鬼橋日誌(おにはしにっし)
鬼界事務所の構成員、鬼界と橋本が書く日誌です
。                    

・2000年の鬼橋日誌は、こちらから
・2001年1月〜5月の日誌は、こちら

10月21日(日よう日) 日直・鬼界
近所のクリーニング屋に行ったら、演劇の割引券が置いてあった。
 『ご存じ三代目黄門様!
        水戸黄門 〜漫遊記〜』
助さん、格さんは誰かと見ると、森次晃嗣と目黒祐樹。
わかりやすく言えば、ウルトラセブンのモロボシダンと松方弘樹の弟だ。
最近見ないと思ったら、こんなことやってたのね。
「S席7000円のお席、プレイガイドにて好評発売中!!」と書いてある。
が、下の方に
「本券ご持参の方、お一人様1500円でご入場になれます。」と小さく書いてある。
どういうことだよ?
プレイガイドで7000円で買ってほしいの?それとも
7000円で買う善人をバカにしてるの?
7000円で買っちゃった人がこの券を見たらどうするの?
意図がわかりません。
さらにその下に「本券1枚につき8名様まで割引有効です。」とも書いてある。
う〜む、芸能界のドンブリ勘定を象徴してるなあ。


10月20日(土よう日) 日直・鬼界
『ぼんの青春 〜最終章・恐怖の人体実験〜』 その2
オシッコに行きたくなったら、別室に行き、受付でビーカーを受け取ります。
ビーカーに一滴残らず出し終え、タプタプになったビーカーを受付に渡すのです。
出すもの全てを計量、検査するのです。
(僕のやった人体実験はかなりハードなものだったようです。
普通の人体実験(?)は、ここまで厳しくないです。ご安心を。(何に・・?)
だから、大のほうも設置された和式便器にして、そのまま立ち去らなければなりません。
流してはいけないんです。
ていうか、水洗のレバーがついてなかった、特注の便器でした。
刑務所以下の扱いです。
マンガをたくさん持ち込み、テレビもバラエティーばかり見るようにし、
楽しく1週間を過ごそうとするのですが、
終わったときには、いつもディープなブルーになり、
人体実験は2度とやるまいと固く誓います。
が、お金の誘惑に負け、何度も何度もやっちゃったんだよな・・・。
ある日突然、副作用が出てバカになったらイヤだなあ。
でも、副作用のおかげで
すっごく頭が良くなり、顔も変形して超二枚目になったりして。


10月19日(金よう日) 日直・鬼界
『ぼんの青春 〜最終章〜』 その1
お楽しみいただけましたでしょうか。
自分のことながら、なかなか楽しい青春時代を送ってます。
『ぼんの青春』は、このあと
‘養成所はパラダイス篇’、‘演劇死闘篇’、‘20代にサヨナラ・・・篇’と
続くのですが、多くの関係者の秘密暴露、恥部発覚になってしまうため、
今は封印せざるをえません。残念・・・。
40年くらいたったら、連載を開始します。お楽しみに。

と、これで終わったんじゃ、あまりにも素っ気ないので
バイトの話をもうひとつ。

養成所時代によくやったのが、被臨床試験者です。
なんのこっちゃ?
市販の薬は発売前に、副作用が起こらないかを、
マウスでさんざん実験するのですが、
最終段階として人体実験も行うのです。
その実験台になるというバイトをやりました。
まず、最初に誓約書にサインします。
「この実験でたとえメクラ、ツンボ、半身不随になっても絶対訴えません」みたいなやつ。
3分の1くらいの人がサインする勇気がなくここで帰ってしまいます。
そして、実験開始。と言っても
ホテルのシングルルームのような部屋で1週間暮らすだけ。
テレビはあるが電話はなく、エアコンはあるが窓がなく、
壁も机も椅子もベッドもシーツも真っ白。そんなステキな部屋です。
食事のあとに決められた薬を飲みます。
それ以外の行動は自由。ただ部屋から出るのは禁止。
じゃあ、自由じゃないじゃん!
そして、トイレも使用禁止なんです。
それは・・・  (つづく)


10月18日(木よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜三鷹篇〜』 その6

 ぼんが4つ目に選んだバイトは、
“家庭教師”。
「肉体労働は百姓の仕事だ。僕にむいてるのは頭脳労働だ。」
ということに気づき、
知人の紹介で、受験生の勉強をみてあげることにした。
最初の生徒は、
高校受験を控えた中学3年の喜多岡俊雄くん・15歳。
この、喜多岡家の一人息子は、バカだった。
自分の名前も書けなかった。
「喜」と「雄」の字が怪しい。
どうやら、横棒の多さに混乱するようだ。
(確かに、横棒は曲者だ。
私も、「拝」の字の横棒は4本なのだ!と自信を持って書けるようになったのは、つい最近だ。)
俊雄君はバカなので、
受験科目が5科目ある公立校は、はなから諦め、3科目の私立校に絞っていた。
ぼんは、
その、英語・数学・国語の3科目全部を教えることになった。
週3日。
1日2時間で5千円。
だいたい、5時頃から7時頃まで。
お勉強終了後は、奥さん手作りの晩御飯を頂ける。
しかも、奥さん付きっきりのお給仕で。
俊雄君は、お部屋でお勉強続行、
ダンナは、帰りが遅い。
ぼんと奥さん、2人っきり。
が、
残念なことに、奥さんは黒ブタみたいな人だった。
どっちかっていうと、「飯がまずくなる」タイプだった。
 俊雄君はバカなので、呑み込みが悪い。
「やれ」と言ったことを、やらない。やれない。
ぼんは、殴ってやらせた。
「コイツ、高校、無理だな」と思いながら、ぼんは、俊雄君を殴り続けた。
“西のアホぼん”と“東のバカぼん”対決。
結果は、
アホぼんの大勝利だった。
てめぇの名前もロクロク書けない脳足りんのバカぼんは、
そこそこの私立校に、見事、合格してしまった。
「奇跡だ」と、もっぱらの評判になった。
ぼんも鼻が高かった。
喜多岡家から、早速、祝賀会のお招きを受けた。
 ここで、ぼんは、飲まなければよかったのだ・・・。
「先生、先生」と崇められ、
気を良くしたぼんは、勧められるまま、お酒をガンガン飲んでしまった。
となると、あとには例の‘酒乱の虫’が・・・。
喜多岡一族を前にしての乱痴気騒ぎ。
「俊雄君のバカぶり」に始まり、
「奥さんのお給仕の不平不満」まで、
モノマネを入れて面白おかしく、ご披露。
最後には、
奥さんに、紙とペンを持ってこさせ、
「これにおごらず、精進すべし。
母の指導、これ大事と、我、おもんばかる。」
と書いて、壁に貼らせた。
 高校入学後も引き続き、俊雄君の勉強をみてあげるはずだったが、
祝賀会以来、喜多岡家からは連絡が途絶えた。
そして、
知人からの‘家庭教師の口’の紹介も、いっさい無くなってしまった。
        (つづく)


10月17日(水よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜三鷹篇〜』 その5

 ぼんが3つ目に選んだバイトは、
「松屋 三鷹店」。
歩合制の‘セールス’は、もうコリゴリだ。
その場所に行って、そこに居さえすりゃぁ金になる、
時給制のバイトの方がどれほどラクか。
時給650円。
午後9時から午前3時までの6時間勤務。
週末は、午前6時までやった。
深夜12時から午前6時までは、
‘時給25%アップ’という、深夜のお手当てが貰えるのだ。
それに「松屋」は、賄い付きだ。
賄いは、牛丼だ。
ぼんは、牛丼が大好きだ。
ご飯と肉は規定量があるが、汁はかけ放題。ドブドブかけた。
お新香もついてる。
ほぼ毎日勤務したので、ほぼ毎日ダブダブの牛丼が食えた。
が、
ちょっと不満もあった。
その当時、
「松屋」のようなところには、女の子のバイトはおらず、
ましてやお客の中には女性は稀で、
客も従業員も、ススケた野郎ばっかしだった。
ぼん、ちょっと不満。
しかも、制服はウンコ色。
いや、
それはいいのだが、
やはりウンコ色の、紙製の帽子が、ぼんのデカい頭には小さすぎたこと。
かぶる時、ヘリのところをついつい破ってしまい、
バイトのふるかぶ・鴨志田さんに怒られるのだ。
「おまえは頭がデカ過ぎんだよっ!
気をつけてかぶれよ!」
そんな不満もあるにはあったが、
ぼんは一生懸命働いた。
 松屋でバイトし始めて、早、3週間が経とうとしたある日。
下っ端の仕事の1つである皿洗いを、ぼんはしていた。
バカ丁寧に洗う為、遅々として進まぬぼんの仕事ぶりに、
鴨志田さんが怒鳴った。
「なにトロトロやってんだよっ!
遅いことなら牛でもするぞ!」
ぼんは、
「遅いことなら牛でもする」がおかしくて、思わず笑ってしまった。
鴨志田、大激怒。
ぼんに、地獄の“皿洗いオンリー”を命じた。
皿を洗う場所は、
ディッシュウォッシャーの大量の湯気に加え、
肉を焼く鉄板の熱が異常にこもる場所だ。
暑さで息苦しくなる。
その為、洗い場は、時間を決めて交替制にしている。
この灼熱地獄に、ぼんは、‘交替無し’で居続けさせられたのだ。
4時間後。
ぼんは気絶した。
「狭い厨房における酸素不足」と診断された。
頭が痛くて泣けてきた。
倒れた時にぶっつけたらしい。
この日を限りに、ぼんは松屋を辞めた。
 この教訓を生かして、
ぼんが4つ目に選んだバイトは、
           (つづく)


10月16日(火よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜三鷹篇〜』 その4

 ぼんが2つ目に選んだバイトは、
「ニールセン テレビに関するアンケート(主に視聴率調査)」戸別訪問。
基本給1日千円。
アンケートが取れれば、1件につき三百円の歩合。
交通費支給。
なにより、
1つ目のバイト「英語教材ビデオ‘とび込みセールス‘」で痛いめをみたぼんは、
【これは‘とび込み’ではありません。
事前に会社から通知してありますので、各ご家庭は了解済みです。
ですから、行けば快く応対してもらえます】
という、うたい文句に惹かれた。
ぼんは世田谷地区担当。
またまた、しらみつぶしにドアを叩く。
開けてくれやしない、だーれも。
「今、忙しいから。」
どうやら訪問販売と同一視。
「うち、テレビ無いんですよ。」
という人もいた。
ちなみに、この「テレビ無いんですよ」は、
受信料集金をつっぱねるのに、ぼんが現在、活用している。
 100件まわって、1件だけ答えてくれた。
YES・NO式だから、お互いにラクだし、時間的にもさっさと終わる。
最後に、署名と捺印をもらえば‘アンケート完成’というわけだ。
1件だけだから、たった三百円にしかならないが、
ぼんは嬉しかった。
報われた思いで、帰社した。
そして、
ぼんは怒られた。
「だーめだよ、これじゃぁ。こーれは使えないよー。」
ぼんの取ってきたアンケートには、
考え考え書いたような、ただれたようなひらがなでの署名があった。
「いまむら みつる  7さい」と・・・。
みつるくんは、1人でイイコでお留守番をし、1人でアンケートにも答えてくれたのだ。
しかし、
子供は、アンケート対象外だった。
ぼん、がっくり・・・。
あぁ無情。
心が痛くて泣けてきた。
1日だけでバックレた。
 この教訓を生かして、
ぼんが3つ目に選んだバイトは、
            (つづく)


10月15日(月よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜三鷹篇〜』 その3

 ぼんの目を釘付けにした、ある劇団の折込みチラシとは・・・。
   【人生は遊園地。
    君の観覧車は回っているかい?
    才能を目覚めさせるのは今!
    劇団員募集中!!
           劇団「観覧車」】 
あのオッサン(9月23日付の日誌参照)がいる劇団だ!
こんなとこに入ったら、人生カラ回りだ。
あぶない、あぶない。
慌てて次のチラシに目をやると、
またまた「劇団員募集」の文字が・・・。
   【あなたも演劇をやりませんか?
    夏季受講生募集中!】
某俳優養成所のチラシだった。
 ぼんは、9月から養成所生徒となった。
授業は、月〜土の毎日、午前10時から午後5時まで。
大学は、例のアレで、行かなくても良かったので、
ぼんは毎日‘初めての演劇体験’に、心身ともにのめり込むことが出来た。
さらに、
ぼんを虜にしたのが、毎日の飲み会。
“ボニクラのコンパ”の8倍楽しいぞ。
毎日毎日、‘演劇→泥酔’‘演劇→泥酔’に明け暮れた。
 ぼんは、毎日の飲み代を稼ぐ為に、アルバイトを始めることにした。
生まれて初めてのアルバイト。
アルバイトニュースで探した
「英語教材ビデオ 10巻セット8万7千円」の訪問販売。
基本給は無し。完全歩合制。
1セット売ったら、1万円。
会社は、埼玉の山奥にあった。
左が渓流、右が崖の、くねくね道をずっ〜と歩くと、
プレハブの2階建てが。
1階は、「1杯160円」で有名なうどんチェーン店“山田うどん”。
社長は、
「うちの会社は、
一流大学の社員のみを雇用していることで、信頼度が高い。
だから、
‘とび込み’でも、どこのご家庭でも快く応対してくれる。
このバイトを半年やってる一橋大生は、
月50万円稼いでる。」
と、下から出前で取った160円のうどんを食いながら説明してくれた。
交通費は出してくれないので、
まず、ぼんは徒歩で、下宿周辺のご近所さんをしらみつぶしにあたった。
全く売れない。
ていうか、ドアも開けてくれない。
50件まわったが、話を聞いてくれた家は、皆無だった。
足が痛くて泣けてきた。
1日だけでバックレた。
 この教訓を生かして、
ぼんが2つ目に選んだバイトは、
           (つづく)


10月14日(日よう日) 日直・橋本
 今日は、とてもハードな1日だった。
大ハード。
昨日は午後10時から、「町内会主催 夜のキノコ狩り」に同行し、
帰宅したのは、今日の午前2時。
4時間ほど睡眠をとり、
朝9時からの「町内会主催 秋の大運動会」に参加。
午前の部の選抜対抗リレーのアンカーとして出走し、
見事、優勝。重責を果たす。
ひとっ走りした後、
「後生だから、午後の部にも出てくれ」
という、町の長老のお願いを振り切り、
「先行予約業務」を遂行すべく、
事務所へと向かう。
「ご予約ですね?ありがとうございます!
いつに致しましょう?何名様ですか?
それでは、お名前とご住所と、あっ、郵便番号からお願いできますか?
それとお電話番号をどうぞ。」
などと、
“お電話応対マニュアル”を、
何度も何度も心の中で繰り返しつつ、
さらに、
お客様の名前が‘難しい漢字’の場合に備え、
漢和辞典に目を通しながら、駅へと急ぐ。
 「10時の先行予約開始時刻には間に合わないが、
このぶんなら1時間程度の遅刻で済むぞ。良かった!」
と胸をなでおろす私を阻んだものは、思いもよらないものだった。
「町内会主催 仮装パレード」。
横切ることは到底不可能だ。
行き過ぎるまで待つしかない。
2時間かかった。
しかも、
それで終わりではなかった。
「町内会主催 ちびっこハロウィーン行列」。
これが1時間。
そのあと、
「町内会主催 シルバー歩け歩け大会」で1時間。
 午後3時。ようやく事務所に到着。
朝から、運動会で長老から貰ったオニギリ1個しか食べていない。
憔悴しきった私を心配したお手伝いのA子ちゃんに、
「きよみさん、食事に行ってください!」と勧められ、
近所のコンビニへ、食料買出し。
シュークリームも買って、みんなでおやつ。
そうこうしてるうちに、早5時を回り、
お情けで1度だけお電話に出させてもらい、無事、終了時刻の6時を迎えたのだった・・・。
以上!
ダイハードな1日の報告終わります。

ご予約くださった皆様。
本当にありがとうございました。
感謝感激雨アラレです。
Y様。難しい漢字ではないのにキョトンとしてしまった私をお許しください。


10月14日(日) 日直・鬼界
なんだか橋本の町内はとても楽しそうでいいなあ〜。
そんなところに僕も住みたいなあ〜。
 って、そんなとこあるわけねえだろ、言い訳になってねえよ、橋本!
シュークリームを買うついでに
橋本は事務所の備品(ノート、スティックのり、パールピンク色のペン、ピカチュー消しゴム)を
買ってきてくれました。
お詫びのつもりだったのでしょう。エライです。
 ノートとのりは予備がいっぱいあるだろ?
 パールピンクのペンを事務所で何に使うんだよ?
 ピカチュー消しゴムは、どう使うんだよ?
 ピカチューの頭で消しても足で消してもスリ減ってきて、かわいそうで使えねえよ。

橋本が1度だけ出た電話の応対は非常に丁寧で練習の成果が見えました。
ただ、「どのような字を書くのでしょうか?」と
Y様に聞く必要はなかったかもね。
 よしだ様はたいてい‘吉田’と書くだろ。バッカじゃねえの。
ああ、スッとした。
橋本の大遅刻のせいで1日中電話の前を動けなかった鬼界でした。
お電話くださった皆様、本当にありがとうございました。
お電話くださらなかった皆様、明日以降のご予約を切にお待ちしております。


10月13日(土よう日) 日直・鬼界
明日はいよいよ11月公演の先行予約受付日だ。
橋本は「電話の応対は私に任せてくださいっ!」と張り切っているが、心配だ。
だって、前回の先行予約のとき、ヒドかったんだもん。
開始時刻の10時が近づいても、全然現れやしない。
やっと、10時15秒前、目を腫らしてハァハァ言いながら駆け込んできた。
遅くなった理由を尋ねると
「ゆうべ、電話応対の練習をしてたら、いつの間にか朝の4時になっちゃって、
寝たら起きられないと思ったから、手の甲に針を刺して寝ないようにしてたんだけど
いつの間にか針を刺したままバク睡しちゃってたんです。」
4時まで練習してたことも恐るべきことだが、
(一体なにをどう練習してたの?)
針を刺したまま熟睡してる橋本の姿が容易に想像できるだけに
誰も何も言えなかった。
ただお手伝いのA子ちゃんだけが、橋本を慰めていた。
やる気マンマンなので電話の応対を任せた。
「お客様、確認いたしますので少々お待ちくださいませ。」と送話口を手で押さえ
お手伝いのA子ちゃんに大声で尋ねている。
「初日と最終日に2回見るんで同じ席にして欲しいってお客さんが言ってるんだけど
大丈夫かなぁ?ちょっと調べてみてくれるぅ?」
A子ちゃんが調べる間、橋本は自分の応対のスムーズさに酔いしれ、
『ドラえもん』のメロディーで鼻歌を唄い出した。
「♪どんな席あるの、取れたらいいな、・・・・・。 タケコプターッ!」
最初しか知らねぇのかよ!
とは誰も言えません。
「あっ、大丈夫なの、了解〜!じゃ、お客さんにそう伝えまーす」と
送話口の手を離したはずが、
押さえていたのは耳にあてるほう、
つまりお客さんに全部聞かれていたのです。
さっきは橋本の味方だったA子ちゃんさえ、ア然。
こんな人が明日も電話に出たいと言ってるんです・・・・。

とにもかくにも皆様のお電話、お待ちしております。
橋本が出たら、ラッキーなのかアンラッキーなのか、それはあなたの気持ち次第ということで。


10月12日(金よう日) 日直・鬼界
白い杖をつき、黒メガネの年配の男性が歩いていた。
目の不自由な方だ。
演技の勉強になると思い、あとをつけてみた。
白い杖を巧みに操り、道のくぼみをよけていく。
十字路に差し掛かると、車が来ないか耳で確かめている。
光の具合で十字路に来たことがわかるのか、
いつも歩いてる道だから歩数を覚えているのか、さすがだ。
パンツが見えそうな短いスカートの女子高生とすれ違うと
振り向いて眺めている。
ああいう方も目の保養が必要にちがいな
ん?
見えてんじゃねえか!ふざけやがって!!
でも笑っちゃった。
いるんですね、ニセめくら。
気をつけよう スリと空き巣と 白い杖。


10月11日(木よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜三鷹篇〜』 その2

 ユーレイ部員になったとはいえ、
コンパの楽しさを捨てきれないぼんは、
“ボニクラ”の面々が飲み始める時間を見計らっては、折々に例の「鳥吉」に足を運んだ。
新入生の女の子が目当てだったが、
「鬼界さんは酒乱!」が既に広まっていたので、
怖がって、女の子は誰も寄っ付いてこなかった。
酒癖が悪いのは事実だから、仕方ない。
寝ゲロ、暴言・暴行、器物破損。
(しつこいようだが、
なんで、そんな人が今は「僕、お酒ダメなの」とか言って、
“ファジーネーブル”をチビチビ飲んでるんだろうかねぇ・・・)
で、
女の子が相手してくれないので、
そのうち、コンパにも行かなくなってしまった。
学校にも行かない。
授業を欠席しても、テストさえ出来れば単位が取れたから。
(テスト前になると、
ノートのコピーを売って、こづかい稼ぎをする学友がいた。
1科目につき、約2千円。
ぼんは、毎回、全科目ぶん買っていた。)
毎日、映画ばかり観に行っていた。
 そんな、ある日。
茨城の伯母チャンからお手紙が来た。
「浩巳ちゃん。
同封のチケット、あげるわ。
電器屋さんにもらったんだけど、伯母チャンとこ、誰も行きたくないって。
観てきたら?
今度、感想聞かせてちょうだい。」
同封されていたチケットは、
『ピーターパン 主演・榊原郁恵』だった。
ゲッ。
なんだよ、デブ榊原郁恵なんか見たくないよ。
捨てちゃお。
待てよ。
伯母チャンは「感想を聞かせろ」と書いている。
この伯母チャンは怖い。
さからうと、親戚中に僕の悪口を言うだろう。
仕方ない。
どうせヒマなので、ぼんは、新宿コマに『ピーターパン』を観に行った。
 結果。
ぼんは、生まれて初めて観た“舞台”にエラク感動。
細かく言えば“フライング”に。
前から5列目の席に座ったぼんの頭上を、
郁恵ちゃんの巨体が、例のフライングポーズでブーンと跳んでいった時は、
背筋がゾクゾクっとした。
「また跳ばないかなー」と、上演中ずっと願っていたが、1回こっきりだった。
「跳べ、跳べ」と、
そればかりに気を取られていたので、「郁恵が跳んだ」こと以外は、なにひとつ覚えていない。
それからのぼんは、
『ぴあ』の演劇欄を、映画欄と共に片っ端から見るようになった。
「演劇って、こんなにやってるんだぁ」
と、びっくりした。
片っ端から観に行った。
文学座・四季に始まり、
遊眠社・乾電池・第三舞台etc。
 俳優座を観に行った時のこと。
折込みの、ある1枚のチラシに、ぼんは目を奪われた。
それは、ある劇団の「劇団員募集」のチラシだった。
        (つづく)


10月10日(水よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜三鷹篇〜』 その1

 ぼんは、大学2年の春、三鷹に引っ越した。
梅の木どころか、木なぞ1本も生えていないのに「紅梅荘」という名のアパート。
築23年。
3畳の台所と6畳の和室。
風呂なし。
水洗トイレ付き。
ぼんは、102号室。
101号室は、中国人。胡麻油で炒め物ばかりしていた。
103号室は、気チガイで、夜な夜な部屋でサッカーの練習をしていた。
三鷹へは“交通の便”を求めての引越しだ。
アパートから駅までは徒歩30分もかかるが、
電車に乗ってしまえば、こっちのもの。
新宿・池袋に出るのには、前の『恋ヶ窪』に比べて、エラ便利。
終電も遅くまであるし。
そう。
ぼんは、新宿・池袋に足繁く通っていた。
映画を観るために。
 そもそも、ぼんは、いろんな映画を観たいが為に東京の大学を選んだ。
東大は無理なので、一橋大を受けた。
ぼんの高校時代、
キネ旬洋画ベスト10には、3時間を超える文芸大作映画が、多くランクインしていた
(例えば「木靴の樹」「旅芸人の記録」など)。
しかし、
それらは、東京のみでの単館ロードショーなので、
京都では観れない。
ぼんは悔しかった。
「東京に出るしかない!」と思ったのだ。
ちなみに、
いざ東京に来て、‘文芸大作映画’を勢い込んで観たが、
「どれもこれも寝た。
だいたい40分くらいで。
残りの2時間は、熟睡だ。
クソつまんねぇ。」(ぼん談)
 そんなわけなので、
大学入学当初から映画を観に行ってはいた。
が、
例の“ボニクラ”の活動や、必修科目で忙しく、
‘思う存分映画鑑賞’というわけにはいかなかった。
しかし、
いよいよ2年生になったぼん。
授業をサボりまくり、“ボニクラ”もユーレイ部員となって、
当時は数多くあった「名画座」に通い詰めだした。
(‘出欠を取らない先生の授業’ばかりを選んだので、テストさえ出来れば単位は取れた。
 “ボニクラ”のほうは、
 4年生になった佐竹部長が引退しちゃって、ぼんにとって“ボニクラ”がツマラナクなったので。
 あの撮影の後、
 佐竹さんと小巻ちゃんはお付き合いを始め、
 トモコは“ボニクラ”を辞めている。)
だから、
映画を観に行くのに便利な『三鷹』に引っ越した、というわけだ。
 そんな、映画三昧のぼんに、
とうとう‘演劇’との出会いが、思いもよらない形でやって来た。
                  (つづく)


10月9日(火よう日) 日直・鬼界
新宿駅でアナウンスが聞こえてきた。
「山手線は現在、上下線とも運転を見合わせております」
ちっ、急いでんのに、どうすんだよ!とムカついていると、
事務的な口調でアナウンスが続けられた。
「お急ぎのところ、ご迷惑をおかけいたちております」
ん?イタチ?
‘おかけいたして’じゃないの?もしかして、“し”って言えないの、この駅員さん?
と思ってると、あくまでも事務的な口調でアナウンスは続いた。
「10時10分頃、原宿駅で発生ちまちた、人ちん事故のため・・・・」
笑ってしまってそれ以上は聞けませんでした。


10月8日(月よう日) 日直・鬼界
昨日、下北沢で。
後姿がたまらなく美しい女性が僕の前を歩いていた。
頭がちっちゃくて可愛く、スタイル抜群、服のセンスもベリーグー。
追い越してなにげなく振り向き顔を拝ましてもらおう。
が、
これは男性の永遠の課題なんです。
そもそも追い越していった人が振り向くというのは、おかしいんです。
前の人を追い越すくらい急いでんだから、振り向く余裕なんてないはず。
さらに、振り向くという行為は、あんまりなにげなくやりません。
でも一応は考えて、理由をこじつけます。
・おや?誰かに呼ばれたような気がする
・ちょっと気になる店がこのへんにあったはず、キョロキョロ
・首が凝ったから、首の運動をしよう
など、一生懸命、みえみえのお芝居をしてしまいます。
昨日の僕なぞは
「あっ、忘れ物しちゃった」とわざわざ大きな声で独り言を言いながら振り向きました。
なにげなく振り向くのも苦労するんです。
振り向かなきゃよかったと思いましたけど...。


10月7日(日よう日) 日直・橋本
 鬼界さんの昨日の日誌に
「橋本さん、ご迷惑をおかけしました。
これで借りが一つできました。」
と書いてあった。
お言葉に甘え、
早速、“貸し”を使いたいんですけど・・・。
「劇場の日にち取り間違い」
ありゃ?なんか語呂がわるい?
「劇場の間違い日にち取り」
あれー?
「日にち取り。思わず間違う1ヶ月」
んー・・・。
「劇場の。日にち間違えアホのうわぬり」
・・・・・。
何を言いたいかというと。
「劇場に予約する際、
10月19日(金)〜21日(日)を取るはずだったのに、
間違えて11月19日(月)〜21日(水)を取ってしまった」
という恐るべき橋本の失態を、
どうか、もうそろそろお許し願いたいのですが・・・。
 先行予約の日が迫ってきたからかもしれない、
今日、悪夢を見た原因は。
『私は、舞台のソデで出番を待っている。
一発目の自分のセリフを、
胸中で何度も何度も繰り返しつつ、今か今かと・・・。
緊張はピークだ。
が!
舞台上の共演者が、いつになっても、
私の“出のキッカケ”となるセリフを言ってくれない。
どうしたんだ?!
なぜ言わない?!
共演者は、
私がいつまでたっても出て来ないもんだから、
焦りと憤りを込めた眼差しで、
ソデに居る私を幾度となく見たりしている。
なのに、
キッカケのセリフだけは、あくまで言おうとしない。
それを言ってくれないことには、どうしても私は出られないのだ。
キッカケ「ツーと言えば、」
私「カー。」
「アーと言えば、」
「ウー。」
みたいな登場の仕方らしい、どうやら私は。
キッカケ無いけど、勝手に出てしまおうか・・・?
しかし、
大シリアス劇で、共演者が泣き崩れてセリフを言っているところに、
なんの前触れもなく「カー。」と登場するのは、不可能に思える。
そのうち、
異変を察したのか、お客さんたちがザワザワしだした。
マズイ!
出るしかない!
「カー!」
一斉に、私めがけて客席からザブトンやカバンが飛んできた。』
舞台の夢を見ることはたまにあるが、
こんなに悲しい夢は初めてだ。

皆様、“平日のみ”となってしまい、ごめんなさい・・・。
ご都合つけづらいとは存じますが、
どうか、どうか、
よろしくお願いします。


10月6日(土よう日) 日直・鬼界
へこんでます。
だってさ、僕だってさ、見栄をさ、張りたいと思っちゃたりするじゃない。
あのトモコにあんな風に言われたままじゃあ、カッコつかないじゃん。
そう思って、『悲しい恋篇』を書き始めたんだけど・・・・。
トモコはユーモアはあるけど、人の話を聞かない、頭のデカい、
(森昌子+カバ)÷2の顔を持つ女
というとこまでは事実です。
でも、そのあとが捏造なの・・・。
あいつはズケズケ言い過ぎるから、みんなに好かれてなかったし、
一緒に帰ったことなんて、いっぺんもないし、
ていうか、トモコを送っていこうなんて人は誰もいなかったし。
だからさ、なんかさ、ちょっとさ、僕もさ、あれしちゃえなんてさ、思ったんだけど、
でっちあげられませんでした。ウソなんて書けるもんじゃないっす・・・。
男ってバカな生き物です。
ていうか、僕がバカな生き物?
すいませんでした。
そして、橋本さん、ご迷惑をおかけしました。これで借りが一つできました・・。


