鬼橋日誌(おにはしにっし)
鬼界事務所の構成員、鬼界と橋本が書く日誌です
                    

・2000.5.12〜12.31の日誌は、こちら
・2001.1.4〜5.31の日誌は、こちら
・2001.6.1〜10.21の日誌は、こちら
・2001.10.22〜2002.3.30の日誌は、こちら
・2002.3.31〜8.31の日誌は、こちら

・2002.9.1〜12.31の日誌は、こちら
・2003.1.5〜5.5の日誌は、こちら
・2003.5.6〜9.2の日誌は、こちら
・2003.9.3〜12.31の日誌は、こちら




4月30日(金よう日) 日直・鬼界
昨日、東京の湿度は9%で
各局の天気予報のおねーさん・おじさんは
こぞって
「カラッとして、さわやかな気持ちのいい晴天で
まさに行楽日和の一日となりました。」
と言っていた。

確かに気持ちよかった。

でも、これが2ヶ月前なら
「空気がカラッカラの状態です。風邪をひきやすくなっています。
外出から帰ったら、必ずうがいを。」
と言ってるはずだ。

この違いはなに?
悪者だった9%の湿度が、いつから、いいものになるの?
天気予報のおねえさん・おじさんは言ってて恥ずかしくないか?
「あれえ?あたし、なんかムジュンしたこと言ってない?」
とは思わないか?
・・・・・思わないだろうなぁ、あのおねえさん・おじさんたちは・・・。

そんなことより大問題は、サッシの窓を開けるたびに感電死しそうになる。
いつまで続くの、この静電気?


4月29日(木よう日) 日直・鬼界
今、公演中の友だちからメールが来た。
ものすごーくガラガラなので、見に来てくれ、とのことだった。

そうなんです。
GW中の演劇は、ホントに全然お客さんが入らないのです。
どこの劇団がやってもそうです。
旅行へ行く人が多いったって、
全人口の一部なわけで、
どこへも行かない人のほうが断然多いはず。
普通の連休だったら、お客さんは入るんです。
なのに、GWだと、ぜんぜんダメ。
なんでだろうなぁ?
不思議だなぁ?

ってわけで、今日は演劇を見に行ってきます。
じゃあ、用意すっか。
ちっ、めんどくせえなー、せっかくのGWなのに、演劇か・・・。

ん?
あ、そっか、みんなこういう風に思ってんだ。
なんか、すごく納得・・・。


4月28日(水よう日) 日直・鬼界
明日からGWだ。
僕は、30日からオランダとベルギーに行って来ます。
アムステルダムの運河めぐり!
ブルージュでグルメ三昧!

ウソです・・・。

そんな遠い所へは行けません。
本当は、伊豆・修善寺へ2泊3日の小旅行です。
こじんまりとね。


ウソです・・・。

どっこへも行きませんっ!
ちぇっ・・・。
その代わり、旅行パンフだけはたくさん見ました。

たとえば、北陸の旅。
‘滑川ほたるいかミュージアムで、
幻想的な青白い光を放つほたるいかの神秘に触れる’ツアーなんてのがありました。
夕食は、レストラン光彩で、‘ほたるいか料理’。

それってヒドくない?
「うわぁ、ほたるいかってスゴいなぁ!本当にほたるみたいに光るんだぁ!!
キレイだなぁ!」
って感激してた子供になんて説明すんの?
「さっきキレイに光ってたほたるいかだよ。食べてもおいしいんだよ。」
って言うの?
マジ?

さらに、北海道の旅。
‘羊蹄山ひつじ牧場でひつじと散歩できます’っていうツアーの昼食が
‘ジンギスカン食べ放題’。

これはいくらなんでもマズいだろ。
「わぁ、ヒツジってかわいいなぁ。おとなしいし。毛がフサフサしてる。
ね、お父さん、このヒツジにメエちゃんって名前つけてもいい?
メエメエ鳴きながら、僕をペロペロなめるんだよ。
さ、メエちゃん、お散歩に行こっ!僕たちは友だちだよっ!!」
って大喜びしてた子供になんて説明すんの?
「さっきかわいがってたメエちゃんだよ。食べてもおいしいんだよ」
って言うの?
マジっすか?


4月27日(火よう日) 日直・橋本
 確かに、
鬼界さんは、怪しい。
以前から、
稽古中に何度か、
「警察に職務質問された」と聞いた覚えがある。
にせアディダスのジャージズボンに、
穴あきTシャツ。
帽子を深くかぶり、マスク。
背中には、
稽古に使う物がナンヤカヤと入った、ズタ袋のようなリュック。
身長につりあっていない、異常に高くしてあるサドルの、マウンテンバイク風チャリ。
なに、それ、盗んだの?
こんな人よ。
声かけられないワケが、ない。
で、
警察官にカバンの中身を見せるよう言われて、
出したのが、
その時、稽古中だった、お芝居(公演『中央区銀座』)の小道具の数々。
「オモチャの拳銃」
「目だし帽」
「裸のキューピー人形」ら。
身の証を立てるために、
警察官の前で、
例の、あの「警官コント」を、
一人三役で演じて見せたっていうからね、
路上で。
せめて、脚の長さに合わせりゃいいのに、
チャリのサドル。
 ちょっと前に、
仕事で、鬼界さんと一緒になった時のこと。
現場のスタッフの一人が、
鬼界さんに、
「鬼界さんって、
オカマっぽいですよね。
よく言われませんか?」
と、明るく聞いていた。
鬼界さんは、
おちょぼぐちにした口元に、可愛く手をあてがい、
「そんなことないわよん。」
と、上目づかいに答えていた。
・・・やっぱ、怪しいよ、鬼界さん。
誰が見ても、怪しいんだよ、やっぱ。
いつか、なにかで、
逮捕されるんじゃないか?


4月26日(月よう日) 日直・鬼界
 〜アルカイダと間違えられる 後編〜
「あ、これ?
これは、折りたたみ式のカート。
折りたたむところのネジが取れちゃって、バラバラになってんです」

棒状の金属や、金属の骨組みを警戒していた奥田巡査部長は
ホッとしたような、ガッカリしたような、拍子抜けの顔になった。

ざまーみろだ。
無実の善人を疑うから、こんな事になんだよ、バーカ。

しかし、奥田巡査部長は、へこたれない。

「あぁ、カートね。重いもの運ぶときには便利ですよね、カート。
カート以外は入ってないのかな?
ちょっーと、カートを出してもらえますか。
(鬼界、カートを出す)
あっ、なにもないですね。お手数かけました。
では、横のポッケを開けてもらえますか。
まずは右側から。」

道ばたで、奥田巡査部長に所持品検査をされているうちに、
人が集まってきた。
草色の長Tに、薄汚れたチョッキを着た、肉体労働者風のオッサンと、
トレーナーにチノパンの、休日のお父さん風の青年だ。

見せモンじゃねえよ!
僕がガンをとばして、にらみつけた瞬間、
二人はポケットから、警察手帳を取り出した。

「すいませんねぇ、ご迷惑かけて」
同時に同じセリフをしゃべりやがった。
さすがコンビだ、イキもピッタリ合っている。
茉奈・佳奈かと思ったぜ。

3人は正三角形のポジションで僕を取り囲んでいる。
本格的な捜査体勢だぁ!

が、1分後、3人は
「ご協力どうもありがとうございました」と声をそろえ、去って行った。
だって、怪しいモノなんて、なーんも持ってないんだもん。
もし僕が
時限発火装置とか、カラシニコフを持ってたら、
この連載もあと50回は続いただろうに。
惜しいことをしました。


4月24日(土よう日) 日直・鬼界
 〜アルカイダと間違えられる 前編〜
昨日、夕方、自転車で走っていると
「おにいさぁん、すいませーん。ちょっとぉ、おにぃさーん」
と、誰かが後ろから追いかけてくる。
僕が止ると
「すいませんねぇ、ちょーっとカバンの中、見せてもらってもいいですか」
と、胸ポケットから警察手帳を取り出した。

刑事ドラマでおなじみの、手帳型の警察手帳じゃないんですね、今は。
二つ折りで、金属でできた警察印の星がついてるほうを持つと、自然にパラッと開き、
中の顔写真が見える、アメリカ式なんですね。

“巡査部長 奥田匡史”
警察手帳には、そう書かれていた。
「おくだ・・・なんて読むんだろう?」などと僕が考えてる間も
黒いスーツの奥田巡査部長はしゃべり続けている。

「ほんと、すいませんねぇ。今ね、アルカイダの関係で、テロの取締りをやってるんですよ。
カバンを持った人は皆さん、中身を調べさせてもらってるんですよ。
お忙しいとこ、ホントすいませんねぇ。
お仕事帰りですか?今日も暑かったし、大変でしたねぇ。
真夏みたいですもんねぇ。
で、大きいカバンに見えるんですが、なにが入ってるんですか?」

ペラペラペラペラよくしゃべる男だ。
でも、ちょっとバカ?
どう見ても大きいカバンなのに、
「大きいカバンに見えるんですが」って、どういうこと?
が、
低姿勢で、愛想よく、にこやかにそんなことをしゃべっているが、
目が笑ってない。ちょっとコワい。
僕が止められてる間も、カバンを持った大勢の老若男女が通り過ぎていくのに、
誰のカバンもチェックしようとはしない。
明らかに、僕だけを疑っているのだ。

まあ、そのときの僕は
ジャージに、Tシャツで、帽子を深くかぶったうえ、マスクをして
(昨日は風が強くてホコリっぽかったでしょ)
カバンからは金属の棒状のものがつき出てるのだから、
明らかに怪しいんだけどね。

「カバンを地面におろしてもらえますか、すいませんねぇ。
まず、中央のチャックを開けて、中を見せてもらえますか、ホントお手数かけます。」

口調は相変わらず低姿勢だが、
言ってることがだんだん命令になってきた。
奥田巡査部長は自分では決してカバンに触ろうとしない。
一歩下がったところに立ち、右手はヒップポケットのあたりにある。
げ!け、拳銃?

僕は中央のチャックを開けた。
金属の骨組みのようなものが見えてくる。

「これは、なんですか?」
奥田巡査部長の声が厳しくなった・・・。 (つづく)


4月23日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

  私の前の席に座っていたのは、
ボウズ刈りの青年。
刈りたてか?
青々としている。
「朝シャン」ならぬ「朝刈り」。
そして、なかなかの‘うなじ’。
に続く‘なで肩’。
カマか?
講習が始まる直前に、小走りで入室して来た青年の顔を、
私は、ちゃんと見ていない。
が、
青ぞりの後頭部、及び、うなじを見る限り、
若い。20代とみた。
 講師が語った、例の「火炎地獄絵図」の中盤、
「おさな子ふたりの運命や、いかに?!」
の語尾で、
講師と目が合ってしまった私は、
それ以降、視線のやり場を、
講師の顔から、目の前にある青年の後頭部に移した。
悲惨な事故の描写に、
青ボウズを凝視し、じっと聞き入る私。
その
青ボウズも、また、微動だにしない。
しかし、講師が、
あの、
子供達の断末魔の声「あついよぉ〜、あついよぉ〜」を再現した、その時、
青年の頭は、ゆっくりと動いた。
彼は、大きく、うなだれたのだ。
なで肩が、一層、ガックリと落ちたように見えた。
その後ろ姿が、
前日に観たドキュメンタリー『少年刑務所』での少年達の姿とダブった。
殺人を犯した少年達を前に、
被害者の母親が、
我が子を殺された悲しみ・苦しみを語る、
その場面で、
少年達は、皆、一様にうなだれていた。
そりたてのボウズ頭をガックリと前にたれ、
母親の
「あの子は、どんなにツラかったろう・・どんなに悔しかったろう・・」
の言葉には、
加害者の少年達は、皆、涙を流していた。
そのボウズ刈りの少年達の姿そのものだったのだ、
「あついよぉ〜、あついよぉ〜」でうなだれた、私の目の前のボウズ刈りの青年は。
これがまた、
少年刑務所の囚人服そっくりの、ブルーグレーのシャツ着てるし、青年。
前日に映像で観た
「被害者と加害者が向き合った、特殊な場面」
に、実際に身をおいたような、
その、特殊な場面の「特殊な空気」を体感してるような、
そんな、妙に、胸が痛むような・・・。
それが土台になったのか、
脚色し過ぎとはいえ、ノンフィクションの悲惨な事故を語る講師の話に、
目頭が熱く・・・。
で、
講師は講師で、
‘うなだれて涙してる、青年と私’ねらい。
「あと少しで落ちるぞ、こいつら」ってな感じ。
つきっきり。
他の講習生、ほったらかし。

「ガックリとうなだれたボウズ刈りの青年のうしろ姿」
は、悲しいものだと知りました。


4月22日(木よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 隣室からの、
アクション映画もどきの「大事故映像」のモレ音に負けじと、
我らが女性講師(推定49歳)は、
口で、大事故の描写を試み始めた。

「悪質で危険なドライバーに対する罰則が強化されました。
‘危険運転致死傷罪’です。
(ここで間(マ)をとり、ゆっくり私たちを見回しながら)
・・・数年前、
大きな大きな事故が起こりました。
悲しい悲しい事故でした。
つらいつらい事故でした。
高速道路で、
家族4人を乗せた乗用車に、
飲酒運転の大型トラックが追突したんです。
キキキキキィーーーーーッ!!(口でSE。)
・・・・(間)
トラックに数十メートル引きずられた後、
車は、なんとか止りました。
んが!!
その瞬間、流出したガソリンに引火!またたく間に車は炎に包まれた!
助手席の妻は、奇跡的に開けることが出来た窓から脱出!
車内に残された夫と幼子(おさなご)2人!
妻は、
その場に居合わせた事故の目撃者らと協力して運転席のドアを、必死で蹴破った!
バンバン!バンバン!(大騒ぎ。)
なんとか夫は救出できた!
んが!!
子供は?!後部座席の幼子2人は?!
(講師と私、目が合う。)
・・・・(間)
(講師、ため息まじりに首をゆっくり横に振り)
ダメでした。熱くてドアに触れることは不可能だったんです。
両親の目の前で、
3才と1才の子供達は、命を失ったのです。
あついよぉ〜、あついよぉ〜、
 お父さん、お母さん、あついよぉ〜
(子供の声色で。)
そう言いながら。
・・・・・(間)。
(いきなり低音で、しかも、なぜか目を細め)
皆さんは、危険な運転をして、人生をひっくり返したいですか・・・・?」

熱いよぉ〜熱いよぉ〜・・・・って、
朗読会「語り継ごう原爆」じゃないんだから。
ちょっと脚色し過ぎなんじゃないかなぁ。
子供たち、
「熱いよぉ〜」とは言ってないと思うなぁ。
っていうか、
アンタ、見てたの?
何度も何度もしてる話なもんだから、
どんどん自分でアレンジしちゃって。
しかし、
この、演出過多の、
『女殺し油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』ならぬ「子殺し火炎地獄」に、
心震わせる者、若干2名・・・。
        (つづく)


4月21日(水よう日) 日直・橋本
 免許証の更新に行った。
「優良」なので、
講習は、短い「30分コース」だ。
例によって、
まず、ビデオ鑑賞。
「こんな場合、ドライバーが注意しなくちゃいけないのは、どれかな?
前を行く歩行者?
それとも前方の右折車?
うんにゃ、うしろから来るバイクかも?」
みたいなのを、4,5パターン。
さすが「優良ドライバー」向け。
言わずもがなの感のビデオ。
それに比べて、
隣室の「1時間コース」のビデオは、楽しそうだ。
大事故の映像でも見ているのか、
派手にやっている様子。
薄いベニヤの壁を通して、
ドカンドカン聞こえてくる。
加えて、
ドライバーの恐怖心をあおるような、おどろおどろしいナレーション。
ついつい、私は、
隣室の光景を想像する。
「元ひき逃げ犯」「飲酒運転常習犯」「長距離トラックの運ちゃん」
などのコワモテ達が、
貧乏ゆすりしながら、
その、大事故のビデオを見ている光景を・・・。
「なはず、ねーよな。」
とか思ったりと、
要するに、まるで講習に集中していない私の意識を察知でもしたのか、
私のコースの豆タンクのような女性講師は、
「壁が薄くて申し訳ないです。
この、こうるさい状況の中、
皆さんのお心に届くように、わたくし、一生懸命お話させて頂きます。」
と、
通路ギワの席に座った私の真横で、
ピタッと歩を止め、言った。
       (つづく)


4月20日(火よう日) 日直・鬼界
午前8時、テイクアウトできるコーヒー屋に入った。
出勤前のビジネスマンやOLが3人並んでいた。
3人しか並んでないのに、
やけに進むのが遅い。
店員のおねえさんがドンくさいのだ。

僕の前のエリートタイプのおっさんは
待ちに待たされキレかかっていた。
やっと、オーダーの品が袋にいれられ、
おっさんの手に渡ろうとしたとき、
トレーにアイスティーを2つのせたおばはんが
文句をつけにきた。

「ちょっと、わるいんだけどぉ、こっちのアイスティーが少ないのよぉ。
足してくれる?」

見ると、片方のアイスティーが確かに少ない。
でも、その差は3ミリくらいだ。

3ミリで文句言いにくるか?
あったまオカしいんじゃないの?

なのに、店員のおねえさんは
「あっ、すいませんでしたっ!!」と
慌てて、冷蔵庫からアイスティーのポットを取り出し、注ぎ足している。
しかも、おっさんの袋を冷蔵庫の横へ置いちゃった。
おいおい、とりあえず、袋を渡してから冷蔵庫を開けろよ。
おっさんの額の血管がピクピクしていた。

わるい子じゃないんだけど、
ホント、ドンくさすぎ。

こんな子だから、僕は、ゆっくり、はっきり、くっきり注文した。

ホットの、ブレンドコーヒーの、
スタンダードと
ラージ1個づつ、ください。します。」

文字で書けば、こんな感じ。

おねえさんは
「はい、少々お待ちくださいませ」と答えた、一生懸命な表情で。
わるい子ではないんだよね。

が、デカい紙コップ2個にコーヒーを注いでいるではないか。
どう見ても、ラージ2個だ。

「スタンダードとラージを1個づつなんだけど」
と言うと
「え!あ!すいません」と慌てて小さい紙コップを取り出して
アタフタしている。
バタバタと紙コップ2つを袋にいれ、手渡してくれた。
そして、せわしくレジをたたき、
「すいませんでした。こちら、差額です」と53円くれた。

僕は、まだ、コーヒー代払ってないんだけど。

ま、いいか。
おねえさんが損するわけじゃないし。
それにしても、マジでドンくさすぎだ。


4月19日(月よう日) 日直・鬼界
昨日、神宮球場に野球を見に行った。
斜め前方を見ると、
袖口が折り返しになったダブルカフスのストライプシャツに
黒のストレッチブーツカットパンツで
肩までの髪を手でうしろにはらってる女がいる。
南青山のオフィスに勤めるOLみたいだ。(イメージ)
いい女のようだ。

「ようだ」というのは、僕の席からでは、顔が見えないのだ。
こういう場合は、顔が見えないにかぎる。
顔を見てしまうと、
「サギじゃねえか!」と怒り爆発するケースが多いからだ。

会社帰りに野球観戦か・・・
隣りの席はあいてるけど、長瀬みたいなカッコいい同僚が来んのかな・・
いいなぁ、オフィスラブ・・

あん?
今日は日曜じゃん!会社お休みじゃん。
会社帰りの美人OLじゃないんだ・・・。
群馬の百姓がせいいっぱいのオシャレして東京に出てきたのけ?
顔見えなくて、ラッキーっ!・・・かも?

その美人OL風百姓女は、
とにかく食う。
試合開始とともに、弁当を食い、崎陽軒のシューマイを食い、
回が進むと、チーちく、枝豆を食いながら、ビールを飲み、
試合中盤では、バナナの小枝、ドラえもんブッセ(初めて見るものばかりだ!)を食らっている。

すっごいなぁ、よく食うなぁ、
でも、かなりスレンダーなんだよなぁ、
大量に食っても大量に出すってことなんだろうなぁ、快便快便、すげえなぁ。

そして、6回表・阪神の攻撃中、ふと見ると、
売店で買ってきた豚骨ラーメンを手にその女が席に座るところだった。

うへっ!この期に及んで、ラーメン食うか?
それより間に合うのか?

7回表の阪神の攻撃が始まる前に、
全員で六甲おろしを唄って、ジェット風船を飛ばす大切な儀式があるんだぞ。
ってことは、6回裏には風船をふくらまさなきゃならないんだぞ。
ってことは、それまでにラーメンを食い終わらなきゃならないんだぞ。

僕は試合どころではなくなった。
視線は女に釘づけだ。
女は熱いものが苦手なのか、
麺を数本づつすくい上げては、丹念にフーフー吹いている。
これでは、なかなか食べすすまない。
なのに、鼻水ばかりがたれてくる。
バッグからハンカチを取り出し、鼻水を押さえていたが、
そのうち、手の甲でぬぐい出した。
おぉ、豪快さんだ。
麺を吹いては、手の甲で鼻水をぬぐい、
汁を飲んでは、手の甲で額の汗をぬぐっている。
鼻水を額になすりつけている、とも言えるな・・・。
6回裏のヤクルトの攻撃も2アウトになった。
時間がない。
女はどんぶりを連れに渡し、
(連れがいたのだ!おんなじようなカッコをした女だ!)
バッグから風船を取り出し、ふくらませ始めた。
が、ラーメンを吹きすぎて肺活量を消費したせいか、
ぜんぜんふくらまない。
女は隣りに座っている連れの女に
「これ、ふくらましてよ」とか言って、風船を渡した。
受け取った連れの女は、
風船のふくらまし口を見るなり、風船を突っ返した。
そりゃそうだ、
豚骨の油でギトギトになってるふくらまし口に唇を当てる気にはならないぜ。

こうして、女は
六甲おろしの大合唱のなか、ひとり、豚骨ラーメンを食い続けていた。
阪神ファンじゃねえな、こいつは。


試合は9回裏、サヨナラ負けしました。ガックリ・・・・。


4月18日(日よう日) 日直・鬼界
 〜ニュースのバカ〜 vol.2

イラクで人質が解放されたとたん、
人質バッシングだ。
小泉、福田をはじめ、匿名の“政府高官”まで言いたい放題。
ま、人質になった3人の自業自得だから、
しょーがないんだけど。

自業自得というのは、
「こんなときにイラクに行くから悪いんだ」
ということだけじゃなく
「マスコミの力をわかってない」ってこともです。

木曜日、解放直後の3人の映像が延々と流された。
高遠さん(女性の人質)は、
モゴモゴと口いっぱいに何かをほおばりながら(チョコを食ってたらしい)
ダラけた感じで
「シャワー浴びたい」とつぶやいてるし、
今井君(高校出たての彼)は
ニヤニヤ笑ってて、何事もなかったかのように見えた。

実際は、「ダラけて」もいないし、「ニヤニヤ笑って」もいなかったのだろうが、
どう見えるかが、映像の命だ。
そう見えてしまったら、もう取り返しがつかない。
映像の印象ひとつで世論は簡単に敵にも味方にもなる。

憔悴しきった様子で口もきけないとか、
ただただ泣き崩れるとか、
そういうシーンを無意識に予想してるわけですよ、テレビのこっち側は。
それがあろうことか、あの映像。
「あんなに心配したのに、署名までしたのに、なに、あれ?ちょっとね・・・」って思いますわね。
あとでどれだけ「ありがとうございました。皆さんのおかげです」って言っても手遅れさ。

それに加え
被害者の家族の映像。
人質になってるときの
「世界の皆さん、協力をお願いしますっ」と言ってるときも
感情的で高圧的で、ちょっとヒいたけど、
解放後、
ガッツポーズをして大声をあげたり、
北海道東京事務所(聞くたびに笑ってしまう名前だ)の窓から肩を組んで騒いだりしてるのも、
こっちの感情を逆なでします。

さらに、それに加え
「またイラクに行きたい」発言。
火に油を注ぎました。
カンペキにこっちを敵にまわしちゃった。
そればかりか、政治家にしゃしゃり出るチャンスを与えちゃった。
もし、
あの映像が、3人のヤツれきった表情をとらえたもので、
家族も涙涙で「よかった・・・」「ありがとうございました・・・」と言葉少なだったら
こっちも「ホントよかったね」と味方のままだから、
小泉があんなことを言う隙はなかったはずです。
言ったら反発かうもん。
でも、言う隙を与えちゃった。
しかも、いちおー、スジの通ったようなこと言ってるから、
こっちも「そうだよ、そうだよな」ってなっちゃう。
そうすると、
「ほら見ろ、やっぱ自衛隊じゃなきゃダメじゃないか」ってなっちゃう。
小泉の思うつぼ。

ニュースで流された映像が
自分達の意思とはかけ離れ、どれだけの影響力をもつか、
マスコミのコワさをわかってなかったんですね。

あのコマネチが、
ときの独裁者チャウシェスクの息子に
毎晩毎晩、変態プレイさせられるのに耐えかね、
厳寒のある夜、
コーチと共に、凍りつくドナウ川を裸足で渡りきり、
アメリカに亡命しました。
アメリカ国民は大歓迎。
熱狂のなか、記者会見が行なわれました。
悲惨な体験がつぎつぎに語られ、
テレビの前の全米が「コマネチ命」一色になるとき、
ある記者が質問しました。
「つかぬことをお伺いしますが、コーチとは不倫なんですよね?」
それに対するコマネチの答え。

「SO WHAT?」
(だから、なに?それがどうしたの。)

コマネチはこの一言で、一瞬にして、
全米を敵にまわしました。
コマネチの真意はそういうことではなかったのに、
家族愛を異常に大切にするアメリカ人の反感をモロに買ったわけです。
そして、コマネチは数ヵ月後、アメリカを去ることになります。

映像の印象ひとつで世論は簡単に敵にも味方にもなる。
マスコミはコワいです。

来週は
コマネチがやらされた変態プレイについて詳しくお話しします。


4月17日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき) 

