鬼橋日誌(おにはしにっし)
鬼界事務所の構成員、鬼界と橋本が書く日誌です
                    

・2000.5.12〜12.31の日誌は、こちら
・2001.1.4〜5.31の日誌は、こちら
・2001.6.1〜10.21の日誌は、こちら
・2001.10.22〜2002.3.30の日誌は、こちら
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・2003.5.6〜9.2の日誌はこちら


12月31日(水よう日) 日直・鬼界
昨日の日誌をお休みしたのは、ワケがあったのです。

熱心な読者の方が昨日

「もう12月30日かぁ、早いなあ・・・、今年はあんまいい年じゃ・・・・
ま、いいか。
さてと、大掃除もすんだし、鬼橋日誌でも読むか」

と、鬼界浩巳事務所ホームページにアクセスしてみると、

「おやおや、日誌が更新されてないよ。
そっか、今年の日誌は12月29日で終わりなのか・・・。
ははぁーん、鬼界さんたち、狙ってんだな。
年末の挨拶とか一切なしで突然終わって、意表をつく作戦ね。
ありがち、ありがち」

と、年明けまでアクセスしなくなります。



そこで意表をついて、大晦日に今年最後の日誌を書く作戦だったのです!!

年末に贈る華麗なフェイント!
歳末ならではの緻密なプランニング!!
2003年を締めくくる見事なモチベーション!!!


でも、なんのため?
意味ないじゃん・・・
てゆうか、熱心な読者の方をダマすって、どうよ?
超失敬で、逆効果で、・・・
と気づいたのは、今日だったのです・・・
おもしろいかも!という思いつきだけでやっちゃった・・・

そんな成長しない僕たちですが、
1年間、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。賀正。 


12月29日(月よう日) 日直・橋本
 メガネを割ってしまった。
メガネをかけっぱなしではなく、
かけたりはずしたりする私は、
メガネチェーンで首からぶら下げられるようにしている時が多い。
その時も、
てっきり、チェーンをくっつけてるものと思い込んじゃって・・・。
メガネを顔からはずし、
で、そのメガネを持った手を、メガネから離したら・・・
そう、
地面に落ちてしまったんですわ、
メガネが。
その時はチェーンをつけていなかったから、
メガネに。
で、
割れてしまったんですわ、
メガネがーーーっ!!

 チャリンコに乗ってたら、向こうから、
‘サンプラザ中野’を10kg太らしたような、コワモテのオッサンが歩いて来るのを発見。
私は、日頃、
ヤクザ、キチガイ、こびと、ヘンなハゲ・・・
このような人たちとスレちがう場合、
スレちがうチョット前に、メガネをはずすよう心がけている。
見て笑ってしまわぬように、だ。
私には、
「笑っちゃいけない場面で笑っちゃう」クセがある。
いまだかつて、
参列した葬式で、私が笑わなかったことは、1度もない。
祖母の法事では、爆笑した。
ホント、つらい。
で、その、太ったサンプラザ中野の、
チョットとがり気味のツルッパゲ上での朝日の照り返しを見た・・・ぐらいの距離で、
さりげなく、
私は、メガネをはずした。
そして、当然のごとく、メガネから手を離した。
すると、
メガネは、引力により、コンクリートの道路上へ落下。
私は、
気づかず、走り去る。
ま、ハタから見れば、
「チャリに乗り、路上にメガネを捨てていった女」といったところでしょうか。
目的地である整形外科医院に着いてから、
メガネがないことに気づき、
あわてて足跡をたどった末に、
悲しいかな、
路上の、我が“割れメガネ”を見つけたのでした。
あぁ、あの時、
サンプラザ中野に気を取られ過ぎたのが、いけなかった・・・。
サンプラザは、
携帯で話しながら歩いていた。
スレちがう瞬間、彼の言葉が私の耳に入った。
「そんで、おかあちゃん、
モチは、俺がいっぱい持って帰るから、そんなに買わんでええよ。」
なんだ・・・
いい息子じゃん・・・
って、気ィ取られちゃったんだよねぇ。


12月28日(日よう日) 日直・鬼界
歳末特別警戒のせいで、
やたらと警官がウロウロしている。
ミニパトがやたらと
「ここは駐車禁止区域です。トラックの運転手さん、速やかに車を移動してください」
とマイクで騒いでるから、
うるさくってしゃーない。
交差点ではやたらと交通整理をしている。
これじゃあ、信号無視もできないし、
横断歩道以外で道を渡ることもできやしない。
不便でしゃーない。
自転車に乗ってると、やたらと防犯登録の確認をされる。
何台か自転車が続いて走っているのに、
なんで僕だけ止められるの?
そんなに怪しい?いかにも盗難しそう?
理不尽でしゃーない。
そんなチマチマしたことばっかやってても、しゃーないじゃん。
強盗を現行犯逮捕するとか、殺人鬼を射殺するとか、
もっと大事なことをしてほしいね、警察には。
それと
チマチマの極地だと思うのは、
大きな警察署の玄関前に必ず、ホウキくらいの長さの棒を持って、
私服警官が立ってんだけど、あれはなに?
ただ、ボサッと突っ立ってるだけに見えるんだけど、
なにかを見張ってるの?
あの棒は、どのように使うの?
なにかが襲撃してきたら、あの棒で叩きのめすのかな?
なにが襲撃してくんの?
でも、叩きのめしたら、マスコミですっごく叩かれるのでは?
とても不思議なチマチマ仕事だ。でも、
「あなたはなにをしてるんですか?ヒマじゃないですか?バカみたいじゃないですか?」
なんて、聞くに聞けないし・・・。


12月27日(土よう日) 日直・鬼界
昨夜は冬の空にひときわ高く輝く星々を眺めながら眠りについたのに、
朝起きると、一面の銀世界だった。
初雪だ。
深夜に人知れず降った初雪だ。
なんて美しいのだろう。
僕は雪が好きだ。
世の中の汚いもの、醜いもの、見たくないものを
すべて覆い隠してくれる。
平等に。
純白に。
雪を見ていると、優しい気持ちになれる。
無垢で。
純真で。
世界が雪で覆われれば、争いはなくなるかもしれない。


こんなことをマジで言ってるヤツがいれば要注意。
偽善者かバカです。


12月26日(金よう日) 日直・鬼界
僕のケータイの着信履歴を見ると、
30件のうち22件に【不在】マークがついている。
かかってきたのをシカトしたんじゃありません。
かかってきたのに気づかないんです。
気づかない率7割3分3厘!すこぶる高打率!!
って、ケータイの意味ないじゃん・・・

最初、着信音は買ったまんまでした。
ピリリリリー、ピリリリリリーって、あれです。
でも、これだと、誰のケータイが鳴ってるのかわからなくて、
ピリリ音を聞くたびに、ポケットをまさぐってました。

あまりにめんどくさすぎるので、
着信音を「ドレミの唄」にしました。
♪ドミミー、ミソソー、レファファファー、ラシシシーって、あれです。
自分で音階を入力して、「自作曲」として設定しました。
これなら、世界でたった一つの着信音だから、
自分のケータイが鳴るやいなや、電話に出ることができる!
と思っていたのに、
鳴ったのに気づかないのです。もちろん最大音量にしてあります。
さすがに、深夜、自宅にひとりでいたりすると、気づくのですが、
家を一歩出るとダメなんです。
歩いててもダメ。走っててもダメ。立ち止まってもダメ。
電車の中でもダメ。ホームでもダメ。
デパートでも本屋でも靴屋でもダメ。
繁華街でも住宅地でもダメ。
とにかく、どこでなにをしていようと、ケータイが鳴ったのに気づかないのです。

なぜ?

「ははぁ〜ん、僕の作った着信音の出来が良すぎて、
あまりにも自然に、心地良く、快適に、耳に入ってくるので、
聞き逃してしまうんだ!
たしかに、なかなかの出来栄えだ。
ピアノとオルガンの16和音。
そっか、着信音は、すっげえ耳障りな、不快な、うるさいメロディーにしなきゃいけないんだ!」

そして、例の着メロを導入したわけです。
が、やっぱり、鳴っても気づきません。
電車の中なんかで他人の着メロが鳴ると、どんなに遠くにいても気づくのに、
こんなに近くにある自分の着メロには気づかない。

どういうこと?

電話に出たくないのかな?
登校拒否児が学校に行こうとするとお腹が痛くなるように、
耳が着信音を聞かないようにしてるの?
ケータイ拒否児?(「児」ってことはないか・・・)

こういうのって僕だけなんでしょうか?
ふつーの人は、ちゃんと電話に出れてるのでしょうか?
すっごく不思議。


もしかして、誰にも通じないことを書いてる?


12月25日(木よう日) 日直・鬼界
イブの夕方、商店街はかなりの人ごみだった。
ごった返す人々の3人に1人がケーキを持っている。
それもそのはず、
商店街は“ケーキ地獄”と化していたのだ。
ケーキ屋が女子高生のバイトにサンタの服を着せ、山積みされたケーキを売っている。
パン屋でもサンタがケーキを売っている。
コンビニも負けてない。
セブンが、ファミマが、エーピーが、サーKが、ローが、ミが、(←略しすぎ)
ケーキを売っている。
手作りサンドイッチ屋もケーキを売っている。
いつもは「サンドイッチの専門店。サンドイッチしか売ってません」と自慢してるのに、
こんなときはケーキ売ってもいいの?
・・・ま、いいか。
とにかく、商店街はケーキであふれ、
ケーキを買わないとクリスマスを過ごせないぞ、と圧力をかけられてるようだ。
漬け物屋までが便乗している。
キューリの浅漬けに、タカの爪をトッピングして、
「ケーキのあとに、さっぱりと‘クリスマス漬け’はいかがでしょうかぁ」と叫んでいる。
たしかに、緑と赤でクリスマスカラーだけどさ・・・。

クリスマスって、そういうもの?
キリストの誕生を祝うんじゃなく、ケーキを食う日かよ!
日本人は、なんか間違ってないか?

って、いちおー、言ってみたりしたものの、
僕もケーキ食ったもんねえー!
だって、ケーキうまいんだもん。
キリストなんて関係ねえよ。
クリスマスは、冬の一大イベントの日!
それでいいもんねー。


12月24日(水よう日) 日直・鬼界
昨日、ケーキを買うので、駅前を通りかかると、
バスロータリーのすみに若いカップルがいた。
どこかで飲んできたらしく、
祝日の午後2時だというのに、
男はけっこう酔っ払ってて足元フラフラ、ろれつもアヤしい。

男「だ、で、でもよぉ」
女「だからぁ、そこで誠意を、見せなきゃダメなんじゃん。」
男「だ、だ、だもよぉ」
女「ミエコわぁ、誠意を求めてると思う」
男「すぇ、誠意って、どうすりゃいいんでぁ?」
女「それ、わかんのが、いい男じゃん。いい男って顔じゃないし。誠意なのよね」

どうやら、男のカノジョに相談された女が、男を呼び出して説教してたようだ。
が、悲しいかなバカ女だ。どこかで覚えた、「誠意」という言葉をやけに連発している。

僕があれこれ買い物をすませ、再び駅前を通ると、
バカップルは、まだ、そこにいた。
話は続いているようだ。

男「んじゃあ、ディズニーランド行こうぜ」
女「アハハハ、バッカ、今から行けるわけないじゃん」
男「んじゃあ、飲みに行こうぜ」
女「えぇぇ、飲み行くのぉ?」

男が女を口説いていた。
しかも、女もその気になっている。
マジっすか?
カノジョの友達だぞ。
友達のカレシだぞ。
説教はどうなったんだよ?
「誠意」の意味、知らねえんじゃないの?
ひっでえーっ!

男「んじゃあ、オレんちで飲も」
女「(いかにも驚いた風に)えぇぇぇーっ!」
男「ウチ来いよぉ」
女「(いかにも困った風に)えぇぇぇぇぇーーっっ!」
男「ぜったい手ぇ出さねえからよぉ」

手ぇ出すことしか考えてないくせに、よく言えるな。
ホント、バカ。
てゆうか、ある意味、幸せな2人だ。少し羨ましい・・・。
こんなふたりに、メリー・クリスマス。


12月23日(火よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 「ユーミンの唄じゃないけど、
私、けっこうシャレたカッコしててよかったわ〜。
化粧もしてて良かったわ〜。」
と、H子。
ま、ね。
15年ぶりに再会した人に、
「この女、えらく、年食ったなぁ・・・。」と思われるのは悲しいね。
H子の安堵の言葉は、さらに続く。
「5年前に逢っちゃってたら、ヤバかったね。
今より7kg太ってたからね。
いやぁ〜、元に戻しといて良かった。
あぶなかった、あぶなかった。
見過ごされなくて良かった。
私だと判ってもらえて良かったぁ。」
良かった、良かった・・って、
逃げ出したも同然の卑怯者に再会できたのが、
そんなに嬉しいかね?・・・と、H子に言ってみた。
「嬉しい。
だって、結婚したいほど好きだったんだもん。」
H子とピューは、短い立ち話の後、
「後日、ゆっくり会おう」
と約束。
連絡先を交換し、その日は、別れた。
 そして、後日。
改めて会ったH子とピュー。
幼い女の子2人の父親になっていたピューは、
少し太って貫禄がついた感じ。
「子煩悩とみえ、
子供の話をする時のピューの目は、一層、優しくなった。」
とH子は私に言った。
懐かしい話をたくさんし、
結局、その日、
2人は深夜まで一緒に過ごすこととなった・・・。
 
 H子とピューは、また会う約束をしたらしい。
H子の恋、再燃か?
・・・・・不倫する気か?
15年前、
2人のデートに必ず後輩を伴なってくるなど、
今思えば、ある意味‘不倫を回避’していたピュー。
最終的に、九州にトンズラまでして。
今は、野放し?
やりたい放題?
H子、これでいいのか?
私は、静観するのみか?
なぜ、再び逢ってしまったのか。
「運命の悪戯」とは、よく言ったもの。
H子、どうなる?!
 とりあえず、私は、もう‘こがピュー’とは呼ばないよ。
‘小金井’と呼んでやる。


12月22日(月よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)

 ある日の早朝、
自宅のベッドで、ふと目覚めたH子は、
「そうだ、今から、こがピューの家の最寄の駅に行っちゃおう!」
と思いついた。
通勤途中のピューを、駅の改札で待ち伏せするのだ。
そうすれば、
新宿まで一緒に電車に乗り、その間、2人で話せる。
八王子クン抜きで、ゆっくりと。
なにより、会いたい。
顔が見たい。
自分の出社時間にも、充分、間に合う。
思い立ったが吉日、
飛び起きて、横浜方面へと急いだ。
最寄り駅の名は、ピューに聞いて知っていた。
 待つこと40分。
駅前のバスターミナル内に、一台の乗用車が停まった。
H子は、
助手席からピューが降りるのを、見た。
運転席に座っているのは奥さんだ・・・と、H子は直感した。
そこにH子が待っているなどとは、
しかも、
妻の送迎する車から降りる場面を目撃されたなどとは、
夢にも思ってないピューは、
足早に改札へと向かってきた。
H子が立ちすくんでいる改札へと・・・。
  そのあと、2人の付き合いは終わった・・・
というわけではなかった。
会って、食事をし、飲んで、泊まった。
ただ、
その日をさかいに、
ピューは、デートに八王子クンを連れて来なくなった。
 私は、
H子が、ピューが既婚者と知る前、
私に「こがピューと結婚したいなぁ。」と言ったのを覚えている。
それ以前も、それ以後も、H子が‘恋多き女’であることに変わりはないが、
H子の口から、誰かと「結婚したい」という言葉を聞いたのは、
後にも先にも、その時だけだ。
当時、H子は、まだ23歳。
しかも、
「主婦」とは程遠いキャラクターのH子が、
「結婚」を考えたということが、
私にとっては、なにしろ意外だった。
あれから15年。
その間、H子から、
誰かを「好きになった」という言葉は、何度か聞いたが、
「結婚したい」という言葉は、耳にしていない。
ピュー以上に好きになれる人・・・
そんな相手に、まだ出逢えずにいるのだろうか、H子は。
 H子とピューの関係は、
しかし、
15年前、終わった。
八王子クンを伴なわないデートを、数回重ねた後、
ピューは、突然、H子の前から姿を消した。
自ら願い出た転勤で、
奥さんと2人、九州へ行ってしまった。
H子には何も言わずに。
H子が、そのことを八王子クンから聞いたのは、1ヶ月も経ってからだった。
私とH子の会話の中で、
‘こがピュー’という名は、次第に出なくなっていった。

そして、
4日前。
H子が飲みながら言ったのだ。
「このあいだ、新宿で、
ばったり、こがピューに逢っちゃった。」
と。
本当に偶然、歩いていて、バッタリ逢ったらしい。
ピューは、東京に戻って来ていたのだ。
        (つづく)         


12月20日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 15年前の当時、
‘こがピュー’こと小金井クンとH子のデートは、
おもに、新宿の一流ホテルでだった。
レストランで食事をし、バーで飲み、部屋でくつろぎ、・・・。
い〜じゃん、楽しそ〜じゃん。
さすが、
高給取りのH子、
かつ、
男に尽くすH子、
デート代は、ほぼH子もち。
でも、
い〜じゃん、楽しそ〜じゃん。
これが、ピューと2人だけならばね。
なぜか、
ピューは、H子とのデートに、
必ず、会社の後輩である八王子クン(仮名)を伴なった。
H子と同い年の八クン、
先輩であるピューの言いなり。
八クンは、一体、ピューに何と言われて、一緒に来るのだろう?
尋ねるH子に、ピューは、
「3人の方が楽しいじゃん。」
ピューの真意、イマイチ解からず・・・。
ま、ホテルの部屋でのランチキ騒ぎは、確かに楽しかった。
ウィスキーのボトルを持ち込み、
ストレートでガンガン飲みながら、3人で‘山手線ゲーム’。
(山手線ゲーム・・・って、私、やったことないんだよねぇ。楽しいの?)

H子が、早朝、ホテルのベッドで目を覚ます。
ピューも、八も、居ない。
テーブルの上は、空のボトルやらグラスやらが散乱している。
昨夜の残骸だ。
いつの間に寝てしまったのか。
八が酔って、湯の張ってないバスタブの中で、眠ってしまった・・・
その姿を見たまでは覚えている。
「私が寝たあと、こがピューが八クンを起こして、タクシーで帰ったんだな。」
いつものことだ。
そして、
てんてんと足跡どおりに脱ぎ捨てられた、
パンツ・ブラ・ストッキングほか自分の衣類が目に入る。
「ゲゲッ!また脱いだんだ、私。」
そう、その時、H子、素っ裸。
これまた、いつものこと。
H子は、酔うと裸で寝るクセがあるのだ。
八クンは、先にバスタブで寝てしまったから、
どうやらピューにしか見られてはいないはず。
毛布を掛けてくれたらしい。
こうして見るとかなりバカっぽい総レースのパンツとブラを、
再び身につける時、
さすがに、ちょっぴり恥ずかしい。
とかいいながら、H子、2度寝。
も、ガーガー、寝る。
そして午前11時5分前。
ホテルの部屋のドアをノックする音で、再度、目覚めるH子。
ドアを開けると、そこには、
きちんとスーツを着込んだ八王子クンが。
「小金井さんの使いで来ました。」
11時出勤のH子を、起こしに来たのだ。
すっごいスピードで身づくろいし、ホテルを飛び出すH子・・・。
H子は、思う。
「どうせなら、八王子を11時20分前に寄越せよ、気が利かねーなー。」と。

毎度、こんな感じだったらしい。
たまらんぜ、これ・・・八王子。
それにしても、
ピューが、いつも八づれだったのは、いかに・・・?
        (つづく)


12月19日(金よう日) 日直・橋本
 昨日、
飲みながらH子から聞いた話を、書いちゃえ。
恋愛話。
そう、
思うに、
この人と飲む際の話題は、ほとんどが恋愛話。
で、
そのうち95%、H子が話し手。
残りの5%を、私が、
「私も話す!私も話す!」とばかりに、
スキを見て割り込み、
かろうじて、もぎ取る。
毎度、毎度、おなじみの、
「大学卒業したての20代前半の頃の、
橋本、唯一の恋愛話」
を、あたかも現在進行形のように、
フレッシュな気持ちで話してみるも、
もっともっと自分のことを話したいH子が、
「あー、それ、知ってる。前、聞いた。」
と、軽く却下。
くそ。
私にも語らせろ、恋愛話。
私のヒンソな恋愛史に、たったひとつポツネンと、
しかし、さんぜんと北極星のように光り輝く恋愛話を、
鼻クソのように扱いやがるぜ、
どいつもこいつも。
あぁ、私のポーラ・スター。
もしくは、サザン・クロスよ。
どっちゃでもええわ、
輝け、とわに。
・・・ま、仕方ない。
H子に、人の話を聞くヒマはないか。
恋多き女ゆえ。

 H子は、
「15年前に、半年間、恋心を燃やした彼」(←H子が言ったまんま。)
に、先日、ばったり、新宿で遭遇。
この小金井クン(仮名)の名は、
私も、よーく覚えている。
当時、H子から、よく聞かされたもんだ。
H子は、2つ上の小金井クンを、
私に話す時「こがピュー」と呼んでいたっけ。
たまらんぜ、
25歳の男が「こがピュー」とか呼ばれちゃっちゃぁ。
ピューって・・・なに?
こがピューとは、仕事がらみで知り合ったH子。
こがピューに一目ぼれ。
美人の誉れ高きH子、
臆することなく、だからといって、押し付けがましくもなく、
熟練の技で、こがピューにアプローチ。
ピュー、まんまとハマる。
ピューも、25歳の男だ、仕方あるまい。
H子、ハッピー。
いや、そうとも言えず。
ピューとのデートは、
H子にとっては、不満を持つべきものであった。
         (つづく)


12月18日(木よう日) 日直・鬼界
山手線で座って本を読んでいたら、
目の前に美脚が立った。

関東美しい脚連絡会の副理事をしている僕が保証します。
まれに見る、美脚です。

こういう場合、しろーとはすぐに視線を上げて顔を見たがるが、
じっくり時間をかけ、自分をじらしながら、見なければいけない。
それがプロだ。

まず、ヒザから下。
うーん、美脚だ。
ネイビーのハイソックスにローファー。
ふむふむ、女子高生か。

少し視線を上げる。
おぉっ!スカート丈はヒザ上10センチ。
今どき珍しい、おマジメな女学生だ。
良家の子女の美脚!

と思いきや、スカートに丸い焦げ穴があいている。
タバコだ・・・
良家の子女でありながら不良少女の美脚?

しかも、焼け穴は全部で4つある。
うぅむ、良家の子女でありながら相当の不良少女の美脚か・・・

さらに視線を上げると、
ブレザーのところどころに絵の具がついている。
良家の子女でありながら相当の不良少女なのに絵描きさん志望の美脚。

エリを見ると、“美”の文字がデザインされた校章バッヂをつけている。
美大の付属高校だ。
僕の想像は的中しているのだ。さすが鬼界プロ。

次は腕を見る。
ややっ!ソデが擦り切れているではないか!
終戦直後じゃないんだから、擦り切れたソデなんぞ見たことない。が、
その子は擦り切れなんてナマ優しいもんじゃない。
ソデが2枚の布をただ重ねた状態になっていて、
糸がビョンビョン飛び出ているのだ。
良家の子女でありながら相当の不良少女なのに絵描きさん志望だが超貧乏な美脚。
こ、これはスゴイ!
いまだかつて、これほど興味をそそる美脚にさすがの私も出合ったことがない。
好奇心をパンパンに膨らまして、
僕は視線を上げ、遂に、その子の顔を見た。
一瞬にして、好奇心も興味も失った。

ま、男なんて、こんなもんっすよ。


12月17日(水よう日) 日直・鬼界
 ◎入ったことを後悔する店
ヒゲそり泡のそばにバンドエイドが常備してある床屋

床屋さんを利用しない女性のためにご説明申し上げますと、
髪の毛を切ったあと、ヒゲを剃ってくれるんです、散髪屋さんは。
ですから、鏡の前に、
ヒゲソリ泡器(トイレの泡石鹸器みたいに、ワンプッシュで適量の泡が出るマシーン)と
カミソリは、当然置いてあります。
が、
昨日、飛び込みで入った床屋は、
その横にバンドエイドがそっと置いてあったのです。

「ヒゲを剃るのがとてもヘタなんで、
しばしば、お客さんの顔を切っちゃうんですよ、ごめんなさいね。
でも、大丈夫!血が出たら、すぐにバンドエイドを貼ります。ご安心ください」
ってことでしょ?

すっげえイヤ!貼るまえに切るなよ!

あるいは、

「お客さんのヒゲを剃るのはけっこう上手です。
でも、なぜか、しばしば自分の手を切っちゃって血だらけになるんです。
でも、大丈夫!お客さんの顔に血がしたたる前に、バンドエイドを貼ります。ご安心ください」

これもすっげえイヤ!
てゆうか、ある意味、こっちのほうがイヤ!

だから、僕は言いました。
「あっ、そうそう、時間がないんで、ヒゲは剃ってもらわなくていいです」
自分の身は自分で守らなきゃね。


12月15日(月よう日) 日直・鬼界
今、気になって眠れないことがある。

ディズニーランドとかディズニー映画とか、
なにげにディズニー、ディズニーって言ってるけど、
もともとは人の名前だよね。
ウォルト・ディズニー。
ってことは、ディズニーってのは名字(みょうじ)なわけだ。
でもさ、ディズニーさんって、他に聞いたことある?
僕は生まれてこの方、ディズニー以外のディズニーさんを見たことも聞いたこともない。
もしかして、超々珍名さん?
それとも、芸名?てゆうか、何名(なにめい)?

気になって眠れない。
ぜんっぜん、どーでもいいことなんだけど・・・・


今日の日誌を書いてて思ったんだけど、
名字とか何名って、
口で言うと問題ないのに、字で書くとなんかピンと来ない。
名字って、パッと見ると、‘なじ’とか‘めいじ’って読みそうで、
姓の「みょうじ」って感じがしない。
何名なんて、絶対、‘なんめい’って読むよね。
でも、字で書くと、‘なにめい’は‘何名’なんだよね。
なんか日本語って不思議だ。

これまた、ぜんっぜん、どーでもいいことなんだけどさ・・・


12月14日(日よう日) 日直・鬼界
ケータイに着メロを導入した。
あん?「導入した」って、ヘンだな・・・
なんて言うの?
「着メロを入れた」?「着メロった」?「着メロンパン」?
とにかく、
生まれて初めて、ケータイの着信音を着メロにしたのだ。

こう書いてて、すでに悲しい・・・。
生まれて初めての着メロぉ?
いったい何時代の人間?
と、自分自身でも思ってしまいます。

そして、無事、着メロを導入するのに、3時間かかった。

悲しすぎる。
バカ高校生や小学生でも3分でやるだろうに、なんで3時間?
いったい何時代の人間?

だって、だって、着メロサイトって、やったらあるじゃん。
ずぅーっとずぅーっと探していって、
よしこの曲にしよっ!と決めるまでに2時間。
いざ、ダウンロードしようとすると、
会員登録が必要なサイトだった。
着メロなんか、ひんぱんに替えるもんじゃないから、
月々何百円も払うのはイヤだ。

と書いたら、また悲しい。
着メロは、ひんぱんに替えるもんなんだよね、世間一般は。
でも、ぜーんぜん、そんな風には思わないもん・・・
時代とずれてる・・・

で、別の着メロサイトにいって、延々と探して、
ダウンロードしました。
よっしゃ!これでオッケーさ!と思ったのに、
着信音が変わりやしねえ。
なんで?なんで?なんで?
取り説も読んだし、あらゆるボタンを押しまくってもみた。
さっぱりわからん。
vodafoneに電話したさ。
「着メロのやり方、教えて下さい」って。
ちょっと恥ずかしかった・・・。

でもさぁ、ダウンロードするだけじゃなく、‘登録’しなきゃいけないなんて、
なんでわかる?
どこにも書いてないじゃん。
いや、確かに、ダウンロード画面に
「ダウンロードしたあとは、着メロに登録してね」とは書いてあった。
でも、それは「音ネタが着メロとして鳴るように設定してね」という意味だと思うじゃない?