10月5日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

橋本「そんな‘でっちあげ’書くからですよ。
   自分で責任とって、
   “わたくし、ウソをつきました”と、
   今日の日誌は“謝罪文”を書いたらいいじゃないですか。」
鬼界「いや、
   僕も、そうしたいのよ。
   そうしたいのはヤマヤマなんだけどね。
   日誌を書く時間がないのよ。」
橋本「“にんじんボーン”の本番は、夜7時開演ですよね?
   今は朝の7時ですよ。
   時間はタップリあるじゃないですか。」
鬼界「僕は、少なくとも、あと5分以内には家を出なければいけない。
   なぜならば、
   読売巨人軍多摩川グラウンド跡に行って、発声練習をするんだ。
   これは、
   昔から僕が自分に課した‘公演期間中の日課’なんだ。
   一昨日、昨日に続き、今日で3日目。
   行かないわけにはいかない。
橋本「わざわざ、そんな遠くまで?」   
鬼界「若き日の長嶋が血と汗を流した多摩川グラウンド・・・。
   そう。
   これは、巨人軍を去る長嶋へのオマージュとも言えよう。
   そして何よりも、
   マウンドに立つと、夏の甲子園に出場した時の、
   あの大歓声を思い出すんだ。
   その、僕だけに聞こえる大歓声に負けじと、大きな声が出る。
   あそこだと、そんな素晴らしい発声練習が出来るんだ。」
橋本「それにしても、まだ朝の7時ですよ。
   出かけるには早過ぎるのでは?」
鬼界「ウォーミングアップを兼ねて、多摩川まで走るからな。
   おっと、もう出発だ。
   そういうことだから、頼むよ。
   じゃ!」

電話は一方的に切られた。
とりあえず、私は、また寝た。
10時頃起きて、鬼界さんからの電話について、よくよく考えた。
‘公演期間中の発声練習’?
鬼界さんが?
聞いたことないよ?
長嶋へのオマージュ?
鬼界さんは、阪神ファンでアンチ長嶋のはずだ。
‘夏の甲子園に出場した時’?
以前、みんなで草野球した時、哀れなほど鬼界さん、ヘタだったけど?
鬼界さんに電話してみた。

鬼界「はーい」
橋本「橋本ですけど。」
鬼界「うわっー!!」
橋本「多摩川に向かって、走ってるはずでは?」
鬼界「出発しようと、ドアノブに手をかけた瞬間、
   かなしばりに合っちゃって。
   大変だったのよ。
   でも、この電話のベルで解けた。アー助かった。」

なんだ、この人は。
1万円もらわなきゃ割りが合わないな。
私だって、デートの約束があって忙しかったのに。
・・・・・・。
ごめんなさい。
わたくしも、今、ウソをつきました。


10月4日(木よう日) 日直・橋本
 午前7時。
1本の電話で叩き起こされた。
なんだよ、誰なんだよ、こんな朝っぱらから!
演劇人への‘午前中の電話’は、ご法度だ。
バックレようっと。
しかし、
「待てよ、急な仕事の話かもしれないぞ・・・」と考え直し、受話器をとった。
予想だにしない相手だった。
「おはようございます。鬼界です。あら?起こしちゃった?」
あたりめーだろ。
なんなんだよ。
眠いんだよ。
「ったく、こんな朝早くに、なんなんですかぁ?」
「いや、お出かけされちゃったらマズイんで・・・。
ちょっとお願いしたいことがあってさ。
実は・・・・」
 鬼界さんからの“早朝の電話のワケ”はこうだ。
鬼界さんは、昨日から日誌に『ぼくの青春 〜悲しい恋篇〜』を、
‘続き物’で書き始めた。
なぜか?
橋本の連載『ノンフィクション ぼんの青春』に対抗して。
「ブストモコの一件で、
まるで僕が‘外見でしか女性を見てない’ように思われたかもしれない」
「“女の子と手ぇつないだこともない。
いや、一緒に並んで歩いたことすらないな。”
この描写で、僕が‘まるでダメオくん’に思われた可能性がある」
これらの誤解を打ち砕くべく、
「トモコとの深い友情(ブスも好き)」から始まり、
さらに、
「マドンナ小巻ちゃんとの恋(僕はモテる)」へと発展させた連載を、
鬼界さんは書く予定だったのだ。
が!
人間、所詮ウソはつき通せはしない。
昨日の鬼界さんの日誌の最後、
あたかも、トモコとの親密さを表すように、
「今度2人でプールに行こうぜということになり、
約束の日、トモコのアパートに迎えに行くと・・・(つづく)」。
行くと?行くと、どうなんの?
これは、誰あろう鬼界さんの疑問。
「俺が聞きたい」
そう。
ぼんは、トモコと仲良くなんかなかった。
2人で飲んだこともないし、ましてや誘い合ってプールになんか行くはずもない。
鬼界さんは、昨日、でまかせを書いたのだ。
そして、
「しばらく、僕が連載を書くから!」
と言った矢先の、今朝7時の電話。
「続きが書けないので、やっぱ今日の日誌、書いてくれる?」
昨夜12時頃帰宅して、
朝まで一睡もしないで、今日書くはずだった続きを、あれこれ考えてはみたそうだ。
「トモコがビキニでお出迎え」
「トモコんちのドアを開けたら、そこに強盗が!
僕は体を張ってトモコを助け」
「トモコんちの前で、小巻ちゃんにバッタリ。
小巻ちゃんは‘ねぇ、このまま2人でどこかへ行かない?’と、僕を誘い」
ダメだ、ダメだー!
あとが続きそうもねぇよ、これじゃ!
ダメだぁ・・・・・。
ということで、
にっちもさっちも行かず、
朝の7時を待って電話をしてきた、というワケだ。
そりゃ、そうだ。
ウソなんて、そう簡単に書けるもんじゃない。      
                    (つづく)


10月3日(水よう日) 日直・鬼界
『ぼくの青春 〜悲しい恋篇〜』 その1
橋本の連載『ぼんの青春』は、すべて事実です。
が、補足しなければならないことがあります。
確かにトモコのことを
「頭のデカい、ブッサイクなキモい女」と橋本に説明しましたが、
それだと、まるで僕が外見でしか女性を見てないみたいです。
違うんです。

6月に僕が“ボニクラ”に入部したとき、
最初に声をかけてくれたのは、トモコでした。
「オニカイくん、て変な名前ね。どこの出身?婦人服売り場?」
今でも忘れません。
トモコは人の話を聞かない女でした。
「キカイといいます。京都府出身です。よろしくおねがいします」と
僕が自己紹介したのをまったく聞いてないんです。
でも、ユーモアのセンスはかなりのものでした。
「オニカイ→お二階→デパートの二階→婦人服売り場」
この発想を瞬時にするんですから。
森昌子とカバを足して2で割ったような顔だけど
あけっぴろげで気さくでざっくばらんなところがみんなに好かれてました。
同じ大学の同級生ということもあり、僕とも気が合いました。
方向が同じだったから、“鳥吉”で飲んだ後は必ず一緒に帰ったし、
恋ヶ窪に着いて、2人で飲みなおしたこともあります。
仲のいい友達だったんです。
そんなある日、トモコが高校時代は水泳をやってたことがわかりました。
僕も水泳部です。
じゃあ、今度2人でプールに行こうぜということになり、
約束の日、トモコのアパートに迎えに行くと・・・・ (つづく)


10月2日(火よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』 その7

 コインランドリー“ランドリー★フレンドリー”のガラス戸2枚を叩き割っても、
ぼんの怒りは収まらず。
それどころか、
破壊本能に火がついた?
大学正門前にある自動販売機のガラスを、これまた叩き割って、
‘見本’の缶ジュースを2本盗んでガブガブ飲んだ。
(現在、自販機の‘見本’は、中身が入っていない‘缶だけのウソモノ’だが、
当時は‘中身が入った本物’だった。)
ぼんは、酔っていたし走ったので、のどがカラカラだったのだ。
ジュース2本をイッキ飲みして人心地ついたぼんは、
気分がよかった。
鼻歌を唄いながら、
部室へ向かうべく、正門を入った。
と、ふと、そこに建つ銅像を見たぼん。
「一体、オマエは誰なんだ」
と眺めるうちに、またまた破壊本能が・・・。
ぼんは、
部室棟に走った。
目指すは、マンドリンサークルの部室。
ぼんは、マンドリンサークルが嫌いだった。
なんだか、スカシタやつらなのだ。
中途半端な楽器で、
「マイ・ウェイ」と「いい日旅立ち」ばっかり演奏しちゃって。
ぼんは、
マンドリン部の部室の前に設置されている消火器を、こっそり取り外した
(各サークルの部室の出入り口の横に、1個ずつ消火器が設置されていた)。
そして、
その消火器を抱えて正門のところまで戻ると、
正体不明の像めがけて、液を噴射。
像、真っ白け。
胸がスッとしたぼんは、
銅像の台座の上に、使用済みとなったマンドリン部の消火器を飾り、
何事もなかったように我が部室に帰り、
寝てしまった。

(酒癖が悪い、
っていうより、やっぱ酒乱だね。
酔ってながらも悪知恵が働くあたり・・・鬼界さんだ。
しかし。
こんな酒乱だった人が、
なんで今は、
「僕、お酒ダメなの」とか言って
“ファジーネーブル”をチビチビ飲んでるかねぇ・・・。)


10月1日(月よう日) 日直・鬼界
ここ1週間、鬼界浩巳事務所は、さまよっています。
このHPのトップページの背景色が決まらないのです。
「バァ〜んと派手にしよう」と、ドギツい赤にしてみました。
コンセプトは“燃える秋。揺れる心がせつなくて・・・”
が、その夜、
「マツタケ狩りに行くと、突然マツタケから次々に火が噴きだして山火事になり
炎の中を逃げ惑う」
という“燃える秋”の夢にうなされました。
その上、お客様からも不評でした。
次に、お花を散らしメルヘンチックな背景にしてみたところ、
なんだかオカマさんのHPみたいになっちゃいました。イヤ〜ン。
そして、今日の背景色に至ります。
コンセプトは“なんとなく秋っぽいし、よく見ると日本風”
見たまんまだ・・・。
鬼界浩巳事務所、いまだ、さまよい中。


9月30日(日よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』 その6

 ぼんが憧れている小巻チャンはじめ皆の前での、
トモコの“鬼界君はリードがヘタなのよ発言”は、
ぼんを打ちのめした。
飲み会がお開きになって、部室に寝に帰る道々でも、
ぼんの怒りとショックは、
収まるどころか激しくなるばかり。
(撮影期間中、帰りが遅くなると、みんなで、よく部室に泊まりこんだ。
ヘタすると1週間でも。
頭コテコテ。)
「リーロがヘラらろよ」「おんらろ子りモテらいわよ」
ろれつの回らぬ舌で吐き捨てるように言ったトモコの言葉が、耳から離れない。
だいたい、
“女の子と腕を組んで歩く”なんてこたぁ、
生まれてこの方やったことがない。
手ぇつないだこともない。
いや、一緒に並んで歩ったことすらないな。
ていうか、
なに?“腕組む”って。
あの“曲げたほうの腕の指”は、どうしとけばいいわけ?
女はいいよ、女は。
男の腕につかまってりゃいいんだからよ。
あのブス、グイグイ押して来るしよ。
犯人連行じゃねぇんだよっ!ばーか!!
 無性に腹が立ってきたぼん。
押さえきれない怒りが、ぼんの身内を襲った。
その時だ!
大学そばのコインランドリー“ランドリー★フレンドリー”の前を通過しようとしたその時、
仲間が止める間も無く、
ぼんは雄叫びと共に、誰もいない“フレンドリー”の入り口のガラス戸に突進して行った!
グワッシャーン!
グワッシャーン!
(ちなみに、これは、ガラス戸2枚を、ぼんが拳で割った音)
次の瞬間には、
一目散に逃げてゆく仲間の後を追うように、
ぼんも、ねぐらの部室へ向かってダッシュしていた。
血のにじむ右手の拳を握り締めたまま・・・。
走りながら後ろを振り向いたぼんは、
“フレンドリー”の前の路上に、硝子片が散らばっているのを見た。                                                       (つづく)

余談ですが。
確かに“腕を組む”のは難しいかも・・・。
“組まれ慣れてる”男の人じゃないと、なんか、ぎこちない。
女性をエスコートし慣れてない日本人には、
特に難しいかも?
ポケットに手を突っ込んだ男の子の腕に、
女の子が手を添える(または、絡みつく。しがみつく。絡めまくる)。
という形だと、まだサマになる?
佐竹サンも佐竹サンだよねぇ。
鬼界さんとトモコ嬢に、そんなシャレたこといきなりやらせちゃうから・・・。


9月29日(土よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』 その5

 ぼんが所属する映画サークル“ボニクラ”の行きつけの店は、
大学そばの焼き鳥屋“鳥吉(とりよし)”。
ここの名物は‘白菜鍋’。
‘ちゃんこ’みたいなもの。
客のほとんどは、これを注文する。
焼き鳥を注文する客、皆無。
焼き鳥、エラまず。
エセ焼き鳥屋。
ボニクラのメンバーは、
企画会議に始まり、クランクインからアップするまでの間、打ち上げに至るまで、
毎日必ずと言っていいほど、鳥吉に飲みに行った。
飲む時の話題は、終始、
「今日の撮影はアアだったコウだった」
に尽きたが、
1つのものを共に創りあげようとしている仲間達でワイワイ飲む酒は、楽しいものだ。
雑用係とはいえ、ぼんにとっても、格別だった。
佐竹さんら幹部の、熱のこもった撮影話を聞いていると、
「よし、明日もお弁当係ガンバルぞっ!」
と、おのずと気合の入るぼんであった。
 ぼんが、ドブスのトモコとカップル役で‘チョイ出’した日も、
撮影後、例によってボニクラの面々は“鳥吉”で飲んでいた。
だいぶ、酒に強くなったぼんの、
飲み会での平均酒量は、
ホッピーをジョッキ2杯&日本酒7合。
その日のぼんは、ハイピッチ。
平均酒量を超えても、ドンドン飲んでいた。
実は、ぼんは落ち込んでいた。
なぜか。
ぼんとトモコの、
たった5秒の‘カップルがうしろをスッと通るショット’、
この撮影が、まったくウマくいかなかったから。
TAKE17。
17回の撮りなおし。
で、結局カットされた。
たかが‘通り抜けるだけ’。
ものの5秒で終わるショット。
なぜでしょう?
「見当もつかない。」(ぼん談)
ぼんの頭がデカ過ぎるのが原因?
“一緒に歩ってるトモコの頭のサイズと違い過ぎ、まるで‘合成’のようになってしまう”
とか?
「いや、トモコも頭がデカかった。頭がデカいブス。」(ぼん談)
巨頭カップル。
愛を語る主役2人のうしろを、スイカ頭クン達が通ったら、確かにマズイ。
遠近感に狂いが生じ、観る人に混乱をきたす。
「前方に立つ人よりも、後方を歩く人の頭がデカいのは、なーぜ?」と。
 とにかく。
ウマく出来なかったことで、ぼんは落ち込んでいたのだ。
そんなぼんの胸中を知ってか知らずか、
トモコは、みんなに聞こえる大声で、こう言った。
「鬼界君のリードがヘタなのよ。
女の子は歩きにくいわよ。
あんなんじゃ、女の子にモテないわよ。」
冗談っ気、いっさいなし。
大マジで、吐き捨てるようにトモコは言った。
トモコも、ちょっと酔っていたのだろう、
「リーロがヘラなろよ。」になっていた。
ぼんは、耳を疑った。
「トモコが体を押し付けてくるので、歩きにくいなぁ、僕・・・。」
と、撮影中から内心思っていたぼんにとって、
トモコの発言は、青天の霹靂だった。
       (つづく)


9月28日(金よう日) 日直・鬼界
夕方、新聞屋の前を通った。(ちなみに朝日新聞)
新聞屋特有のチャリンコに新聞をいっぱい積んで
若者達が新聞配達に次々と出動する。
活気溢れる光景を眺めていたら、
1台のチャリンコが近づいてきて
「新聞で〜す」と読売新聞を投げ込んでいった。
初めて知りました、
新聞屋さんも新聞をとってるんですね。
自分が売ってる新聞は信用してないってこと?


9月27日(木よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』 その4

 ビニ本自販機の前で健やかな眠りを得て以来、
ぼんは“飲み会”なしではいられなくなった。
どっかサークルに入ろう!
そうすればコンパ三昧だ!
遅ればせながら、早速サークルに入部。
映画サークル“ボニーとクライド(通称・ボニクラ)”。
男子メンバー10人は、全員、一橋大生だったが、
女子は、7人のうち一橋大生は1人だけで、
あとは、日本女子大生が2人と津田塾大生が4人。
ポン女とツダの女の子は、
みんな結構キレイ。(ぼんが、このサークルを選んだ1つめの理由)
一橋大生・トモコは、ドブスだった。
ぼんは、そのキレイな津田塾生の中の1人に憧れていた。
彼女は栗原小巻似。
さらに細かく言うと、鼻が“小巻の鼻”似。
「見えそで見えない鼻の穴」に、ぼんは心をくすぐられた。
ウキウキ!
小巻ちゃんと毎日飲めるぞ!
が、
ポン女とツダの女の子達は、実際には、あまりサークルに顔を出さない。
週に1回くらいか。
がっかり・・・。
そのかわり、
トモコは、毎日参加。
入り浸り。
なぜか。
トモコは、部長の佐竹さんにお熱だったから。
佐竹さんは、いつもアイビーでキメていた。
ボタンダウンのシャツにブレザー、蝶ネクタイ。
「わっ!僕と似た恰好!」
ぼんは、同類を発見した喜びを感じた。(このサークルを選んだ2つめの理由)
似て非なるもの。
ぼんはちんちくりんだが、佐竹さんはカッチョよかった。
「僕のトラッドスタイルとは、なんか、ちょっと違う?」
と、ウスウス感じながらも、
そのアイビールックを他人とは思えず、ぼんは佐竹さんを慕った。
 “ボニクラ”は、
映画の感想とか批評とか、その他、映画の話は別段しない。
じゃ、なにしてたの?
一応、作ってた。
“映画を作りたい人”が、佐竹さんと、もう1人いて、
その2人を中心に、年2本のペースで。
ジャンルは、恋愛もの。
必ずラストで主人公が死ぬ。
これ、‘おきまり’。
佐竹さんのポリシー。
「ある愛の歌」「ロミオとジュリエット」パターン。
めくるめく愛と、壮絶な死!
で、
ロケは、いつも、近所の児童公園‘ちびっこ広場’。
ぼんのお仕事は、
「弁当・ジュース・お菓子・お茶」の「買出し・お片付け」。
 その雑用のごほうびで、
佐竹監督は、ぼんをチョロっと出演させてくれた。
カップルの通行人の役。
相手役は、トモコ。
「その、ブッサイクなキモい女と腕を組んで、うしろを通る役だった。」(ぼん談)
そして、
このチョイ出が、
ぼんの酒乱の引き金を引いたのだった。
          (つづく)


9月26日(水よう日) 日直・鬼界
近所の雑居ビルのゴミ捨て場が無法地帯と化している。
家庭ゴミからコンビニ弁当の食べ残しからビールの空き缶まで
曜日に関係なく捨て放題になっている。
「当ビル関係者以外のゴミ捨て禁止」と張り紙してあるが、お構いなし。
頭に来たビル管理人は
「ゴミ捨てるな!絶対禁止!!」と新たな張り紙をしたが、効果なし。
そんな中、ビル管理人は先週、さらに新たな張り紙をした。
「ゴミを捨てる方、レンズがあなたを狙っています。」
効果てきめん。関係者以外のゴミはなくなった。
知恵を絞ったんだね、管理人さん!おめでとう!よかったね!
と、喜んだのもつかの間、
3日前ぐらいから再びゴミが捨てられだした。
だって、どう見たってどこにもレンズなんかないんだもん。
バカだね、管理人さん。
それっぽいものを設置しとけばよかったのに・・・。


9月25日(火よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』 その3

 一橋大学に入学して3ヶ月経ったが、
ぼんは、親しい友人と呼べる者が大学内にまだ出来ないでいた
(もともとの原因については、18日・20日の日誌参照)。
サークルに入らなかったというのも敗因だ。
サークルに入れば、
毎日毎日飲み会で、少なくとも‘飲み友達’にだけは事欠かない。
が、
ぼんは、そんな“楽しげなサークル”から勧誘すらされず。
盛大に新入生勧誘をしている時期、
引きこもっていたのだから仕方がない。
だから、
夏休み前の最後のゼミの終了後に開かれた‘ゼミコンパ’が、、
ぼんにとって、生れて初めての‘飲み会’だった。
ぼんがとっていたゼミは、スポーツ社会学。
夏休み前までのテーマとして、
「水泳界に、なぜ黒人はいないのか?」
というタイトルの原書(英語)を、
毎回毎回、学生が順番で翻訳&論説して読み進めてきていた。
そして、
そのコンパをやる日、ゼミでの発表者は、ぼんだった。
最後の‘結論の部分’の翻訳&論説を受け持っていたのだ。
「水に黒い色が溶けて、白人の肌が黒ずむ・・・・
この偏見の壁が、黒人スイマーを阻むのだ」
という結論部分を、
無事、翻訳し終えたぼんは、
「もうすぐ夏休み」という開放感・
「初めての飲み会」という好奇心も手伝って、
ウキウキでゼミコンパに出席した。
 コンパ会場は、ゼミの先生行きつけの大学そばの焼き鳥屋。
最初、ぼんは、
何を注文すればよいのかわからず、コーラをチビチビ飲んでいた。
そんなぼんを見て先生は言った。
「君、ホッピーにしなさい。
アルコールが少なくて、美味しいよ」
チューハイとかは、まだ無かったのだ。少なくともその店には。
先生オススメの‘ホッピー’は、
エラク美味かった。
ドンドンおかわりして
ガンガン飲んだ。
ぼんは、コンパがものすごく楽しかった。
 なんで、そんなところで寝ていたのか、
ぼんには、まったく記憶が無かった。
恋ヶ窪駅前の路地裏のビニ本自販機の前で、ぼんは目を覚ました。
朝7時半。
通勤の人たちが、ひっきりなしに通って行く。
自販機のマジックミラーに映ったおのれのバカ面には、
くっきりと砂利でつけられた寝跡があった・・・。
 実は、ホッピーのアルコール分は多かった。
この‘ホッピー’が、
ぼんを酒乱へと導いた、と言えるだろう。
        (つづく)


9月24日(月よう日) 日直・鬼界
こんなメールを頂いた。

鬼界浩巳事務所のホームページがあるのを、今までぜ〜んぜん気がつかなくて
初めてみました。
地味目なトップページに反して中身は結構楽しませてもらいました。

じ、じみ?
シックとかアダルティーとか危険な香りとか
そんなつもりだったんだけど...。
よーし、イメージチェンジだ。
テーマは、‘燃える秋。揺れる心がせつなくて・・・’です。
いかがでしょう?


9月23日(日よう日) 日直・橋本
『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』 その2

 “自活する”ということの意識に目覚めたぼんは、
このころ、よく物を拾った。
近所の酒屋の裏に、その酒屋の倉庫があって、
夜、シャッターが閉まった倉庫の前には、
空のビールケースが毎日いくつか積まれてあった。
ぼんは、
夜な夜な、ビールケースを拾いに行った。
一気に減ると怪しまれるので、
毎晩1個ずつにした。
12個拾った。
部屋の壁際にキレイに並べ、その上に布団を敷いてベッドを作った。
寝心地満点だった。
 燃えないゴミ置き場にあった洗面台も拾った。
戸棚と引き出しが付いていて、
歯ブラシや石鹸などの小物の整理に、とても便利そうだ。
しかし、
ベッドを設えて極狭になった4畳半には、どう見ても
これ以上の大物家具は置けない。
仕方がないので、
35cm×30cmの鏡を工具ではずし、その鏡だけを頂戴することにした。
鏡をはずされた洗面台は、
その夜のうちに、元あった場所に返しておいた。
この鏡は、今でも、ぼんの1番の愛用品だ。
 ゴミ置き場での収穫は多かった。
釣竿。
ギター。
ぼんは、釣りもやらないし、ギターも弾けない。
お部屋に飾った。
網戸も拾った。
窓とサイズが合わず、
というよりそれ以前の問題として、
窓はサッシではなく木の枠の窓なので、
窓の桟には網戸用レールなどというシャレたものがあるはずがなかった。
なので外から窓に立てかけて置いた。
それでも無いよりはマシで、
結構、蚊やハエを防げた。
 それと、自転車。
これに関しては、‘拾った’というよりも‘毎日お借りした’と言う方が正しい。
アパートから恋ヶ窪駅までは、かなりの距離で、
特に、帰りが遅くなると歩くのが億劫だ。
駅近くの無料青空駐輪場に立ち寄り、
施錠されてないチャリを何気に捜し、お借りして、乗って帰る。
そして、
翌朝の通学時にまた駅まで乗って来て、駐輪場に返しておく。
これを毎日繰り返した。
その頃は、カギのかかってないチャリが結構あった。
ある日。
いつものようにチャリを物色していたぼんは、いきなり誰かに肩をつかまれた。
驚いて振り返ると、オッサンが真っ赤な顔をして仁王立ちになっていた。
「オマエみたいなヤツがいるから、オレ達が苦労するんだ!」
駐輪場の管理人・・・・・?
怯えるぼんの胸ぐらを掴んで、
「オレは、劇団『観覧車』の劇団員だ!
こんなことしていいと思ってんのかっ!」
と。
オッサンは泣きそうだった。
怯えながらも、ぼんは
「なんだよ、シタッパかよ。座長じゃないのかよ、その年で。」
とか思った。
ぼんは、とっさに口からでまかせを言った。
「ぼくも、劇団員です。劇団『遊覧船』です。」
それを聞いたオッサンの顔は、見る見る明るく柔和になり、
そして、
「なぁ〜んだ、そうかぁ!
・・・もう、こんなことすんなよっ。なっ。ガンバレよっ。」
ポンポンとぼんの肩をたたくと、オッサンは去って行った・・・。
               (つづく)


9月22日(土よう日) 日直・橋本
「鬼界さんって、おぼっちゃま?
ホントにホント?
では、
その“おぼっちゃま”を、こんな“イジワル君”にしたものはなんなのか?」
橋本、自らの疑問を解明すべく、
鬼界浩巳ぼんに直撃取材敢行!