 あんなに前で映画を観たのは、
『愛と哀しみのボレロ』以来だ。
あの時は、
確か、最前列だった。
スクリーンが、全部いっぺんに視界に入らず、
観るのに疲れるのと、つまんないのとで、
始まってスグ寝た(なんせ、まだ10代のガキだったからさ。)。
起きるたびに、例の、あの曲がかかっていた。
最後に起きた時は、
裸の男が、その曲で踊っていた。
寝覚めが悪かった。
最前列席の印象、悪し。
今回も、かなり前。
やはり観にくい。
が、
ジャックの技は、堪能。
隣りに座った4人のオバさま達は、
終始、楽しんでいたようで、
クレジットも、最後まで立たずに観ていた。
 終わって、ロビーに出ると、
次の回を観る人の行列が。
今度も、見渡す限り女性ばかりだが、
若い人が多い。
今、私が観た回は、年輩の女性が多かった。
下に降りるエレベーター内も、
オバさま達でギュウギュウ。
そんな中で、突如、感想が述べられた。
「キアヌみたいな、あんな若い人は居ないわよねぇ。」
「そーよ。
あんな若い人が言い寄ってくるなんて、有り得ないわよ。」
(ヒロインのダイアン(劇作家)は、
自分と同世代の63歳の男性・ジャック(会社経営)と、
20近くも年下の36歳の男性・キアヌ(医者)との間で揺れ動くのである。)

今、スクリーンで観たヒロイン、
ダイアン・キートンと同年代のオバさまたちが、
大マジで言った。
アハッ。
・・・・・マズイ。私以外、誰も笑わない。
咳をしてゴマかした。
別のグループのオバさまが、
「20も下なんて、ねぇ〜。」
と、笑いながら。
ここで、やっと、エレベーター内に、微苦笑が。
 「デパートでランチを食べて、
思いっきりお喋りして帰るの。」
と言う、例の4人連れのオバさまたちと、
「また、いつか、お逢いできるかも。」
と、握手をして別れた。
「久しぶり」のダイアン・キートンを楽しみにしていたオバさまは、
とても満足しているように、私には見えた。


4月16日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 係員が
「お待たせしましたァ、チケット販売開始しましたのでェ」
と、ふれ回り、
「よかっつ。トイレに行く時間も有るな、これだったら。」
と安心したのもホンのつかの間。
行列は、遅々として進まず。
時刻は、既に、
10時50分になろうとしている。
窓口まで、まだ30メートルは有る。
こんな、牛みたいなノロさで進んでるようじゃ、
上映開始時刻の11時になっても、
まだチケットを買えない・・・ってなことも、
マジで有り得る。
バカじゃねーの、丸の内ルーブル。
こんなに混んでんだから、
窓口を10分や15分早く開けりゃいいんだよ!!
さっきまで、
「ダイアン・キートン、久しぶりだわ〜」
(ダイアン・キートンの、どの作品ぶりなのか興味あり)
「最近は、大人が観る映画、なかなかございませんものねぇ」
「(貼ってある、犬のポスターを見て)『クイール』・・?動物モノ?
これも観に来ようかしら?」
などと大ハシャギだったオバさま達も、
さすがに危機感を持ったとみえ、
「どうなるの?どうなるの?」と騒ぎ出し、
案の定、
ポンポンと私の肩を叩き、
「間に合うのかしら?」と。
くそ。こっちが聞きたい。
「ちょっと見てきます。」と、行列の先頭である窓口へ走った。
2つの窓口附近でも、
千円札を手に、イライラして順番待ちをしている女性達。
再び、係員がふれ歩く。
「上映開始時刻は、5分遅らせまぁす。」
走って戻り、オバさま達に報告。
「11時5分開始だそうです。」
すっかり、仲間。
 11時ジャストにチケットを買い、十数人と共にエレベーターに走り込む。
オバさま4人も一緒に乗れた。
館内に入り、私は、まずトイレへ走った。
映画の途中でトイレに立つのは、絶対に避けたい。
見ると、
オバさま4人も、走ってついてくる。
誰か一人、席を確保しに行ったほうがイイのでは・・・?
考えが及ばないらしい。
トイレで、また愕然。
行列。
もう、あと3分しかない。
私は、隣りの男子用トイレに走った。
のぞく。
ひとっこひとり居ない。
「オバさん!誰もいないから平気です!こっち、こっち」と4人を導く。
4人、キャーキャー言いながら、私に続く。
先に済ませた私とオバさま1人とが、
席を探す。
かなり前の方だが、なんとか、つるんで席を取れた。
4人を中に入れ、私が通路際に。
「よかったわ、よかったわ」と喜び合いながら、
ふと、私は気がついた。
「なぜに、私は、この人たちと?
私ひとりだったら、もっと良い席が有るのでは?」
しかし、時、既に遅し。
突然、場内は暗くなり、あっけなく上映が開始された。
まだ、人々はガヤガヤし、
多くの人がウロウロと席を探しているにもかかわらず。
ひっでぇ、丸の内ルーブル。
        (つづく)


4月15日(木よう日) 日直・橋本
 昨日、
映画を観に銀座へ。
例によって、水曜日の「レディース・ディ」。
これまた例によって、初回を。
初回は予告編が無いので、
映画館が開くのは、本編上映の15分前だ。
『恋愛適齢期』の初回上映は11時ということなので、
10時40分に銀座に着くようにした。
窓口でチケットを購入する時間(レディース千円チケットは当日券のみなので)と、
映画館で席を取ってからトイレに行く時間とを、
ちゃんと計算に入れたうえで、だ。
「おそらく、
そんなに混んではいまい。
映画館が開く時間ピッタシに行けば充分だ。」
ぐらいに思っていた私。
マリオン新館附近まで来て、ビックリ仰天。
長蛇の列。
女の人ばっかの大行列。
数百人、並んでいる。
まだチケット販売窓口は開いてないらしく、
行列は、前進している様子、まったく無し。
慌てて、私も列に。
直後、60代半ばくらいのオバさま4人連れが、
「あっら、まぁ!
なぁ〜に?なぁ〜に?すごい行列!
あの、ちょっと、ちょっと(私の肩をポンポンと叩き)、
これは、あれですの?恋愛適齢期を観るために並んでらっしゃるの?」
と尋ねてきた。
「そうです。」と答える。
確かに、
タイトルを言って尋ねるのが正解なのだが、
母親と同年代の、見も知らぬ、上品そうなオバさんが、
大マジメに「恋愛適齢期」なる言葉を使って私にモノを尋ねたのが、
なんだか、ちょっと可笑しかった。
例えば、
イタリア映画『修道女のもだえ』の時も、
「修道女のもだえを観るために並んでらっしゃるの?」
と尋ねるんだろうか?
尋ねるんだろうなぁ、きっと。
 行列は、どんどん長くなっていく。
私のスグうしろに並んだオバさま4人連れは、
「こんなに混んでるとは、思わなかったわぁ。
入れるかしら?入れるかしら?
あの、ちょっと、ちょっと(私の肩をポンポンとし)、
入れるかしら?座れるかしら?」
と不安そうに尋ねてきた。
「座れますよ、どこかには。」
と答えた。
「あら、そーお?良かったわぁ、座れますって!
座れればいいですわよねぇ、立ち見じゃ、なんですけどねぇ〜え。」
と、オバさま達、元気百倍。
私、一抹の不安。
「いや、前の方の席だったら、4人つるんで座れるだろう。」
と、自分のことはさておき、
オバさま達のことを、なぜか心配する私・・・。
       (つづく)


4月13日(火よう日) 日直・橋本
 『はとバス 春の日帰りコース』のパンフレット。
こまごま、ズラズラ、いろんなコースが並んでる中に、
「行き先は、到着してみてのお楽しみ!春のミステリーツアー」
というタイトルのコースを、発見。
「へぇ〜、楽しそうじゃん。」
記事を読んでみる。
なるほど、
確かに、「行程」が明かされていない。
【浜松町(7:30発)=ミステリー=東京駅(19:30着予定)】
のように、
書いてあるのは、発着地のみだ。
謎だ、謎。
どこに行くんだ?
なんだかドキドキするぞ。
結構、イイんじゃなーい?これ。
ふと、
隣りに記載されてるコースの「行程」が目に入る。
浜松町を7:30に出発し、
ひたち海浜公園に行くらしい。
「チューリップまつりが開催」されるとかで、
説明文に、
「必見!咲き誇る20万本のチューリップ」とある。
ふ〜ん、チューリップねぇ。
「ミステリーツアー」の記事に戻り、
説明文を読んでみる。
「特典!20万本のチューリップが見られます!」
・・・・・・。
キミ、キミ、これは、
どう考えたって、
「チューリップまつり」なんじゃないのかい?
行き先は、
「ひたち海浜公園」なんじゃないのかい?
試しに、
もう1つのミステリーツアーの記事をチェック。
やはり、
「行程」は、発着地以外、「ミステリー」となっている。
そして、説明文は、
「特典!いろいろな動物と、ふれ合えます!」だ。
次に、
隣りに載ってるコースの「行程」を見てみよう。
行き先は、
「富士サファリパーク」。
おいおい、キミら(って、誰?)は、アホですか?
これの、どこが「ミステリー」?
「富士サファリパークで、いろいろな動物とふれ合おう!」
との説明書きを読んだ直後に、
「さぁ、どこに行くのかな?
ヒント、いろいろな動物とふれ合えます。」
と質問されて、
「いや〜ん、わかんない、わかんない!ミステリーだわぁ!」
となる人が居ると思うのかい?
わっかんないよなぁ、はとバス。


4月12日(月よう日) 日直・鬼界
 〜ニュースの穴〜 vol.1
イラクで日本人が人質になった。
無事解放されるようだが、
一時は、
罪も無い3人を小泉は見殺しにするのか。
とか
最悪の事態を想定してなかった政府は無能だ。
とか
自衛隊はやはり撤退すべき。
などと
地べたに座らされた高遠さん(女性の人質)が、
口の前で手をグルグル回し
「あなた、英語しゃべれますか?」とテロリストに聞いてるような映像
(見ようによっては、「あなた、ゲロ吐きたいんですか?」とテロリストに聞いてるような映像)
とともに
厳しい論調で報道されていた。

涙ながらに訴える家族と対照的に、
うまく対処できない小泉と日本政府に非難が集まった。

でもね、よーく考えると、
そもそも、こんな時にそんなとこへ行った人って、どうよ?
ってのは、あるわけですよ。

なんでイラクなんかへ行くわけ?
出発前にもっと慎重でなきゃならなかったのでは?
行ったんだったら、自分の身は自分で守らなきゃって、思ってた?

小泉の無能が問題になるのは、二の次のことのはず。

六本木ヒルズの事故にしても、
罪のなすりあいをする森ビルも三和シャッターも悪いが、
その前に
子供の手をちゃんとつないでいなかった母親に一番の責任があるはず。

完全に被害者として報道されるけど、
ホントはそうじゃないはず。

って、ニュースでは絶対にそういう風には言えないけど。


突然、始まりました、〜ニュースの穴〜。
その週のニュースについての感想です。毎週日曜に連載!

って、今日は月曜じゃねえか!
っつうことは、連載!って、・・・・・ウソ?


4月11日(日よう日) 日直・橋本
 例の、
まだ新しい、
15000円もした、
お気に入りのトレーナーに漂白剤をブチまけて、
見るも無惨なボロトレーナーにしてしまった日から、
早、5日。
その、もう外へは2度と着て行けないミジメなトレーナーは、
いまだ、しまわれもせず、
部屋の隅に、ハンガーで吊るされたままだ。
自分の、あまりなドジぶり、頭の悪さへの見せしめの為の、
まるで、さらし首のようだ。
そう、見せしめ、見せしめ。
「漂白剤の取扱は慎重に。」
今回のことは、いい教訓よ。
それに、
こうして見なれてしまえば、
「最初から、こーゆー、マダラ模様だった」
と思えたりもするもんね。
するか?
するわきゃねぇ。
あぁ、悲しい。あぁ、ツライ。
トレーナーごときで嘆き悲しむ私を、
どうぞ、笑わば笑って。
この悲しさは本人のみぞ知る、だ。
そんな捨てバチになってる私だが、
今朝、思いかけず、嬉しい事が。
昨夜、録画した
『ドリフ結成40周年記念 8時だヨ!全員集合 懐かしの映像』を流し見していたら、
「ビッグゲスト傑作選コーナー」で、
なんと、三船チン(三船敏郎)が!
『8時だヨ!』に、まさか三船チンが出演し、コントをやっていたとは。
戦国武将姿の三船チンに、
やはり武将姿のいかりや長介が、
「三船氏ともあろうお方が、
何ゆえあって当番組に御出演召されたか?
もしかすると金銭ずくかな?」
と尋ね、観客を笑わせていた。
三船プロ製作のテレビ時代劇の宣伝がてらの出演だったのかな?
すごいなぁ、『8時だヨ!全員集合』って番組は。
「世界のミフネ」をひっぱり出しちゃうんだから。
志村けんが、
「か〜ら〜す〜、なぜ鳴くの〜、からすの勝手でしょ〜」
と唄う横で、ムッと仁王立ちする三船チン。
なぜか照れちゃって見てられない私。
歌が終わる。
三船チンの、
「勝手にしやがれ!」という去りのツッコミは、
お客の騒ぎ声で、かき消される。
ひぇ〜。いよいよ見てられない。
が、去りぎわ、
三船チンが、アドリブで‘ヒゲダンス歩き’を披露。
観客、大歓声。
あぁ、三船チン・・・好きだ!
既に亡くなって何年も経つ三船チンの、
こんな‘素(す)’に近い姿は、
もう2度と見ることは出来ないだろう。
最初で最後だ。
録画して良かった。


4月10日(土よう日) 日直・鬼界
きのう、書き忘れたんで、書いちゃおっと。

NHKの花粉情報なんだけど、
「非常に多い」「多い」「やや多い」「少ない」
の4段階って、すっごくわかりにくくない?

「多い」と「やや多い」って、どっちが多いの?

すぐにわかんなくない?

むかし、東京の地下鉄の発車案内が
「つぎ」と「こんど」になってたのに似てる。
「つぎ:1番線・新宿行き、こんど:2番線・新宿行き」って表示されても、
どっちが先発じゃい!って感じでしょ。

でもね、
たとえば、「黒い」と「やや黒い」だと、
「黒い」のほうが黒いのはすぐわかんだよね。
なんで、「多い」だと、わかんなくなるんだろ?

とぉーっても不思議。

うへっ?
もしかして、そう思ってんの、僕だけ?
だったら、今日の日誌は意味不明じゃん。
そうじゃないことを祈りつつ。


4月9日(金よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
その瞬間、テレビの画面のすぐ裏あたりで
「パチパチッ」と音がして、
カラーテレビが白黒テレビになったのだ。

と言っても
テレビにニョキニョキと4本の足がはえ、
テレビの上にはレースのクロスがかかり、
ヘタしたら、テレビに扉がついたりして、
昭和30年代のテレビジョンに変身したわけではない。

って、しょーもないこと言うてんな!とお思いだったりして・・・。

カラーで映ってたのが、突然、白黒になったのだ。

ええっ!!
慌てて、チャンネルを進ませると、
3チャン、4チャン、6,8,10,12、ぜーんぶカラーだ。
なーんだ、一時の気の迷いだったんだ。
ホッとして、1チャンに戻ると、白黒だった。

叩いても、蹴っても、白黒。
電源をオンオフにしても、白黒。
コンセントまで抜いてみたけど、白黒。
白黒、しろくろ、シロクロ、どう書こうが、NHKだけが色を失ってしまった。

白黒テレビになって、一番困るのは、花粉情報だ。
関東地方の地図が、
「非常に多い」「多い」「やや多い」「少ない」
の4段階の色で塗りわけられてるはずなのだが、
ぜーんぶ一緒に見える。
関東全域がグレーで塗りつぶされてるだけ。
さっぱりわからん。
さらに、
出てくる人が全員、喪服を着てるようでつまんない。
『NHK歌謡コンサート』を見ると、みーんな、派手なデザインの喪服。
天童よしみなんかキチガイみたいだ。
喪服じゃない人は、派手なデザインなのにやけに白っぽい殺風景な服。

あーあ、テレビ見る楽しみが減っちゃったな・・・。
ゾウキンを固くしぼんなかったのがいけなかったのかなぁ。
けっこうビチャビチャめでふいたんだよねぇ。
水が入っちゃったのかなぁ。チェッ。


4月8日(木よう日) 日直・鬼界
NHKがおかしい。

と言っても、
“有働由美子アナは、ニュース10のキャスターに抜擢されたはずなのに、
なぜ、ニュースを読ませてもらえないのか?
なぜ、ニコニコしながら、街の話題やスポーツばかりを担当してるのか?”
ということではなく、
僕のテレビのおはなしです。

僕のテレビはブラウン管テレビだ。
テレビ本体のうしろ半分がやたらとデカくて重い(液晶テレビ約10台分に相当するかと思われる)、
あの古い型のテレビだ。
しかも、画面はフラットではなく、曲面だ。
古っ!すっげえ古い!!

古くたって、まだまだキレイに映るもん。

ただ、難点は、
テレビをつけたときに、異常に静電気が発生することだ、バチバチッ。(落雷10回分に相当)
静電気はホコリを呼ぶ。
2,3回、つけたり消したりを繰り返すと、
画面がびっしりとホコリでおおわれ、
霧のロンドンで街頭テレビを見てるような状態になる。

いつもは、わざわざ、テレビ専用のダスキンみたいな乾いた布でふくのだが、
ひらめいた。

こんなことしなくたって、
濡れゾウキンでふいちゃえばいいのでは?
ダスキンみたいな布をいちいち買うのメンドくさいし。

さっそく、実行!
すると、その瞬間・・・・ (つづく)



なんで、こんな話までつづくにせなあかんねん!とお思いだったりして・・・?


4月7日(水よう日) 日直・鬼界
近隣住民に告ぐ。
毎晩毎晩、午後11時30分すぎに揚げ物をするのはやめてもらいたい。
昨日はコロッケ。
一昨日は鶏のから揚げ。
その前はトンカツ。
その前は串カツ。
なんで毎日毎日そんな時間にメシ食ってんだ。
いったい、なにメシなんだ?
しかも、毎日毎日揚げ物で、朝、胃もたれしないか?
そもそも、太るぞ。
もしかして、出勤前なの?
夜警さん?
とにかく、油の匂いが我が家へ流れ込むのだ。
ゲップ出そうになるし。
非常識な時間に揚げ物をするのはやめてもらいたい。


4月6日(火よう日) 日直・鬼界
今ごろ、なんなんだが、
冬物をクリーニングに出した。

“4月1日(木)〜4日(日)
ドライクリーニング 40%OFF!!
お持ちになったときに、その場で30%オフ。
お引き取りのときに、10%のポイントバック。
(仕上がり日から2日以内のお引き取りに限ります)
TOTAL 40% OFF!!
SPRING’S CHANCE!!”


こんな、英語と日本語が混じったチラシが

てゆうか、正確には英語じゃないけど。
「春のチャンス」って言いたいなら、「SPRING CHANCE」でいいのでは?
「’S」(アポストロフィー・エス、って習いましたねえ。懐かし。)は不要だ。

ポストに入っていたのだ。

コートやらジャンバーやらセーターやら、なんやかんや持ってって、
5500円が
その場で30%オフで3850円!

1650円も得した。
映画1本見られるぜっ!!

そして、もちろん、仕上がり日に引き取りに行った。
気さくなオバチャンが応対してくれた。

「ご利用ありがとうございましたぁ。
2日以内のお引き取りなので、
10%のポイントをつけときますね。
えぇと、3850円だから、385円のポイントで・・・」

と言いながら、39ポイントつけてくれた。

「ホントは、38ポイントなんだけど、
39ポイントにしたほうが、気持ちいいじゃない。
私が受け付けしてるときは、いっつもそうしてんの。
内緒ね。ウフ。」

うおお、ラッキーっ!!
40%オフに加え、10円得したぜぃ!!

僕はとても幸せな気持ちになった。


が、
違うんです。
トリックに引っかかってんです、僕は。
気がつきました?

トータル40%オフにするためには、
5500円×30%=1650円 【その場の30%オフ分】
と、
5500円×10%=550円 【ポイントバック分】
を割り引かねばなりません。
つまり、ポイントは55ポイントのはずです。
実際に支払った代金3850円の10%バックでは
トータル40%オフにはならないのです。

この事実に気づいたとき、幸せ気分は半減した。

ま、きっと、クリーニング屋自身も気づいてないだろうから、いいけどさ・・・。


4月5日(月よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)

 「なりきって」「ひたりきって」唄う、
これは、
大事なことでございます。
以前、舞台で、
私は、
「マリリン・モンロー」になりきったことがございます。
 またまた今朝も、
ドライヤーで髪を乾かしながら聞いてしまった、
『お熱いのがお好き』のサントラ。
マリリン唄う、あの有名な曲、
「あい わな び〜 らっば ゆ〜 
じゃすと ゆ〜
のっばでぃ えるす ばっと ゆ〜」
が、大好きなのでございます。
その愛する曲を舞台で唄うチャンスを得た私は、
覚え込みました、フルコーラス
唄いこみました、フルコーラス
踊りこみました、フルコーラス
本番の日まで、とことん。
 その日を最後に閉館する名画座が、
映画マニアのテロリストに占拠された。
解放してもらうために、
やはり映画マニアの客たちは、
テロリストが喜ぶような「一芸」を、各々、披露していく・・・という出だし。
いきなりのテロの要求に、
私以外のお客さん役の人達は、よく事態を飲み込めていないふうな設定。
お芝居を観てる実際のお客さんも、
イマイチ、解かってないふう。出だしだし。
で、
そんな、
劇場中全員キョトンとした状態の中で、
「いち早く助かりたいが為に、
得意のマリリン・モンローの真似をする」私の勇気って、どう。
しかし、
勇気もなにも、
だいいち、私が何をやりだしたのかが、お客さんたちには判らなかったようだ。
唄いだす前に、
モンローウォークで舞台を一回りするアドリブが余計だったかもしれない。
歩き出してから、
「下半身をわずらってる人」かと、自分でもチラと思った。
イメージしていても、実際やってみると、
「やや!チガウぞ?!」と思うことって、いっぱいある。
モンローウォークも、そうだった。
せめて、
いきなり唄い出せば、
「まぁ〜!モンローだわ!モンローだわ!」と、
お客さんに、すぐさま判ってもらえたにチガイない。
私が一回りする間、劇場中が「?」の静寂で満ちることはなかったであろう。
打ち上げで、
「魔の時間を作りやがって」
と、皆に非難されることも無かったであろう。
だが!!
あの、モンローウォークもどきがあったからこそ、
あの時、私は、モンローになりきって唄い出すことが出来たのだ!
あのモンローウォークしてる間に、
モンローが、私に降りてきてくれたのだ!

・・・そう。
惜しむらくは、
「魔の時間」に耐えられなくなった音響さんが、
「あい わな び らっば ゆ〜」の唄い出しでスグ、
カ〜ンと1つ鐘を鳴らしてしまい、
「唄ってないも同然」でスゴスゴ引き下がったこと・・・。


4月3日(土よう日) 日直・橋本
 友人Y美宅のピアノの上に、
書きかけの詞が。
次のライブで唄う曲の作詞かな?
おもにスタンダードを唄うY美だが、
たまにオリジナルも唄う。
春だし、
なんかヒラメいたか、ヤツも。
読んじゃえ。
「桃栗三年、柿八年。
梨の大バカ、十八年。
私は、片栗の花。
十八年で実を結ぶ。
そう、私は、片栗の花。」
・・・これって、
細川たかしの「私バカよね〜、おバカさんよね〜」を、
‘チガウふうに言ってみました’ってやつなのかしら。
「芽が出てから実がなるまで18年もかかる梨は、おバカさん。
でね、片栗も、そーなんですよ。バカなんです。」
ってことでしょうね、どうやら。
なに、これ、演歌?
ポロロロロ〜ンと、これ弾き語るの・・・?
桃栗だとか梨だとか、
カブトムシの幼虫飼ったりだとか。
おまえは、長野県の素朴な少年か?
でも、待てよ、
出来上がってみると、
案外、イイ歌かもしれないぜ。
陽水の『とまどうペリカン』が完成する前、
「あなたライオン〜、わたしペリカン〜」の詞だけを見た桑田佳祐は、
「なんだ、こりゃ。動物園の歌?」と思ったそうだもの。
それが、どうよ、
出来上がってみたら、
桑田も感服の名曲だ。
「わたしは片栗」も、
‘なりきって’‘ひたりきって’唄えば、いけるかもだ。


4月2日(金よう日) 日直・鬼界
電車に乗ってると、
リクルートスーツの女の子がやたらと目につく。
なーんか、スーツを着こなしてないというか、
スーツに着られてるというか、
なーんか、周りの風景から浮いてるというか。
会社訪問も大変だなぁ、
と思ってたんですが、
違うんですよね。
新入社員なんですよね。フレッシュウーマン。

春です。

桜があちこちで咲き乱れ、
ついつい、上を向いて歩いてしまう春。
昨日は一時停止の標識にぶつかりそうになったし、
美しいけど危険な春。

桜に目を奪われがちだけど、
驚くのが、若葉です。
おとといまで枯れ木だったのに、
今日見ると、青々と葉っぱが繁っています。
夜中にマニアが青葉を貼り付けたんじゃないの?
そう思ってしまうくらいだ。
近づくと、蚊みたいなちっちゃい虫がブンブン飛び回っている。
出てこなくてもいいのに、
あったかくなると、こういうのもどっかからわいてくんだな。
昨日は居酒屋の天井からゴキが落ちてきたし。
自然が躍動する春だ。

あぁ、地球は着実に太陽の周りをまわっているんだ。


いいじゃん、キレイじゃん。・・・キレイかな?
春めく日誌もイカすじゃん。


4月1日(木よう日) 日直・橋本
 ヨーグルトといえば、
先日、
友人Y美の家で飲んだ時のこと。
ビールで乾杯するやいなや、
Y美が、
「カスピ海ヨーグルト食べる?」
と。
「・・・・ぜんぜん食べたくない。
ふつー、ビール飲みながら、ヨーグルト、食べない。」
と、その時は、拒絶するも、
名前だけは聞き覚えのある『カスピ海ヨーグルト』に、
内心、興味津々。
1度は見てみたい食べてみたい・・・と思っていたのだ。
一体全体、
『カスピ海ヨーグルト』とは?
ヨーグルトはヨーグルトなの?
それとも、チガウの?
「菌を、
ネズミ講のごとく人から人へ手渡して広がった」って、ホント?
意味がわからないんですけど?
とにかく、
Y美が私に食べさせようとしている『カスピ海ヨーグルト』は、
どうやら、
彼女のお手製のようだ。
『明治おいしい牛乳』のパックを差し出し、
「この中、ヨーグルトだから、じゃ、あとで食べなね。」
と言った。
その、
牛乳の空きパックの中で、
いわゆる「誰かにもらった菌」を、
発酵させてるの?
なんか、キモイぞ。
自分が食べる前に、私に試させようとしているのか?
 Y美が酔いつぶれてしまったので、
ヨーグルトを見てみようと、
キッチンに行き、
『明治おいしい牛乳』のパックを探す。
レンジの横に有った。
アレ?なんで?
パックの上部3分の1くらいが切ってあるぞ。
手に取って、中をのぞく。
・・・いっぱい入っているのは、
「ヨーグルト」・・・というよりも「土」のように見える。
においを嗅いでみようと顔を近づけた瞬間、
まるで「土」のごとき「ヨーグルト」の中で、
何かが動いた。
ウゲーーーーッッ!
「菌」だ!「菌」!
慌てて、Y美を起こし、報告。
「カスピ海の菌が、泳いでますぜ!」
キョトンとするY美と共に、再びキッチンへ。
『明治おいしい牛乳』のパックを手に取り、
Y美が言った。
「あぁ、これ?
カブトムシの幼虫、飼ってるの。
カスピ海ヨーグルトは、
冷蔵庫の中。
食べる?」
と、冷蔵庫から、別の『明治おいしい牛乳』のパックを出すY美。
・・・・・・まぎらわしいぜ、まったく。
危うく、だまされるとこだったぜ。
「ヨーグルト発酵」と「幼虫飼育」を、同じ容器ですんなよ。
幼虫を育てるなよ、大人が。
大人は、買おうよ、カブトムシを。
気持ち悪くなっちゃって、
結局、
カスピ海ヨーグルトは、試さずじまい。
見てもいない。
遠い存在だった「カスピ海ヨーグルト」、
その「謎解明」が手の届く所にあったというのに・・・
惜しいことをした。


3月31日(水よう日) 日直・橋本
 ちぇ。
鬼界さんの風邪、もう快復かー。
ひと月くらい、もたせてほしかったなー、
風邪日誌。
もうちょっとの間、ラクできるかと思ったんだけどなー。
ところで。
おとといの日誌とか読むと、
風邪っぴきのくせして、
わりとイイ食生活だ。
お昼ごはんは、
「パン・オレンジジュース・卵・牛乳・はちみつ・ヨーグルト」か。
イイもん食ってんじゃん。
で、
オヤツが、
「はちみつかけヨーグルト」。
シャレてんじゃん。
ヨーグルトといえば、
長嶋さんが脳こうそくで倒れた数日後の、
担当医師の記者会見を思い出す。
「だいぶ快復なされ、
今日は、ヨーグルトを召し上がりました。」
ここまでは、いい。
「食欲旺盛なご様子なので、
もう1つヨーグルトを差し上げてみたら、
それもペロッと召し上がりました。」
・・・・って、
なんか他の食べ物くれてやれよ。
プリンじゃダメなのかい?
動物園のゴリラじゃないんだから。
知ってました?
ゴリラの1回の食事メニュー中、
ブルガリアヨーグルト(500g)1パックは必須らしいです。
スプーンで、
ペロッペロ食べるそうです。
はちみつをかけるのが特にお気に入りで、
朝・昼・晩、そしてオヤツに、
はちみつかけヨーグルトは欠かせないそうです。
大切に飼育されてるゴリラと同じ食生活・・・か。
やっぱ、
鬼界さん、シャレてるなー。


3月30日(火よう日) 日直・鬼界
おかげさまで、だいぶ快復しました。
ただ、おとといあたりから、腿の裏が痛い。

高熱が出てるとき、
関節やら筋肉が痛くなるでしょ?
あの感じなんです。

もしや、風邪第2波が襲ってくるのかと心配だった。
ところが、
おトイレに行って、
ずっと寝込んでいたから、プチ便秘でちょっとカタめになってるのを、
すっごくキバって出してみると、
腿の痛みが消えた。

へ?なんかわからんけど、よかっつ!