と、書いてて、どんどん悲しくなる。
登録するなんて、
日本国民の大多数が知ってるに違いない、
あったりまえのことだ。
そんなこと知らない人がまだいたの?というくらいの常識だろう。

わかってみれば、簡単であたりまえだが、
知らなければ、さっぱわかんないぜ。
あなただって、
初めて着メロしたときとか、初めてパソコン使ったときは、どうだった?
さっぱわかんないっしょ?
江戸時代の人がデジカメ渡されても、さっぱりわからないじゃん。
それとおんなじさ。

と書いたら、より一層悲しい。
僕は江戸時代の人間並みだって自分で言ってるようなもんだ・・・。
オレ、鬼界、時代とずれてるオトコ。


12月13日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 裏の番長。
略して裏番かと思っちゃいましたよ、私、小田智子を。
「ちょっと一緒に来てくれる?」
と笑顔で誘われて、
マジ顔で「・・・なんで?」ってこたぁないと思うよ。
私だったら・・・・・
「え?なになになに?なにっかな〜?」
と、アホ丸出しの笑顔で、
なにか楽しいことかしら〜ん♪と、無条件で付き従うとみた。
・・・私、バカかしら?
ところで、
ミッちゃん、
出たよ、ここでも、予想外の展開だぁ。
前タメ(「言葉を発する前に、溜める」こと)で、
「・・・なんで?」
と聞かれ、
すっかりビビッたミッちゃんは、
思わず答えちゃった。
「に、西原クンが呼んでるの!」
「・・・・・・なんで?」
さらに長くなった前タメに、一層ビビッたミッちゃんは、
「に、西原クンは、小田智子さんを好きなので、
告白したいって、言ってます。」
あーあ。
全部言っちゃったよ、この人。
単なる伝令係と化したミッちゃんに、
前タメの女王・小田智子は、言った。
「・・・・・・・・・・・・別になんとも思ってないから、って言っといて。」
ミッちゃん、
「はい!」と、イイお返事をし、
小田智子の前から逃げるように去る。
そして、
再び、西原のもとへ走る。
私たちも走る。
西原がバカ面こいて待っている。
ミッちゃん、報告する。
「西原クンのことは、別になんとも思ってないから、って・・・。」
それを聞いた西原の顔が、
みるみる赤くなった。
「俺は、呼んで来いって言っただけじゃねーかよ!
誰が、小田智子の返事を聞いて来いって言ったんだよ!
おまえ、なんて言ったんだよ!」
西原、豹変。
ミッちゃんの胸倉をつかまんばかりの勢いだ。
あわれミッちゃん、
泣き声になるのを懸命にこらえ、
「西原クンが告白したい、って・・・。」
と、やっとの思いで答えた。
やり場のない怒りを、西原は、何にブツけたか?
ミッちゃんの、例の、赤いリボンの小箱・・・
あれをポケットから出すやいなや、
床に叩きつけた。
バンという音が、
廊下に響いた。
「おまえ、バカだから嫌いなんだよ!」
そう言い捨てて、
ミッちゃんを一人残し、西原は行ってしまった・・・。
 西原にしても、
小田智子への思いを、第三者の手で台無しにされて、
軽んじられたような、
恥ずかしめられたような・・・
そんな悔しさ、
そして、
フラれた事実に対するショック、
フラれたのをミッちゃんに知られた屈辱、
そういったもので、あんなヒドイ態度をとってしまったのだろう。
でも、自業自得。
可哀相なのは、ミッちゃんだ。
ひとりポツンと、渡り廊下に残ったミッちゃんは、
先に教室に戻って待っていた私達のところに、
しばらくしてから、
やって来た。
私たちが、かげでノゾキ見していたことは判っていたはずだ。
真っ赤な顔に、真っ赤な目をしたミッちゃんは、
エヘエヘ笑いながら、
「ダメだった〜。他に好きな子が居るんだって〜。」
と報告し、
カバンに、赤いリボンの小箱を、
そっと、しまった。
小箱の中身が何だったのか、
私たちは誰も聞かなかった。


12月12日(金よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)

 西原も西原だが、
ミッちゃんもミッちゃんだ。
「小田智子を呼んで来いだ?
ざけんなよ。
てめぇで行って来い。」
の一言ぐらい、
・・・・・言えないか。
なにせ、
ミッちゃんには、予想だにしなかった展開だ。
「キミの気持ちは嬉しいよ、ありがとう。
でも、ボクは、
キミの気持ちには応えられない。ごめん。」
これだ、これ、予想してたのは。
これだったら、
少なくとも「あなたを好きだった」という思いだけは、
ちゃんと受けとめてもらえた・・・
という満足感を、
ミッちゃんも得られたに違いない。
そうなると、そのあとの展開は、こうだ。
ミッちゃんが、
「・・・誰か、好きな子が居るの?」
と尋ねる。
「ミッちゃんの思いに応えられないなら、
その問いに答えるのが、僕の義務だ。」
そう考えた西原が、
「うん・・・。」と。
ミッちゃんが「だーれ?」と。
そして、西原が答えるのだ、
「小田智子さん・・・。」
と。
ね。
こういう、きちんとした段取りをふめば、
ミッちゃんも、その都度その都度、
ショックをクリアしていける猶予を持てるというもんだ。
この短い問答の間にも、
「いいんだ。思いは伝わったんだ。
もう、充分だ。3年間の思いに決別しよう、たった今。」
とかなんとか、
自分に言い聞かせたりも出来ちゃったりして。
それに比べ、
実際の西原がやったことといったら・・・・。
ミッちゃんの思いも、
ミッちゃんの存在までも、
まったく無視したかたちとなった。
ミッちゃんの告白も、プレゼントも、宙に浮いちゃった感じ・・・。
中3のガキでも、
‘人の思い’を、ちゃーんと汲めるヤツは、居る。
西原は、ダメすぎる。
きっと、今、ロクな男になってない。
 で、話を戻すと、
その、さっきの「きちんとした段取り」を、
ふまなかったゆえ、
ミッちゃんの衝撃・動揺は、おさまる機会を逃してしまった。
ショックをクリアする猶予もヘッタクレも、あったもんじゃない。
そんな、動揺しっぱなしの心と頭では、
モノゴトを冷静になんて、到底、考えられない。
加えて、
ミッちゃん、頭が悪い。
西原の
「小田智子を、ここへ呼んできてよ。」という、
あまりにも非常識かつ理不尽な命令に、
なにがなんだか解からぬまま、
「ん。じゃ、呼んで来るね、私!」
と従うハメになる・・・というおバカな結果となった。
 私たちノゾキ隊も、
ミッちゃんを尾行し、
4組の教室へ走った。
小田智子は、まだ、帰宅せずに居た!
ミッちゃんが、ドアの所から声をかける。
「小田智子さん、
ちょっと。」
小田智子は、けげんそうな顔でドアの所まで、やって来た。
「ちょっと一緒に来てくれる?」
ミッちゃんが笑顔で誘う。
小田智子は、微笑みもせず
「・・・・・なんで?」
なんで?・・・って、
ちょっと恐いぞ、小田智子。
ところで。
だから、なんでフルネームなんだ?小田智子。
        (つづく)        


12月11日(木よう日) 日直・鬼界
おとといの日誌に書いた、
“超デブはどうやってやるのか?”という疑問に
たまたま仕事で一緒になった前田くんが答えてくれた。

前田くんは若いながらも自他共に認める、格闘技マニアで
コネを利用して、武蔵丸の飲み会に参加したことがあるのだそうだ。
「飲み会」といっても、‘和民’なんかじゃなく、
銀座の和風バーだ。
20畳くらいのお座敷に十数人がいたそうだ。

武蔵丸の隣りに座った前田くんは
得意の口のうまさで
各種挌闘家の裏話をおもしろおかしく話し、
武蔵丸にとても気に入られた。

武蔵丸「前チャン、キミ、おもしろい。ブブブブブ」
  注)武蔵丸に‘前チャン’と呼ばれるくらい仲良くなったそうだ。武蔵丸は、「ブブブブブ」と笑うのだそうだ。

前田くん「丸関、ひとつ聞きたいことがあるんですよ」
  注)武蔵丸のことは、‘丸関(まるぜき)’と呼ぶのだそうだ。

武蔵丸「なんだ?」

前田くん「Hするときはどうやってやるんですか?」

武蔵丸「ボボボボボ、メとむかって、そんなことを聞くのは、前チャンが初めてだ。ボボボボボ」
  注)武蔵丸が大笑いすると、‘ボボボボボ’と聞こえるそうだ。「メとむかって」は「面と向かって」と言いたかったらしい。(前田談)
    「ふつうにやるよ」

前田くん「ぇっ正常位ですか?」

武蔵丸「ボボボボボボボボボボ、そうだよ、ボボボッボ


前田くんの脳は大回転を始め、その様子を想像した。
「女の人が寝てるよね。で、足を開いて、その間に丸関が入るとすると・・・・
えぇぇぇぇっ!この巨体がそんなスペースに入り込むぅ?
不可能だぁ!!
ってことは、ヒザを抱え上げ・・・・
いやいや、そもそもだ、この体重が少しでも女の人にのしかかると、
女の人は窒息死だ。
‘哀れ!相撲取りの妻、深夜の窒息死!!’
そんなニュースは聞いたことない・・・。
ってことは、丸関は、やってる間じゅう、自重を自ら支えているのだ。
えぇぇぇぇ!腕立てしながらやるって感じ?気持ちよくねぇー!!
一体どうやんだ?」

????でいっぱいになった前田くんは思わず立ち上がっていた。

前田くん「ちょっと、実際にやってもらってもいいですか?」

畳の上に寝転んだ前田くんを見て、武蔵丸は
「ボボボボボ、前チャン、キミ、Hね。ボボボ。」と嬉しそうに、
立ち上がったのだ。

うっわ!すっげえ!関取Hの実演だぁ!
と、前田くんが喜んだ瞬間、
相撲協会の人が
「丸関、それはちょっと・・・」と止めてしまった。
横綱の品位を汚すってことなんでしょう・・・。

結局、
細かいところは想像にお任せしますが、
相撲取りのような超デブも、ふつうにやるそうです。
てゆうか、やれるそうです。


12月10日(水よう日) 日直・橋本
 おとといの日誌に書いた、
「ちなみにミッちゃん、
中3の時、告った男から、
その場で「おまえ、バカだから嫌い。」と、
悲惨なフラれ方をした経験あり。
私、その現場を目撃。
後日、書きましょうか?」
を遂行します。

『〜中学3年生のミッちゃん、告ってフラれる〜』の巻
 卒業式も近い、うららかに春めいた、ある日。
ミッちゃんは、
中1の時から思いを寄せていた西原クンに、
思い切って告白することにした。
「3年間の思いを、解かってほしい」
「心残りをなくして卒業したい」
卒業を目の前にして、
きっと、そんな思いを強くしたのにちがいない。
そして、
もちろん、
「高校に進学してからの付き合い」 
を期待する気持ちも有っただろう。
 ホームルームを終え、
当番は掃除を始め、
他の者は、帰るなり、部活に顔を出すなり・・・の、そんな時間帯。
ミッちゃんは、
勇ましくも一人で、5組の教室へ行き、
西原クンを「ちょっと来てもらえる?」と呼び出した。
ミッちゃんのアトをつけ、
それを確認したサナエが、
「いよいよ、ミッちゃんが告白するみたい!」と、
戻って来て、私たちに報告。
「見に行こ、見に行こ。」
と、教室に残っていた者8人ほどが、ゾロゾロと見学に。
ミッちゃんは、
人通りの少ない、別館への渡り廊下に着くと、
思い切って、西原クンに言った。
「1年の時から、ずっと、好きだったの。」
そして、
「・・・・・これ、受け取ってもらえる?」
と、包装され、赤いリボンが結ばれた小箱を手渡した。
西原クンが、それを受け取る。
2人から見えないように、隠れてノゾキ見していた私達は、
「おっ!ウマクいくのか?!」
と思った。
その時点では。
西原クンは、
照れながら、こう言った。
「俺、好きなやつ居んだよね。」
言いながら、
あたかも無意識のような感じで、
いや、もしかしたらホントに無意識に、
リボンの小箱を、ズボンのポケットに入れちゃった。
ミッちゃん、
九分九厘、予想していた相手の言葉とはいえ、
実際に言われて、
大ショック。
第三者の私でさえ、西原クンの「好きなやつ居んだよ」を聞いた瞬間、
心臓が、ズキンとした。
ミッちゃんのショックは、どれほどだっただろう。
プレゼントも、おざなりにされて・・・。
ミッちゃん、それでも立ち直ろうと、
精一杯の笑顔で、
「あ、そうなんだぁ!だーれ?」
西原クンも、誰かに言いたかったのか、即答。
「4組の小田智子。」
・・・小田智子ね。
納得。
色白の美少女。おとなしいので目立たぬが、ファンは多い・・・と噂の子。
ミッちゃん、
残念だが、はなから全く勝負になってない。
そして、
ミッちゃんの衝撃は、さらに続く。
「おまえ、ちょっと、小田智子をここへ呼んできてよ。」
と、西原(呼びつけ、もう)。
どうやら、
ミッちゃんに触発され、自分も告白する気になったらしい。
「へ?今?ここに?私が?小田智子を?」
ひどい。
あまりと言えば、あまりの仕打ち・・・。
そして、さらなる仕打ちがミッちゃんを待っていた。
ところで、
なぜに小田智子は、
「小田智子」と、皆にフルネームで呼ばれてたんだろう?
        (つづく)


12月9日(火よう日) 日直・鬼界
山手線にデブがいた。

並みのデブじゃない。
うっわ!子象が電車に乗ってる!!と思ったほどだ。
(↑言いすぎ。でもね、グレーのフリースに、グレーのチノパンだったんだよねえ)

とにかくデブい。
太ももは小学生の胴体くらいある。
そんな醜い足をガバァッと、おっぴろげている。
てゆうか、閉じようにも閉じないんですね。
3人分の座席を占領したうえ、
デブの隣りに座るのをみんなが嫌がるので、
都合、5人分の座席を一人で使ってる。

座っているのに、腹は異様に突き出し、下腹部はあられもなくせり出している。
だ・か・ら、ついつい視線が股間にいってしまう。

パンツ脱がせたら、どうなってんだろ?
足ほどには立派じゃないだろうな。
脂肪に埋没して、行方不明になってたりして?
でも、やるときゃ、やるんだよね?
どうやって?
相撲取りのごとく?
え?マジ?こんなデブに、乗ってくれる女性がいるの?

などと、真剣に思い悩んでいたら、
突然、
ガガガ、ガガガ、ガガガゴゴ
異様な音が響き渡った。

デブがイビキをかき始めたのだ。

さすが、デブ!
浅い眠りでも、豪快なイビキだ。ブタ同然!

ガガガ、ガガガ、ガガガゴゴ
昼下がりの電車に響き渡る
ゴゴゴ、ガガガ、ガガゴゴガ
そのときだ
ピタ・・・・
イビキが止まった。

おぉ、無呼吸症候群だ!
ナマで初めて見たぜ。
死ぬんじゃねえか、こいつ。

が、僕の心配をよそに、再び
ガガガ、ガガガ、ガガガゴゴ

幸せなデブだ・・・。


12月8日(月よう日) 日直・橋本
 電話嫌いの私としては、
同窓会連絡係のミッちゃんとのヤリトリは、
できるならば、
メールで済ませたい。
主婦をやってるミッちゃんちへの電話は、
時間帯も気を遣うし。
帰宅してからだと遅くなって悪いな・・・と、
先日の、こちらからの電話は、
出先の公衆電話で、かけた。
で、
切りぎわ、ミッちゃんに、言ってみた。
「パソコン、有る?」
ミッちゃんは、「ううん。」と答えた。
「携帯メールって、出来る?」と聞いたら、
「うん。」と。
逆に、
私は、携帯メールがウマク出来ず、パソコンオンリーだが、
これで電話を使わずに済む。
「んじゃ、メールにしよ。
アドレス、教えて。」
と、バッグからメモ帳とボールペンを出し、準備。
「はい、いいよ。」
「えーと、アール・アイ・エヌ、・・・」
ここで、チョッとミッちゃんを紹介いたしますと、
ミッちゃんは、
はっきり言って、中学時代、かなりのおバカさんでした。
成績悪し。
マジ、「こいつ、高校、行けんのかよ。」というほどの。
なんとか最低ランクの高校へ入学したが、
卒業したかどうかは、
「あんたって、卒業できたの?」とも聞けず、
いまだ不明。
ちなみにミッちゃん、
中3の時、告った男から、
その場で「おまえ、バカだから嫌い。」と、
悲惨なフラれ方をした経験あり。
私、その現場を目撃。
後日、書きましょうか?
話、戻ります。
そんなおバカなミッちゃんの読みあげるスペルが、
なんとなしに信用できず。
そこで、
「スペルじゃなくて、なんて読むのか言ってみてよ。」
と、うながした。
「ん。リンダ燃え尽きそう。」
「リンダ燃え尽きそう。」
と大声でリピートしつつメモ帳に書きとめ始め、
「あっ!」と公衆電話だったことに気づき、
急いで周囲を気遣い、
誰も居ないことに、ホッ。
「・・・・・なーに?これ。」
「ん?山本リンダ、好きだから。」
じゃ、「リンダ困っちゃう」・・・じゃねーの?
「困っちゃう」の「っちゃう」をローマ字にするのが解かんないのか?
じゃ、「リンダ」でいいんじゃねーの?
そのあとの、
ドットを点、
スラッシュを斜め線とか言ってる人が、
シャレたアドレスつけやがって。
 後日、ミッちゃんから、
アドレス変更のお知らせメール。
新しいアドレスは、
「いとう。」
いとう・・・?
ミッちゃんの旧姓でもない・・・。
・・・誰なんだよ!「いとう」って!
わっかんないよなぁ。


12月7日(日よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 菊間は死んでいた。
「・・・・・。
ワッハッハ!」

人の死を聞いて、大笑いしたのは初めてです、私。
なんと不謹慎な!
・・・ぐふふ。
悲しい話をしたはずが、爆笑を得、
きっと電話の向こうで「???」になっているだろうミッちゃんに、
「なんで、なんで?死因は?死因。殺されたか?」
エヘエヘ笑いながら、
そう聞いてみた。
ミッちゃんは、
何がオカシイのか判らないながらも、
つられてウフウフ笑いながら、
「え〜?わからないけどぉ、もう、ずいぶん前みたいよ〜。」
と。
へぇ〜。早死にか。
そうか。
菊間は、死んでいたのか。
たとえ嫌いだった先生でも、
「死んだ」と聞けば、
「あの先生・・・死んじゃったのか・・・」
と、少しはしんみりするもんかと思ってました、私。
それが、
まったく、
かけらも、
感懐を起こさなかったとは、自分でも驚きだ。
「人間、悪いことは出来ないね。
‘教師’という立場を悪用し、
思春期の子供たちを、傷つけ続けた罰だ。」
とまで思ってしまう。
菊間へは、
「嫌い」というより「憎い」という感情を持ってたからな、私は。
仕方ないか・・・。
しかし、
不幸な教師だよな。
死んで笑われたんじゃ・・・なぁ。
と、
ここで、
私は、考える。
じゃ、どの先生が死んだら、
私の心は、悲哀で満ちるのだろう?
・・・。
別に、居ないや・・・。
不幸な生徒だよな。
恩師と呼べる人が居ない。
恩師の死を悲しむことも出来ない、不幸な生徒。


12月6日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

教頭にチクった。
校長は「口が臭い」という、もっぱらの評判で、
菊間に脳天連打されたうえ、
口臭にヤラレるのは、私としてもキツイので、
教頭にしておいた。
だからといって、
教頭を、
一女生徒の、
一教師に対する不信感の訴えを親身に受け止めてくれるほどの人格者・・・
だとも思ってはいなかったが。
なぜって、
教頭、年の割りに髪が黒すぎる。
あれは、染めてるか、カツラかだ。
それだけで、もう信用できない。
教師たるもの、己を偽って、どーする。
ま、でも、口が臭いジジイよりマシか。
と思ったんだね、当時の私は。
 つたないながら事情を説明し終わり、
安堵と緊張の入り混じった心持ちでいる私に、
教頭は、言った。
「菊間先生からも事情を伺い、
そのうえで、私の方から話をしておきます。」
よーし!
菊間なんか、クビになればいいんだ!
とは思ったが、
同時に不安もあった。
「ヤツに仕返しされたら、どうしよう!」だ。
菊間は、当時、噂では37歳。
新聞屋の2階に間借り・・・と、これまた噂。
住み込みクンたちの部屋、奪ってんじゃねーよ。
しかも、2Kに5人で住むなよ。
貧乏人のくせに、3人も子供作りやがって。(by噂)
ほんとにエロだ。
だが、待てよ。
そんな貧困生活の菊間が、私のせいでクビになったとしたら・・・。
夜逃げした先から、
失職の恨みを、きっと晴らしに来るに違いない。
キチガイだ、なにをするかわからんぞ。
き〜ゃ〜〜!
ビクビク、ドキドキする日が、しばらく続いた。
が、
菊間、いつになっても辞めず。
な〜んら変化なし。
変わったことと言えば、
私への態度が、いくぶん冷たくなったくらい。
ホッとするやらガッカリするやら。
教頭は、
「菊間くん、あまり過激な体罰は、PTAの手前・・・ね?」程度の、
忠告もどきをしたに過ぎなかったんだろうな、きっと。
今だったら、
新聞沙汰にだって出来るよね。
くそ。 
 そんな当時のことを回想しつつ、
「ネチッコイ菊間のことだから、覚えてんだろうなぁ。
きたかど君に加えて菊間かよ・・・。
こりゃ、絶対、行けないな、同窓会。」
と考え、
電話の向こうのミッちゃんに、一応、聞いてみた。
「同窓会に、菊間は、来るよね?」
すると、ミッちゃんは、
「菊間先生?
亡くなったよ。知らなかった?」
          (つづく)


12月5日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 おそらく、菊間は、
「いや〜ん」もしくは「きゃ〜ん」あるいは「やめて〜ん」
この辺のリアクションを予想してたのだろう。
何も言わずとも、ポッと顔を赤らめ、うつむいたりなぞしたら、
菊間は、大満足だったに違いない。
それが、
己が手を払いのけられつつの「やめてよ!!スケベ!」の叱咤。
しかも、中3のガキに。
他の生徒が見てる前で。
菊間としては、大ショック。
面目丸つぶれ。
で、こうなった場合、
自分の非を認めるどころか、
反対に、
うしろめたさを上乗せして、自分を受け入れなかった相手へ、
理不尽な怒りをぶつけるヤツ・・・居ますよね?
それが、菊間。
そんなヤツが、「先生」やってるんだから、やんなっちゃうよ。
菊間は、
いきなり、
「なんだ!その態度は!」
と怒鳴ると同時に、
私の脳天を、思いっきり殴った。
バシーーーッ
というような、
お恥ずかしいほどの、スゴイいい音がした。
グーだと、あんな音は出ない。
パーで殴ったのだ。
そして、それが、また、スゴイ痛くて、
脳天がシビレ、
一瞬、目の前が真っ暗に。
殴られたショックと、あまりの不条理さに、言葉をなくした私。
怒りに燃える目で、グッと菊間を睨み返した。
私の態度を、反抗的と見なした菊間、
さらに逆上。
もう、自分でも抑え切れなくなった怒りを、
私にぶつけ始めた。
怒鳴っては、私の脳天をぶち、
また怒鳴っては、私の脳天をぶつ。
「今、ジュースなんか飲んでいいのか?!
え?!誰が、飲んでいいと言った?!」
バシ
「え?!ほら!答えろ!」
バシ
「ほら!誰がいいって言ったんだよ!」
バシ
この調子で、バシバシバシバシバシと、連続8打。
脳天、割れるかと思いました、私。
いや、実際、
このへん頃から、
バカになった気がする、私。
菊間のせいだ。
ニヤニヤしながら「ジュース、俺にもくれよ〜。」と言った、その口で、
「誰が飲んでいいと言ったんだーー?!」って言えちゃうんだから、
スゴイよね。
くそ、くそ、くそ、くそぉーー!
と、菊間を睨みつけたまま、
歯をくいしばり、こらえにこらえた8連打。
(なんか、学園ドラマのようになってきました。)
「このバカが。」
と捨てぜりふを残し、菊間が教室を出て行った時、
こらえていた涙がこぼれた、悔しくて。
一緒にジュースを飲んでいた男子は、
「・・・謝っちゃえば、よかったのによぉ・・・」
と、
女の子一人を殴らせたことに、少々うしろめたい様子。
ま、あの場合の、
あの菊間の、
あの突然の怒りようには、
生徒は口をはさめまい。
なんだろ?キチガイかしら?菊間って。
それにしても、
あまりに悔しいので、私は、
       (つづく)


12月4日(木よう日) 日直・橋本
 あろうことか、
またまた中学の同窓会のお誘いのTelが・・・。
ふざけろよ。

覚えてますか?
私、9月23日付けの日誌に、
書きましたでしょ?
修学旅行の時、
京都の旅館の2階から私が突き落とした男‘きたかど君’の報復を怖れ、
「中学の同窓会、
誘われたけど、行きたくにゃいにょ〜」
と、
そう書きましたでしょ?私。
はい。
その会は、バックレました。
10月初旬に催されたはず。
橋本、なんとかヤリ過ごせました、ありがとう。
と、ホッとしたのも、つかの間。
2ヵ月後に、もう次の会のお誘いかい。
早っ。
うちの中学の同級生は、寂しがりやの集まりか?
前回は幹事をやり、
そして今回は、
皆への連絡係を請け負ったらしいミッちゃんが、言った。
「今回は、先生も何名か、いらっしゃるようよ。」
・・・・・出たよ。
先生。
中3の時の社会科担当、菊間。
エロきくま。
ありゃ、絶対、来るね。
誰が来なくても、アイツだけは来るね。
 あれは、忘れもしない、
中3の時の文化祭、その最終日。
すべての片付けを終え、
さぁ、あとはホームルームをやって帰宅・・・という時間帯。
男子数人と私は、
模擬店の残りの缶ジュースを、
「ええぃ、飲んじゃえ」
と、教室で飲んでいた。
それを、ちょうど、廊下を通りかかって見た菊間。
ノコノコ教室に入って来て、
ニヤニヤしながら、こう言った。
「お〜い、なに飲んでんだよ〜。」
そして、
「俺にもくれよ〜。」
と言いながら、
予想外の行動に出た。
なんと、
私の背中のブラジャーの留め金あたりを、
ブラウスもろとも、つまんだのだ。
当時、まだ痴漢にもあったことのない、
・・・というか、
ブッチャケタ話、ブラジャーをつけ始めて、まだ日の浅かった私・・・、
いくらブラウスの上からとはいえ、
それでなくても体になじんでないブラの、
しかも、
‘うしろの留め金’という危うい箇所をつままれ、
まったく自分を見失ってしまったらしい。
一瞬で、カーーッと頭に血が上り、
私の背を触る菊間の手を、
缶ジュースを持っている右手で、思いっきり払いのけながら、
「やめてよ!!スケベ!」
と、怒鳴りつけてしまった。
菊間は、
コメカミあたりからオレンジジュースをしたたらせつつ、
鳩が豆鉄砲を食らったように、キョトンとした顔。
で、次の瞬間、
ハッと我に返った菊間。
そして、
今度は、
菊間が、カーーーッと頭に血を上らせる番だった。
       (つづく)


12月3日(水よう日) 日直・鬼界
NHK教育で
『もっと知りたい!暮らしQ&A ‘今から準備!師走の大掃除’』
を見た。
途中からだったので、
トイレの掃除法説明の真っ最中だった。

針金ハンガーを棒状に細くし、Jの字型に曲げたのち、
その先に、
なんとかっていう特殊な布(途中から見たんで、その名前を聞き逃した!)をはさみこみます。
その布に、ほんの少しだけトイレの洗剤をつけ、
ハンガーごと差し込めば、
洋式便器の縁の裏側(水が流れ出してくるところ)が、奥の奥までキレイに洗えます。

なるほど、そういう手があったのか!
便器のあの部分は、ブラシが奥まで届かないから、
いっつも困ってたんだよね。
布の名前は気になるが、
なかなか役に立つじゃん!

と、喜んでたら、
便器の横に移動し、掃除を続けるではないか。

え?うちのトイレは、そんなとこに入り込めないよ?
無理して、壁と便器の間に入っても、
キツキツで身動きとれません。

カメラがズームバックして、全体が写った。

スタジオにトイレのセットを組んであるのだが、
タンクの向こう側の、奥の壁しかないのだ。
横は壁なし。
簡易セットだ。
掃除法を説明しているオバハンは、
トイレからスタジオのフロアに、大きく、はみ出して掃除している。
うちでいうと、
風呂場の壁の中からトイレを掃除しているわけだ。
おまえはいつも、そんなところからトイレ掃除してんのか?
壁に溶け込める女?
なんじゃ、こいつ!このオバハン!
おまえ、普段ホントに掃除してんのか?信じられないぞ。

しかも、今までは手しか写ってなかったから、わからなかったが、
エビ茶色のモヘヤのセーター着てるぞ。
よそゆきだぞ。
そんなカッコでトイレ掃除するか?
エプロンとゴム手袋すりゃぁ、オッケーだと思ってんのか?
いくらテレビに出るからって、
もうちょっとそれっぽいカッコするだろ、ふつう。

なおさら信じられん。

トイレ掃除が終わり、
「このように、ちょっとした工夫でトイレもピカピカになります。」
などと言いながら、
オバハンは、はずしたゴム手袋を畳んでいる。
ちょっと、待て!
ふつう、トイレ掃除をして濡れたゴム手袋を畳みはしないぞ!
絶対に干すね。
このオバハンは、なんのちゅうちょもなく、濡れゴム手袋をたたみやがった。
おまえ、普段ホントは、掃除してないんだろ?
オレは細かいところも見逃さないぞ。
ますます信じられん。

アナウンサーと、しばらく大掃除談議をしたあと、
キッチンの掃除になった。
「ガスレンジのこびりついた油汚れを落とすには、歯ブラシを使いましょう」
と言いながら、オバハンはゴム手袋をはめ出した。

ちょっと、待てや!
それ、トイレを掃除してたゴム手袋やんけ!
使い分けるぞ、ふつー。
おまえは、ウンコとゴハンを同じ手で触るんか?