『ぼんの青春 〜恋ヶ窪篇〜』  その1

 一橋大学小平分校にほど近い、
西武・多摩湖線の駅「恋ヶ窪」にあるアパート「大野荘」で、
ぼんの生れて初めての‘一人暮らし’がスタートした。
築30年。
四畳半一間。
ちっちゃい‘流し’付き。
風呂なし。
トイレ共同(オシッコ用とウンコ用、各1)。
汲み取り式。
トイレ掃除は、お当番制。
ぼんは、
トイレの掃除の仕方がわからず、
お便所中ビチャビチャにしちゃって、大家の大野バアチャンに大目玉を食らった。
トイレットペーパーは、持ち寄り。
無くなりそうになってたら、気づいた人が自前で補充しておく、
という“お互い様”方式。
が、
こんな掃き溜めアパートの住人の間で、
“お互いの善意に頼る行為”が成立しようはずも無い。
「昨日、僕、補充したもんね」
と何の疑いも無くウンコをし終えたぼんが、
無情にも芯だけがカラカラと空回りするペーパーホルダーに愕然としたのも、
1度や2度ではなかった。
ぼんは、
うさぎ跳びで自室にペーパーを取りに行き、
またうさぎ跳びでお便所に戻る・・・・
という離れ業で、この、何度となく遭遇した難局を乗り越えたのだが。
どうやら、ペーパーをパチるヤツがいるらしい。
ぼんが補充するそばからパチっていくヤツが。
だから、
‘なんとなく持ち寄り’方式が廃止され、
‘自分の使うペーパーは、各自がその都度持って入る’方式に結局落ち着いたのも、
当然といえば当然の成り行きだった。
はなからそうすれば良かったのだ。
ていうか、
ぼん以外の住人は、おそらく以前からそうしていた。
 自分のものは自分のもの。
他人のものは他人のもの。
人によっては、他人のものも自分のもの。
ぼんは、
“世間”というものを知った。
京都の母の言葉を思い出した。
「ええとこの学校の子は、
悪い女が寄ってくるから、気ィつけなあかんで。」
ぼんの、
以後の“たくましい自活力”の第一歩は、
この“トイレットペーパー”だったのかもしれない。 
            (つづく)


9月21日(金よう日) 日直・鬼界
京都へ・・・ 番外編
久しぶりの生れ故郷なので、
子供の頃に遊んだところへ行ってみた。
自転車で駆け下りジェットコースターごっこをした‘こんこん坂’は、
大して急でもない坂道だった。
うっそうと木が茂り果てしなく続くと思われた‘だいきち沼の道’は、
ほんの数十メートルの小道だった。
そういうもんなんだよな、
子供の感覚と大人の感覚はぜんぜん違うんだから。
そりゃそうなんだけど、
なんか淋しいような気がする...。 


9月20日(木よう日) 日直・橋本
『鬼界さんって・・・おぼっちゃまだったのですね』についての一考察 その3

 “一橋のちんちくりん”“パンチなデコっぱち”“トラッドの面汚し”のぼんは、
入学式後1週間の引きこもりの末、
「早急に、今流行ってる洋服を買いに行かねば。
大学生活をエンジョイする為に!」」
という考えに至った。
いざ行かん、洋服屋へ!
今回は、ぼん1人でだ。
新宿でだ。
デパートの紳士服売り場にはもう行かないぞ。
売り場のオバチャンに、またヘンなものを押し付けられたら大変だ。
若者ばかりが買いに来るショップで、
センスのいいショッパーに、
ハイセンスなものを選んでもらうんだ。
 お出かけ用が、とりあえずそれしか無かった為、 
例の、
白いYシャツ・紺ブレ・千鳥格子のスラックス・白い靴下・紺スニーカー&パンチパーマ
という腐れトラッドないでたちをした闖入者・ぼんに、
ショッパーのオニイサンは、
至って親切に洋服を選んでくれた。
選りすぐりのワンセットを試着したぼんが、鏡の前に立った。
ショッパー「カッコイイじゃん」
ぼん「これ、流行ってんの?」
ショッパー「はやり、はやり」
ぼん「靴は、何を履けばいいの?」
ショッパー「君が今履いてるスニーカーでOK」
ぼん「これ?」
ショッパー「似合う、似合う」
ぼんは嬉しかった。
同じ形で柄違い・色違いのシャツも勧められ、
その4着全部を購入した。
 翌日の朝。
意気揚揚と大学構内を闊歩するぼんが居た。
そのいでたちや、いかに?
アロハシャツ。
白のスラックス。
白の靴下。
紺のスニーカー。
パンチパーマ。
(完璧にナメてるね、東京を。)
そして、やはり、
ぼんにお友達は出来なかった・・・。

余談。
えてして“おぼっちゃま”って、センスが悪いのか?
9日付けの日誌に登場したS君も、かなりの“おぼっちゃま”。
成人式の時のS君の真っ白の羽織の背一面には、
金糸・銀糸でデッカイ干支の刺繍が施されていたらしい。 


9月19日(水よう日) 日直・鬼界
京都へ・・・ その5
大法要や鬼界会(9/16の日誌参照)のことを書こうと思ってたら、
母から電話があった。
母「鬼界会のことを書こうとしてるてホンマか?」
僕「うん」
母「・・・やっぱりな・・・・・・ああ、やっぱり・・・」
僕「な、なんかマズイの?」
母「49年前に鬼界会が催されたとき、村人の一人がその様子を知りたがったので
  あれこれ話してやったらしい。村人はとても満足して帰って行ったが、
  翌朝、宇治上神社の一本杉の根元で死体で発見されたそうや。
  体中の骨という骨がボキボキに折られたうえに、スッポンポンのまる裸でな。」
僕「ホンマに?」
母「ああ。しかも、グニャグニャになった左足と右腕がカタ結びに結ばれてたそうや」
僕「・・・・・」
カタ結びは母の作り話ですが、
ボキボキとスッポンポンはどうやら本当にあったらしいんです。
母によると「鬼界一族のもんには異変もないそうやし、書きたかったら書いてもええよ。」
とのことだったので、
思い切って書こうかと思ったのですが、やっぱやめときます。
ボキボキのスッポンポンになったと訴えられたら困るので。  (つづく)  


9月18日(火よう日) 日直・橋本
『鬼界さんって・・・おぼっちゃまだったのですね』についての一考察 その2

 以前、飲み会で
「鬼界って、何を着ても似合わねーよなー」
と、皆につくづく(呆れを通り越して)感心された時、
何をどう解釈すれば、そういうお返事にたどり着くのか理解しがたいのだが、
「ありがとう。
実は、僕も内心、そう思ってたんだ。
僕が、そういう僕の特色を決定的に意識したのは、大学の入学式の日だったんだ。」
と、そこで鬼界さんはグラスのファジーネーブルを一気に飲み干し、
揚々と語り始めた。
 さかのぼること、おぼっちゃま18歳の春。
一橋大学入学式を5日後に控え、
おぼっちゃま(以下‘ぼん’)は母上に付き添われて、
入学式用のお洋服を買いに街へと下りた。
京都高島屋の紳士服売り場。
中高一貫の私立の名門進学校出身のぼん。
洋服なんぞに興味を持つこともなく、
勉学と映画にのみうつつを抜かし、18歳という年齢になってしまっていた。
なにをどうコーディネートしてよいやら皆目見当がつかず、
売り場のオバチャン(売り場主任・坂田さん)に全てを委ねることにした。
一任された坂田さんは、
「おぼっちゃんには、こういったものがお似合いかと。」
と、選りすぐりのワンセットを母上とぼんに誇らしげに提示した。
ぼん「これは、流行ってるの?」
坂田さん「今の流行でございます。」
ぼん「東京でも?」
坂田さん「全国的に流行でございます。」
ぼん「靴は、何を履くの?」
坂田さん「今お履きになってるお靴でお似合いですよ。」
ぼん「これ?」
坂田さん「はい。結構ですよ。」
こうして晴れ着一式を無事購入し、
後は5日後の入学式を待つばかり。
 5日後。東京。
晴れて一橋大学構内に立つぼんが居た。
その‘いでたち’や、いかに?
白のYシャツ。
千鳥格子のスラックス。
紺のエンブレム付きブレザー。
白の靴下。
紺のスニーカー。
(ちんちくりんなトラッド野郎、いっちょあがり!だ。)
だけならまだしも、
おぼっちゃま、なにをトチ狂ったのか、パンチパーマをかけちゃった。
デカイ頭を更にデカク見せて、一体、どうするつもりなのか。
東京をナメているのか?
その日、ぼんは誰とも口を利かなかった。
いや、利けなかった。
誰も寄っついて来なかった。
当たり前だ。
誰が、そんなダサダサのカッペ君とお友達になりたいもんか。
さすがのぼんも、自分の不恰好さをウスウス認識し、
逃げるように、ひとり、下宿へ帰ったのだった。
           (つづく)   


9月17日(月よう日) 日直・橋本
『鬼界さんって・・・おぼっちゃまだったのですね』についての一考察 その1
 
 思いもよらないことだった。
しかし、つくづく思い返してみると、
「そういえば・・・」と、思い当たる節もある。
“おぼっちゃま”の裏づけとなり得るようなことが少なくないことに、
今、気が付いた。
 まず1番に思い出したのが、
昨年末の鬼界事務所大忘年会メインイベントである、
『TVチャンピオン完全パクリ版 早食い選手権大会』における鬼界さんの食い方。
全くお話にならない、鬼界さんの“千切りキャベツの早食い”。
「一生懸命やってるとは思えない、そのスローな箸運び。
思うに、
梅ドレッシングを、いちいち一口毎にかけるアホがどこにいるでしょう。
それでも彼なりに必死で食べるその姿は、
おちょぼ口のお公家さんのようでした。」
と、実際に私もその時の感想を日誌に書いているではないか!
千年続く鬼界家の血は、
雅(みやび)な食い方こそすれ、
ガツガツ食いは決して許さない・・・・ということなのか。
 次に、
毎年恒例の『鬼界事務所の初詣』における、
これまた恒例の鬼界さんの“年頭のご挨拶の出だし”。 
「京都の宇治上神社で産湯をつかい、
平等院のお庭が遊び場だった僕は、
常日頃から神仏に守られているといっても過言ではない。」
こんなことを、きょう日、普通の若者が言うだろうか?
しかも、
文章に書くならまだしも、口で「過言ではない」って言う若者が?
やはり、千年の血が言わせるのか?
 さらに、
以前、おぼっちゃま本人から聞いた話から考察してみよう。
「大学の入学式の日、僕は、
          (つづく)


9月16日(日よう日) 日直・鬼界
京都へ・・・ その4
僕が京都へ帰ることになった理由をそろそろ明かしましょう。
鬼界家先代当主の三十七回忌と、先代正室の十七回忌が重なったので
先々代の五十回忌と鬼界会もついでにやっちゃおうという、
大法要に参列する為、帰郷したのです。
わかります?
先代当主とは、わかりやすく言えば、僕のおじいちゃんで、
先代正室とは、おばあちゃんです。
江戸時代のように一夫多妻制が公認されてるわけじゃないんだから、
正室はおかしいとお思いでしょうが、そういう風に呼び習わされてるのです。
そして、鬼界会は、「きかいかい」ではなく「きかいえ」と読みます。
四十九年おきに催される盛大な法事です。
こういった鬼界家の慣わしを説明すると
みんなキョトンとした顔をします。
家が千年も続いていると、わけのわからん風習が多いのです。  (つづく)


9月15日(土よう日) 日直・鬼界
京都へ・・・ その3
京都駅で近鉄電車に乗り換える。
車内の中吊り広告も東京とは全然違う。

 チカン アカン
 チカンは犯罪やで

さすが関西。チカン防止の警察広告でさえダジャレだ。
小学生でも口にしないような、ベタなダジャレ。
チカンに対して、なんで「犯罪やで」と
親しげにちょっと優しく呼びかけてるのだろう。
東京では、「犯罪行為です」と事務的に言い切っているのに。
そして、その隣には

 目覚めればそこはディズニーシー!

の文字が踊っている。夜行バスの広告だ。
朝7:10に着くらしい..。
申し込み多数なのでお早めに申し込んだ方がいいらしい..。
関西の人も大変なのね・・。

そして、いよいよ鬼界村に到着した。  (つづく)


9月14日(金よう日) 日直・鬼界
京都へ・・・ その2
新幹線は滋賀に入った。
ボンヤリ窓の外を眺めていると、汚い小川沿いに唐突に
整然と区画された、完成したばかりの分譲墓地が広がっていた。
お墓が足りない時代だから、こんなことはよくあることだ。
が、異様なのは墓地の隣に完成したばかりのラブホがあることだ。
しかも、ペルシャの宮殿みたいなケバケバしい下品なヤツ。
同時期に完成したように見えるんだが、どういうことだろう?
寺の多角経営?
「お墓参りで湿っぽくなったら、隣でスッキリしましょう!」
そんな看板が墓地に立ってるのだろうか?


9月13日(木よう日) 日直・橋本
『まりりんの夢占い』に、昨日ご投稿下さったkubo君の夢。
 
「僕は、僕の部屋で彼女と2人で居た。
突然の、ものすごい衝撃。
何かが、僕達の居るこの建物に激突したらしい。
僕と彼女は部屋を出て、
急いで建物の最上階である120幾つの階へと、階段を駆け上った。
そこは、広い展望レストランだった。
今にもこの建物が崩れ落ちようとしているのに、
人々は、ゆったりと食事をしている。
「早く逃げないと、このビルは崩れるんです!」
どんなに叫んでも、
僕の声は、その人たちのなごやかな笑い声にかき消されてしまう。
僕と彼女は、転げ落ちるように階段を下り、
気がつくと、傾いた隣のビルに逃げ込んでいた。
そして、
急いで窓に駆け寄ると、
僕の部屋のある建物が崩れ落ちてゆくのが見えた。
あの、展望レストランの人たちを残したまま・・・。

まりりんさん。
おそらく、この夢は、まりりんさんに解釈して頂く類の夢ではないんでしょうね。
僕は、朝方までテレビの前を離れられませんでした。
ニュースに釘付けになってました。
その後、2時間ほど寝ました。
そしてこの夢を見ました。
起きて再びテレビをつけると、
僕の夢の続きが映っていました。」

・・私も釘付けでした。
・・・・・。


9月12日(水よう日) 日直・鬼界
世界中のホームページが、いろんなことを書いてると思うので
ひとつだけ。

数年前、NYの世界貿易センターの展望フロアーに行った。
閉館10分前のせいか、直通エレベーターを降りると
すでに照明はほとんど消えていて、誰もいない。
売店も喫茶コーナーも閉まっている。
自分の足音だけがコツーン、コツーンと響き渡り、少し怖いくらいだ。
壁いっぱいのガラス窓に顔を押し付けると、
目の前に広がるのはまさしく宝石だ。
橋が、街灯が、ヘッドライトが、ビルの窓が、そしてブロードウェイのネオンが
さまざまな色で輝いている。
世界一美しい光景だと思った。
感動に浸っていると、突然、肩をたたかれた。
驚いて振り返ると、大男の黒人の守衛が不機嫌そうに立っている。
白い目を見開いて怒りながらこう言った。
「YOU LIKE IT?」
「イ、イエス、、ベリー・マッチ!」としどろもどろに答えると
「ME、TOO.」
と、白い歯を見せてイタズラっぽく笑った。
シャレた黒人だった。
その思い出の展望フロアーも今はもうない...。


9月11日(火よう日) 日直・鬼界
京都へ・・・  その1
12時過ぎの新幹線に乗った。6割程度の乗車率。
列車が動き出すやいなや、車内のはぼ全員が一斉に駅弁を食べ始めた。
不思議なもんで、東京駅に止まってる間に食べる人はほとんどいない。
やはり気分が出ないのだろう。
バリバリ、ガシャガシャ、バリバリ。
キオスクで駅弁を入れてくれる袋がちょっと厚めのビニール袋なのだ。
(サンジェルマンとかHOKUOなんかのパン屋で使ってる、あのしっかりした袋)
車内のあちこちから、バリバリ、バリバリ、バリバリ。
うるさーい!
食べ始めると静かになった。が、
食べ終わるとあちこちでシーシー、シーシー、歯をせせり始めた。
車内一丸となってシーシーの大合唱だ。
うるさーい、うるさーい!!
昼時の新幹線に乗ったのは失敗だった....。  (つづく)


9月10日(月よう日) 日直・橋本
 な、な、なんと!
鬼界事務所に、ステキな贈り物が届いた。
『ビール共通券』3枚!
アサヒ・キリン・サッポロ・サントリーのどれでも
633mlびん2本とお引き換えできる券、3枚!
すっげ〜!
どうする、どうするっ?!
うわーい!
ところで。・・・
なんで、なんで、なんでですのーん?!
喜びに震える手で、ご同封のお手紙を開き、拝読。
“日にち間違って劇場取っちゃって、大変でしたね。
ビールでも飲んで落ち着いて、そして、頑張って下さい”
と。
そーなんです、私、間違っちゃったの!・・・アハ、アハ、アハハ。
・・・ふぇ〜ん・・・。
橋本、感激で涙が出ました。
すびばせーん・・・。(鼻が詰まった)
ご住所が書かれてありませんでしたので、この場を借りて、
お礼申し上げます。
T.T様。あ、あ、ありがとございましゅるぅー・・・!(ひれ伏した)
それじゃ、
有り難く、私、頂いて帰りま・・(立ち上がった)
へっ?(お手紙の最後の部分に目が行った)
“少ないですが、皆さんでどうぞ。”
・・・もう、T.T様ってば。


9月9日(日よう日) 日直・橋本
 かくいう私も「海が見たいの」を、やっちゃったことがある。
大学2年の秋。
サークルの仲間で飲んだ後、
店を出たところで、あまりの夜風の気持ちよさに
「なんか、海が見たくなっちゃった」
と呟いた私。
(・・・R子とまるでいっしょ。
なぜに人は、酔って夜風に吹かれると海が恋しくなるのか?)
それを、そばで聞いていたS君。
「行く?」
 みんなと、何事もないようにバイバイした後、
S君と私は、レンタカーを借りに行った。
(S君はお酒がダメで、飲み屋でもいつもジュースを飲む)
S君、真っ赤なスポーツカータイプの、1番お値段の高い車を借りた。
S君、自分のマンションに寄り、車の中で聞くカセットテープをあれこれチョイス。
S君、コンビニに寄り、各種スナック菓子&ドリンクを購入。
いざ行かん、海へ!
 走り出してから1時間もしないうちに、
バカねむ。巨ねむ。
1時過ぎを指す時計を見た途端、とてつもない睡魔が襲ってきたのだ。
S君チョイスのバラードが、より眠気を誘う。
 「着いたよ」
起こされて、ヨロヨロと海岸へ。
深夜の海は真っ暗けで、なーんにも見えない。
加えて曇り空の為、星1つ見えず。
波の音はさすがに心地良いが、
それにしても、寒っ!
5分も居たら、「もういいや」って感じ。
ちきしょー。
帰りてぇ。
こんなとこに来なきゃ、今頃、ベッドで寝れてたのに。
でも、少なくとも30分くらいは、海、見つめてなきゃカッコつかないよなぁ。
「見たい」といった手前・・・。
そんな計算をしつつジーッと海に向かって立ちすくむ私を、
後方で黙って見守るS君。
何とか20分持ちこたえ、「帰ろう」ということに。
 帰りの車中、私、ズーッと熟睡。
海風にあたって眠気が覚めるどころか、よけい疲れが・・・。
 「着いたよ」
私の家の最寄の駅前だった。
朝の通勤ラッシュがそろそろ始まる頃だった。
まったく、何しに行ったんだか・・・。
って、S君が言いたかったに違いない。

「海が見たいの・・・」は、
「海が見たい」のではなく、
「海が見たいって言いたくなる程、今、寂しくて空しい気持ちなの・・・」ということなのか?
単なるロマンチックな感傷的気分?
振り回されるほうは、たまらんね。


9月8日(土よう日) 日直・鬼界
知り合いから引っ越し通知が来た。
案の定、「お近くにお越しの際は、お立ち寄りください」と書いてある。
いいのかい?行くよ、僕は。
そしたら、歓迎してくれるんだろうな?
そこは僕のよく行く駅なんで、たびたび行くよ。いいんだな?
美人の奥さんしか家に居ない、けだるい昼下がりにも、ちょくちょく行ってやる。
なにがあっても知らないからな。
「近くに来たら寄れ」って、言ったのはそっちじゃねえか。
社交辞令は通用しない、この俺なのさ。

引越し通知が来るたびに、こんなこと思ってるわけじゃありません。
その知り合いが、大キライなヤツなんで
ついついこんな妄想しちゃうんだな。


9月7日(金よう日) 日直・橋本
(4日のつづき)
 「海が見たいの・・・」。
出たよ。
このセリフ。
本人は、イイよ。
言われたほうの身になってほしい。
「見たいの」イコール「見せろ」だかんね。 
 夜10時前。新宿。
R子の“彼との別れ話”を聞き終え、「さぁ、帰りましょう」と飲み屋を出たところで、
R子は夜風に髪をなびかせながら、こう言ったのだ。
「夏ももう終わりね。風にも‘秋の気配’かぁ・・・。
海を想い出すなぁ。海が懐かしい。・・・私、海が見たいの。」
なーに言ってんだか。
埼玉生れの、埼玉育ちが。
R子の「海が見たいの」で、過去、数回痛い目に遭っている。
初冬の鎌倉の海で野宿する羽目になり、大風邪を引き、1週間寝込んだこともあった。
勘弁してくれー。
私、身体が弱いんじゃー。
そして、私は知っている。
どんなに許しを請うても、R子は聞かない。
お酒の勢いで「海が見たくなった」R子は、絶対に折れない。
「私、ひとりで行くから。」と、マジで言い出す。
ということを・・・・・。
「いってらっしゃい。気をつけて。ほんじゃ、私はこれで。」
と言えたらどんなに幸せかしらん。
くっそー。
コイツひとりをおっぽっとくわけにはいかない。
しかし、マズイな。
2人合わせて、今、財布の中身は2万くらい。
土曜日だから宿代は高い。
いや、その前に部屋が空いてるかどうかだ。
また野宿かよ。
アレコレ考えを巡らしながら、私は駅の窓口で尋ねた。
「今から江ノ島に行って帰ってくるとしたら、どのくらいアッチに居られますか?」
「1時間弱ですかねぇ。」
私は、R子に報告した。
「5分だって。」
R子諦めず。
仕方ない・・・。
切符を買って小田急線に乗った。
 神は私達を見捨てなかった。
10分ほど電車に揺られたら、気持ち悪くなって吐き気をもよおしたR子。
途中下車した駅の適当な店で酔い覚まし。
時間もだいぶ遅くなり、
そうこうするうち酔いもさめ、
そうなると“海”への情熱もさめ・・・。
平常心にて、2人、帰路に着いたのでした。
 
「海が見たいの・・・」
恐ろしいお言葉・・・。


9月6日(木よう日) 日直・鬼界
JRの券売機に千円札が入らない。
裏返しても、前後逆さにしても入らない。

よく見ると、その札だけ他の千円札より2ミリくらい大きいのだ。
そして、手触りが微妙に違う。
ニセ札だあ!
生れて初めて手にしましたよ、本物のニセ札。
ドキドキしますね、悪の一味になったような感じ。
警察に通報すべきなのかな?
でも、証拠品として押収されたら困る。
代わりにマトモな千円札をくれるとは思えないし。
(だって、それならニセ札作ったら全部、警察に持ってけばいいってことになる)
よし、ムカツク店員のいるコンビニで使ってやれ。
最も有効な利用法だ。


9月5日(水よう日) 日直・鬼界
当選した‘かもめーる’を切手に交換するとき
名前を書かされるのは、なぜ?
一応説明しておくと、
‘お年玉つき年賀はがき’と‘かもめーる’で
切手シートが当たった場合、
郵便局に持ってくと「引換証」に名前を書かなきゃならないのだ。
その「引換証」は、印刷された正式の用紙ではなく、単なるコピーだ。
氏名・住所・電話番号欄があるが、
書くのはいつも名前だけ。
名前だけ書いてどうなんの?意味ないんじゃないの?
‘かもめーる’が当たったので、昨日、郵便局に行き、
思い切って、“アンジェロ木村”と書いてみた。
窓口のオネーさんはニコリともせず、躊躇なく切手シートを手渡してくれた。
やっぱ、意味ないんじゃないの?


9月4日(火よう日) 日直・橋本
(一昨日のつづき)
 R子と彼氏の、
このようなケンカは、6年間、ザラだったらしい。
(原因として“食い物関連”多し。)
その度に、
どっちかが折れたり、あるいは、なんとなくだったり、仲直りしてやってきた。
しかし。
そんなR子と彼氏も、
神戸牛を焼き、投げつけあったあの夜、とうとうキッパリと決別してしまったのだ。
「彼氏の浮気とか、なんか、もっとこう、ドロドロした原因じゃなく・・・?
マジ、キッカケはそのケンカ・・・?」
「積み重ねよ、積み重ね。
そういうのの積み重ねが原因なのよ、結局のところ。」
そうですか・・・・・。
楽しみにしていた
“6年間にも及ぶ付き合いの半同棲カップルの別れた原因”・・・。
“ドロドロと入り組んだ人間模様・地獄絵図・修羅場”・・・・。
ちぇっ。物足りねぇ。
仕方ない。
こうなったら、6年間半同棲カップルの、
“別れの場面”“ホレボレするようなシーン”で、楽しませてもらうしかない。
哀切・悲痛。
毒舌・悪態。
どっちのパターンでもいいや。
 “別れの場面”は、「親権争い」だった。
どっちが猫のミケちゃんを引き取るか。
ミケちゃんは、
R子と彼氏、両方のマンションを行き来し、2人に猫っかわいがりされている。
「私になついてる」「いや、俺だ」
『ミケちゃんにまつわる私の苦労話』『ミケちゃんにとっての幸せとは?』など、
発表・討論が2時間ほど続いたが、双方どちらも譲らない。
「ミケちゃんに決めさせよう」
ということになった。
あっちとこっちに座ったR子と彼氏、果たしてミケちゃんは、どちらのほうに歩み寄るのか?
どちらのヒザの上でミャーとなくのか?
ミケちゃん、動かず。
ボ〜ッとお外を眺めたきり、一向に動く気配なし。
ミケちゃんの好物を、それぞれ持つことにした。
結局は「エサで釣る方式」、か。
ミケちゃんは、最初、
トットコ、スライスチーズを持った彼氏のところへ行き、匂いをかいで、
トットコ、さきいかを持ったR子のところへ来た。
R子のヒザに乗り、ミャーとないた。
彼氏、がっくり。
R子、嬉し泣き。
「じゃ、そういうことで。」
こまごま私物を入れた紙袋1個、そしてミケちゃんと共に、
R子は永久に彼氏のもとを去ったのでした。
6年カップルの別れ、
それは、あまりにあっけない幕切れ・・・。 


9月3日(月よう日) 日直・鬼界
フェミニーナ軟膏の新CMを見た!
新処方になったらしい。
旧ヴァージョンと同じく、原日出子さんが
意味なく微笑みながら語りかけます。
あのカユミとカブレに、新しくなったフェミニーナ軟膏」
“あの”ですよ!
とうとう全国的に認められた証拠だ、女性のカユミとカブレが。
フェミニーナ・ファンとしては嬉しい限りだ。
新処方になったということは、
発売前にモニターを集めてテストしたはずだ。
旧フェミニーナでは効かない、
重度のカユミとカブレを抱えた精鋭たちが全国から
フェミニーナ研究所に集められたのだ。
モニターの患部に正確な量を塗布、
研究員が詳細に患部を観察しながら、
モニターに聞き取り調査。
こんな手順が数時間おきに行われたのだ。
うぅむ、涙ぐましい努力なくしては、新フェミニーナは誕生しないのだ!


9月2日(日よう日) 日直・橋本
 R子から「1週間前に彼氏と別れた」と、報告があった。
“別れ話”大好きの私。
しかも、だ。
R子と彼氏の付き合いは、6年間にも及ぶ。
半同棲だ。
そんなカップルが別れてしまう原因とは、一体、どんなことなのか?
生半可な理由ではないはずだ。
いや、あってはならない。
“よっぽどのこと”であるべきだ。
“別れた原因”もさることながら、
“別れの場面”に期待するなぁ、私としては。
6年間の、半同棲カップルだ。
ホレボレするようなシーンにして欲しい。
楽しそうだ。
早速、お話を聞かなくっちゃなるまい。
「おごるよ!」
ウキウキとR子を飲み屋に誘い出し、お話を聞いた。
 “原因”は、「神戸牛」だった。
彼氏が、知人から、極上のステーキ用お肉を貰った。
2枚で6千円くらいするヤツ。
R子と彼氏は、彼氏の部屋で、焼いて食べることにした。
R子が、焼き係り。
R子、料理苦手な人。大嫌いな人。
彼氏、料理しないし出来ないくせに、いつも、味やらなにやらにウルサイ人。
‘いい肉’を焼くということで、つきっきりでアレコレくちを出す彼。
「フライパンをよーく温めてから油を入れろ」
「ダメだダメだ!最初の1分間は強火だ強火!」
「今だ、今!ワインを振り入れろ!」
ボウッ
天井近く上がった炎に驚いたR子、思わず飛び退く。
「バカヤロー!肉に火が通り過ぎるだろ!早く引き揚げろ!」
急いで肉を皿に盛った彼、焼き具合が気に入らない。
「失敗だ。台無しだ。もったいねーなー。」
フランベした時に前髪をチョイ焦がし、「バカヤロー!」にとうとうキレたR子。
「自分でやればいいじゃないっ!
ふざけんじゃないわよ!」
焼き過ぎて硬く縮んだステーキを、わしづかみにし、流しに投げ捨てた。
「なんでこーゆーことすんだよ!」
彼、そのステーキを掴み拾い、R子に向かって投げる!
ステーキは、R子の顔をかすめ冷蔵庫の扉にぶち当たって床に落ちる!
R子、拾った!
彼に投げつけた!
今度は彼の後ろのカーテンに当たった!
落ちた!
彼、拾った!
また投げた!
R子、取ったぁー!
(何度か、繰り返し。)
2枚6千円の神戸牛は、部屋の中を飛び交ったのだった。
 知人も罪なことしたよなぁ。
あなたが、いい肉をあげたばっかりに・・・。
      (つづく)


9月1日(土よう日) 日直・鬼界
満員電車が駅に着き、乗客が降りようとしてるのに
つり革を持ったままのヤツの神経が信じらんない。
その駅で降りないので、つり革を持ったままなのは、まだわかる。
流れが読めないバカだ。
が、自分も降りるのに、最後の最後までつり革を離さないのはどういうこと?
電車はとっくに止まってんだ、早く離せよ。
ジャマでしょうがねえんだよ。
そのつり革は、お前の‘マイつり革’なのかよ。


8月31日(金よう日) 日直・鬼界
今、新宿駅にワコールのブラジャーの巨大なポスターが貼ってある。
ジックリ眺めたいけど、横目でチラチラ見るだけでガマンしていた。
すると、子供が「あっ!オッパイだぁー!!」と大声を発し、
駆け寄っていくではないか。
さらに、胸のふくらみをたたいたり、なでたり、やりたい放題だ。
こんなガキ連れてて、親は恥ずかしくねえのか?ちょっとは注意しろよ。
でも、いいなあ、子供って・・・。

現在の僕の精神のまま、外見だけ子供になれたら、
人生バラ色だろうな・・・。


8月30日(木よう日) 日直・橋本
 わらしさん御提案の『花火大会』は、
お誘いはするも、
不幸にも、“太郎さまの帰省”で実現できなかった。
その後、15日付け日誌にて設けた
「男の人が“誘われて嬉しい場所”って、どこなんですくわぁ?」
の、
『ワラにもすがっちゃうよ(語尾上げる)!
教えて教えて?太郎さまをどこに誘う?御提案コーナー・・・あたしって言いなり』 
宛てに、フミヤさんからメールを頂いた。
「“私の部屋にいらっしゃらなーい?手料理でおもてなししたいの”
というのに、やはり僕は惹かれますねー。
と言いたいところですが、
橋本さんには無理難題かと思われますので、
やはり無難に、映画が良いのでは?」
フミヤさん、どうもありがとうございます。
いろいろお気遣いを頂きまして・・・。
そうですか。
映画ですね?
今だったら『ジュラシックパークV』かな?
「おもしろいっていう評判だけど、ホントかしら?」
ってな感じでね?
 早速、『ジュラシック〜』の下見に行った。
濡れ場はないし、短いし、いいかもしれないんだけど・・・
どうも、このジャンルの映画としてはイマイチ痛快感に欠けるような・・・。
うんにゃ。
細かいことは、この場合おいとこ。
「最新のCGテクってスゴイですね」
これ、これ。
鑑賞後の感想は、これでいけるし。
 映画館を出て、
「ちょっと歩きましょうか?」と言われた場合に備え、
その辺を1人ブラブラ歩いてみる。
お散歩するなら、雰囲気の良い道がいいもんね。
ウンコくさい道とかヤだもんね。
「まずは、茶かしら?それとも、めし食っちゃったほうが良いのかしら?」
とか、あれこれ思案しつつ。
 30分ほどウロチョロして、帰路に着くため駅への路地を歩ってた私。
『松屋』に、颯爽と1人で入っていく若い女性を発見!
ぷりりんさんの「女1人で外食、というのもいいものですよ」
ユミ姉さんの「ファミレスとカレーなら、私、行けました」
のお言葉を思い出し、
「よーし!」
と、女性の後を追うように私も『松屋』の店内に。
初めて入っちゃった。
その女性の後ろにくっついて、全部マネした。
席も、隣に。
一緒に入店し、ピッタシくっついて同じ‘生姜焼き’を食べ。(で、2人、無言。)
これじゃ『1人で外食にチャレンジ!』にならない?
不気味な思いさせて、あの女性にも悪いことしちゃったかしら。
なんか胸がいっぱいになっちゃって、
半分残しちゃった。
お店の人に悪かったかしら。
 実り多き1日でした。


8月29日(水よう日) 日直・鬼界
すっごい恥をかいた。
仲のいい看護婦さんが退職することになった。
彼女のお婆さんが寝たきりになってしまい、
介護しなければならないのだ。
彼女はなぜか僕のことを
知的で落ち着いたオトナの男と思っているので
僕もそのように振る舞わなければならない。
薄暗いムーディーなバーで僕は言った。
「寝たきりになったら‘リョージョク’に気をつけないといけないね」
彼女はポカンとしていた。
‘ジョクソー’と言うべきところを‘リョージョク’と言ってしまったのだ。
ちなみに
‘ジョクソーとは‘褥瘡’と書き、「床ずれ」のことで、
‘リョージョク’とは‘凌辱’と書き、「暴力で女を犯すこと」。(角川 国語辞典より)
慣れないことはするもんじゃない...。