ところが、しばらくすると、またジワジワと腿の裏が痛くなってきた。
ヤな感じ・・・。
ところが、またトイレに行って、キバって出すと、痛みが消えた。

どういうことよ?
腿の裏に便がたまってるの?
風邪のせいで腸が下がっちゃった?
超不安・・・。


注:病気のときはオヤジギャグが許されます。


3月29日(月よう日) 日直・鬼界
とにかく寝ている。
延々、寝ている。

朝、とりあえず目を覚ましたときが朝ごはんの時間ってわけで、
パン・コーヒー・卵・牛乳・はちみつ・ヨーグルトなどを食べる。
食べ終わると、ベッドに横になる。
朝寝だ。
さわやかな午前の陽射しを浴びて、
寝汗をかきながら寝ている。

起きたときが、昼ごはんだ。
パン・オレンジジュース・卵・牛乳・はちみつ・ヨーグルトなどを食べる。
(朝とはビミョウに違う)
食べ終わると、一応、ベッドに入る。
さすがにこれだけ寝てりゃ、もう寝れないが、
起きてると風邪が悪化しそうなので、
無理矢理、横になる。
眠れないのにジッと横たわっているのはかなり苦痛だ。
と思う間もなく眠りに落ちている。

眠り病か、オレは?

そして、目が覚めたら、オヤツだ。
起きだすのが面倒なので、
トイレに行ったついでに、冷蔵庫を開け、
ベッドで、ヨーグルトにはちみつをかけて食べる。
あぁ、おいしい。
はちみつかけヨーグルトはいくら食べても飽きないなぁ。
と、食べ終わらないうちにウトウトする。

やっぱり眠り病だ・・・。

次に目覚めると、晩ごはん

って、この繰り返しなので、書きません。

でもね、じっさいさぁ、かんがえてみるとぉ、
からだがねむりをひつよーとしてんだよね、こんだけねれるってことは。
だからぁ、あれるぎーとか、かふんしょうじゃなくって、
ぜったい、ぜったい、かぜなんだな、ぼくは。


3月28日(日よう日) 日直・鬼界
くっそ、今日もいい天気だ。
なんで先週、こうならなかった?
あんな冷たい雨が降るから、風邪ひいちゃったんじゃねえか・・。

寝込んで、グチッぽい、鬼界です。

相変わらず、鼻づまりだが、
ふとしたはずみに開通することがある。
さすがに、全面開通ってわけにはいかず、
3車線道路で1車線だけ通行可って感じ。

「あぁ、鼻で息するって、なんて楽チン。これぞ人間だ」
と幸福するのもつかの間、
自分の鼻息がうるさくってしょうがない。

「スースー」「ヒーヒー」「サーサー」「シューシュー」「ンーンー」

文字であらわすのが難しい音だが、
あの、あれですよ、
川崎のラブホの一室で
今まさに、女子高生の胸のリボンをほどこうとするエロ英国紳士の鼻から発する音。
そう、
なんだか自分が興奮してるみたいで
なんかイヤ〜な感じがすんですよ、この鼻息音は。

うるさくって、なかなか寝付かれないし、
ウトウトすると、川崎のラブホの夢を見るし。(↑の例えは僕の夢なの・・・)

とか思ってると、また鼻完詰まり状態になって、
口で息してたら、
口の中が干からびて、
なんか口がクサ〜くなってくるし。

あーあ、早く治んないかな。


3月27日(土よう日) 日直・鬼界
風邪っぴきで寝込んでます。
鼻水ジュルジュルが止まったと思ったら、
鼻が完全に詰まってしまった。
満身の力をこめて吸っても、
全体力を動員して吐いても、
ビクともしない。
カンペキ詰まり状態。

不思議なもんで、鼻が詰まると、脳が活動しなくなる。
口を開けて息するから、知恵が口から漏れていくのかしら?
そういえば、小学校のとき、
ちくのう症のケンジはバカだったもんね。
鼻水ダラダラたらして大口をあけて息してて、
 (って、もしかして、今の僕と一緒なのでは?ま、しょうがないか・・・)
見るからバカそうだったけど、
本当にバカだったもんな。
なのに、妙によっついて来たなぁ。
「ヒドミくん、ヒドミくん、ジャリガニつりにいご」
(「ヒロミくん、ヒロミくん、ザリガニつりに行こ」と言っている)
あのケンジはまともな大人になれたのだろうか?
誰かと結婚して、誰かの父親になってるの?
あのケンジが?
・・・・・・・・。

重度の花粉症の人って、3月から5月まで、ずっーとこういう状態なんですか?
これはツライっすよ。
銀行とか経理の人はどうしてんですか?
今、僕は計算なんかできる状態ではありません。
ためしに、「5足す8」をやってみる。
暗算ですぐ「13」と答えが出た。が、
「5足す9足す7」になると、指の助けを借りないと答えが出ないです・・・。

あぁ、外はあんなにいい天気なのに、
僕は寝込んでいる・・・。


3月26日(金よう日) 日直・鬼界
とうとう風邪をひいた。
熱はたいしたことないのだが、
頭が痛いし、眼球の裏も痛い。
そして、なにより鼻水だ。
ジュルジュル、ジュルジュル、流れっぱなし。
かんでも拭いてもわいてきて、しょっぱい液体が口の中へと流れ込む。
おかげで、家にいながら、海にいる気分を味わえる。

ガマンできなくて、医者に行った。
かかりつけのおじさん先生だ。
診療室に入って、驚いた。
美しい女医が座っているではないか!!
若い頃の岡田可愛に似ている。僕好みだ。

(岡田可愛なんて言ったって、わかんないよねぇ。
梅宮アンナと梅宮辰夫を掛け合わせたくらいの顔です。
っていうと、気持ち悪くて美形とは思えないか・・・。
早い話が、アンナをもっと日本人よりにした顔です)

「あ、あの、いつもの先生は・・・?」
と尋ねると、
「あれは父です。今年から水・木・金は私が診療してるんです」

あのおじさんにこんな美人の娘がいたなんて!
医者に来るなら、水・木・金
僕はしっかり記憶した。
てゆうか、おじさん、早く引退しちゃえよ、って感じ。

「で、どうなさいました?」
落ち着いていながら柔らかみのある甘い声。ますますポイントアップ!
「風邪をひきました」
と僕が言ったとたん、
美人女医はポケットからマスクを取り出し、慌てて装着した。

露骨すぎない?
やや、ポイントダウン・・・。

ノドの奥を見るや、
「あら、これは大変。おノドが真っ赤っか。これじゃ、おノドが痛いでしょ」
と、僕を見つめて言ってくる。
真剣な眼差しなのに、泣いているような濡れた目だ。
ちょっと、たまりませんぜ・・・。ポイントアップっ!

そして、左手をそっと僕の肩にのせ
「お薬塗ってもいいですか」と甘い声でささやいた。

薬塗るのに、なんで声をひそめてささやくの?
肩に置かれた手はなに?
なんかわからんけど、『セクシー女医・夜の診察室』みたいになってきたぞ。
いっきにポイント倍増!!

先っぽに脱脂綿がまきつけられた、さいばしみたいな棒を
薬ビンにジャブジャブ浸した、美人女医は
「さあ、塗りますよぉ」と
棒を僕のノドに突っ込んだ。
ノドチンコの裏側というか、鼻とノドの間というか、
ものすごく痛い。めちゃくちゃ痛い。とにかく痛い。
反射的に僕の体がのけぞると、
美人女医は肩に置いた手に力をこめ、
「逃げない、逃げない。そう、痛いのね。痛いのね。でも、これが効くのよ。痛いのね」
となんだか嬉しそうに僕のノドに薬を塗りたくっている。
ウエッとえづいたら、
「ガマンして、ガマンして。もう少しですから、痛いの。痛いね。痛いね」
と、口ではかわいそがっているが、
目は明らかに楽しそうに笑っている。

ちょっとS入ってんだ、この女医・・・。
ポイントを帳消しにして、僕は記憶しなおした。
医者に来るなら、月・火・土


3月25日(木よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

  輪の中心、
それは、
机の上の3枚の写真。
いずれも、
海をバックにした、波打ち際での、
ビキニ姿の女の人のピンナップ写真。
1枚を手に取って見た。
20歳前後か。
顔のカワイさに、まずビックリ。
超カワイイ。
ホント、ビックリするくらいカワイイ。
アグネス・ラム(チャンではない。)そっくり。
大きな目、通った鼻筋、形の良い唇。
ケチのつけどころのない顔とは、こういう顔か。
小首をかしげ、
肩より少し短い黒髪を、前髪もろとも風になびかせ、
カメラ目線でニッコリ微笑む、
その小麦色のまぶしい笑顔。
あぁ、まぶしい。
そして、
ビキニのブラから、こぼれ落ちそうな胸。
当時18歳の私が、
初めて見る超ボイン。
初・巨乳。
あぁ、まぶしい!
このマブさは、ただのシロウトではないぞ、
モデルだ、モデル。
「で、このモデルが、どうしたって?」
と、私は、誰にともなく尋ねた。
すると、
「これ、ムツミちゃんなんだって!」
と、‘地味ダサ’グループのリーダー格である風紀委員の福島さんが、
妙にデカイ声で答えてくれた。
本当なら、
福島さんが大声を出した、ということにビックリするところだが、
もう、それどころではない。
この、
モデル然とした、
この、写真の中のビーナスが、ムツミちゃん・・・!?
皆に写真を見られ、
恥ずかしげにうつむいて座っている、この、中学生みたいなムツミちゃんが、
この、写真の中のビーナス・・・!?
・・・いやはや・・・。
鬼太郎みたいな前髪で、顔、半分しか見えてなかったからな・・。
ダボダボのブラウス着てて、ボインにも気づかなかった・・。
ダサい丈のスカートの中には、あんなにステキな脚が隠れていたのね・・。
・・・いやはや、判らないもんです。
いつもは大人しい福島さんが、
ベラベラベラベラ説明してくれたことによると、
ムツミちゃんは、
28歳のカメラマンとつき合っていて、
その彼と海に遊びに行った折に撮られた写真とのこと。
彼は、よく、
ムツミちゃんをモデルに見立てて、こういう写真を撮るとのこと。
デキの良い写真は、たまに仕事で使うらしい。
・・・ムツミちゃんが、モデルだったとは。
さらに、
10歳も上の、
しかも、カメラマンとゆー‘女に目の肥えた’男とつき合っていたとは。
中学生に見えたムツミちゃんが、
私の中で、
突如、
別世界に生きる大人の女に変貌。
これまた、
まさに、
「カワイイ顔して、あの子、わりとやるもんだねぇと〜」だ。
大人しそうに見える子ほど、ススんでるのね、実際は。
でもって、
ムツミちゃん、
「ダサい格好でカワイイ容姿を隠す」って、賢いかも。
自衛手段かも。
彼氏の知恵か?
それほど可愛いムツミちゃんは、
卒業後、即、結婚。
幸せな家庭の主婦となったとさ。


3月24日(水よう日) 日直・橋本
 「同級生がタレント」かぁ。
小・中の時には居ませんでしたが、
高校では、居ました。
別のクラスに。
「タレント」ではなく、「モデル」ですが。
髪型をオールバックのヒッツメにしていた、
その子は、確かに、目立ちました。
さすがモデル。
お似合い。
この髪型が似合うのは、よほどの美形です。
ある朝、
クラスの吉田聖子という子が、
「マネしちゃった♪」と言いながら、
オールバックのヒッツメで登校してきた時は、
どこのロバが迷い込んできたかと思うほど、ブサイクでした。
ところで、
そのモデルの子は、
やはり、友だちは少ないようでした。
イジメられはしないものの、嫌われてはいたようです。
 高3の時、
私と同じクラスに、
ムツミちゃんという子が居ました。
肩より短いザンバラ髪は、
ゴキブリのように真っ黒け。
(私たちは、ちょっと茶色。)
ガキみたいに2つに結わえ、
ゲゲゲの鬼太郎のような前髪。
制服のスカートは、ヒザ丈。
(私たちは、くるぶし近く。)
セーラーのブラウスは、ダボダボ。
(私たちは、ウエストと丈をつめ、フィッティ。)
鬼太郎の前髪から見え隠れする顔半分は、色黒。
同じクラスながら、
ほとんど話すことのない、このムツミちゃんを、
私は、
「地味で、おとなしくて、ダサい子。中学生みたい。」
と思っていました。
だからといって、
ムツミちゃんに、友だちが居ないというわけでは決してなく、
ムツミちゃんと同じようなタイプが集まった‘地味ダサ’グループの一員として、
それはそれで楽しげに過ごしているようでした。
 ある日、
その‘地味ダサ’グループが集う、教室の前の方あたりで、
「わぁ〜!」
という、
おとなしい彼女達らしからぬハシャいだ歓声が。
「なんだ、なんだ?」
と、私たち、教室後方グループも、
思わず近寄り、
その輪の中に。
そこには、
          (つづく)


3月23日(火よう日) 日直・鬼界
 少女A その4
イジメがピークに達したのは、
去年の文化祭だった。

「私が入ってる英語クラブは毎年、英語劇をやるんです。
去年は『シンデレラ』でした」

もちろん、亜里沙がシンデレラ?

「いいえ、魔法使いのおばあさんです」

ふーん、そういうもんか。

英語劇だから、当然、セリフは英語。
覚えるのが大変だ。
が、運悪く、文化祭実行委員に選ばれてしまったそうだ。

英語劇の練習の合い間を縫って、実行委員の会議に出席し、
会議が一段落したら、練習に戻り、
練習が休憩になったら実行委員室に顔をだす、と
休む間もなく行ったり来たり走り回っていた。
それぞれのクラブがあるから、
実行委員たちは、みんなそういう風にして掛け持ちしているのだそうだ。
それなのに、またまた、
『亜里沙はクラブばっかやってて、実行委員をサボってる』
というウソ噂が流された。
そして、今回はそれだけじゃなかった。

「下校途中に3年の男子が
『実行委員、サボんじゃねえよ』と怒鳴りながら、私のカバンを蹴っていったり、
中庭にいたら、突然、3階の窓から
『カッコつけてんじゃねえよ』と叫ばれたりしました。
あの先輩がやらせてたんです」

自分の手は汚さず、より悪質なイジメを実行する。
先輩、すっげぇよ・・・。
てゆうか、そんなことする手下がいることにビックリだ。

「あんまり、イヤがらせが続くので、私、その先輩に直接言いに行ったんです。
そしたら、『私は何も知らない』って、逆ギレされちゃって。
でも、次の日から、イヤがらせはなくなりました」

これで終われば、メデタシメデタシなのだが、
そうはいかない。

「文化祭の前々日でした。
体育館のステージで、本番どおりの衣裳とセットと照明でやるリハのとき、
クツをはいたら、足の裏に何かが突き刺さったんです。
痛っと思って、慌てて脱ぐと、
画びょうが入ってました。
あんなところに画びょうが偶然に入るはずありません。
誰かが入れたんです。
あの先輩だと思います」

きたよ、きたよ、悪魔の本領ハッキだぁーっ!!。
で、どうなった?
役を降ろされた?
それとも、車椅子に乗って登場した?(押すのは顧問の先生だ)
あるいは、杖をついて、「わたしゃ、ビッコの魔法使いよ。ビッコ、ビッコ」とか言った?

「魔法使いのおばあさんは、ほとんど歩かない役だったので、
なんとかやり終えました」

あ、そ・・・ちょっと肩すかし・・・。
ま、13歳だもんね、しょうがねえか。
あったまくるね、その先輩。

「はい。ほんと腹たちました。
でも、明日、卒業していくんです」

せいせいするね。仕返しとかしなかったんだ?

「明日、先輩のクツに画びょうを入れます」

・・・・・・・・え?

亜里沙は澄んだ瞳をして無邪気に言ってのけた。


カワイイ顔して、あの子、わりとやるもんだねぇと〜、か・・・。


3月22日(月よう日) 日直・鬼界
 少女A その3
亜里沙が小5になってすぐ、あるオーディションに行くと
同じ小学校の6年生が来ていた。

「テレビのお仕事してる人がうちの学校にいるって、
前から聞いてたんですけど、
違う事務所だったんで、どの人か知らなかったんです」

このあたりもスゴイと思う。
同じ小学校に芸能活動してる子がいれば
すぐに知り合いになりそうな気がするのに、
‘他の事務所だから接点がない’と当然のように思うのは
無邪気というか、業界ズレしてるというか・・・。

オーディション会場では仲良くお話していた。
けれど、結果が発表され、
その先輩がオーディションに落ちてからというもの、
イジメが始まった。

その先輩は落ちて、亜里沙が受かったの?

「いえ、私も落ちました」

うーむ、そう単純なものじゃないわけね・・・・でも、なんとなくわかる気がする。

先輩のイジメは陰湿だった。

「直接、先輩に何か言われたり、何かされたりしたことは1回もありませんでした。
噂が流れてくるんです。
『テレビに出てると思って、亜里沙はイバってる』『亜里沙は気どってる』
『亜里沙はいっつも掃除をさぼってる』
『亜里沙が3組の吉田君の悪口を言ってた』
『亜里沙は無駄遣いが多い』
『亜里沙は朝、歯磨きしない』とかって、
ウソが流れてくるんです。
5年生だった1年間、ずっーと流れてました」

その先輩がスゴイ!
1年間もウソの噂を流し続けるなんて!
そのねばり!その執着心!
よくもそれだけのウソを思いついたもんだ!!

先輩が卒業し、亜里沙に平和が戻った。
けれど、亜里沙が中学に入学すると、
なんとその先輩が同じ中学にいたのだ!!

って、公立だから、当たり前なんですけどね・・・。

さすがの先輩もウソを考え出すのに疲れたのか、
イジメは違う形で現われた、
最悪の形で・・・ (つづく)


3月21日(日よう日) 日直・鬼界
 少女A その2
「初めてのレギュラーは5才のとき、『許して、母さん』ってオビだったんですけど、
知ってます?」

ごめんなさい、ぜーんぜん知りません。
聞いたこともありませーん。
それよりも、‘オビ’なんて業界用語を当たり前のように使うのがスゴイでーす。
(昼メロのような毎日やってるのを帯ドラマといいます。)
誰が出てたの?と尋ねると

「えーと、えーと・・・
たしか、なんとかヨーコっていう有名な女優さんです。
お母さんがすっごく感激してて、覚えときなさいって言われたんですけど・・・。」

誰だろ?
山本陽子?島田楊子?秋野暢子?
(どうでもいいけど、なんでこんな変なヨウの字つかう人が多いの?)
とにかく、オビは知ってても、オバサン有名女優の名前は知らない。
さすが亜里沙。13歳。無邪気だぜ。

テレビなんかに出てると、学校で人気者なんじゃないの?

「人気者ってことはないですけど、
上級生と下級生は、わぁーわぁー言ってくれます。
でも、同級生は・・・」

けっこうイジメられてきたらしい。

まず、小学校の低学年の頃。
同級生たちも最初は
「キムタクってどんな人?」とか「ソリマチって実物もカッコいいの?」とか
いろいろ聞いてきたのだそうだ。
知ってることを教えてあげると、「へぇー」「へぇー」と喜んで
仲よく会話がはずむのに、
2,3日すると、「自慢してる」と陰口を言われるのだ。
で、またしばらくすると、質問する同級生が現われ、2,3日すると陰口。
この繰り返しだそうだ。
“興味>ねたみ”状態なんですね、まだ幼いから。
が、
高学年になると、
「カンペキしかと」だそうだ。
“興味<ねたみ”になるんですね。ボチボチ、女になってくるってことですかね。

しかし、
こんなイジメはまだ序の口だった。
亜里沙が小5のとき、悪魔が現われる・・・ (つづく)


3月20日(土よう日) 日直・鬼界
 少女A その1
撮影の待ち時間に13歳の女の子と狭い控え室で2人っきりになった。
彼女の名は、亜里沙。

ひえ〜ぇ
13歳の子と何を話せってぇの?
しかも、亜里沙なんて名前だぜ。
ジェネレーションギャップを感じまくりだ・・。

黙ってるわけにもいかないので、当り障りのないところから話し始めた。

「何歳くらいから、こういう仕事をしてるの?」

「0歳からです」

は?
13歳のギャグ?