さすがの僕も、これ以上見る気にならなかった。
ちょっとヒドすぎ、あのオバハン・・・。


12月2日(火よう日) 日直・鬼界
『NHKニュース10』(夜10時のニュース)の気象情報のコーナーでのこと。
全国の天気を詳しく予報したあとに、
世界地図が写り、‘世界の天気’になった。

「つづいて、世界の天気です。
シンガポールはスコールがありそうです。シドニーは晴れ。
シカゴは晴れ。ヨーロッパは雨でしょう。」

これ、大胆すぎません?
ヨーロッパは、ひとくくり?
イギリスもフランスもドイツもギリシャもルクセンブルクも、みーんな雨?曇りもなし?
ヨーロッパの人が見ると、怒るのでは?
アメリカの天気予報で
「アジアは晴れ」って言うのと同じでしょ?
北朝鮮も日本もインドネシアも一緒くた、区別してないってことでしょ?
そんなこと言われたら、あったまきます。

なんの疑いもなく、「ヨーロッパは雨」と言ってのける気象予報士も信じられない。
(ちなみに、名前は高田斉。50歳手前)
原稿に「ヨーロッパは雨」と書いてあっても、
「ロンドンは雨」って言い換えればいいじゃん。
てゆうか、そう言わなきゃヘンだ!って気付かないかね?


12月1日(月よう日) 日直・鬼界
メガネを作り直した。

世界はこんな姿をしていたのぉ?

って感じです。
裸眼でも0.4だから、そんなに極悪でもないんですが、
衝撃を受けました。

まず、世界が広がる。
たとえば、50メートル先に桜の木があるとする。
今までも、桜の木は見え、そこにあるのはわかっていた。
が、全体として、ぼんやりと桜の木としてしか見ていなかったので、
カンペキに背景の一部でしかなく、
見えてはいたが、観てはいなかった。
それがどうでしょう!
新しいメガネをかけた途端、桜の木が目に飛び込んでくるのです。
まさに、飛び込んでくるって感じ。
桜ばかりじゃありません。
建物も人も車も飛び込んできます!(あぶねえな・・・)
視界が広がり、自分を取り巻く世界が広がった。

さらに、世界が深まる。
駅から帰る道沿いに、アパートが何軒かある。
もちろん、それはわかっていた。
が、メガネをかけると、部屋の中まで見えるのです。
窓に映っていた影が、ワゴンの上に置かれた電子レンジであることが判明したり、
レースのカーテンの向こうにぼんやり紺色に見えていたものが、
部屋に干してあるブラジャーだということも見抜けます。
透視できるようになった!
って、ちょっと感じたりして、ひそかに嬉しい。

こんな新鮮な衝撃も、すぐに慣れてしまうのだろう・・・。
これからは、毎月、メガネを作り直そう。


11月30日(日よう日) 日直・橋本
 昨日の
「ことわざシリーズ〜人は見かけによらない〜」
に続き、
今日は、
「人体の神秘(懐かしい!)シリーズ〜聴力は、自分に都合よく変化する〜」。

 Y美から、こんな話を聞いた。
Y美は、
テーブル上にセーターを広げ、
ひたすらボ〜〜ッと、心を無にして、
‘毛玉取り器’で、セーターの毛玉を取っていた。
そう。
手のひらサイズの電動式毛玉取り器を、
ただ上下左右にウィ〜ンウィ〜ンと動かすだけという、
アホでも出来る単純な作業だが、
その単調さゆえに、
何も考えず、無心に、
「毛玉を取る」という、ひとつ事に集中できたりもするから不思議だ。
Y美も、
その「単純作業マジック」に、すっかりハマり、
テレビをつけてはいるものの、
‘内容がまったく耳に入ってこない’状態に、おちいっていた。
ありますよね?
もちろん‘音’として聞いてはいるけど、
‘具体的な内容’を、ちゃんと聴いてはいない・・・っていうこと。
その時つけていたNHKで、
「インフルエンザ対策特集」なるものをやっていたことは、
最初、テレビをつけた時点で耳に入った「ウイルス」やら「ワクチン」やらの言葉で、
Y美も承知はしていた。
だが、
「単純作業マジック」におちいってからは、
どんな単語も、
「キワ立って耳に入ってくる」ことはなくなり、
ゴチャゴチャゴチャゴチャという、単に‘人の声’を認識するだけとなった。
ところが!!
そんな、
心を無にして毛玉を取っていたY美が、
突然、
ある言葉に、鋭く反応したのだ!
「ジンゲロン」
Y美は、
ピクッとなった。
しかし、だからといって、
その「ジンゲロン」なるものが、
一体、何なのか?・・・については、
彼女は、まったく聞く耳持たない。
Y美の聴力は、
‘ジンゲ’を取り込むのみ。
そして、
その後、また何事もなかったように、
お耳は、一切の内容をシャットアウト。
んが!!!
十数分後、またしても、Y美をして鋭く反応させた言葉がっ!
「チンゲンサイ」
Y美は、再度、ピクついた。
で、例によって、
「チンゲンサイ」とインフルエンザの関係は、不明。
お耳は‘チン○’を取り込むのみ。
そして、そして、
その後、また、無心の毛玉取りは続いたのだった・・・。
人間の耳とは
まったく都合よく出来ているもんだ。 
ただし、
「ジンゲ」と「チン○」という言葉を聴けたからって、
それが、
果たして、
都合良いのかどうかは、疑問。  
      ※「チンゲンサイ」は、免疫力をアップする野菜・・・と言われている

どうだ、見たか、Tよ。
下ネタ連発だい。


11月29日(土よう日) 日直・橋本
 友人Y美がライブをやるというので、
聴きに行った。
ステージが始まるまで、
Y美の控え室で、例によってバカ話に花が咲く。
しかしながら、
Y美のことだ、
メイクには、余念がない。
手を休めることなく、
器用に、口だけ動かす。
‘ちあきなおみ’を真似する時のコロッケみたいに不気味にウス目をあけ、
筆ペンのようなアイライナーで、
目バリを入れながら、
Y美は、こう言った。
「ここ3,4日、肛門が痛いのよねぇ。」
3日間ほど便秘したら、
どうやら、肛門のトバクチのウンコが、やたらカタくなっちゃった。
その、ゲンコツのような‘ひとかたまり’を、
なんとか出せば、
あとはスルスルスルと、
逆に下痢状のウンコが出てくる予感はするも、
出口をピッタリふさいでいる、その‘ひとかたまり’が、
容易に出ない。
まさに「サザエのふた」状態。
あるいは、「ラムネのビー玉」か。
で、とにかく、
チカラわざで肛門の栓を抜き、
結果、
痛めつけてしまった・・・と、こういうワケですね。
イタタタタ。
「ヘタすると、パンツが食い込むのよ。」
という、意味不明の捨てぜりふを残し、
Y美は、ステージへと上がっていった。
 ムーディーな曲を、しっとりと弾き、唄う、Y美。
きれいな長い髪が、
ライトでチョッと汗ばんだ首筋にまとわりついたりして・・・
色っぺ〜。
周りの男の客も、うっとりと聴いてる様子。
・・・みんな、知らないんだよねぇ、
「この女、今、肛門が痛い」ってことを。
綺麗な顔して唄ってるコノ人、
今、なぜだかパンツ食い込ませてるんですぜ、肛門に。
どうします?
って、言ってやりたい。
人は、見かけによらない。
思ってもみない、弱点を持っている。

昨日会った友人Tに、
「1度、ホームページも見てちょーよ。」
と言ったら、
「前、見たら、あんた、下ネタばっかじゃん。」
と、言われた。
私?下ネタばっか?
そんなことないよねぇ〜?!
くやしいから、下ネタ書いたの。
Tよ。ザマーミロ。


11月28日(金よう日) 日直・鬼界
商店街のカメラ屋で、写真入り年賀状のパンフを配っていた。
フジフィルムだ。
あの、「プロに任せましょ」とかいうCMもどうかと思うのに、
パンフにキャッチコピーが書かれている。

年賀状はお店プリント、新年のけじめだから。

なんだか哀しくなりません?

「今までは、『カメラ屋さん、カメラ屋さん』って、親しくして、
年賀状も、みーんな、うちで作ってたじゃないですかぁ。
なのに、パソコンがはやると、
みーんな、そっぽ向いちゃって、手のひら返したように、だーれも、うちに寄り付きゃしない、
年賀状なんて、だーれも注文してくれない・・・
それは、あんまりじゃないですかぁ!
このままじゃあ、一家で首吊んなきゃなんないです・・・
お願いしますよぉ・・・。」

と、すがりつきたいのに、無理してカッコつけてる感じ。
そもそも、新年のけじめだったら、なぜお店プリントなのか、
つながりもよくわかんないし。
いと哀れ。

パンフには、これでもか!っちゅうくらい、いろんなタイプの写真年賀状が載っている。
差出人は、すべて‘富士太郎・花子’にしてある。
いちいち、名前つけるのめんどくさいしね。
ヘタな名前つけて、クレーム来てもめんどくさいしね。
でも、
結婚通知兼用年賀状に載ってる写真は、
美男美女の外人カップルだ。
バリバリの金髪なのに、富士太郎?
モデルみたいな顔してんのに、富士花子?
そのとなりの誕生兼用は、
天使みたいなフワフワブロンドの外人子供なのに、富士一郎だ。
こんな子供が生まれたのに、一郎なんて名前をつける親は絶対いない。
しかも、父・太郎、子・一郎でしょ?
ありえん。

外人の写真なんか使わなきゃいいんじゃないの?

フジフィルム様、パンフにまだまだ改善の余地があります。


11月27日(木よう日) 日直・鬼界
道玄坂のホテル街に行った。
あるホテルの入り口に
“全室、マンガ本あります”とデカデカと書いてある。
そのホテルの一番の売りらしい。

で、マンガ本は、いつ読むの?

Hする前?それとも、あと?

どちらの状況もイメージできないんですけど・・・・
二人が別々にマンガにふけるわけでしょ?
あんなとこでそんなことして楽しいの?
わからん・・・

ちなみに、そのホテルは‘満室’だった。


11月26日(水よう日) 日直・鬼界
新宿駅のホームに、ガイコツみたいにやせたオッサンがいた。
髪の毛は薄いながらもオールバックで、
セカンドバックと産経新聞を脇にはさみ、
ふかみどり色の合成皮革のジャージを着ている。

合成皮革のジャージぃ?なにそれ?

と、お思いでしょう。
僕の眼を引いたのも、オッサンの異様な服装だったのです。

最初は、趣味の悪いサウナスーツを着ているのだと思った。
が、よく見ると、質感がサウナスーツみたいにペランペランしてないし、
よく聞いても、カサカサ音がしない。
「そっか、皮のジャケットなんだ」と思った。
が、どう見ても、ジャージだ。
前はジッパーだし、手首と足首はゴムでキュッと絞られている。
そして、質感が皮ではない。
なんかに似ている・・・・
そうだ!安モンのソファだ!
タバコの火が触っただけで、一瞬にしてとろけてしまう、あの最低ランクの合成皮革だ!

というわけで、
合成皮革のジャージを着ているオッサンが駅のホームにいた。
オッサンの目の前を、ミニスカートにブーツの若い女の子が通ると、
オッサンの視線が動く。

もちろん、男なら誰でも見ちゃいます。
でも、エチケットや常識を知っているので、
何気なさを装って見るとか、こっそり見るとか、後ろから見るとか、
いちおー、してはいけない行為をしてるという後ろめたさはあります。

が、しかし、
そのオッサンは違う。
こちらに歩いてくる女の子と視線が合うのもお構いなし。
髪の毛から、顔、胸、腰、もも、足の先まで、
舐めまわすように、ジットリ&ジックリ観察する。
そして、女の子が自分の前を通り過ぎると、すかさず腰から尻周辺を舐め見している。
スケベな顔でニヤついてるのかと思いきや、
眉間にシワをよせ、まばたきもせずに、真剣な顔で凝視しているのだ。

おまえは、ミニスカ・ブーツ鑑定人か!

しかも、ミニスカ・ブーツは今、流行ってるから、
次から次にやってくるミニスカ・ブーツ女子を、次から次へとジロジロ見るのだ。
一人の子の鑑定が終了するやいなや、
目にもとまらぬ速さで次の女子のナマ太ももに視線は移動している。
ただの一人も見逃しはしない。

おまえは、プロか!熟練しすぎ!


と、批判的に書いてますが、
正直言うと、うらやましいです。
他人の目を気にせず、純粋に欲望のまま行動する。
ある種、悟りの境地だ。
あぁ、あんなオッサンになりたい。


11月25日(火よう日) 日直・橋本
 昨日の「古い邦画」つながりの話を。
田宮二郎主演の映画を、
2本、立て続けに観たら、
田宮の代表作『白い巨塔(1966年)』を、
また観たくなり、
近所のチョイ大きいビデオ屋へ。
古い邦画は、
どこのビデオ屋でも、
おテイサイ程度の数しか置いてない。
需要が無いもんね・・・。
悲しいくらいに、ミニコーナー。
うっかりすると、
見過ごしちゃうくらい。
その、近所のビデオ屋は、
店舗が広い分、
古い邦画の数も、ちょっとだけ多め。
といっても、
黒澤・小津の有名作品が、過半数以上だが。
そんな中、
以前、確か、「白い巨塔」のパッケージを見た覚えも・・・。
その日、時間が無かった私は、
店に入るなり、
出入り口のカウンター内に居る店員に、
有るかどうかを尋ねることにした。
「田宮二郎の‘白い巨塔’は、置いてありますか?」
すると、
男の店員(20代後半)は、
「あ〜、それ、まだ出てませんね〜。」
と。
「えっ?!」
瞬間、私は、
「‘白い巨塔’が、リニューアルして再発売されるんだ!」
と、合点した。
「リニューアル前のは、無い?」
と、聞いてみた。
店員は、
「リニューアル・・・?前の?」
私、「古いヤツ。」
店員、「???」
・・・なんか通じないぞ・・・と、お互い無意識に感じつつ、
それでも、
いつかは理解し合えることを祈って見詰め合う、私と店員。
視線をはずした方が負けね・・・とばかりに、
見詰め合っていると、
カウンター内の少し離れた場所に居た、女の店員(30代半ば)が、
「劇場版は有りますけど、
テレビ版は、まだ出てないんですよ〜。」
と、助け舟を。
それを聞いた私は、
またまた、瞬間、
「えっ!テレビ版も再発売されるのか!」
と、合点。
どーした?!田宮!人気あるぞ!
と、嬉しビックリしてる間に、
女店員が、
「はい、これです。」
と、持って来てくれた。
少し色褪せたパッケージの、確かに、「白い巨塔」だ。
男店員は、
「すいません、僕、カン違いしちゃって・・・。
今やってるドラマのかと思って。」
と。
私、「?」
店員、「今、やってますよねぇ、テレビで。」
あぁ!そういえば、有った・・・!?
私は、それで、やっと、本当に合点がいった。
男店員は、
“田宮主演の「白い巨塔」の存在を知らなかった。”
女店員は、
“田宮の「白い巨塔 テレビ版(1978年)」の存在を知らなかった。
というより、
田宮のと、(現在、放映中の)唐沢のと、まったく混同している。”
私は
“放映中のドラマのことを、知らなかった。”
この、
三者三様の「無知」が引き起こした、「食い違い」だったのだ。
無知バトル。
知らなさ過ぎ。
反省・・・。


11月24日(月よう日) 日直・橋本
 こんなメールも頂きました。
(・・・なぜか、メールばやり。
ワザと?
アハハ、皆さん、お人が悪いわ〜。)

『「アメイジング・グレイス」を聞いて泣いてしまった。
私、相当、タマってるみたい。』

S子さん。
・・・独り言ですか?これは。
彼氏に送るはずのメールを、間違って鬼界事務所に送っちゃった?
いえ、イイんです、
嬉しいです。
お話しましょ。
そうですか、タマってるんですか。
「タマる」。
よく聞く言葉ですが、一体、何がタマるんでしょうねぇ。
 私の場合、
気分が落ち込んだ時は、
純文学を読むことに没頭します。
特に、自殺した作家のを。
結構、居ますからね、自殺した人。
いいですよ〜、暗くて。
あと、
ビデオ鑑賞にも没頭します。
特に好きなジャンルの「古い邦画」、
これが無性に観たくなります。
いいですよ〜、画面、暗くて。
(別に落ち込んでなくても、
観たくなるんですけどね。)
先日、
「こんなんでも観てみるベー。」と、
『野菊の如き君なりき(1955年)』を借りてきました。
原作は、小説「野菊の墓」。
昔読んだから、ストーリー知ってるし、
監督は木下恵介だし、
ほとんど、なんの期待も持たず、
観始めました。
結果。
もう、
ダーダー泣きました、私。
S子さん。
私、タマってるんですか?


11月23日(日よう日) 日直・橋本
 昨日の私の「お教えください。」のお願いに、
早速、
Fさんがメールでお応えくださいました。メールで。

『‘ホテルの部屋での就寝時、コレをするとノドにイイ’コト。
橋本さんの、
「ベッドの周りに水を撒いた」は、正解だと思います。
僕も、そう聞いた覚えがあります。
橋本さんをバカ呼ばわりしたお三方に、
僕は言ってやりたい。
「こんな注意書きが有るのを知らないの?
   <火災報知器が反応することがありますので、
    バスルームご使用の際は、扉をお閉めください>
どうやら、
大量の湯気に反応するそうです。
ところで、橋本さん。
水は、撒けばいいってもんじゃありません。
水浸しになるほど水を撒いて、
それを一晩で蒸発させようなんて、
むしが良すぎます。
パラパラパラと、
散らすように撒くのです。
あくまでも、蒸発し得る量だけを、パラパラパラと。』

わーい、当たった、当たった!
そうです、
私も、
絶対、聞いた覚えがあったんです、「水を撒け」って。
そりゃそうですよねー、
誰かからススメられない限り、
なかなか自分から進んでは、
部屋に水は撒かないっすよねー。
あぁ、イイんだ、水撒いて。(感動)
で、
少量をね?パラパラパラとね?
了解です!
ところで、Fさん。
あなたは、私の
敵?味方?


11月22日(土よう日) 日直・橋本
 こんなメールを頂きました。

『クリスマス・スペシャル公演のバンドの話、
とても面白かったです。
ナマで見れなかったのが残念です。
ところで、質問なんですが、
パンツは、無事、買え(替え)たのですか?
あと、
ホテルの部屋に一人で泊まって、
(一人ですよね、まさか)
なにか怖い目にはあいませんでしたか?
掲示板で霊感ゼロと仰ってたので、やはり何も?』

パンツのご心配まで頂き、恐縮です。
ちゃんと買え(替え)ました。
泥酔状態で、飲み屋を出、その足でコンビニへ。
男3人を引き連れ、
「今日は泊まりだぁ〜、ホテルに行くぞぉ〜」
とヘベレケで、
パンツ&トラベル用洗顔フォームを買う女・・・。
翌朝、
またまた4人連れ立って、
飲み物を買いに、そのコンビニへ。
すっかり「妖しい4人組」さ。

もっちのろん、一人でした。
ホテル代は、金持ちのセガレM君のおごりだったので、
文句は言えませんが、
クソ狭い部屋でした。
シングルルームの、
狭い故の息苦しさが嫌いです。
怖くて眠れないと困るので、酒のチカラを借りた・・・というワケです。
寝ゲロを吐くほど正体不明に酔いつぶれたおかげで、
夜中、怖い目にはあいませんでした(たぶん)が、
朝、
部屋の床が水浸しになってるのを見た時は、
ゾゾ〜〜ッとなりました。
床に敷かれたカーペットが、
なぜか、ベッドの周りだけ、
ビチョビチョに濡れていたのです。
「ウワーーーッ!!」
と一発叫んだひょうしに、
思い出しました。
寝る前に、私が撒いた水でした。
「暖房はノドに悪い。寝るとき、水を撒いておくとイイ。
蒸発する水分によって、乾燥を防げる。」
という情報を、
いつかどこかで聞きつけ、
そうしたのでした、私が・・・。
蒸発しなかったのは、なーぜ?
あまりの量を撒き過ぎたのかな?
しかし、
そのことを3人に話すと、
「ばーか、チガウよ。
それは、‘寝るとき、バスタブにお湯をはっておくとイイ’だよ。」
だと。
「ホテルの部屋での就寝時、コレをするとノドにイイ」って、
なにか、有りましたよね?
お教えください。


11月21日(金よう日) 日直・鬼界
  (きのうのつづき)
僕は3番の警官に顔を向けた。
余計ムカついた。
そいつは、玄関越しに外を見てるのだ。
外で事件が起こってるわけじゃない。
幹線道路をトラックやらタクシーがブンブン走ってるだけだ。
それを意味もなくぼんやり見つめている。
何も気がついてないんじゃない。
僕が窓口に来たことも、1番の警官に無視されたことも
何もかも気がついているうえ、
僕が3番に向いていることもわかっているのに、
これまたわざとシカトしているのだ。

ど、ど、どーゆーことだよ!

自分の頭の上にぶら下がってる札以外の受付はしないのか?
‘1.道路使用許可’って、
祭りも終わったこの時期にそんな許可を取りに来るヤツが大勢いるのか?
どーせ、手が空いてんだから、‘2.運転免許証’の客(?)にも応対しろよ!

ふと壁を見ると、
“警察と あなたのタッグで 犯罪防止
   「おや?」と思ったらまず警察へ。ささいなことでも誠心誠意、迅速に対応します。”
という標語が貼ってある。

ウソばっか書いてんじゃねえよ!
誠心誠意の意味を知らねえんじゃねえか?
くぅぅぅーっ、神経逆なでムカつく標語だぜ!

僕はカンペキ、アタマにきた。
カウンターから身を乗り出して、1番のバカに言ってやろうとした瞬間、
そのバカはチラッと顔をあげ、
何も言わずに、親指で自分の背後を指した。
指差すほうを見ると、電話中のデブの警官がいる。
「2番の担当はヤツだ。オレは関係ない。」ということらしい。

くそぉぉぉー、どこまでもあったまくるぜ!

僕は大声で怒鳴った。
「免許を書き変えたいんだけど」
ゲラゲラ笑いながら電話していたデブは、送話口を手で押さえると、
いきなり鬼のような不機嫌な顔になり
「ちょっと待って」
と吐き捨てやがった。
僕はキレた。

「待たねえよ、デブッ!!」

と言い放ち、帰ってきた。

何様だよ、おめえらは!
税金でおまんま食ってんだろ!!
鉄砲で頭打ち抜いて、死んでしまえ!!!

警察は腐りきっている。相撲協会よりもヒドい。サイテーだ。


11月20日(木よう日) 日直・鬼界
警察署に行った。
‘鬼界浩巳’の‘巳’が、‘己’になっていることに気付き、訂正に行ったのだ。

玄関を入ると、正面にカウンターがあり、
1.道路使用許可
2.運転免許証(住所変更等)
3・交通相談
と、3つの札が天井からぶら下がっている。まるで市役所だ。
カウンターの向こうに、ズラッとデスクが並んでいるのも、市役所そっくり。
ただ、デスクワークをしてる人が男も女も制服を着てるのが市役所とは違う。

僕が用事のあるのは2番だ。
1と3の札の下には、制服を着た年輩の警官が座っていたが、
あいにく2には誰もいない。

「1,2,3と一応、分けられてはいるけど、銀行みたいに個別の窓口になってるわけじゃなし、
結婚式の受付みたいなもんだ。
用件は誰に言っても、対応してくれるだろう。」

そう思って、1番の警官に話しかけようとした瞬間、
警官はやおら、新聞を読み始めたのだ。
目は合った。なのに、口を開きかけたら
新聞へ目をそらしたのだ。
明らかに故意だ。悪意だ。

な、な、なんだよ、この態度の悪さ!

こんなバカは相手にしないにかぎる。
僕は3番の警官に顔を向けた。
すると・・・・マジかよ・・・・  (つづく)


11月19日(水よう日) 日直・鬼界
たまたま相撲中継を見た先週の土曜日、
横綱・武蔵丸が引退した。

  権利がないなどと言いながら、しょーこりもなく、また書いてるの・・・

7日目の取り組みを終え、3勝4敗。
再起をかけた九州場所だったが、ケガの回復が思わしくなく、
もはや、横綱としての責任が果たせないので、引退を決意したそうだ。

それって、どうよ?

6勝1敗だったら、やめなかったわけでしょ。
ドンくさい負け方で4敗もしちゃったから、
このままいくと、5勝10敗とかブザマな結果になるのを怖れて、やめちゃったんでしょ。

それって、どうよ?

来シーズン、阪神が6月くらいに
「皆さんの予想通り、やっぱ、今年はあきまへんわ。
ぜーんぜん勝てへんので、もうやめまっさ。
あとは5球団でよろしゅうやっとくなはれ。
ほな、さいなら。
え?無責任?
そんなこと言うたって、去年、ダントツ優勝したチームがボロクソ負けてたら、カッコつきまへん。
品位を汚しまんがな。」
と、残り試合を放棄するようなもんでしょ?

そんなことが許されんの?
国技だからオッケーなの?
それでスポーツ?
んなことやってっから、人気なくなんじゃねえの?

そもそも、僕は相撲がキライだ。
力士って、乳がデロォ〜と垂れ下がってるじゃないですか。
あれをめくったら、カビとか、毛とか、はえてんじゃないの?
いや、なにか小さな生物がいっせいに這い出してくるのでは・・・?
と、思ってしまうのです。

こんなサイテー発言をしてる僕は、
相撲に対してアレコレ言う権利は、ホントにホントに、ないっすね・・・。


11月18日(火よう日) 日直・鬼界
ちょっと古い話なのだが、
先週の土曜日、たまたま、相撲中継を見た。
ビックリしました。
ガラガラのスキスキ、お客さんがギッシリいるのは土俵の周りだけ。
いつの間に、こんなマイナー種目に成り下がってたの?
が、
見てて納得した。
一番人気があって国民的ヒーローのはずの横綱がモンゴル人だぜ。
そりゃあ、ダメに決まってるさ。

い、いえ、モンゴル人だからダメと言ってんじゃないっす。
僕は決して差別主義者じゃないですから。モンゴル万歳!