8月28日(火よう日) 日直・鬼界
人妻専門のカジタニ君 その2(きのうのつづき)
ある日、繁華街で
(と言っても、その地元の飲み屋街のことだが)
カジタニ君が女性を連れているのを
散髪屋のサブさんが目撃したそうだ。
人妻専門のカジタニ君に似合わず、若い色っぽい女性!
が、どう見ても水商売の女性だ。
サブさんは「悪い女に引っかからなきゃいいけど・・・」と
カジタニ君のことを心配した。
何日か後、昨日書いた飲み屋でカジタニ君に会った時
サブさんがその女性のことを尋ねると、
カジタニ君は真剣に惚れてるのだが、なかなかふんぎれないらしい。
案の定、彼女がホステスさんだから。
そこでサブさんは
「俺がこのはなしをまとめてきてやる」と
彼女の店に乗り込んだ!
サブさんが
「俺はカジタニ君が、こんなちっちゃいときからよく知ってる。
あいつは捜しても見つからないような、いい奴なんだ。
そのカジタニ君があんたにぞっこんなんだ。
正直に言ってくれ、あんたはカジタニ君のことをどう思ってんだ?」
と問いただすと、その女性はアハハと笑いながら言ったそうだ。
「だって、あたしは亭主持ちよ」
こうして人妻専門のカジタニ君は再び人妻に惚れてしまい、
はかない恋は砕け散ってしまった...。
が、
気になるのは、この話しを声デカオヤジが得意げに語ったという事実だ。
つまり、散髪屋のサブさんが声デカオヤジに
言ってはいけない、事のいきさつを漏らしたわけだ。
この地区は一体どうなってるんだ。
プライバシーは存在しないのか。
そもそも、「俺がこのはなしをまとめてきてやる」などと
他人の色恋に首を突っ込む人物が
現代の東京にいることが信じられない。
ドラマの中の下町に紛れ込んだような、不思議な祭りの夜だった。


8月27日(月よう日) 日直・鬼界
祭りに来ないかと友達に誘われ、遊びに行った。
地元の人が楽しむ、ちっちゃな神社のちっちゃな祭りだ。
とりあえず友達の行きつけの飲み屋に入った。
まだ夕方だというのに、大盛り上がりしている。
美人風ママ「でね、お祭りのカラオケ大会に誰が出ると思う?
カジタニ君が出場するんだってぇ!!」
声のバカデカいオヤジ「カジタニ君って、人妻専門のカジタニ君か!」
ママ「そうなのよ」
浅丘ルリ子そっくりの化粧お化けの客「じゃあ、みんなで応援に行こうよお」
全員「そうだ、そうだ」
ママ「私はどうすんのよ!ああ、カジタニく〜ん、こっそりいただいちゃおうかな、ウフ」
カジタニ君て、誰?人妻専門て、何?
露骨に下ネタの対象になってるんだけど...。
どうやらこういうことらしい。
カジタニ君とは、その町内に住む、ちょっと男前の青年で
子供の時からよく知ってるらしい。
カジタニ君が高校を出て働き出した頃に、彼女ができたのだが
なんとその彼女は人妻で、(カジタニ君には隠していたそうだ)
不倫を知ったダンナがカジタニ君の家に怒鳴り込んできたらしい。
なにがしかのお金を渡してなんとか解決したのだが、
しばらくしてカジタニ君に彼女ができると、
これまた人妻だったのだ。
美人風ママの言葉
「カジタニ君は自分からリードするタイプじゃないのよね。リードされたいの。
だから、カジタニ君が惚れる女はいつも年上、人妻なのよ。カワユイわ。」
なるほどね、そういうタイプか。
でも、ちょっと待てよ。
なんでみんなカジタニ君の個人的な恋愛話に精通してんの?
ここは山奥の閉ざされた部落?
あらゆることが住民全員に筒抜けなの?
そんな疑問を抱いていたら、
声デカオヤジが爆弾発言をした
「この前、散髪屋のサブさんがカジタニ君の愛を
こっぱみじんにしたの知ってるか?」
えっ?なになに?   (つづく)


8月26日(日よう日) 日直・鬼界
午後7時30分頃、
近所のコンビニで弁当を選んでいたら、隣にカップルがやってきた。
男「サンドイッチでも買っていく?」
女「もうお腹いっぱい」
男「そう」
女「あっ、ヨーグルト買っていこうかな、明日の朝食べるから」
男「!」
文字にすると、なんてことないんですが、
男の「!」の表情がすべてを語っていました。
彼女は彼の部屋に初めてお泊りするのです。
どこかで食事を済ませ彼の部屋に行く途中なんです。
いつものコース。ただ、
彼女は自宅です。(一人暮らしじゃないってこと)
終電で帰らなければならないので、
食事を終える時刻が自然と早くなり、
いつも午後7時30分にはコンビニにいるのです。
が、今日は違います。
でも、それを知ってるのは彼女だけ。彼にはまだ言ってません。
いつ言うか?どんな風に言うか?
彼女は一日ウキウキ考えてました。
「どうしたの?今日はなんだか、やけに嬉しそうだよ。」
彼にそんなことを言われたりしました。
そして、さりげなく
『ヨーグルト買っていこうかな、明日の朝食べるから』です。
かなりシャレた彼女です。
いいもんです、幸せなカップルを見るのは。

ただし、本当にカップルかどうかはわかりません。
ぜんぶ僕の想像ですから。
兄と妹かもしれないし、徹夜仕事なので夜食を買ってるだけかも...。


8月25日(土よう日) 日直・橋本
 JR巣鴨駅改札で。
午後2時ごろだったかな。
20代後半のカップル。
彼氏が改札を入っていくのを、彼女は見送っている。
彼氏は振り向き、爽やかに、彼女に向かってこう言った。
「じゃ、12時、セントラルパークで!」
瞬間、巣鴨駅はニューヨークと化した・・・ようだった。
セ、セントラルパーク?!
すっげ〜壮大な待ち合わせ。
だよね?待ち合わせだよね?
聞き捨てならない「セントラルパーク」という言葉に、過敏反応した私は、
思わず、その彼氏とともに彼女を振り返って見た。
彼女は、
「うんっ!」と輝くような笑顔で、手を振った。
 電車に乗ってからも、私は、ずーっと考えた。
あれって、どういう状況なのかしら・・・と。
やっぱり、待ち合わせなのかしら。
アメリカで?いきなり?
彼氏は、ちょっと大きめのバッグを1つ肩から提げていた。
うんにゃ。きょう日、荷物からでは、旅行かどうか判断はできまい。
暗号?
「愛してるよ!」とか?
‘セントラルパーク’と言う名のラブホ?
あるいは、
2人の間では代々木公園のことを‘セントラルパーク’と?
ほいじゃ‘タイムズスクエア’は渋谷のあそこで、
‘ブロードウェイ’は下北沢?
銀座は‘五番街’?
まさかねー。
いい大人が。
あれかしら?遠距離恋愛。
彼、ニューヨーク勤務。
日本の彼女のところでの短い夏休みを終えて、マンハッタンへと帰るのか。
毎日毎日、彼はランチを食べに行く前、12時に
セントラルパークのベンチに座り、彼女にメールを送っている。
「今日はとても天気がいいので、ここでホットドックを食べようかな」とかって。
ニューヨークに帰ったら、また毎日12時に君に愛を送るからね・・・という意味なのか。
なーんだ。ステキじゃんけ。
それか、
彼女も2日後に彼を追ってマンハッタンへと旅立つ。
彼が毎日彼女にメールを打っている、あのセントラルパークの、あのベンチの前で、
2人、再会しようね・・・という意味なのか。
ステキじゃんけー!
 あれこれ考えているうちに、
電車は、私の降りる‘グランドセントラル駅’に着いた。


8月24日(金よう日) 日直・鬼界
歯痛以来、左耳が変だ。
いとも簡単に水が入り込むのだ。
シャンプーし終わると、必ず左耳に水が満タンなのだ。
そして、翌日の夕方まで、そのまま。
1日20時間近く、左耳に水を貯蔵してることになる。
とても聞こえにくい。
あらゆる音がボヤンボヤンと響き、
まるで潜水してるみたい。(なんのヒネリもない例えだ)
今までこんなことはなかった。
一体なんだろう?
歯痛のせいで、左耳の形状が変化してしまった?
それとも、水を欲しがる生物が耳の奥に住みついた?
映画『エイリアン』で、最初に犠牲になる乗組員は
仮死状態から目覚めた後、
「ああ、腹が減った」と言いながら猛烈なスピードで食事をします。
仲間が驚いて
「ジーザス!どうしたってんだい、ブタみたいに食ってるぜ」と
冗談を飛ばし、全員が笑った瞬間、
ブタ食いの乗組員の胃を突き破ってエイリアンが出現するのです。
そういう感じ?
左耳に水大好きエイリアンが寄生してるの?
いつか鼓膜を破って、姿を現すのだろうか。
そして、当然、次にねらうのはシガニー・ウィーバーの左耳だ。

こういうことを考え始めると、止まんないだよな。


8月23(木よう日) 日直・橋本
 そういえば、私のお友達のユミちゃんもお見合い結婚である。
26歳になったばかりの春、親の勧めで初めてのお見合いをし、
一発で結婚を決めた。
大手企業のサラリーマン。
年は2つ上。
はっきり言って顔は好みじゃなかったが、背は高い。
結婚を決めた理由は、
「別に断るほどの‘不満’も無かったし・・・」だったそうだ。
ユミちゃんには、2年間付き合っていた彼氏がいた。
アルバイトをしながら音楽をやっていた。
ユミちゃんの親は、娘にそういう彼氏がいることをウスウス知っていた。
ある日突然、
ユミちゃんにお見合い話を持ってきたお父さんは、こう言ったそうだ。
「どんなヤツと付き合おうが、若いうちの“恋愛”なら許す。
しかし、“結婚”となると話は別だ。
将来のことを考えろ。
今、考えろ。
おまえの取り得は“若さ”だけだ。
女の武器は“若さ”だけだ。」
きっつぅー!
でも、ユミちゃんはお父さんに逆らわなかった。
 ユミちゃんは、ずっとハッピーな結婚生活を送っている。
ダンナはユミちゃんの言いなり。
しもべ。
ユミちゃん、女王さま。
ユミちゃんは、言う。
「結婚相手は“1番手の彼”ではなく“2番手の彼”のほうが良いのよ、
少なくとも私にとっては。
あのミュージシャンの彼のことは、私、“好き過ぎ”だったから。
スタートで力いっぱい走っちゃうと、あとの長い道のり、ドンドン弱っていくもんね。
パワーもエネルギーもドンドン無くなって。
走れなくなってイヤイヤ歩いていくのは、ツライもんね。ミジメだもんね。
スタートから、
50%くらいの力加減を持続できる冷静さと、
安全な道へ安全な道へと選んでいける余裕があるほうが、
私っぽい。
だから、私の“お見合い結婚”は、父の言いなりになったとばかりは言えないのよ。
ホレて結婚するより、ホレられて結婚するほうが、
あとあとラクできていいよ。」

なるほどねぇ・・・。


8月22日(水よう日) 日直・橋本  
 昨日“お見合い話”を書いて、すっかり忘れてたことを思い出した。
ウソ。目に焼きついてる。
実は、私、1度だけ、お見合い写真を見せられたことがある。
私が25の時。
パパの友人のせがれ。
よくある話だ。
こんな写真だった。

            (きよみ画)
「ゲロゲロ。
どこで撮ってんだよ。なんだ、このポーズは。
バラの1本でもくわえそうな勢いだ。
この、右足と左手は、一体どういうつもりなのか?
まず、オレンジのポロシャツがイヤだ。
ポロシャツを着る男は嫌いだ。
あらゆる点で中途半端なズボンはいちゃって。
1番イヤなのは、耳がデカイ。
「福耳」の範ちゅうをはるかに越えて、異常にデカイ。
耳デカ男。
年齢は24歳?
なんで?
一流大学出て、一流企業に入ったばっかの24歳で、
なんで、自力で彼女を探そうとしないかなぁ?
その他力本願なところがイヤだ。
なんか裏があるのか?
実はゲイでカモフラージュの為の結婚・・・とか。
ヘンなポーズしてるし、有り得るぞ!」
と、以上のことを私が言った時点で、
「この写真、早いとこお返ししなくちゃね・・・」と、ママは静かに言いました。
 あまりにも私が、
‘その人を’というより「お見合いふうな事」を毛嫌いする態度を示したので、
それ以来、2度とそういう話はないです。


8月21日(火よう日) 日直・橋本 
 昨日、一緒に飲んだY子さんから聞いた、
Y子さんのお友達の‘H子さん’についてのお話です。
 H子さんは、来月、結婚する。
42回目のお見合いで、ヤットコ決めた結婚だ。
H子さんは、20代前半の頃から結婚願望が強かった。
早いうちに子供を産んで、
「若くてキレイなママ」になりたかったらしい。
25歳になって、
「よーし。そろそろ結婚相手探しだ!」と本腰を入れた途端、
なかなか彼氏が見つからない。
美人タイプで、背が180cm近いH子さん。
男は、近寄りがたいのか・・・?
H子さんの親友が若くして見合い結婚をし大成功を収めていた例に倣って、
H子さんもお見合いすることにした。
それが、H子さんの、10年にわたる“お見合い生活”の始まりだった。
 始まった当初は、夢と希望と理想に溢れていた。
“10年間のお見合い生活”における黄金期。
(“人生”においても・・・?)
H子さんは言ったそうだ。
「今にして思えば、あの頃決めときゃ良かった。
えり好みしなきゃ良かった。
いいのがいっぱい居た。
お見合いは、多くとも10回にとどめておいた方がいい。
それ以上になると、
‘この程度で手を打ったら、今まで断ってきた甲斐がない’
‘この人だったら、3回目の時の人のほうが良かった’
みたいに、『比較対照』の要因がドンドン増えちゃって、
ますます決められなくなった。」
見合い相手は、
H子さんの年齢が上がるとともに、
目に見えて“レベルダウン”していった。
坂を転げ落ちていく実感。
焦り。
そして、諦め。
「前回の、41回目のほうが、まだマシだったな、ハゲてない分。
‘背が小さい’から断ったけど、
42回目の人は、‘背が小さい’うえに‘ハゲ’。
43回目はコレにさらに何がプラスされるのよ?
と考えると、怖いよ。」
(プラスというべきかマイナスというべきか。)
とにかく、H子さんは、その42回目の人との結婚を決めたのだ。
(数字的にも、なんか縁起悪いような・・・)
Y子さんは、H子さんに聞いた。
「どんな人?」
「キモい。一緒に歩きたくない。」
「あんた、そんな人とデキるの?」
「目つぶってヤる。でも、キスは絶対しない。」
まるで風俗嬢同士の会話だ。
H子さんの結婚生活、興味あるなぁ。
こりゃ絶対、折々にY子さんから話を聞かなきゃ!だな。


8月20日(月よう日) 日直・鬼界
僕が歯医者通いをしてることを書いたら、
励ましとともに、こんなメールをもらった。

昨日風邪薬をもらうために,病院へ診察に行って
待合室で3時間も待たされた後,
看護婦さんにカーテンで仕切ってある小さい小部屋で待つように言われたので,
中の壁に書いてあった注意書き通りに上半身裸で待ってたら,
他の男の患者さんに間違えて覗かれてしまった.
終いにはその後先生に「あの〜..上半身裸で待つんですよね?」って聞いたら,
「シャツは着てて結構です.」とか言われちゃったんだよね.
ねぇ,どうよ,あの注意書きってなんであるわけ?

ハンドルネーム“ヒラリン”さん、どうもありがとう。
どこの誰だか全然知らないのに、
すっげえフレンドリーなタメクチのメールでなんだか嬉しいっす。
僕が思うに、素直でとてもいい人です、あなたは。
注意書きどおりに胸をさらけ出して待ってる人は
あまりいないんじゃないでしょうか。
覗いた男性患者もお医者さんもビックリしたはず。でも得した気分になったはず。
僕が医者になったら、「着ているものは脱いでお待ちください」と張り紙しよっと。

皆様もなにかあったらメールください。
鬼橋日誌で紹介しますぜ。


8月19日(日よう日) 日直・鬼界
経過観察と消毒のため、また歯医者に行った。
歯医者のある路地を曲がると、
狭い道に車や歩行者や自転車が大渋滞になっている。
バカでかい白のアメ車が歯医者の駐車場に車庫入れしてるのだ。
プレスリーが乗るような成金のバカ車。
その歯医者は芸能人もたくさん来てるので、
どんなバカが出てくるのかと見てたら、
なんと院長がおりてきた。
僕に気づいた院長は「やあ、どうも」と親しげに手をあげた。
その手にはロレックスだ。
歯医者って、そんな儲かるの?
脱税とかしてんじゃないの?
僕の治療代は、あのロレックスの秒針になってんだ、きっと。


8月18日(土よう日) 日直・橋本
 昨日、日誌に「『エースをねらえ!2』の再放送が楽しみー!」って、
書いた途端、これだよ。
番組表をチェックしてたら、な、な、なんと
『エースをねらえ!2』に最終回マークが!
あさって月曜日のところに、いきなり!
ちょっと待ってよ!
『エースをねらえ!2』は、土・日は放映されないから、
昨日の金曜日に観た回が、最終回1つ前の回ってことになるのよね?
そんなバカな。
おっかしーよ?
どうみても、最終回1つ手前の展開じゃないけど?
まだ、お話、始まったばかり。
どう考えても、これからって感じ。
(まだ第13話目だし・・・。)
あれで、どうやって30分で「完」にもっていくんだろ?
普通に考えたらおかしいぞ。
無理矢理「完」にしなきゃならないトラブルがあったとしか考えられない。
一体、何があったのか?
理由はどうあれ、
まいったなー。
困っちゃうなー。
あれで終わられちゃなー。
岡ひろみが世界を舞台に活躍する、これからっちゅう時に・・・。
しかたない。
鮎原こずえが世界を舞台に活躍しそうな展開になってきた『アタックNo.1』で済まそう。
大差はない。同じようなものだ。
でも、マジで、月曜日の回どうやって終わるんだろう。
見当もつかない。
『エースをねらえ!2』の原作は、どうなってるのだろう?
ちゃんと完結してるのか?
謎は深まる。


8月17日(金よう日) 日直・橋本
 前にテレビで,
プロテニスプレーヤーの松岡修造が、
「僕のバイブルは『エースをねらえ!』です。
試合の時には、コートサイドベンチの僕のカバンの中に、必ず単行本を入れておきます。」
と言っていた。
「アホだ。
そんな、マンガなんかを『バイブル』とか言ってるから、アガシみたいになれないんだ。」
と私はその時、思った。
2ヶ月前。
スカパーで『エースをねらえ!』を再放送してるので、ちょっと見てみた。
以来、
現在に至るまで欠かさず録画して観ている。
(今は、引き続き『エースをねらえ!2』。)
中・高と、私はテニス部だった。
あの頃、『エースをねらえ!』を読めば良かった。
「この一球は無二の一球なり!」
なるほど。
大いに役立ったかもしれないぞ。
 そういえば、
大学時代、演劇部のコワーイ先輩の部屋に遊びに行ったら、
『ガラスの仮面』がズラーッと本棚に並んでいた・・・。
ということを思い出した私。
あの先輩の『バイブル』だったのかしら?
ここ1ヶ月あまり、
貸し本屋で『ガラスの仮面』を、1巻から、
数冊づつ借りて読みまくった。
月影先生は言ってます。
「“木”を演じるには、“木”の気持ちにならなければいけません」
なるほど。
たいへん勉強になります。
・・・って、ホントかよ。


8月16日(木よう日) 日直・鬼界
歯の痛みがようやく峠を越えた。
おととい歯医者に行った時点では
あまりに癒着が激しいので手術が不可能だった。
各種投薬して24時間後に切開することになった。
当然、鎮痛剤も服用したが、全く効かない。
1秒ごとに痛みが増すばかりだ。
やがてこめかみも痛くなってきた。
そして顎も腫れてきた。
点の痛みが面になっていく。人間の肉体の不思議だ。
顔の左半分が痛みの塊と化し、麻痺状態だ。
この経過を日誌に面白おかしく書こうなどという考えは吹き飛んだ。
人間にとって歯痛ほどツライものはない。
何も出来ない、何も考えられない、何もしたくない。
そして昨日切除。
口中にドクドク血が溢れ、5リットルくらい飲んだと思う。
自分の血を飲んでも精力回復になるのだろうか、スッポンの血のように。
こんなバカなことを考えるようになったから、回復に向かっている証拠だ。
でもまだまだ痛い苦しい。


8月15日(水よう日) 日直・橋本
(一昨日のつづき)
 初めてのデートの場所は、大大大肝心だ。
誘う方って、ホント大変よね。
誘われる方って、ラクよね。
こうして自分が誘う立場に立たされてみると、
女の子を楽しませようと、あれこれ準備する男の子ってエライね!
と思っちゃう。
よく知ってる相手、気心の知れた相手だったらまだしも、
「2人っきりで会って話したことない。趣味も好みもまるで知らない」
という相手を誘う場合は、一体、何を拠り所とすればいいのでしょう?
たーだ「飲みに行きましょう」「お食事に行きましょう」じゃ、
芸がない。
というようりも、
太郎さまは口数が少ない人なので、私がしゃべる羽目になる。
先行予約の電話でお聞きになったかたもいらっしゃると思いますが、
私、キンチョーするとあんなよ?
頭イカレちゃってるみたいでしょ?
だから、ダメなの、
「飲んだり、食事したり」という場面は、かなりリラックスしてからでないと。
イカレポンチかと思われちゃうから。
“彼氏でも何でもない”人との、
「飲んだ」「食事した」以外の、
数少ない“イベントチック”な、 
過去の『想い出の初デートコース』を振り返ってみる。
でもなぁ。
男の子が、一応、私の意向を聞いてお膳立てしてくれたからなぁ・・・。
モデルコースには、なり得ないかな・・・。
●「映画、好き。特にコメディが」ということで『映画』
●「ジェットコースター、好き」ということで『豊島園』
●「リフト、好き」ということで『山登り』
●「星、好き」ということで『プラネタリウム』
●「お船、好き」ということで『ディナークルーズ』
●「車、好き」ということで『ドライブ』
●「見晴らしのよい所、好き」ということで『東京タワー』
●「行ったことない」ということで『東京ディズニーランド』
・・・思い返してみると、どれもこれも失敗に終わった。
1つとして「たっのしかったー!」と満足して終わったものが無い。
全部、私のせいだが。
特に『東京タワー』は思い出したくもない。
ムズカシイナァ・・・。
一般的に、
男の人が「誘われて嬉しい場所」って、どこなんですか?


8月14日(火よう日) 日直・鬼界
歯が痛い。
左側の下の奥歯が痛い。
ズッキズッキ、ドックドック、脈うってる。
ミニ心臓があるみたいだ。ズッキズッキドックドック。
自慢じゃないが、僕は痛みにものすごく弱い。
スパイには絶対なれない。
「拷問するぞ」の‘ご’を聞いただけで、秘密を全部しゃべるから。
痛くて痛くて夜中に目を覚ました。
しばらくジッとしてたけど、痛みは増すばかり。
寝返りを打ってみた。効果なし。
体だけひねって顔は天井向けてみた。効果なし。
バンザイして、思いっきり笑ってみた。効果なし。
四つんばいになって、悲しそうな顔をしてみた。効果なし。
四つんばいになって、振り向いて口を半開きにしてみた。効果なし。
ここで気づいた。
僕のとってるポーズはヌード写真のポーズじゃねえか!
こんなときにもこんなことが頭から離れない自分がいとおしい...。
これから歯医者さんに行ってきます。


8月13日(月よう日) 日直・橋本
 ちょっと前のことになりましたが、一応、ご報告です。
実は、7月末の隅田川花火大会に、
「ご一緒にいかがですか?」
と、太郎さまをお誘いしたのでした。
『七夕作戦』に続く
『夏の行事を思いっきり利用しよう!“ご一緒にいかが?”作戦』
の候補として私が思いついたのは、
海の日・お盆・終戦記念日・・・・・と、しけたものばかりだったのですが、
掲示板に、わらしさんが
「花火大会はどうですか?」
と書き込んでくださったので、早速、使わせて頂いたのでありました。
しかも、
『ウソも方便!“来てくれさえすればこっちのものさ”案』の‘その1’である
 「おじさんが花火職人。
 新作の花火を打ち上げるから感想を聞かせて欲しい」
を、そっくりそのままイタダキました。
花火大会の1週間前に、思い切ってお誘いの電話。
「“夜空のスクリーンに映し出すスペクタクル・ムービー”をテーマに、
キングコング、ジョーズ、エイリアン、ゴジラとかを花火にしたらしいです。
去年は、ピカチュウとか子供向けだったので、
今年は、大人向けにしたらしいです。
1番の見所は、
ゴジラが火を吐くところらしいです。」
ステキな花火大会になりそうだ。
あぁ、それなのにそれなのに。
太郎さまは、
夏休みを一足早く取って、花火大会の前の日から郷里に帰省するとのこと。
ぐぁっくり・・・。
「お役に立てず申し訳ない。」って太郎さま。
いいです・・。しかたないです・・・。
「ゴジラが火を吐くところを表した花火っていうのは、僕も是非見たかったなぁ」
私だって見てみたいです・・・。有り得るならば・・・。
 再度さりげなくお誘いするべく、
次なる“場所”を、現在、模索中です。


8月12日(日よう日) 日直・鬼界

注意)聖光学院関係者は読まない方がいいでしょう。

昨日、甲子園の高校野球で
聖光学院という高校が20対0で負けた。
どうするんだろ?
地元に戻って「しょうがないさ、勝負は時の運。よく頑張ったよ!」
なんて慰められても、裏に回ったら
「20点も取られて、よく生きてられんな。小学生に投げさせた方がマシだっ」
とかボロクソ言われるに決まってる。
それも一生言われ続けるにちがいない。
高校球児なんてワルだから、下級生をシゴいてたはず。
「おらおら、そんな球も取れねえのか。罰として焼肉おごれ!俺のパンツを洗濯しとけ!」
なんてやりたい放題やってたのに、
20点も取られて負けたら、明日から後輩にどう接するんだろ?
最大の問題は、彼女だ。
高校球児なんてワルだから、チャラけた女子高生と付き合ってるはず。
当然、やることやってます。
高校生だから、彼女のことを思いやらないかなり強引なやり方で。
甲子園に出場するヒーローだから、彼女もガマンしてました。
でも、20対0で負けて帰ってきたら、
どうなります?
「今まで以上にあなたのことが好きになったわ。
だってこれまでのあなたは完璧すぎる高校球児。
そんなあなたに人間らしい弱いところを見つけられたんだもん。
神様に感謝するわ。」
なんてことは絶対言いませんぜ、チャラけた女子高生は。
冷たくヒドイことを言い放って、去って行くにちがいない。
男として立ち直れないんじゃないだろうか。
ああ、心配だ、どうするんだろう。
負けるな、聖光学院ナイン!

高校球児に偏見を持ってるわけじゃありません。
僕の高校の野球部員は、ホントにこんな感じでした。


8月11日(土よう日) 日直・橋本
 例のノータリンな親友R子に電話したら、こんな留守電メッセージになっていた。
「わたくしは、ただいまイタリアを旅行中です。
帰国は15日を予定してます。」
へっ?
イッタリア?
聞いてねーよ?
つい先日、R子に
「“お盆休みの出・帰国ラッシュの模様”とかって、
またニュースで成田空港が映るんだろうねぇ・・・。
あぁイタリア行きたい。あぁイタリア行きたい。あぁ外国行きたーいっ。」
って私が言った時も、
なーんにも言わなかったじゃんけ。
それどころか、
「お盆休みなんて、どこ行っても混んでるし高いし、いいことないってば。
家でのんびりしてるのが1番だってば。」
だってばだってば力説してたじゃんけ。
野っ郎!
あった−来た!
憧れのイッタリーを横取りしやがって。
「きさま−。10万円分のお土産を買ってこなかったら絶交だからな!」
と留守電に入れといた。
即行でR子から折り返しのTEL。
「こちらR子です。」
「イタリアから?!」
「うんにゃ。ハイツハピネス301号室(←R子の自宅)から。
まさかきよみからTELがあるとはなー。えへへ。」
・・・・・・。
“自称イタリア旅行中”は、
日夜、マンションの自室にジ〜ッと閉じこもり、ビデオ鑑賞に明け暮れる予定らしい。
買い込んだ冷凍食品を食いつないで。
なんでそんなウソつくかねぇ・・・。
一体、誰に対する『ウソ旅行』なのか?
誰をだましたいのか?
こんなことして何の得になるのか。
 映画『男はつらいよ』の4作目で、
ご近所あげて盛大に祝ってくれた“とらや一家・憧れのハワイ旅行”がポシャっちゃった時、
お餞別も貰った手前、今さら「行けなくなりました」とはとても言えず、
1日中カーテンを閉めてジ〜ッと家に閉じこもり、
旅行に行ってる風を装った・・・
というエピソードがあったっけ。
その場合だったら、当然、私も閉じこもる。
でもR子の場合、
ウソをつくべき切羽詰った理由は、なーんも無いんだのに。
まったく。
見栄張っちゃって。


8月10日(金よう日) 日直・鬼界
こんなに暑いのに、スーパーに行くと、もう巨峰が並んでいる。
巨峰は想い出の果物だ。
何年か前の12月、僕は女の子と付き合い始めた。
クリスマスを一人で過ごすか、カップルで過ごすかの瀬戸際で
僕も彼女もかなり焦っていて、
滑り込みセーフ!いないよりはマシ!的な始まりだったが、
付き合ってみると、とても気が合った。
ある雪の日、彼女は「キョホウが世界で一番好き」と言った。
なんのことかわからなかった。
「ブドウの巨峰よ」
なるほど。
僕があまり興味がないと思ったのか、
それ以来彼女は巨峰の話はしなかった。
そして、8月も末のある日、
彼女の部屋に行く時、僕は巨峰を買っていった。
「えっ..なんで...」
彼女はビックリしていた。
その年の秋は彼女のところへ行くたびに巨峰を買った。
貧しい僕にはかなりの痛手だったけど、
彼女の喜ぶ顔を見るのは幸せだった。

思い出しながら書いてたんだけど、
僕って、すっごいマメじゃない?エライよね?
あるいはズルい?


