の罪の象徴であるように,潰れた雪ウサギが祐一の罪の象徴である...このように原作では気が付かなかったことが,アニメによって気が付かされたことがいくつもあるのですが,これは,それだけ京都アニメーションのスタッフが『Kanon』という作品を理解しているということなんですよね。
 しかし,それだけ細部にも拘っているということは,原作を知らない人が初めて見た時には理解しにくい面も多くなってしまうとう危険性も多くなるわけで,その点が京都アニメーション版『Kanon』が非難される由縁なんでしょうね。
 でもねぇ,わからないからこそ楽しめるってこともあるんですよね。一度見ただけではわからなかったり,その時にはわからなかったことでも,何度も見たり,または後になってから「あ,そうだったんだ!」とわかることがあるけれど,それってなんだか嬉しいじゃないですか。
 少なくとも,お金払って買うなら,一度見て「面白かったけれど,もう見なくてもいいや」と思うアニメよりは,何度も見て楽しめるアニメの方がいいとは思いませんか?私はそう思います。

 さて,話は今回の『Kanon』に戻ります。
 すっかり鬱状態になってしまった名雪がそれまで溜めていた黒いものをぶつけるかのように祐一に告げた「嘘つき」という言葉が痛い痛い。
 「もう笑えないよ」という本編ゲームでお馴染みの場面も,アニメで見ると辛さ3倍UPです。
 名雪が初日に遅刻したのは,やっぱり祐一に忘れられていることが怖かったからなんですね。
 名雪にしてみれば,7年間も無視され続けてきたわけですから,祐一の「俺も側にいる」という言葉も受け入れがたいのも当然といえば当然で...いや,それだけじゃないな,「祐一が側にいたいと思うのはあゆであり自分ではない」という思いも,名雪祐一を拒絶した理由なのかもしれません。

 そしてついに,祐一は夢の中であゆが木から落ちてしまったときのことを思い出してしまいます。
 夢から覚めたときの祐一の今にも心臓が止まりそうな息づかいは,それだけショックが大きかったといことで...そして,それだけ大きなショックだったからこそ,祐一は無意識的にこの北の街での記憶を閉ざしてしまったんでしょうね。
 それにしても,あゆが木から落ちるシーンを思いっきりスローモーションにして,暗転そして人が落ちた鈍い音...というあたりは,ほんと上手いよなぁ...

 記憶をとりもどした祐一は,名雪のことはとりあえず放っておいて(^^;),大雪が降る中森へ向かいます。
 まぁ,たしかに薄情かもしれませんが,祐一は記憶を閉じてしまうくらいにショックだった出来事を思い出してしまったばかりなのだから,心配して訪ねてきた北川に「名雪を頼む」と告げるくらいが精一杯だったのでしょうね。それにしても,今日アニ版の北川は本当に良いヤツだよなぁ...

 吹雪吹きすさぶ森の中,あゆを求めて彷徨う祐一は,やがて寒さと疲れから倒れてしまいます(このとき霜焼けで手が赤くなっているあたりは細かいですね)。
 「このままじっとしていたら,あゆのところに行けるかな」と目を閉じる祐一の元に向かう誰かの足...
 「おお,ここであゆ登場だな」...と思ったら......思ったらですよ....そこにいたのは真琴なんですよ。
 「ゆ〜いち〜」って祐一の身体を暖めるように抱きついちゃうんですよ。
 あ〜もう,こんな不意打ちってないでしょ!
 家人がいたからかろうじてこらえたけれど,一人で見てたら号泣だったな...

 そして,二人の前に現れた光の中にいるのは... 