あの朝青龍の、女の腐ったようなエタ非人がダメなのさ。
なに、あの目つき。
どチンピラじゃん!
大塚あたりのキャバレーで、大した金も払わないくせに、
威張りくさりながら陰湿にしつこく、ホステスさんの太モモを触るオヤジみたいだ。
(大塚のキャバレーなんか行ったことないけど・・イメージね、イメージ・・・行ってみたいし)
下品というか、卑しいというか、
すっごくイヤな感じ、生理的にイヤな感じ。

「またまた、鬼界さんったらぁ、
あのね、朝青龍関はそういう風に見られがちだけど、
人一倍苦労してて、気配りのできるいい人なのよ、本当は。」
などと言う人がいるかもしれないけど、
絶対ウソだ。

人は見かけによります。

これ、オレ、人生哲学。
本性は隠せないつーの。
イヤな人はイヤな顔してます。
朝青龍のあの顔でっせ、どんだけイヤなヤツか想像するのも恐ろしい。
そんな蒙古野郎がアタマやってんだもん、人気もなくなるさ。

そもそも、僕は相撲がキライだ。
なんで、わざわざ、男のケツを見なきゃなんないの?しかも、きっちゃなーいケツだし。
と、思ってしまうのです。

こんな低レベル発言をしてる僕は、相撲に対してあれこれ言う権利はないっすね・・・。


11月17日(月よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 夕方、5時。
‘ゲネプロ’と呼ばれる、
「本番同様(衣裳・照明・音響も)のリハーサル」も、無事に終了。
ただし、
我らがバンドの歌を除いて。
我らがバンドだけ、ゲネプロ無し。
「ぶっつけのほうが、イイ演奏が出来る。」
と、Nさんが。
まったく・・・。
私達の場合にも当てはまるの?それって。
私らの歌、
『ハロー・クリスマス・ラブ(・・・だったかな?)』    
   (結局、この1曲のみ。
   で、・・・こんなタイトルだったっけ?こんなアダルト・コンテンポラリーみたいな?
   ・・・ま、いっか。)
を、あと2時間もすれば、
お客さんの前で演奏せねばならないのだ。
『ハロー・クリスマス・ラブ』・・・詞・曲 Nさん。
                  アレンジ Kさん・M君・橋本
悪夢のような一夜の練習を乗り越え、
いざ、本番。
 オムニバス形式で、いくつかの短編が終わり、
お客さんも、大いに笑ってくれたりして、
とてもイイ感じ。
と、ここで、いよいよバンドの登場。
私たち4人、
クリスマスをチョイ意識した思い思いの衣裳に着替え、
舞台上にスタンバイされた楽器の前へ。
NさんのMCでスタート。
「こんばんは。
僕らから、みんなへ、ひと足早いクリスマスの贈り物。
聞いてください、
ハロー・クリスマス・ラブ・・・。
・・・・ワン、ツ、ツリ、フォ!
ギターをジャーン
キーボードが、
ビヨヨ〜ン
「ビヨヨ〜ン?!
なんじゃ、こりゃーー?!
思ってもみなかった音が出ちゃったよ?なーぜ?!」
愕然とする私。
本当ならば、
パイプオルガン(ふう)の「プオーン」という音で始まるはず。
万が一にも間違えぬよう、
あらかじめ、
音変換ボードにある‘パイプオルガン’のボタンを押しといたのに!
これは、一体、どーしたことだっ!
一発ビヨヨ〜ンと弾いたっきりでヤメるワケにもいかず、
ビヨヨンビヨヨンと、
中国のヘンな楽器のような音で弾き続けながら、
私は、右手前方の音変換ボードに、
急いで目を走らせた。
パイプオルガン・ボタンではなく、
メタリックサウンド・ボタンが押されているではないか!!
どうやら、
楽器を舞台にスタンバってくれた人が、
何かのひょうしに、
音が「ビヨヨ〜ン」と変わる、そのボタンを押してしまったらしい。
私は、左手だけで弾き続けながら、
右手でパイプオルガン・ボタンを押し直した。
なんとか、ビヨヨンが止んだ・・・
と思った途端、
早くもコーラス部分。
「ウゥーウゥーアァーアァー」
と、毒を吐き出してるようなコーラスの終盤に、
クリスマスっぽく‘ベルの音’を入れる計画。
ウーアー歌いながら、
変換ボードの‘ベル・ボタン’に、素早く、手をやる。
押す!
「リーン、ゴーン」となるはずが・・・
ポクポクポク
ウーアーーーッ!!
なんじゃ、こりゃーーーー!
間違えて、となりの‘パーカッション・ボタン’を押してしまったのだーー!
視力0.0いくつしかないド近眼、
加えてド乱視なのが、
いけなかった。
ギリギリのところで、なんとか持ちこたえて演奏していたKさん・M君も、
この、もくぎょ(ふう)の音で、ノックアウトされたと見え、
その後の演奏、ズタボロ。
一方、私は、
あまりの動揺で、
「Nさんが、今、どこを歌っているのか」も判らなくなった。
演奏続行不可能。
そこで、私は、どうしたか?
口で、キーボードの音を出しました。
タリラ〜タリラ〜タリラリラ〜 
ゴーン、ゴーン(←ベルの音)
と、
口で、言いました。
お客さん、爆笑。
・・・。
いいんです、
笑って頂けたんですから・・・。
本望だわ。

でも!!
こうなったら、意地よ!
「ポピュラー・ピアノ」、
いつか、絶対、弾いてみせるわ!
何年かかるか、わからんけど・・・。


11月16日(日よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 本番前日は、
すなわち、
「劇場で仕込み(舞台のセットを組んだりとかの、もろもろの準備)」の日だ。
「今回のスペシャル公演は、
セットを組まないので、仕込みは早く終わる。
なので、
そのあと、バンドの練習。」
というのが、舞台監督でもあるNさんの計画。
「仕込み」は、
予定通り、早く終了。
劇場が、いつものように都内ではなく、
チョット遠い横浜なので、
バンド・メンバー以外の皆は、
明日の本番に備え、とっとと家に帰って行った。
 舞台上にスタンバイされたキーボード。
持ち運び不可能なデッカイやつなので、
「借りて家で練習」というわけにはいかず、
この時が初対面。
家のピアノとは大ちがい。
ボタンやらスイッチやらが、いーっぱい。
機械が苦手な私は、
もう、それだけでビビる。
このボタン類を操作しながら、かつ、コーラス唄いながら、かつ、弾く・・・ってか?
あまりの恐怖でニヤける私。
そんな私を、スタンバイOKとでも見たのか、
Nさん、いきなり、
「ワン、ツ、ツリ、フォ!」
ギターをジャーン
一同、
シーン
だって、無理だよ、
「えーと?どーすれば音が出るって?」とか言ってる3人に向かって、
ワン、ツー、スリーもねぇもんだ。
先ばしりやがって。
 練習を始めて、2時間経過するも、
4人の音、まったく合わず。
それでなくても、
がけっぷちを手探りで歩くがごとく、
かろうじて、なんとか、演奏をしている私たち3人なのだ。
そのうえ頻繁に入るコーラスで「ちゃんと、ハモれ」と言われても・・・だ。
Nさん、
さすがに危機感を持ったのか、
とんでもない提案を口にした。
「今夜は、横浜のホテルに部屋をとろう。
明日は、朝から練習だ。」
・・・俺たちゃ、歌手か?
ヤダヤダ!
お泊りグッズも、替えのパンツも持ってないやい!
女の子のお泊りには、いろいろ準備があるんだーい!
前日と同じ‘パンツ&服装’で、劇場入りするなんて、イヤだーい!
絶対、反対!
という、私の心の声は、誰にも届かず、
急きょ、○○○ホテルに宿泊決定。
そうこうしてるうちに、劇場を出ねばならぬ時間に。
早くコンビニでパンツを買いたい私の気持ちも知らず、
酒好きのNさん、
当然のごとく、私らに、
「行くぞ。俺、イイ飲み屋、知ってるから。」
と。
「この店は、ビーフンが美味いんだ、ビーフンが。」
と、Nさん、人数分の4皿のビーフンを注文。
「チョコっと食うとか、そーゆー食い方じゃダメなんだ、ビーフンは。
ガツガツと下品に食うもんなんだ、ビーフンは。」
と、Nさん。
あんたは、ビーフン博士なの?
疲れと空腹で自分を見失い、
言われるがままに、
ビーフンをひたすら下品に食った私。
‘ビーフンで腹イッパイかつ泥酔’状態で、ホテルの、私にあてがわれた部屋へ。
入るなり、
ベッドにうつぶせに倒れこんだ。
そして、どのくらい経った頃かしら?ゲロ吐きながら目が覚めたのは。
・・・鼻からも出てました、ビーフン・・・。
 翌日。
深夜の寝ゲロの、アト始末もそこそこに、
「おーい、行くぞー」の、Nさん、Kさん、M君のお迎えで、
部屋を出、4人、劇場へ。
残された練習時間は、
他の皆が来るまでの、数時間のみ。
そして、
イヤでも、夜には本番がヤッテクル。
         (つづく)


11月15日(土よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)

 当時、
私達の劇団の舞台監督を引き受けてくれていたのは、
‘舞台監督’という職業の、Nさん。
Nさんは、
趣味で、ロックバンドをやっていた。 
趣味といっても、
将来、音楽の道をとるか演劇の道をとるか、
迷ったほどの本格派。
ギターの名手。
まったく音楽に縁のない劇団員の男の子達の中では、
異彩を放つカッコ良さ。
そのNさんに、
飲み会かなんかの時に、
誰かが調子に乗って、ポロッっと言った。
「今回はスペシャル公演なんだから、
Nさんも出演して下さいよ〜」
と。
Nさん、即答。
「出る。
バンド作って、何曲かヤル。
俺、曲、作る。」
オムニバス形式の公演だから、
途中、
‘お歌のコーナー’を、挿入するのは可能では、ある。
Nさんは続けた。
「今、メンバー決めてイイ?」
メ、メ、メンバーー決める、だ?!
この中から?!
・・・無茶な人だ。
ロックなどというものから、
遠く遠く離れたところで生きてるような男どもを目の前にして、
「メンバー」とは・・・。
Nさんも無茶だが、
男どもも男どもだ。
普通、男の子だったら、
中学か高校ぐらいの時、友達の影響で、1度くらいはギター弾いてたりしない?
するよねぇ?
ところが、
当時のウチの劇団の男連中、そろいもそろって、
音楽、まったくダメ。
ギター、触ったこともない。
流行ってたギターをやらないで、
じゃ、中学の時、仲間うちで何やってたの?!
「将棋。」だとよ・・・。
 それでも、
へこたれないNさん、
その場で、
私たち皆の‘音楽履歴’を、一人一人に詰問してリサーチ。
結果、
Nさん、無理矢理、メンバー決定。
「中学の時、友達のギターを借りて、‘心の旅’を練習したことがある。」
というKさんが、
ベースギター。
(注:鬼界さんでは、ありません。念のため。)
「弾けないけどエレキギターを、叩けないけどドラムセットを、持っている。」
という、ワケのわからん金持ちのドラ息子M君が、
ドラム。
リーダーのNさんは、
リードギターとボーカルを担当。
そして、
「小学生の時、ピアノを習っていた。
大学生の時、‘女の子バンド’のボーカルをやった。」
という理由で、
キーボードは、橋本。
キ、キ、キーボード?!
おとといの日誌を、もう1度、読んでちょーだい、
クラシック・ピアノとポピュラー・ピアノは、
まったく違うのだ。
ポピュラー・ピアノ弾けずして、
ロックバンドのキーボードなど出来ようはずが、ない。
不可能。
「ム、ムリですっ!」
と泣きついたが、
「だいじょび、だいじょび」
と、Nさん。
やる気満々のNさんには、もう、現実が見えてない・・・。
 本番まで2週間足らず。
お芝居の稽古だけで、もう、メいっぱい。
なのに、Nさん、
「曲、出来た。
人数分、テープに録音してきたから、
毎日聞いて、覚えて。
で、自分でアレンジ作って、練習しといて。
皆で合わせるのは、本番前日ね。」
と。
コレはどーゆーことかというと、
「‘明日のレコーディング、
悪いんだけど、キミ達、リンゴとジョージとジョンの代わりヤッてね’
と、ポールに言われた。」
に匹敵する無茶さだ。
笑っちゃうよ、ほんと。
でも、Nさん、大マジ。
 そして、
あっという間に、本番前日の「初・音合わせ」の日・・・。
          (つづく)


11月13日(木よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 クリスマス間近に行なわれた、その公演タイトルは、
『クリスマス・スペシャル公演』。
ひねり、まったく無し。
そう。
タイトルに、ひねりは無いが、
内容は、
まさに、スペシャルだった。
「劇団員それぞれが書いた上演時間15分程度の短編を、
息つく間もなく、次々と上演。
劇団員全員が、それぞれ、いろ〜んな役を演じます。」
といった内容。
なにがスペシャルって、
1人づつ皆の前で、
自分が書いた脚本を発表した時(書いた本人が、ひとりで何役もこなして読みあげた)、
「つっまんねーっ!」
と、皆に爆笑されコケにされた、ウンコみたいな脚本でさえ、
「ヘタな鉄砲も、数撃ちゃ当たる」(「質より量」というべきか?)方式で、
却下されずに、
なにげに数に入れてしまう。
ただし、
本番における、上演の順番は、
面白い脚本2つの間に挟み込む。
お客さんを、めくらましにかけるのだ。
お客さんが「つっまんねー!」と気付く前に、
とっとと終わらせ、
気がつく頃には、もう別の面白い短編が始まっている・・・
という仕掛け。
まさに、スペシャル。
バクチみたいな公演だ。
従って、
ウンコみたいな脚本は、
可能な限り、短くする。
Sさんが書いた脚本は、
本番は、ものの3分で終了。
どんなストーリーだったか、
削られ過ぎて、書いた本人にさえも、いまだ不明。
一方、
Kさん。
「15分程度で上演できるもの」という規定は、彼にとっては無いも同然、
「2時間は、軽く越えるか」っつーような超大作を、
書いてきやがった。
ダダをこねるKさんを、全員でねじ伏せ、
なんとか20分で収まるようにさせた。
(・・・なんだよ、収まるんじゃん。
だったら、最初から短く書けよ。
あとの1時間40分ぶんは、何だったんだよ。いらなかったんじゃねーの・・・)
自分が書いたお芝居は、
自分が演出を担当し、
キャストも、自分が選ぶ。
劇団員は12,3人だったから、
各自、複数の役をこなすことになるワケだが、
「皆それぞれ、私に、どんな役を振るのだろう・・・?」
というのは、楽しみでもあった。
普段の公演では、キャストの決定権を持つのは、座長だ。
なので、
他の人たちが、私に、どんな役をヤらせたいと思っているのか、
多少なりとも判るようで、
興味深かった。
・・・などと思ってたら、
とんでもないことをするハメになった。
          (つづく)


11月12日(水よう日) 日直・橋本
 本屋で
「ポピュラー・ピアノ コード・ブック」
というのと、
「おとなのためのピアノ曲集 ポピュラー編」
という楽譜とを、
2時間、選びに選んで、
買った。
わたくし橋本、
いよいよ、勝負に出ます。
弾き語り歌手に転向です。
ウソ。
長年の懸案である、
「ポピュラー・ピアノ習得」に向けて、やっと始動・・・
というのが本当のところ。
子供の頃習った‘クラシック・ピアノ’って、
何の役にも立たないのよね。
映画に、
『ブルジョアの令嬢が、
自宅で催す自分のお誕生会で、
招待客に
「みつこさん、あなたのおピアノ、お聞かせ頂きたいわ〜」などと請われ、
「あら・・・下手だから、お恥ずかしいわ・・・」などと口では言いつつ、
いざ、ピアノの前に座るやいなや、
いきなりバーンと鍵盤を叩き、
客をビックリさせといて、
てめぇひとりウットリと、目とか閉じちゃって、
ベートーベンの協奏曲とか弾き始める・・・』
というシーンが、
よく(か?)、ある。
皆さん、知ってました?
あれって、ピアノ習った人だったら、誰でも出来る・・・
ってワケではなかったんですよ!
プロレベルに達した人にのみ与えられたシチュエーションだったんですねぇ。
・・・私、気付きませんでした。
お誕生会で、それヤってみたくて、
ピアノ習い始めたはいいけど、
なんか果てしなく先の長い話に思え、アキレっちゃって、
途中でヤメたんですわ、ピアノ。
で、
「きよみさん、あなたのおピアノ、お聞かせあれ。」
と請われた場合、
完璧なフルコーラスを、完璧にソラ(楽譜を見ない)で弾けるのは、
「猫ふんじゃった」だけ。
と、こーゆー結果ですわ、私の場合。
ね?
なーんの役にも立たん。
でも、
それが「ポピュラー・ピアノを習得」したとしたら?
弾ける曲が、グ〜ンと増えて、
それこそ、お誕生会のカラオケタイムでは、
皆の、どんなリクエストにでも、お応えできるようになります。
‘コード’が載ってる歌本さえ有れば、
たとえ知らない歌でも、ぶっつけで伴奏出来ちゃうのです。
もちろん、
自分だけで、‘弾き語り’も楽しめるし。
 というような「目標」に向かって、
独学で始めたポピュラーピアノだが、
実は、
「くそ!ヤッてやる!」
と奮起させられたキッカケが、ある。
もう、何年も前に。
だから、冒頭に書いた「‘長年’の懸案」となったワケだが。
これを読んで下さってるかたの中にも、
おそらく、その、思い出すだに恐ろしいシーンを、
ご覧になったかたがいらっしゃるでしょう。
あれは、クリスマスももう間近・・・という頃の、
ある公演・・・。
    (つづく)


11月11日(火よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
絵看板はなかなかいい。が、
呼び込みが・・・

見世物小屋の呼び込みといえば、
人生街道の裏の裏まで知り尽くしたようなオッサン(必ずダミ声)が、

「さあさ、いらはい、いらはい、奇妙キテレツ奇奇怪怪、
本日お見せするのは、世にもグロテスクな生き物でござーい。
人間なのか、悪魔の使いか、
なんとおぞましい体に生まれてしまったか!
2人の子供がひとつに溶け合っておるのでございます。
か弱きご婦人、心臓の弱い方はどうぞご遠慮を。本邦初公開の・・・・」

などと、とうとうとまくしたててほしいじゃないですか。
けど、
その見世物小屋の呼び込みは、
婦人町内会の世話役みたいなオバハンなのだ!
しかも、富山の山奥に住んでるようなオバハンだ。
こちらの盛り上がりをイッキに冷ましてしまうオバハンだ。

「さあさあ、ここは、日本で最後の見世物小屋でーす。
昔はたくさんあったけど、どんどんつぶれちゃって、今やウチだけでーす。
今、見とかないと、もう一生見られませんよー。
さあ、いかがですかー。」

ミもフタもないというか、ヘタすぎというか、呼び込みになってないというか、
献血の呼びかけじゃないんだから、なんとかしろよ。

そして、場内に入って、またビックリ。
進行役から助手から入場料徴収係まで、全員オバハンだった。

婦人会の模擬店か?

見世物小屋をささえた男たちは、老齢のため、みーんな引退しちゃったんですって。
で、今ここにいるのは、その昔、看板娘だったお嬢さんたちなんですって。
そのお嬢さんたちが見世物小屋を引き継いで頑張ってんですって。
けど、いつの間にか時がたっちゃって、お嬢さんがオバハンになってしまってたんですって。
もちろん、後継者はいないんですって。
だから、オバハンたちが死んでしまうと、終わりなんですって。
今年の春には、‘昭和小町’と呼ばれたウメコさんが亡くなったんですって。
みんな、もう時間の問題なんですって・・・。

見世物小屋に入って、ワクワクするかと思いきや、ブルーな気分になった。


11月10日(月よう日) 日直・鬼界
新宿花園神社の酉の市に行った。
目的は、日本で唯一の‘見世物小屋’だ。

絵看板がスゴイ。
本当は双子だったのに、混ざって生まれてしまった子、
すなわち、一つの胴体に4本の足があり、頭がふたつある子(ちなみに手は2本)が
大正時代の豪華な居間で、ベッドの上で笑っている。
一つの顔は女の子、もうひとつは男の子で、どちらもすっごくカワイイ。
アルセーヌ・ルパンみたいな外人医師がメスを片手に立っている。
そのうしろで、着物の美人が泣き崩れている。

絵の説明は一切ありませんが、
着物美人は、その子たち(‘たち’って付けるべき?)のお母さんで、
非常に困難な分離手術をルパンが行なうところなんだとすぐわかる。

いきなりメスで切るのかよ!とか
そもそも、手術室でやれよ!とか、そんな常識は通用しません。
見世物小屋ですから。

もう一枚の絵看板は、
森の奥深くの巨岩に、雨に濡れた長襦袢の美女があえいだ顔で座っている。
もう完璧スケスケ。裸同然。だけども、
その美女になぜか大蛇が巻きついてて、肝心なとこを隠している。

こら、大蛇、どかんかい!
てゆうか、なんで美女が巨岩の上に座ってるの?
そんなとこでなにしてるわけ?下着姿で。
こんな人、いる?
という常識も通用しません。見世物小屋ですから。

とにかく、気をそそる看板だ。
非日常の世界、異界、魔界、アブノーマルワールドへの道しるべだ。
うーん、盛り上がるぜっ!
と、いい気分になってたのに、 (つづく)


11月8日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 すごい勇気だ。

「おのれが蹴り倒した自転車を、
蹴倒しただけじゃ飽き足らずにガンガン踏みつけているところを、
その自転車の持ち主に、たぶん見られてしまった」

という状況で、

「あなたのチャリも、僕のチャリも、
将棋倒しでヒドイことになってますよ、ほら。
どこぞのバカが、蹴り倒したみたいです。
そのうえ、カゴに、缶やゴミまで入れやがって。
頭にきたので、
あなたのカゴに入れられてた缶カラを、
踏んづけてやってましたの、僕。」

だとよ。

こんな見えすいた子供だましのようなウソを、
相手の目ぇ見ながら、シャラ〜っとした顔で言ってのけるヤツが居ようとは。
で、もっとビックリしたのは、
「このウソを信じるバカが居た」
ってこと。
鬼界さんの説明を聞いて、
角田は、スッカリ納得しちゃったと見え、
あげく、
2人で仲良く、
将棋倒しになった十数台のチャリどもを1つ1つ起している。
(ボサッと見てると角田に怒られそうなので、
この時ばかりは、仕方なく私たちも手伝った。)
スッゴイよねぇ、関西弁。
「ちゃいまんがな、
だんさんの自転車の下に這いつくぼうとる、これ、わての自転車。
どこぞのゴンタクレがやらかしよったんですわ」
だって。
まるで、小商人(こあきんど)だよ、こりゃ。
「血ぃ見るどぉ、おら!」と7人をドヤしつけ、
ケンカの強い‘怖い兄ちゃん’って感じ・・・から、イッキに虫ケラへ。
ヤクザか、あきんどか・・・
コロリと変わるのね、関西弁って。

この‘角田騒動’といい、
甲子園の‘梅宮騒動’といい、
「強いものには、へつらおう。
弱いものは、いたぶろう。」
鬼界さん、やっぱり、
口が、武器。
口は、身を助く。


11月7日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 「俺の自転車に、なにしてんだ」
それは、
腐れボロ自転車の持ち主の声だった。
・・・ダマシだ!詐欺だ!ワナだ!
こんな、燃え尽きたようなボロチャリに、
よもや、持ち主が居ようとはーー!
サドルが、半分しか、無いのだ。
なーに?このチャリ、立ち乗り用?
まさか、まさか、この人の通勤用(注:憶測)だったとはーー!
しかも、
‘この人’ってのが、これまた、チャリってゆーモノに、まったく似合わねー人。
挌闘家・角田信朗が、
さらに体を鍛え、
より筋肉を発達させ、
ますます‘肉体バカ’になったような、
そんな人。
腕が、脚みたい。
首も、脚みたい。
顔も、脚みたい。
半袖Tシャツの袖口が、筋肉でハチキレそう。
マジ、プロレスラーみたい。
エラ強そう。
「なにしてんだよ」
角田は、
鬼界さんに、もう1度、低くドスの利いた声で、言った。
そして、
ゆっくりと、鬼界さんの正面にまわる。
鬼界さんも、
無言で、角田と正対するよう体の向きを、ゆっくりと変えた。
相対する2人・・・。
背が、30センチくらい違う。
角田を見上げる鬼界さん、
アゴ、めいっぱい伸びちゃって。
で、このあと、
殴られて、全身ノビちゃうんでしょ?
と、私達は、みた。
可哀相だが、仕方がない。
罪も無い自分のチャリが、
ガンガン蹴りつけられているのを見たら、
そりゃ、誰だって、頭に血がのぼる。
まして、‘肉体バカ’タイプの人だ、
脳が小さいから、
血が、あっという間にのぼる。
1発や2発殴らねば、気も済むまい。
そして、
一方のヤツは、酒乱バカ。
誰かを殴りたくて殴りたくてウズウズしててチャリを蹴ってたわけだから、
殴り合いは望むところだろう。
ヤッタ。
今まさに、私の目の前で、ケンカが繰り広げられるのだ。
鬼界さんが、
口を開いた。
そうだ、鬼界さんは、口が武器だ!
まずは、くち攻撃で、先制か!
「血ぃ見るどぉ、おら!
骨ぶち折って泣かしたらぁ。
いてもうたる、かかってこんかい、おら!」
ついさっき、
7人をビビらせた、鬼界さん得意の、この‘関西弁のケンカ口上’が、
またまた、その口から、出るのかーーーっ!?
と、思いきや・・・・・

「ちゃいまんがな、
この、あんさんの自転車の、
だんさんの自転車でっしゃろ?この、だんさんの自転車の下に這いつくぼうとる、この、これ、
わての自転車。
わてが来たとき、もう、こんな、みーんなチャリがイテまわれてて、
どこぞのゴンタクレがやらかしよったんですわ、
ホンマざんないことしよって、
みてもうたらわかりまっしゃろ、ちっとやそっとじゃ直りまへん。
どんなりまへんわ。
なんしか、なにがけったくそ悪いいうて、
だんさんの自転車のカゴもそうでんねんけど、
わての自転車のカゴにも、クズやら缶缶がぎょうさん入ってて、
ホンマあたまにきましてな、
だんさんのカゴの缶缶とわてのカゴの缶缶を
クツのかかとの硬いとこで、
痛い目ぇに合わしとったんですわ。」
    
・・・・「だんさん」?「わて」?
んな、アホな〜!
        (つづく)


11月6日(木よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 皆さんは、経験ありませんか?
朝、
「ええい!この辺に停めちゃえ」
と、駅前の路上にチャリンコを違法駐輪して電車に飛び乗る。
夜、
「撤収されちゃったかしら・・・?」
と不安を抱きながら電車を降り、
チャリを停めておいた場所へ急ぐ。
チャリは、ちゃ〜んと有った。
どうやら、今日は撤収車は来なかったのね・・・
とホッとしたのもつかの間・・・
げっ!チャリの群れから自分のチャリを
出せやしない!
朝は、スキスキの路上だったのに、
夜は、キッツキツに、ギッシリ駐輪されている。
両隣のチャリと、
ハンドルやらペダルやら同志が、複雑に組み込み合い、はめ込み合い、
ガッチリ一体化しちゃって、
ニッチもサッチもいかない。
それでも、
なんとか、1つ1つ、ほぐしていき、
最後、
これでもかとカラミあっているハンドル同士を、解くのみとなり、
「くそ、くそ、くそ!
このクソチャリ野郎!」
と、ちからワザで隣のチャリを自分のチャリから引っぺがす。
と同時に、
「世話やかせやがって、コイツのせいだ、死ね!」
とばかりに、
その、引っぺがした誰ぞのチャリを、
力任せにブッ倒す。
・・・そう、それが、災いの始まり。
チャリって弱いものなのね、
しっかり立ってるのかと思いきや、
けっこう、頼りな〜く、お互い支えあってるモノみたい。
1台、
そう、たった1台、ガチャンとブッ倒したら、
ガチャガチャガチャガチャ、ガチャガチャガチャガチャ
はるか向こうに見える、
その列のハシっこのチャリに至るまで、次々と倒れていっちゃって。
将棋倒しっていうの?ドミノ倒しっていうの?
目の前で、アホみたいに寝そべるチャリ、約30台。
さぁ、
あなたなら、どうする?
私は、ズラかりました。
忘れもしない3年前の夏の夜、
「無理だ。」
と、ひとこと言い置き、その場からトンズラしました。
 ここから、やっと昨日のつづき。
鬼界さんは、
やり場のない怒りを込めて、
ズッラ〜と違法駐輪されていたチャリンコのうち、
1番端っこに停めてあった、
前カゴに紙クズやら缶カラやらを入れられた、
「いい加減、買い換えろよ」と言いたくなる、
「うんにゃ、誰かが捨てていったにちげぇねぇ」とも考えられる、
キッチャな〜い、
腐れボロ自転車を、
横っ面から思いっきり、これでもかと、壊れんばかりに、
ガーン
と蹴倒した。
すると?
お判りですね?
そうです。
ガチャガチャガチャガチャと、次々と倒れていったんですね、チャリどもが。

「ざまぁ見さらせ、チャリのくせにイキってっからや、おら。
ボケチャリ、クソチャリ、
おらおら、文句があんねやったら言うてみぃ、おら!天誅じゃ、天誅じゃ。」

おらおら怒鳴りながら、
鬼界さんは、
最初に蹴倒して足元に転がっている、
おそらく誰かが捨てていったモノとみえる、
その、瀕死の腐れボロ自転車を、
トドメを刺さんばかりに、
さらに、ガンガン、蹴リ踏んだ。
その時。
鬼界さんの背後に、
ぬっと現われた、黒い大きな影ひとつ。
影は、
低く小さいが異様にドスの利いた声で、
鬼界さんの背中に向かって、
こう言った。
「俺の自転車に、なにしてんだ」
        (つづく)


11月5日(水よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 7人の弱チン男どもを、
見事、口で追い払った鬼界さんだったが、
この時、
既に、酒乱状態に入っていた鬼界さんにとって、
殴り合いまでに至らなかったのは、
なんとも遺憾なことだったようだ。
当時、
酔うと、
「誰カレかまわず、ワケもなくブチたくなった」らしい鬼界さん。
飲み会で隣に座ったヤツの頭を、
おためごかしにペシペシ殴ってみたところで、
到底、気は晴れまい。
その日も、
殴り足りなくてモヤモヤ〜とした気持ちで、店の外へ出てきたにちがいない。
すると、どうよ、
「さぁ!僕たちを、殴ってぇ」
とばかりに、
グッドなタイミングで、
アホが7人、ガンクビそろえていた・・・と来たもんだ。
鬼界さんにとっては、
またとないチャンス。
「売られたケンカを買ったまで」という大義名分のもと、
思う存分、人を殴れっちゃうのだ。
それなのに、
あぁ、それなのに、
それなのに。
関西弁のケンカ口上で、まずは、おのれの志気を高め、
「よっしゃ、殴るぞ!」
という寸前で、大事な獲物を、むざむざ逃してしまうとは・・・。
鬼界さん、
やり場のない怒りを、
なんにでもいいからブッつけたいと思ったのか、
店の前の路上に、
ズッラ〜と違法駐輪されていたチャリンコのうち、
1番端っこに停めてあった、
前カゴに紙クズやら缶カラやらを入れられた、
「いい加減、買い換えろよ」と言いたくなる、
「うんにゃ、誰かが捨てていったにちげぇねぇ」とも考えられる、
キッチャな〜い、
腐れボロ自転車を、
横っ面から思いっきり、これでもかと、壊れんばかりに、
ガーン
と蹴倒した。
・・・・・・この後の展開を、
一体、誰が予想し得たというのだろう。
    (つづく)


11月4日(火よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 劇団員の男の子の中で、
唯一、鬼界さんだけは、
ケンカっ早かった。
売られたケンカは、必ず買う。
いや、
買う前に、売るね。
それも、
鬼界さんに対して、なーんもしてない、善良な罪無き人にまで、
「なんか、チョット、誰かをブチたくなったの、僕。」
という、おのれの勝手な理由で、
突然、殴りかかってくる。
なにがなんだか・・・。
飲み会では、
皆、鬼界さんの隣りに座りたがらないので、
大概、ジャンケンで負けた人が座った。
で、殴られた。
 そんな鬼界さんが、
「おう!やるのかよ、てめぇ!」
と、これぞ‘売り言葉’を言われて、
買わないわけがない。
お、おい、やめろよぉ、鬼界ぃ〜
他の男の子達が、蚊の鳴くような声で、鬼界さんを制した。
ただボサ〜と立ってるわけにもいかないし、
だからといって、
殴り合いに参加するのは、痛いし、
とりあえず、「彼を止めた」という体裁にしておくか・・・ということかしら。
なんちゅう、肝っ玉の小さい連中。
男なら、殴りあってみろ。
「それに比べて、鬼界さん、カッチョイー。」
と、酔った私たち女の子は、思わず声援。
「いざとなったら、加勢するわよ!」
ぐらいの勢いで。
女の子の応援で、ますます力を得た鬼界さんは、
得意の(?)関西弁で、
まくしたてた。
「やるのかやて?ダレにモノ言うとんじゃ、おら、おら、おらおらっ
ガキのくせにイキっとったら、血ぃ見るどぉ、おら。
オラぁな、ヤマケン兄さんにかあいがってもろてる宇治の鬼界や。
なにしてもケーサツに捕まらんねゃぁ。
イワしてほしいんか。おら、骨ぶち折って泣かしたらぁ。
 (ここで持っていたカバンを相手に投げつけた)
いてもうたる、かかってこんかい、おら。」