8月9日(木よう日) 日直・鬼界
高校の時、産婦人科医になることを宿命づけられた同級生Sがいた。
祖父の代からの「S産婦人科」を継がなければならないのだ。
僕達はSを尊敬していた。
医学書を見ほうだいのSは、女性のあのあたりを16歳にして熟知していたのだ。
好奇心旺盛な僕達はよく質問した。
「クリトリスって、どうなってんねん?」
するとSはノートに図を書き
「ここが○○で、ここが○○、そして、性的に興奮するとこの突起部分が・・・」と
詳細に説明してくれた。
すご〜い!
「ええなあ、そんな写真ばっかり見られて」と言うと
「もう、飽きたわ」とクールに答えるSは大人に見えた。
が、ハワイへ行った同級生が持ってきた、無修正のH本を見て
Sは異常に興奮していた。
「見飽きたんとちがうの?」と尋ねると
Sは答えた。
「カラーで見るの、初めてや」


8月8日(水よう日) 日直・橋本
〜掲示板の『男の産婦人科医』について〜

医師免許を取得する際、
外科とか内科とかの『○○科』を選択するのは、当然、自分の意思なんでしょうよねぇ?
なんで、よりによって産婦人科を選ぶのかしらねぇ?
偏見かもしれないが、
男の産婦人科医って、
「そうです。あなたの思ってるとおりです。
僕は助平。だから産婦人科医になりました。どうだ、恐れ入ったか、コノヤロー。」
と開き直ってるか、
「ちくしょー。俺は、ホントは外科医になりたかったんだ。
『白い巨塔』の田宮二郎みたいになりたかったんだ。
なのに今じゃ、女の○○○ばかり眺めてる毎日なのさ・・・。」
と卑屈かつ投げやりになってるか、
どっちかの人。
っていうふうに、どうしても思っちゃうんですけど、私。

誰かがなってくれなきゃ困っちゃうけど、
『肛門科』を選択する時、親とかは反対しなかったんでしょうかね。
「おまえ、せめて『泌尿器科』じゃダメなのかい?」とかって・・・。

以前、テレビのドキュメンタリーで、
直腸がんの手術の模様を見たことがある(ぼかし有り)。
直腸がん・大腸がんは、早期発見しにくく、手遅れになることが多いそうだ。
そうよねー。
「あれ?なんかヘンよ?」
と異常を感じても、なかなか気軽に医者に行ける箇所じゃないよねー。
「ケツの穴見せるくらいなら、死んだ方がマシだ」
と言ったら、
「なんてことを言うのかしらっ!」
と、一緒にテレビを見てた母に怒られた。
「羞恥心の為に病気の発見が遅れがちになる女性を、私は救うのだ!」
という強い意志でもって、
あらゆる『科』に女医さんが増えることを願おうじゃありませんか。


8月7日(火よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
 お祭りの帰り、駅前の居酒屋に3人で立ち寄り、
『お祭りツアー』の打ち上げ。
お店、お祭り帰りの人で混み混み。
カップル多し。
いいのよ、いいのよ。
お祭りは、女だけで来るに限るわ。
だって、ほら、意地汚く食えるし。
ぶっちゃけた話できるし。
5年間付き合った彼と2ヶ月前に別れたT子ちゃん。
彼氏いない歴2年のA子ちゃん。
北風の吹きすさぶ荒地にひとり立ちすくむ感のきよみちゃん。
そうよ、そうよ。
恋の話をつまみに、どんどん飲みましょう。食いましょう。
・・・・・ところで。
3人組って、いないのかしら。
キョロキョロ。
さっきT子ちゃんとA子ちゃんをナンパしてきた2人組でもいいわ、こうなったら。
もしいたら、
「あ、私はヤボ用で、先に帰るから」って身を引くつもりなんだけどなぁ。
おねーさんだもん。
「きよみさん、誰か捜してるんですかぁ?」
「ま、まさか。あは、あはは・・」
 追加オーダーしたお酒と一緒に、店員が“手巻き寿司盛り合わせ”をテーブルに置いた。
「頼んでないデース」
「こちらの手巻き寿司は、あちらのテーブルのお客様からの差し入れですので。」
きた、きた、きた、きたーーーーーーーーーーーーーーっ!!
どのテーブルよ、どのテーブルよ、どれなのよーーーーーーーーーーーっ??!!
店員さんの掌が指す方向を、6つの目が瞬時に捜す。
観葉植物が邪魔するも、思いっきり首を伸ばして見た右斜め前方。
でたーーーーーーーーーーーーーーっ!!
会社帰りのサラリーマン3人組。
Yシャツを腕まくりして、肩にネクタイ乗っけちゃってるよ。
推定年齢20代後半。
とっちゃん坊や&ロンゲ&小太りクン。
なんだか・・・どれもこれも・・下品チック。
がっくり。
小太りクンが、私達のテーブルに歩み寄ってきて言った。
「一緒に飲みませんか?」
「結構です。ちょっと込み入った話してますので。」
「ダメ?」
「はい。スミマセーン。」
そしたら、小太りクン、どうしたと思います?
なんと、例の手巻き寿司を持ってっちゃったんです。
すげないお返事されたのが、よっぽど頭にきたんでしょうかねぇ・・・。
「付き合わねぇんなら、差し入れ、返せ」だ?
セコイねー。


8月6日(月よう日) 日直・橋本
 お手伝いをしてくれているT子ちゃんが、言いました。
「私の友達も劇団の手伝いをしてるんですが、
その劇団は、花火大会だとか焼肉パーティーだとか海水浴だとか、
飲み会・イベントの催しが折々にあるんだそうです。
鬼界事務所は、盆踊りツアーとかやらないんですくわぁ?」
・・・やったことねぇなー、いっさい。忘年会ぐらいか。
なんせ、ほら、人員が少ないから。
T子ちゃん、飲みたいのかしら。
7月1日のミーティングの折、T子ちゃんの「彼氏との別れ話」を聞いた。
T子ちゃん、淋しいのね・・・。
よーし。
景気づけに、祭りに繰り出そう。
といっても、東北三大祭りに行くわけにもいかないので、そこらのチッコイので許してね。
しかも、引率は、橋本。1人だけです。
私もびっくり。
えっ?だったらやめましょう?
いいじゃん、いいじゃん。
橋本、精一杯、楽しませますよ。
えっ?参加者はT子ちゃんとA子ちゃんだけ?
・・・・・いいよねっ。女3人、お祭りを満喫しようねっ。
 イカ焼き、たこ焼き、綿飴、焼きそば、フランクフルトetc。
食って。食って。何でもおごるわっ。
ちょっと座れるスペースを捜したが、どこもかしこも人がいっぱい。
路地に入って、
人ん家の玄関先の地べたに車座になり、
買い込んだ焼き鳥・おでん・お好み焼き・生ビールを飲み食い。
追加のビールとお酒とつまみを、T子ちゃんとA子ちゃんに買いに行かせた。
マズった。
交代で行ってもらえば良かった。
路地の人ん家の玄関先で、地べたに座り(しかも、あぐら)、
1人、食い散らかした皿々を前に紙コップでビールを飲んでいる女・・・。
通行人は、
3人でやってると見て見ぬ振りするのに、1人でやってるとジロジロ見るのね。
見るんじゃねーよ。
T子ちゃん、A子ちゃん、早く帰って来てくれー。
なんか遅いよ?
「きよみさん、酔うと乱れるから、置いてっちゃう?」ってことで置いてかれちゃった?
いやぁ〜ん。まだ食い足りな〜い。
やっと2人がバタバタと帰ってきた。
「きよみさーん、聞いてくださーい!」
どうやら、2人はナンパされたらしい。
結構かっこいい男2人に「一緒に飲みに行かない?」って。
「行けば良かったのにぃ〜」とは言えないよね、まさか。
「きよみさんがいなければ行っちゃいましたけどぉ〜」とも言えないね。
「3人で買いに行けば、3人組にナンパされたかしら」って言う?
「ここにご招待すれば良かった」・・・それもねぇ・・・。
T子ちゃん、新しい恋の邪魔しちゃった?


8月5日(日よう日) 日直・鬼界
昨日の日誌で、「不老林」と書いてて思い出したんだけど、
「不老林」などの育毛剤を買った場合、
人目に触れないように紙袋に入れてくれます。
そう、ナプキンと同じ扱いなのだ。
知ってました?
えっ?ち、違いますよ!ぼ、僕が買ったんじゃないです!
僕の前に並んでたオッサンが買ったのを見たんです。
あの紙袋ってのは、どうなんだろう?
逆効果じゃないのかな?
「私はナプキンを買わせていただきましたっ」とか
「俺は頭の薄いのを、とてもとても気にしてるんだっ」とか
世間に宣伝してるようなもんだ。
ナプキンの袋に赤ん坊の写真を印刷してはどうだろう?
「あの人は小型のメリーズを買ったのね。」と思われるから、
恥ずかしくないぞ。いいのでは?
ただ、「あの人は子持ちなのね」と思われるのが欠点だ。
ちょっとつらいかも。


8月4日(土よう日) 日直・鬼界
 ♪女体の神秘シリーズ その3
フェミニーナ軟膏について、3通のメールをもらった。
要約して紹介すると

「友達がバッグの中に隠し持っていたのを発見して、ビックリ。
だって、そんな遊んでないマジメな子だから。」
「ドラッグストアに買いにいったら、売り切れだった。」
「世の中には、知らない方が幸せってことがあります。」

掲示板に寄せられたご意見も合わせて考えると、
フェミニーナ利用者は予想以上に多いらしい。
男性の「不老林」使用率と同じくらいなんじゃないかな。

でも、結局、具体的なことに触れてくれたのは
掲示板の‘ぷりりん’さん、ただ一人だった。
図解入りの説明が送られてくるとか、
「塗り込んでいるときの姿は絶対、人には見せられません」とか
「塗ったまま行為に及ぶと滑りが良くなって彼も大喜び」とか
そんなのが来れば楽しいなと思ってたんだけど....。
来るわけないか・・。


8月3日(金よう日) 日直・橋本
 そういえば、以前、あったなぁ。
某製薬会社の新商品のCMオーディションに行ったはいいが、
その新商品が、
一体どんな商品なのかイマイチ解からなかったということが・・・。
メインのカワイイ系の女の子が
「私は、コレを使ってるから大丈夫でーす。」みたいなことを言うと、
その女の子とどういう関係なのかはスッカリ忘れたけど、
「ふ〜ん・・・。(心の声・使ってみようかしらん)」
みたいに、流行に乗り遅れたキャリアウーマン風の役だったな、確か。
しかし。
一体全体、
どのような場所が、
どのような症状の時に、
どのような使い方で、
どのような効き目がある商品なのか、
さっぱりわからず。
ベールに包まれた、謎めいた、“女性の為の医薬品”。
ただ、
メインのアイドル系の女の子の役については、
『清潔な、爽やかなイメージの役に致しますのでご安心ください』
と、事前に事務所から送られてきた絵コンテに注釈が書かれてあった。
『爽やか&清純なキャラクターでこれから売り出そうとしてるタレントにとって、
マイナスイメージには決してなりません』
といっているわけだ。
(ちなみに、私が受ける方の役には、そのようなデリカシーのある注釈は一切無かったな。)
そして、その注釈と、
『女性はとってもデリケート。そんな、女性の為に生まれました。○○○(商品名)』(だったかな?)
というナレーション部分とを合わせてかんがみて、
「なんかアノへんがどうかなった時に使うもの」
ちゅーような、モヤモヤーとした、おぼろげーな理解力でもって、
オーディションを受け、そしてスゴスゴ帰って来たっけ。
数日後、
タイムリーにも(?)、フェミニーナ軟膏のCMを初めて見て、
「これの類似品だったんだ〜」
と、合点がいったのでした。チャンチャン。
キーワードは、
『デリケートな』だねっ。
・・・そうなると『デリケート』っていう言葉にも、過剰反応しそうだなぁ。


8月2日(木よう日) 日直・橋本
 レストランにおける「ナプキン取ってぇ」にドキッとするのは、
男の人ばかりではありません。
私は、
紙ナプキンは、何が何でも『紙ナプキン』と呼ぶし、
ヒザの上に乗せて時折お口などを拭く布製のナプキンを、
どうしても呼ばなきゃいけないときは、『布ナプキン』と無理矢理呼んでます。
そう。
なんで、紙ナプキンとナプキンが同じ名称なのよ?
レストランで「ナプキン」と言うから、一瞬ドキッとするものの、
「あ、紙ナプキンのことね」と了解できるが、
伊勢丹の正面入り口前の喫煙所で、
「ナプキン買わなきゃね」「そう、そう、忘れてた」
と会話してた母娘は、一体、どっちのナプキンを買おうとしてたのか。
性に関してもオープンな会話をする仲の良い母娘に見えたし、
ご近所さんを招いてホームパーティを開きそうな金持ち風に見えたのも、
判定を難しくさせた原因だった。
そもそも、同じ名称だから、こんな混乱をきたすのだ。
だいたい、
『ナプキン』に『紙』をつけただけで、普段はおおっぴらに口にできない言葉が、
堂々と“言って良い言葉”に変化する、というのもどうかと・・・。
例えば、
テレビのニュースを見てて、
「1マンコの商品が回収されました」と聞いて、
「おう、アブね−アブねー」と、密かに胸をなでおろすのは私だけ?
『1』が付くだけで、すっかり市民権を得て、大きな声で言ってもらってる。
「マンゲ鏡」の時は、さらにスリルだ。
もし、私に彼氏がいたとしても、
このように“危険な言葉”満載のテレビなどは、怖くて、一緒に見ることなんて絶対できないだろう。
太郎さまと一緒に「フェミニーナ軟膏」のCM・・・?
あー、そら恐ろしい。
(ところで、「フェミニーナ」は、私も謎だ)
ちなみに、
ハード&ヘビーなラブシーン・ベッドシーン、強姦シーン、濡れ場などを、
集中して満喫する為にも、映画やビデオも、やっぱり1人で観たほうがいいなー。


8月1日(水よう日) 日直・鬼界
  ♪女体の神秘シリーズ その2
最大の謎は‘フェミニーナ軟膏’だ。
テレビでCMやってる、
「女性のデリケートな部分の腫れとかゆみに」っていう塗り薬だ。
デリケートな部分の腫れとは、
どのあたりがどうなってるの?
モロそこのところ?それともその周辺のあのあたり?
かゆみとは?どの部分がどのような状態なの?
そもそも、腫れとかゆみが同じ薬でいいの?
デリケートなんじゃないの?
謎は深まるばかりだ。
もちろん匿名でいいんで、答えてくださる方、至急求む。


7月31日(火よう日) 日直・鬼界
女の子と食事に行った。
サラダを食べてるとき、
「あっ、ナプキン取ってぇ」と言われ、
ドキッとした。
こんなんでドキッとするのは僕だけ?
でも、あのナプキンと紙ナプキンが同じ名称ってのはマズいんじゃないの?
意識しすぎ?反応しすぎ?
妊婦を見ると「お楽しみってわけかい、フフッ」とニヤける、少年みたい?
僕は少年の心を持ち続けてるってこと?
でもね、でもね、‘ナプキン’って言葉を聞くと
なんだか胸がトキめくのですよ、男は。
だって永遠にわからないことでしょ。
「夜用」とか「羽根つき」とか「さらさらコットン」とか言われると、
女体の神秘を感じるのだあ!

っていうのは僕だけ...?


7月30日(月よう日) 日直・橋本
 昨夜は、とある小さな映画館の特集上映会で、古い日本映画を観た。
40年以上も前の映画ゆえ、画像の悪さは覚悟の上だが、
それにしても、ひどいフィルム状態だ。
朝でも真っ昼間でも、夕焼けのシーンかと見まごうほど、まっかっか。
ザンザン黒い縦線入ってるし、バチバチいってるし。
でも。
そんなんでも。
レンタルビデオ屋には置いてない、観たかった映画だから、仕方ない。
我慢しなくっちゃ。
目を慣れさせて、気にしないようにしよう。
そう。
そんなものは、まだ序の口だったのだ。
何がひどいって、
所々、「セリフが抜ける」。「セリフがとぶ」。
意味不明のセリフになっている。
原因は、
傷んでダメになった部分のフィルムを切り取ってしまい、無理矢理つないじゃってるから。
1コマめ、2コマめ、3コマめときて、
4コマめが傷んでダメになったので、その4コマめを切り取って捨てちゃった。
そして、3コマめの後に5コマめをつないじゃった。
あーあ、4コマめに入ってたセリフ(言葉)が無くなっちゃった。
と、こういうことだと思うが。
一例。
「私の切ったタクワン、薄いのと厚いのと、極端で・・・。
でも叔父さんは、“○○○○○で、年寄り向きだよ”って言ってたわ。」
この○○○○○の部分が脱落しちゃって、
“どうして年寄り向きなのか?”が、わからない。
叔父さんは、一体なんて言ったの?なんて言ったの?なんて言ったのぉーーー??
と、気になってるそばから次の脱落箇所が・・・。
こんな、“タクワン”の厚さに関するセリフならまだ許せる。
シーン、シーンの終わり部分は、それぞれ必ず脱落。
シーン終わりに持ってくることが多い“いいセリフ”“大事なセリフ”。
これをことごとく途中でズバッと打ち切られる。
途中どころか、大概、
「私という女は、多分、」
とか、
「僕が思うに、君は、」
とか、
「決めたわ。明日の朝、」
で打ち切られるので、すごく困る。
私という女はなんなの?僕はどう思ったの?明日の朝どうするのぉーーー???
・・・疲れる。
1番悔しかったのは、
ヒロインと不倫相手が旅館の1室に入り、外から見えないよう障子をそっと閉め、
ヒロインの両手が男の肩に、ブチッ。打ち切られました。
その瞬間、
満席50人の観客全員が舌打ち。
おじいちゃんもおじさんも若者も、全員が「チッ」って言ったな、おそらく。
雁首揃えて、全員、「チッ」って。
終映後、皆、フラストレーションが溜まったような顔。
私なんて、イマイチ、ストーリーもわかんなかった。


7月29日(日よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
そういえば、以前こんなことがあった。
撮影を待ちながら、何人かで話していた時のこと。
麻布の行きつけのクラブとか
タレントさんの噂話はペラペラしゃべるくせに、
他の話題には全くついて来れない、モデルさんがいた。
「私のウリは顔と体だけ。頭の中はカラッポなの!」
というある種、典型的なモデルさんだった。
たまたまパソコンの話になった時、
そのモデルさんが
「富士通さんもSONYさんもこれから大変らしいですよ。
NECだって、どうなるかわかりませんけど。」
と突然、発言したのだ。
「すごいじゃん。なんでそんなこと知ってるの?」と聞くと
「晴海のビジネスショーでコンパニオンやったから」と
ちょっと得意げに答えた。
「こう見えても脳はあるんですっ」と
一生懸命、自分を知的に見せようとするモデルさんはカワイかった。
NECのスケベな担当者に食事に誘われて、
そのとき聞いたことの受け売りだなって、
その場にいた全員がすぐにわかったけど...。


7月28日(土よう日) 日直・鬼界
近所の肉屋が大安売りをするそうで、折り込み広告が入っていた。
その広告に肉屋の地図が載っている。
目印の建物がすべて、‘さん’づけだ。
「東京三菱銀行さん」「ロッテリアさん」「ジョナサンさん」
なんかムカつく!のは僕だけ?
なにが「東京三菱銀行さん」だよ。
「東京三菱銀行」と知り合いなのかよ。
おめえは何様?この偽善者!と思っちゃう。

東京三菱銀行が作る地図には
決して「肉屋さん」「ロッテリアさん」などとは書かれていない。
「さん」づけしているのは、街の個人商店の地図だけだ。
なぜなんだろう?


7月27日(金よう日) 日直・鬼界
カウンター10000GETの報告は残念ながらありませんでした。
この鬼橋日誌に登場してもらおうと考えていたのに...。
例えば、ハンドルネーム<チャコ>さんだったら、

その朝、チャコはブルーだった。
ドトーリ・ドトーレンコから、またプロポーズされたからだ。
ドトーリはキライじゃない。
でも、名前がヘンだ。
文字に書いてもヘンだし、声に出すともっとヘンだ。
ドトールの手先みたい。
なんてボンヤリ考えていたら、
突然、チャコの乗っていた電車で・・・・

10000GETする様子をエスプリのきいた小説風に
再現(っていうか空想?)しようと思っていたのです。
この後、ストーリーはどう展開するのか?
こんな出だしでどうやって10000GETに繋がるのか?
結構いいアイデアがあるんですよ。ちょっぴり自信あり。
なのに、言ってこないんだもん、ちぇっ。
つぎのキリ番は100000です。


7月26日(木よう日) 日直・橋本
 起きたら、ひどい二日酔い。
気持ち悪−い。
朝6時ごろ帰ってきて、3時間ほどしか寝てないせいもある。
だって、気持ち悪くて寝てられない。
トマトジュース500mlを一気飲み。
ちょっとスッキリ。
再びベッドに横になる。
約5分後、トマジューが鼻からあふれ出た。
ひでぇな、こりゃ。
なぜか妙に荒い息づかいで、フラフラと、徒歩にて近所の薬局へ。
「効能・・・飲み過ぎ・吐き気(二日酔い・悪酔のむかつき)」
これだ、これ。
『液キャベS』を2本購入。
1本を、薬局の店先で飲む。
以前、
薬局の店先で、レジで金を払うやいなや『リポビタンD』を一気飲みしている女の人を見て、
「なにも、ここで飲まなくても・・・」
と思ったことが、ちらと脳裡をかすめたが、
「ココで飲まねばドコで飲む?」
ということって、あるのね。
を、改めて実感。
家に帰って玄関先で、もう1本を飲む。
「1日1回1本を服用」の注意書きは、この際無視だ。
今の、この気持ち悪さに勝てる(?)副作用など、あるまい。
 昨夜7時から、女4人、友人宅で引越しパーティー。
だらだらと飲み食べ続け、どうにも‘ねむ気持ち悪く’なり、
2時間ほど仮眠をとり、朝5時半ごろ友人宅を出た。
50ccバイクで20分ほど走り、我が家、目前。
「シュワっとコーラでも買って帰ろ」
と、セブンイレブンに立ち寄ったのが間違いだった。
レジで私の前に並んでいた若者は、朝っぱらから焼肉弁当を温めてもらっていた。
袋に入れられる弁当を見、その匂いを嗅いだ瞬間、
恐るべき吐き気が。
ダッシュで、手に持っていたコーラを売り場に戻し、出口へ。
セブンイレブン横の、誰ぞの「月極駐車場」の隅に走り込み、
・・・。
朝6時、コンビニ横の駐車場で、吐く女。
やだねー。

二日酔いは、1日を台無しにしてしまいます。
自分への戒めの為に、「最低最悪の夏の朝」をご報告しました。


7月25日(水よう日) 日直・鬼界
スーパーに行った。
カルピス・ピーチ味を買おうと売り場に行くと、
ちょっとキレイな若奥様がカルピスを選んでいた。
僕が「すいません」と声をかけると、
自分が邪魔してると気づいた若奥様は
「あっ、ごめんなさい」とイイ感じの笑顔で場所をあけてくれた。
そして、何品か買い、アクエリアス売り場に行くと、
また若奥様に会った。
こんな偶然はよくあることだ。が、
スイカ売り場に行くと、また若奥様がいるじゃないか。
こうなってくると、マズい。
まるで僕が若奥様をつけているみたいだ。
若奥様も不審な目で僕を見ている。
慌ててスイカ売り場を離れた。
これがよくなかったのかもしれない。
レジに並ぶとたまたま僕の二人前に若奥様がいた。
若奥様は僕を発見するやいなや、明らかに嫌悪の表情になり、
会計をそそくさと済ませ、逃げるように走り去った。
ちぇっ、気分悪いなーと思いながら、地下の駐輪場に行くと
若奥様がいるじゃないか!
しかも僕のチャリンコの隣だ!
仕方ありません、近づいて行きました。
若奥様は怯えた表情になっている。
隣の自転車が僕のだとは、若奥様は知らないのだから、
ストーカーに追いかけられてると思っているのだろう。
今にも叫びだしそうだ。
僕が接近する前になんとかカギをあけ、
若奥様は全速力で恐怖の駐輪場から脱出していった。
僕としては、な〜んか「・・・・・・・」の出来事だった...。


7月24日(火よう日) 日直・橋本
(7月21日のつづき)
 そもそも、私が“占い師の目”を気にするようになったキッカケは、
多分、あの時からだ。
 高校2年の冬。学校帰り。買い物をしたかなにか、とにかく私は1人だった。
新宿のスクランブル交差点。
信号が青になったので、横断歩道を斜めに渡り始めた。
ちょうど真ん中あたりまで来た時、
ウォークマンから『ホテルカリフォルニア』のイントロが聞こえてきた。
一瞬、
私の目に映っている光景が、スローモーションで動いたように感じた。
私は立ち止まって、見た。
交差点を渡っていく無節操な雑踏が、
『ホテルカリフォルニア』が始まった瞬間から、
まるで、映画のワンシーンを見ているように現実味をなくした。
『ホテルカリフォルニア』の曲にのって人々が無言で行き交う中に、
私はどれくらいの間、立っていたんだろう。
ふっと我に返ったのは、
見知らぬおじさんが、私に何か言ってるのに気づいたからだった。
「えっ?!」
私は、慌ててイヤホンを取って聞き返した。
おじさんは私に言った。
「なんか悩み事あるの?」
私は怖くなり、逃げるように走って反対側に渡った。
振り向くと、向こう側に歩いていくおじさんの後姿が見えた。
グレーぽい色のコートを着た、色黒の、背の低い、浮浪者のようにも見えるおじさんだった。
 私は、一体、どんな顔をしてスクランブルのド真ん中に突っ立っていたんだろう。
あのおじさんは占い師でもなんでもなかっただろうが、
とにかく、
見知らぬ人に「悩み事あるの?」などといきなり言われたことは、
思春期の私にとってはショックだったようだ。
どうやら、その時から
“占い師の前を通る時は幸せいっぱい夢いっぱい”のイイお顔をする癖がついてしまったんだと思う。

“ウォークマンから流れてくる音楽と妙にマッチして、
目にしている景色なり光景なりが、映画のワンシーン化する”
ことは、今でも、たまにある。
高2の、あの時には解からなかったが、
これって“もうけもの”だと思う。
ささやかな感動を、何でもないときに、人知れず、自分だけ味わうことが出来るのだ。


7月23日(月よう日) 日直・鬼界
Yシャツをアイロンがけすることになった。
いつも行ってるクリーニング屋とケンカしたからだ。
相手の名誉があるので、詳しくは語れないが、
100%クリーニング屋が悪い!
・・・・・・と思う。
そりゃまあ、こっちだって言い過ぎた部分はあるけど、
80%は向こうが悪い。
ただ、冷静に考えると、僕が少しワガママだったかもしれないから、
お互い50%づつ悪かったと認めよう。
が、クリーニング屋にボールペンを投げつけた点を考慮すると、
あちらの責任は35%くらいかもしれない。
そもそも僕が・・・
とケンカの原因究明や反省をしたところで仕方ない。
生まれて初めてYシャツにアイロンをかけたのだ。
なんてむつかしいんだ。
かけるたびにシワが増えていく。
特に肩周辺とエリは、失敗した折り紙みたいになった。
しかも何度も何度もかけたから、生地が少し黄色くなってしまった。
落ち度のない相手とケンカしたから、バチが当たったのかな...。
アイロンの上手な人、募集中です。


7月22日(日よう日) 日直・鬼界
3連休である。夏休みにも入った。
人々は海へ山へ遊びに行っている。
こんな時の楽しみはニュースを見ることだ。
ジェノバサミットや参院選の話題をやり過ごすと、
待ってました!
「関越道で渋滞25キロ」
「ロープウェイが故障。17人が5時間閉じ込められる。中の気温は40度以上。」
こういうニュースを見ながら、
「バカだねえ、混んでるときに出かけるからだ。」とか
「せっかく観光に行ったのに、かわいそうだなあ〜♪」とか
せめてもの優越感を味わわせてもらい、ウサを晴らすのだ。
やっぱ性格悪いのかなあ...