 さて,次週はどういう展開を見せてくれるでしょうね?
 それにしても,あと2回でお終いかぁ...そう思うとなんだか寂しいですね。
 

第23話『茜色の終曲〜finale〜』 2007/03/09放送

 光りの正体は...クルマのライトだったというオチ(^^;)。
 そして,そのクルマから降りてきたのは真琴真琴でもリアル真琴さん。
 そうです。祐一が幼い頃憧れていた近所のお姉さんの沢渡真琴さんその人です。
 何故,祐一の近所に住んでいたあの人がこの街にいるのか...という素朴な疑問はさておき,このリアル真琴さんの姿は,まさに真琴(狐)が成長したらこうなったらであろうという姿をしてらっしゃいます。おそろく,真琴(狐)が人間になるとき,祐一の中にあった真琴さんの姿をトレースしたんでしょうね。でわ,何故真琴(狐)がリアル真琴さんの姿を知っていたかというと,それはほれ,なにしろ妖狐ですから...(^^;)。
 真琴(狐)の肉まん好きも,祐一の話の中に「真琴さんは肉まんが大好きなんだよ」という話があったからなのかもしれませんね。
 となると,前回登場して,リアル真琴さんが現れると消えてしまった真琴(狐)は一体何だったのでしょう?祐一の見た幻?それとも...結局この疑問は最後まで解消されないままでした。

 これもあってか,今回はなんとなくすっきりしないんですよね....何故なんだろう?
 いや,話の内容そのものは悪くなかったと思うんです。

 夜,水瀬家に香里が現れ,名雪に「自分と同じ過ちだけは繰り返して欲しくない」と告げるくだりは胸に来るものがありましたし。何よりもが「自分は大丈夫だから名雪さんの所に言ってあげて」と言われて来たというのが良いじゃないですか。
 迷いを断ち切った香里は友達思いの本当に優しい女の子ですが,これが本来の香里の姿なんでしょうね。ああ,やっぱり香里は良いなぁ...と思いつつも,「あの娘はもうすぐ死んでしまうの」という彼女の言葉は辛いものがあります。やはりこのままはフェイド・アウトしてしまうんでしょうか?

 そして,ゲーム本編では最大の『泣き』の場面である「ボクのことを忘れてください」も登場するわけなんですが...正直言ってあまりグッと来なかったんですよね。ゲーム本編では涙が溢れてきた場面なんですが,何か物足りなさを感じてしまったんです...それが何なのかはわからないままですが。
 それよりも,ピアノ演奏だけで歌われる『Last Regrets』をBGMに祐一あゆと再会してからの出来事が(それも二人きりでいるより他のキャラクターと絡んでいる時の方が多い)回想される場面や「ボクのことを忘れてください」の後,最後に「ボクはまだ暖かい?」と告げる場面の方がずっとくるものがありました。

 あゆを失い茫然自失と駅前のベンチに座っている祐一の前に現れた名雪。シチュエーションは同じでも,その内容はゲーム本編とはまったく異なります。ゲーム本編では祐一が残した目覚まし時計のメッセージによって復活をとげた名雪ですが,アニメでは香里の励ましがあったにせよ,自力で復活をとげたのです。
 それだけでなく,自分自身も辛いのに,あゆを失なって茫然自失としている祐一を抱きしめる包容力さえ身につけてしまったのだから,これはもう最強です。
 「何故これで名雪エンドじゃないんだ〜!」という全国のナユキスト達の叫び声が聞こえてきそうですね。

 それにしても気になるのがあゆの本当の『最後のお願い』の内容です。アニメでは口の動きだけで内容まではわからなかったのですが,あれは一体何て言ってたんでしょうね?
 あ〜,もう気になって仕方がないじゃないですか!

 さて,いよいよ次回で最後ですが,果たしてどんなエンディングを迎えるのでしょうか?
 まさか,「祐一が転校することになって退院した栞もいっしょにお別れ会をしたり」「秋子さんの見舞いに行った名雪があゆの病室を見つけてあゆが生きていることがわかる」とゆ〜んじゃないでしょうね?
 それとも,実は「名雪と結婚して産まれた子供があゆの生まれ変わりだった」だったりして...(^^;)(^^;)。
 

第24話『夢の果ての追福曲〜kanon〜』 2007/03/16放送

 初っぱなから普通に元気で朝の支度をしている秋子さんの姿に驚き,
 病気が治って登校しているの姿に驚き,
 退院していつも通りに階段の踊り場でお弁当をひろげている佐由理さんの姿に驚き...
 これはもしかしたら,祐一が見ている哀しい夢ではないか...とか
 あゆが見ている幸せな夢ではないか...とか
 思ったりもしたのですが,どうやら夢ではなく現実の出来事である様子...