と思いきや、本当に0歳から仕事をしていたそうだ。

「私の母も女優志望で、高校生のときにそういう学校に入ったんです。
そして、初めて行ったオーディションで落っこっちゃって
夢をあきらめたんです。
結婚して私が生まれて、たまたま撮ってた写真が写真選考に通って、
私はこういう仕事を始めたらしいです。
ぜんぜん記憶にないんですけど。」

そりゃまあ、0歳の記憶はないだろう。
さすが13歳。
とても無邪気な発言だ。
が、彼女はちっとも意識してない母親の執念が感じられる。

13歳の少女の母親が高校生のときだから、
今からざっと二十数年前だ。
その頃はまだ、ネコもシャクシもタレント志望の時代ではなかった。
‘女優志望’で‘そういう学校に入った’んだから、
彼女の母親は自分の容姿にかなり自信を持っていたに違いない。
幼い頃から相当チヤホヤされたと思われる。
そうでもなければ、たった1回のオーディションに落ちたぐらいで
女優をあきらめるはずがない。
よほどショックだったのだろう。
きっと、自分よりカワイクない子に負けたのだろう。
オーディションとは、えてしてそういうものだが、
彼女のプライドが許さなかった。
それで、きっぱりと足を洗ったのだ。
フツーの女子高生に戻れば、男がジャンジャン寄ってきて、
すごくチヤホヤされるのだから、
そのほうがとても気持ちいい。
けれども、彼女の中で芸能界入りの夢は消えてなかったのだ。
娘が生まれたとき、
自分の果たせなかった夢を娘に託した。
てゆうか、娘が売れれば、
自分も華やかな世界でチヤホヤされるしね。
だいたい、‘たまたま撮ってた写真’は選考委員の目に触れませんよ。
向こうから見に来てくれるわけじゃないし。
写真選考にわざわざ応募したんです、この母親は。
ってことは、きっと、‘たまたま撮った写真’じゃないですね。
さんざん撮りまくって、いちばんカワイイ写真を送ってるはずです。

そんな母親の邪悪な心(って、勝手に決めつけてますが・・・)を
みじんも感じさせない澄んだ瞳で
亜里沙は話しつづけた・・・  (つづく)


3月19日(金よう日) 日直・橋本
 これまた、
電車の中での話。
 羽田空港駅発・都営浅草線直通の京急に、
途中駅から乗った。
扉の横の、
端っこの席が空いていたので、座った。
真向かいの席には、
高校1年くらいと、中学1年くらいの、2人の女の子。
似ている。
どうやら姉妹のようだ。
それぞれの足元には、
おそろいの、大きなビニール製のバッグ。
お姉ちゃんは、
足元の、そのバッグを足で挟むようにして、
こっくりこっくり居眠りをしている。
妹は、
ヒマを持て余し、
ひじを置いた柵棒に、手に持っている切符をなぞらしたりしている。
春休みなので、
東京に住むお祖母ちゃんちにでも遊びに来たのかな?
朝早くから飛行機に乗って、疲れちゃったのかな。
 3駅間ほど読書。
停車したので、
「何駅かな?」
本から顔をあげた私。
と、
扉をはさんで私の横に座っていた男性が立ち上がり、
こちら側の開いた扉ではなく、
反対側の開いてない扉に向かって、
素早く歩き出した。
え?と思う間も無く、
お姉ちゃんと同じように、いつの間にか眠りこけていた、
妹の足元に落ちていた何かを拾う男性。
男性は、
その拾い物を、
眠っている妹の、ヒザの上の手のひらに乗せるように、
ポンと置いた。
そして、
また、素早く歩き戻り、
私の横の扉、すなわち彼が座っていた席の横の扉から、
男性は降りていった。
妹の手のひらに乗せられたものは、切符だった。
居眠りして、
手に持っていた切符を、落としてしまっていたのだろう。
男性が、
どの時点で、
「妹が切符を落とした」ことに気づいたのかは知る由もないが、
とにかく、
男性の、その一連の動作は、
さり気ない優しさに満ちたものだった。
そして、
男性が、
これまた、カッコイイときてるから、ヤんなっちゃう。
渋い紺色のスーツが映える長身。
静かで、端正で、澄んだ目。
マイっちゃうね。
惚れっちゃうね。
あーゆー仕草に弱いね、女は。
姉妹は、
そんなことがあったことなどツユ知らず、
楽しい夢でも見ていたに違いない。
そういうパターンって、ある意味、幸せだ。
でも、
お姉さんは、あえて、キミたち姉妹に言いたい。
素敵な男性を見られるチャンスを、
残念ながら、逃したね。
若いうちにこそ、
男性の本当の優しさに触れるべきだと思うね。


3月18日(木よう日) 日直・橋本
 昨日の日誌について、
こんなメールを頂きました。

『電車の中で本を読んでいて、
思わず笑っちゃうことは、よくあります。
さすがに爆笑までは、私もいったことありませんが。
含み笑いというか「ムフフフ・・・」という感じで。
冬場や、今の季節は特に、
マスクをしていて大助かりです。
ニヤけた口元を見られずに済みます。』

Sさん、
あなたは、なんて賢いんだ!
そうか!
マスクをしてれば、思いっきりニヤけられますね。
私も、Sさん同様、
電車の中で「ムフフ」となることは、
しばしば有ります。
 『「かあさんが夜なべをして手袋編んでくれた」
 という歌を、
 長いこと野球の歌だと思っていた。
 「せっせと編んだだよ」
 というところを、
 「節制と安打だよ」
 少年時代に、こう歌っていた。』
という文章が、
その時、妙にツボにハマり、
「ムフフ」がやまなくなり、
ハンカチをくわえて、笑いの虫をヤリ過ごしたことがあります。
マスクが有れば、
まだラクだったのね。
‘思い出し笑い’も多い私みたいな人は、
マスクを1枚バッグに入れておくと便利なのね。


3月17日(水よう日) 日直・橋本
 小説といえば、
先日、電車の中で、
こんな人を見た。
30代半ばくらいに見える、その女の人は、
私の真向かいの席に座り、
文庫本を読んでいた。
真向かいの席の人が、
寝ていたり、本を読んでいたり、携帯でメールを打っていたりすると、
目のやり場に困らなくて、イイ。
向こうは、
こちらが見ていることには気づかず、
熱中している。
心おきなく、視線を向けていられる。
私は、
その女の人を、見ていた。
ヒザの上に乗せた大きめの荷物を、
ちょうどいい具合の本置き場とし、
彼女は一心に本を読んでいる。
突然、
アハッ
と、彼女が笑った。
ちょっとビックリするぐらいの大きな声で。
そして、それを皮切りに、
彼女の爆笑が始まった。
人目を気にして必死にこらえようとしている、
イヒヒヒヒ
という笑いが、よけい人目を誘う。
ポケットからハンカチを出し、
口を押さえ、
顔を伏せながら、
なおも本を読み、「クククッ」と笑い続けている。
思わず、もらい泣きならぬ‘もらい笑い’。つられ笑い。
よっぽど可笑しいんだろうが、
本を読みながら爆笑する人も珍しい。
『サザエさん』のカツオですら、
マンガを読みながらの笑いは、
せいぜい、
「アハハ」と、一発だけだ。
いいなぁ。
楽しそうだなぁ。
一体、何の本を読んでいるのか、俄然、興味が。
いざとなったら、
「何を読んでらっしゃるんですか?」
と尋ねてみようとまで決心した。
直後、
運のいいことに、タイトルを知ることが出来た。
下車駅がきたらしく、
彼女がパタンと閉じた、
その本の表紙には、
『ヴィヨンの妻  太宰 治』
と、あった。
太宰治だったとは・・・。
そんな笑える話、あったっけ?
爆笑してたよ?あの人。
私も、「本読んで爆笑」してみたいなぁ。
こりゃ、読んでみなきゃ!だ。


3月16日(火よう日) 日直・鬼界
昨日、行きつけの飲み屋に行くと、

と、書くと、いっぱしの酒飲みみたいだぜい。
でも、ご存知のように、僕は飲めません・・・。
正確に書くと、
‘行きつけの、夜でも定食を食べられる飲み屋に行くと’
ですね。

夕方のニュースをやっていた。
記者会見場でレポーターが声をひそめて、
「今、予定の6時30分を30秒過ぎましたが、
まだ、現われません」
と、さも大事件のようにシリアスな口調でしゃべっている。
なんだろう?と思って見ていると、
「すでに1分45秒がたちましたが、2人の姿は見えません!」
と、ますます深刻に告げている

そうです。
高橋尚子の記者会見を生中継していたのです。

「どうしたことでしょう!
6時33分10秒になったのに記者会見は始まりません!!」

秒単位で言うなよ!
そんな必要あるのか?

すると、記者会見場内にアナウンスが流れた。
「ただ今、小出監督から連絡が入りました。
渋滞に巻き込まれているため、到着が少々遅れるとのことです」
ここでCM。
そして、CMがあけると、
壇上に小出監督と高橋尚子が座っていた。

もう、来てたんじゃねえかよ!
なんなんだ、あのアナウンスは。
CM入れるためのキッカケか?

そして、6時58分まで延々と会見を生中継していた。

家に帰り、
10時からのニュースを見ると、
NHKもテレビ朝日も
‘高橋尚子 落選!’がトップニュースだった。

そんなに大事か、Qちゃんが?
ロシア大統領選挙でプーチン圧勝も、
スペイン総選挙で野党勝利も、
京都で行方不明の中2女子が公開捜査になったことも、
小泉首相が靖国参拝を続けるとバカな決意を語ったことも、
後回し。

なんかヘンじゃないっすか?

ずっーとニュースをハシゴしたので、
「飲んだくれの親戚のおじさんと同席させられてちょっと困ってる」みたいに見える
高橋尚子のコメントも
「事実、飲んだくれてる」小出監督のコメントも
何度も何度も聞きました。
増田明美が解説してくれたので、
高橋を落とした選考の裏事情もよーくわかりました。
高橋落選関連のニュースはイヤというほど見せられました。

でも、選ばれたのは結局、誰だっけ?
これだけニュースを見たのに、それがわかりません。


3月14日(日よう日) 日直・橋本
 4,5日前、
デパ地下に行ってみた。
バレンタインの時、
掲示板にて
「デパ地下で、チョコ、試食しまくり♪」
という、オイシイ情報を教えて頂き、
「よし。
ホワイトデーの時こそは、試食の行列に並ぼう。」
と、心ひそかに決めていたのだ。
朝、10時過ぎ。
勢い込んで、地下へ。
・・・ガッラ〜ン。
行列どころか、
客なんざ、一人も居ねぇ。
一体、どうしたんだ。
時間が早すぎたか?
試食しづらいぞ。
でも、ま、いいや、
実際、1つ買うつもりなんだから、
いろいろ試食させてもらって選ぼうっと・・・。
各店を順に廻り、物色開始。
確かに、
各店、ホワイトデー向けの商品は、なくはない。
が、しかし。
どこの店にも、アレがない。
試食入れの、
皿が、トレーが、BOXが。
時間が早すぎて、まだ用意してないのかな?
客が来始めたら、出すのかな?
・・・ちぇ・・・。
「試食しまくり」は夢に終わった。
いや、
待てよ。
「試食用のトレーは、
客が混んできたら出す」
・・・ということは、
客の少ない時間帯は、
そのトレーは、どこかに隠してあるに違いない。
きっと、
言えば出てくるのだ、そのトレー。
せめて、
買うことに決めた商品の味くらいは試したいな。
買ったんだから、出してくれるんじゃなーい?
だって、買ったんだもーん。
私が選んだ品物を包み始めた店員のお姉さんに、
「それの試食はさせて頂けますの?」
と聞いてみた。
お姉さんは、
「・・・試食ぅ?これのですかぁ?
あ〜、ちょっと、そういうことはやってないんで。」
・・・どうなってんだよ。
大恥じゃんけ。
バレンタインデーと、エラく差ぁつけられたもんだぜ。
マシュマロデー、クッキーデーを押さえ、
てっきり市民権を得た観のホワイトデーも、
バレンタインデーと比べりゃ、
やっぱ、まだまだだったのね・・・。


3月13日(土よう日) 日直・橋本
 『水鳥は楽チンそーな顔をして泳いでいるが、
人に見えない水面下では、必死に水かきをかいているんだぞ』
これと同義で
『優雅に躍るバレリーナの足は、実は、傷だらけなんだぞ』
もある。
それを聞いた友人は、
「私の足も、深づめと水虫で傷だらけなんだぞ」
と対抗していたっけ。
ま、それは、いいだ。
が、
『夜逃げ一家の張り紙は
メモるのが面倒なので、張り紙をはがして持って帰ってきちゃいました。』
は、どうだ。
折々に事務所に行くと、
こういう“鬼界さんがヒッペガシてきちゃった張り紙”を、
チョクチョク目にする。
いいのか?
・・・ま、確かに、
「夜逃げ一家の張り紙」は可笑しいから、ヨシとしよう。
でも、
   『自転車を返してください
       大変困っています。戻して下されば、私は許します。』
とか
   『ここでの小便・大便、お断り
       20メートル先に公衆トイレが有ります。』
とかは、どうよ。
可笑しいか?
・・・ちょっと可笑しいか・・・。
じゃ、
これは?
   『チロを探しています。(写真つき)
        2才の雑種。元旦の夜から居なくなりました。』
電信柱に張ってあったらしい。
可笑しいか?
日誌の、なんの、どんなネタになると?
なんでもかんでもハガしてきちゃって。
で、
ハガシはしたものの、
自分でも「イマイチだったな〜」と思ったから、
事務所の棚に、おっぽらかされてんでしょ?この張り紙ら。
これハガされちゃって、
一体、チロはどうなるの?
「あいてる時間で、僕、チロを探そうかと。
見つけたら、日誌、10日ぶんは書けるもんね。」
あ・・・ハガシてきたの、そのため・・・?
張り紙だけではない。
本来ならば、
スケジュールや連絡事項等を書き込むべきホワイトボードには、
鬼界さんの日誌のネタの覚え書きも。
「根こそぎ」
「近隣住民に告ぐ」
「笑うと歯ぐき丸見えの人は、歯が小さい?歯ぐきが長い?」           

・・・なんか、鬼界さん、
今に、チガウ商売、始めそうだよね。


3月12日(金よう日) 日直・鬼界
そうなのだ!!
僕はエライのだっ!!

って、いきなり威張ってますが、
おとといの橋本の日誌のことです。

あの中華屋のオッサンを見るためには
倍くらい遠回りをして駅まで行かねばなりません。
2月19日に書いたサッカーキチガイの家へは
駅と正反対の方角に歩かねばなりません。
3月8日に書いた夜逃げ一家の張り紙は
メモるのが面倒なので、張り紙をはがして持って帰ってきちゃいました。

なんで、こんなことしてんだろ・・・?

そう思う事もしばしばです。

電車に乗ると、以前は本を読んだりスポーツ新聞を読んだりしてましたが、
今は、わざわざメガネをかけ
車内のはしからはしまで観察しまくりです。
獲物がなければ、車両を次から次へと移動します。

バカみたいなことを毎日毎日飽きもせずに書いてますが、
その裏には
血の汗流せ、涙をふくな、みたいな苦労があるってこと?

高3のときの担任がよく言ってました。
「水鳥は楽チンそーな顔をして泳いでいるが、
人に見えない水面下では必死に水かきをかいているんだぞ」

そうだよね、そういうもんだよね。

などと思ったら負けですぜ。(勝ち負けの問題か?)
だって、
水鳥って、必死に水かきをかいてないんだよねぇ。
僕は実際に不忍池まで行って確認しました。
やる気なさそうに、チョイチョイと水かきを動かすだけ。
必死に水かきをかいている水鳥なんて一羽もいません。
格言を言いたがる昔の人のこじつけなんですね、あの言葉は。

ですから、なにが言いたかったかと言いますと、
あれ?なんだっけ?

ま、いいか、こんな日誌があっても。
僕はエライんだしね。エヘン。


3月11日(木よう日) 日直・橋本
 ご近所の山崎さんちのセガレが嫁をもらった。
一人っ子の、このセガレは、
38歳の、この年になるまで両親と同居だったが、
このたび、
結婚を機に、別居。
新婚夫婦の新居は、
実家(山崎さんち)の、ハス向かいに位置するコーポの一室。
グッド・タイミングで部屋が空いたのだ。
ハス向かいといえども、
別居は別居。
嫁と姑との衝突も、
同居に比べたら、うんと少ないに違いない。
その証拠に、
姑である山崎さんちの奥さんは、
セガレ夫婦を、頻繁に夕食に招待したりして、
とっても仲良さげ。
自称・料理上手の山崎さんちの奥さんは、
「黒豆が美味しく煮えた」だとか、
「つくだ煮をこしらえた」だとか、
よく、ご近所に配ったりする人だ。
料理の腕を振るうには、
ダンナと2人だけの食卓では物足りないのであろう。
夜、家に居ると、
「ごちそうさまー。じゃ、おやすみなさーい。」
と、
セガレ夫婦が、実家である山崎さんちからおいとまする声を、
よく耳にする。
 2,3日前の夜も、
「ごちそうさまー。おやすみなさーい。」
の声。
セガレ夫婦は、ハス向かいの自宅へ戻ったもよう。
しばらく経って、
宅配ピザのバイクの停まる音。
「お待たせしましたぁ、ドミノ・ピザでーす」
と、ピザ屋がピザを運んできたのは、
なんと、セガレ夫婦の部屋。
私は、外に出て聞き耳を立てた。
サイド・メニューのチキンなんたらまで頼んでいる。
ピザを注文したのは、
実家にもバレバレだろう。
いいのかしら・・・?
「もう、お腹いっぱい。ごちそうさまー」
とか言って、出てきたんだろうに。
もう、ガマンの限界だったのかしら?
うちも、
山崎さんちの奥さんが持ってくる黒豆やつくだ煮は、捨てている。
しょっぱくて食えたもんじゃねぇ。
それにしても、勝負に出たよね、嫁も。
堂々とピザなんか取っちゃって。
宣戦布告か?
どうなるんだろう、今後。


3月10日(水よう日) 日直・橋本
 鬼界さんは、エライ。
ここ3日間の日誌を読んで、痛感する。
こーんなチッサイ、しょーもないことを、
見事に、
日誌のネタにまで昇華させているのには、
脱帽だ。
6日の日誌なぞは、まさに。
「朝8時・ランチ時・午後の休憩時」と、
あらゆる時間帯における、
近所の中華屋の主人のスケッチ。
この店は、
鬼界さんの行きつけの店に違いない。
で、
‘オヤジの異常なテレビ好き’に気づき、
「日誌に書〜こうっと。」
と、なったのだろう。
ほんの些細な、
極ありふれた日常の場面での、ネタ収集。
エモノを探すケモノのごとく、
その、鋭く張り巡らしたアンテナは、
たとえ、中華丼を食ってる時でさえも、
休ませることはない。
「で、その店の中華丼は、美味いんですか?」
と、鬼界さんに聞いてみた。
スンと鼻で息を吸い、
そのまま3秒ほど息を止めた後(なんの意味があるのか?)
鬼界さんは、答えた。
「わからない。
僕、その店で食ったことないから。」
・・・あんた、入ったことねーのね、その店に。
「ドアは開けっ放しだから、外から丸見え。」
と日誌に書いてあるが、
ひっくり返せば、
「外からしか見たことないの、僕」という意味だったのね。
てっきり、
「カウンターでランチを食いながらのオヤジ観察」
かと思ったのに。
その店の前を通るたび、
足を止めて、観察してたのね。
「いや、
通るたびっていうか、
その店は、どこに行くにも通り道ではないので、
わざわざ見にかよわないと。」
なるほどねぇ。
よーし。
私も、
政治・経済の話ばかりもしてられないぞ。
ご近所観察に励もう。


3月8日(月よう日) 日直・鬼界
路地の突き当たりに3階建ての民家が並んで立っていた。
築7,8年か。
そんなにボロ家じゃないが、新築ピカピカってわけでもない。
明らかに、親の家を取り壊し、
敷地に兄弟が各々の家を建てたのだ。

その左側の家に張り紙がしてあった。


◎集金・取立ての方へ◎
毎日、御苦労様です。
臼井秀夫・明子・秀一・裕二の4名は
平成16年2月25日午後10時に当地を出てゆき、
現在、その行き先・連絡先は不明になっております。
当方は、臼井秀夫家とは別会計になっておりますので、
法律上、その支払い、及び、対応義務は一切ありません。
本人との直接交渉をお願いいたします。
当方に対し、目に余る行為がたび重なる場合は法的処置に訴えます。

平成16年2月27日     臼井本家



夜逃げしちゃったんだ・・・
夜逃げするほど、なんで借金するかねぇ・・・。

ガラスが割られたり、
壁に「金返せ、ドロボー」と落書きされたり、
糞尿がぶちまけられたり・・・ということを、よく聞くが、
外見上、家は普通だった。
キッチンの窓からのぞくと、
冷蔵庫もテーブルもなくガランとしていた。
ガスレンジには鍋が置き去りにされ、
その横に皿が3枚出してあった。
そして、
玄関わきには、補助輪つきのマウンテンバイクが放置されていた・・・。


この張り紙ですっごく気になることがあります。
1.「目に余る行為」って、なんだろう?
  なにされちゃうんだろう?ドキドキ・・・。
2.「2月25日午後10時に当地を出てゆき」って、
  時刻が正確すぎない?
  弟が夜逃げするのを、ジッと見てたわけですね。


3月7日(日よう日) 日直・鬼界
ドラッグストアに行った。
こまごま買い物をして、1936円だったので2000円払った。
なんの気もなく、おつりを見ると、
500円玉が入っていた。

 ??なんで、500円玉が入ってんの??
    ↓
 店員が50円玉と500円玉を間違えた?
    ↓
 もしや、ラッキー?
    ↓
 店員に言ったほうがいい?
    ↓
 まさか!そんなことするほどバカじゃない!!
    ↓
 一体、いくら得したんだ?
    ↓
 いやいや、そんなことは後回しだ。
    ↓
 あまり、おつりを見詰めていると、店員が怪しむぞ
    ↓
 知らんぷりして、なにげになにげに立ち去るべきだ
    ↓
 よし、右足クン、一歩踏み出せ!

この間、わずか0.5秒。
(脳って、スゴイなぁ)

そして、脳の命令に従い、一歩を踏み出した瞬間、
「お客様っ!」
店員に声をかけられた。
ミスに気づいたのだ。

ものすごーく悔しい。
ものすごーく損した気分。

なーんも損なんかしてないのにね。


3月6日(土よう日) 日直・鬼界
近所に中華屋がある。
カウンターだけの細長い店内で、
つきあたりの壁の、天井に近いあたりにテレビが置いてある。
主人は、50すぎで、頭が薄いが、体毛が濃く、
顔が角張ってるのに、体はまるく、
目つき鋭く、口はキリッと結ばれ、
道場六三郎になんとなく似ていて、
いかにも食の職人、うまい中華丼を作ってくれそうなオッサンだ。

けどね、こいつほど、見かけ倒しのヤツはいないよ。
こいつは、常にテレビを見ている。
朝8時くらいから店に来ているのだが、
仕込みをするわけでもなく、
カウンターからグイィィッと身を乗り出して、テレビを食い入るように見ている。
テレビはお客さん用に置いてあるので(当たり前だが)
カウンター内にいるこいつは、
無理な体勢をとらないと、テレビが見れないのだ。
動物園のデブアザラシが柵を乗り越え、脱走を図っているみたいだ。

そんなにまでして、見たいか、テレビ。

そして、ランチになると、
そんな店でも、いちおー、ちょっとは混む。
でも、料理をしながら、
チラチラチラチラ、テレビの方を見るのだ。
そっちを見ても、テレビは見えないんですよ。
でも、本能というか、欲望というか、条件反射というか、
つい見ちゃうんですね。

午後の休憩時間になると、
このオッサンのパラダイスだ。
お客さん用のイスにドッカと座って、隣のイスにアゴを乗せて、
ダラ〜っと、テレビを見ている。
ドアは開けっ放しだから、外から丸見え。
でも、一切気にしない。
人生で最も充実した時間を過ごしているのだろう。

バカだね。
そんなにまでして、見たいか、テレビ。


3月5日(金よう日) 日直・鬼界
 北から来た男 その5
プロ野球を夢見て、
彼は駒澤大学野球部に入学した。
野球に打ち込む日々!
のはずだった・・・

「ドクターストップがかかったんです。
このままじゃ死ぬよ、と言われました」

肝臓の機能が極端に低下していたそうだ。
なんだ、なんだぁ、飲みすぎくわぁ?

「・・・・飲まされすぎです。僕は本当は・・・」

冗談ではすまなかった。

「大学の野球部というのは、・・・・ひどいところなんです」

どうひどいの?

「勘弁してください。これ以上は言えません」

ここまで、僕が尋ねることにはすべて誠実に答えてくれた彼が、
突如、口を閉ざした。
他言すると誰かに差し障りがあるのか、
人に言えないほどの怒りがあるのか。

現在、彼は野球部を休部している。
肝機能はかなり回復したそうだ。
1日も早い復帰を祈りながら、この連載を終えよう。


ついでと言っちゃなんだが、
限りなくプロに近いところにいる人に
今年の阪神のことを聞いてみた。

「戦力的には、昨年より確実にアップしています。
監督は岡田さんなんですよね?
岡田さんかぁ・・・・・。
確かに、岡田さんは素晴らしいプレイヤーでした。
ただ、監督というのは・・」

つまり、今年はダメってこと?

「いえ、そういうことではありません。
もちろん、セリーグ6チームの中で、優勝の可能性が最も大きいとは言えます。
おそらく、優勝争いには必ず絡んでくるでしょう。
ただ、勝負は時の運ですから、
Bクラスにならないとは限りません。
しかし、たとえ、最下位になっても、
若いチームですから、来年につながるということは保証できます」

なるほど、1位から6位までのどれかになるってことか。

って、当たり前やんけっ!!


3月4日(木よう日) 日直・鬼界
 北から来た男 その4
夏の甲子園・北海道予選の準々決勝に勝ったあと、
彼は次に行なわれる試合をスタンドで観戦していた。
すると、
スーツを着た温厚そうなオジサンがやって来て、
名刺を差し出したのだそうだ。
それが西武のスカウトだった。

契約金は1億出すからウチに来いとかって、いきなり言われるわけ?

「そんなことは言われません。
ただ、寺原クラスになると、いきなり学校とか自宅にやって来て、
そういう話になるらしいですけど。
僕ぐらいだと、大学を紹介するよって言われるんです」

将来的にはプロでも通用しそうだが、まだわからない・・・・
という高校球児には
自分の球団とパイプのある大学の野球部に入学させる。
もちろん無試験で入学できる。
4年間、大学野球をやらせてみて、ダメだったらそれまでだし、
もしも、モノになったときには、自分の球団に入団させる。

「高校生の段階でツバをつけておくわけです」

そんな仕組みになってるとは、ぜんぜん知らなかった。
スカウトに来たのは、西武だけ?

「いえ、ヤクルトさんもその後すぐ来てくれました」

すっげえ。
女子高生のスカートの短さを淡々と語っていたが、
実は、この人、相当、スゴイ人だったのかも・・・・。
高校時代から、騒がれてたんじゃないの?

「まわりはいろいろ言ってましたけど。
でも、スカウトさんが来るまでは、
僕個人としては、プロを考えたことはなかったです。
ただ、自分は道内で何番目のキャッチャーだろうか?とは
常に考えていました」

うーむ、謙虚といえば謙虚だが、
北海道で自分が上から何番目かを数えられるというのはスゴイ。

あん?
じゃあ、今、なんで、こんなとこで僕とダベってんの?
野球しなくていいの?   (つづく)


3月3日(水よう日) 日直・鬼界
 北から来た男 その3
なんと、彼は甲子園に出場した高校球児だったのだ!
ポジションはキャッチャー。
“相方”である、エースピッチャーが“ミス帯広”と付き合ってたそうだ。
ちなみに、“ミス帯広”とは、その子のあだ名でミスコンに優勝したわけではない。

「でも、実際にミス帯広コンテストがあったら、絶対優勝したと思います。」

それくらいカワイイ子を彼女にしてるくせに、
エースピッチャーというのがヒドイ男で、
常に、4また、5またをかけた上、
その合い間を縫って、つまみ食いしまくりだったそうだ。

ま、それくらいもてるんですね、甲子園球児は。
で、それくらいタフなんですね、高校球児は。

僕の高校時代も、甲子園に出るヤツらは、ムチャクチャしてたもん。
殴る、蹴る、ヤる、飲む、もちろん代金後輩もち。
「高校球児は純真に野球に打ち込んでる」なんてイメージは、
テレビが作ったウソですから。

話を戻すと、
彼が甲子園に出場したのは、4年前の夏。
超人気者・寺原(現ダイエー。大器と期待されながら、ぜーんぜん活躍してないピッチャー)
と同じ日の試合だったそうだ。
その日は第一試合が延長で長引き、
彼がグランドに出てみると、
次の試合に出る寺原目当てのお客さんで甲子園は超満員だった。

「さすがに最初は少しビビりました。
相方は『ちょっとチビった』と言ってました。」

ミス帯広に聞かせてやりたいね。

「でも、すぐに、いい気持ちになりました。
あんなのは体験したことないです。最高に気持ちいいんです。」

そうだろうなぁ、超満員のあの甲子園でプレーすんだもんなぁ。
いいなぁ・・・。

「困ったのはチームメイトの声が全然通らないんです。
自分の声もよく聞こえません。
そのくせ、スタンドのヤジはとてもよく聞こえるんです。」

阪神の選手がいつも言ってるとおりだ!
どんなヤジを浴びたの?