7月21日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
 気チガイオジサンに対しては“薄幸の女”を装う私だが、
占い師の前を通り過ぎる時は、
“幸せいっぱい夢いっぱい”の顔をする癖がある。
某駅の駅ビルのレストランフロアにあるおトイレを、しばしば利用するのだが、
面倒なことに、そのおトイレの真向かいに『占いの館コーナー』がある。
2人の女性占い師が、各々、50cm四方のちっちゃい机を前にして、
いつもボ〜ッと座っている。
一応、お義理で、
座ったソノ大きさに合わせて、各々、薄い板で囲って‘1人用ミニブース’のようにしてある。
その板の側面に、「何でも占います」の張り紙。
エラクうら悲しい雰囲気・・・。
「あんたを占えよ」と言いたくなるよな貧相なオバチャン占い師。
パートかしら。
暇を持て余した2人が、ブースから出て
「あそこの家は、お嫁さんが悪いのよ。ちょっとは姑さんを立てなきゃぁ。」
と、ご近所さんの悪口を言ってたこともある。
そんな人よ?
そんな、一般人以上に一般人な占い師よ?
インチキよ、インチキ。
でも!そんなんでも!意識してしまうのです、私は。
“占い師の目”を。
おトイレに入っていく時は、後姿を見られるだけだからまだしも、
出てくる時は、もろ、占い師と正対することになるので、特に気を使う。
柔和・慈愛・達観・・・といったニュアンスが、お顔に出るように。
(なぜか、仏教的。)
そうね。ただ明るくハッピーな感じに、というよりも、どちらかというと
人格の良さ・精神の高潔さ・・・みたいな内面の高尚さをアピールする感じで。
なーんででしょうねぇ。
まかり間違っても
「あっらー。かわいそうに、運のない人相しちゃって。」
とかって、思われたくないせいかしら、やっぱり。
道を歩いてて、たまたま通り掛かった陰陽師に、突然、
「うぬっ?!貴殿には死相が出ておるっ!」
と叫ばれる平安時代の人も、
イヤだったろうなぁ。
げっそりした顔じゃ、おちおち道も歩けない。


7月20日(金よう日) 日直・橋本
 「目の前の席があいたので、ラッキー!」と座った、
昨日の鬼界さんではないが・・・
午後3時の武蔵野線。
“立ってる人は少ないが、座席はほぼうまっている”というような状態で、
電車がホームに入ってきた。
「座りてぇ、座りてぇ」と願いつつも、
半ば諦めて、目の前に停まった扉から車内にトボトボ乗り込んだ。
3人掛けシートの2人分の席があいていた。
「ラ、ラッキー!」
と思って座ったのが間違いだった。
こんな、全座席がうまっている飽和状態において、2つも空いているのを、
「怪しい。なにかあるんだ。」
と、まず疑うべきだったのだ。
その3人掛けシートの端に座っていたオジサンは、ヘンなオジサンだった。
ヒザの上に両ヒジを乗せ、頭を抱えるような格好に体を折り、
グラングラン横に揺れながら、ブツブツ独り言を言っている。
まーた、気チガイの横に座っちゃった。
だから空いてたのね。
飛んで火にいる夏の虫。
ヤダよー。
怖いよー。
こういう場合、
さっさと席を立ち、車両を替えるなりなんなりすればいいのだが、
昔から、私にはそれが出来ない。
「てめぇ、俺が何かすると思ってんだな?
ちくしょう!俺を気チガイ扱いしやがって!」
と、からまれそうで。
最初、頭を抱えながら、
「申し訳ない、申し訳ない」と何かに対して謝り続けていたオジサンは、
だんだん怒ってきた。
「冗談じゃねー、俺がいつまでもおとなしくしてると思ったら大間違いだ」
(何かのセリフみたいだが、マジでこう言った。)
ひょえ〜!!
すかさず、私は、ゴホゴホと咳をした。
そして、
つらそうに、悲しそうに、悩んでるふうに、暗〜く、溜息を何度もつく。
その合間に、胸を患っているような咳を続けながら・・・。
これは、気チガイオジサンの同情を引くための、私のいつもの“苦肉の策”だ。
「なんだ、病気か?かわいそうになぁ、まだ若いのに・・・。
俺より不幸せかもしれねぇな、この子は。
この子をいじめちゃ可哀想だ。もっと幸せそうなヤツにカラむとしよう。」
と、私を見逃してくれるという寸法だ。
ただ、
“暗く、悩みぬいてる”ふうが、度が過ぎると、
「おう、ねぇちゃん。あんたも世の中に不満があんだべ?」
と、同類視され、つけ込まれるので注意が必要だ。
そして、私は咳き込みながら、
この車両に“若い女の人”が沢山いるかどうか確認する。
オジサンが日本刀を振りかざして車両ジャックした場合に、
レイプされる順番をざっと計算する為だ。
こんな時、
私は、ひみつのアッコちゃんになりたいと本当に思う。
強面のプロレスラーみたいな大男に変身して、
「あんまり人様に迷惑かけんじゃね−よ、なぁ、オッサン。」
ポンポンって肩たたいて、ビビらせてやりたい。
                   (つづく)


7月19日(木よう日) 日直・鬼界
●夏の不快 《電車編》
目の前の席があいたので、ラッキー!と思って座ると、
シートが異常に熱くなっていること。

今まで座ってたオッサンはなんであんなに体温高いわけ?
発熱体と化してんのか!
ホカロンかお前は。
あとに座る人がどんなに気持ち悪いか、わかってねえだろ。
車内放送してほしいね、
「車内での携帯電話ならびに体温が高い方の着席はご遠慮ください。」


7月18日(水よう日) 日直・鬼界
(つづき)
新たにオープンしたラーメン屋のオーナーは
同じ場所で同業種が速攻で閉店したことは知らないのだろうか?
きっと脱サラしたオッサンでしょ。
不動産屋にまんまとだまされたんだ。
‘ラーメン屋の墓場’商店街に連れて行かれ、
「どうです。人通りも多いから飲食店には最適ですよ。
以前にここでラーメン屋をやってた方は、
商売が繁盛しすぎて手狭になり、移転されたんです。
福の神が住み着いてんだなあ。借りなきゃ損ですよ。ハッハッハ。」
などと言いくるめられたんだ。
不動産屋って、なんか怪しい人が多いもんね。
偏見?


7月17日(火よう日) 日直・鬼界
‘ラーメン屋の墓場’と呼ばれる道がある。
(呼んでいるのは僕一人だけだが)
片側には薬局、美容院、八百屋などが並び、
逆側は個室ビデオ、すし屋、飲み屋、妖しいクラブが続く、
中途半端な裏通りだ。
その通りに続けざまに2軒のラーメン屋が開店した。
開店当初は盛大にビラをまき、やる気マンマンだった。
しかし、なぜかどちらの店も全然、客が入らない。
笑顔だった店長も顔つきが日々変化し、
恨めしそうな顔で道行く人をジロジロ見詰め、
目が合おうもんなら、「さあ、どうぞどうぞ」と
無理やり引きずり込まれそうだ。
そうなったら悪循環、誰も近づこうとしなくなる。
そんな店が通りに2軒もあるのだ。コワイコワイ。
案の定、2軒の店は相次いで閉店した。
そして、1ヵ月後、
なんと、その同じ場所に新たに2軒のラーメン屋がオープンしたのだ。
今日も盛大にビラをまいている。
どんな運命が待ち受けているかも知らないで・・・・。


7月16日(月よう日) 日直・橋本
 しかも、ここ2ヶ月あまりず〜っと、右手の薬指の第一関節が痛い。
日常生活には、なんら支障はないのだが、
ちょっと気を許して買い物袋を指先1本で持とうもんなら、脳天かち割られる。
(すみません。暑さのせいでボキャブラリーを吟味する気力がありません。)
原因は、判っている。
5月公演の初日、
所長が座っていた椅子の背を、グーで思いっきり殴ったシーンで、痛くしたのだ。
皮下出血で、薬指と小指がまっかっか→むらさき→どどめ色。
腫れあがっている。
(殴ったシーンの後、舞台上で時たま自分の指を見ると、
面白いように指先の色がその度に変わっていた。)
 翌日。
午前中、整形外科医院へ行った。
指の診療の為ではない。
指の方は、
痛みは残っていたが、皮膚の色はほぼ正常に戻り、
腫れも、もう大したことないように見えた。
ただの打撲だったようだ。
自然治癒の範ちゅうだと思えた。
では、なぜ、整形外科へ行ったのか?
実は、腰を痛くしていた。
卓球のやりすぎで。
前傾姿勢のとりすぎが原因だ。
公演2週間前、あまりの腰の痛さに耐えかね医者に行った。
「ご自分で考えられる原因は?」
と医者に聞かれ、
「卓球のやりすぎかと。」
安静に!卓球は腰の痛みが取れるまでやめて下さい、と言われた。
卓球ラリーのシーンは重要なので、練習をやめるわけにはいかない。
山口さんと互角に試合をしなければいけないのだ、私の役は。
私は医者に言った。
「卓球の全国大会が近いので、 やめるわけにいかない」と。
医者は「そういう事情ならば仕方ない」と、
‘牽引(けんいん・腰を引っ張る治療法)’と‘湿布’と‘コルセット’と‘飲み薬’の治療を
開始することにした。
その3回目の診療日が、ちょうど指を痛くした次の日だったのだ。
本当は、その時に、指を診てもらえば良かったのだが、
またレントゲンやら何やらで時間をとられるのがいやで、黙っていた。
腰に関しては、もう来院の必要はない、と言ってもらえた。 
 一昨日、医者に行った。
今度は、ここ2ヶ月あまり痛みが残る指を診てもらいに。
「やはり卓球で?」と医者。
「いえ、椅子の背を思いっきり殴りました。グーで。バ−ンって。」
「・・・・・・。」
医者は原因については多くを聞かなかった。
レントゲンの結果。
薬指の第一関節を骨折。小指、打撲後遺症。
人間の骨なんて、もろいもんだ。すぐ、骨折だ。
「骨は、もうくっついてますので、別に治療せずに放っておいて大丈夫です。」
なんてスゴイんだ、人間の治癒力は。

で、
私は何を書きたかったの?
・・・・すみません。暑くて・・・。
突然ですが、
皆様、暑中お見舞い申し上げます。
お身体にお気をつけて!           


7月15日(日よう日) 日直・橋本
 ここんとこ、疲れがたまっている。
思うに、やはり『七夕作戦』のせいだ。きっと。
6日のY美との打ち合わせの日も、カラオケのリハーサルで3時ごろまで唄った。
翌7日、本番日。
用事があったため、午前8時に起床。
出先から、そのままY美との待ち合わせ場所に直行。
極度の緊張を伴う“太郎さまとの面談”及び“カラオケ大会”。
午前3時過ぎに帰宅。
それから、Y美と
“反省会”及び“今後の身の振り方のお話し合い”を兼ねた打ち上げパーティ。
午前5時ごろから、鬼橋日誌の原稿書き。
いろんなことが「生々しく」「鮮烈」なうちに、書き留めておかねばならない。
怒涛のように押し寄せる睡魔と闘いながら、パソコンに向かう。
そんな私を見て、
「なんか、きよみ、いろいろ大変そうねー。
『七夕作戦』って、何かの実験だったの?」
と、Y美は、ふかふかのベッドに横たわり、極楽の面持ちで私を見上げた。
思い起こせば、オーディションの期間中から、大忙しだった。
毎夜毎夜の電話連絡に加え、
「なぜ私には電話がかかってこないのか?」
「なぜ私は不合格なのか?」
などの苦情への対応。
「太郎さまは、誰、誰、誰?」
の問い合わせ、
「セリフはこうした方が良かった、あれはこうするべきだった」
というような“ダメ出し”へのお返事。
仕事なぞ入った日には、ホント、寝る時間がウンと減る。
しかも、連日の、このクソ暑さ。
いけない、いけない。
ここらでちゃんと睡眠不足を解消しておかなければ。
ところで、
子供の頃から日記というものをつけたことがなかった私。
『絵日記を毎日つけよう!』も含め、
夏休みの宿題は全部、8月31日の夏休み最終日にやる・・・
というのが、小・中・高を通して私の恒例だった。
小学校1年の時から、8月31日の夜は徹夜していた。
(中・高になると、宿題提出は科目別なので、
2学期が始まってからも、時間割にあわせ連日徹夜して、何とかこなした。)
8月31日は地獄だった。
ここ2週間あまりの私は、偉かった。
ちゃんちゃんと、計画を立て、実行し、日誌を書き・・・。
こんなふうに、チャンと夏休みの宿題をやれば、
夏の終わりに地獄を見ないで済んだんだなぁ。
7月中に宿題を終えて、あとは思う存分遊んでいた人たちのように、
あの憧れの夢のような夏休みを、私も送れたんだなぁ。
あー、“夏休み”をやり直したい。
今なら、自信ある!!


7月14日(土よう日) 日直・鬼界
暑いなか、散策をして発見したこと。
・今、最もやりたくない仕事
道路工事の誘導員。
ビシッと制服を着込み、頭にはヘルメットだ。
車も通らない住宅街の細い道でヘルメットは必要なのだろうか?
しかも炎天下。通気性が悪いから、頭はムレムレのはず。
真っ赤な顔をして、制服の色が変わるくらい汗をかいている。
こういう人が熱中症になるんだろうな・・・。
・今、最も売りたくないもの。
スーパーの店頭で‘焼きたてシュウマイ’
ジュージューといい音がして、おいしそうなにおいが漂ってくる。
が、見るからにアツアツで、この暑いのにあんな熱いもの食いたくもない!
思いはみんな同じらしく、シュウマイ屋の屋台をさけるようにして
スーパーへ入っていく。
「焼きたてシュウマイ!おいしいですよっ!!」
買う人は誰もいないのに、炎天下、大声で客引きをしている。
こういう人が熱中症になるんだろうな・・・。

このクソ暑いのに、なんで僕は散策なんかしたのでしょう?
アイスを買うつもりで家を出たんだけど、
ついフラフラ、街なかのヘンなものを見て回っちゃうんだよな。
こういうバカが熱中症になって、救急車で運ばれるんだ、きっと。


7月13日(金よう日) 日直・やっと鬼界
一読者として、『七夕大作戦2001』を読んでまいりましたが、
山田太郎さまって、どんな人物なのだろう?
「いいですよ」と物静かに言ってキマるのは、
田村正和ぐらいじゃないだろうか。
もしや、太郎さまは、そんなお歳の方なの?
あるいは、一般国民とはかけ離れた、お公家さまなのだろうか?
洗顔から着替え、食事に至るまで、
全てのことを召使がやってくれるような、そういう名門の家柄。
夜は夜で、
「お坊ちゃま、ふつつかながら今夜は私がお供でございます。」と
毎夜毎夜違う美女の腰元が奥義の限りを尽くす。
そういう生活を送ってるなら、
「いいですよ」と平然と言ってのけられるかもしれない。
どっちにしろ、太郎さまは浮き世離れした方にちがいない。


7月12日(木よう日) 日直・橋本
 七夕から3日後。7月10日の夜11時。
迷いに迷って、私は、太郎さまに電話をしようと決めた。
あの「なんちゃって」のせいで、まーたドキドキする羽目になってしまった。
 A子作戦と洋子作戦をカップリングさせた、
あの壮大かつ綿密な計画のもとに決行した七夕作戦は、一体なんだったのだろう。
なんかの役に立ったのか?
なんの結果も得られなかったではないか。
「なんちゃって」の一言のせいで。
「なんちゃって」のバカヤロー。だ。
白紙だ、白紙。
・・・いや、待てよ。考えてみ?
「なんちゃって」を取り消せばよいのだ。
そうだ、今ならまだ間に合う。
「実は“なんちゃって”はウソです。
“なんちゃって”抜きが真実です。」
と、改めて告白すればよいのだ。
そうなると、返って、太郎さまは全てを了解しやすくなるのではないか。
 『僕とWが飲んでいると知ってて、その飲み屋に友達と来た
           ↓
 一緒に飲みたいと言ってきた
           ↓
 僕の隣で、挙動不審だった
           ↓
 カラオケに行きましょうと言ってきた
           ↓
 片想いの彼に捧げるらしい歌を熱唱していた
 途中、なんだか知らないけど僕を一瞬ジッと見た
           ↓
 お友達が狂ったように拍手していた』
これら私とY美の不審な行動に対して、
「なるほど。そうだったのか。僕のこと好きだからだったのか」
と、太郎さまの中で合点がいく。
より強く“想い”が伝わる可能性大だ。
Y美も言っていた。
「太郎ちゃんが“普通の顔”してたのは、
きよみのセリフに興味を示さなかったんじゃなくて、
“今、聞いてもらった”の意味が解からなかったんじゃなーい?」
Y美じゃないんだから、
意味わかんね−ってことはないと思うが、
確かに、
「今、聞いてもらった。・・・なんちゃって」は、あまりに中途半端だ。
周りの人も、どうリアクションして良いやら・・・だ。
太郎さまのように物静かな人においては、なおさらだ。
「“なんちゃって”はウソです」
と、伝えるだけは伝えよう。今度こそ。
 景気付けにバーボンのソーダ割を3杯飲んで、思い切って電話した。
「なんちゃっては、ウソです。
あの歌は、太郎さまに聞いて欲しかったんです。
好きです。」
とは、やっぱり、なかなか言えないものですね。
特に「好きです」という言葉は、死ぬまで言えないような気がする。
そう、
だからこそ、A子作戦&洋子作戦を計画した私だったのだ・・・。
「会話が途切れる前に、トットと切らなきゃ」という思いで、
七夕の日のこと、国会のこと、コトワザのことなどを10分くらい話し、
最後に、私は聞いた。
「また、電話してもいいですか」
太郎さまは、物静かに言った。
「いいですよ」

だからといって、ただ“知り合い”になれただけだから、用もないのに電話などは出来ない。
と、やっぱり思ってしまう。
ホント、根性ねーな、私。
あとは、
何か、ほんの些細なことでもいいから、“太郎さまに連絡でき得る”用事などができた暁には、
食らいついて、その都度、親交を深めていくか。
もしくは、例によって、
飲んで気が大きくなって、勢いで「電話しちゃった」となって大失敗しちゃうか。
とりあえず。
ちょっと頭冷やします。
きよみちゃんの初めての告白『七夕大作戦2001』は、こうして幕を閉じたのでした。
なんか、疲れちゃった・・・。


7月11日(水よう日) 日直・橋本
『作戦』 その4
 7月6日(金)の夜、Y美と打ち合わせをした時。
「過去に、これこれこういう告白大作戦を決行した私の友人がいて、
だから私も、これこれこういうことをY美にしてほしい」
と説明した。
「なぁーんだ、そういうことだったのかー。
いいよ、いいよ、やりましょ」
「Y美の一言が、かなり重要だよ」
「そっか。わかった。
でも、“白血病で、あと半年の命”とか言っちゃって、すぐにバレない?」
・・・・・。
やっぱりね。
言うかな、とは思ってたんだけどね。
“白血病で、あと半年の命”は、「次回公演のナレーション」って説明したでしょ?
(この「次回公演のナレーション」というのも、オーディション用に私がでっち上げた作り話だけど。)
Y美、よーく聞いてくださいね。
「私が、陽水の『新しいラプソディ』を、カラオケ大会の最後に唄います。
何度か繰り返される‘I love you’のところで、
どこか1度だけ、ほんのちょっと、太郎さまを私は見詰めます。
伏線、伏線。
私の熱唱が終わり、伴奏も完全に終わったら、そこでY美のセリフです。
 “七夕にピッタリの歌だね・・・。
  ふぅ〜ん・・・、いい歌。
  片想いの彼に聞かせたい歌だね。”
そして、私が言う。
 “・・・うん。今、聞いてもらった。”
と、こういう段取りです。
私も、心を込めて唄いますので、Y美も心を込めて言って下さい。
決して声を張ってはいけません。
あなたの、そのハスキーボイスは、
とつとつとしゃべった時、なんだか妙に心に響くのですから・・・。」
 そして、本番を迎える。
しかし・・・。
ホントに、こんなセリフ言えるのか?
どう考えても言えないような気がする。
この‘告白台詞’のあとの、太郎さまの反応で、全てが決まる。
ちょっとでも「この先うまくいくかも?(いわゆる、脈あり)」だったら、次のステップへ。
そう、Y美による『プチ洋子作戦』の腹案も、実は用意してあるのだ。
「だめだ、こりゃ!(いわゆる、脈なし)」だったら、あきらめよう。
七夕の流れ星にのせて、‘想い’を宇宙の果てに飛ばしてしまおう。
撒いてしまおう。
そして、忘れてしまうのだ。
 太郎さまとW君のレパートリーを明かすことは、残念ながらできません。
(1曲だけ・・・太郎さまは、RCの『スローバラード』を唄いました。)
Y美に『タクシー』を唄わせたのは、失敗だった。
超うまい。
しかも、例のハスキーボイスで、圧巻。
まぁ、仕事柄、うまいのは当然だが・・・。
エラク差がつきそうだ。
失敗したなー。
いよいよ、そろそろ最後の曲にしましょう、ということになった。
「最後の1曲、私、唄ってもいい?」 
 Y美に比べたらヘタッピだが、とりあえず、失敗なく唄い終えることが出来た。
太郎さま、W君、Y美が拍手してくれた。
拍手し終わってY美がセリフを言った。
太郎さまとW君が聞いている。
私も言う。
「・・・うん。今、聞いてもらった。・・・なんちゃって。」
失敗でした。
「うん。今、聞いてもらった。」の後に、もう一言、何か用意しておくべきでした。
‘短すぎる’というか、‘すわりが悪い’というか、
とにかく、その後にもう一言、何か言いたくなる感じだったんです、実際に言ってみると・・・。
太郎さまは、普通だった。
普通の顔をしていた。
太郎さまは・・・。 
 
 私のところに泊まることにしたY美と、タクシーを降りてからコンビニで買ったビールを飲みながら、
夜空を見上げて歩いた。
曇り空で、星は見えない。
「なんか、星の歌、唄ってよ。天の川は見えないけどさ」
とY美が言ったので、
中学の時の部活の帰り、チャリンコに乗って星を見ながらR子が教えてくれた歌を唄った。
  星がきれいね とっても 
  近く見えるわ 赤い星 青い星
  私 中学校の時 バレーボール部にいたのよ
  恋人いたわよ
  とっても背が高くて 真っ黒に日焼けして
  シュークリームが大好きだったキャプテン
  私 生徒手帳にいつも彼の写真入れてた
  でも死んじゃったの その人
  どうして? ううん お母さん教えてくれなかった
  こんなきれいな星空だったわ
  その人 思いっきりジャンプして
  そう お星様に手が届いちゃったのよ
「えっ?死んじゃったの?かわいそう・・・」
Y美、涙ぐんでやがる。
いろいろありがとう、Y美。
      (つづく)   


7月10日(火よう日) 日直・橋本
『作戦』 その3
 「僕の話に、一生懸命に耳を傾け、時には笑い、時には真剣に、
時には僕の目をまっすぐに見て相槌を打ってくれた・・・。
そんな彼女を僕はいっぺんで好きになりました。」 
“こんな女性が男に好かれる”みたいな特集を、何かで聞くか読むかした時、
こんなふうに答えてた人がいたなぁ、そういえば・・・。
ということで、
私は、太郎さまやW君の話すことには、一生懸命に耳を傾けました。
傾ける努力をしました。
私の隣の席に座っている太郎さまが話す時は、だから、おおいに悩みました。
だって、まず、
至近・真横にいる太郎さまの方をずっと向いてると、首が痛くなる。
さらに。
どこか1点を見詰める癖がある私。
横顔だと、耳の穴かまつ毛か唇か。
じーっと見詰めてると、気がつかないうちに、寄り目がちになってくる。
そんな時、たまたま太郎さまが私の方を向いて、間近でバッと目が合ったりしたら、
「ヘンな目」の「ヘンな顔」を見られてしまう。
多分、ちょっと、口も開いちゃってるかもしれないので、「アホ顔」を。
軽く微笑んだ「いいお顔」を、ずーっとキープできる人に、私はなりたい。
だからといって、
太郎さまの前方斜め下あたりを見詰めるのも・・・。
ちょうど、“旬の野菜の天ぷら盛り合わせ”の残りを、じーっと見詰める羽目になる。
「まるで、ミョウガの天ぷらを、いつ食おう、いつ食おうと狙ってる女」に思われかねない。
じゃ、やっぱり、もっと太郎さま寄りを・・・と、そのまま慌てて視線をスライドさせたら、
よけい最悪だ。
ちょうど、太郎さまの股間を見詰めることとなってしまう。
しかも、寄り目・お口半開きで。
斜め向かいに座っているW君を見詰めるわけにもいかない。
誤解されたら大変だ。
虚空を見詰める。
よけいアホだ。正真正銘のアホだ。
Y美を見詰める。
「ちょっとー。なーんで私を見詰めんのよー。」と、からかわれる。
そんで、また、
太郎さまの横顔→ミョウガの天ぷら→股間→W君→虚空→Y美→太郎さまの横顔→・・・。
こんなんで、お話に集中できるわけがないです。
大失敗。
Y美が今座ってる席にすれば良かった。
ちくしょー。
Y美も気がきかね−なー。
こういう時にこそ、計画を変更して、
「席、替わろうか?」とかなんとか言ってくれてもいいのに・・・。
いや、ダメだ。
太郎さまの隣よりもW君の隣が良いんだ・・・と思われたら大変だ。
アー情けない。アー不甲斐ない。アー集中できない。
Y美は、さすがに場慣れしている。
どうよ、あの視線の定まりよう。
どうよ、あの落ち着きよう。
だてに遊んじゃないね。
Y美にして良かった。
 11時半頃になり、Y美が切り出した。
「もし、このあとお時間あるんでしたら、カラオケに行きませんか?」
きた、きた、きたーーー!
言っちゃったよ、言っちゃったよ、言っちゃったよーーー!
「いいですよ、行きましょう」
ゲロゲロ!
マ、マジで行くんですかっ?!
飲み屋さんを出る直前、おトイレでY美と段取りを最終チェック。
この、
カラオケに行くまでの道のりは、キンチョーのルツボ。ドツボ。
頭の中で、陽水のラプソディ、流れっぱなし。
       (つづく)


7月9日(月よう日) 日直・橋本
『作戦』 その2
 Y美は、ガンガン注文しガツガツ食っている。
夜ゴハンがまだだったから仕方無いが、それにしても、よく食うなぁ・・・。
私は、あまり食欲が無い。
お酒のグラスばかりに手が伸びる。
いけない、いけない。
控えなければ。
私もY美も、酔うと、‘本性丸出し’というか、‘タガが外れた’ようになっちゃて、
マトモに神経が働かなくなる。
多分、飲むペースも速いんだと思う。
徐々に酔っていく、というよりも、
或るラインを超えた途端、カーンと“一気に酔いの頂点にイッちゃう”ような、
周囲も自分自身も、追いついていけない、生き急いだような酔い方だ。
「ほろ酔いの女の人は、そこはかとない色気で、たまらなくかわいらしくなる」
なんつー言葉は、まるっきり無関係。だな。
その‘ほろ酔い’と言われる過程は、おそらく経験したことない。な。
シラフか、タガが外れちゃったか。だな。いつも。
だが、しかし、今日は、
その‘ほろ酔い加減’なるものを、出来るだけキープしなければダメなのだ。
出来る限りチビチビと飲もう。
そこはかとない色気。
たまらないかわいらしさ。
果たして、そんなふうにホントになれるのか見当もつかない。
まさにミッションインポッシブル。
いや、私だって女なんだから、
‘ほろ酔い’になりさえすれば、そうなれるはずだ、理屈では・・・。
なれなかった場合は、演技しよう。演技!
そうだ、そうだ。演技、演技!
 1時間半ほど経過。
Y美が、おトイレへと立つ。
なかなか帰って来ない。
ウンコかな?
こんな時に?
なんて、のんき者なんだ。
Y美が戻って来た。
「おトイレの前で、W君とバッタリ会って、自己紹介してきた」
ちょっとー。
ちゃんと賢そうにしたでしょうね?ね?
もう。こまるなー。
「ついでに、‘良かったら一緒に飲みませんか?’って言っといた」
ちょっとーーーー!
お便所の前でナンテ図々しい女だ。なんだコイツは。
と思われちゃったんじゃない?!
Y美のバカ!
打ち合わせ通りにやって下さいよ!
「‘いいですねー、そうしましょう’だって。」
えっ?!
・・・う、う、うわーい!
ばんざーい!
そ、そうですか?ほいじゃ、お言葉に甘えて。 
いざ行かん。
合流。
W君の隣、Y美。
太郎さまの隣、私。
ここでの4人の会話は、残念ながら詳細には書けません。
万が一、この日誌をW君の知り合いが読んでいたら、
太郎さまが誰だかバレてしまう恐れがありますので・・・。
 そして、私は痛感することとなった。
‘合コン’みたいなものを、せめて1回でも経験してからチャレンジすればよかったと・・・。           
           (つづく)


7月8日(日よう日) 日直・橋本
『七夕作戦』 その1
 7月7日七夕。午後8時。
某飲み屋さん前の路上を、私とY美は行きつ戻りつしていた。
私の指令どおり、
Y美は、どっちかっていうとオトナシメの服装をして来た。
「どう?どう?なんか私っぽくなくなーい?」
Y美っぽくなくある。
それでいいの。
いつものY美のアナーキーぶりではダメなの、今日だけは。
それに、
「私っぽい」もなにも、太郎さまもW君もアナタとは初対面なんだから。
アナタのこと知らないんだから。
きよみちゃんさえ目立てばいいんだから。
「のど、渇いちゃったなー。入りたいなー」
と、地獄の底から聞こえるようなカスレた声でささやきかけながら、
店の前を行ったり来たりしている私の後に、Y美はピッタリくっついて来る。
なんだ、そのカスレた声は。
暗闇で聞くと怖い。
頼むから、黙ってて。
イチイチついて来ないで、あっちで待ってて。
 行きつ戻りつしながら
「なんで、こんなことをすることになっちゃったんだろ」
と、私は心底思いました。
日誌に「告白大作戦2001」を連載していなかったら、
おそらく私は、お店の前まで来るには来たが、このまま入店せずに帰っただろう。
そう思いました。
後悔にも似た気持ち・・・。
思えば、A子はエラかったな。
洋子だってエラかったな。
帰りてーよー・・・。
「のど、渇いたなー。とりあえず入るだけは入ってもいいと思うんだけどなー」
Y美がささやく。
そうだ。
ここまで来たんだから、後には引けない。
「作戦は遂行しませんでした」と日誌に書くわけにはいかないのです。
インポッシブルなミッションでも、進むしかないのです。
根性!勇気!精神力!
「Y美、行こう!」
「OK!」
お店の前に到着してから20分後、
太郎さまとW君がすでに飲んでいるであろうそのお店の中へ、
とうとう、私とY美は入ったのでした。
 「W君、こんばんは。あっ!太郎さまも!こんばんは。」
ダメだ、ダメだ。
“感嘆語”を用意して言うと、人間、なぜこうも不自然なのか。
「あっ!」が、まるでダメ。ヘタクソっ!
がっくり・・・。
そそくさと挨拶を済ませ、太郎さま達からは死角になってるテーブルへと逃げるように向かった。
「きよみちゃん、きよみちゃん、待って、待って−」
と、Y美が大声でついてくる。
げっ。
Y美のことを紹介し忘れた!
マズイ。
あとで合流する計画なのに!
Y美は、「きよみ」に「ちゃん」を付けた、
いまだかつてY美が呼んだことも無い「きよみちゃん」などという呼び方で、
あたかも紹介してもらえなかった当てつけのように、大声で自己主張している。
        (つづく)


7月7日(土よう日) 日直・鬼界
七夕だ。
数年前、香港で七夕を迎えたことがある。
昼間のカンカン照りも和らいだ夕暮れ、
ブラブラ歩いてると、小汚い屋台が両側にズラッと並ぶ、
いかがわしい通りに出た。
一軒の屋台にだけ行列が出来ているので、のぞいてみると、
菅井きんに似たオババが大声で揚げ饅頭を作っている。
前歯は全部、金歯。ピッカピカ!
そして、なんと頭の上には猿がいる。ウッキキー!
と僕が一生懸命、書いても、
皆さんどーせ橋本の恋愛七夕バカ作戦が楽しみなんでしょ。
どーせ僕はツナギさ。
由美かおるの入浴シーンの前の、うっかり八兵衛さ。
ちぇっ。やーめた。


7月6日(金よう日) 日直・橋本
 “Y美に決めたワケ”。
ったって、たいしたワケじゃないんですけどね・・・。 
 オーディションを開始して5日目の、6月30日(土)の午前9時、Y美に電話した。
「おはよー、Y美ちゃん。
土曜日の午前中だったら確実にいると思ってさっ。」
金曜日の夜は、どうせ朝まで遊んでるであろうY美にも、
とりあえず、例の“依頼内容”を金曜日の夜にファックスしておいた。
「きよみ?あー、ファックス読んだよ。」
案の定、Y美は朝帰って来て、寝ていたところを、
私の電話でたたき起こされた様子。
「ウフフ・・・」
鼻息なのか溜息なのか、どっちつかずだが、なにしろ妙に色っぽく、
Y美は「ンフ、ンフ」笑ってるばかり。
これ、Y美の寝起きの癖。
まだ昨夜のお酒が抜けてないせいもあるのか、今日は一段と色っぽい。
起きぬけのY美の声は、女の私が聞いてもセクシーだ。
こんな声でモーニングコールされたら、ホント、たまらん。
また夜に逆戻りしたくなる。
普段からハスキーなY美の声は、寝起だとさらに磨きがかかる。
素晴らしいハスキーボイス。
ブルース唄わせたい。
「Y美、ちょっと、セリフ言ってみて。」 
「・・・きよみは、実は白血病で、あと半年の命なの・・・。
 ・・・でも、そのことをあの子は知らない・・・。」
いい。
すごく、いい。
カスレ具合が、なんとも言えず、いい。
たまんねー。
おき抜けのハスキーボイスで言うと、超リアル。
Y美に決定!
と、こういうワケ。
今日は、夜10時にY美と会って、打ち合わせです。
ガンガンお酒飲ませて、ガンガンたばこ吸わせて、ガンガン唄わせて、
Y美の声をかれさせなければいけません。
「寝起きの声とおんなじだ!ハスキーボイスat オールタイム」にしなければ。


7月5日(木よう日) 日直・鬼界
電車の中で外人サラリーマンが会話していた。
どうやら無事、契約がまとまり喜んでいるらしいのだが、
ドイツ語と英語で会話しているのだ。
不思議な光景だ。
英語は聞き取れるが、しゃべれないドイツ人と
ドイツ語は聞き取れるが、しゃべれないアメリカ人なのだろうか。
すると、横でヘラヘラ笑ってた、シケた日本人オヤジサラリーマンが
発言した。
「あの時は参りましたよ。席についてから、ペーターさんが
『アルコールはダメです』って言うもんだから、
オレンジジュースで乾杯したんです。銀座の料亭なのに。」
3人、大爆笑。
どういうことなのだろう?
語学堪能なのに、母国語しかしゃべらない人たちなのだろうか?