なぜに、関西弁は、
「ケンカ」と「漫才」に、こうもピッタシくるのだろう。
「ケンカ」と「漫才」のためにあるようなモノね、関西弁って。
自分より上背のある6,7人を相手に、
エックス脚を無理矢理ガニマタにして、
おらおら怒鳴ってる鬼界さんは、
まるで吉本の池乃めだかのようにも見えたが、
正真正銘の‘怖い兄ちゃん’にも見えたから、
不思議だ。
たぶん、関西弁のおかげ。
そして、
そう思ったのは、私だけではなかったようだ。
相手の連中も、
「この人、結構、コレ(ほっぺたを人差し指で)のシタッパだったりして・・・?」
と思ったのか、
あるいは、
関西弁を聞いてるうちに、スッカリ気持ちが冷めてどうでもよくなったのか、
とにかく、
少々ふてぶてしい風ではあったが、
なにはともあれ、
「すいませんでした・・・」と鬼界さんにペコッとお辞儀をして、
おとなしく、ゾロゾロと去って行ったのだ。
恐るべし、酒乱の威力。
口だけで7人を負かすヤツ。
シラフの時は、理屈を並べたてて相手を論破し、
酔った時は、関西弁でまくしたてて相手をねじ伏せる。
口が、武器。
恐るべし。
 思えば、
鬼界さんも、
これで、おとなしく帰ればよかったのだ・・・。
        (つづく)


11月3日(月よう日) 日直・橋本
 「あわや、ヤクザにイテこまされそうになった」
たった、それだけのことを、
9日間にも渡って書いた本意は、
解かっています、鬼界さん。
自慢ですね?
おめでとう、よかったですね。
最初で最後の、阪神の日本シリーズを甲子園で見られて。
ところで。
どうして、見られることになったんだろう。
不思議だ。
謎だ。
聞いても、どうしても口を割らない。
怪しい。
・・・何か、あるな。

‘ケンカの強い演劇人’って・・・
そういえば、会ったことない。
「酒グセが悪く、酔うと暴力的になる」という人は、
私の知るところでは、4人。
ただ、
4人とも
「酔うと、誰カレかまわず、よくケンカした。
半殺しの目にあったり、あわせたり・・・
昔はね。」
と、必ず「昔はね。」が付くが。
実は、そのうちの1人が、鬼界さんだ。
むかし、むかし。
今となっては、飲み屋でオレンジジュースをすする鬼界さんが、
まだ、大酒飲みの酒乱だった頃の話。
稽古の後、例によって、飲んで、
「さぁ、帰ろう」と言いつつも、
店の前で、皆でウダウダ。
で、
キッカケは何だったか、とにかく、
同じように店の前でウダウダしていた別のグループが、
私達に、からんできた。
あっちも、こっちも、かなり酔ってるし、
「ケンカになるの?!」
と、思わずワクワクする私。
至近距離での殴り合いは、迫力満点だ。
なかなか見れるモノじゃない。
しかし、
その私の大きな期待は、もろくも崩れ去った。
飲み屋でも、店の前でも、
「女は、すっこんでろ。女は、俺たちの話を笑って聞いてりゃイイんだ」
とばかりに、
私たち女の子に、口を挟む機会も与えず、
怒鳴るようにシャベリ倒していた男の子連中ったら、
急におとなしくなってやんの。
あっちの連中に「やるのかよ」
とスゴまれて、
イッキにシラフ。
お顔、まっつぁお。
今思えば、「選りすぐりの、非力な人」ぞろいだったからなぁ、ウチの劇団・・・。
私たち女の子を盾にして、
そそくさと逃げの態勢に。
と、そこへ現われたのは、
帰りがけにトイレに行っていた為、
遅れて店の外へ出てきた鬼界さん。
異様な雰囲気をスグサマ嗅ぎ取った彼は、
あっちの皆さんに向かって
「なんだ、てめぇら。」
と、まるでよけいな一言を吐いてしまった。
        (つづく)


11月2日(日よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる オマケ〜
一応、誤解だったと納得してくれたヤクザ梅宮が
席に戻って、若いもんをどうするか?
興味があったんですよ。
だって、あの若いもんが僕を指差してチクったから、
こんな騒動になったわけでしょ。
当然、若いもんは梅宮にドツキ倒されるに違いない。
ちょっと楽しみだったんです。
が、
なにも起こりませんでした。
ただ、
出迎えた若いもんに対し、梅宮が二言三言、なにか言っただけ。
そして、その後、若いもんは死んだみたいにおとなしくなりました。

「今は野球や。けど、事務所戻ったら、覚悟しとけよ。」

そんなことを言われたんじゃないかなぁ?
見てるこっちが哀れになるくらい、ビビってたもん。なむあみだぶつ・・・。


あのあと、ピタッとウチワ応援をやめてしまった梅宮さんですが、
5回のグランド整備のときだけは
一生懸命、ウチワを振りました。
そのかいあって、なんと、
バックスクリーンのオーロラビジョンに梅宮さんのアップが写ったのです!
ヤクザ梅宮大喜び!
すぐさま僕のほうを振り返り、笑顔でガッツポーズしてくれました。
なんだよ、いい人じゃん・・・


11月1日(土よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる その7〜
「殴られる・・・」
今、考えると、殴られるどころか、五体満足ではいられない状況だったのに、
僕は単純に、そう思った。

会場案内のにいちゃんに助けを求めようと思った。
が、ヤクザ梅宮は、僕と案内にいちゃんの間に巧みに体を入れブロックするのだ。
どこまでもプロだ・・・

成り行きを見ていた周りの人に視線を走らすと、
みんな目をそむける。

オマエらかって、あのウチワにブツブツ言うてたやんけ。
オレはみんなを代表して文句言うてんぞ。
助けてくれてもええやんけ!!


と憤慨したものの、
逆の立場だったら、絶対かかわりにならないな、とも思った。

もうダメだ、甲子園なんか来なきゃよかった・・・

スタンドから出かかったとき、大歓声が響き渡った。
3回裏、ピッチャーのムーアが阪神の初ヒットを放ったのだ。

「おおっ、ムーアが打ちよった」
ヤクザ梅宮の足が止まった。

ここだと思った。

「え?ムーアですか?初ヒットがムーア!
やっぱりムーアのバッティングはスゴイっすね。
シーズン中の打率が3割2分を越えてるピッチャーなんていませんもんね。
矢野と同じくらいの打率ってことでしょ?
恐怖の9番バッターですよ。
でも、夏以降、調子を落としてましたから、
8月20日の中日戦のライト前ヒット以来ですよ。
あれは、たしか、平井のストレートに詰まった、ポテンヒットでしたっけ。
とにかく、ひさしぶりにムーアのバットが火を噴きましたね」

イッキにまくしたてた。

「にいちゃん、くわしいな」

よしっ、きたっ!

ムーアの打率が3割2分を超えてるのは本当だが、
あとは全部でたらめだ。
かまうもんか。
僕はつづけた。

「いや、たいしたことないですよ。
阪神が好きなだけです。
今日もこの試合を見るために東京から来たんです。
見な、あきませんやん、んまに、ねえ。」

グッとくだけた一言を付け加えた。
こういうのって、きくのだ。

「にいちゃん、阪神ファンか?」

って、今頃なに言うてんねん!阪神ファン以外が甲子園にいるか?
と、思ったが、作戦成功だ。
笑顔で
「三代つづいた阪神ファンですねん。
そやから、さっきも、つい、言いすぎてしもたんですわ。
使たはったウチワが、ちょーどまともに、矢野とムーアと今岡に重なって
いっちゃんええとこが見えへんかったんですわ。
そんで、阪神が打ってるときは、ちょっとだけ下げてくれませんか、て言うたんです。」

「ホンマけ?」

「ホンマけと言いますと?」

「『ウチワなんか使うな』てインネンつけられた、ってウチの若いもんは言うとったんや。」

「そんなこと言いますかいな!
プレイ中だけ、ちょっと下げてくださいて言うただけです。
言い方が悪かったんなら謝りますわ。
なかなか声が通らへんさかい、怒鳴ってしもたんが、そういう風に聞こえたんやったら
僕の責任です。
ホンマにすんません。僕が悪かったです。すんませんでした。」

「・・・・ようわかった。席、もどり。阪神応援しよ。」

やった・・・・

こうして僕は死の淵から生還したのでした。
そして、この日、僕の声援のおかげで阪神は劇的なサヨナラ勝利をおさめた。


10月31日(金よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる その6〜
「うちの若いもんに、なんや言うてくれたそうやな」

僕が通路へ出るなり、ヤクザ梅宮は言った。
そして、言いながら、ゆっくりと僕のほうへ歩いてくる。
僕は後ずさりした。
2歩下がると、ゲートの壁にぶつかった。もうあとがない。
梅宮の顔が僕の鼻先に近づいた。

あっという間に、僕は壁に押し付けられたのだ。
といっても、梅宮は僕に指一本触れていない。
さすがプロ。
暴行罪で訴えることはできない・・・

「なんの文句があんのか、ワシが聞こ」

「い、いや、ぼ、僕は、も、も、文句なんか全然ないです。
僕が言わんとしたのはですね、つまり、その、あの、
あのウチワというか、ウチワ型のプラカードというか、
いや、プラカード型のウチワというべきですかね、それとも、赤い大きな応援用の」

「なんでもええっ!ウチワがどないしてん!」

「で、ですから、そのウチワをあまりにも高くかかげられると、
試合が見えなくなるので、
プレイ中は、少々、控えてもらえませんかとお願いしただけなのです。
もちろん、プレイしてない時は」

「おら、にいちゃん、スジの通らんこと言うてたら痛い目に合うで」

ヤクザ梅宮は、僕の発言をぶった切って、おスゴみになられた。

こっわー!!

けど、わかんない。
なんで、梅宮さんは急にスゴみ出したの?
なんか気に障るようなこと言った?
全神経を集中して、無礼にならない言葉づかいでお話していたのに。

梅宮さんはさらに顔を近づけてきた。

うへっ、酒クサぁー!

「応援したらアカンのか」
    ちょ、ちょっと待ってくださいよー、そんなこと言ってないっすよー←僕の心の声です。
「ここは甲子園や」
    わかってますぅ。当たり前ですぅ。
「ワシらは応援に来とんねん」
    僕も同じですぅー
「酒も飲んどんねん」
    イヤというほど、におわせてもらってます・・・
「応援に熱が入っとんねん。ゴチャゴチャ言うてたらイテまうぞ。どやねん」
    どやねんと言われても・・・
「ヤッカミか。やっかんどんのか。」

はあ?
ここで僕は梅宮さんについていけなくなった。
ヤッカミって、どういうこと?どっからそんなことになるの?
スジの通らんのはあんただよ。

と、思ったのが顔に出てしまった。
気づいたときには遅かった。

「なんじゃ、その顔は!文句あんのか。ちょっと来い。ウチの事務所で話ししよ。」

ヤクザ梅宮は、僕の肩に手を回し、歩き出した。
イカツいオッサンに連れ去られる・・・  (つづく)


10月30日(木よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる その5〜
ヤクザ梅宮は、
ヒョイと左腕を上げると、人差し指だけを3センチほどクイッと動かした。

「ちょっと話があるんや。顔借してもらおか。」

指がちょっと動いただけなのに、
言葉は発していないのに、
僕にははっきり伝わった。

こっわぁー!!
あのなにげなさ。あの力の抜け具合。
明らかにやり慣れてるぅ!
さすがプロ!本職は違う・・・

ヤクザ梅宮はすでに通路へ歩き出している。
甲子園は、前の席との間が非常に狭く、通路へ出るには同じ列の人のヒザにガンガンぶつかる。
が、ヤクザ梅宮は悠々と歩いていく。
同じ列の人が足を抱え込んで、よけているのだ。
大興奮の甲子園の中、僕のまわりだけが静まり返った。
行くしかない・・・
僕が「すいません、通ります」と声をかけ、一歩踏み出したとたん、
隣りの女の子が「痛っ!」と声をあげた。
僕は女の子の足を思いっきり踏んでいた。

足が震えて、足元が定まらないのだ。
そのとき、どこからか声が聞こえた。

「あーあ、かわいそ・・・」
僕を哀れむ声だった。  (つづく)


10月29日(水よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる その4〜
僕を睨みつけていたのは、
ガッシリした体格で、やけに顔のツヤがいいけど、すごく目つきの鋭いオッサンだった。
「1日に10人の女とヤッた」という、バリバリの頃の梅宮辰夫に似ている。
でも、パンチパーマ。
似合わないけど、とてもイカツい。
エルメス風のシャツの上に、タイガースのはっぴを着ている。
首や手首や、とにかく‘首’と名のつくところには、
ジャラジャラとゴールドの鎖が光っている。

こんなサラリーマンがいます?

いるわけないっっ!!
ヤーさんだ・・・

僕は知らんぷりをした。
腕時計を見るふりして、チラッと梅宮をうかがうと、(腕時計なんかしてなかったけど・・)
やはりこちらを睨んでいる。
そして、今度は、
パンチ中井の隣りにいる、すっごい茶髪に真っ赤かの口紅の、安っぽそうで不健康そうな女が
僕の方を指差して、梅宮になにかを訴えているじゃないか!

ちょー、待てよ。
なに、チクってんねん。
オレは、オマエにはなんにも言うてへんやんけ!
そもそも、オマエは誰や?
肺病やみの女郎か?

梅宮は肺病やみの言葉にもいちいちうなづき、ジッと僕をにらんでいる。

こうなったら、当たってくだけろ、先制攻撃だ。
一発ガツンとかましてやれ!

僕はおもむろに立ち上がり、
余裕タップリで梅宮をどやしつけてやった。

「な、な、なにか御用ですか?」

口から出た言葉は、最高に丁寧で、しかも震えていた・・・

僕は心底、恐ろしかった。

そして、僕を睨んだまま、梅宮が立ち上がった・・・。  (つづく)


10月28日(火よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる その3〜
振り返ったのは、中井貴一だった。
と、勘違いするくらい中井貴一に似ていた。
でも、アタマはパンチパーマ。
似合わねえー!!
究極のアンバランスだ。
しかも、こんな季節なのに、こんがり日焼けしている。
変すぎ!
なにしてる人?肉体労働者さん?

パンチ中井は後ろを振り返ったものの、
キョロキョロしている。

しめた!
僕の言葉は、ちゃんとは聞こえなかったのだ!
あぶねえ、あぶねえ、ケンカになるとこだったぜ。

僕は立ち上がり、メガホンでパンチ中井に大声で怒鳴った。

「そのウチワでぇ、試合がぁ、見えへんねん。
プレイ中はぁ、ウチワをぉ、上げんといてぇ。」

いきなり、パンチ中井の顔がこわばった。
僕はあわてて付け足した。

「も、もちろん、プレイしてないときは、かまへんでぇ。
じゃんじゃん振ってんかぁ。」

パンチ中井はウチワを上げ下げしながら、なにか怒鳴っている。
笑顔で。
でも、なにを言ってるかは聞こえない。

なんじゃ、こいつ?
喜んでんの?それとも、怒ってんの?
つかみきれない。
僕は怒鳴った。

「とにかくぅ、試合中はウチワ使わんといてぇ!!」

その後、ウチワの応援はピタッと止んだ。
2回裏までは・・・。

2回裏の阪神の攻撃が終わったとき、
僕は鋭い視線を感じた。
パンチ中井の隣りに、さっきはいなかったイカツいオッサンがいる。
どうやら遅れてきたらしい。
パンチ中井は、僕を指差しながら、オッサンになにか訴えている。
パンチ中井の言葉にうなづきながら、そのオッサンが僕を睨みつけているのだ。

僕はちびりそうになった。
そのオッサンは、どう見ても、ヤクザだ・・・  (つづく)


10月27日(月よう日) 日直・鬼界
イカツいオッサンに連れさられる その2〜
「すいませーん、そこのウチワ持ってる人」
と、声をかけた。
まったく声が届かない。
ダイエーの攻撃中は、
球場から人がいなくなったのかと思うほど、シーンとしているはずだが、
(阪神ファンはダイエーの攻撃中、ビール飲んだり、オシッコしたりしています。
半分以上の人が試合なんぞ見ちゃいません。)
第3戦の1回表は、
いきなりダイエー打線に3連打を浴び、
あれよあれよという間に1点を取られてしまったのだ。
こうなると、阪神ファンも黙っちゃられない。
「ガンバレ、ガンバレ、ムーア!!」(ムーアっていう名前のピッチャーです)
と声を合わせて大声援するし、
「ボケッ!ムーア!!なにしとんじゃ!アメリカ帰れっ!!」
とヤジってる人もいて、
大騒ぎなのだ。
声援の切れ目をねらって、メガホンで声をかける。
「そこでウチワ振ってる人ぉ!」
聞こえない
ウチワの人ぉぉ!!
聞こえない
ウチワで応援してる人ぉぉぉ!!!
ぜーんぜん聞こえない
そうこうするうちに1回裏の阪神の攻撃になった。
俄然、ヒートアップ。
中継泣かせの甲子園の大声援だ。
隣りの人の声さえ聞こえない。
比喩じゃなく、ホントに聞こえないのだ。
そんな中、ウチワはますます振られている。
見えないんだよっ!

おぅ、おぅ、こちとら東京から見に来てんでえ!
おめえっちのウチワがしゃらくさくって、いけねえや!

すっかり江戸っ子気分だ。
怒鳴ってやったさ。

「ちょー、ちょー、ウチワのアンタぁー」

・・・言葉は関西弁だ。

けど、聞こえない。
「おい、ウチワのヤツっ!」
「おらっ、そこのウチワっ!!」
「こら、ボケっ、オマエや、オマエ!!!」
だんだん言葉も荒っぽくなっていく。
そして、
「ウチワのクソガキっ!どついたろか!!こっち向かんかい!」
とケンカを売るような暴言を発したとき
ちょうど、金本の凡退で、一瞬、球場が静かになり、
ウチワの人が振り返ったのだ。
げっ!よりによって、今の言葉が聞こえちまった・・・?
ま、まずい・・・ (つづく)


10月26日(日よう日) 日直・鬼界
甲子園のエピソードを書き出すと、2008年くらいまでかかるので、
ひとつだけ書きます。

イカツいオッサンに連れさられる その1〜
日本シリーズ第3戦は、試合開始前から異様な雰囲気だった。
阪神がまさかの連敗をしたため、
ワシらの応援で勝たせなアカン!と
スタンドのテンションが盛り上がりに盛り上がっていた。
ある種、錯乱したパニック状態で、平常心を失っていたのだ。
開会セレモニーで
シャネルズのリーダー(って、古いねぇ)鈴木雅之が君が代を
「きイイみぃーがあよおぉは
と、音痴の黒人みたいにネチネチ気色わるう歌っているのに
全員が神妙に聞き入っている。
いつもだったら、
「普通に歌え、ニセ黒人!」くらいのツッコミがあちこちで聞こえるはずなのに。

セレモニーが終わると、
すかさず、選手の応援歌メドレーと六甲おろしの大合唱だ。
ボルテージはイッキに頂点に達し、
ナチスドイツの集会に似てきた。

そんときからイヤーな感じはしてたんや。
オレの数段下の団体が、
デッカいウチワ(ザブトンくらいの大きさやね)を
振りかざして応援しとるんや。

最近、ごっつ多いねん、
プラカードとか持って応援するヤツ。
目立って、球場のスクリーンやテレビに写りたいねんな。
写ってどうなんねん?と思うけど、
写りたいんや。
アホやね。
ピンクレディーみたいなスケスケのキャミソール着てる女とか
ラムちゃんみたいなビキニ着てる女とかも、おんなじやね。
目立って、写りたいんや。
露出度高いから、ついオッ!とか思てしまうねんけど、
そんな女に決まってエッラい顔したはんねん。
見たことを後悔するような顔したはんねん。
顔のマイナスを体で補ってるんやね。

おっと、話がそれてもた。

デッカいうちわは4つもあって、
「打」「倒」「ダイ」「エー」と書いてある。
それをブンブン振りかざして絶叫しとるわけや。
試合開始前の六甲おろし歌ってるときは、まあええとしよ。
せっかく作ってきたんやから、使うの許したる。
けど、ゲームが始まって、1回表のダイエーの攻撃中も
ブンブン振り回してるのは、どうやろ?
ちょうど、ピッチャーとバッターとキャッチャーとファーストとセカンドにウチワがかぶって(全部や!)
全然見えへん!
そのうち下ろすかと思てたら、ぜんぜん下ろさへん。
ムカついた。
メガホンで注意してやった。そしたら・・・ (つづく)


10月25日(土よう日) 日直・鬼界
行ってきました、甲子園。
はっきり言って、バカです。
たかが野球を見るために、大阪くんだりまで出かけて行って。
テレビで見てたほうが、断然見やすいです。
リプレイもしてくれるし。
球場じゃあ、前の席の熱狂的なバカがチャンスのたびに立ち上がるので
自分も立たなきゃ見えなくなります。
踏み台昇降してるみたいで足がメッチャ疲れます。
座席は狭いし、
トラッキー弁当は異常にマズイし、
真冬みたいに寒かった。
悪いところだらけです。
けれど、しかし、でも、but、

行ってよかったぁ〜

男、鬼界、もう思い残すことはなし。いつ死んでもいい。


10月24日(金よう日) 日直・橋本
 くそ〜。
鬼界さんに、すっかり、だまされちゃった・・・!

「20日から24日までの5日間、
日誌、頼んでいい?」
と、連絡があったのが、18日。
「ゲロゲロー!5日連続かよ!
かんべんちてぇ。」
と、
例によって、
「何々しなさい。」「何々しなきゃいけない。」のように、
義務を負わされると、
条件反射で逃げたくなる私は、
「時間的に、ちょっと、無理かな〜?」
と、それでも、ヤンワリとご遠慮申し上げた。
すると、
「あ、そう?
じゃ、仕方ないから休む?」
と、鬼界さんらしからぬ、お答え。
いつもだったら、
「キミキミ。
キミがバックレた時、いつも助けてあげてるのは、誰かな?」
と、くるはずなのに。
おっかしーなー?
そして、
私も、ホント、ひねくれ者。
「休む?」
と言われると、
「休みたくねーです。」
となる。
で、結果、
日本シリーズとワールドシリーズのテレビ観戦で大忙しのなか、
連日、このスッカラカンの頭で、日誌を書いてたわけでありあす。
ところが、
一昨日の22日。
早朝から夜遅くまでの用事で、どうしても日誌は無理の状況に。
夕刻、鬼界さんの携帯にTEL。
「今日は、無理そうなので、鬼界さん、お願いしまーす。」
すると、
「え?あ?そ?
じゃ、いいな?今日は。」
と。
私は私で、いつもだったら、
「いいですね?今日は。」
となるところだが、
なぜか、昨日に限って、
「鬼界さん、
チャッチャッチャ〜と、ナントカ書いてもらえませんかねー?」
と、さらなる依頼。
「ん?あ、そう?じゃ、書いちゃう、書いちゃう。」
鬼界さんの承諾で、ホッと安心。
ところが、ところが!
帰宅後、HPをあけてビックラ。
書いてねーでやんの。
ひっでぇ。
約束破り!
じゃ、私も、約束の23日・24の分、もう書くのやーめたっと。
と、報告をしようと、
昨日の朝、鬼界さんに連絡したところ・・・
なんと、なんと!!
行ってたんですよ、ぼっちゃま。
どこへ?
大阪へ。
何しに?
甲子園へ、野球を観に。
20日から、実は、既に、大阪入りしてたらしい。
隠しとおす計画だったらしいが、
「なんかヘンだな〜?」と感じた私の追及と、
前夜の、阪神のサヨナラ勝ちの嬉しさで、
ついつい白状してやんの。
ひでぇ。ひでぇ。ひっでぇ〜!
鬼界さんは、
明日、お帰りだそうです・・・。

くそ!今日は、ダイエー勝ってくれ!!


10月21日(火よう日) 日直・橋本
(きのうのつづき)

 本番中にも、あった。
いや、
本番中といっても、「お芝居中」という意味ではなく、
公演期間中という意味だが。
 ある公演中。
出演者の1人が、
本番2日目の朝、
‘女性お笑いコンビ’の片方と、電撃結婚発表をした。
ず〜っと付き合っていて、
数年前からは一緒に住んでいることも、
私たちは知っていたし、
稽古中、飲んだ時、
「もう、そろそろ結婚する」というのも、
彼から聞いていたので、
驚きはしなかった。
ただ、
「発表は公演終了後」と聞いていたので、
「あらら、都合で早まっちゃったのね。」とは、思ったが。
その日、
午後4時に劇場に着くと、
早速、その男優Sさんは、劇場の玄関で取材を受けていた。
Sさんに会釈をし、
私は楽屋へ。
例によって、皆でダラダラとしていると、
鬼界さんが着到。
「Sさんに、取材来てるじゃん!?
えーー!?結婚?!」
・・・おめーも、5日前に、飲み会で聞いてただろ。
楽屋で、しばらくウロチョロウロチョロと落ち着かなくしてたと思ったら、
「僕、ちょっと、行ってこよ。」
と、玄関に見に行った鬼界さん。
行ったっきり、
まったく帰って来ない。
「鬼界、なーに、やってんだろ?」
と、座長が、
劇場の玄関に様子を見に行った。
座長が、そこで見たものは、
テレビカメラを向けられているSさんに興味を持ち、
「なんだろ?なんだろ?」と集まった、野次馬たちだった。
そして、
その輪の先頭に陣取っていたのは、
たれあろう、鬼界さんだった。
・・・おめーは、2人のなれそめから知ってるだろ。
まーだ聞きたりないのか?
 思うに、
ああいう「野次馬」って、
見物する対象(人・物)は、
別に、たいして重要じゃないのかしら?
なんでもかんでも人が集まってるものなら見物するぞ・・・
ってことなのかしら?
人の集まりに自分も「まざる」ということに、
意味があるのかしら?
人が集まって見物するような事物(人)を、
自分も見物している・・・
ってことに喜びを見出しているのかしら。
それも、
できることならば、1番前で・・・って?


10月20日(月よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)

 鬼界さんの、その‘野次馬根性’は、
しばしば稽古を中断させる。
ま、出演者が多い時は、
1人くらい稽古を抜けても、
その人が出ないシーンを稽古する・・・ってことで、
なんとかなるわね。
でも、
鬼界事務所の場合は、
皆さん御存知のとおり、‘少人数で絡み合う’お芝居なので、
「1人抜ける」ってキツイの。
っつーか、稽古できないのよ。
にもかかわらず。
そんなこたぁ百も承知の、
どころか、
「皆さん、1人でも抜けると、お稽古できないんですからね。」
と、戒めるべき立場にある座長の鬼界さん自ら、
ことあるごとに、
稽古を抜けるって、どうよ?
稽古場の受付のオバサンが貧血で倒れた・・・っちゃあ、階下まで見に行き、
稽古場の庭で犬がナニしてる・・・っちゃあ、庭まで見に行き、
稽古場の前の路上でカップルが言い争いをしてる・・・っちゃあ、
真相を探りに行く。
そのたんびに、稽古中断さ。
ああいうのって、
なんなんでしょ?体質かしら?
なんか、もう、「見に行かずにはいられない」っていう体質・・・?
 前回公演の稽古中にも、あった。
出演者5人全員のシーンの稽古中、
稽古場のスグ前で、
パトカーのサイレンが止んだ。
私たちは
「何があったんだろ?」
と胸中で思いつつ、
だからといって、セリフを途中で止めようなどとは、これっぽっちも思わず、
シーンを続けようと・・・。
が、
鬼界さんだけは違った。
鬼界さんの体は、素早い反応を見せたのだ。
パトカーのサイレンが止んだ瞬間、
「あっ!!」
という叫び声と共に、椅子から立ち上がり、
出入り口に向かって、ダッシュ。
が、
4歩くらい踏み出した所で、
「ぬあっっ!!」
という叫び声と共に、ピタッと停止。
そして、
クルッときびすを返し、
何事もなかったように戻り、もと居た椅子に座り、
ひとり赤面し、しどろもどろにセリフを言い出した。
ウフウフ笑いながら。
・・・気色悪い男だ。
なにが「あっ!」だよ。
そのあとの反省の仕方も気味わりーよ。
演出のFさんも、
鬼界さんとは長〜い付き合い。
その体質は承知している。
「いいよ、いいよ、もう!
休憩、休憩!
鬼界!行って来いよ!」
と、なかば呆れ気味に、お許しを出したのだった・・・。


10月19日(日よう日) 日直・鬼界
冬に備えて、灯油のポンプを買いに行った。
ポリタンクからストーブに灯油を入れるときに使うアレだ。
電動式じゃありません。
手榴弾みたいな部分を手でペコペコ押す、昔ながらのタイプだ。
COOP生協で88円!
むっちゃ安いと思います。

ポリタンクに突っ込む管に注意書きのシールがはってある。
『火のそばでお使いになるときはご注意ください。
なお、このシールはご使用前におはがしください。』

当たり前じゃん。
灯油ポンプを火のそば以外で使うことがある?
バッカじゃねえの?
と思いながら、指示通り、このシールをはがした。

爪で角っこをカリカリとめくり、イッキにはがした。
が、
表面の紙がクルクルッとまるまってはがれただけで
ノリ部分というか、ニチャニチャしたのがタップリ残った。

あるでしょ?こういうの。
値札とかバーコードとかのシールで、簡単にキレイにはがれるヤツと
ニチャニチャが残るヤツ。

あれはなに?どういうこと?
安モンのシールは、安モンのノリが使ってあるの?