「ヤジというか、応援してくれるのが多かったです。
『打てよー、デブっ!』とか
『ドンマイ、デブっ!』とか
『インコース低めにはずせ、デブっ!』とか」

素人っぽいのからマニアっぽいのまで各種あるけど、
呼ばれ方はいつも『デブっ!』だったそうだ。

「名前を覚えてもらえるほど、有名じゃなかったですから。」

勝ったの?

「負けました。西武のスカウトさんも『あれは仕方ない』と言ってくれましたけど」

ちょっと待って。
西武のスカウトさんって、あのプロ野球の西武ライオンズのスカウトさん?

「はい」

スカウトされたの?

「はい」

えぇぇぇぇぇっ!  (つづく)


3月2日(火よう日) 日直・鬼界
 北から来た男 その2
帯広の女子高生のスカートのほうが、
東京の女子高生のスカートよりも短いのだそうだ。

寒いのになぜわざわざ?

と、疑問に思ったが、
「帯広の子は白くてキレイなんですよ、足が」
という彼の言葉でそんな疑問は吹き飛んだ。

帯広って、いいとこじゃん。ウッシッシ。

「でも、どうせ、階段とかでは、カバンとかで、
巧妙に隠すから、結局、見えないんだよね、ナニは」
と僕が言うと、
「いえ、隠しませんよ」
「は?・・・・ってことは、丸見え?」
「はい」

ええぇぇぇぇっ!!

「じゃ、じゃ、じゃ」
僕はついドモってしまった。
「じゃあ、ヒマなときは、駅とか階段のあるところにいりびたりですね?」
そのうえ、敬語になってしまった。

「いえ、そんなことないですよ。
まあ、駅の階段で見えるときは見ますけど、
ちょっとラッキーというだけで、そんなに特別なことじゃないですから。」

“まあ、見えるときは見ます”だと?
“ちょっとラッキーというだけ”だと?
“特別なことじゃない”だと?

バカものっ!!

僕は大声で怒鳴りたくなった。
マリー・アントワネットが、革命を起こす貧しい民衆たちに
「お腹がすいてるなら、ケーキを食べればいいのに」
と言ってのけるのと同じだぞ、その発言は!
そんなこと言ってっと、ギロチンで処刑すっぞ!!

ん?でも、ちょっと待てよ。
そんないいことばかりのはずがない。
僕は尋ねた。

「でも、そんな短いスカートはいてるのは、どーせ、ブッサイクな子でしょ?
顔が使いもんになんないから、身体でアピールするタイプ。」

「いえ、短いスカートはいてるのは、カワイイ子です。
そうじゃない子は、校則どおりのスカート丈です。
こんなこと言っちゃ失礼だけど、ブサイクな子はわきまえてるんじゃないですかね。」

ええぇぇぇぇっ!!

ぜーんぜん、失礼じゃないですぅー。
帯広のモラルは最高ですぅー。
僕はぜったいぜったい帯広に行こう、いや、永住しようと決意した。

「ちなみに、彼女にも、そんな短いスカートをはかせてたの?」
僕は尋ねた。

「いえ、」

どーでもいいけど、こいつの答えはいつも「いえ、」から始まる・・・。

「いえ、僕は彼女なんかいませんでしたよ。
僕の相方はミス帯広と付き合ってましたけれど。」

“相方”?
“ミス帯広”?

「キミは漫才やってたの?」

「いえ、僕は・・・」

また、「いえ、」だよ。  (つづく)


2月29日(日よう日) 日直・鬼界
 北から来た男 その1
一昨日、Tシャツ1枚で仕事に来た男がいた。
さきおとといの暖かさから一転、
真冬ほどではないが、一昨日はかなり寒い日だった。

「寒くないの?」

僕が尋ねると、彼は
「えっ?寒いですか?」と素っ頓狂な声をあげた。
彼は北海道・帯広出身だった。
以下は、彼から聞いた話である。

東京に来て驚いた事が2つあるそうだ。

一つは、もちろん、東京の暖かさだ。
この冬、暖房をつけたのは1回だけだったそうだ。
それも、その前の晩に、
パジャマだけで外で飲み明かした(!)ため、
少し風邪っぽかったので、
寝る前に1時間ほど部屋を温めただけだ。

「東京に冬はないんですね」

彼はそう言った。

帯広では、マイナス30度になるそうだ。

マイナス30度!!
想像できない・・・。
わかりやすく言うならば、
真夏より60度も低いのだ!
・・・・よけい想像できない。

目を開けてると、目が凍る。

「ど、どういうこと?」

眼球上の涙が凍ってしまい、
まぶたを下げるのに大変苦労するのだそうだ。
そして、とても痛いのだそうだ。
目の玉が。
「眼球上に神経はないって、生物で習ったけど、
あれはウソだと思います」
彼は断言した。
経験に勝るものなし。

だから、素早いリズムでまばたきするのだそうだ。
息も同じ。
深く吸うと、肺が凍るのだ。

肺が凍るぅー?

彼はサラッと言ってのけるが、相当な現象ではないのだろうか。

鼻の穴、ノド附近、気管、肺、
上から順番に凍っていくのが、わかるのだそうだ。
これがまた、とても痛いらしい。

「うっ、ゴハンがノドに詰まったぁ」と僕たちが胸をたたくように、
帯広では
「うっ、肺が凍ったぁ」と胸をたたくのだそうだ。
想像を絶する、極寒の地。

はっきり言って、人間の住むとこじゃねえよ。
僕はぜったいぜったい帯広なんかに行くもんかと決意した。

彼が東京に来て、もう一つ驚いたことは、
女子高生のスカートの短さだった。

「渋谷とかに行ったら、スカートがすっげえ短かくてビックリするよね。」
と、僕が言うと、

「いえ、長くて驚いたんです」
と、彼は言った。

はあ
僕が驚いた。  (つづく)


2月28日(土よう日) 日直・橋本
 そうですか。
鬼界さんの「なりたい、映画の登場人物」は、
グレン・クローズですか。
例えば自分をもてあそんだ男とかを、
あそこまでいたぶることが出来たら、
さぞかしスッキリするでしょうねぇ。
 で、
私の「なりたい、映画の主人公」は・・・?
と考えてみました。
「美貌で、金持ちの、苦労知らず。
ツライ思いも一切なし。
そして、
愛する男(優しくてカッコよくて金持ち)と結ばれる」
そんなヒロインを思い浮かべてみましたが、
なかなか居ないもんです。
プリティ・ウーマンのジュリア・ロバーツは、
ギアに逢う前は、
淫売だから、バツだし。
ノッティング・ヒルのジュリア・ロバーツは、
ヒューが貧乏男だから、バツ。
あの2人は、スグ別れるとみた。
「昼下りの情事」のヘプバーンの、
‘世界的プレイボーイとの恋の成就’には憧れるが、
相手はジイさんなので、
きっと、スグ死ぬ。
その他、
「家が貧乏」
「父親が酒乱」
「子持ち」
など、
たいがい、なにかしらの欠点がある中、
「なりたい。」と思える「映画の主人公」を、一人、思い出しました。
『おもいでの夏』の主人公ハーミー。
16歳目前の少年。
勉強もできるし、ルックスも悪くない。
家は裕福で、一人っ子。
性格もいい。
友達も居る。
なんの悩みも苦労も無い。
なんせ、まだ高1だから。
ただ1つの関心事は、
「初体験をしたい」。
そして、その願いは、
最高の形で叶えられるのです。
海の波の音だけが聞こえる、
丘の上の一軒家の寝室で、
憧れの年上の美貌の人妻に、
「・・・さ、いらっしゃい」される少年は、
もう、
ウラヤマシイ限りです。
夫の戦死の報を受け、
人妻は、次の日、その地を去って行くのが、これまたウラヤマシイ。
より一層、美しい思い出になったわけだから。
完璧な初体験です。
世界中の16歳男子の羨望のマトです。

・・・で、なんで、私がウラヤマシがる・・・?


2月27日(金よう日) 日直・鬼界
僕が一番なりたくないのは、
『危険な情事』のマイケル・ダグラスです。
あと、『ミザリー』の作家(誰だっけ?)にもなりたくないです。

ん?なんか、映画が古い?
じゃあ、

『プール』の水泳選手にもなりたくないです。

『プール』って、なんだよ?
と言われそうですが、
去年アメリカで、いや、おととしだったかな?それとも、その前・・・?
とにかく、
全米興行チャートで数週間1位を独走した作品です。

と書くと、隠れた名作っぽいけど、
たまたまオフシーズンで、たまたまマシな映画が他になかったから、
たまたま1位になっただけの見る価値ない映画です。

じゃあ、なんで見たの?
こーゆー、チープなティーンズムービーって、
なーんも考えないで楽しめるじゃん。
ヒマつぶしには最適さ。
別の言い方をすると、最高に時間のムダですが・・・。

かいつまんで説明しますと、
前途有望な水泳選手が、
フェロモンぶりぶりという設定の転校生(予算の関係か、なぜか、すっげえブス)に
フェロフェロ言い寄られて、
プールの中でヤっちゃったら、
その女がキチガイで、延々とつけ回されるというストーリー。

はん?『危険な情事』そっくりじゃん!
そうなんです。
もろ、マネっこ。

権利権利、裁判裁判って、異常にウルサいアメリカで、
ああいうのが、許されるのが不思議。
まあ、逆に、法律上絶対訴えられないギリギリのマネっこをしてるんだろうけど。

アメリカの映画製作で、発言権が最も強いのは
監督でもプロデューサーでも主演スターでもなく
保険会社です。
電話帳ほどの厚さの契約書がバンバン飛び交う結果、
1980年代に入る頃から、

いかん、話がそれすぎた。

とにかく、
一番なりたくないのは、『危険な情事』のマイケル・ダグラスです。

で、一番なりたいのは、『危険な情事』のグレン・クロース!

いいですよぉ、あの女。
24時間毎日毎日、イヤがらせしてます。
てゆうか、24時間イヤがらせ行為しかしてません。
仕事?
そんなもん、しませんっ!
生活費?
どっかからわいてくるんです。
しかも、イタ電とか待ち伏せレベルのイヤがらせじゃないっす。
マイケル家族全員が家にいる時に、その家にこっそり忍び込んで、
シチューの鍋にその家で飼ってるウサギを入れたりすんですよ。

なんで見つからへんねん!

でも、見つかりません。
いいなぁ、最高だなぁ。
やりたいことをやりたいだけやり放題。
あれだけやったら、最後に殺されても満足でしょう。


2月26日(木よう日) 日直・橋本
 昨日の日誌について、
こんなメールを頂きました。

『「緊急事態・非常事態に直面した時、
冷静・沈着に対処できる人に憧れる」
そのお気持ち、よくわかります。
007は、まさに、そんな人です。
憧れます。
ソ連やアラブや北朝鮮で、たったひとりで捕まっても、
とても冷静。
フフフと笑いながら危機を乗り越え、英国ジョークを飛ばします。
おまけに敵の女スパイとデキてたりします。
現実にはありえないのではないかと思います。
でも憧れます。
いちばん印象に残っているシーンを書こうと思ったのですが、
どの映画で、どの国に捕まって、どのボンドガールとデキたのか、
混ざってしまってました。』

なーる!
007ね!
思いつきませんでした。
確かに、あれほど、
「危機に直面した時でも動揺しない」人は、他に居ないかも。
ターミネーターのシュワちゃんや合金野郎レベルです。
人間とは思えない冷静さです。
銃口をコメカミに押し当てられながらも、
タバコは吸うわ、英国ジョークは飛ばすわのヤリタイ放題には、
「早く、引き金を引いてしまえ。」
と、敵を応援したくなるほどです。
 私が、
「こんな危機的状況で、
なんでこんなことが出来るの?!スゴーイ!」
と憧れつつ、
「・・・でも、この人の立場には、なりたくねーなー。」
と思う人は、
エイリアンのシガニー・ウィーバーです。
あんな怖いめに遭うくらいなら、、
「最初にエイリアンを腹から出すヤツ」になりたい。
あと、
パニック・ルームのジョディ・フォスター。
スピードのサンドラ・ブロックもか。
あー、怖い怖い。
あー、なりたくない。
こう考えてみて、
1つの結果が出ました。
私が「なりたい人」、
それは、
「ちょっとした危機には、冷静・沈着に対処でき、
絶体絶命の危機には、発狂してしまう」。
そんな人です。


2月25日(水よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 ‘私とお姉さんの行動’における4つのミスとは?

ミス1.
お姉さんは、
出来上がったサンド・ウィッチをひっつかんで、
私を追って来るべきだった。
そしたら、
それで、事が済んだ。

ミス2.
お姉さんは、
新人さんを走らせるべきだった。
レジを打てない新人さんを一人残して来ちゃって、
きっと、パニクったことだろう。

ミス3.
「ここでお待ちください!今、サンドを持って参ります!」
と、お姉さんに言われ、
なぜに、
私は、コーヒーとデニッシュの入った袋を、渡してしまったのか?
渡す意味なし。
お姉さんが走りにくくなるだけだ。
「‘この袋’に、サンドを入れ忘れた」という事実が、
そうさせたのか?
また、お姉さんも受け取るから・・・。

ミス4.
「ここでお待ちください!」と言われて、
‘動く歩道’を逆に歩き、
その場にとどまろうとしたのは、
どう考えても無駄な労力。
あと25mほど進んで‘動く歩道’を降り、
普通の地面で待てば、
疲れなかったのに。

以上、
「緊急事態に超弱い、2人の女」が犯した4つのミスでした。
こんな時、
私は、つくづく思うんです。
「緊急事態・非常事態に直面した時、
冷静・沈着に対処できる人に、
育ちたかったなぁ、私・・・」と。
マジに憧れます。
自分に無いものだからか、
男女問わず、
どうしても、そういう人に惹かれてしまうところが有ります。
冷静・沈着・・・。
「氷の女」と呼ばれてみたい。


2月24日(火よう日) 日直・橋本
 朝、
某地下鉄駅改札近くの、
「焼きたてマフィン&美味しいコーヒー」
という店で、
「Bセット(お好きなハーフ・サンドウィッチ+お好きなデニッシュ+コーヒー)」
を、
約束の場所に行ってから食すべく、
テイクアウトで購入。
「マフィンが‘売り’の店なのに、
どのセットにもマフィンが入ってないのは、なぜなんだ・・・」
と考えつつ、
元気のいいお姉さんの
「サンド、温めまぁ〜す♪
お会計、先によろしいでしょうかぁ〜♪」
という言葉にうながされ、
お金を払い、
ボ〜〜ッと、品物の出来上がりを待った。
その、頭にバンダナを巻いた元気のいいお姉さんは、
一緒に居る新人らしい女の子に、
あーしてこーしてと指示しながらの、
次から次への接客なので、
大変そうだ。
 「お待たせしましたー」と、
新人さんが袋詰めして渡してくれた品物を、
受け取り、
店を出、
約束の場所へ向かう。
角を曲がり、階段を下り、
50mほど有る‘動く歩道’に。
半分ほど歩いたところで、
後方から、
「お客様ぁ〜〜〜〜!」と呼ぶ、デカイ声が。
振り向くと、
バンダナのお姉さんが、
「サンドが、サンドがぁ〜!今、温まりましたぁ〜〜〜!」と叫びながら、
今、私が下りてきた階段を、
駆け下りてくる。
「あーーー!入れ忘れたのねーーー!」
と、事態を瞬時に悟った私は、
「サンドが・・・、サンドが・・・」と、うめきながら、お姉さんの方へと・・・。
す、進まない!
歩いても歩いても、進まないーーー!
お姉さんは、
‘動く歩道’横の通路を走り、私に追いつき、止まり、
苦しげな息で、
「ハァハァ・・す、すみません、サンド、今、温まりまして、ハァハァ・・・」
私は、その場にとどまる為に、
必死で歩いた。
足を止めると、お姉さんから離れていってしまうからだ。
私の横を、2倍のスピードで、人が歩いていく。
「ここでお待ちください!今、サンドを持って参ります!」
と、お姉さん。
「わかった!待ってる!」
と、私は答え、
急いで、コーヒーとデニッシュの入った袋を、お姉さんに渡した。
お姉さんは、それを受け取るやいなや、
またダッシュで戻って行った。
私は、歩き続けた。
その場にとどまる為に・・・。

さて、
私とお姉さんの行動には、
大きなミスが、4つ有ります。
お判りですね?


2月22日(日よう日) 日直・鬼界
昨日、居酒屋で飲んだ。
トイレに入ったとたん、

さぁ〜!!

鼻が曲がりそうになった。
消臭元・レモンのにおいで。

狭いトイレに、消臭元・レモンが3つも置いてある。
なんのにおいを消すため?
消臭元・レモンが置いてなかったら、どうなるのだろう?
失神する、鼻が溶ける、ショック死する・・
そんなことを考えながら、息を止めて、用を足し、
手を洗った。
すると、
ジェットタオルが目の高さにあるじゃないか。
ビッチョリ濡れた手を差し入れると、
当然、猛烈な風が吹き出し、
水滴が顔に降りかかる。
目に入る。口に入る。ペッペッ。
洗い終わった手の水滴だから、キレイなんだけど、
なんか、汚いものを顔に浴びせられてる気になる。

なんで、ジェットタオルがそんな位置にあるの?
使用者全員に不快感を与えるぞ。
嫌がらせか?
ま、日誌のネタになって個人的には嬉しいけど・・・。


2月21日(土よう日) 日直・鬼界
くすりセイジョーでボディーソープを買ったら、
レジにいた店長が
「セイジョークラブ会員さまだけのお知らせを入れときますね」
と僕に小声でささやき、
なにやら白い紙をレジ袋に入れた。

お得なセール情報が満載されてんだ!
ラッキーっ!!

喜び勇んで、家に帰り、紙を見た。


お急ぎください!!
・サロンパス フェルビナク・スティック(痛みに塗るタイプ) 1480円
・アルペン ゴールドカプセル(効くかぜ薬) 1748円
に限り
2倍ポイント進呈!
平成16年3月31日まで!!



なんじゃそりゃ!
ざけんなよっ!!
セイジョーは100円で1ポイントだ。
つまり、100円買って1円たまるだけ。
2倍ポイント進呈!ったって、2円たまるだけじゃねえか!
店長がわざわざ小声でささやくようなことか?
嬉しかねえよ!
フェルビナクって、なんなんだよ?
変換されねえよ、「フェルビなく」って出るよ。それさえ意味不明だし。

最近は、どこもかしこも、会員会員とかいって、
すぐにカード作らせて、ポイントをためる仕組みになってて、
「ポイントたまるから、セイジョーで買おう」とか思っちゃうんだけど、
まんまと乗せられてるだけだ。
ヨドバシみたいに10%とか15%還元ならいいけど、
「100円で1ポイント」とか「200円で1ポイント」がほとんどだ。
0.5%オフってことでしょ?
意味ねえよ。

よしっ、誓おう、これからはポイントカードは絶対作らねえっ!
すでに、各種ポイントカードでサイフはパンパンだし・・・。


2月20日(金よう日) 日直・鬼界
ご存知でしょうか?
昨日、こんな事件がありました。

牛丼販売を中止した「吉野家」で牛丼の注文を断られて店員に暴行したとして、
長崎県警浦上署は19日、暴行の現行犯で長崎市の無職・峯友渉容疑者(28)を逮捕した。
 調べでは、峯友容疑者は同日午前1時半ごろ、
「吉野家」を訪れ、牛丼を注文。
女性店員に「牛丼はお出ししておりません」と断られると
「責任者を出せ」「対応が遅い」などと騒ぎ、
近くにいた男性店員の胸ぐらをつかんでエプロンを破ったほか、
カウンターに置いてあった紙ナプキンケースを投げ付けた。
 峯友容疑者は店側からの通報で駆け付けた署員に逮捕された。
当時、店には店員3人と客4人がいたが、けがはなかった。(時事通信)


そして、さらなる事実が判明。

休止中の牛丼を注文して断られ、従業員に暴行したとして、現行犯逮捕された男が、
弟の偽名をかたっていたことが同日午後、県警浦上署の調べで分かった。
 男は長崎市伊良林、無職・峯友恒成容疑者(31)で、
逮捕直後、東京に長期間、出張している28歳の弟の名前をかたっていた。
同容疑者は「自分に何かあった時にはいつも弟の名前を使っていた」と供述。
これまでにもトラブルがあった際に使用していたという。(時事通信)



峯友容疑者の口癖は「でっかいことをしてやる」だった。
そのくせ、小学校時代から“ノミしん”というあだ名がついていたように
(“ノミの心臓”に由来する)
あまりに、気が小さい男だったらしい。

和民長崎東口店の従業員の話
「ええ、よく覚えています。あの人はうちの店に来たことがあります。
最初は存在さえ気づかないくらい影が薄かったのに、
酒が入ると、騒ぎ出したんです。
『もずくが酸っぱすぎる。腐ったもんを食わせる気か!!』とか言って。
もずくが酸っぱいのは当たり前じゃないっすか。
いくら謝ってもおさまらないので、店長が金を渡したんです。
そうすっと、いきなり態度が変わって、なんていうか、‘親分’風になりました。
帰りがけに
『今度から、なんかトラブルがあったら、オレに言ってこいや。面倒みちゃる』
って言ってました。
トラブルはオマエだろ!って、店じゅうでツッコみましたよ。
そしたら、2,3日して、また来たんです。
同じように、酒が入ると、騒ぎ出しました。
でも、そのときは、バイザーがいたんです。
(注:その地区を取り仕切る、スーパーバイザーのこと)
そのバイザーさん、曙そっくりなんですよ。
そのバイザーが応対に出て行くと、
あの人、急にガタガタ震えだしましてね。
わけわかんないことをモグモグ言って、ペコペコ頭下げて、逃げ帰ったんです。
ケータイだったかな、メガネだったかな、
なんか大事なもの置き忘れてました。」

こういったトラブルを起こすことで地元ではよく知られていたらしい。
警察にも何度もやっかいになってるそうだ。

今回の取調べでも
「牛丼の休止は、東京のことだと思ってた。
長崎では売ってると思ってたので、ついカッとなった」
などと供述し、
事件が全国的に報道されたのを知ると
「最初から自分の名前を言えばよかった。でっかいことした有名人になれたのに」
ともらしているという。


以上、僕の想像です。

え?どっからどこまでが想像かって?
太字になってる部分が、本当にあった事件です。


2月19日(木よう日) 日直・鬼界
昨日、物干しに青いタオルを干している家があった。
ふつうのタオルやらバスタオルやら各種とり混ぜて、
端から端まで青、青、青。
ビッチリ干してある。

なんかのまじない?
それとも、青キチガイ?

スポーツニュースを見て、謎が解けました。
2006年ワールドカップ・アジア地区予選の
日本の初戦・対オマーン戦の応援だったのです。

わっかりにくいっ!
日本代表の旗とかタオルを出しとけよ!

でも、よくよく考えると、そーとーエライ?
にわかファンではなく、
正真正銘のサッカーファンってことだもんね。

そっか!
そんな熱心な人が、日本代表の旗とかタオルを持ってないわけない!
ってことは、旗とかタオルを持って、埼玉スタジアムまで応援に行ってたんだ!
すっごいなぁ。

青キチガイなんて言って、すいませんでした・・・。

でもさ、オマーン相手にあんな勝ち方でいいのかい?
てゆうか、オマーン人なんて生まれて初めて見たぜ。
ちょいクロンボ系なのね。
どこにあんの、オマーン?


2月18日(水よう日) 日直・鬼界
いつ書こうか、いつ書こうか、とためらっていたのですが、
あんまりひっぱりすぎても、
信じてもらえないし・・・。
でも、実話なんです。

去年の12月半ばのことです。
近所のアパートの2階にフトンが干してありました。
古いアパートによくある、窓の外のちょっとした手すりというか柵みたいなところで
フトンが気持ち良さそうにさんさんと陽を浴びていました。
が、運悪く、突然の夕立が来たのです。
住人は留守らしく、フトンはびちょびちょに濡れてしまいました。
「あーあ、せっかくフカフカになったのに、どうするんだろう・・・・」
とヤキモキしたのですが、
その夜、住人は帰ってきませんでした。
フトンは濡れたまま、淋しく夜を明かしました。
そして、翌日から、晴れた日が続くと、
フトンは干し続けられました。
ていうか、昼も夜もずーっと出しっぱなしでした。
くる日もくる日も干しっぱのフトンを見て、かわいそうでなりませんでした。
ところが、ある曇りの日に、そのフトンがなくなったのです。
「ついに、あのフトンも安楽死させてもらったんだ!」
僕はホッとしました。
ところが、翌日、快晴の青空の下、再びフトンが干されてるではありませんか!
・・・・・・・。
この不可思議な行為は今も続けられています。
晴れた日にはフトンは外に出ています。
3日間晴れが続くと、72時間、フトンは出しっぱなし。
が、曇りや雨の日になると、フトンは室内へ消えます。
そして、晴れると、また、フトンが・・・。
どういうこと?
天気が崩れると、
密室内であのフトンを使った特別な儀式が行なわれているのでしょうか?
謎は深まるばかりです・・・。


2月17日(火よう日) 日直・橋本
 有り難いことです。
昨日の日誌を読んで、涙が出そうになりました。
あのように、
いろいろな顔を絵文字で描けちゃうんだから、
おそらく、
若くて可愛らしいお嬢さんに違いない。
そんな、花のような娘さんが(・・・表現がオッサン臭いな。)、
あんな本を、
わざわざ探し回り、
920円(税抜き)も出して買う・・・・・・
痛々しいです。
ソノけなげさに胸を打たれます。
1000円もあれば、
美味しいケーキの1つや2つも食べられたろうに・・・。
あぁ、抱きしめてあげたい。
 そして、
もう1つ、有り難いことが。
やはり、お客様から、
バレンタインデーに、
チョコレートが届きました。
「まりりんさん、夢占い、ありがとうございました(ハート)」
というカードが添えられた、
チョコレート・ミルフィーユです。
あぁ、
美味しゅうございました。(もう、食べちゃった!)
普段、自分で買って食うチョコとは、
明らかに、美味しさが違いました。
あぁ、
「頂きもの」って、なぜ、こんなに美味しいの?
てめぇで金出してないから?
いいえ、そうじゃないわ。
心のこもった「愛」の味がするからよ。
バレンタインデーに、
チョコもらって喜ぶ男の人の気持ちが、
解かりました。
なんだ、なんだ、
いい日じゃん、バレンタインデー!
キミのおかげさ!
愛してるぜ!