7月4日(水よう日) 日直・橋本 
(号外)いや、やっぱり(つづき)かな・・・ 
 情報を入手!
知り合いのW君は、山田太郎さま(仮名)の友人でもあります。
昨日、そのW君と話してたら、たまたま、何かの話の流れで、
「俺、今週の土曜日、山田太郎と飲もうってことになってんだ」
と言ったのです。
太郎さまとW君が、サシで飲む!?
チャンス。絶好のチャンス。
のような気がするっ。
この機会をうまく利用しなさい。
と神様が言ってるような気がするっ。
今週の土曜日といえば“七夕”だ。
ステキ。
うってつけの夜だ。
偶然を装って、飲み屋でバッタリ会って、
「あれー、W君?!あっ、太郎さんも!奇遇ですねぇ」
最初から「一緒に飲みましょう」は、あまりに図々しい。
頃合を見計らって、太郎さま達のテーブルへ合流し、
いや!ダメだダメだ。
どこで飲むのか、をW君に聞いちゃったから「奇遇ですね」というわけにはいかない。
「あっ、W君。私も友達と飲むのココにしちゃった。」
と、“半分バッタリ”ってことにしよう。
頃合を見計らい、「良かったら一緒に飲みましょう」と合流する。
そして、4人で大いに盛り上がる。
そう。
“盛り上がる”、これが肝心だ。
飲み足りなくて、もう1軒行くくらいが理想的だ。
なにしろ、最後は、
「楽しいねー。カラオケにも行っちゃいますかー?」
と、こうならなければいけないのだ。
いざ、太郎さまとW君と私とY美は、4人でカラオケへと繰り出すのだ。
Y美。
そうなのです。
オーディションの合格者、Y美。
その報告を、(つづき)として書くはずだったのですが・・・。
昨日、“情報”を入手しちゃったもんで・・・。
こんな、急に、突然、作戦遂行の“機会”がやってくるなんて。
七夕、七夕。
焦る、焦る。
カラオケで唄う「太郎に捧げる歌」は、決めました。
敬愛する、
井上陽水の『新しいラプソディ』に決めました。
  夢を 果てしのない夢を
  夜に 眩しいほど夢を
  ちりばめてジュエリー  星屑のファンタジー  新しいラプソディ  To  me
  I love you 願いを込めて
  I love you 夜空の星に
  I love you あなたの胸に届くように
七夕にぴったんこ。
陽水の歌は難しいから、練習しなくっちゃ!
唄い終わった瞬間にグッドタイミングで言わせるY美の‘セリフ練習’もしなくっちゃ!
時間作ってY美とリハーサルしなくっちゃダメだ!
ピンチだ、ピンチ!
時間がない!
イントロと間奏のあとの出だし、間違えないようにしなくっちゃ!
キーもちゃんと確認して!
上手に唄わなくっちゃ!
昨日から何度も何度も聞いてる。
なんか緊張するなー。
怖いなー。


7月3日(火よう日) 日直・鬼界
ちょといいスーツを買いに行きました。
「お似合いですよ」と誉められました。
ズボンの裾を直しました。
うちに帰って開けてみました。
裾を切ったハギレがご丁寧に入れてあんじゃねえかよ。
それも50センチ近くあんだよ。
前々から思ってたんだよ。
誰がこんなもん必要としてんだ?
そうだよ、どうせ俺は短足だよ。ケンカ売ってんのか?
「お似合いですよ」とか言いながら
「あの方の足の長さに合わせたら切る方が多いじゃないの、オホホ」と
店員同士で笑ってんじゃねえか?
そうだよ、どうせ俺は被害妄想だよ。
今時、スーツが破れたからって、友布で修理するヤツなんてどこにいる?
ハンカチーフとして胸ポケットに入れろとでも言うのかい?
店員の意見を聞かしてもらおうじゃねえか。


7月2日(月よう日) 日直・鬼界
橋本の延々と続く、恋の物語。
ずっと僕は静観してきました。
「そっとしといてやろう」という親切心でした。
が、ガマンの限界。ちょっと言わせてもらいます。
昨日の鬼界事務所定例ミーティングでのこと。
いつもはめんどくさそうにイヤイヤやって来る橋本が
鼻歌まじりに登場。しかも、アイスを買ってきた!
橋本が何かを買ってくるなんて鬼界事務所始まって以来だ。
何か裏があるに違いない。
案の定、アイスを食いながら、だれかれかまわず
「今の彼女と付き合うようになったキッカケは?」とか
「彼氏に『好きだ』って、自分で告白した?」とか
ぶしつけなことを聞きまくっている。
アイスを買ってやったんだから、私の質問に答えて当然!
そんな根性が見え見えだ。
そして、お手伝いをしてくれているT子ちゃんのところに橋本がやってきた。
T子ちゃんは5年間付き合ってた彼氏と別れたばかりなのだ。
彼氏の浮気が原因で。
バカ橋本のバカ質問なんか、さらっとかわせばいいのに、
人のいいT子ちゃんは「今、彼氏はいないから・・・」と言ってしまったのだ。
その途端、橋本はキラッと目を輝かせ、根堀葉堀の質問攻めが始まった。
子羊を襲うハイエナというか、悪代官の拷問のようだ。
そして、ついにT子ちゃんは泣きながら帰っていった。
おい、橋本。それはないんじゃないか。
だいたい、お前は、うまく付き合い始める方法を知りたいんだろ。
人の別れ話を熱心に聞く必要はないだろうが。
傷口に塩をなすりつけた上に、そこをコーラで洗うようなことしやがって。
T子ちゃんが2度と来なくなったら、お前のせいだからな。


7月1日(日よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
 出た。
●R子の場合
 大概の子には、私が、
 依頼内容をファックスあるいはメールしてから電話をかけるまで、ある程度の時間をおいた。
 “状況設定・セリフの言い方”を思案する時間を与えるためだ。
 しかし、
 R子には依頼内容をファックスして、すぐ電話をかけた。
 3バカの一人であるコイツには、はなから期待などしていない。
 多分、ファックスした「説明文」も、うっすらとしか意味がわからないだろうし。
 だからといって、オーディションをしなかったらしなかったで、
 「どうしてよぉー?」
 と、へそを曲げるにちがいない。
 バカ話をちょっとして、さっさと電話切ろっと。
 R子は、すぐ電話に出た。
 そして、妙に低い声で言った。
 「1時間ちょうだい。こっちからかけなおす。」
 あら?彼氏でも来てるのかしら。
 ぴったし1時間後、R子から電話。
 「悩んじゃったよー。とりあえず、じゃ、読みますので。・・・エヘヘ、恥ずかしいなー。」
 まぁね、電話でセリフ言うのは恥ずかしいよね。
 しかも「きよみは白血病なの」だもんね。
 でも、あなたには期待してないから気楽にやっていいよ。
 『読みまーす。
 ・・・・ここは、ニューヨークの街角。
 想い出の街。
 何もかも3年前と同じだ。
 ここから見えるあのホテルも、あのレストランも、あのカバン屋も。
 人の多さも、車の多さも、おんなじだ。
 ただ1つだけ違うのは、私はひとりぽっちだということ・・・。』
 R子、なんか紙に書いたものを朗読している様子。
 やっぱりだ・・・。
 やっぱり、意味が解かってないんだ・・・。
 『しかし、そんなニューヨークの活気も、私の閉ざされた心を癒してはくれない。
 いや、ニューヨークだけではない。
 ロンドンもベルギーもイタリアもパリも!』
 一体、‘きよみちゃん’はいつ登場するのだろう。
 ‘白血病’に、どうつながるというのか。
 しかも、なんで、国名なら国名、都市名なら都市名で統一しないのか?
 『5年前の夏の日。
 私の親友であるきよみは、板橋の病院で、短い一生を終えた。
 私は、』
 だから、まだ半年、命があるんだってば。
 ・・・チョット、待って。
 3年前、あなたと一緒にニューヨークを旅したのは“在りし日のきよみちゃん”じゃないの?!
 関係ね−の?!
 途方もない遠回り。
 あげく、例の「白血病なの」のセリフ言うのは板橋区の病院かよ。
 世界を回らないと言えないのかよ。
 ばからしい。
 小学生並みだ。
 そういえば、8歳の頃もR子はアホだった。
 「大人になったら、何になりたい?」の問いに、
 「アルプスの少女ハイジになりたい」と言っていた。
 『私は、あの夏の日を忘れない。
 そもそも、きよみの発病は、お父さんの仕事場である研究所の放射線のX線が、』

「感性・人間性・価値観・人生観をもさらけだす本格的オーディション」は、
こうして、ほぼ終了してしまったのでした・・・。
              (つづく)


6月30日(土よう日) 日直・橋本
(26日のつづき)
 26日の夜からオーディション開始。
あらかじめ、ファックスあるいはメールで依頼内容を知らせる。
『「きよみは、実は白血病で、あと半年の命なの。
 でも、そのことをあの子はまだ知らない。」
 このセリフを、どう言おうが、あなたの自由です。
 ただ、
 言う相手・場所・状況をあなたなりにキチッと想定して下さい。
 そして、
 聞いている私に、ある程度それらがわかるようにセリフを言って下さい。』
この4日間、マブダチリストに従って、電話を次々とかけていった。
結果。
私にはロクなマブダチがいない、ということを改めて知らされた。
まず、“お断りする”奴がいないのは、どういうわけか・・・。
みんな、大喜び。
やる気まんまん。
若干名、ご紹介します。
全員のことを書くと、私も、皆様も、ウンザリなさると思いますので。
●ブー子の場合
 私が電話をかけた時、
 彼女は、ビリーホリデーの曲を聞きながらバーボンを飲んでいた。
 そして、なんの前触れもなく、おもむろに
 「きよみは・・・・。はぁ・・・(ため息)。(カラカラとグラスを揺する音)。
 きよみは・・・。(鼻息が急に早くなる)。
 きよみは実は白血病であと半年の命なのっ!!(と、突然、怒リだす)
 でもっ!!(大怒声)
 (大きい鼻息1つして)そのことをあの子はまだ知らないぃぃぃぃ!(と、泣き崩れた模様)」
 気チガイだ。
 分裂症患者だ。
 こういう奴が犯罪者になるのか?
 電話でも怖いんだから、見てたら、もっと怖・・・いや、正視に堪えないな。
 どうやら、
 「最近ふさぎ込んでるブー子に、心配しつつもチョット不満げな、ブー子の彼氏。
 2人、ジャズ・バーで飲んでいるのだが、例によって今日もブー子は沈みがち。
 俺に言えない訳でもあるのか!?と、強く彼に問い詰められて、
 とうとう、親友であるきよみの重大な事実を、吐露してしまった・・・・。」
 と、こういうことだそうだ。
 そうだったんですか。
 まったく、わかりませんでした。
 シラフじゃ、こっぱずかしくて出来ないから、酒の勢いを借りて、やけくそでやった・・・
 しかもBGMでごまかしごまかし・・・
 としか思えませんでした。 
●フー子の場合
 「きよみは、実は白血病で、あと半年の命なの?
 でも、そのことをあの子はまだ知らない?」
 って、何で疑問形なのさ!
 誰に尋ねてんのさ、あんたは!
 と、ホント腹が立つね。
 文頭では「これは質問なのです」などということは、おくびにも出さず、
 語尾にきてイキナリ気が変わったように疑問形にする奴って!!
 安易にも、語尾を上げりゃ疑問形になると思いやがって。
 「どう?どう?]
 「わかんねーよ!なにがなんだか」
 「でしょー!!これは意表をつく設定なのでーす」
 きよみのお見舞いに来たフー子は、
 病室の前の廊下でヒソヒソ立ち話をする医師と看護婦の会話を、偶然聞いてしまった。
 フー子は耳を疑った。
 そんなバカな・・・!
 きよみの病気は、治るはずの“再生不良性貧血”ではなかったの?!
 フー子は、病院を飛び出した。
 どこをどう走ったのかも覚えていない。
 気がつくと、きよみと2人で植えた、教会の庭の“あすなろ”の木の下にいた。
 空に向かって大きく大きく成長したあすなろに、フー子は問いかける。
 「きよみは、半年の命なの?
  あの子は、そのことを知らない?」
 答えるはずのないあすなろの木・・・。
 「“明日は成ろう、明日は成ろう”と頑張るから、“あすなろ”なんでしょ・・・?
 だったら、お願い! 
 きよみも一緒に、病気との闘いに頑張れるようにして!
 頑張って、勝てるようにして!
 お願いよおぉぉぉぉぉ!」
 と、俄かにこの人も泣き崩れた模様。
 どっかで聞いたようなストーリー展開。
 たいして「意表をついて」いないのでは?
 ていうか、
 「意表をついて」どうすんのさ。
 「あなたの想定した設定が、私にわかるように!」って、説明したじゃない。
●ウー子の場合
 きよみの両親が、入院中のきよみの様子が最近ヘンだ、と学校にやって来た。
 ウー子は職員室に呼ばれた。
 「ウー子くん、君はきよみくんの親友だ。
 何か知っているんじゃないのかい?
 もしワケを知ってるのなら、心配なさってる御両親に話してあげなさい。」
 と、担任のケツ毛(あだ名)に問い詰められたウー子は、口を割らざるを得なかった。
 「きよみは、実は半年の命なの。
  でも、そのことをあの子はまだ知らない。」
 ・・・・・
 チョットいいですか?
 そういうことって、まず、親が知るのでは?
 ま、いいよ。
 百歩譲って、親は知らなかったとしよう。
 でも、そのセリフ、なんで爆笑しながら言うのかしら。
 ウー子いわく、
 「“悲しみ”を伝えるには、笑って言う方が効果的。
 悲しみに耐えて微笑んでいる姿に、人は感動するものなのだ。」 

ね?
こんなバカ連中、ウンザリでしょ?
でも、あと1人だけ、いいですか?
            (つづく)


6月29日(金よう日) 日直・鬼界
 6月25日のつづき
困り者のお隣さんも、男が来ない時は、そんなに困り者じゃない。
一切外出はせず、ずっと家にいる。
それなのに、物音ひとつしない。
テレビも見ない。(もしかしたら、イヤフォン使用?)
訪れる人もいない。電話もかかってこない。(ネット・ジャンキー?)
ただ、ampmのデリス便(宅配サービスですね)を頻繁に利用している。
なんで?スーパーもコンビニも近所にあるのに...
とにかく、静かな隣人で理想的だ。
ただ、雨が降る日の前日には必ずひどいセキをする。
並大抵のセキじゃない。
100年くらい閉め切った部屋に連れ込まれ、、
目の前で黒板消しをはたかれた、結核患者ぐらいのセキだ。
内臓が口から流れ出てるようで、聞いてる僕も具合が悪くなる。
が、100発100中、絶対当たる。
セキの次の日は必ず雨。気象庁より信頼できる。


6月28日(木よう日) 日直・鬼界
昨日、新宿のホームで、
あれっ?何かに触れたかな?ぐらいにしか感じなかったのに
「ごめんなさいねぇ。オバサン大きい荷物を持ってるから、当たっちゃったのね。
本当にごめんなさいね。」と
年配の女性が一生懸命、謝ってきた。
最近、電車の中やホームでこんな風にバカ丁寧に謝る人が多い。
車内暴力が身近なものになってるから、
トラブルに巻き込まれまいとする、自衛手段なのだろう。
自分の身は自分で守る。日本もサバイバリ−な社会になってきた...
ん?ちょっと待てよ。
ってことは、僕が暴力をふるうような人に見えるのかしら?
まさか!僕は車内ではとても品行方正、おとなしくしているぞ。
鬼橋日誌のネタを思いついて、突然ムフフフフと笑い出したり、
「お前だ..お前だ..」というセリフを小声で練習したりしてるだけだ。
どう見ても、ふつーの人じゃないですか。


6月27日(水よう日) 日直・鬼界
暑いのはわかるけど、
なんでオバサンはあんなスケスケの服着るの?
肩部分も胸部分もやたら巨大なブラジャーやら、
オヤジのランニングにちょっとフリルがついてるだけやんけ!
と言いたくなる下着が丸見え状態だ。
スケスケの服を敢えて着る意味はあるのだろうか?
スケスケだけど一応、服を着用してるってことは、
透けて見えてるのは恥ずかしながら下着でございます。
と言ってるようなもんでしょ。
わざと下着を見せびらかしてるってこと?羞恥心はどこへ行ったの?
スケスケの服なんか着ないでいてくれた方がどれだけマシか。
巨大ブラやオヤジ下着のように見えるけど、あれはああいう服なんだ、
安心しろ、見たくもないオバサンの下着じゃなくて、外出着なんだ、
と無理やり納得できるもん。
ゴキブリと同じで、日本の夏から抹殺したいもののひとつだ。


6月26日(火よう日) 日直・橋本
鬼界さんが(つづき)をマネしたので、ただの(つづき)と書けなくなってしまった。
なので、
(23日のつづき)
 洋子作戦の最大のポイント、“誰に電話をかけさせるか”・・・。
「賢い・芝居上手・マブダチ」が必須条件。
過去に鬼橋日誌にも登場させた、スゴク仲の良い友人達(略してヘビーマブ)を、まず検討。
結果。
皆、お脳が足りない奴(略してノ−タリン)なので却下。
次に、
普通にマブ(ミドルマブ)、ちょっとマブ(リトルマブ)の友人達に門戸を広げ、
紙に名前を全部書き出して、一人一人を検討。
結果。
栄光の「三拍子揃いぶみ女」を選抜するのには、1つ、問題が・・・・・。
「賢さ」はだいたい見当がつくが、「芝居上手」かどうかの判定が難しいのだ。
俳優仲間ならまだしも、それ以外の友人の「芝居のうまさ」は判断しづらい。
ツイてないことに、私のマブの全員が俳優とは違う職業だ。
こまった。
オーディションで決めましょ。
私が、彼女達一人一人に電話をする。
『鬼界事務所の次回公演は“恋愛もの”で、
 橋本が演じる役の親友のナレーションが入るシーンがある。
 一言ではあるが、もし良かったらナレーション出演してほしい。
 だいたい、こんな感じのセリフになると思う。
   「きよみは、実は白血病で、あと半年の命なの。
   でも、そのことをあの子はまだ知らない。」
 チョット言ってみてくれる?』
と、こう依頼するのだ。
にぎやかしで、あの3バカも数に入れとこ。
棒読み・無抑揚・無強弱、いわゆる無味乾燥に私が読み聞かせた
この「白血病なの」のセリフを、果たして、“どう言うか”。
そこに、彼女達それぞれの「感性」「人間性」が表れる。
『このセリフ、どう言おうが自由。
 ただ、
 言う相手・場所・状況など、全て自分なりに想定した上で。
 そして、聞いている私に、ある程度それらが解かるように。
 いうなれば、
 “自分が何を相手に伝えたいのか”を、心理デフォルメして。』
と、こう説明を足す。
こうなってくると、
さらに「価値観」「人生観」までもが、さらけ出されるぞ。
すっげ〜。
なんか、本格的じゃん。
3バカ、この説明の意味が、まず、わかるかな?


6月25日(月よう日) 日直・鬼界
(つづき)
午前9時すぎ、取ってつけたように音楽がかかる。
もちろん行為中の声を聞かれないようにするためだ。
あれはクラブ系って、言うんですか?
壁越しだと、ビートの部分しか聞こえない。
ズンドコ、ズンドコ、ドッド、ズンドコ、ズンドコ、ドッド、
まるで念仏の太鼓だ。
などと書いてると、僕が壁に耳を必死に押し付けてるとお思いでしょうが、
そんなことはしてません。
確かに十代の僕なら、知り合いの医者に聴診器を借りたでしょう。
でも、今さら他人の声なんて聞きたくありません。
ズンドコが始まると、家を出ます。
この前の時はコンビニにジュースを買いに行って、ちょっと立ち読みしました。
帰ってくると、ズンドコは止んでいます。
その間、約15分。
えっ?もうおしまい?早すぎないか?
再び男のボソボソ言う声が呪文のように聞こえています。
いつもこの調子です。
どうやってるんだろう?終わるなり何をそんなに語ることがあるのだろう?
もしかして本当に悪魔払いの儀式をしてるのかもしれない。


6月24日(日よう日) 日直・鬼界
橋本が(つづき)を連発してるので、羨ましくなりました。僕もやろっと。
 6月11日の(つづき)
   ‘困り者のお隣さん’、その真相!
‘困り者のお隣さん’には、会ったことがない。
が、綿密なリサーチの結果、若い女性で一人暮らしということは判明した。
出勤時間は午後8時50分。
僕がその時刻に風呂に入ってると、窓の外の廊下をコツコツコツとヒールで出かける音がする。
水商売?色っぽい美形で売れっ子だったりして?
でも出勤するのがちょっと遅すぎない?
吉野家で深夜にバイトしてる、金髪のただのオネーチャンかも?
たまにだが、明け方、男が来る。
異常におしゃべりな男で、そいつの声で起こされてしまう。
大声で話をするのではない。低い声で間断なくボソボソしゃべり続けるのだ。
壁越しなので、もちろん何を言ってるかはわからない。
ただボソボソと低周波のイヤな騒音でジワジワと目を覚まされる。
そんな時はたいてい、ブードゥー教の悪魔払いの夢を見ている。
最低の目覚め方だ。
女の部屋に来て、なんで話してばっかりいるの?
目的はひとつのはず...?
そして、ようやく午前9時すぎ、取ってつけたように音楽がかかる。
いよいよやるわけね!  (つづく)


6月23日(土よう日) 日直・橋本
(つづき)
 洋子作戦で最大のポイントは、“誰に電話をかけさせるか”だな。
条件として、
●かなりのマブダチ
  私のことを‘大好き’でなければならない。
  「きよみの幸せの為なんだ!」と、100%の‘友情・善意・誠意’を持って取り組んでもらわないと。
  私への愛が薄い友人だと、ヘタしたら、ぶち壊す方向へ持っていく可能性もある。
  あぶない、あぶない。
  さらに、
  多分、私の‘いろんなこと’を理解しているので、
  話の展開に合わせて、効果的に「愛すべききよみちゃんエピソード」を、アドリブで入れられる。
●芝居のうまい奴
  ‘高校生のマコト君’をだますよりも、
  いや、比較にならないほどの高い能力が要求される。
  特に、心情的なセリフがうまい奴。
  なんか「じ〜ん」とくるような。
  感情移入、感情移入。
  しかも、
  「これ、実はきよみちゃんが書いたアホ作り話でーす」などということは、
  絶対に感づかれない、自然で真実味・説得力のある演技力。
  きよみちゃんが書いた台本通りに読み進めながらも、
  要所要所に入れられる‘リアルな間(ま)’。
  かなり高度なテクだ。
●頭が良さげな奴
  「類は友を呼ぶ」のことわざ通り、アホはアホと仲良しだ。
  イコール、
  “賢さをかもし出せる”友人にやらせれば、「きよみちゃんだって賢い」ということになる。
  どっちにしろ、
  ぶっつけ本番・一発勝負だから、機転のきく奴じゃないとダメだ。

「賢くて芝居上手なマブダチ」・・・・・。
思い浮かべよう。
・・・・・・・・(思い出している)。
まっちろけ。
気配も無いけど?誰もやって来ないけど?
しかたない。こっちから歩み寄ろう。
まずは、鬼橋日誌上に登場したマブを、検討だ。
R子・・・ノ−パンで舞台に立った私のマネを早速して、 
     「ストッキング強盗!ストッキング強盗!」と大喜びした女。
Y美・・・スヤスヤと眠る純粋無垢な友達(私のこと)の横で、Hした女。
     レイプされたてのような格好で街を闊歩する女。
Y子・・・「ハーフの子供を産みたい!」と英会話教室に通い、
     アメリカ人講師と結婚し、
     そして、産むも何も、すぐに離婚した女。

この人たち、却下。
私への愛はいっぱいだけど、頭が足りない。
ノ−タリンだ。
考えてみりゃ、そうだ。
まともだったら、日誌には登場しない。 
                 (つづく)   


6月22日(金よう日) 日直・橋本
(つづき)
 “相手にもドカンと一発ショックを与える告白の仕方”ねぇ・・・。
まぁ、そりゃ、そうだね。
優越感だけを与えるなんて、損だ。
ちきしょー。
くやしいもんね。
ちょっとくらい、いや、大いに悩んでほしいもんだ。
ザマ−ミロ。
A子のパターン『わかってください。唄に込めた私の切ない思い・・・』作戦。
洋子のパターン『自らの手を汚さず、他人をトコトン利用。ウソ八百!』作戦。
一応、可能かどうか検討してみるか。
 A子作戦で最大のポイントは、“何を唄うか”だな。
A子は「中島みゆき」でいったが、これはチョット・・・。
先日、
「‘中島みゆきの歌をカラオケで唄う女’を嫌う男性もいる」
という情報も得たし。
(わかる気もする。
 以前、飲み会の席でやった連想ゲームで、「中島みゆき」に対する男の子チームの答えは、
 「わら人形」「ストーカー」「地獄」「ブス女」「悪霊」など、ダークサイドなイメージ・・・。
 取り殺されそうな恐怖を感じるのだろうか。)
何よりも第一に、私のレパートリーに入っていない。
2、3回しか唄ったことがない。
唄いこんでいる歌じゃないと、私の場合、絶対に失敗する。
イントロのあと・間奏のあとの出だしをキッチリわかっていないと、
強引にも、そのあと、歌詞と曲がズレたまま最後までいっちゃう。
あるいは、無言のまま終わる。
そして、私は声が低い。
女性歌手の曲を唄う場合、低い方にキーチェンジしなければならない。
「この曲ならキーをいくつ下げるか」をわかってて、
唄う前に、あらかじめ下げとかないと。
曲が始まってからだと、
「高い。まーだ高い。低すぎた。あっれー?どーれ?」
あーでもないこーでもないとキーチェンジ操作をしているうちに、あっけなく終了。
伴奏入りのマイクテスト状態。
じゃあ、私の最近のレパートリーの中だと?
「ザ・ピーナツ」。
  パヤ パヤパヤ
  追いかけて 追いかけて すがりつきたいの
ダメだ。なんか、いやらしく聞こえそうだ。
「ザ・ビートルズ」。
  Love,love me do
  You know I love you
ダメだ。きよみバージョンだと、パンチが効いてて明るい。誰よりもハッピーそうだ。
「悩みのないヤツ」だと思われかねない。
「恋」(松山千春の)。
  愛することに 疲れたみたい
ダメだよ、疲れちゃっちゃあ。
題名は良いんだけどなぁ。
“同棲生活に終止符を打つ歌”じゃ、ダメじゃんけ。これから始めなきゃ・・・。
ん〜。使えそうな曲で、あと、どんなのがあったっけ。
今、考えても思いつかないや。
近いうちにカラオケに行って確認しなくちゃだ。
 洋子作戦で最大のポイントは、
               (つづく)


6月21日(木よう日) 日直・鬼界
僕のパソコンは古いせいか、とても頑固だ。
‘はくち’という言葉を何度変換しても‘白痴’ではなく‘吐く血’になる。
単語登録してしまえば簡単なのだが、
力でモノにするみたいで、それはしたくない。
鬼橋日誌を書く、大事なパートナーなんだから、
僕にとって何が重要語句なのか、僕がどういう人間なのか、わかってほしいじゃないですか。
「鬼界さん、あなたの熱意に負けたわ。私はあなたについて行く。私を好きにして。」と
パソコンに言わせたい。
最近は僕の誠意が伝わったのか、なぜかたまに‘白痴’にしてくれる。
でも、‘きちがい’は決して‘気違い’に変換してくれない。
僕のパソコンは、
キスは許しても、それ以上はさせてくれない、堅い彼女のようだ。


6月20日(水よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
クラシックのコンサートでは、おかしな人の出現率が高くなる。
全身エメラルドグリーンのおばあさんがいた。
南仏に避暑に行くような、つばの広いエメラルドグリーンの帽子をかぶり、
高価そうだけど趣味の悪いエメラルドグリーンのサマースーツに
エメラルドグリーンのサンダルをはき、
エメラルドグリーの手袋をしていた。
どう見てもただの色気違いババアなのだが、
どうやらエライ人らしい。
コンサートホールの支配人らしき人が挨拶にくるし、
いかにもオペラ歌手風の人と談笑している。
僕の周りにいた若い女の子達もその老婆のことを指差して興奮している。
わからないもんですね。
ある特定の場所では特殊な人物もすんなり受け入れられるのだ。
ホールを一歩出ると石をぶつけられそうなのに...