業界関係者に言いたい。(何業界?)
あのタイプのシールは製造するな!
ニチャニチャを取るのに、どれだけ苦労すると思ってんだ!

ニチャニチャの角っこを爪でそおーっとはがし、
全神経を集中して、そおーっとめくっていく。
急いではダメ。
ニチャニチャ部分は切れやすいから。
力がかたよってもダメ。
めくる力が均等にかからないと、ニチャはめくれ上がってこない。
どんなにうまくニチャをはがせても、
最初に爪でカリカリやったところには、絶対ノリが残る。
何度も指で触ってると、黒ずんできて、鼻クソみたいなる。
これを除去するためには、セロテープだ。
セロテープで何度かペタペタすると、鼻クソはセロテープにくっつく。
他のはがしきれなかったノリも、この方法を繰り返すと、キレイになる。

たかだかシール1枚はがすのに、
これだけの作業をしなきゃなんないのだ!
ニチャ残りタイプのシールは、この世から抹殺すべきだ。


10月18日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 私は、
「日本一の野次馬ジジイ」の他に、
「日本一の野次馬おとこ」も知ってます。
 以前の話。
稽古開始時間を2時間過ぎても現われない鬼界さん。
「また、
ウンコで図書館とかの便器を詰まらせて、
四苦八苦してたりすんじゃねーの?」
と、皆で噂していた。
(稽古場の故障中のトイレでウンコし、案の定、詰まらせ、
手で流した鬼界さんの話は、以前、書いたとおりです。
その時、
稽古は30分間の中断。
鬼界さんは、
ウンコは、極力、家でしないで、公共施設のトイレで済ます習慣らしい。)
やがて、
顔を紅潮させ、やや興奮気味に稽古場にやって来た、
鬼界さんの第一声。
「大変だったんだよ!」
皆は、
「・・・やはり。
ウンコ、流してたんだ。」
と、思った。
(その、稽古場トイレを詰まらせた時も、
鬼界さんは、
最初、真っ赤な顔して興奮して部屋に戻って来て、
「大変なことになっちゃったから、僕、ちょっと、お稽古、抜けるね。」
と、皆に報告している。)
しかし、
それは、間違いだった。
どうやら、鬼界さんは、
稽古場に向かう途中、
バイクと乗用車の衝突事故に遭遇し、
事故の成り行きを見守っていて、
稽古に遅れて来たらしいのだ。
みんなもビックリ。
皆「へぇ〜!スゴイじゃん、そんなとこ見れて。死亡者は?」
鬼界「居ない。らしい。」
皆「でも、救急車は来たんでしょ?」
鬼「来た。みたい。」
皆「バイクは、もう、ズタズタ?車もヘシャゲてたりとか?」
鬼「バイクは火を噴いて真っ黒けになった。そうだ。」
皆「・・・見てないの?」
鬼「見てはいない。」
皆「・・・鬼界は、事故の、どの過程に遭遇したの?」
鬼「全部片づけ終わってたけど、
消火剤とガラスが散乱してたから、
やや!なんか事故があったな?!って判ったんだ、僕。
僕の眼はごまかせないさ。」
皆「・・・・・。
死傷者の有無とか、救急車が来たとか、バイクが燃えたとか、
なんで判ったのさ?」
鬼「現場が、ちょうど中華屋の真ん前で、
その中華屋のオッサンだったら、きっと詳しく知ってるだろうと思い、
そこでラーメン食いながら、
いろいろ聞いてきたの、僕。」
皆「・・・あんた、腹減ってたの・・・?」
鬼「僕?お昼食べたばっかで、お腹いっぱいだったけど。
でも、事故のこと聞かなきゃいけないでしょ、僕。」
皆「おめーは、交通課の刑事かよ!!」
チャンチャン。
なんなのでしょうか?この男。


10月17日(金よう日) 日直・橋本
 今朝、
家の前の路上で、
ちょっとした事故があった。
角を曲がってきたタクシーと接触した通行人が、
救急車で運ばれる・・・という事故だ。
私は、家の中で、
キキキーーーッという急ブレーキの音も聞いたし、
救急車のサイレンが、現場である家の前でピタッと止むのも、
当然、聞いた。
でも、
急ブレーキの音も大きくはなかったし、
徐行必至の狭い路地での接触だし、
念のために救急車を呼んだに過ぎない、
そんな程度の、
ま、たいした事故ではないだろう・・・
外に見に行くまでもないな・・・
と、家の中で、
成り行きを耳で追うのみにとどめた。
が、
3軒先に住む浅田さんちのジイさんは、
やはり、そうは、いかないらしく、
今回も、いち早く現場に駆けつけて来た。
急ブレーキの音と、ほぼ同時。
一人でも、なにかしら大声で喋るから、
見なくても、
「あ、浅田だ。」
と、すぐ判る。
今朝も、
「どうした、どうした!」
と、やって来て、
タクシーの運ちゃんと接触された女性、
2人から、いろいろ事情を聞いたりしていた。
当事者は興奮してるから、
つい、ただの野次馬のジイさんとでも話しちゃうけど、
浅田のジイさん、
聞くだけ聞いて、なんの役にも立たないんだよねぇ。
なんで、
ああいうふうに、トラブルっていうと、はしゃぐんでしょう?
以前、
附近一帯が停電になったときも、
停電になったとほぼ同時に、外に出、
「どうした、どうした!停電か?停電だ!」
と、騒いでいた。
同じように外に様子見に出たご近所さんをつかまえては、
「停電ですかねぇ?停電でしょうなぁ。」
と、発展性のない会話を繰り返していた。
 今朝、
浅田のジイさんの声を聞きながら、思った。
母が、昔、
「悪い人に、なにかされそうになったら、‘火事だぁ!’って叫びなさいね。」
と言っていた。
確かに、
浅田のジイさんだったら、飛び出してくるね。
(ま、浅田のジイさんじゃなくても、
自分んちへの被害も有り得る事だから、
飛び出してくるか。)
では、もしも
‘人殺しぃ!’という叫び声をあげたとしたら、
果たして、浅田のジイさんは、飛び出してくるでしょうか?
出てこないんでしょうなぁ、おそらく、
ああいう、普段は野次馬の人に限って。
野次馬の最も怖れることは、
「巻き添えを食う」ことだからねぇ。
「他人のトラブル、大好物。でも自分が痛い目みるのは、まっぴらさ。」
誰でもそうだろうけど、
あのジイさん、グンを抜いてるからなぁ。
1度、試してみる?
         (つづく)


10月16日(木よう日) 日直・橋本
 友人夫妻のダンナの話。
お宅に遊びに行った折のこと。
ダンナが、バスタブにお湯を張ろうと、
キッチンでも操作できる‘自動お湯張り’のボタンを押した。
すると、
「ピンポンパポ〜ン♪
お湯張りをします」
と、忠誠を誓うごとく女の声が流れた。
ダンナは、
「は〜い。お願いね〜」
と、その声に、答えてあげた。
しばらく経って、
すっかり忘れていた頃に、
「ピンポンパポ〜ン♪
お風呂が沸きました」
と、さっきの女の、突然の声。
ダンナは、
すかさず、声のしたキッチンの操作機の前に走り、
「ありがと♪」
と、ねぎらいの言葉をかけた。
「・・・。
ダンナと、機械の女の人、仲いいんだ?」
と、妻である友人に聞いてみた。
大の仲良しらしい。
友人はというと、
「お湯張りをします」には、「いいから、早くやれよ。」
「お風呂が沸きました」には、「いちいち、うっせーよ。ビックリすんだよ。」
と、不仲なようだ。
「ダンナがやってるように、優しくは出来ないの?」
と聞くと、
「高飛車な女の声って、トサカにくるんだよねぇ。」と。
・・・男の声だったら、どーなるのかしら?
玄田哲章の声で
「お湯張りを・・・する。」
と言われたら、
友人は、
「は〜い、おねが〜い、おねが〜い♪」
と、答えると?
「電話の時報も天気予報も、女声だし。
実際に聞いてみないと、何とも言えないな。
男の声、どこで聞ける?」
と、友人。
さぁ・・・?
どこで聞ける?

でも、
友人夫妻のコノ場合、
私が見たところ、
「女声か男声か」は関係ないな。
2人の性格の違いだな、これは。
ダンナは、
レンジの‘出来上がり合図’のピピッピピッ・・にも
「は〜い」
とお返事してたし。
手が離せなくて放っておいた為、レンジが、再度、
‘催促の合図’でピピッピピッ・・と鳴ったら、
ダンナは、
「はい、はい、ちょっと待っててね」
と、なだめていた。
その時、妻はというと、
「わかってるよ!」
と、レンジにケンカを売っていた。
そういえば、
私の母も、レンジの‘催促の合図’に対しては、「はい、はい」と返事をする。
その時、私は?
・・・・友人と同じ「わかってんだよ!」だ・・・。


10月15日(水よう日) 日直・鬼界
燃えないゴミを出した。
大きいペットボトルが多く、
45リットルのゴミ袋がいっぱいになったので、なんだか嬉しかった。
こういうのって、なんだか嬉しいでしょ?

ふと思った、「なんで嬉しいの?」

45リットルのゴミ袋がスカスカだったら、もったいないから?
いいや、そんなことはない!
僕は、たかがゴミ袋1枚をゼイタクに使って気が咎めるような
セコい人間ではないはずだ!

45リットルのゴミ袋を満杯にしたという達成感?
NO!NO!
僕は、そんなささいなことで達成感を得るほど
チンケな人間ではないはずだ!

じゃあ、なんで?

・・・・・・・・・・・・・・・。

他に理由は見つからない。

ってことは、やっぱり、・・・・。

いいじゃん、セコくてチンケな人間だって!!(←開き直り)
ゴミ袋1枚に喜びを見出せる、明るい小市民さ、僕は。


10月14日(火よう日) 日直・鬼界
昨日のニュースを見て、
僕の常々の主張が正しかったのを確信した。

「やっぱ体育の日は10月10日にしときゃよかったんだよ。」

      常々の主張?昨日、チラッと書いただけじゃん!!

というベタなネタもまじえつつ、書き進めるのですが、
ニュースを見ていて、マジ驚いた。

横浜の競技場で、毎年恒例の体育の日のイベント‘スポーツ家族は健康家族!’
が行なわれた。
「ママは体力測定」というナレーションに続いて、
オバサンたちが列になって反復横飛びをしている光景が映し出される。
オバサンたちの二の腕の脂肪も列になってユッサユッサ揺れる映像は微笑ましい(?)。
「オジイサンは基礎体力作り」というナレーションのあとは
ジジイたちがグランドを散歩している映像だ。これがスポーツ?とも思うが、まあ、微笑ましい。
「パパは真剣勝負」の映像は、
お父さんたちが100m競争をしているところだ。
でも、雨がドシャ降り、ジャジャ降りなのだ。
お父さんたちはビショ濡れ。
単パンはいてたお父さんは、パンツが丸透け。
なのに一生懸命、走っているのだ。
市のイベントで、取材が入ってるから、やめるわけにはいかない。
お父さんたちが風邪をひこうが、‘イベントを無事消化する’ことのほうが大事なのだ。
あーあ、やっぱ体育の日は10月10日にしときゃよかったんだよ。

東京では、室伏広治が子供達とかけっこをしていた。
やはりドシャ降りでビショ濡れ。
「室伏さんはどうだった?」とインタビューされた子供が
「て、て、て、手がおっきかった」と奥歯をガチガチ鳴らして答えていたのが哀れだった。
室伏はいいよ、ギャラもらえんだから。
子供がかわいそすぎる・・・。濡れて冷えちゃったんだね・・・。


10月13日(月よう日) 日直・鬼界
なんだか蒸し暑い。
どんより曇ってるうえに、生温かい風がビュービュー吹いている。
やる気をなくさせる天気だ。
と思ってたら、雨が降り出した。
せっかくの体育の日だぞ、運動会はどうなるんだ!
やっぱ体育の日は10月10日にしときゃよかったんだよ。
などと思ってるうちに、
どんどん雲が厚くなり、まっくらけになった。
薄暗い部屋でパソコンの画面だけが光っている。
雨もザンザン降り出した。
雷まで鳴り出した。
なんだよー、この天気ー、
こんななるなんて、
天気予報じゃ言ってなかったじゃんかよー。
うっとうしく、暗く、ジメっとムシっとした、こんな日は、なにもやる気がしなくなる。

人間もやはり動物なのだ。
たとえ、服を着ようが、言葉を話そうが、パソコンを使おうが、
根底では野生の猿となんら変わらないのだと痛感させられる。
猿はこんな日は終日、ダラダラして何もしない。
が、人間は、
「天気が不快だから」という理由だけで、仕事を休むことはできない。
本当は休んでもいいのだ。
休むことが悪いことのように思い込まされているだけなのだ。
「自分達は猿とは違うのだ。猿よりエライのだ」と見下した時点で
‘文化’とか‘習慣’いう名の縄でがんじがらめになったにすぎない。
そもそも、チェコの人類学者ズンドコビッチ博士が、猿と人間を掛け合わせてつくった



え?晴れてきたじゃん・・・
やる気がしなくなる天気だから、書き始めたのに・・・これからがいいとこだったのに・・・
ど、どうすんだよ、この日誌・・
中途半端・・・今日の天気みたい・・・・


10月12日(日よう日) 日直・鬼界
地下鉄の中で女子高生がクシャミをした。

ブェ・・・・・クシュン

いかにもおとなしそうな女の子が、
突然、
爆発的にオヤジみたいに「ブエッ」という音を発したときは、
僕はびっくりした。
怪獣が襲ってきたのかと思ったぜ。
が、しかし、
半拍ほどの間をおいて、
妖精が独り言をささやくような声で「クシュン」と続いたときには、
その子を抱きしめたくなったさ。
もう、なんてゆーか、カッワイイのだ。

と、
理解ある僕は、あのクシャミをカッワイイと思えるが、
彼女は学校では絶対クシャミをしないに違いない。
あんなクシャミをしたら、学校中からバカにされてしまう。

クシャミって、人それぞれのやり方があるんですよね。
僕の友達に
「ハクション、ハクション」と中国人が日本語を読むみたいにクシャミをするヤツがいる。
「わざとやってんの?」と聞くと
幼い頃からこのクシャミしかしたことがないという。

だから、地下鉄の女の子も
「こんなクシャミじゃ、恥ずかしい」と思って、直したいんだろうけど、
いざクシャミする時って、それどころじゃないからね。
直んないだよね。
身についてしまったクシャミは一生、そのままなのだ。

あの子のカレシには、あのクシャミも好きになってほしい。


10月11日(土よう日) 日直・橋本
 「’70年代フォーク ベストヒット」
と銘打った、
通販の数枚組みCDのコマーシャルをテレビで見た。
そのCDに入っている曲を、
フルコーラスではないが、
次々に流していくコマーシャル。
しかも映像付き。
ついつい見入ってしまい、
最後に
「よみがえる愛と青春!
さぁ、今すぐ、あなたのお手元に!」
と言われると、
買っちゃおうかな・・・
という気になる。
え?ならない?
あ、そう?
私は、これで、
「’80年代 全米ベストヒット6枚組み」と
「全米ベスト・オブ・ザ80年代 6枚組み」の、
2つ、買ったよ。
ダブってる曲、多いでやんの。アハハ。
あたしって、バカでしょ。ウフフ。
それはさておき、
冒頭の「フォーク」のCMで、
「かぐや姫」の「神田川」が流れた。
よくよく聞くと、
ヒドイ男だね、ありゃ。
『2人で行った横丁の風呂屋。
一緒に出ようねって言ったのに、
いつも私が待たされた。
洗い髪が芯まで冷えて、小さな石鹸カタカタ鳴った。
あなたは私の体を抱いて、「冷たいね」って言ったのよ。』
だとさ。
1度や2度ならまだしも、
‘いつも’待たせるんだよ、彼女を。
ワザとだね、そうなると。
彼女を待たせるのを承知で、ノンビリと湯舟につかってるね。
自分が待ちたくないもんだから、
ダラダラやって、時間つぶしてるね、おそらく。
「冷たいね」だ?
おめーのせいだよ。
可哀相だと思うんなら、ちったぁ早く出て来いよ、1度でもいいから!
って、ね?
・・・年寄りのボヤキ漫才のようになってしまいました。
唄の歌詞に文句をつけるようになってはオシマイです。
が、
これといって書くことがない時には、
これに限ります。


10月10日(金よう日) 日直・橋本
 7日の日誌に、
「日曜日にハンズなんか行くもんじゃないね」
と書いて、思い出したことがある。
 以前、
劇団の仲間に、Hクンという、器用な男の子が居た。
今となっては、
クン付けだが、
大学時代は、演劇部の先輩だった。
学園祭における、私たち演劇部の出し物は、
『お化け屋敷』。
毎年恒例。
「入場料100円」だったが、
近所のガキんちょどもが、押すな押すなの行列を作り、
イイ‘公演資金作り’になったものだ。
演劇部だけあって、
本格的な「照明&音響」効果。
それに負けじと、
「装置(セット)」の総合リーダーであるHクンは、
凝りに凝った装置を計画。
数人づつのチームに分かれ、
学園祭の1週間前から、
不眠不休の大道具・小道具作り。
運悪く、
私は、Hクンが班長である「お墓チーム」に。
Hクンの計画としては、
お客が、その、いかにもオドロオドロしい墓の前を、
おそるおそる通り過ぎようとした刹那、
奇声と共に大ガラスがお客の顔をかすめ飛び、
墓石が吹っ飛び、
火のタマが乱れ交い、
地面を這う蔓草が、足に絡まって動けなくなる・・・
という、趣向。
これを、Hクン・S美・私の3人で作製するのだ。
Hクンは、
早速、材料もろもろ、ハンズで買い込んできた。
チームごとに分配される予算は、少ない。
オーバーした分は、チームの自腹だ。
お墓チーム、すっごい予算オーバー。
その上、
凝り性のHクン、
ムード作りの「障子」「格子戸」など、
全部、手作り。
そんなもの、無きゃ無いでいいのに。
そんなもの作る前に、カラスや墓石を作ったほうがいいのに。
ハンズで買ってきた大量の棒に、
1本1本ヤスリをかけ、
クギや接着剤など、いっさい使わず、
カッターで凹凸を作り、組んでいく。
・・・宮大工じゃないんだから。
「適当にボンドでくっつけて、紙を貼れば障子に見えるのでは?」
と言ってみたが、
「いや、僕は、手作りにこだわりたい。」
お化け屋敷・・・暗いし、見えないと思うんだよねぇ。
なんの意味があるのか・・・。
意味は、なかった。
障子に時間を取りすぎて、
当初の計画は大幅に削減され、
「あっちからこっちへカラスが飛んで、墓石がチョット傾く」
だけになった。
そして、
障子は、ほとんど墓石で隠れて見えなかった。
 そんなHクンのこだわりは、
劇団員になっても、変わらなかった。
公演ごとの小道具類は、すべてHクンの手作り。
もちろん役者兼任だ。
お芝居に出てくる小道具がヤタラ多かった当時、
稽古の後、Hクンは、
飲みに行く皆と別れ、
ひとり先に帰り、
睡眠時間を減らして、作ってくれた。
 Hクンは、結婚を機に、演劇から足を洗った。
彼女との日曜たんびのデートの場所は、
もっぱら「ハンズ」だったらしい。
「11時に、5階のネジ売り場。」
とかって待ち合わせしたらしい。
手作り好きのHクンにとって、
ハンズはパラダイス。
日曜日の混み混みのハンズの各売り場を2人で、
ひがな1日、練り歩いたらしい。


10月9日(木よう日) 日直・鬼界
もちろん、僕も電話しました。
甲子園での日本シリーズのチケット。
0570−00−0023!
電話番号を暗記するほど、リダイアルしまくりました。
リダイアルしかしてないのに、番号を暗記するって、けっこうスゴイことです。
そして、もちろん、つながりませんでした・・・・

‘つながらない’には、2パターンあります。
‘ツーツーツー’という、“話し中”と、
「こちらはNTTです。ただ今おかけになった番号は大変混んでおります。
しばらくたってからおかけ直しください」
というメッセージが流れるやつです。

あのメッセージが流れると、ムカつきます。
あれって、電話料金とられるんじゃないの?
ケータイの表示が「通話中」になって、1秒、2秒・・と通話時間が増えていくもん。
1秒で切ろうが、59秒で切ろうが、1分ぶんの料金とられるんでしょ?

すっげえムカつくぅ〜!

あのメッセージは、ちがう女性の声で4パターンくらいありました。
「あのぉ、申し訳ありませんが、こちらはNTTというシケた会社なんですけどぉ、
あなた様のおかけになった番号は、とてもとても混んでいるんです・・・」
という風な気持ちが伝わってくる、すごく丁寧なのがほとんどなのに、
ひとりだけ
「あんた、バカじゃないの?何度かけても話し中だよ。もうかけないで。」
という風に聞こえるのがあるんです。
もちろん言ってる言葉は同じなのに、そういう風に感じさせるのです。
声質なのか、言い方なのか、それとも、その人の悪い性格がにじみ出てるのか、
これにあたると、さらにムカつきます。

結局、2時間も繋がらない電話をし続けました。
すっごく時間をムダにした気がします。


10月8日(水よう日) 日直・橋本
 昨夜7時からの、
『日本シリーズ 第3・4・5戦 前売り入場券先行発売』電話予約は、
友人Y美の家で敢行。
Y美は、仕事上、
電話機を(電話番号も)2つ持っているので、
「発信者番号規制」
(同じ電話番号からは1回のみの受け付け)がある今回のような場合、
モッテコイだ。
私とY美それぞれの携帯電話も合わせると、
計4台の電話機から電話できるので、
それだけ、つながる可能性がある・・・と思って。
結果。
まったくの徒労に終わりました。
案の定だ。
やっぱりだ。
思ったとおりだ。
5日の「第1・2戦の先行発売」の時も、まったくつながらなかった。
可能な限りのスピードで、
‘リダイヤル’を繰り返すも、
「ただ今、混み合っていますので、おかけ直しください」。
あれって、
やっぱり、誰かは、つながってるんでしょうね?
まさか、
本当は、
誰もつながらないようになってるんじゃないですね?
と、疑いたくなるほどの“不通”状態。
もし、昨日、
つながったとしたら、
入場券を入手できた喜びの前に、
まず、
「電話がつながった」という事実に狂喜するね、きっと。
数少ない‘当たりクジ’を引いたようなもんだ。
ハンパじゃなくクジ運が悪い私。
じゃあ・・・つながるわけないか・・・。


10月7日(火よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 先日のNHKドキュメンタリー『少年犯罪』の中で、
かつての‘万引き常習犯こぞう’も、
こう言っていた。
「万引きは、堂々とやってれば、捕まらない。」

 ‘ポシェット型メガネケース’は、
オッサンが、付け替えてくれたチェーンによって、
よりオシャレなものに。
私がしているのを見て、
オッサンも満足そう。
「じゃ、これ、伝票ね。
これをレジで渡してね。」
と、オッサンから渡されたレシートのような紙切れには、
私のメガネケースに要したチェーンの代金が記されていた。
本来ならば、
レジでは商品を出すものだが、
私の場合、
商品であるチェーンは、
既に、私の‘ポシェット型メガネケース’の1部分となり、
私の肩から斜めがけにされている。
なので、
「‘この人は、○○を、○○円で買いましたぜ’
ということを証明する紙切れを、
現物の代わりにレジで出して、
その金額を払ってちょーだいよ。」
っつーことなのだ。
「はーい。」
私は、
その紙切れを受け取り、手に持ち、
同フロアにある‘手作りアクセサリー’のパーツ売り場へ。
なぜか大混雑している、そのパーツ売り場を右往左往し、
やっと、
目的のいくつかの品物を見つけ出し、
支払いのため、レジへ。
レジも混み混み。
日曜日にハンズなんか行くもんじゃないね。
 帰宅後、
レシートを処分しようと、サイフから出し、
なにげなく見て、びっくり。
購入した物の中で、最も高額な、
例の“チェーン”の代金が、加算されていない。
なーぜ?
そう、
オッサンに渡された、あの‘証拠の伝票’をレジで出さなかったから。
ワザとじゃないよ。
アクセのパーツ売り場で、あれこれ選んでいるうちに、
手に持っていた6cm四方の、あの‘証拠の紙切れ’ったら、
どっかに行っちゃったんだねぇ、おそらく。
私の手を離れ、
紙切れよ、おまえは何処に行ってしまったんだい?
まったく気づかなかった。
レジでお金を払う時には、
伝票の存在さえ、スッカリ忘れていた。
マジで。
いやぁ〜、
「気づいてない」って、素晴らし・・・いえ、おそろしいですねぇ。
これ、
ワザとじゃ、なかなか出来ないよ、挙動不審になっちゃって。
そういえば、
鬼界さんも4日付の日誌に書いていた。
「ズボンの穴に気づいてないときは、
堂々と歩いていたのに、
いったん、気づいてしまうと、ふつうに歩けなくなる。」
と。
・・・あぁ、気づかなくて良かった。


10月6日(月よう日) 日直・橋本
 さわやかな秋晴れの昨日、
ハンズへ、お買い物に。
「そうだ、
今日持ってきた、この、
ポシェット型メガネケース(ショルダーバッグのように肩から下げられる)の革ヒモを、
チェーンに付け替えよう」
と思い立ち、
早速、
チェーン売り場へ。
理想どおりのチェーンは見つかったものの、
よくよく見ると、
「ケース本体と革ヒモをつないでいる、この金具の構造は、
果たしてチェーンでもウマクいくのか・・・?」
という、
根本的かつ大きな問題に気づいてしまった。
チェーンは、
10cm単位で売る‘測り売り’なので、
端っこは、切りっぱなしの状態。
そのチェーンを、
今付いている、この金具のままで、
ウマイこと本体に付けられるのか・・・?
という難問。
「このワッカが、ここを通るか?
いやいや、まさか通るまい。
・・・待てよ、
家で工具を使ってやればナントカなるか?
おいおい、キミに工具が使えるのかい?
・・・ダメだ。」
と、
右手に持った、売り物のチェーンの端っこと、
肩から斜めがけにしたメガネケースの金具とを、
繰り返し見比べつつ、
ひとりごとを言う私に、
「ペンチで広げれば、イケルんじゃないかなぁ。」
と、いきなり話しかけてきたのは、
売り場の店員だった。
なんだよ、聞いてたのかよ・・・!
私のひとりごとで、すべて了解済みの店員は、
2種類のペンチを持ち出してきて、
私のメガネケースの金具を、細工し始めた。
「やった!
これで、自分で付け替える手間が、はぶけた。」
と、イッキに余裕の私は、
というか、
やることないし、
メガネケースは肩から斜めがけしたままだから、身動き取れないし、
おのずと目の前のソノ店員の観察をすることに。
相撲取りのように横も縦もデカイ、そのオッサンは、
太い指をブルブル震わせながら、
チッコイ金具を、イジっている。
大丈夫かよ。
鼻の穴から、白髪の鼻毛が飛び出ている。
切れよ。
汗をジュージューかきながら、
一生懸命にペンチで広げようとしてくれている。
やせろよ。
あぁ、ありがとう、オッサン!
オッサンの努力で、
見事、チェーンに付け替えることが出来た。
カバン屋でも修理屋でもなんでもない、
ただの売り場の店員さんに、
20分近くもかけて、1から10までやってもらっちゃった。
「付け替えてあげたこと、友達に言っちゃダメだよ。
私も、私も!って、行列作られちゃ困るからね。ワッハッハ。」
貫禄〜。余裕〜。
このオッサン、店員の中じゃエライ人かも。
売り場主任とか?
と、そこへ、
オッサンと同じエプロンをした、大学生みたいな若い店員が。
オッサンに、
「ちょっと、
来てくれる?」
タメ口。
オッサン、「はい。」って。
・・・オッサン、下ッパだったのね。・・・新人?
あんな若ゾウに指図されちゃって・・・。
「一人の客に時間とりすぎ。余計なことすんな。日曜は混んでるんだから。」
って、オッサン、怒られたのかなぁ、あの若ゾウに。
ごめんね、オッサン・・・。

年輩の人が、若者に叱られる・・・
キビシイーー!(財津一郎の口調で)
        つづく


10月5日(日よう日) 日直・鬼界
今日はとても気持ちのいい、いいお天気でした。
僕は洗濯をしました。
パンツ、靴下、Tシャツ、トレーナー、ズボン、パジャマ、タオル、バスタオルなどはもちろん、
プリンターにかけてあるホコリよけのバスマットも
お風呂で使ってるバスマットも
便座カバーも
洗濯しました。
あまりにいい天気なので、
ついでに
床にしいてある夏用エリアラグ(薄手のカーペット)も洗濯しました。
もう洗えるものはうちにはない!
というくらい、いっぱいいっぱい洗濯しました。
とても気持ちがいいです。
日が暮れて、洗濯物を取り込みました。が、

ぜーんぜん乾いてない!