2月16日(月よう日) 日直・鬼界
こんなメールをいただきました。

“お兄さんの本”
なんだか、いろんな意見が日誌で飛んでいましたがf(^^;私、買いましたm(__)m
しかも1件目の本屋さんでは見付からず、探し歩いて5件目でようやく見付けました〜、
って人、他にはいない?!(゜□゜;)!
まだ全然最初しか読めてないので感想はまだ聞かないで下さいm(__)m
私の頭には難しいので、ゆっくり待ってて下さい(^o^;)

つ、ついに犠牲者
いや、
向上心に富む偉い人が出現だぁ!
あなたはなんと向こう見ずな
いや、
好奇心旺盛な方なのでしょう。
「素晴らしい!」の一言につきます。

実弟の僕が言うのもなんなんですが、
決して読破しようなどと思わないでください。
体を壊します。


そして、皆さま、お気づきでしょうか?
今日の日誌は、
引用とはいえ、絵文字がふんだんに登場してます。
鬼橋日誌では、ふだん決して見ることのできないものです。
だって、
あの『ウィトゲンシュタイン』を買ってくれたんだぜぇ、
それくらいのタブーは破んなきゃな。


2月15日(日よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 カツラをかぶったミスター・キューピーは、
どう見ても、
23歳〜40歳だ。
(エラく、はば有り。
カツラが、目くらましになって、年齢を特定できず。)
私は、
「担当医は、出来れば、
女医さんか、
もしくは、年いった院長先生タイプのオジイさんがいいんですけど。」
と、言ったはず。
それを受けた柏原は、
「わかりました。」
と、答えたはず。
それが、このザマ。
キモイからか、
看護婦も、
私の診察台を避けているような雰囲気。
だーれもお手伝いに来てくれない。
遠巻きに盗み見ている感じ。
きっと、看護婦や他の医師は、皆、
「キモイマンに担当されちゃって、あの人、かわいそう。
あんなキモイマンに、口の中を触られるのよ〜。
くわばら、くわばら。」
と思っているに違いない。
ヤだ、ヤだ!
ひとりにしないで!
治療中、カツラがズレたら、どーなるの?!
大口を開けさせられたまま、
アハ〜アハ〜と、私は、ひとり笑うのかい?
助けてぇ〜〜!
と、私が、胸中で泣き叫んだ、その時だ。
診察台後方の台に置いてあるパソコン画面で、
私のカルテ(今は、紙ではないらしい)を見ていたキューピーが、
「ん?」
と言った。
「へ?」
と、私が、涙のにじむ目を向けると、
キューピーは、
ポリポリポリと、コメカミのあたりをかきつつ、
私の真横の位置に来、
上から見下ろしながら、私に聞いた。
「‘女医か、年輩の医師を希望’・・・って、
年輩って、いくつぐらいの人のことですかねぇ?」
と。
柏原が私のカルテに入力した「私の希望」の件だ。
それを聞いた周囲の医師・看護婦たちは、
皆、一斉にグイッと、こちらを見た。
声がデカイよ、キューピー。
「え〜と、
もう、けっこうオジイちゃんで、
貫禄のある院長先生タイプの・・・。」
と、私が答えると、
「あ!そんな?もう、そんな、けっこうな年の?」
と驚きのキューピー。
「はぁ。」と私。
こちらを見ていた医師・看護婦たちは、
あきれたように、顔を自分の患者たちに戻した。
キューピーは、
「そうですか・・・。
わかりました。
ちょっと、ここには、年輩の院長タイプはおりませんが・・・。」
と、私に言い置き、
どこぞに消えた。
そして、数分後、戻って来た。
ひとりの女医を連れて。
「あの、じゃぁ、担当は、女性の医師ということで。」
と、キューピーは、
女医を紹介し、
私の診察台から去って行った。
「やっと、担当する患者に有りつけた」と思ったキューピーは、
私に拒絶され、
まーた、
一人ぼっちの、手持ち無沙汰なヤツ・・に逆戻りだ。
悪いな、キューピー。
私は、
これから、
この、
デカイ女医の世話になるからよ。


2月14日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 柏原は、
私の質問の意味を理解しかねる・・・といったふうに、
数秒間、宙を見つめた。
ヒビヒビのくちびるが、かすかに、わななき、
今にも血が出そうだ。
メンタム・リップを塗っても、もうダメか?
いや、ヒビに塗り込めば、もしや・・・
判断つきかねるソノくちびるを開き、
柏原は、
私に言った。
「女医さんか、院長タイプ・・・。
わかりました。手配してみましょう。」
俳優斡旋所を思わせる明快なお答え。
柏原は、机上のパソコンに、なにやらパチパチパチと打ち込んだ。
「担当医は、女医か院長タイプを希望。」と、
私のデータを入力したとみた。
フフン。
よしよし。
 いったん廊下で待たされ、
再度、
別の診察室に呼ばれる。
ふむふむ、ここが治療室だな。
これまた広い部屋に、
いくつもの診察台が整然と並ぶ。
そして、そのすべての台に、
患者が寝そべり、
その患者の口の中に頭をツッコミそうな勢いで、
医師がへばりついている。
あぁ、私も、いよいよだ・・・・。
看護婦の案内で、1番奥のお席に到着。
座る。
待つ。
こちらに向かう足音が・・・。
「来た!
女医か?
はたまた院長タイプか?」
ドキドキしながら、うつむいて、
医師の到着を待つ私。
私の診察台の横に、人が立った気配。
「今日は、どうしましたって?」
男の声だ。
私は、思い切って、横に立つ医師を見た。
なんじゃ、わりゃーーーっ!
柏原よりもキモイじゃんけーーーっ!
いったい、
どうしたんだ、その髪は?!
七三わけした真っ黒けのソノ髪は、
頭ガイ骨から、完全に、浮き上がっている。
カツラだ、カツラ。
すげぇ。
こんなカツラカツラしたカツラは、
高3の時、運動会の教師対抗リレーで、
教頭がスッ転んだ拍子に宙に飛ばしたカツラを見て以来だ。
(テント内の放送部アナウンス嬢は、
「あーーーっと!カツラがーーーっ!」とオンマイクで叫び、
大爆笑を誘った。)
髪型から視線をはずせなくなった私に、
「いいですよ〜。
よっく見てくださ〜い。」
というように、ズボとたたずむソノ医者。
似ている、この髪型・・・。
そう、
浩の宮さまの髪型に。
マネしているのか?
そういえば、どことなく雅なお顔・・・?
よくよく見ると、
けっこう若い。
頬がピンク色で、お肌がツルンとしている。
長いマツ毛がクリン。
カツラをかぶったキューピーのようにも見えてきた。
見ようによってはカワイイが、
トータルでキモイ。
        (つづく)


2月13日(金よう日) 日直・橋本
(おとといのつづき)

 歯医者を替えるといっても、
そこらの開業医へ行ったのでは、
あまり替わり映えがしない。
試しに、
歯科大学病院へ行ってみた。
さすがに、デカイ。
患者も多けりゃ、
医師も多い。
受付ロビーが、人でごった返している。
イッキに、気おくれ。
「私、ただの虫歯なんですけど、
診てもらえるのん・・・?」
と、誰かに聞きたくなる雰囲気。
「フン。
チンケな虫歯ごときのヤツが、
のこのこ大学病院なんかに来やがって。
俺達ゃぁ、重症患者しか相手にしねぇぞ。」
と言いそうな若ゾウの医者たちが、
腕まくりした白衣の前をビラビラなびかせ、
何の用があるのか知らんが、
廊下を行ったり来たりしている。
ここは、白い巨塔?
キミたちは、財前くん?
フン。
たかだか歯科医のくせに。
医者になれなかった負け犬どもめ。
白衣の前をビラビラさせて格好がつくのは、外科医だけじゃい。
 と、
いよいよ、私の番。
広い診察室の中は、
診察台が所狭しと並び、
白衣の若ゾウが、ウジャウジャ居る。
よくよく見ると、
若ゾウしか居ない。
ヤな予感。
品のある、腕の確かそうな、老齢の、院長タイプが、
ウヨウヨ居るのかと思いきや・・・。
がっかり。
私が座って待っていた診察台に、
「さ、じゃ、お話をうかがいましょうか?」
と、いきなり、自分のイスごとニジリ寄って来たのは、
案の定、
ブサイクな若い兄ちゃん。
これじゃ、中島や沢田と、なんら変わりなし。
いや、
顔がマトモなだけ、中島や沢田の方がマシだ。
あぁ、ツいてない。
胸の名札を見る。
アホ面の顔写真の横に‘柏原’と。
キモイぞ、柏原。
くちびる、ヒビわれ過ぎだぞ。
「こんなヤツが担当か・・・。」
と思うと、ついつい、説明も投げやりに。
と、柏原が言った。
「じゃ、治療科へ行って頂きまして、担当医を決め、治療にかかって頂きますので。」
へ?
んじゃ、ここって?
お話うかがい所?
・・・・・「さ、お話をうかがいましょうか?」って、まんまの意味だったのね。
ややこしいことすなよ!
でも、いいぞ。
まだ希望は有るということだ。
よーし。
思い切って、柏原に言ってみた。
「担当医は、出来れば、
女医さんか、
もしくは、年いった院長先生タイプのオジイさんがいいんですけど。
そういった人、いらっしゃいますかね?」
と。
        (つづく)


2月11日(水よう日) 日直・橋本
(1月30日の‘歯医者ばなし’のつづき)

 ‘高島忠夫の上のセガレ’に似ている沢田センセは、
どうも気に食わない。
 それは、治療中のことだった。
大口開けさせて、
なにやら、私の奥歯をイジくっているかと思ったら、
「・・・あ!」
と、沢田が小さな叫び声をあげ、手を止めたのだ。
「あ!」って、なによ。
「あ!」っつーぐらいだから、
「予想外の出来事に、衝撃を受けた」っつーことでしょ?
私の歯の治療中に、
「あ!」って、どーゆーことよ。
「あ!失敗した!」ってこと以外に、何かあるかい?
「あ!スカシッペしたらウンコがちょっと出ちゃった!」とでも?
違うね。
あの「あ!」は、明らかに、何かをしくじった「あ!」だ。
くっそ〜。
ひとの歯だと思って、簡単に失敗しやがって。
百歩譲って、
「今日は、仕事が終わったら、由美子とデートか。フフン。
・・・ぬあっーー!洋子との約束も、今日じゃんけーーー!」の「あ!」だとしても、
私は、許しません。
よだれをクダで吸わせ、
のどちんこ&鼻の穴の中を照らされている、
ひとりの無防備な女性に対して、
キミは、
もっと誠実でなければいけません。
治療に専念すべきです。
顔を動かせない私は、
思いっきり不信感をこめた、
目から血が出そうなほどの横目で、
沢田を見た。
沢田は、
何事もなかったふうを装いつつ、
「そうそう、アレが必要だったなぁ〜
アレがなければダメですよ〜か」
と、鼻唄まじりの、とっさの言い訳。
アレを取りに行くふりをして、
沢田は、
診察台のうしろの小部屋に逃げた。
数十秒して、
戻って来た。
手ぶらで。
アレを持って来いよ、アレを。
アレって、なんなんだよ。
 医者に「あ!」って小さく叫ばれるのって、
イヤよねぇ〜。
聴診器で、
肺や心臓の音とか聞いてる時、
「・・・ん?」とか言って、
首ひねる医者も居るが、
あれもやめて欲しい。
「私、ただの風邪じゃないの?!」
と心配になって、
聞くと、
「風邪ですねー」だと。
じゃ、今の首は、なんなのさ。
わっかんないよなー。 
        (つづく)

   


2月10日(火よう日) 日直・橋本
  「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」
とは、よく言ったもんです。

 『読んだ』で終わっていた5日の日誌を読んだ夜は、
悪夢にうなされました。
『ウィトゲンシュタインはこう考えた』で埋め尽くされた、
鬼界さんちの座敷。
その、
ウィトゲンシュタイン屋さんと化した鬼界さんちの座敷で、
鬼界一族が、
頭にロウソクを突っとし、
「たたりじゃ〜。
あ○おが来たりて笛を吹く〜。」
と、踊り狂っている夢だ。
あー怖っ。
しかし。
どうやら、読んでないらしいことが判明。
ばんざーい。
なになに?書評を送ってきた、だ?
「劇(シュピール)という側面」だ?
なによ、
「劇」って、
「シュピール」なの?
「私、シュピールやってます」って?
ほんとかよ。
使っちゃうぞ、シュピール。
あぁ、
人間、恐怖から脱すると、
あぁ、
こんなにも自由なのね。
 しかし、あれだよねぇ。
事の発端だった22日の、
「キ○○イひとり見〜っけ。」を
「天才ひとり見〜っけ。Oh!ジーニアス!」に直すべきか悩み、
一連の日誌を読み返したんだけど、
『ウィトゲンシュタイン』ネタだと、
イッキに読みづらくなるよね、このページ。
漢字ばっかで。
本はもちろん、
なにごとも、判り易いのが一番だね!
わっはっは!

のど元、カンペキ、過ぎてます。


2月9日(月よう日) 日直・橋本
 甘い。
『読みました!』などというメールが、来るわきゃない。
誰が、そんな、ドブに金を
・・・・・やめとこ。
友人Y美が、
「あたし、哲学、好き〜。読んでみる〜。」
というので、
持って行って、見せた。
本を手にとったY美は、
『ウィトゲンシュタインはこう考えた』とタイトルの書かれた表紙を、
フンフンフンと3度うなづきつつ眺め、
そして、
言った。
「この題名、なんて読むの?」
カタカナも読めんのか、こいつ。
「ってゆーか、どこで切るの?
・・・ん?おにかい?」
Y美よ、
きかいさんのお兄ちゃんが書いた本?
読んでみる〜」
と言ったんじゃなかったかい?キミは。
タイトルの横の副題「哲学的思考の全軌跡」。
「てつがくてき、しこうの、・・・ぜん・・・きせき?」
言葉を覚えたての幼児のようだ。
まだ表紙だぜ、おい。
この女は、一体、なにを根拠に、
「あたし、哲学、好き〜。」
と言ったのだろう?
「てつ君と、まなぶ君が好き〜。」ということだったのか・・・?
「くれてやるから、
一生かかって読みな。」
と言ったら、
「きゃ〜〜。いらな〜〜い。」だって。
そんな本よ?
誰が買う?
誰が読む?


2月8日(日よう日) 日直・鬼界
  緊急告知! 兄から送られてくるモノ・・・ おまけ
実を言うと、
最近、メールを見るの、けっこう楽しみにしてたんです。

『お兄さまの書いた本、読みました!』

そんなメールが来ないかなぁと期待していました。
一人くらい、言ってきてくれてもいいじゃん。
地球上には63億もの人間がいるんだぜ。
つ、冷たすぎるっ!!
だってさ、
「C組に転校してきた、渋谷綾瀬って、すっげえカワイイぜ」
と言われたら、見に行くでしょ?
それと同じじゃん!!

ん?同じじゃないか・・。例えがおかしい・・・?

「C組に転校してきた、日暮里子って、すっげえブッサイクだぜ」
と言われたら、見に行く、かもね・・・?
「新しくできた、からから亭のあんまんって、めっちゃマズイぜ」
と言われたら、食・・・わないか・・・
「伊勢丹で全品99%オンセールやってるぜ」
と言われたら、ぜったい買いに行かない!ほぼ2倍のお値段だ。

そっか、そう考えると、メールを期待する僕が間違ってたのか・・・

ヘタに読んで、熱出されちゃっても困るしね。


2月7日(土よう日) 日直・鬼界
  緊急告知! 兄から送られてくるモノ・・・ その4
送られてきたのは、書評でした。
もちろん『ウィトゲンシュタインはこう考えた』の書評。
『月刊言語』という雑誌に載った、書評。

『月刊言語』って、なんだよ?
聞いたこともねえよ。
言語について毎月毎月書くことあんの?
雑誌にするほど?

書評の一部をご紹介しよう。

『「言語ゲーム」という概念が持つ「劇(シュピール)という側面への目配り、
「規則の従属」についての、誰もなしえなかった果敢かつ斬新な解釈など、
珠玉のような考察や指摘が随所に見受けられる』

さすがだ。
わけわからん本の書評は、わけわからん。

が、この書評を書いた、中央大学文学部教授・中村先生によると、
『久しぶりに読書の興奮を味わった』そうだ。
とにかく大絶賛。

ふぅーん。
そういうもんなのかねえ・・・。
ま、中国人は生きた猿の脳みそを食って、ウマイウマイと言ってるしね。
計り知れない「ゲテモノ好き」ってのはあるわけで・・・。

しっかしさあ、
自分の本の書評を送りつけるって、どうよ?


2月6日(金よう日) 日直・鬼界
  緊急告知! 兄から送られてくるモノ・・・ その3
ええええええぇぇぇぇぇええぇぇっっtっっ!
  (↑あまりの衝撃で、‘t’と‘l’を打ち間違えてる)
鬼橋日誌にボロクソ書いたの読んじゃったのおー??
僕は心臓が止まるかと思った。

僕「・・・・・読んだん?」
長男「ちゃうがな、僕の本を読んだのか?って聞いてんねんや」

そっか!
「読んだ?」と言ってるのを「読んだ」と聞き間違えたのだ。
よかったあー!!

半分弱くらい読んだと答えた。
「そっかそっか、そのへんからおもしろなるぞ」
と長男は喜んでいる。
僕が読んでる途中だと思ったようだ。
ウソはついてないもんね。
半分くらいでやめたけど、半分くらい読んだことには間違いないもん。

長男「そういえば、さっき、『読んだ?』とか聞いてなかったか?」
僕「え?そ、そやったっけ?」
長男「ああ。なんのことや?」
僕「いや、それ、あ、なん、なんやったかなあ、わ、忘れてしもた」
長男「そうか」

アウっ!やっべえーっっ!!

あぶねえ、あぶねえ、ホントに墓穴を掘るとこだったぜ。


結果から言うと、兄は鬼橋日誌を読んでませんでした。
パチパチパチ。
じゃあ、送るものって、なんだ?
その‘モノ’が今日、届いた。
そんなもん送るんかい!と言いたくなる、それは・・・  (つづく)


2月5日(木よう日) 日直・鬼界
  緊急告知! 兄から送られてくるモノ・・・ その2
長男に電話した。
僕「もしもし、浩巳やけど」
長男「おぉ、電話待ってたんや」

むむっ、声のトーンは意外にふつーだぞ。
怒ってないようだ。
長男はあの日誌を読んではいないのかも・・・。
いやいや、こちらを油断させる手かもしれない。
僕は気を引き締めた。

住所を電話番号を伝え、
僕「電話番号の覚え方は、“ロナウド いざこい”や。」
長男「ロナウドいざこい・・・か。なるほどな。わかった。」
僕「・・・・・・・・・・・・」
長男「・・・・・・・・・・・・・」
沈黙が訪れた。

だって、用件は伝え終わったんだから、
次に発言するのは、あっちじゃない?

でも、長男は黙ったままだ。
沈黙に耐え切れなくなり、僕はしゃべり出した。
が、
注意しなければいけない。
最悪なのは、墓穴を掘ることだ。
「ホームページ」とか「日誌」なんて言葉は禁物だ。

僕「あ、あの・・、今日は、気持ちのいい晴天だったね」
長男「・・・・?」

口から出たのは、天気の話題だった。
よりによって、天気ぃ?兄弟がそんなこと話すかあ?
しまったっ!
当り障りのないことを意識しすぎて、
あまりにも突飛だった。
長男も受け切れないで、沈黙したままだ。

僕「そ、それで、なにを送ってくれるの?」
長男「フ、フ、フ」
僕「な、ナニ?」
長男「なんやと思う?」
僕「わ、わからへん・・・」
長男「(意味不明だが得意そうに)さあ、なんでしょう?」
僕「受け取ってからのお楽しみ、とかそーゆーやつ?」
長男「まっ、そやね」

なんだろう?と僕が考えていると、
長男が言った。

「読んだ」

!  (つづく)


2月4日(水よう日) 日直・鬼界
  緊急告知! 兄から送られてくるモノ・・・
(前回までのあらすじ)
このホームページを開設し数ヶ月がたった頃、
鬼界家でこんな会話がなされた。

三男(浩巳。つまり僕ですね)
「ホームページ作ってん。見てくれた?」
長男(彰男。あの本の著者)
「見たで」
三男「どやった?」
長男「あんな、しょーもないことばっかり、よー書けんな。あきれるわ。」
三男「・・・ま、ユーモアって、人それぞれやからな・・。」
長男「そうかもしれん。ま、僕はもう、見いひんからな。」
三男「・・・・」

血のつながった弟が一生懸命作ってるものを
きっぱり、あっさり、「もう見ない」と長男は断言した。

つまり、なにが言いたいかとゆーと、
長男は絶対に鬼橋日誌を見てないから、
安心して、あの本のことを思いっきり書けたんです。
なのに、
昨日、掲示板に書き込みがありました。


住所送ってください 投稿者:鬼界彰夫  投稿日: 2月 2日(月)22時01分12秒

彰夫です
前に聞いたと思うのですが、なくしてしまったようなので、住所と電話番号を教えてください
送るものがあります


ま、マジっすかぁぁぁ?
ちょ、長男殿はホームページ読んでたのぉぉぉ?
口では冷たいこといいながら、
やっぱ弟がかわいかったのぉぉぉぉ?

やめてほしいわ・・・・

あの本に関する、あの日誌を読んでたら・・・・
なにを言われるかわかったもんじゃない。
ものすごーくむつかしい言葉でボロクソに言われるかもしれない。
むつかしすぎて理解できないかもしれない。
あるいは、
「お前は目標がないから読破できなかったのだ。
では、あの本を読み、400字詰め原稿用紙10枚程度の感想文を書け。
これなら、イヤでも読みきれるだろう。
そうだなぁ・・・3日以内に送れ」
などと、無理難題を押し付けられるかもしれない。

そもそも、
『送るものがあります』って、なんだろ?
なにを送ってくるの?
こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こわーい!!!!
おそ、おそ、おそ、おそ、おそろしーい!!!!


早鐘のように鳴る心臓をおさえ、
僕は受話器に手をのばした。
長男に住所と電話番号を教えるために・・・  (つづく)


2月3日(火よう日) 日直・橋本
 今日は、節分。
そもそも節分というのは、
立春・立夏・立秋・立冬の前日を言い、
・・・・・。
ダメだ。
ビビって書けない。

日誌と掲示板を、日々、お読み下さってるかたは、
なぜ、私がビビっているか、
おわかりのことでしょう。

実際、
あのかたは、お読みあそばされたのだろうか・・・・?

証拠隠滅するべきか?
今さら遅いか・・・?

あのメッセージは、何を意味するのか・・・?
激こわ。

鬼界さんも、
マズイんちゃうの・・・・・?


2月2日(月よう日) 日直・鬼界

哀れな犬

ポインターが 鳴いている
車が通ると 鳴いている
ウォンウォン 鳴いている
でもその道は 途切れることなく 車が通る
だから ポインターは 鳴きっぱなし
ウォンウォン 鳴きっぱなし

それだけじゃない

人にむけても 吠えている
でもその道は みんなが通る
だから ポインターは 吠えっぱなし
ウォンウォン 吠えっぱなし

あっちへウォンウォン こっちへウォンウォン
休む間もなく ウォンウォンウォン

はっきり言って キチガイ犬だ

ふと足元を 見てみると
白いはずの 四つ足が
黄色く ベチョベチョ 汚れてる

ウンコだ! クソだ! 犬の糞!

自分が出した ウンコの上を
ウロウロウロウロ歩いては
ネチョネチョネチョネチョ こねてんだ
やっぱり マジで キチガイ犬だ

うるさい きたない けがらわしい

きっと こいつの飼い主も 同じくらいの キチガイだ 


昨日、ホントにこんな犬を見たんです。
かわいそすぎます・・・。


2月1日(日よう日) 日直・鬼界
ゴミ置き場に、引っ越しで使ったダンボールが捨ててあった。
こう書いてある。

“南ベッドルームへ 今夜必要
   開けないで!!(ひとみ)”

引っ越し当日の夜、寝室で使うものが入ってた。
ここまではわかる。
が、
“開けないで!!”というのは、どういうこと?
なにが入ってたの?

推理してみよう。

まず、(ひとみ)というのが、娘の場合。
引っ越しのとき、娘のダンボールを勝手に開ける親はまずいない。
両親と子供の暗黙の了解、
というか当たり前のことだ。
なのに、わざわざ大きい太字で“開けないで”と書くには
よほど見られてマズイものが入っていたのだ。
校則や法律に違反するものか、
見られるとすっごくすっごく恥ずかしいものだ。
しかし、規則に反するものを、無造作にダンボールに入れるとは考えにくいから、
箱の中は、すっごくすっごく恥ずかしいものだったのだ!
ひとみちゃんのすっごくすっごく恥ずかしいもの。イヒヒ・・・。

が、この推理には根本的な欠陥がある。
(ひとみ)が娘ならば、
“南ベッドルームへ”とは書かないのだ。
“南・6畳洋室へ”とか“ひとみの部屋へ”と書くはずだ。

(ひとみ)というのが、奥さんだったら、
引っ越し当夜、奥さんがダンナさんのために用意したグッズが
入っていたと考えられる。

夫が汗水たらして、ついに手に入れたマイホーム。
その最初の夜だから、
う〜んとサービスしなきゃね。
あれして、これして、
いつもは恥ずかしくってできなかったアレもして、
前々からやってみたかったソレもついでに試しちゃえ。
そのためのグッズが満載されたダンボール。
前もって夫に見られちゃうと、計画が台無し。
だって、普段の私からは想像もできない、あられもないモノが入ってるのよ。
理性と羞恥心と常識をかなぐり捨てるための変身グッズ・・・。
ウフフ、引っ越しの夜がたのしみ。

カンペキな推理!
これだ!これに違いない!!これ以外にはありえない!!!