6月19日(火よう日) 日直・鬼界
東京都が運営するコンサートホールに行った。
トイレはだだっ広く、個室もズラッと並んでいる。
一番奥の個室の扉に、張り紙がしてあった。
“使用できますが、便座はありません”
中をのぞくと、フタも便座もなかった。
こういう場合は、“故障中”でいいんじゃないだろうか。
恐るべし、お役所仕事。


6月18日(月よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)
 A子の純粋さとは打って変わって、不純な告白をやってのけた女もいる。
まるで“練りに練った完全犯罪”のようだった。
 高校2年の春。
私のクラスメートの洋子は、通学電車の中で毎日見かける男子高校生を好きになった。
彼は、大概、友達と一緒。
洋子は、気づかれぬように彼らの会話を盗み聞きし、情報収集。
名前はマコト君。明大附属中野高校の2年生。バスケット部。などなど。
洋子は、明大中野バスケ部の練習試合見学に、足繁く通い始めた。
私は部活が忙しく、見学に付き合わなかったので、
その時期の「洋子の、マコト君への侵略度合い」を、よく知らなかったが、
マコト君とは、ある程度の面識を持てたようで、 
いつのまにか洋子は、マコト君の住所と電話番号もつかんでいた。  
 ある日、
洋子は私に、びっしり何かが書かれたレポート用紙2枚を手渡し、言った。
「今日の夜9時半、マコト君に電話して。
一応、言うこと書いてきたから。
マコト君の反応によっては適当にアレンジしていいから。きよみに任せる。」
それを読んで、1度は「ヤダ!」と断ったが、
「お願い!お願い!」と泣付かれ、仕方なく引き受けた・・・。

『〜洋子の極秘メモ〜』
 きよみの言うこと
   もしもし、マコト君ですか?
   初めまして、洋子の友達の橋本きよみです。
   突然、こんな電話、ご迷惑かなとも思ったんですが、
   友達として、ちょっと見てられなくて・・・・・。
   実は、今日、体育の授業中に洋子、倒れて保健室に運ばれたんです。
   授業が終わって急いで保健室に様子を見に行くと、
     (注・‘急いで’は、絶対に言う。洋子は友達から好かれている、という印象を与える為)
   洋子は寝ていました。
   その時、洋子が寝言を言ったんです。
   「マコト君・・・。マコト君・・・。」って・・・。
   なんか、かわいそうになっちゃって・・・。 
   本当にマコト君のこと好きなんだなぁ・・・って。
   そんな洋子の気持ちだけは、私、マコト君にわかってて欲しくて。

こんな調子。
このウソ電話は、計3回かけさせされた。
「マコト君を感動させよう!保健室でうわ言編」の他、
「マコト君に食べさせたいの!手作りお弁当でヤケド編」と
「マコト君にヤキモチやかせよう!洋子、男子高校生に告白された編」。
電話の最後を締めくくるセリフは、絶対、決まっていた。
「私がマコト君に電話をしたこと、洋子には内緒にしてくださいね。
洋子に絶交されちゃうから」だった。
・・・・・
なんか・・・今、改めて思った。
アホだ、こいつら。
“こいつら”とは、洋子・私・マコト君。
書くアホ・読むアホ・聞くアホ。
高校生って、こんなにアホ?
こんなん?ほんと?
しかし、
アホ同士うまくいけば、それも良しだ。
洋子とマコト君は、別々の大学に入ったが、卒業して3年後に結婚した。
結婚式でバラしてやりゃぁよかったかな。 
                 (つづく)  

  


6月17日(日よう日) 日直・鬼界
『ローマの休日』を見た。
年に一度は必ずビデオで見る。本当はロマンチックな男なのだ、僕は。
大乱闘のあと、王女と新聞記者が初めてキスをする。
そして、部屋に戻って二人は再びキスをする。しかしこれが最後のキスなのだ。
決して結ばれないことがお互いにわかっている二人...
いいなあ、このシーン。ここで僕は必ず涙が流れる。
今まさに二人が最後のキスをしようとした瞬間、
「お騒がせいたします。日本共産党の岡田しげるです。」と
大音響で突然、しゃべりだした。
死ね、ボケ!今一番いいとこで、これから俺は泣くんだ!
うちの前から宣伝カーをスタートさせなくてもいいだろ!
「お休みのところ、お邪魔して申し訳ありません。共産党の岡田。岡田でございます」
ムカムカしてたら、やっと遠くへ行った。
ちくしょー、泣けなかったじゃねえか!
でも、まあいい。ラストシーンでも僕は泣くもんね。
再度、映画に集中し、ラストの記者会見のシーンになった。
ショートカットにした、ヘップバーンが姿を見せる。かっわいい。が、
ヘップバーンが歩くのに合わせて、遠くから「岡田でございます」が近づいてくるじゃないか。
げっ、マズい。岡田来るな!あっち行け!の願いむなしく、どんどんやって来る。
そして、ついに宣伝カーはうちの前までやって来て、大音量はピークに達した。
「岡田でございます。岡田で」 ブツッ
突然、終わった。
え?なんでそんな中途半端なとこで切るの?せめて「ございます」まで言えばいいんじゃないの?
スタート地点と終了場所を一致させなきゃいけない決まりでもあるの?
うるさいのも集中できないが、突然静かになっても集中できないもんだ。
そんなことを考えてたら、ENDマークがでて、映画は終わってしまった。
僕の生涯で、『ローマの休日』を見て1回も泣かなかったのは、初めての経験です。
僕は誓った。「岡田しげる」には絶対投票しない。


6月16日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
 しかし・・・。
この、“気持ちの伝え方”が難しい。
考えどころだ。
「好きなんです。」
「はぁ。でも、付き合ってる人いるから。」 
「あ、そうですか。」
相手がこっちを知らない場合(コンビニの店員を好きになった場合とか)は、
この方法でいくしかないかもしれない。
が、ある程度の知り合いの場合、しかも今後も顔を合わさないわけにはいかない相手の場合、
なかなかストレートには言えないものだ。
これからも顔を合わすしなぁ・・・ということで、
「好きだったんでーす。」
などと軽口で言ってみてしまうと、相手も
「俺もだよ!じゃ、付き合うか!」
と冗談でかわされ、もうあとは
「やったー!ばんざーい!」
と言うしかなくなる。
だからって、深刻に言ったところで?
「好きなんです・・・。」
「はぁ。でも、付き合ってる人いるから。」
「あ、そうですか。」
これじゃ、あまりにあっけない。
「潔く、討ち死に!私、ふんぎりついたっ。アハハ」
「そうよ、そうよ。あんた、いさぎいいわよ。白黒はっきりして良かったわよっ。」
フラレた本人のカラ元気と周りのフォローを、
やけにしらじらしく聞こえさせるほどの、あっけなさだ。
“顔で笑って心で泣いて”が、間が抜けて見えるようじゃ悲しい。
普通、感動を呼ぶものであるはずなのに・・・。
「好きなんです。」
「はぁ。でも、付き合ってる人いるから。」
「あ、そうですか。」
話が早すぎ。簡潔すぎ。明瞭すぎ。
“溜め”が無い。
歩数が合わず、不本意にも、踏みきり板でジャンプできないで8段の跳び箱に激突したようなものだ。
 ここで思い出した、大学3年の時の友人A子の“告白”。
A子の意中の彼M君を含めた仲間数人で、カラオケに行った。
A子は、唄わずただ聞いてるだけ。
「最後に1曲だけ、唄わせてね」
そう言ってA子が唄いだした曲は、中島みゆきの歌だった。
音楽学科声楽コースのA子は、きれいなソプラノで唄う。
 夢でもいいから 嘘でもいいから
 どうぞ振り向いて どうぞ気がついて
 あの女性(ひと)に送る愛に比べたら ほんの捨てるほどの愛でいいから・・・
A子のソプラノは、途中からかすれがちになり、
最後の方は、涙声でささやくようにしか唄えなくなってしまった。
残念ながら、M君には好きな人がいてA子の恋は実らなかったが、
思いは充分に伝わったようだ。そのあとM君も随分悩んだ様子だった。
 なるほどね。
どうせだったら、相手にもドカンとショックを与えたいもんだね。
大いに悩んでほしいもんだ。
泣きながら唄って愛の告白、ねぇ。 
                      (つづく)


6月15日(金よう日) 日直・橋本
 私は‘同窓会’というものに出席したことが、1度もない。
‘同窓会’が、開かれないから。
なぜか?
年月を経た後に「会いたい」と思い合えるほど、仲の良いクラスではなかったのだろう。
あるいは、
私が属した数々のクラスの中に、たまたま、
発起人・幹事を買って出るような殊勝な人がいないから。
面倒くさがりなヤツばっかりだなぁ。
しかし、ここにきて、
なぜかふってわいたように中学1年の同窓会だけ、ここ2年間で3回ほど開かれている。
が、それにも私は出席せず。
実を言うと、出席できない理由がある。
 思い起こせば、中学1年の時、同じクラスのG君が好きだった。
別に、誰に打ち明けるわけでもなかったが、
中学3年間を通して好きだった。
高校で女子校に行ったのはマズかった。高校時代も好きだった。
大学1年の時まで好きだった。
風化しそうな遠い思い出のG君が、どうもひっかかり、18にもなって‘恋’もできねぇ。
決着をつけよう。
ということで、卒業名簿を見てG君に電話。
G君、ビックリ。寝耳に水。
とりあえず会いましょう、ということになった。
全部で5回ほど会った。 
 長くなるので詳細は割愛するが、
私がG君をコケにする結果となってしまった。
電話をした翌日、4年ぶりの再会。
多分、その、会った瞬間から、既に私は完全に冷めていたんだろう。
私にとっては、‘再会すること’が‘G君に関してのゴール’だったのだ。
それ以上の進行など私は望んでいなかったのだ、恐らく。
いや、冷めていたのは、電話をし終えた時からかもしれない。
‘告白すること’が‘ゴール’だったのかもしれない。
とにかく、
傷つけてしまったG君に同窓会で再び‘再会’するのは、やっぱり、バツが悪い。
 この、若気の至りともいえる苦い経験から悟ったこと。
●過去を発掘するのは考えもの。
  想い出は想い出として、美化したまま、そっとしておこう。
●「好きだ」と言えるのは、‘好きである今’、この時だけ。
  告白はリアルタイムで、しよう。
  ‘過去の人’へとなる前に。
                                  
                                 (つづく)


6月14日(木よう日) 日直・鬼界
‘歓迎会’に参加した。
神戸では有名な美人コンビMさん、Kさんを囲む会だったのだが、
初対面の僕は神妙にしていた。
話を聞くと、2人は同じ女子高でMさんが3年の時、Kさんが1年だったそうだ。
すると、隣にいた重鎮のOさんが
「ってことは、Mさんが先輩でKさんが後輩なんですね」と高らかに言い放った。
「あたりまえじゃありませんか!」と思わず敬語交じりでつっこみそうになり、
慌てて「神妙に神妙に」と自分に言い聞かせた途端、
僕の表情の変化を見逃さなかったMさんが
「そういうのじゃありませんから!」ときっぱり言い切った。
え?どういうの?一体なんのこと?
??の僕を、Mさんは挑戦的な目で見据えている。 ...?
さらに話を聞くと、演劇部の部長だったMさんがある公演で、
作・演出・主演(男役)をこなしたら人気バクハツ、
どっと新入部員が入ってきたそうだ。その中の一人がKさんだったのだ。
「へえ」と純粋に感心する僕に、またもやMさんは
「だから、そういうのじゃありません!誤解しないでください!!」と言う。
さっきから何をおっしゃっているのですかと尋ねると、
「だって、鬼界さんはすぐ妖しい妄想を膨らませるじゃないですか。
カップルを詳細に観察したり、6月9日生まれの彼女のことを、その..あの..アレだって言ったり、
と、とにかくヘンな想像はしないでください」と赤面ぎみで答えた。
Mさんはこの鬼橋日誌の愛読者だったのだ!
それは嬉しかったが、妄想に満ちたHな日誌という認識はちょっと悲しかった。


6月13日(水よう日) 日直・鬼界
美容院で男がペラペラペラペラしゃべり倒していた。
どうせバカ店員が女の子の客にバカ話をしてるんだろうと思ったら、
どうやら違うようだ。
「俺ってこんな猫っ毛だから、トリートメントは毎日やんなきゃいけないじゃない。
マツキヨとか行って、いろんなの買ってみたけど、違いがわかんないのね。
ひとつだけわかったことは、養毛剤の入ってるトリートメントを使うと
フケがピタッと止まるってこと。
俺って猫っ毛じゃない、ほっとくとフケがすごいのよ。」
ヤツはフケの飛び散る様子を克明に延々と語り始めた。
冗談でわざと相手の嫌がる話をして、会話をエンジョイいているのではない。
ヤツは大マジだ。妙に通る声でしゃべり続けている。
ヤツの髪の毛を切ってる若い女性の美容師さんは
「へえ」とか「ふうん」とか最小限の相槌を機械的に打つだけ。
そりゃそうだ、ヤツ以外美容室にいる全員がそんな話はやめろと思ってるのだ。
場を読めない人はどこにでも存在する。
通りがかりに鏡に映るヤツを見た。
大木凡人そっくり。髪の毛もそっくり、どう見ても直毛だ。
猫っ毛って、そういう髪の毛のことを言うのですか?


6月12日(火よう日) 日直・橋本
 5月公演のパンフレットに載せた鬼界さんの‘ご挨拶文’に出てくる‘日高君’を
覚えておいでのかた、いらっしゃるでしょうか。
  『大学時代からの友人の日高は
   超ダサダサのカッペなのに、やたらモテた。
   「経済学のクラスの加奈子ちゃんって、眼鏡取るとカワイイよね」と言うと、
   「ああ、先月ヤった。」
   「日高の入ってるサークルに岡部さんっているじゃない、」と言いかけただけで、
   「いるよ。昨日ヤったばっかだ。」
   誰を話題にしようと、必ずヤってました。』
こんな人、女の子にもいたんです。
S子さん。
以前から顔は知ってたが、一緒に飲む機会を、昨日初めて持った。
S子さんと私には共通の知り合いが多く、話題は自然と知り合い達のこととなる。
まぁ、大体が男の子達の。
そして、誰の話をしようが、S子さんのシメのセリフは
「実は、その人とは付き合った」
100発100中。
酒宴の話題に出すくらいだから、私だって、少なからず好意を持ってる人たちだったのに・・・。
愕然。
ショック。
ウラヤマシイ。
私の中でガラガラと何かが崩れていくのを感じながら、
あくまでも冷静かつ客観的に、一般的基準に則って、S子さんを評価すると、
顔は、不細工とは言わないがキレイとも言えない。地味な顔立ち。
シャレた髪型もしていない。                                              
着る物は、至って平凡。
トータルで、ちょっとダサめ・・・。
次から次へと男が寄って来る、1つのタイプなのかしら、S子さんみたいなのって。
今、ちょっとかっこいいなと思う人がいるんだけど、
その人のことは話題に出ないよう出ないよう、ホント苦労した。
「実はその人とは、今、付き合ってる」
って最後に言われたら、ガックリだもんね・・・。
      


6月11日(月よう日) 日直・鬼界
スヤスヤ寝てたら、枕もとで誰かが大声でケンカを始めた。
びっくりして飛び起きると、
隣の住人が壁のすぐそばで言い争ってるのだ。
「知らないってどういうことよっ!!」
時計を見ると、午前5時。
さすがのヤジウマ鬼界も聞き耳をたてる気力がなく
台所で寝直した。
‘困り者のお隣さん’のことは、おいおい日誌に書いていきます。


6月10日(日よう日) 日直・橋本
 例の、お客の9割がおジイちゃんおバアちゃんの「銀座フィルムセンター」で、
京マチ子主演の古い秀作映画を観た。
“水商売モノ”なので、
スクリーンの京マチ子は、なんかっちゅうと、スリップ(シミ−ズ?シュミーズ?)姿。
私の右隣に座った、推定65歳のおじさん。(ちなみに、私の左隣は通路)
その、スリップ姿での悩ましいシーンになると、決まって、
シャカシャカシャカシャカ、音をたてる。
シャカシャカした素材の、ジャンバー(ジャンパー?)みたいな上着をひざの上に載せてて、
それを持ち替えるような動作をするのだ。
チョットいやらしいシーンになると、決まって、するのだ。
何度も何度も。
シャカシャカシャカシャカ。
「なにやってんだよ。うるさいなぁ」
と心の中で舌打ちしながら、私はガマンにガマンを重ねた。
“深夜、ぐっすり寝入っている若い娘を、スケベな義理の叔父がテゴメにしようとする”
というスケベなシーンでは、シャカシャカも一層ハイテンポ。マキシマム。
たまりかねた、私の隣の隣(つまり、シャカシャカおじさんの右隣)のおじさんが、
「うるせぇんだよ!シャカシャカシャカシャカさせんなよっ!!」
シャカシャカおじさん、返す言葉無し。
ピタッと、音をたてるのをやめた。
よくぞ叱ってくれました。隣の隣のおじさん、ありがとう。
しかし、
「ちょっとうるさいんですけどねぇ」「ちょっと静かにしてくれませんかねぇ」
ではなく、
「シャカシャカシャカシャカさせんなよっ!」の
セリフとその言い方を思い出すと、可笑しくて、
私は、その後、映画に集中できなかった。
ちぇ。
 あのおじさんは、どうして艶っぽいシーンになるとシャカシャカさせちゃうんだろう。
興奮して?照れ隠し?わっかんないなぁ。
どっちにしろ、映画館でソノ癖はマズイよ。


6月9日(土よう日) 日直・鬼界
「‘夏を制する者は受験を制する’って言うだろ」と
久々に会った友人が言い出した。
確かにそれは受験勉強の鉄則だと答えると、彼は
「俺んちは金持ちだったから、自分の部屋にクーラーをつけたんだ。
貧乏人が暑さに打ちのめされてる間に、こっちはシコシコ勉強して合格する!
はずだったんだけど、
俺が高3の夏は記録的な冷夏で、クーラーなんか、ただの1度も出番なし。
それどころか悪い夏風邪をひいて、みんながシコシコ勉強してる間、俺は寝込んでたんだ。
夏を制せなかった俺は、見事不合格、浪人した。それもこれも冷夏のせいだ」
自分を冷夏の犠牲者だと思っている。
なぜこんなエピソードを彼が語ったかというと、
「梅雨入りした途端、いい天気が続いてる」→「世界各地で異常気象が起こってる」→
「気象災害で多くの人が犠牲になっている」という流れで会話が進んだ時、
自分のことだと思ったようです。
ガンジス川が氾濫して家を失ったインド人と彼は同等らしい。


6月8日(金よう日) 日直・鬼界
旅の楽しみは食事である。
海外旅行のパンフを見てたら、‘魅惑のマルタ島6日間’というのがあった。
フランクフルトで乗り継いで、午後7時ごろマルタ島のホテルに着く。
「お部屋にフルーツとミネラルウォーターをご用意します」
午後7時着では夕食も出してもらえないの?長旅の疲れもあるし、まっ、いいか。
そして、翌日、マルタ島を満喫だ!
と、思いきや
「昼食は中華料理です」と書いてある。しかもわざわざ赤い字で書いてある。
なんでマルタ島に来てんのに、中華食わなきゃいけないの?
どうせマルタ島民がワイン飲みながらつくってるインチキ中華でしょ。
次の日は3食とも説明は一切なし。
ということは、ホテルで適当な料理(おそらくステーキか舌平目のムニエル)を食わされるんだ。
その次の日、やっと出た!「昼食はマルタ名物たこの煮込み料理をお楽しみください」
しかし、15:00の飛行機でフランクフルトに移動することになってる。
ほとんど時間ねえじゃねえかよ。立ち食い?
そして、フランクフルト着後、ホテルへ。
「夕食はホテル着が遅いためお弁当でご用意しています」
フランクフルトのホテルの宴会場で長テーブルにみんなで並んで弁当食うの?
はとバスのドライブインでの食事と同じわけ?ドイツにいるのに?
そして、翌日、午前:自由行動のあと、
「昼食は中華料理です」。当然、赤い字で誇らしげに書いてある。
この旅行を企画したヤツは気が狂ってるとしか思えない。


6月7日(木よう日) 日直・橋本
 フォーマルスタイルでイタリア料理を味わうリストランテで、お食事。
お酒が飲めない女の子と私の、2人。
「ワインを一杯くらいだったら。チビチビ飲むよ」と、その友人。
ボトルワインを注文することに。
いつもは、人任せにしているワイン選び。
今日は私しか飲む人がいない。私が飲むんだから、私が選ぼう。
ソムリエのアドバイスを請う・・・ったって、
「いいよ、飲めりゃ、何でも。どれ飲んでも一緒だよ」の私、
ソムリエ氏と会話が弾むわけがない。申し訳ないし。
ワインリストから、お値段と簡単な説明文を見て、てきとーにチョイス。
サービススタッフがワインの栓を抜く。
コルクが私の前に置かれる。
手に取って眺める。
匂いをかいでみたりする。
私のワイングラスに、ワインが一口注がれる。
グラスをちょっとグルグル。
グラスに鼻を近づけ、香りを確かめる。
ワインを口に含み、そしてノドに流し込む。
「美味しいです」と、うなづく。
あらためて、友人と私のグラスにワインが注がれる。
と、テイスティングの一連の儀式をやってはみた。
意味ねーよなぁと思いつつ。
茶番。茶番劇。
「ン!?これはちょっとイタダケナイナ。替えてもらえる?」
こんなこと言える?
まさか言えない。私には言えない。
(理由1・恐ろしくて言えない
 理由2・“ワイン”を解してないので、さっぱりわからず。どれ飲んでも美味しいけど?)
言う人いるのかなぁ・・・?
それとも、現在は、
‘ワインをテイスティングする’ということよりも
‘選んでくれたソムリエとのコミュニケーションの為’
の意味合いの方が強いのか。
「どうです、美味しいでしょう?」
「まさに、あなたの仰った通りのお味ですね。
 草萌ゆる草原を一気に駆け抜けたあとに、一口、口に含んだ果実のあまりのみずみずしさに、
 思わず驚いてしまった、そんな爽快さと芳醇さを併せ持つ味で、」
とかって、ワイン品評を楽しむ間合い。
どっちにしろ、私には意味ないか。 


6月6日(水よう日) 日直・鬼界
午後2時過ぎのガラガラの電車の中で中国人カップルがイチャついてた。
二人はラブラブ。
男が自分の鼻で、女の首からアゴから耳からうなじまで、
露出している肌をくまなく愛撫しているのだ。
アメリカ映画の濃厚なベッドシーンのようだ。服を着てるのが不思議なくらい。
そして、その愛撫の合間に何度もキスをする。
と思ってたけど、よく見ると、口と口は決して重ならないじゃないか。
え?なにしてんの?
なんと、においを嗅ぎ合ってるのだ。
鼻で愛撫してるのではなく、そこらじゅうの体臭を味わっているのだ。
えーーーーーーー!
中国の人って、そういうことするんですか?
中国式恋愛について詳しい方、是非教えてください。 


6月5日(火よう日) 日直・橋本
 「“夢占い”のお礼を」と、わざわざメールして下さった、ある女性のかたの結びのお言葉。
『ではバイナラ!!!
(バイナラと打とうとしたらバイマラと打ってしまいました。
 あ〜恥ずかしい。でも、決して欲求不満というわけではありませんよ。決して・・・。)』
4ヶ月前の私だったら、このお言葉の意味が分からず、
「このかたは、一体、何を恥ずかしがっておいでなのかしら」
と、大いに疑問を持ったことでしょう。
 4ヶ月前のある日、友人と飲みながら、東映の古いヤクザ映画ビデオを観ていた。
松方弘樹の「アイツは、まらボケだ」のセリフで、友人、爆笑。
確かに、
セリフを言うタイミングは可笑しかったが、私としては意味がわからず、笑えない。
観終わって、友人に聞いてみる。
「なるほど」と納得し、「な〜んだ、可笑しいじゃん」と今さらの爆笑。
こういう時は、なんかチョット損した気分。
(マルクスの映画とか観てて、絶妙な言葉遊びに
 「ネイティブな英語が解かればなぁ」と悔しい思いをするのと、ちょっと似てる?)
大体、この「まら」という言葉は、そんなにポピュラーなの?
(出たよ。橋本の、いつもの疑問。)
思うに、エッチ関連のボキャブラリー、有り過ぎ。
覚えても覚えてもキリがない。
ですから、
橋本の場合、下ネタが好きという訳ではなく、上記の映画の話でもお判りの様に、
知識の泉を潤沢にするべく、皆様に、

ところで、
今さっき小説を読んでて
「あの人は金主だから、大事にしておけ。」
を「あの人は金玉だから、」と案の定読んでしまった私も、
決して欲求不満というわけではありません。


6月4日(月よう日) 日直・鬼界
コンビニの前で若いカップルがキスしてた。
世界で一番キスが似合わないカップルに選ばれそうな二人だが、
本人たちはそう思ってないらしい。
チュッチュ、チュッチュ、男が女のほっぺにキスしまくっている。
心の広い僕はそれをどうこう言うつもりはない。
どんな人間であろうと人権があるから。(これが江戸時代だったら、当然切り捨てているが。)
問題は男がキスしている、女のほっぺだ。
ニキビなのか湿疹なのかウルシにかぶれているのか、
ドックドックと脈打ってそうな真っ赤なブツブツがいっぱいできているのだ。
ちょっと触ろうもんなら、邪悪な液体が噴出しそうな危険な状態だ。
そんなところへ男は何度も何度も唇を押し付けている。
どういうつもり?毒を飲んで自殺したいの?
それとも何ものにも動じない愛の深さを証明してるの?
女も女だ。気にならないのかな?
活火山を顔に飼ってるんだよ、君は。「そこはダメ」とか思わないの?
ハラハラしてるのは見てる僕だけで、本人たちはぜんぜん平気だった。


6月3日(日よう日) 日直・鬼界
‘嘘発見器’という言葉を聞くと、なんだか笑っちゃうのは僕だけでしょうか?
渡辺謙とかコワイ顔の俳優が眉間にシワを寄せて、深刻な顔で
「血痕のDNA鑑定だけでは、決定的な証拠にならない。
ホシを自供に追い込むために、嘘発見器を使うんだ!」なんて言おうもんなら、
ブフッを吹き出してしまいます。
だって、嘘を発見する器械で、‘嘘発見器’でしょ。
どこでも行けるドアで、‘どこでもドア’のネーミングと発想は同じ。
ドラえもんが「ウソはっけんきぃ〜」とポケットから出しても違和感ないもん。
なんか子供っぽいと言うか、安易すぎると言うか、
名前を付けるときにもうちょっと考えるべきだったのではないでしょうか。


6月2日(土よう日) 日直・橋本
 昨日、夜7時過ぎ。
銀座駅前の宝くじ売り場を通りがかると
「今日が、ドリームジャンボ販売最終日でーす」の声。
稼動している2つの窓口に、駆け込みで購入しようと、それぞれ30人強の列。
不思議と「並んじゃえ!」と思わせる雰囲気。
並びました。
初めて。
生まれて初めての宝くじを、買うことにしました。
「気まぐれに、たまたま1枚買ったら1等」
「たまたま、人からもらった1枚が1等」
とかって聞いたことがある。
決め手は「たまたま」。
「酔ってゴキゲンの時に買うと、当たる」
とも聞いた。
条件ピッタンコ。
お酒飲んで、たまたま通りがかって、たまたま並んだ。
マッズイよ〜!当たっちゃう?!
買い方をナントナクしか知らないので、他の人の注文の仕方を調査。
「連番で30、バラで30」
「連番40、バラ10」
了解。
私の番。
「バラ2枚。」
600円なり。
買っちゃった、買っちゃった、初めて宝くじ買っちゃった!
なんかウキウキ。
いけない、いけない、これが敗因となるのだ。
「くじを買ったことをすっかり忘れてて、そういえば・・・って見てみたらナント1等」
とかって聞いたことがある。
そう!第2の決め手は「買ったのを、すっかり忘れてた!」これよ、これ。
忘れなくっちゃダメなのよ、きれいさっぱり、宝くじのことは。
「神様、仏様。どうか当たりますように!」
こういう欲深い、浅ましさを、神も仏も見放すのよ。
「当たるわけない」
これもダメ。
「当たるかもしれない」の裏返し。
あくまでも「すっかり忘れてた!」。無欲、無欲!

 マズイ。
昨日から、宝くじのことが頭から離れない。
‘大事な物を入れる、机の3番目の引き出し’から10回くらい出シチャァ眺メしているので、
ヘタしたら、組み番号・6ケタのくじ番号をそらで言えるほどだ。
気になって気になって。
抽選日の6月12日なんか、もう、忘れるどころか、
私の目には、カレンダーの『12』が他の数字よりデカク見える。
マズイよ、
なんとしてでも忘れないと・・・。


6月1日(金よう日) 日直・橋本
 「古っ〜!」は、カラオケのレパートリーだけではないかもしれない私。
今日観に行く映画は、1963年の映画。
出演は若き日の、小林桂樹・仲代達矢・淡島千景他。
先週行ったのは、1962年のミヤコ蝶々主演の映画。
銀座フィルムセンターの今回の企画『日本映画の発見 1960年代編』から、
観たいものを抜粋して行っている。
お客さんの9割は、おジイちゃんおバアちゃん。
泣くシーン・笑うシーンにきっちり反応する、
おジイちゃんおバアちゃんたちと一緒の映画鑑賞は、結構楽しい。
映画が最大の娯楽だった頃、
大衆はこんなふうに、映画を100%楽しむ観方をしていたんだろうな。
とか思ったりして。
話を戻して。
最後に見た新作ロードショウは、イーストウッドの『スペースカウボーイ』かぁ・・・。
最近、惹かれる新作が無いな。ビデオでいいかな。
って言ってないで、観に行かなきゃダメだよね。

今、家の前で工事中。大騒音。耳栓しててもダメだ。
騒音を紛らそうとヘッドホンで聴いてるベートーベンも、コケにされてる。
なので、今日はこのへんで。