秋の陽射しを甘く見すぎていました。
乾いてるのは、パンツとタオルだけ。
他のものはすべて、しっとり濡れ湿っています。
しかも、運悪く、明日は雨。
僕の部屋のどこに、これらの洗濯物を干せばいいのでしょう?
ズボンやバスマットはなんとかするとしても、
じゅうたんはどうする?
濡れたまま、しいちゃいます?
バスマットは?
どうせ濡れるもんだから、最初から濡れててもオッケー?
どうしましょ?どうしましょ?
今、僕の背後にはいやーな感じの洗濯物の山があります・・・。


10月4日(土よう日) 日直・鬼界
サランラップを買おうと商店街を歩いていた。
サンドラッグが安いか、マツキヨが安いか、
両方を確認しないと気がすまない。
僕はそーゆーところは、けっこーキッチリしているのだ。
行ったり来たりしてると、
妙に股間がスーカスーカと風通しがいい。
カーゴパンツをさりげなく手で探ると、
おケツがデッカクほころびている。
リスやフェレットが出入りできるくらいの穴があいているのだ。

しまった!

さっき、家でタンスにTシャツをしまってるとき、
屈んだひょうしにビリッと破れたんだ。
はきかえなきゃと思ったんだけど、
Tシャツに黄色いシミを発見して、ハイターで漂白してるうちに
ズボンの穴のことをすっかり忘れてしまったのだ!
僕はこーゆーところは、けっこーマヌケなのだ。

自分で穴に気づいてないときは、
堂々と歩いていたのに、
いったん、気づいてしまうと、ふつうに歩けなくなるから不思議だ。

本人が気づいてようが、気づいてなかろうが、
お尻の穴あきを見て、周りの人が笑うのは同じなのに、
なぜか本人は同じではいられなくなってしまう。
気づいただけで恥ずかしくなってしまう。
穴があいてるという状況にまったく変化はないわけだから、
恥ずかしがるだけ損な気がするが、
そうはいかない。すっごく恥ずかしい。

金魚はウンコをくっつけたまま平気で泳いでるし、
猿だってケツのまわりがウンコで汚れていたって恥ずかしがらない。

人間だけなんだよなぁ、人目を意識して、気持ちが揺れるのって。


10月3日(金よう日) 日直・鬼界
緊急謝罪!ごめんなさい
本当に申し訳ないことをしました。
昨日の日誌の訂正です。
お昼ごはんを教えてくだすった方は、もう一人いらっしゃったのです。
しかも、
日誌を公表するやいなや、第一番に御メールをくだされておられたありがたいお方です。
御僕の御高校時代の御友人、御K様です。
御申し訳御ござりません御。
(私は最上級の敬語をお使いになり、陳謝の気持ちを表しております。)

あぁ、なんという失態!
知人だからと軽んじたわけでは決してありませんが、
知り合いだから、つい、うかっと忘れてしまいました。
(軽んじてるやんけ!!)

K様が何を召し上がっていたかと申しますと、

‘ベーコンとキャベツのにんにくスパゲティ’です。

さすが、K様!
午後の仕事に備えて、即エネルギーになるスパゲティを選択されたうえ、
具は、
(スパゲティに「具」と言います?みそ汁じゃないんだし・・。じゃあ、なんて言う?ま、いいか)
アメリカ人の朝食には欠かせない、動物性タンパクたっぷりの御ベーコンと
畑の王様・御キャベツ!
(ベーコンとキャベツに敬語はいらない?ま、いいか)
しかも、味付けは、にんにっく!
スタミナ補給は、にんにっく!周りは迷惑、にんにっく!
すばらしいではありませんか。
考えに考え抜かれた昼食です。It’s most thinking lunch!!

お詫びとして、昨日のOL‘ウッキー’さまのメニューもご披露します。


って、教えませんよーだ。
世の中、そこまで甘くはないんだよね・・・。


10月2日(木よう日) 日直・鬼界
9/29の日誌に対し、数多くのメールをいただき、ありがとうございました。
‘大文字⇔小文字の謎’も無事、解決いたしました。
この場をお借りし、深く深ーくお礼を申し上げます。

いやあ、嬉しかったっすねえ。
次から次にどんどんメールが送られてきて、
次から次にどんどんメールを開けていくと、
次から次に解決法が書かれているんですもん。

○○ボタンを押しながら、○○ボタンを押すと、小文字⇔大文字に変化する。
○○が点灯したり消えたりして確認できる。

って、教えませんよーだ。
もしも、同じことがわかんなくて悩んでる人がいたら、
なーんの苦労もなく解決法を知っちゃうわけでしょ?
なんか悔しいじゃん。

僕は性格悪いのかもしれない・・・

ちょっと残念なのは、
お昼のメニューを書いてきてくれたのが、たったの一人だけだったことです。

けっこうね、楽しみにね、してたのね、僕。
だってさ、「お昼はなに食べた?」なんて会話、
日常生活であんま、しないじゃん。
今年になって、誰かにそんな質問しました?
女刑務所に入ってる母親は、面会に来た高校生の息子に、そんな質問もするでしょうが、
ふつうはあんましないです。
だからね、ちょっとね、ガッカリなの。

お昼のメニューを教えてくださった、‘ウッキー’さま。
重ね重ねお礼申し上げます。

OLをやってらっしゃるウッキーさまは、
「へえぇ、そっかぁ、OLはそういうもん食ってんのかぁ、と、
言われてみれば納得するけど、言われなきゃ絶対想像もつかないもの」を
召し上がってらっしゃいました。
気になる彼女のお昼のメニューは・・・

って、教えませんよーだ。

僕と彼女の秘密だもんねー、教えないもんねー。
だって、ほかのだーれもお昼のメニュー書き添えてくんないんだもん。フンだ!

やっぱ僕は性格悪いのかもしれない・・・


10月1日(水よう日) 日直・橋本
 行ってまいりました。
千葉。
最果ての地。
海浜幕張駅。
マリーンスタジアム。
二度と行くまい。
遠すぎ。
なんで、あんなところに球場を造るかねぇ。
なんで、あんなに駅から遠いのさ。

ベンチで試合を見守る王監督の姿を見たい私は、
ロッテ側の内野指定のチケットを買いました。
すぐ買えるし。
必ず買えるし。
イイ席買えるし。
ダイエーを応援する同志たちに混じって観戦したい気持ちもあったけど、
昨日、思い立って「観に行こう!」となったから、
球場に着く時間も遅れをとり、
「果たして、ダイエー側の内野指定が買えるの・・・?」
という心配もあったし。
ダイエー側チケット購入の為の列は、長蛇。
ロッテ側、エラ短か。
あんな最果ての地まで、地図を頼りに、ひとり心細い思いで行って、
「チケット買えませんでした」じゃねぇ・・・
自分が哀れ。
で、
「ベンチの王さんを見る!」
という初心を貫き、
ロッテ側の内野最前列で観戦したのです。

王さんのインタビューも、
選手総出の挨拶もバンザイも、
すべてダイエー応援席に向けられて行なわれた。
ロッテの応援席にいた私に出来たことは、
遠くの彼らの背中を見ながら、拍手することだけ。
けど、
王さんの胴上げをこの目で見られた。
良かった。
道に迷った時、
そして、
チケット購入の際、
何人もの人に尋ねまくり、
なんとか実現した‘ひとり野球観戦’だったが、
見られて本当に良かった。
行って良かった。

いよいよ、
鬼界さんの阪神と!だ。
頑張れ、王さん。
頑張れ、ダイエー。


9月30日(火よう日) 日直・橋本
 やっぱ、
今日、ダイエーの応援に行ってきます。
千葉マリーンスタジアムまで。
どこにあんの?それって。
調べます、今から。

今日こそ胴上げだ!
くそ。
鬼界さんの阪神に負けてたまるか。


9月29日(月よう日) 日直・鬼界
緊急告知!教えて、マジで。
実は、皆さまに教えていただきたいことがあります。

ウィンドウズのパソコンを使っています。
‘ローマ字変換’で文章を書いています。
普段は小文字なのに、なにかがどうかなって、大文字になってしまいます。
つまり、
キカイのキの字を入力する時、
最初に「k」ボタンを押すと、普段は「k」と表示されるのに、
なにかがどうかなると、「K」になってしまうのです。
そこで、
なにをどうすれば小文字が大文字になってしまうのか?
どこをどうすれば小文字に戻るのか?
を、教えてほしいのです。

わかってる人にはバカみたいな質問だと思います。
「電卓のメモリーの使い方を教えて」とか
「缶ジュースのプルトップはどうやって開けるの」とか
そういうレベルの質問です。
でもね、でもね、
知らない人にはとても不可解なのです。

僕だってさ、いろんなボタン押してみたり、
パソコンをバシバシ叩いてみたりしたのよ。
でも、どうしても大文字が小文字に戻らないの・・・。

マジです。

「はは〜ん、なんか罠が用意されてて、マジメに答えると、さらしもんにされるんでしょ?」
とか、そんな心配は無用です。
それから、
「誰かが答えるだろう」という他力本願な態度も無用です。
あなたの今日のお昼のメニューをそえて、どしどしお答えをお送りください。

いや、べつに、お昼のメニューはなくてもいいんだけど、
用件だけじゃ、そっけないじゃん・・・。

教えてあげる ←こちらのボタンから。
なにとぞよろしくおねがいいたします。


9月28日(日よう日) 日直・橋本
 『子連れ狼』(萬屋キンちゃんの。シリーズ1の再放送)を観ていたら、
着物を脱がされて、
「キャ〜!」と胸を隠しつつ、
うしろ向けになったソノ女の人の背中に、
クッキリと水着のアトが。
興ざめ。
ファンデーション塗るとかして隠す、
そのヒマが、なかったのかな?
あれだけ目立つのに、不思議だ。
テレビだし、
監督、
もう、どうでもよくなっちゃってたのかな?
私も、実は、
過去に時代劇をやったことがある。
女中の役。
その年の夏の日焼けで、
うっすらとついた私の腕時計のアトを見た着付け係に、
「これはマズイね。
ファンデーションを塗って隠して。」
と言われた。
 その折の‘カツラ合わせ’の時の話。
結髪(けっぱつ)係のオジサンは大ベテランで、
とてもコワイ。
私は、髪をまとめられながら、
「今どきの子は、髪がサラサラでダメだ。
本番日まで、髪は洗わないで。」
と叱られた。
洗髪をひかえると、
適度な油分で髪がウマクまとまり、カツラを付けやすくなるのだそうだ。
そんなこたぁ初耳の私、
よりによって朝シャン。
大失敗。
 私のカツラが決まり、
次も、
私と同じ女中役の子。
その子の髪をさわるなりオジサンは、
「あんたは、前に時代劇やったことあんの?
髪の毛、いい具合。」
と。
見ると、
確かにベトベトで、イイ感じ。
フケだらけ。
油で黒光りしたセミロングは、なるほど、結わきやすそうだ。
エライなぁ、ちゃんと知ってたんだなぁ。
しかし、
その子は答えた。
「いえ、初めてです。
私、普段から、洗髪は2週間に1度なんです。
そうなんですかぁ、髪は洗わない方がイイんですかぁ〜。
ちょうどよかった♪」
・・・・・知らなかったのね。
結髪係のオジサンは、
手を止め、
その子の髪を、つくづく眺め、言った。
「・・・洗ったほうがいいよ。
・・・江戸時代じゃないんだから、今は。」

着物を1度も着たことがないような人ばっかりで作ってる今の時代劇。
大変だよねぇ・・・。


9月27日(土よう日) 日直・橋本
 鬼界さんも、
『サザエさん』にはかなり詳しいようだが、
他にも、
『サザエさん』を観ている人は、周りにイッパイ居る。
「観たことがある人」
ではなく、
「継続して、観続けている人」
が、だ。
「子供の頃、
‘あ〜あ、日曜日が終わっちゃった・・・。
明日から、また学校か。’
と感じる瞬間は、どんな時だった?」
という話が、飲み会で出た折、
「‘日曜洋画劇場’を観終わって、
淀川さんに‘さよなら、さよなら、さよなら’と言われた時。」
とか、
「唄子・啓介の‘おもろい夫婦’の最後、
オッパイがアップになるエンディングを観た時。」
とか、
各人が、各々の“日曜日の哀愁”を語っていた。
その話しの流れで、
ほぼ全員一致したのが、
「日曜日は、『サザエさん』を観ながら、夕飯を食べた。」
だった。
 以前の話。
それまではあまり親しく話す機会のなかったSさんと2人だけで衣裳作り・・・
という状況になった時、
これといった話題もなく、
気まず〜い雰囲気になった。
で、私は、思わず
「『サザエさん』で、私、ノリスケだけは許せないんだよねぇ」
と、意味不明なことをつぶやいてしまった。
すると、
「私も!ノリスケ、嫌い!」
と、Sさん。
それが口火となり、
「イクラはバブーしか言えないくせに、なにもかもお見通し」
「波平とフネは、あんな年寄りの風体をしてるわりに、
たった8年前にHして、ワカメがデキちゃった。
ヤルことはヤッている。」
など、
Sさんと私の意見は、どこまでも一致。
以来、
Sさんとは、とても親しく話せるようになった。
‘『サザエ』さんの登場人物への評価が一致した時’って、
なぜか、妙に嬉しい。
 それにしても。
登場人物で、私が強いて「好きだ」と言えるのは、
花沢さんとカツオだけ。
あとのヤツは、ロクでもない。
言えと言われれば、悪口だって、とことん言える。
なのに、
なんで、私は、観続けてるんだろう・・・。
皆は、なんで、観続けてるんだろう・・・。
『サザエさん』って、面白いの?


9月26日(金よう日) 日直・鬼界
『サザエさん』の宿命なんだけど、
サザエさんは永久に24才で、カツオは永久に小学5年だ。

三十数年も放送してきて、
毎年8月末になると、
‘カツオが夏休みの宿題をやってないっ!’
というエピソードをやっているが、
三十数年間、いつも小学5年の夏休みなのだ。
だから、
レギュラー登場人物のお誕生日エピソードは絶対つくれない。
入学エピソードはあっても、進級エピソードはない。
そして、
登場人物が死ぬエピソードもタブーだ。

というのが、『サザエさん』の暗黙のルールだけど、
じつは、ほんとうは、
サザエさんたちって、死んでるんじゃないかな?

よくあるじゃないですか、

昔々、ある男が旅に出て、道に迷ってしまいました。
まわりはうっそうとした森で、行けども行けども街道に出られません。
水も食べ物もなくなり、男は疲れ果て、倒れてしまいました。
そのときです。
ふと目を上げると、遠くにたいそう立派な御殿が見えるではありませんか。
「ああ、あそこまで行ければ助かるのに・・・」
男はそう思いながら、気を失ってしまいました。
・・・・・・・・
男が目を覚ますと、ふかふかのふとんに寝ています。
「もう大丈夫ですわ」
世にも美しいお姫様が微笑んでいます。
行き倒れてしまった男を、ばあやが見つけて御殿へ運び、
お姫様が寝ずに介抱してくれたのです。

男は日に日に元気になりました。
そして、お姫様と愛し合うようになりました。
二人は幸せでした。

そんなある日、
川へ水を汲みに行った男が猟師と出会います。
「お、おめえさま・・・・」
猟師はあまりに驚いて言葉を失います。
「お、おめえさま、腐ったナスみてえな青い顔してっぞ・・・。
見かけねえ人だが、どこに住んでなさっと?」
「私は、森の中の御殿に住んでいます」
と、男が答えると、
「あわわわわわわわわ、あのごて、ごて、御殿は三十年も前に燃えちまったよ。
代官になびかなかったお姫様が焼き殺されただ・・・。」

御殿に帰った男を、いつものように美しい姫が迎えてくれました。
「お帰りなさいませ。さぞお疲れでしょ。」
「お、おまえは・・・」
「どうなさったの?」
「おまえは幽霊なのかっ!」

お姫様はさびしそうに微笑まれました。

「とうとう知ってしまわれたのですね。
けれど、わたくしは心の底からあなた様を愛しております。
わたくしはあなた様が欲しゅうございます。
ずっとわたくしのそばにいてくださいませ。」
そう言いながら男に近づいてくるお姫様は、
あぁ、なんということでしょう、
醜い老婆に変わっていくではありませんか。
豪華な着物は焼けただれてボロキレになり、
白く透き通っていた腕は炭のようにこげ、
柔らかだった胸は腐り果て、ろっ骨が幾本も見えます。
顔はどろどろに溶け落ち、髪の毛は一本もありません。
「さあ、愛しいお方、私といっしょに」

男は一目散に走って逃げました。
振り返ると、そこには、焼け跡があるばかりでした・・・・・。


すっごく長いたとえになってしまいましたが、こういうやつですよ。

サザエさんならびに全員、すでに死んでるんです。
死んだ年齢でストップしてるんです。
だから、年をとらないんです。

もし、あなたが、『サザエさん』の世界に紛れ込んでも、
だまされたフリをしていましょう。
「ホントは死んでんでしょ」などと言ってはいけません。
恐ろしいことがおこります。


9月25日(木よう日) 日直・鬼界
『サザエさん』の疑問はまだある。

ワカメちゃんは絶対、パンツが見えているのに、
カオリちゃんは絶対、パンツが見えない。

一応、説明しておくと、
ワカメちゃんはカツオの妹で小学2年生。
カオリちゃんはカツオの同級生で小学5年生、しかも美人。

ワカメちゃんは立ってようが座ってようが常にパンチラしているが、
カオリちゃんは走ろうが鉄棒で逆上がりしようが決してパンツが見えない。

かわいそうじゃねえかっ!!
なんでワカメちゃんだけさらしもんなんだよっ!!
カオリちゃんのパンツも見たいぞっ!!

へ?
見たくない?
マジ?
・・・・ま、いいか。
話を戻そっと。

小学2年は、ただの子供だが、
小学5年になると、ビミョーな年齢になるから、パンツはNGなのだ。
そのせいで、
『サザエさん』に、小学3,4年の女子は登場しない。
パンツを見せるか見せないかがハッキリしないからだ。

というのが一般的な意見だが、
実は、
やはり、さる筋から圧力がかかっているのではないだろうか?

夏場になると
ワカメちゃんはパンツだけでなく、露出度が異様に高くなるのだ。
ふつーの女の子が着そうな、ふつーのTシャツなんて、着やしない。
たいてい、ストラップのワンピースかシャツで、両肩、両ワキ、鎖骨がモロ出し。
カオリちゃんはノースリーブさえ着ないのに。
なんで?
誰かの趣味なんじゃないの?
さる筋のエライ人が、
‘小学2年には欲情するが、小学5年は年くいすぎててなーんも感じない’
という特殊な趣味をお持ちなのだ。・・・きっと。
ワカメちゃんはそのエライ人のオモチャにされているのだ!・・・たぶん。

危うし、ワカメちゃん。


9月24日(水よう日) 日直・鬼界
先週の『サザエさん』を見て、
僕の疑問は爆発した。

‘秋の全国交通安全’にちなんで、
横断歩道で飛び出すカツオをサザエがしかるとか、
車が来てるのに道のはしっこを歩かないワカメをサザエがしかるとか、
まるで教習所で見せられるビデオのような、
つまんなーい内容だった。

たしか夏か春頃にはサザエさんが交通安全のポスターにも使われていたから、
どっかから要請があって
“交通ルールを守りましょう”というテーマで1本つくったのだろう。
ご丁寧にも、ラストでは
「思いやり 人にくるまに この街に」という
東京都の交通安全メーンスローガンをサザエが唱えていた。

もうこれだけで、
幼児からお年寄りまで日本国民の大半が交通ルールを守るようなるだろう。
それくらい、『サザエさん』の影響力は大きいのだ。

影響力が大きすぎて、自主規制も多い。
カツオが罰として押入れや納屋にいれられることもなくなったし、
ぶたれることも決してない。
『サザエさん』では、イケないことをしてはいけないのだ。

なのに

波平とマスオは、いまだに、タバコを吸っているのだ。

どういうこと?
世界の流れに逆行してるぞぉー!!
体罰はゼッタイ認めないけど、喫煙はオッケーなの?なんかヘンじゃない?

原作者・長谷川町子の固〜い遺言?
それとも、
さる筋から圧力がかかっているのか?
表面的なスポンサーにはなってないが、巨額の資金を出しているとか?

すっごく不思議。大いなる疑問です。


9月23日(火よう日) 日直・橋本
 中学3年の同窓会のお誘いが、
また来た。
もういいよー。
ほっといてくれよー。

私が、
中学の同窓会に出席したくても、
それが出来ない理由は、
以前、日誌にも書きましたとおり、
「G君」のことがあるからです。
なので、
電話をくれた幹事のミッちゃんに、
例によって、
「チョット行けないなぁ。」
と、私。
すると、ミッちゃんは、
「前回の同窓会で、出席者にアンケートを取ったのよ。
‘次回、是非逢いたい人’を、みんなに書いてもらったのさ。
そしたら、
‘橋本に会いたい’って、有ったさ。
どうかな〜。出席してくんないかな〜。」
いやー、マイッタなー、ガハハ。
誰だよ、誰だよ、誰なんだよ!
しょーがねーなー、もう!
行く?同窓会。
行っちゃうか?
「だれなのさー、それって♪」
「ん?北角(きたかど)君。」
・・・・・出たよ。
きたかど。
修学旅行の時、
京都の旅館の2階から、私が突き落とした男だ。
北角君は、
男子連中から、
「おい、北角。女子の部屋をノゾキに行け。」
と命令され、
手すりをつたって、窓越しに私達の部屋(2階)をノゾこうとした。
運動神経のニブい北角君、
足の置き場をウマく作れず、
「助けてぇ、助けてぇ」
と、手すりにぶら下がっているところを、
私が発見。
面白いので、
手すりにしがみつく北角くんの10本の指を、
1本、また1本とはがし、
2階の手すりから、1階の地面へと、北角君を落とした。
ひ弱な彼は、
何箇所かスリむいて、泣いていた。
「北角ー、泣くなよー」
と、女子みんなで、2階の窓から顔を出して、からかったっけ。

「橋本に会いたい」って・・・、
怖いなぁ。
仕返しか?
忘れろよ。
私は、スッカリ忘れたよ。


9月22日(月よう日) 日直・鬼界
今日もすっごく寒い。
困るんだよなぁ、
暑から涼をすっ飛ばして寒になるなんてことされちゃっちゃあ。
「涼しくなったら、やーろうっと!」
と思ってたことができないじゃん。

網戸を洗う。

これをやろうと思ってたんだよねえ。

網戸って、なんだかしらないけど、いつの間にか、網目にホコリが
いっぱいついちゃって、
モショモショした感じになっちゃうじゃん。
そうなると、見た目も気分悪いし、風通しも悪い。
だから、
カンカン照りの猛暑の秋が終わったら、
ベランダでザブザブ水洗いしようと思ってたのです。
なのに、
こんなに寒くなっちゃあ、できやしない。

どうすんの?
来年の春までこのまんま?
網目がふさがっちゃうよぉ。
それはマズイよ。
じゃあ、思い切って洗う?
でも、風邪ひくのでは?
うーむ・・・。


僕個人としては重大事なんですが、
僕以外の人にとっては、まったく完璧に100%無意味で無関係なことね・・・


9月21日(日よう日) 日直・鬼界
ひっでえ天気だ。
おとといまで33℃真夏の暑さだったのに、
今日は冬の訪れを感じさせる寒さだ。
その上、重苦しい空からバシャバシャ冷たい雨が降る。

なんだか気が滅入るし、
無口になるし、
ついついうつむいて、身を縮こめてしまう。

裏日本ってのは、1年中こんな天気、
てゆうか、もっともっとヒドい天気なんでしょ?
やだやだ、
だから、あっちの人は、みーんな、くら〜いんだ。

やっぱ、鉛色の空と寒さというのは、人間を卑屈にさせるね。

ん?でも、待てよ。
アラスカとかシベリアの人がくら〜い人種だ
というのは、あんまり聞かないよね。

WHY?

そっか!
アラスカとかシベリアは、すっごく広い範囲で寒いから、
この世に寒くないところがあることを知らないんだ。
地球は氷の惑星だと思ってんだ。
だから、のんきなんだ。
エスキモー語に、「暑い」と「暖かい」という言葉はないしね。
それにひきかえ、
たちの悪いのは裏日本だ。
「あの山さ、越えっと、あったけぇ極楽みてえな表日本っちゅうとこに行けんだべ。
んだば、雪女が住む、あの山を越えるなんて、じぇったい無理だ。」
などと囲炉裏端で語り合ってんでしょ。
‘むこうはいいとこなのに、ここはダメ’という比較があるから、
ヘンなコンプレックスを生んじゃって屈折してんだ。
だから、くら〜いのね。

そのうえ、日本人はもともと、島国根性というセコ〜い性質がある。

さらに、もしも、阪神ファンだったら、負け犬根性もある。

つまり、
新潟県の阪神ファンは、
島国根性のセコさの上に、裏日本の暗さを持った、負け犬根性の人間ってこと?

サイテー!!

いかん、いかん!
こんなことを書いてると、新潟県民に怒られてしまう。
なにか新潟のいいところを探さねば。
いくら新潟でもひとつくらいはいいところがあるはず。
えーと、えーと、えーと、

そうだっ!!

新潟といえば、
おいしいお酒とおいしい魚があるじゃないかっ!!
新潟が自慢できることは、これしかないが、
これだけあれば充分さ!!
すごいぞ新潟!ブラボー新潟!!

え?じゃあ、
魚ぎらいで酒が飲めない新潟の阪神ファンは・・・・?

こわっ!
ぜったいぜったい会いたくない。


9月20日(土よう日) 日直・橋本
 先日の定例ミーティングで、
K子ちゃんが、鬼界さんに質問した。
「日誌にも書いてらっしゃいましたが、
近所の神社のお祭りには、
お一人で行くんですか?」
「そう、僕、一人で行くの。」
「お友達とか誘わずに?」
「あんなシケた祭り、見るだに恥ずかしい。
誰が来るか。」
「じゃ、鬼界さんの目的は、
やはり、例の‘シロウト奉納演芸’を見ること?」
「ま、そうね。」
「・・・楽しいんですか?」
「楽しかないな。」
「へ?じゃ、なんで行くの?」
鬼界さんは、なぜシケた祭りに、一人でノコノコ出かけるのか?
答えを要約すると・・・・

『僕は、
自治会に、自治会費を払っている。
月々100円。
マンションの規約で、自動的に引き落とされるので、
NHKの受信料のように、
「うち、テレビ無いんすよ〜」
と、突っぱねるワケにもいかない。
仕方ねー。
払ってやろうじゃねーの。
そのかわり、
僕、自治会の行事、めいっぱい参加するからね。
だって、僕、お金、出してるんだもーん。
僕のお金で、行事を開催してるんだもんね。』

と、こういう理由らしい。
神社の祭りの打ち上げを、
深夜、社務所にノゾキに行った鬼界さん、
世話役のオッサン達が、寿司やら何やらのご馳走をつまみに、
飲めや歌えの大騒ぎをしているのを見て、
「くそ。俺の金で、飲み食いしやがって。」
と、かなり頭にきたらしい。
それ以来、
鬼界さん、
自治会主催の行事に参加する、参加する、
ドンドン参加する。
「無料自転車修理」
「無料包丁とぎ」
使わな損・・・とばかりに、ドンドン利用。
自転車、どこも壊れてないのに参加。
包丁、わざわざ100円ショップで買って参加。
その他、
「ラジオ体操」
「スイカ割り」
など、チビッコ主体の行事にも顔を出す。
「ここんとこ忙しい上に、自治会の行事でしょ。
僕、ヘトヘト。」
・・・あんたは、自治会長かいっ?!


9月19日(金よう日) 日直・鬼界
9月15日の日誌でウォシュレットのことを書いたら、
「鬼界さんなら、こんなのも好きじゃない?」
と、知人が通販のカタログを見せてくれた。

“カフェコロン”
「腸内に残った排泄物は、肌荒れやイライラ、肥満の原因になります。
その予防のために腸を洗ってきれいにしようというのが、
この無農薬コーヒー‘カフェコロン’による腸内洗浄です」

使用方法がイラストで説明されている。

場所はバスルーム。
シャワーカーテンのレールに、点滴のような袋が吊り下がり、
‘カフェコロン’がその中に入っている。
袋から管が伸び、その先端を若い女性が握って、腸に注入しているのだが、
その絵がスゴイ。
身につけているのは赤いブラジャーのみ。
四つんばいになって、右手で管を自分の肛門に突っ込んでいるのだ。
そして、ショートカットのかわいい顔が背中ごしに振りかえり、
おのれの股間を覗きこんでいる。

エロ劇画とほぼ同じじゃねえかっ!!
なんじゃこりゃぁ。
ふつうは、「なるほど、こういうふーに使うのね」
と納得するのかもしれないけど、
ちょっと見方を変えれば、
「うぉーっ!!かわいいネーチャンが、××××してるぅー!!」
って、なるわけでしょ?
(てゆうか、男なら全員こう思うね)

問題あるんじゃないかぁ、このイラスト・・・。
まずいんじゃないかなぁ、このイラスト・・・。よからぬ欲情を誘います。


このカタログを見せてくれてありがとう。
僕はこういうの大好きです。


9月18日(木よう日) 日直・鬼界
郵便局へ切手を買いに行ったら、
窓口で
「よろしかったら、ぜひ」と
往復はがきサイズのパンフを渡された。

“年末年始アルバイト大募集!
  〜冬休みを充実させよう!!〜” と書かれている。

年賀状の配達だ。

真っ昼間に行ったもんだから、
失業者と思われたのかもしれない。少し悲しい・・・。

左半分に説明が書いてある。
時給は、内務が800円で、
外務(配達)が960円、ただし、高校生は930円。

前から思ってたんだけど、これってヒドくない?
同じ仕事をやらされるのに、高校生というだけで安いって、どう?
マクドナルドとかも、そうだけど、なぜなんだろう?