で、具体的にはなにが入ってたの・・・?知りたい・・・。


1月31日(土よう日) 日直・橋本
 昨日の日誌の
『「若い男の医者、大歓迎」という女性ばかりじゃないのよ、世の中は。』
は、
語弊があるので訂正します。
え〜、
『「若い男の医者、大歓迎」という科ばかりじゃないのよ、女性にとっては。』
こっちにします。
いや、待って。
『「若い男の医者、大歓迎」という科ばかりじゃないのよ、私にとっては。』
が、いいかな?
違うな。
『「若い男の医者、大歓迎」という科は、数少ないのよ、私にとって。』
か?
まだまだ。
『「若い男の医者、大歓迎」は、眼科しかないわ、私にとって。』
これです。
ご清聴、ありがとうございました。
話、変わります。
歯医者といえば(話、変わってないかも)、
「世襲」が多い。
「医者」という職業は、
もともと、
「親のあとを継いで」が多いんだろうが、
歯医者は、特に。
私が今まで通った数知れない歯科医院のほとんどが、
親子二代で診療にあたっていた。
「大(おお)先生」「若(わか)先生」とか呼び分けちゃって。
けっ、50ヅラさげて「若先生」もねーもんだ。
80を越えた死にかけの「大先生」に、
刃物持たせて、いーのかよ。
で、
私の歯を治療中の、
顔半分マスクで覆われた若先生の顔を見詰めながら、
いつも思うんです。
「この人は、虫歯で苦しんだことは無いんだろうなぁ。」
歯科疾病の怖さを知り尽くしている親が、
我が子を虫歯にするわけないもんなぁ。
万全の予防をしてきたんだろうなぁ。」
と。
そして「歯科医師は世襲」となると・・・
そうです。
「あの歯痛の苦しみを経験したことのある歯科医師は、居ない。」のです。
整形外科に行った際、
寝チガエの時は、「僕も、たまにやります。」と医師は言い、
腰痛の時は、「私も、持病です、腰痛は。」と女医が言っていた。
なんか、ちょっと、安心。
「僕もガンです。」
「私も脳腫瘍です。」
と、医師が言う。
「あぁ、この医者は、この痛みを知っているのね。」
患者は、きっと救われることだろう。
ただ、
ガンの医者と、脳腫瘍の医者が、居るかどうか・・・。


1月30日(金よう日) 日直・橋本
 約1年ぶりに歯医者へ。
予約制にもかかわらず、待合室は混み混み。
相変わらず繁盛している。
が、大きな変化が。
あの、
ヒマさえあればツメのマニキュアのハゲ具合をチェックし、
「こんにちは〜」のお出迎えの挨拶、
「お大事に〜」のお見送りの挨拶なんざ、
こんりんざい言わなかった、
やたら態度のデカイ、
見た目キャバクラのホステスっぽい受付嬢が、
なんと、居なくなっていたのだ。
「生涯、受付嬢」ってな感じで、
根ぇはやしてカウンターに座ってたのに。
 診察室に入って、またまた意外なことが。
イスに座り、
看護婦によだれかけをかけてもらったりしつつ、
以前からの私の担当医だった中島センセを待っていると、
看護婦が、
「前の担当は中島先生でしたよね?
辞めたので、別の担当医になります。」
と。
私は、ピンときた。
あの受付嬢と一緒に辞めたのだ。
2人そろって
引き抜かれたか、はたまたクビか、トンズラか。
いつか、
トイレを借りる為、
従業員休憩室の横をソロ〜ッと通った時、
ヤツが「せんせ〜ん(‘先生’を甘えて言った)」と呼び、
中島が「おまえ」と呼んでいる場面を、
カーテン越しに盗み聞いたことがあるのだ、
間違いない。
中島は、
渡部篤郎似の茶髪の若い兄ちゃん。
「ど?俺ってカッコイイし、歯医者だし、イケテルべ?」
と、今にも言い出しそうなウスッ軽い兄ちゃん。
163cmくらいしかないチビッコだが、
女子中・高生から「せんせ〜ん」と呼ばれ、結構、人気だった。
私の見たところ、
中島は、
13歳〜60歳の女性患者を一手に引き受けていたもよう。
それ以外は、
院長の受け持ち。
これは「決まり」のようだ。
「(子供・年寄を除く)女性患者には、中島をあてがう」という決まりだ。
で、
私も、初診時、中島をあてがわれたというワケ。
が、
私は、本当は院長が良かったのだ。
なんたって「長」が付く。
スケベじじいはごめんだが、ここの院長は、わりとマトモ。
品もそこそこ有りで。
男性・幼児・年寄り相手に、
老いた馬車馬のように働いている様子も信用できる。
鼻の穴の中を見られても、まぁ、許せる。
だから、
中島が辞めたと聞いて、私は「ラッキー。」と思った。
きっと院長が引き継いでくれるはずだ。
 そこへ、
今回の担当医、登場。
「沢田です。よろしく。」
でた。
まただ。
また若い兄ちゃんだ。
高島忠夫の、上のセガレ似。
ここは、
芸能人に似てなきゃイカンのか?
「なんで?なんで、私に新入りをあてがうの?!」
恨みがましく、チラと院長を見る。
もちろん私を覚えている院長は、
「今回は、こんなん用意しましたの。」と言ってるような笑顔。
わかってねーなー。
「若い男の医者、大歓迎」という女性ばかりじゃないのよ、世の中は。
 治療中、
助手の看護婦が、
沢田センセを「せんせ〜ん」と呼ぶのを聞いた。
まただ。
この2人も、早晩、居なくなる予感。
院長、
もう、ホストクラブスタイル、やめた方がいいのでは?
入っちゃぁ辞め入っちゃぁ辞めされたんじゃ、
あんたが大変でしょ。
それでも、繁盛してるから、いいのかい?


1月28日(水よう日) 日直・鬼界
その電車は混んでいた。
座席はすべて埋まり、吊革もだいたい誰かが持っている。
僕の隣りで吊革につかまっていた小太りの少年は、
しじゅうキョロキョロとあたりを見ていた。
青年の斜め後ろの席があき、
オバサンが座った瞬間だ。

「ああ、やられたっ」

少年が大声で叫んだ。

次の駅に近づき、
少年から5人くらい離れた前の席のオジサンが立ち上がりかけたときだ。

「ちょっとごめんなさい。そこ、そこ座ります。」

少年は大声で叫びながら、
吊革で立つ人と座席の間をかき分けて、最短距離を突進していった。

少年が座席に座った途端、電車がストップした。

「先行する電車がぁ、ただいま新宿駅ホームに停まっております関係でぇ、
停止信号が出ておりますぅ。お急ぎのところ申し訳ありませんがぁ、
しょーしょーお待ちくださいぃ」
アナウンスを聞いた少年が大声を出した。

「ガンバレ、ガンバレ、電車ガンバレ」

心の中で思ったことをすべて口にする少年だった。
キチガイだけど、ある意味、純粋だ。
いや、キチガイゆえに、純粋なのか。

怖いのはこの少年が怒ったときだ。
「殺す」とか
「刺す」とか
大声で口にするに違いない。
そして、きっと実行するだろう。


1月27日(火よう日) 日直・橋本
 いや〜、鬼界さんちも大変だーね。
売れそうもない本なんかヘタに出版されちゃっちゃぁ、
家族が大迷惑・・・のイイ見本ですな。
‘普通の’本ならばねぇ・・・。
哲学書じゃねぇ・・・。
人さまにおすすめしずらいやねぇ。
だからって、
まったく売れないんじゃカッコつかないやねぇ。
親の心、子知らず。
凡人の心、天才知らず。
それにしても。
「哲学」って、スゴイ。
こーんなちっちゃなことを、
ほじくりほじくり小難しく考えて、
なんだかしらんが『概念』とかってゆーものにしちゃうんだから。
 例えば。
鬼界さんは、自分の誕生日(20日)の日誌に、
このようなことを書いています。
  
  『階段横にヨーロッパ調のポストがついていて、
   住人の名前が書いてあるではないか。

      201号室 工藤 真紀
                 亜紀

      202号室 中岡 亜佐美
                 沙佑美

  び、美人姉妹?
  しかも、ダブル美人姉妹ですくわぁ?マジっすくわぁ?
  僕はウキウキとしてきた。』

もし、
この表札を、
哲学者である、鬼界さんの兄貴が目にしたとしたら、こうなります。

  『「私の名は工藤真紀である」という命題について。
   工藤真紀という名は、
   彼女(工藤真紀)ひとりによってのみ、
   特別な確実性を持つ。
   すなわち、「私的確実性」と呼ばれるものである。
   そして、
   私は、ここの住人が工藤真紀という名の人であることを、知った。
   そこで、
   「名を知るとは、いかなることか」という問題について考え、
   さらに、
   「知る」という概念について、言及してみたい。
   (以下省略)』

どーよ。
このチガイ。
チガウ星に生きてる人たちみたい。
「工藤真紀」という名を目にしただけで、
片や、
頭の中にピンク色のお花をいっぱい散りばめてニヤける男。
片や、
名の持つ「確実性」の思考から、
新たな「論理命題」としての「世界像」という概念にまで、展開させる男。
で、
この2人って、兄弟なんでしょ?
笑っちゃうね。
「哲学的‘生’の意味」の問題に取り組む兄。
「‘性’」のいろんなのに取り組みたい弟。
ま、
どっちも‘普通じゃない’という点で共通してるか。


1月26日(月よう日) 日直・鬼界
 〜本が出た! その4
難解すぎて読むことができない。
これでは、ぜーんぜん売れないにちがいない!
鬼界家の人々の、“『ウィトゲンシュタイン』買い占め作戦”が始まりました。

母は近所の本屋に走りました。

店の人「あら、鬼界さんの奥さん、いらっしゃいませ」
母「本を取り寄せてほしいんやけど」
店の人「もしかして、アインシュタインなんとか、っちゅう本でっか?」
母「そうそう、それです」
   ↑店の人も母もよくわかってない・・・
店の人「昨日、おたくの旦那さんが5冊注文しはりましたよ」

宇治市内のめぼしい本屋で同じやりとりが繰り返されました。
どこへ行っても、父がすでに注文済みだったのです。

では、母はどうしたか?
仙台で買いました。
さすがに、本を買うために仙台くんだりまで行ったわけではありません。
七夕観光に行ったのです。
が、一緒に行った母の友達からは苦情が続出したそうです。

母の友達「鬼界さんの奥さん、本屋さんばっかり行きたがらはるねん。」

旅行好きの母は、東京駅新幹線ホームの本屋や、名古屋駅ビルの本屋や、
京都駅地下街の本屋などでも買い漁ったそうです。

そして、次男。
広島と岡山と倉敷と神戸で買いました。

次男「岡山に住んでんねんから、山陽地方は自分のノルマやと思たんや。
買い方に工夫したで。
いっぺんに買うと、関係者や、ってバレバレやから、1冊づつ買ってん。
大きい本屋はレジが何ヵ所もあるさかい、1度行きゃ何冊も買えるけど、
ちっちゃい本屋はなんべんも行かなあかんから、めんどくさかったわ。」

こうして鬼界家の人々だけで100冊以上買いました。
今、実家の居間は壮観です。
『ウィトゲンシュタインはこう考えた』が、ズラ〜っと並んでます。
ウィトゲンシュタイン屋さんができます。

さあ、いかがでしたでしょうか?
『ウィトゲンシュタインはこう考えた』を、読む気になりました?
是非、挑戦してください。
読み終えることができたら、
あなたはどんな試練をも克服できる大きな人間に成長していることでしょう。
そして、読み終えたらご連絡ください。
著者とマンツーマンで夜明けまで語り合う場をセッティングさせていただきます。


1月25日〔日よう日) 日直・鬼界
 〜本が出た! その3
もちろん僕も読みました。
てゆうか、読み始めはしました。
が、半分弱で挫折しました。
まさか読み終えられないなんて・・・!
自分でも驚きました。
だって、読めば読むほどわからなくなっていくのです。
底なし沼を1歩1歩進んでいく感じ。
最初は重いながらも足をひきずってなんとか前へ進んでいるが、
次第に身動きがとれなくなり、
気がつくと、指1本さえ動かない。そして、ジ・エンド。

鬼界家は全員、討ち死にしました。
母は、序文で挫折。
しかも、たった11行目で挫折。
『8行目まではわかんねん。挨拶やから。けどな、9行目から、さっぱりわからへん。
画数の多い漢字がぎょうさん出てくんねん』(母談)

次男は、第3部のみ読んでやめたそうです。
『兄ちゃん(長男のこと)が、第3部はおもろいで、って言うてたんや。
波乱万丈で読みやすなってる、って。
そやから、第3部読んだがな。
あれはなに?なーんにもわからへん。
どこがおもろいの?どこが読みやすいの?どこが波乱万丈なん?
愕然としたわ。
第3部がこれやったら、他の章はどうなってんねん?
背筋がゾゾっと寒なったわ。』

そして、父です。
『ワシは全部読みきった』と豪語しています。
「スゴイがな。どのくらいかかった?」と聞くと、
「小一時間ってとこかな」

それは読んだとは言いません。
文字の上に視線を走らせただけです。

「けどな、開けてないページはないぞ」

全ページ開けりゃ、エライんかい!

身内でさえこの有り様です。
一体、こんな本が売れるのでしょうか・・・ (つづく)


1月24日(土よう日) 日直・鬼界
 〜本が出た! その2
あれは3年前、2001年のお正月のことでした。
家族そろって、おせち料理を食べている時、
長男がポロっと言いました。

「もうすぐ僕の本が出版されるんや」

すかさず食いついたのは父でした。

「おんなじセリフを去年も聞いたわ!
もうすぐもうすぐって、いつ出るんや!!」

父が怒るのも無理ありません。
2000年まる1年、待ちぼうけを食ったのですから。
そして、結局、
父は3年半も待つことになります。

なぜそんなに遅れたか?
執筆そのものに時間がかかったのはもちろんですが、
予定枚数を大幅にオーバーしてしまって、
長男は編集者とケンカしていたのです。

『約束してた枚数の倍くらいいってしもたけど、
それも運命。
書かなければならないことは書かなければならないねん。』(長男談)
『削れる箇所はチリひとつもない』(同談)
『この分量で出すか、それとも出版中止か。ふたつにひとつ。すなわち、前進か死か。』(同談)

こんなことをしゃーしゃーと言ってのける哲学者とケンカしても
結果は見えています。
長男の主張がとおり、ついに出版されました。

『ウィトゲンシュタインはこう考えた』鬼界彰夫 著
2003年7月20日 第一刷発行

分厚いです。
全417ページ。ちょうどCDケース2枚分くらい。
そして、内容は・・・・ (つづく)


1月23日(金よう日) 日直・鬼界
昨日の“匿名”さんが書かれた日誌で、
とうとう兄の本のことが明るみに出てしまいました。
(けど、“匿名”さんって、誰なんだろ?ぜーんぜん、わからないや・・)
そのことをちょっと書きます。

 〜本が出た! その1
あれは4年前、2000年のお正月のことでした。
家族そろって、おせち料理を食べている時、
長男がポロっと言いました。

「もうすぐ僕の本が出版されるんや」

すかさず食いついたのは父でした。

「自費出版なんか、せんとけよ。損することはしたらあかん。
いつ出んねん?なんぼや?ぎょうさんは買わへんぞ。」

「なんの本や?」とは聞かず、「なんぼや?」と聞き、
「どこで買えるねん?」とは聞かず、「ぎょうさんは買わへんぞ」と断言するのが父です。
自分の息子をまったく信じてません。
「ワシの息子が、そんなまともな本を出すはずがない」
そう決めつけているのです。
そして、根っからの商人の父の判断基準は、‘損か得か’です。
損は×で、得は○。ザッツ・オール。
確固たる、おのれの意志を貫く男、それが父です。
ま、わかりやすく言えば、単純明快なケチってことなんですけどね。

「自費出版とちゃうがな。詳しいことは原稿を書きあげんとわからんけど、
講談社の現代新書シリーズで出版されるんや」

こ、こ、講談社ぁぁ?講談社いうたら、講談社やないか!!
そんなおっきい本屋さんから、おまえの本が出んのか!よっしゃ、よっしゃ。」


手のひらを返したような、この反応!
「講談社いうたら、講談社やないか」って、当たり前でんがな。
ちょっとしたパニック状態です。
父は権威にとても弱いのです・・・。

「記者会見するんやったら、庭の松の木の下がええかな?
南天とヒイラギの間に座ってんのも、捨てがたいか・・・。
いや、あかん!ヒイラギは鬼門の方角や。
よっしゃ、会見は松の木の下でやろ。
さっそく、植木屋に頼んで、手入れしてもらわなあかん。」

発売日もタイトルも決まってないのに、
出版記念記者会見のことをあれこれ妄想してしまうのも、父です。
そもそも、新書の出版で会見なんかふつーやる?
そんな疑いはこれっぽっちもありません。

それから父の電話攻勢が始まりました。
ほとんど毎日(『週に5日はかかってきてた』長男談)、電話するのです。
「書けたか?」
「完成したか?」
「できたか?」

昨日書けてなかったものが、今日できてますかいな!

父の電話代ばかりがかさむなか、
肝心の執筆はどんどん遅れていきました・・。 (つづく)


1月22日(木よう日) 日直・匿名
 本屋の講談社新書コーナーで、
こんな本を発見。
『ウィトゲンシュタインはこう考えた』
著者は、鬼界彰夫。
ん?!鬼界?!
裏表紙の著者紹介を見てみる。
「きかい・あきお」
・・・やっぱり‘きかい’と読むのね、この人も。
で、
「京都大学大学院在籍中に、
フルブライト奨学生としてニューヨーク市立大学に留学。」
・・・ふむふむ。
「現在、筑波大学助教授。専門は言語哲学・認識論。」
・・・つくば大の先生?・・・っつーことは、
鬼界さんの兄貴じゃん?!
へぇ〜?!鬼界さんの兄貴が書いた本なのけ?
って、ことで思わず購入。
 どうやら、
「哲学者ウィトゲンシュタイン(1889〜1951)の哲学的思考の歩みをたどり、
その哲学的‘生’の意味を、
哲学的に考察しました」・・・ってな本らしい、
序文によると。
そんでもって、
表紙カバーにチョコッと載ってた「〜本書より」によると、
「すなわち‘世界の外’とは、
言語によって限界づけられた世界の限界の彼方、
すなわち我々の思考の彼方、
語りうることの彼方、
すなわち‘語りえず、思考しえない何物か’に他ならない。
それが神である。」
だとさ。
・・・すなわち、すなわち・・・って、
なんのこっちゃ。
さっぱりわからん。
まだ1ページも読めとらん。
なんざましょ?この本。
どーしましょ?この本。
920円(税別)、返して。
鬼界さん、
キミが代わりに。
かの哲学者ニーチェは、45歳のとき、発狂した・・・と聞く。
ショーペンハウエルもだっけ?
哲学者って、ちょっと、キてるよねぇ、ここ(頭)。
「天才」と「キチガイ」は、紙一重・・・か。
身近に、キチガイひとり見〜っけ。


1月21日(水よう日) 日直・鬼界
昨日の誕生日、実は、ひそかに期待し楽しみにしていたことを実行しました。

年賀状が当たってるかどうかのチェックです!

毎年毎年、ぜーんぜん当たらないのです。
それは年賀状の数が少ないから。
が、
今年は違います。
お正月に帰省した時、父の年賀状をこっそりパチってきたのです。
父が受け取った年賀状ではありません。
父が出そうとした年賀状です。

は?

実は、僕の父は、300枚の年賀状を書くために、
年賀状を500枚印刷したけど、
足りなかったのです。
つまり、200枚以上書き損じた、
言い換えると、ほぼ2枚に1枚は書き損じをする男なのです。
信じられないような話ですが、本当なんです。
単純な書き間違えも多いのですが、
‘書いた字が気に入らない’、‘書き始める位置が気に入らない’
‘墨のかすれ具合が気に入らない’、‘心のこもった字に見えない’
そんな理由で書き直すのです。
「もったいないやんかぁ」と言うと、
「アホやなぁ。書き損じは、ただ同然で交換してくれんねんぞ」と平然としています。
確かに、1枚の交換手数料は5円でただ同然ですが、
200枚も書き損じると、1000円になることに気づいてないようです・・。

その200枚以上の書き損じハガキをこっそり持ち帰ったのです。
これだけあれば、当たるに違いない。
バースデープレゼントだ。
ヤッホーっ!!

結果から言いますと、5等の切手シートが1枚当たっただけでした・・・。
信じられます?
僕は信じられず、もう1度チェックしなおしました。
でも、結果は同じ。5等が1枚のみ。
ひどすぎません?

かすったのは、ありました。
父が黒川さんに出そうとした年賀状の番号が2237!
3等のふるさと小包の当選番号が7237!
わずか5000番違い!!

運のなさを痛感したのは、
5等の当選番号が43で、
42の年賀状が6枚もあったことです。43は0枚なのに・・・。

ホントついてません。
僕がついてないのか、父がついてないのか、わかりませんが・・・。


1月20日(火よう日) 日直・鬼界
昨日、歩いていると、米屋の2階がアパートになっているところがあった。
と書くと、
昔ながらの薄暗ーい米屋に「あけぼの荘」とかって看板がかかってそうだが、
ぜんぜん違うのだ。
ガラス張りの明るくモダンな米屋で、
外壁はレンガ色のタイルだ。
横手にまわると、2階へ行く外階段にはバラの木を植えるアーチがついている。
クネクネっとした文字で
Villa Bianncca」(ヴィラ・ビアンカ)と書いてある。
とにかくオシャレなアパート(コーポ?ハイツ?)で、
「こりゃあ、どうしたって、若い女性が住んでるに違いないっ!」と
僕はなんだか嬉しくなった。

階段横にヨーロッパ調のポストがついていて、
住人の名前が書いてあるではないか。

 201号室 工藤 真紀
            亜紀

 202号室 中岡 亜佐美
            沙佑美

び、美人姉妹?
しかも、ダブル美人姉妹ですくわぁ?マジっすくわぁ?
僕はウキウキとしてきた。
目を上げると、ベランダに洗濯物が揺れている。
201号室は、
ピンクのパジャマやネイビーのトレーナーに交じって、
ネックにレースの入ったブラックのキャミソール。
202号室は、
一応、フェイスタオルで隠しはしてあるが、
細かなフリル使いでフレンチな雰囲気のワインレッドのブラ&ショーツが見えている。

ウ、ウオーッ!!
たまらんぜぃっ!!


「どんな子が住んでんだろ?」と1時間くらいその辺をウロウロしました。
人さえいなければ、電柱に登って、下着をこっそり盗んだのに・・・悔しっ!!


どうせ僕のことだから、そんな行動に出たんだろうと思われたあなた。
フフ、甘いな。
僕を見損なっちゃぁ、困るぜ。そんなこたぁ、シロウトのすることさ。

僕は、キャミとブラ&ショーツを見た瞬間、気づきました。

「これは罠だ」と。

そもそも、女性のひとり暮らし(もしくは、姉妹暮らし)の場合、
表札にフルネームは書かないものだ。
たいてい、無記名になっているが、
書いたとしても、名字だけだ。
なのに、このアパートはご丁寧にも、ダブル姉妹フルネーム。
しかも、真紀・亜紀に、亜佐美・沙佑美だと?
エロ小説の主人公じゃねえんだから、そんな姉妹がダブルでいるか?
さらに、これみよがしに下着を干すか?セクシー下着だぜ。
状況が出来すぎだ。
街のヘンタイを呼び寄せる罠としか思えない。

残念ながら、ちょっとやりすぎたな。プロの目はごまかせない。



誕生日に書く日誌がこれかい?
20年くらい、まったく成長のない僕です・・・。


1月19日(月よう日) 日直・橋本
 16日の日誌に、
鬼界さんは、
『今、すっごく気になることがあるの。
最近、オナラがすっごく臭いのです。
腸が腐る奇病にかかっているのでしょうか。』
と書いてます。
そんな鬼界さん他、
おナラの臭い人に朗報です。

アメリカで開発された【オナラ吸収パンツ】。
ちょうど肛門が当たる部分に、
特殊フィルターが装着されているパンツ。
羊毛フェルト&活性炭&ポリプロなんとかの三重構造の、
その特殊フィルターが、
への臭いを完全吸収。
「腐った生ゴミ」レベルの臭いを、
「無臭の室内」レベルにまで、
一瞬にして下げたという、
数字上での実績も誇ります。
なので、
人ごみでも、まったく気づかれずに、
安心して放屁できます。
フィルターは、数ヶ月使用可能。
男性用と女性用、有り。

このパンツの発明のキッカケは、
鬼界さんと同じように‘腸に奇病を持つ’妻・・・を思う夫の愛だそうだ。
コロラド州に住む、その夫婦。
感謝祭の夜、
横で寝ていた妻が、
まるで核爆発のような音のオナラを・・。
腸の奇病にかかっている妻は、よくへをこく。
いつものことだ。
なにげに妻の寝顔に目をやると、
閉じている、へこき妻の目から、ひとすじの涙が・・・。
「我慢したいのに、病気だから、ヘを我慢できない・・・。
でも、恥ずかしい・・・。」
という妻の気持ちを初めて知った夫。
そんな妻を哀れんだ夫が、
試行錯誤を重ね、
とうとう、このパンツを発明したんだそうだ。

このパンツ、
消臭はするが、消音は出来ない。
スカシッペにしか効果はない。
・・・じゃ、その妻、やっぱ救われないじゃんけ・・・。

私、
桃子(我が愚猫)に、これ、はかせたいね。
猫のオナラって、臭っせーんだよ。


1月18日(日よう日) 日直・鬼界
今日は、お年玉年賀ハガキの当選番号の決まる日だ。

成人の日が1月15日に決まっていた頃は、
当選番号もこの日に抽選されたものだ。
鬼界家では、NHKの7時のニュースを見て
当選番号を書き取るのが慣わしだった。

母「ほら、もうすぐ当選番号の発表やし、ペンとエンピツ用意しとき」
兄「ペンとエンピツちゃうがな、ペンとメモやろ」
僕「ほんまや、ペンとエンピツで机に書くんかいな」
母「ヘリクツばっかり言うようになって・・・あっ、始まるで」
兄「浩巳、ちゃんと読める字で書けよ」
僕「努力はしてますぅ。けど、あわてるから、しゃーないがな」
などと言ってるうちに、
テレビに当選番号が映される。
もう必死だった。
画面が変わる前に書き取らなければならない。
しかも、無言でやらなければならないのだ。
「いち、ごー、ろく、さん、なな・・」などとブツブツ言うと、
兄のゲンコツが飛んでくる。
「うるさいわっ!気ぃちるやろ、黙ってやらんかいっ!!」
幼い子供には、なかなか大変な作業だった。
僕はたいてい、全部書きとれなかった。

母「どうや、全部書けたか?」
僕「2等と3等が全部は書けへんかった・・・」
兄「オレ書いたから、大丈夫や」
母「よかったぁ。ほな、ゴハン食べてしまい」

こんな光景が毎年1月15日に、繰り返されていた。
鬼界家の年中行事。
懐かしい昭和の風景だ。


でもね、今思い返すと、
1月15日に当選番号の確認は、やんなかったんだよね。
翌1月16日にじっくりやるのが慣わしだった。
じゃあ、なんで、あわてて書き取る必要があったの?
翌日の新聞見ればいいじゃん。
母が急かし、子供たちが必死にやったことは無意味なのでは?
鬼界家の誰も、その点に気づかなかったの?