 この展開に「なんとまぁ,奇跡の大安売りだこと!」と呆れてしまうかと思ったら,
 「ああ,良かったなぁ〜」と素直に感じている自分がいました。
 いや,実際にこういう展開もありえるとは思っていましたが,それは絶対にやってはいけない最悪の展開だと思っていたんですよね。
 ところが,名雪が「お母さんのジャムはいつだって食べられるんだ」としみじみとつぶやいたり,祐一の胸にすがりついて「本当は死ぬのが怖かった,ひとりぼっちになりたくなかった」と涙をこぼしたり,佐由理さんがいつものように階段の踊り場でお弁当を食べてたり(舞の眼鏡っ娘ぶりが思いの外似合っていたのには吃驚(^^;))...そんな場面を見ていたら,「これでいいんだ...否!,これでなくちゃだめなんだ」と自然にそう思えてきたんです。
 考えてもみてくださいよ。もし,秋子さんがあのまま死んでいたとしたら,どんなシナリオにしたところで,後味の悪いものにしかならないじゃないですか。
 そんな『Kanon』見たいですか?私は見たくはないですね。
 これが『Air』のアニメで,「呪いがとけたので観鈴も往人も復活して,みんながハッピーになりました」なんてシナリオになっていたら「なんじゃ,こりゃぁ!」と怒り爆発するところですが,本編ゲームの『Kanon』は,同じ『泣きゲー』とはいえきちんとした『Happy End』のあるゲームなわけで,それを考えれば,皆に奇跡が起こって幸せになったって,何の問題もないわけです。ええ,そうなのです。

 が,しかし,この前半の展開は前フリにしか過ぎません。
 京都アニメーションが起こした奇跡はここからが本番なのです。
 目を覚まさずに眠り続けたままのあゆ
 そんなあゆの足をマッサージする名雪,床ずれがしないようあゆの体の向きを変えてあげる佐由理さん,あゆの髪の毛をカットしてあげる香里あゆの髪の毛を洗ってあげる秋子さん。
 しみじみと良い場面じゃないですか。
 マルチ・エンドのゲームではどうしてもヒロイン同士の交流が疎遠になりがちなだけに,ゲーム本編ではなかったこういう触れ合いが描かれているのは良いですね。

 の口から語られる少女の夢の話。もちろんこれはあゆの夢ですが,もしかしたら同じ病院に入院していたであろうあゆの間で夢のシンクロがあったのかもしれませんね。
 そういえば,奇跡が起きた人達は皆あゆと同じ病院に入院していたんですよね。

 真琴のときもそうでしたが,相手が人外のものだと的確なアドバイスをしてくれるのが,です。
 の助言に従って切られた大木の向かった祐一が見つけたのは,祐一があゆにプレゼントしたはずの赤いカチューシャあゆが何度も「大切な人から貰ったもの」と言って,常に身につけていた赤いカチューシャは,実はあゆの手に渡っていなかったのです(確かゲーム本編では自分の荷物の中から出てきたんじゃなかったかな?)。自分自身が傷つきたくないために自分に都合の良い夢を見ていたことに気が付き慟哭する祐一
 7年前の姿のまま駅前のベンチにあゆを迎えに行く祐一
 なるほど,祐一が自分を偽った夢を見ていたことに気が付いたことがあゆの目覚めのスイッチになったってことなんですね。

 ラストはゲーム本編とほぼ同じですが,あゆが車椅子に乗り,それを祐一が押すというオリジナル・シーンによって,あゆが7年間の眠りから覚めてまだあまり間がないということが良くわかります。

 そして最後はあゆの輝くような笑顔の後,新しく芽を出し始めた切り株が映されるのですが,その後ろには一匹の狐の姿が...きっと真琴の復活もそう遠くはないのでしょう。
 石原監督が何かのインタビューで話していましたが,確かに雪原を走るあゆの姿がこれまでと違って見えます....
 と,余韻に浸っていたところに,『特報』の文字が...

 ん?『クラナド』のアニメ...?...ああ,劇場版のことか...
 え?違うの....TVアニメ...?....え?
 ええっっっっっっ!?
 マジですか?ホントですか?
 いや〜,ビックリしたなぁ,もう!
 いずれ作るだろうとは思っていたけれど,まさかもう制作中だったとは。
 こりゃほんと,びっぐさぷらいずですよ。
 放送は秋からかな?
 当然2−クール以上だと思うけれど,いや〜,今から楽しみです!
 これでまた『劇場版』は黒歴史扱いされちゃうんでしょうねぇ...(^^;)。
 

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