他には
「期間中できるだけ多く出勤できる方を強く求人しています」とか
「1月1日に出勤できる方のみ強く求人しています」とか
書いてあるのだが、
ビミョーに日本語がヘンだ。
「強く求人しています」って、言う?

そして、右半分が
「※年末年始アルバイト申し込みハガキ※」になっていて、
住所・氏名・年齢などを書き込みます。

希望の勤務 @内務 A外務(配達) B内務(深夜)

を選択する欄のあとに、

アルバイトが ・できる ・できない ・今のところわからない

という選択欄があるのですが、
これはどういうこと?

アンケートじゃないんだから。
アルバイト申し込みハガキなんだから、‘アルバイトができない’って、なに?
‘・できない’にマルつけて、ハガキ出したら、どうなんの?

「そうかぁ、この人はアルバイトできないのかぁ。
わざわざ知らせてくれて、ありがとう。」と言ってもらえるのかしら?

わからん、郵便局の意図がさっぱりわからん。


9月17日(水よう日) 日直・鬼界
友達の家へ行った。
グラスを洗ってるとき、
水を止めようとして、水道のハンドルを下げたら、
いきなり
ドバッと水が流れ出し、
そのせいでグラスを割ってしまった。
大事なグラスだそうで、すごく怒られた。

だって、うちのと逆なんだもーん!!

うちの水道は、ハンドルを上げると水が出て、下げると止まる。
なのに、友達んちのは、上げると止まり、下げると出るのだ。

こんな当たり前のものが、なんで統一されてないのだろう?
もし僕が熱湯でグラスを洗ってたら、
大ヤケドするところだ。

もちろん、熱湯でグラスを洗ってる時点で大ヤケドしてますが・・・

これを書きながら、考えてたのですが、
‘下げると出る’ものは、身の回りにけっこうあります。
自転車の空気入れ、ポットなど。
が、
‘上げると出る’ものって、ないんですよね。
思いつかないっしょ?
ってことは、
友達んちの水道がノーマルで、
うちの水道が世の中の基準に反してるの?

うーん、なんかそれもヤだなあ・・・。

とにかく、統一してほしいです。


9月16日(火よう日) 日直・鬼界
なにも言うことはございません。
朝まで飲み続けでした。
もちろんお酒はダメなんで、
100%オレンジジュースで、
ベロベロにはならなかったけど、おなかガボガボです。

記者会見で思わずもらした今岡の一言がすべてを語っています。
「タイガースに入って本当によかったと思ったのは、今年が初めてです」

当事者の選手本人が「イヤだなぁ」と思ってたくらい、
ここ数年、阪神はヒドかったのです。
それが、一転、優勝です。

なんで、あんなにキチガイみたいに喜んでんの?
と、理解に苦しむ方々にも、少しはわかってもらえるでしょうか。

祝!優勝。


9月15日(月よう日) 日直・鬼界
恥ずかしながら、
今日、生まれて初めて、ウォシュレットを使った。

「すっごく気持ちいい」とか
「一度使ったらやめられない」とか
良い噂は常々聞いていたのだが、
なんとなく使わないまま、今日まで過ごしていた。

なぜ、突然、使う気になったのか?
答え:なんとなく。
ホントになんとなくなんですよ。
痔になったとか、ケツにデキもんができたとか、決して決してそういうんじゃないですっっ!!
(力めば力むほどアヤしかったりして・・・)

さて、
用を済まし、‘おしり’ボタンを押した。
ウィ〜ンとノズルが伸びてきて、水が発射された。

は〜ん

僕は思わず声を出した。
肛門内に異物が侵入してくる感覚。
あぁ、未体験ゾーン。
初めてウォシュレットを使ったときは誰でもこんな悩ましい声を出したに違いない。
あなたも出したでしょ?
あぁ、こうして、みんな大人になっていくのね。

問題は次の瞬間に発生した。
再び便意を催してきたのだ。
未体験の刺激を受けた肛門が、
大腸の奥に眠る、明日のぶんの便を呼び起こしてしまったらしい。
明日のウンコがとばくちまで押し寄せてきた。
仕方ない、出すまでだ。
‘止’ボタンを押し、洗浄を中断。
用を済ます。
再度、‘おしり’ボタンをプッシュ。
水流が肛門をたたく。
すると、またまた、ウンコがしたくなるじゃありませんか!!

なんじゃこりゃ?
ウォシュレットって、ウンコ促進マシーンなの?
キリないじゃん。

僕は愕然とした。
おかげでおなかは超スッキリしたが・・・。

ウォシュレットをお使いのみなさん、
いつもこういうことをやってらっしゃるのですか?


9月14日(日よう日) 日直・橋本
(きのうのつづき)

 ひらめきのアイデアとは?
そうです。
イスの上に、もう1つイスを乗せ、
「頭を置く台」にするのです。
イスにオデコを乗せ、
頭の重さをイスにゆだねれば、
自力で腰を曲げてるよりも、
腰への負担は少なくなるはず。
イス1つだと、
最初は「こりゃ、ラクだ」と思うが、
低すぎて、
曲げた腰が、スーグ痛くなる。
さ、皆さんもやってみてください。
まず、
お風呂の洗い場で、
お風呂のイスを真ん前に置き、正座をします。
そして、
そのまま前傾してゆき、イスにオデコを乗せます。
で、5分間、髪をすすぎます。
(ショートカットの人は、3分間。)
結構、ツライでしょ?
でも、
イスを2段にすれば?
ほーら、
丁度イイ高さ。
腰を曲げなくても、イスに頭をゆだねられます。
そこで、
私は、早速、イスを買いに行った・・・と、こういうワケなんです。
 イス作戦、大失敗。
顔の横から、アワ水がビャービャー流れてきて、
目や鼻の穴や耳の穴に入って、エライことになる。
おためごかしに約30秒、チャチャッとすすいで、
とっととお風呂から上がった。
気持ち悪いので、
美容院へ行き、シャンプー&ブロー。
あー、ラクだ、ラクだ。
が、こんなことで毎回2500円づつはもったいない。
腰を治すのが先決だ。
その足で、整形外科へ。
この医院には、過去3回お世話になっている。
その都度、日誌にも書いたように、
すべて、お芝居の本番中のケガだった。
「卓球全国大会に向けての特訓による腰痛」
「柔道大会に向けての練習中、左薬指骨折」
「乗馬大会に向けての練習中、落馬による右ヒザ強打」
女医は、
言った。
「今度は、何の大会ですかぁ〜?」
答えを用意してなかった私は、
仕方ないので、
「パソコンのやりすぎで、」
と、事実を。
すると、
「あぁ、お仕事で。」
「は?
・・・はいっ。」
パソコンで仕事・・・!いいじゃんけ!なんか、知的な職業っぽいぞ。
女医は、私に仲間意識を感じたのか、
「私も、腰痛は持病なんです。
長時間座っているのは、腰には良くないんですよ。」
と。
仲間、仲間。
私は、
「お互い、座り仕事で大変ですよね〜。」
と、女医に、ねぎらいの言葉をかけ、病院を後にした。
 あれから2週間。
いまだ完治せず。
諸悪の根源、
そう、
それは、ネットオークション。

パソコンでお仕事してる方、
お腰を大事にね。


9月13日(土よう日) 日直・橋本

 私が、なぜ、
「某スーパーの家庭用品売り場で、
お風呂で使うイスを物色(9/4付けの日誌)」
していたかというと、
1つのアイデアが、ひらめいたからです。
 実は、
8月末の、例の‘ネットオークション 怒濤の5日間’の初日、
夜11時から早朝4時までパソコンの前に座り続けたのが原因で、
腰を痛めました。
そんな、たかだか5時間、イスに座ってただけで、
腰痛になるかよ。
なるんです。
なったんです、アタシ。
問題は、‘座る姿勢’でした。
机上のパソコンの画面を、少々遠めの位置に移動。
(私の机は、バカでかい。)
左手でホオづえをついてダラ〜と画面を見られるように、です。
いえ、
ホオづえなんてカワイイもんではありません。
気持ち的には、
机の上で、手枕で寝そべってる感じ。
となると、
必然的に、
座ってるイスは、机から遠ざかります。
さ、皆さんもやってみてください。
足を組んで座る。
パソコンの画面を遠めに置く。
思いっきりイスを後ろに引いて、
おケツをグィ〜ンと突き出す。
次に、
左腕(ワキの下も)を、ベタ〜と机上に乗せる。
ヒジを曲げ、
左耳チョイ上あたりを支える。
首の付け根が、
机のヘリにほぼ付いている状態に。
ケツを突き出して、背中をエビぞりにしましょう。
あなたのイスが、
スライド移動が自由自在の‘キャスター付き’ならば、
思う存分、おケツを突き出せるはずです。
はい、そして、パソコン画面を凝視。
そう。
よくできました。
で、5時間、居てみて。
ウエストと肛門の間という、
なんともいえず中途半端な箇所が痛くなるはず。
 市販のシップを1週間貼り続けるも、
腰痛は、治るどころか悪化の一途。
腰を曲げねば出来ぬ作業の中、
何が1番ツライって、
シャンプーが、1番ツライ。
すすぐ時は、
寝そべるか、
あるいは、お風呂のイスに頭を乗せるか。
イスにオデコを乗せ、
頭の重さをイスにゆだねるのです。
自力で腰を曲げてるよりも、
多少はマシだが、
腰を曲げてることには変わりないので、
長くは持たない。
お風呂の洗い場で、
立ったり座ったり、
寝たり起きたり、
曲げたり伸ばしたり・・・
ほんとツライ。
頭、腐ってもいいからシャンプーやめとこかな・・・、腰が治るまで。
と、あきらめかけた時、ひらめいたのです。
やっと、今日の日誌の冒頭につながったぜ。
         つづく


9月12日(金よう日) 日直・鬼界
疲れました・・・
昨日見に行った阪神戦は、
午後6時20分に始まり、終わったのは11時過ぎ。
クタクタです。
なのに、また勝てませんでした。勝てる試合なのに勝ちませんでした。
どういうこと?

ついに僕はその原因を突き止めました。

僕が球場にいたからです。
僕がいると、阪神は勝てなくなってしまうのです。
絶対そうです!そうとしか考えられません。

僕の母がよく言ってます。

「私が見てたら、阪神は必ず負けるんで、
大事な試合は見ないようにしてあげてんねん」

それと同じです。

しかも、母は、「見ないねん」ではなく
「見ないようにしてあげてんねん」と、あたかも自分が犠牲になってるかのようです。

第三者は、
「誰が見ようが、試合の結果に関係あるわけないじゃん。たまたまさ。」
と、言うでしょうが、
それは、わかってない素人の意見。そうじゃないんです。
本当にあるんです、こーゆーこと。
‘雨男’みたいなもんです。

母が大事な試合を見なかったおかげで、阪神は優勝することができるんです。
だから、
僕も阪神のために、神宮球場へは野球を見に行かないようにしてあげます。
そうすれば、阪神も勝つことができるはず。

あぁ、僕たち親子は、なんてエライんでしょう!
MVPに選ばれるかもしれない。


9月11日(木よう日) 日直・鬼界
くそっくそっくそっクソックソックソッくそっくそっくそっくそっくそっくそっ
くそっくそっくそっくそっくそっぐそっくそっくそっくそっ
くそっくそっくそっくそっ
僕に魔法が使えたら、世界をくそっで埋め尽くしたいっ!
ちくしょーちくしょーちくしょー!!

本当だったら、この目で阪神優勝の瞬間を見られたのにぃぃぃ!!!
世界中が同時多発テロ2周年で喪に服するなか、
最高の喜びに浸れたのにぃぃぃ!!

本日、9月11日、僕は神宮球場へ阪神の試合を見に行くのです。

昨日、阪神が負けさえしなければ、間違いなく今日、優勝だったのです。
なのに、
なのに、
昨日、クロンボ・ラミレスにサヨナラヒットを打たれてしまい、
優勝は明日以降に持ち越されてしまったのです。

こらっ、リガン。
お前は白人ピッチャーのクセにニグロに打たれてどうすんねん!
あんなもん、奴隷の子孫やないけぇ!
ボケ、死ね。
もっと気ぃつけんかい!!
「ラミレスは、その前の打席、満塁のチャンスでキャッチャーゴロのゲッツーや。
キャッチャーゴロゲッツーなんて、野球において最低の屈辱や。
上半身はユニフォーム着てるのに下半身スッポンポンで守備するよりも恥ずかしい行為や。
汚名挽回に燃えてるぞ。要注意要注意!」
こんなことは、解説者はもちろん、球場のファン、テレビで観戦してる全員がわかってたぞ。
そやのに打たれやがって。
ほんでもって、
なんでベースカバーに入らへんねん!!
タイミングとしてはアウトやったから、0点に抑えられたはずや。
一・二塁方向に打球が飛んだら、ファーストベースへ走るのはピッチャーの基本やろ。
ウンコしたらお尻ふくようなもんや。
おまえは、ウンコしてもそのままパンツあげんのか!!
ボケ、カス、クソにまみれて死ね。
おまえのせいで胴上げが見られへんようになってしもてんぞ!!
20年に1回しか優勝せんチームやねんぞ。
しかも、自分が見に行く球場で胴上げするなんてありえんぞ。
一生に一回あるかないかや!
その奇跡というかミラクルというか(おんなじや!)
絶好のチャンスをつぶしやがって!!
ピストルを持ってたら、射殺するとこや!
ワールドカップでオウンゴールした選手を射殺したオッサンの気持ちがようわかる。
殺されて当然や。

くそっくそっくそっくそっくそっくそっくそっ
て、何回書いても、怒りはおさまらへんっ!!

よぉーし、早めに神宮に行って、
練習してるリガンにボロクソ言うたろ。
「ケツのまわりのウンコふけ」って言うたろ。
キョトンとしよるやろな。ええ気味や。


9月10日(水よう日) 日直・鬼界
  (きのうのつづき)
マジシャン竹下(以下、マジ竹)「これから行なう予知マジックは、
お手伝いしてくださる方が、お二人必要です。
どなたかいらっしゃいませんか?」

  注:マジシャン竹下のシャベリは、声も震えドモリまくりなのですが、
    いちいち書いてたらめんどーなので、そのへんは略します。

すると、すかさず少年二人が手を上げた。

マジ竹「元気のいいお二人ですね。では、ステージへどうぞ」

  少年二人、ステージに上がる。

マジ竹「お名前を教えて下さい」

少年1「高橋です」

少年2「木田です」

マジ竹「さっそく、始めましょう!ここに3つの封筒があります。
     高橋君、好きな色の封筒を選んでください」

  高橋君、ピンクの封筒を選ぶ。

マジ竹「高橋くんは、ピンクの封筒です。では、となりの・・・なに君だっけ?」

木田「木田です」

マジ竹「そう、木田君でした。では、木田君、好きな色を選んでください」

  木田君、ブルーの封筒を選ぶ。

マジ竹「ご覧のとおり、なんの打ち合わせもしておりません。
     少年二人に出てきていただき、好きな色を選んでもらっただけです。
     が、しかし!この少年達の行動は、すでに予知されていたのです。
     高橋君っ!封筒の中のメッセージを読んで下さいっっ!!」

  高橋君、ピンクの封筒をビリビリ破り、中から紙切れを出し、読む。

高橋「えっと・・『私はピンクの封筒を選びます』」

  場内、シ〜ン。


あーあ、思いっきりはずしたぜ・・・。
マジシャン竹下、一生懸命考えたんだろうなあ。
一応、ボケたんだ・・・
「『ピンクの封筒を選びます』って、当たり前じゃん!あのマジシャン、おもしろーい。」
と、場内大爆笑になると思ってたのかなあ・・・。
無理だよ。
おもしろくないもん。

まったくウケなかったマジシャン竹下は、焦った。舞い上がった。わけわかんなくなっちゃった。

マジ竹「高橋君がピンクの封筒を選ぶことを見事、予知しました。
     さあ、ブルーの封筒の・・・・なに君だっけ?」

木田「木田です」

マジ竹「そう、木田君。封筒の中のメッセージを読んでください」

木田「『私はブルーの封筒を選びます』」

マジ竹「すごいっ!これも予知ですっっ!!・・・・えっと・・・」

木田「木田です」

マジ竹「そう、木田くんがブルーの封筒を選ぶことも見事、予知!!
     そして、本当の予知マジックはここからです。もう一度封筒を選んでもらいます。
     高橋君と・・・・」

客席のオッサン「木田だよっ」

  場内大爆笑。


マジシャン竹下さん、一度聞いたお客様の名前は覚えましょうね。

で、結局、どんな予知マジックだったかと言いますと・・・
やめとこ、
説明すんのが恥ずかしいくらいお粗末なんだもん。


9月9日(火よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
マジシャン竹下が赤いハンカチを取り出した。
音楽に合わせて、体を軽くスイングさせながら、
ハンカチの表と裏を観客に見せる。
タネも仕掛けもありません、ってやつだ。
両手で持ってたハンカチを右手に握り、
手のひらの中でクシャクシャッと丸め始めた。
体は軽くスイングしている。
そのとき、
マジシャン竹下の左手が体の後ろへまわった。
本人としては、
観客は右手の動きを見てるはずだし、
左手は死角になってるし、
なにげな〜い感じだし、
バレないつもりなのだろう。
が、
全然なにげない感じじゃないから、マジックを見ていた全員が気づいた。
「あーあ、左手でなんか出してんのバレバレ・・・」
案の定、
左手を右手に添えると、
赤いハンカチが青いハンカチに早変わりだっ!

パチパチパチ

心優しい観客、数人が拍手した。
その他の人は、シ〜ンと見ている。
「ま、近所に住む竹下って言ってたからな。素人さんなんだ。黙って見ててあげよう」
てな感じ。
大人の観客だ。

マジシャン竹下は、スイングを続けている。
今度は、右手が後ろへまわった。
やっぱりバレバレ。
その時だ、

「あっ!右手!右手っ!!」

ひとりの子供が叫んだ。
子供にまで気づかれてしまった。
つぎに、マジシャン竹下が、左手を後ろにまわすと、
そこらじゅうから、
叫び声が上がった。

「左手で出してるぅー!!」
「後ろに隠してあるんだぁー!!」
「あれならオレにもできるぅー!!」


ああ、子供って残酷。容赦なし。

途中でやめるわけにはいかない。
マジシャン竹下は、ハンカチマジックを終わらせるべく、
最後のスイングをして手を後ろにまわした。
子供が叫ぶ。

「あっ!コップを出すぞ!!」

正確には、コップではなく小さなリキュールグラスなのだが、
ネタばれしてることに変わりはない。

「黄色い液が入ってる!」

いちいち説明することないのに、
調子に乗った子供は手が付けられない。

マジシャン竹下が引きつった笑みを浮かべながら、いかにも優雅そうに、
その液体(本人はお酒のつもり)を飲んだ。すると、

「飲んでないっ!!あの液、ウソだぁ!!」

グラスにセロハンをはって、液体に見せかけてあるのだ。
一応、マジシャン竹下は手で隠して、飲んでるフリをして、
大人の観客は、飲んだことにしてあげてるのだが、
子供には通用しない。

マジシャン竹下、ボロボロ。

そして、マジシャン竹下が再びマイクを握った。

「・・・・えっと・・、つぎは、い、今評判の、予知マジックです・・・」

うへっ!まだやんの?
声もこんなにちっちゃくなっちゃった・・・・
「今評判の」とか言わなくていいのに・・しかもカンでるし・・・  (つづく)


9月8日(月よう日) 日直・鬼界
近所の神社でお祭りがあった。

   昨日書こうとしてたことは結局思い出せませんでした・・・
   永久に失われてしまった・・

3部構成の‘奉納演芸’を見た。

第1部の‘地元有志によるお囃子’が終わると、
アナウンスが入った。

えー、第2部はマジックショー、マジックショーでございます。」

今まで披露していた伝統芸能の雰囲気をぶち壊す、
ストリップの呼び込みのようなアナウンスだ。
すかさず、ミュージックスタート。

♪チャララララ、ラ〜

と字で書くとすっごくむなしいが、
マジックのBGMの定番、ポール・モーリアのあれです。

さあ、始まり、始まりと思ってたら、

ブチ

突然、ミュージックストップ。シ〜ン。無音になってしまった。

観客は何が起こったかわからない。
ポカンと口をあけて舞台を見ている。
ざっと2分くらい、無音状態が続き、再び、突然

♪チャララララ、ラ〜

と音楽が始まった。

なんだよ?なにがあったんだよ?
MCしろよ!

パンチパーマに黒めがね、黒スーツのおにいさんが舞台に登場した。
ステッキをクルクルッと振り回すと、ポンッと花束に早変わりする。
マジックで最初に見せるお決まりの技だ。
技は鮮やかに決まったのだが、
花束がガタガタと震えている。
「あれ?もしかして震えてたりして?」なんて生易しいもんじゃない。
震度6の直下型地震をくらった花瓶くらいに揺れているのだ。

緊張しすぎだあ!!

客席にさっと緊張感が走った。
あんなんで大丈夫なのかしら・・・・・。

花束が再びステッキに早変わりしたところで、
マジシャンがマイクを取った。

「こ、こ、こ、こ、こんばんわ。き、き、き、近所に住む、た、た、竹下です。
わた、わたしのマジックで楽しいひとときをおすごす下さい」


あなたのマジックで楽しいひとときになるわけないじゃん!
「おすごし下さい」って、言えてないし。
ダメだぁー、この人。
こんなにアガってる人を私は生涯見たことがない!
っつうくらいアガってんの。

そして、ハンカチを使ったマジックが始まった。
これがマジシャン竹下を不幸のどん底に突き落とした・・・。 (つづく)


9月7日(日よう日) 日直・鬼界
日誌を書こうと、イスに座りました。
パソコンをオンにしました。
パソが立ち上がる前に、オシッコしようとトイレに行きました。
オシッコしました。
再びイスに座りました。
すると、

書こうとしていたことを忘れてしまった!!

なにかを探すためにキッチンに行ったのに、
キッチンに入ったら、なにを探すつもりだったのか、忘れてしまってる。

そういうことがちょくちょくあるのです。
と申しますか、ありますよね?そういうこと。

それのヒドイやつです。
ほんのささいな出来事だったんだけど、
そこからふくらまして今日の日誌にするはずだったの・・・。

あっれえ?なんだっけえ?
昨日、今日の行動を逐一思い返しているのですが、わかりません。
あっれえー?マジでなんだっけえー?
思い出せないよー!!
気持ち悪いよー!!
頭の奥のほうで、なーんか、思い出せそうな気がしてるんだけど・・・。

こういうケースで、
頭のどこにも、ぜーんぜん、引っ掛かりがなくて、
思い出せそうな気が、ぜーんぜん、しないこともちょくちょくある。
と申しますか、ありますよね?そういうこと。
でも、今回は違います。
ちょっーとだけ、引っ掛かってるのです。
だから、よけい気持ち悪いよー!!なんだっけぇぇぇ??

くっそー、あのときオシッコ行かなきゃよかったぜ!!!!!!!!!


9月6日(土よう日) 日直・鬼界
ごめんなさい。
見栄はりました、ウソつきました、昨日の日誌。
林田書店で文庫本をいつも万引きしてたのは事実ですが、

『遊びに来た女の子が
「わぁー、むつかしそうな本がいっぱいあるー!!」と食いついたりして、
一石二鳥のおいしさもあるし。』

という部分は真実ではありません。

たしかに、
「わぁー、むつかしそうな本がいっぱいあるぅー!!」と
食いついた女の子はいましたが、
食いついてほしくない女の子に限って食いつくのです。

ぜひ食いついてほしいと願う女の子は、カンペキ無視です。

だから、一石二鳥のおいしさは味わったことがありません。

ま、世の中、そーゆーもんです・・・。

てゆうか、
今思うと
『資本論』やら『存在と時間』やらに食いついてほしいと願うのはどうだろう?
まともな女の子がそんなもんに食いつく?
根本的に間違ってるぞ、鬼界クン。


9月5日(金よう日) 日直・鬼界
なにを隠そう、僕は万引き常習者だった。
20代前半の頃、
外で飲むと必ず万引きしてました。
飲んでる時には、そんなこと思いもしないんですが、
当時住んでた三鷹にまで帰り着き、
駅前の林田書店(駅前開発で惜しくも閉店)を見ると、
なぜか、ムラムラっとくるのです。
パブロフの犬みたいなもんです。
なぜでしょう?
わかりません。
林田書店が僕を呼ぶのです。

林田書店の通路は、‘P’の字型をしてました。
入り口と、‘P’のふくらみ部分の2箇所にレジがあるのですが、
夜は、入り口のレジだけになります。
凸面鏡があちこちについてて、
一応、万引きに気をつけているのですが、
レジから見えない、‘P’のふくらみに入り込むと、
たいてい、盗みたい放題でした。

だからといって、高価な本ばかりを盗むのはよくないことです。
弱いものイジメです。
僕は固く決めてました。
「文庫本以外は手を出さない」
潔い誓いです。

でも、なるべく分厚い文庫本を万引きしました。
「どんなに高価であろうが、文庫本は文庫本だ。
誓いを破るわけじゃない。だったら、高い本をやらなきゃ損だ」
潔いのかセコイのかわからないけど、骨身にしみた商人根性です。
マルクスの『資本論』、アルツィバーセフの『最後の一線』、ハイデガーの『存在と時間』など。
どれもこれも読んでません。
てゆうか、開きもしなかった。
本棚に並べると、目的達成。
徐々に万引き本が増えて気がついたのですが、
分厚い文庫ばかりが並んだ本棚は、ちょっと壮観、見ごたえあり、いいインテリアになるのです。
遊びに来た女の子が
「わぁー、むつかしそうな本がいっぱいあるー!!」と食いついたりして、
一石二鳥のおいしさもあるし。

なんだかんだで、スチールの本棚を万引きだけでいっぱいにしました。

けど、もし、捕まったら、どうするつもりだったんでしょう。

そんなことぜーんぜん考えなかった・・・。

バカだったんですねぇ・・・。


9月4日(木よう日) 日直・橋本
 某スーパーで、
万引きを目撃した。
時は、
昼下がり。
場所は、
家庭用品売り場。
ガラスキ。
レジのオバちゃん達は、おしゃべりに夢中。
万引きにはモッテコイの状況だ。
だからって、
その女子高生の万引きブリは、
あまりにも大胆だった。
彼女は、
お風呂で使うイスを物色する私の横に、
どこからともなく、サササッーとやって来た。
突然の登場に、
思わず、私は、彼女を見た。
ニットのベストのお腹のあたりが、
妊娠7ヶ月くらいに膨らんでいる。
「げっ。
制服の妊婦?!」
と、ついつい、彼女のお腹を凝視する私。
すると、彼女は、
いきなりしゃがみ込み、
ベストのスソから手を突っ込んだ。
そして、
自分の股ぐらに置いた、
おそらく学校指定と見受けられる紺色の手さげ袋の中に、
次から次へと、
お腹から、なにかを落としていく。
ビックリしました。
ウミガメの出産かと思いました。
「何を万引きしたのかな?」
と、私は、
大きく口を開けた手さげ袋の中をのぞいた。
そこには「ムシューダ・カバー」が、
どっさりこん。
いくら、‘衣替え’の季節とはいえ、
ムシューダカバーを、女子高生が万引きするとは、予想外だった。
家計を助けるためかしら?
だったら、
洋服カバーってのは、どーだろう?
食料品とかの方が、役立つのでは?
それとも。
彼女にとっては、
「‘万引き’という行為そのものが魅力」なのであって、
盗る品物は、何でもよかった。
そこで、
胸中のわずかな罪悪感を、
少しでも軽くしようとする精神作用で、
「親が喜びそうな品物」
を万引きした・・・とか?
そういえば、
私の唯一のパチンコ体験(高校2年の時)における景品も、
「キッコーマンしょうゆ1本」
だった。
パチンコしちゃったウシロめたさを軽減したの?私?
「キッコーマンしょうゆ」で?

女子高生のパチンコの景品、キッコーマンしょうゆ。
女子高生の万引きした商品、ムシューダ・カバー。
なるほどねぇ・・・。


9月3日(水よう日) 日直・鬼界
ご覧のとおり、新しいページになりました。
すっかり秋っぽいページです。
けれど、今日は真夏の暑さです。
セミも相変わらずジャンジャン鳴いてます。
けれど、夜になると秋の虫が鳴くようになりました。
着実に季節は移ろい、
「あぁ、地球は廻っているんだな」と実感します。
そして、この鬼橋日誌の過去ぶん↑も、8ページになりました。
よくもこんなに書いたもんです。
な〜んのためにもならないことばかりです。
この日誌を書くのに費やした時間で、
造花作りの内職をやってたら、今ごろは億万長者です。
あぁ・・・・
そして、この日誌を読むのに費やした時間で、
造花作りの内職をやってたら、あなたも今ごろは億万長者です。
あぁ・・・・
巨万の富の上に、この鬼橋日誌がある!
と思うと、なんだか、すっごいゼイタクを楽しんでる気がしません?




しないか・・・。