気づかなかったんですね・・・。
一生懸命、書き取ってました・・・。

バカみたいだけど、懐かしい昭和の思い出だ。


1月17日(土よう日) 日直・橋本
 小包を出しに郵便局へ。
「小包受付」の窓口には、先客が。
そんな時は、たいてい、
隣りの「切手・ハガキ・郵便物受け取り」の窓口係りが、
「こちらにど〜ぞ〜」
と、いざなってくれるはずなのだが、
なぜだか、
しら〜んぷり。
いや、知らんぷりというより、
隣りの窓口にたたずむ、その先客に、意識を集中している為、
あたしなんざ眼中に無い・・・といった様子。
そう。
まさしく「たたずんでいる」といった感じの、その先客。
窓口のカウンターから1メートルほどの距離を置き、
カウンター上の‘何か’をジッと見つめ、
微動だにせずたたずむ、その女性。
その女性を、
緊張したおももちで見守る「小包受付窓口係り」クン。
(ジャガイモのような顔をしていたので、ジャガイモ君と呼びます。)
そして、
同じく緊張している、お隣の「切手・ハガキ窓口係り」クン。
(同様に、ナス君と。)
三者、無言のまま。
「どーしたのかなー?キミ達は、お口がきけないのかなー?
チャッチャとやれよ、チャッチャと。」
と言えたら、どんなにいいかなーと思いつつ、
せめて、3人をあおってやるべーと、
私が、1歩前へ出て、その女性客の横に並んで立った、その時、
その女性が、
低く、ノドから絞りだすような声で、こう言った。
「・・・私がやったことって、む、無駄だったんですか・・・?」
思わず、横に立っている女性を思いっきり見てしまった。
なーに?別れ話っ?!
修羅場?!
ジャガ君とナス君は、女性を見守ったまま返す言葉が無い。
4人(私もまざったので)、気マズイ雰囲気。
女性が凝視しているカウンター上の‘何か’に、私も目をやる。
それは、
お金だった。
ざっと、2680円。
「これは、なーに?なんのお金?!」
と尋ねるごとく、横に立つ女性を、再度、私は思いっきり見てしまった。
女性は、また、例の声で、
「・・・じゃ、結局、私は、どうすればいいんですか・・・?!」
ジャガイモ君が、
「ですから、このままでは送れませんから、
こ、こちらをお求め頂いて、」
と、現金書留の封筒を。
女性は、ジャガ君の説明をさえぎり、
さっきとは打って変わった大声で、
「私が書いてきた、この封筒は、む、無駄だったんですねーーっ?!」
と、握りしめていたペランペランの茶色の封筒を、
ジャガイモ君に突き出した!
いなや、破った!
捨てた!
衝撃のあまりナス君、立ち上がった!
床に落ちた封筒の破片には、えらいヘタッピな字で「新潟県」の宛名が。
女性は、
なにやら独り言を言いながら、
カウンター上のお金をつかみとり、
下げていたシャカシャカ袋にほおりこみ、
小走りで去って行った。
 年齢、26,7才。
ペンキだらけのウインドブレーカーに、ジャージズボン。
薄汚れた運動靴。
髪を2つに結わえていた。
シャカシャカ袋には、500mlのペットボトルのお茶が1本。
・・・演劇人なのだろうか・・・・・・
アングラの。
なにか悪いものを見てしまったような、
毒に当てられたようなジャガ君とナス君に、
私は、なんとな〜く詫びたいような・・・。


1月16日(金よう日) 日直・鬼界
今日は、ミスドの肉まんから微量の銅が検出されたことについて語りましょう。
と、思ったんだけど、
今、すっごく気になることがあるの・・・。

最近、オナラがすっごく臭いのです。
もちろん、僕のオナラが臭いことは
すでに小学校時代から有名でした。

「ヤスオは歯ぁくさい、ヒロミはへがくさい」
と全校中に勇名がとどろき渡っていました。

注:中村ヤスオと中村マサオはほんとにソックリの双子で、見分けがつきませんでした。
が、ヤスオの口臭が異常に臭かったので、
みんな、においで2人を区別していたのです。
注々:「鬼界さん」がいっぱいいたので、僕はヒロミと呼ばれてました。

‘卵が腐ったようなニオイ’とよく言われますが、
最近の臭さはそんなもんじゃありません。
‘BSEにかかった牛の脳髄を食い、しかも鶏インフルエンザにかかったニワトリが産んだ卵が、
腐ったようなニオイ’
鼻がもげそうな香り。
失明しそうな刺激。
「こ、こ、こんなもんが、よくも、人間の体内で生み出されたものだ・・・」
人間の無限の可能性に圧倒されます。

どういうことなのでしょう?
初夢が暗示していたのは、このことだったのでしょうか?
腸が腐る奇病にかかっているのでしょうか?
すっごく気になります。


1月15日(木よう日) 日直・橋本
 牛肉といえば・・・
焼肉屋チェーンを経営する社長が、友人にいる。
ず〜っと昔、
何度か一緒にお芝居をした。
お父さんのあとを継いだのだが、
それにしたって、
あまりにも華麗なる転身ぶり。
現在、BSE問題で苦労も多い中、
見事な経営手腕を振るっている。
覚えているかた、いらっしゃったりして?
「バックスバニーとエルマーファッド」というタイトルのお芝居で、
初演時は、
犬の着ぐるみを着て「忠犬ハチ公」を、
再演時は、
パンティーを頭にかぶった「怪盗ゴールドフィンガー」を演った人なんだけど。
 当時、
根木(彼の名字‘ねぎ’)ちゃんの住むアパートと、
私がR子と借りていたマンションは、
目と鼻の先。
稽古場へは、根木ちゃんも私もバイクでかよっていたので、
行き帰りは、いつも、一緒だった。
いろんな場所の公共施設やら何やらを借りて稽古場にしていた当時、
道をよく知っていた根木ちゃんが、
本当に頼りだった。
 稽古のあと、飲み会がない日、
ちょっとだけでも誰かと飲みたくて、
よく、根木ちゃんちに寄った。
2人で、
バイクで家の近くまで帰ってきて、コンビニへ。
買うものは、いつも決まっていた。
500mlのビールをひとり1缶づつと、
ポテトチップスと、
おでん。
「汁ごと鍋にあけて温めればOK」という、
5種類くらいの具が入った袋入りのおでん。
オンボロアパートの1階、
「風呂場にタケノコが生えてきた」という根木ちゃんの言葉が、
かなり気にかかったが、
なかなか居心地のいい部屋だった。
小鍋で温めたおでんとポテトチップスをつまみにビールを1缶飲みながら、
その日の稽古のことなど話すと、
「ちょっと誰かと飲みたかった」気持ちも済み、
「じゃ、また明日ね〜」
と、私は満足して、
バイクで1分の家に帰ったものだ。
 根木ちゃんは、
今は、
コンビニで買ったおでんなんか、食べてないんだろうな。
私は、今でも、
稽古のあと飲み会がない日には、
コンビニに寄って、つまみにおでんを買う生活です。


1月14日(水よう日) 日直・鬼界
今日は硬派です。
昨日、初めて知って、ビックリしました。
BSE問題について語りましょう。

日本で3年前に狂牛病が見つかったとき、
アメリカはさっさと、日本からの牛肉の輸入を禁止した。
そして、いまだに輸入禁止が続いている。
「すいませんでしたっ!これからは一頭残らず、ぜーんぶの牛を検査します。
ぜったい安全ですっ!だから、また輸入してくれませんかね?」
と日本がお願いしているのに、知らんぷりだ。
そして、今回、
アメリカで狂牛病が見つかり、日本がアメリカからの牛肉の輸入を禁止するやいなや、
輸入を再開しろと要求している。
その理由が
「一頭残らず、ぜーんぶの牛を検査する?
バカ言ってんじゃないよ。そんなことヤダよ。
ただ、検査をすっごく強化するから、それで充分だろ、ジャップくん」ということだ。
どういう強化かというと、
たとえば、今までは100万頭に1頭の割合で検査していたのを、
100万頭に100頭の割合にするということだ。
理屈としては、検査を100倍強化したわけだ。
が、100万頭から100頭検査しようが、1頭検査しようが、意味ないじゃん。
ほとんど検査してないし。

アメリカ人の思考回路はどうなってんの?
「オレたちのやってることって、ちょっとヘンじゃない?」
とは思わないのだろうか?
思わないんだろうね。
「自分達の利益を守ってるだけさ。当然の行動だ」
とか思ってんだろうな。
「だって、オレたちこそは世界で一番エライんだもん。」
とも思ってんだろうな。


PS:初夢の中で何をしていたのか、いまだに思い出せません・・・・


1月13日(火よう日) 日直・橋本
 おとといの日誌に、
鬼界さんは、
「初夢の中で、
大地震が起こった時、
小学校の教室で、僕と皆は、一体、何をしていたんだろう・・・?
ウキウキって感じではなく、
ゴソゴソ、シズシズって感じでやってたんです。
“何をしていたか”によって、
一発逆転、最高最上の吉夢になるかも♪
そして、
最低最悪の凶夢になるかも・・・。
一体、何をしていたんだろう・・・?」
と書いています。
気になりますか?
気になりますね?
気持ちはわかります。
正月早々、すっかり「悲しい人」になってしまい、
ワラをもつかむ気持ちなのでしょう。
お察しします。
“何をしていたか”、
思い出すヒントにして下さい。

「皆で教室の机に向かい、ゴソゴソかつシズシズやっていること」というと、
あまりアクティブな作業ではない。っつーことになりますね?
残念です。
夢の中での‘アクティブな行動’は、
‘イイ暗示’の場合も多いのですが、
‘コソコソした作業’は、
たいてい‘ヨクナイ暗示’なのです。
しかし、ご安心を。
そんな中にも、
イイ意味を示す作業が、わずかに有りました。
もしも、これだったら、吉夢へと転がる可能性ありです。
 1.おできをつぶして、ウミを出していた。
   あるいは、
   かさぶたを取りまくり、机の上に並べていた。
         
         ※膿(うみ)・・・旺盛な生命力・活動力
         ※かさぶた・・・事態好転・問題の解決

 2.気持ち悪くなって、皆で、静かにウエッウエッと、えづいていた。

         ※気持ちが悪くて吐く・・・人間関係・恋愛がウマクいく

一方、
もしも、これだったら、大凶夢です。
  1.ヒマにまかせて鼻毛を抜いていた。
  
          ※体毛が減る・・・自信喪失、友人・恋人の離反

  2.ヒマにまかせてヘソのゴマを取っていた。

          ※ヘソが痛くなる・・・あなた自身あるいは肉親の事故・病気

う〜む。
4つとも、有りそうな無さそうな。


1月12日(月よう日) 日直・鬼界
成人の日だ。
でも、成人式は昨日の日曜に済ませた市町村が多い。
翌日の学校や仕事を気にせずに楽しめるし、
帰省する人にとっても便利だからだ。

と、ニュースで言っていたのだが、
成人式のために帰省する人って、よくわからない。
なぜわざわざ成人式なのだろう?

大人になるケジメだから?
まさかね・・・。
思い出になるから?
・・・・そう?

懐かしいみんなに会えるから?
でも、会いたいのって、結局、仲のいい(orよかった)友達だけだから、
個人的に連絡をとって集まったほうが楽しい。
成人式には、会いたくないキライなヤツも来てるから、
かえってめんどくさいのではないかしら?

と、考えると、
そもそも、なんで成人式に出席するのだろう?
実は、なんか楽しいことがあるのかしら?
女の子は晴れ着を着れるけど、
男は関係ないし・・。
そんなにかわいくもなく、仲良くもなかった女の子が
二十歳になって、とても美人になってたら、
もうけもんだから?
知らない子を口説くよりはラクか・・・

行っとけばよかった?成人式。


1月11日(日よう日) 日直・鬼界
僕の初夢は最低最悪だそうです。
  →詳しくは、こちらをクリック。

地震の夢なんて生まれて初めて見たです。
異常にリアルだったです。
古い公団の倒れるカベなんて、カベの断面まで見事に細かく見えてたし、
部屋の内部もテーブルや炊飯ジャーやら、見事に細かく見えてました、
茶色の高層&高級マンションの崩れ方なんて、
上階の外側が崩れだし、その落ちていく破片が下の階のベランダにぶつかり、
ベランダの手すりがへしゃげます。
そして、いよいよ揺れが強くなると、
皮をむくように外側からガラガラと崩れ落ち、建物が徐々に細くなっていくのです。

事務所で初夢の話しをしながら、
「オレって、観察力がスゴいじゃん」と思い、
「オレって、感性も豊かじゃん」とも思い、
「こんな夢、誰にも見られまい。オレって、けっこう、尊敬の対象?」と、かなりいい気になってたのに・・・
ぜったい、吉夢だと思ってたのに・・・
おっかしいなぁ・・・
悲しいなぁ・・ツラいなぁ・・

とても気になるのは、
夢の中で、地震が起こる前に「何かを」していたのですが、
何をしていたのか、思い出せないのです。

小学校の、暗い、天井の低い教室で、大勢で・・・・

ゴソゴソって感じでやってたんです。
ウキウキって感じじゃなく、シズシズって感じだったなぁ。(「ワンワンコーナー」か!)

これが思い出せたら、一発逆転かもしれないじゃないですかぁ。
「○○○をやってて地震が起こったんだったら、最高最上の吉夢!」みたいな。

思い出せないんだよなぁ・・・なんだっけなぁ・・・

でも、こわいのは
「×××をやってて地震が起こったんだったら、もう、最高に最低最悪の凶夢!!
せめて、×××をやってなきゃマシだったのに・・・」
と、なることです・・。


1月10日(土よう日) 日直・橋本
 「飲もう」
と、H子からのお誘い。
H子の部屋で飲むのが常だが、
行って、また、
「つまみ作ってる間に、洗濯物たたんでよ」
とか言われたら、たまらない。
自分のパンツたたむのもおっくうなほど、首が痛いのに、
なんで、
H子のスケベなパンツを、あたしがたたまなきゃいけないのさ。
ということで、
今回は、外で飲むことに。
 午後6時半、チャリンコでH子宅に。
H子のマンションの正面玄関横に、チャリをとめ、H子の部屋へお迎えに。
すっかり準備が出来ていたH子と連れ立って、
H子のチャリンコを取りに、マンションの敷地内にある駐輪場へ。
H子の住むマンションは、
100世帯近くが住む大型マンション。
敷地も広く、
駐車スペースも、敷地内に完備されている。
その駐車スペースもある中庭を通って、チャリンコ置き場へと、H子と歩いていた。
1台の車の前に、カップルが。
ちょうど、中庭を照らす外灯がない場所だったので、
暗くて、顔はよく見えなかったが、
どうやら若夫婦といった感じ。
車で外出して帰ってき、駐車し終えた・・・といった様子。
H子は、
「こんばんはー。」と、声をかけた。
誰が誰だか、よくわからんが、とにかく、
「ま、同じマンションに住む住人だから」
ということで、誰にでもアイサツだけはかかさないH子。
私も、
「こんばんはー。」と、声をかけておいた。
夫婦の横を4メートルほど通り越した時だろうか、
ゴショゴショとささやく女の声が、うしろから・・・。
「水商売よ、きっと。」と。
で、男が、
「しーーーっ!」と。
・・・・・・・。
チャリンコ置き場は、もう目の前だ。
H子と私の行く先には、そのチャリンコ置き場しかない。
私たちがチャリンコを出しに行くのは、夫婦にバレバレだ。
ってことは、
夫婦の目に、私達が、どのように映ったかというと・・・・
「駅前かなんかのチンケな店に、チャリンコで通勤するホステス」・・・ってことだ。
・・・だっせぇ・・。
うらぶれ過ぎ。
ハタと立ち止まったH子と私、
なにげにUターン。
チャリンコ置き場を目前に、私達は、きびすを返したのだ。
そして、
まだそこに居た夫婦の前を、
堂々たる歩みで通り過ぎざま、
私達は、こう言った。
「駅まで行くの面倒だから、やっぱり、ここにハイヤー呼んじゃおう。」
「そうね。銀座につく前に、ちょっとだけ寄り道していい?」
「オッケー。」
よしゃ。
これで、あの夫婦は、確実に、
私らを「銀座のホステス」だと思ったに違いあるまい。
・・・無理ある・・・?
1度、H子の部屋へ戻り、
10分後、出直した。

それにしても・・・。
それこそ、駅前の居酒屋ごときに行くぐらいで、
そんなハデなナリすんなよ、あたしたちも。


1月9日(金よう日) 日直・鬼界
近所の靴屋で激安セールをやっていた。

デッカ〜いチラシに載ってた商品の一部を紹介すると、
adidas‘リード’ 通常5900円の品が1900円!
adidas‘カントリー’ 通常9600円が2450円!! などなど

これは安い!
とにかく安い!

連日、タイムサービスをやりまくり。
AM10:00から、「超激安タイムサービス」をやり、
PM2:00からは、「ドッキリ価格タイムサービス」が行なわれ、
PM4:00になると、「衝撃価格タイムサービス」が始まり、
PM5:00には、「ビックリ価格タイムサービス」がスタートする。

タイムサービスやりすぎ・・・。
が、
これだけ、タイムサービスをやり、
あんな、デッカ〜いチラシを作っているのだから、
店側はよほどチカラを入れ、
客もよほど集まるのだろう。

僕の目当てのクツは、5時からのタイムサービス品だ。
絶対ほしい。
僕は4時前に家を出た。
並ぶ覚悟だ。
商店街を歩いて行くと、
靴屋のバイトのおねーちゃんがあちこちで
デッカ〜いチラシを配っている。
ううむ、家を出るのが遅すぎたか・・・
正月の福袋は徹夜で並ぶのが当たり前だ・・・
僕は小走りになった。
店の前では店長らしき人がマイクで客寄せをしている。

「4時からのタイムサービスは、今、たった今、開催中ですっ!
お早くどうぞっ!
5時からもタイムサービスやりますっ!
おひとり様1点限り、商品ごとにお並びくださいっ!」

店内に飛び込むや、僕は勢い込んで尋ねた。
「ケッズのビガーUは、どこに並ぶんですかっ?」
「2番のプラカードの下になります」と答えた店員が
僕を案内してくれた。
かなり広い店だ。
どんどん奥へ案内されていく。

おや?

広い店内に客は2,3人しかいないではないか・・・
なんかヘンだな・・・

「こちらです」と案内された2番のプラカードの下には、
だーれもいなかった。
「よっしゃっ!!一番乗りでいっ!!」と喜んだ。
が、
待てど暮らせど、だ〜れも来やしない。
山と積まれたビガーUのクツ箱の前にいるのは僕だけ・・・
それどころか、
店内はずっーーーーと、客まばら状態だ。
うへぇ、人気なかったんだ、この店。

カッコわるぅー!
恥ずかしっ!!

そばを通る店員がチラチラ僕を見ていく。
「この人、なんでこんなに早く来てんの?バカ?」
と思われてんじゃないだろうか・・・
「そんなにしてまでビガーUを安く買いたいの?貧乏人だ・・・」
とさげすまれてんじゃないだろうか・・・

そんなことを悶々と思いながら1時間近く待って、ビガーUを手に入れた。
5時前に来たのは、僕を含め、たった3人だった・・


1月8日(木よう日) 日直・鬼界
昨年12月、小学校にキチガイが乱入し生徒を傷つけた事件がありました。
実はあれ、
京都府宇治市立宇治小学校、
すなわち、僕の地元だったのです。
お正月に帰省した時に、両親にいろいろ聞いてきました。
その報告です。
ただし、問題あるのでよそで言ってはいけません。

テレビの報道を見ると、
事件発生後、宇治市内は騒然としていたようだったので、
その様子を母に聞いてみた。

「はあ?騒然って、宇治小の事件が?
あんなん当たり前のこっちゃ。
テレビの人がぎょうさん来て騒いではったけど、
あれ見て、ようわかったわ。
テレビのニュースなんて、テレビ局が好き勝手に作るもんや。」

「はあ?」って、こっちが言いたいわ!
どういうこと?

実は、宇治小のある地域は、
「精神病院の密集地域」(父談)なのだそうだ。

「み、み、密集って、何軒集まってるの?」と尋ねると、
父は得意そうに
「2軒もあんねん」と胸をはって自慢していた。
自慢することかい!
しかも、2軒で「密集」って言うな!

さらに、父は自慢げに続けた。
「2軒のうち、1軒は府立の精神病院や。
そやから、宇治市内はもちろん、
清水寺や金閣寺や嵐山に住むキチガイから、
日本海沿岸、‘天の橋立’に住むキチガイまで、
京都じゅうのキチガイが集まってんねん。」

いつも病院は満員状態。
そのうえ、各地から続々とキチガイが送り込まれるから、
少しでも症状が軽くなったら、
即、退院させられるのだそうだ。
でも、通院しなきゃならない。
だから、宇治小近辺には
通院キチガイ用の長屋や安アパートがやたらにあって、
キチガイの人口密度がものすごく高い。
キチガイが四六時中ウロウロゾロゾロ歩いているのだそうだ。
「キチガイの原宿」と呼ばれてるらしい。

そんなわけで、以前から一般住民とのトラブルも多発していたので、
宇治小の事件は地元にとっては起こるべくして起こったんだって。

ね?問題あるでしょ。
決してよそで言ってはいけません。


1月7日(水よう日) 日直・橋本
 なにが怖いって、
フッと横を向いたら、
隣りで運転してるヤツが熟睡してるのを見たときが1番怖いです、あたし。
しかも、
「あまりの睡魔に、ちょっと目つぶっちゃった」
とか、
「つい、ウトウトっと・・・。」
とかいうような、
可愛らしいもんじゃなかったですからね、R子は。
ガックリ、首、落としちゃって。
ハンドルにかけた手首、ブランブランさせちゃって。
死体かと思いましたよ、あたし。

 ところで、
昨日、
「R子と、遠距離で1年間付き合っていた男」と書きました。
記憶力のイイかたは、
「ありゃ?R子ちゃんは、8年間付き合った彼と、おととし別れたよねぇ?
ってことは、スグ、新しい彼ができたってこと?」
と、お思いのことでしょう。
(・・・ぜったい、居ないな、思ってる人。)
そうです。
もらい物の高級肉をステーキにしようと仲良く焼き始めたはいいが、
焼き方にいちいちナンクセつける彼氏にブチきれたR子が、
「じゃ、自分で焼きなさいよ!」
とフライパンの中からステーキをわしづかみし、彼氏に投げつけ、
「あつっーー!あつっーーー!」
と激怒した彼が、
そのステーキをR子にブツケ返し、
そうして小1時間、お部屋の中をステーキが飛びかった・・・
という、
「〜R子、8年間の愛の破局〜 終止符はステーキで打たれた篇」
を、おととし書きました。
で、けっこうスグ、出来たらしかったです、新しい彼氏。
名古屋の本社からR子のいる東京支社へ短期出向してきていたソノ彼と、
たまたま2人で残業し、
「いい雰囲気になり、そのまま・・・・・・。」(by R子)
だったんだってさ。
ふ〜む・・・。
「いい雰囲気」ねぇ。
「いい雰囲気」って、たまに耳にするけど、実際、どんな雰囲気なのかしらん・・・。
「いい雰囲気」を実感したことないぞ、考えてみると。
あれぇ〜、なんかいいなぁ〜、「いい雰囲気」。

 それにしても、
男女の別れと出会いって、突然やってくるものなのねぇ。
ステーキの焼き方がキッカケで別れ、
残業がキッカケで、・・・・・か。
しかし。
安易に結びついたソノ名古屋の彼は、やはり、ロクでなしだった。
私の予感的中・・・だ。


1月6日(火よう日) 日直・橋本
 あけましておめでとうございます。
おみくじ「凶」をひいたわたしく橋本が、
新年イッパツめの日誌をお送りいたします。
さぁ、
絶望のふちに立つ皆さん、
この晴れやかなる年頭であればこそ、
いざ行かん。
さらなる絶望の底へと。
ご一緒に。

おおみそか。
8歳の時からの親友・R子と、恒例の年越し。
R子の家で・・・という前年までとは趣向を変え、
私の家の近所の「つぼ八」で飲むことに。
駐車場つき。
どこに行くにも愛車オンリーのR子にとっては、
「駐車場つき」は必須。
「飲酒運転は、助手席の人も罰金」というのが、
おおいに気にかかったが、
飲んだあと送ってもらう我が家は、「つぼ八」と目と鼻の先だし、
ま、大丈夫だろうと。
(たとえ、
私を送ったあと、ひとり帰るR子が捕まったとしても、あたしゃ知らん。)
それに、
R子の運転技術はバツグン。
シラフの私より、泥酔のR子のほうが100倍上手い・・・っつーくらい、うまい。
ま、大丈夫だろうと。
 12月31日午後6時半、つぼ八。
一緒に飲むのは久し振りゆえ、
まずは、互いの近況報告。
「あたし、今年の正月、初詣に行かなかったんだよねぇ。
そのせいかなぁ。今年は、いいことなかったなぁ。」
と切り出したR子の悲惨話。
  ●2月・・・事故る。車、買い替え。
  ●5月・・・勤めていた会社の‘東京支社閉鎖’により、失業。
  ●10月・・・遠距離で1年間付き合っていた男、
         この頃からR子への金の無心が頻繁に。
         「あんたが電話してくる時って、いつも、お金の話ばっかじゃん!
         たまにはチガウ用件で、電話してみたら?!」
         と怒ると、
         以後、パッタリ、電話こなくなる。
         どうやらチガウ用件は無かったらしい。
         男に貸したン十万、いまだ返却されず。
  ●12月・・・R子と折半で、3LDKの一軒家を一緒に借りて住む妹が、失火。
         ボヤで済んだが、
         大家に引っ越しを迫られる。
         が、まだ、新居決まらず。
  ●12月・・・17年苦楽を共にした愛猫の死。
どうなんでしょう?皆さん。
やはり、
R子が昨年の正月に初詣をなまけたのが、元凶?
それにしても。
あー、良かった、私じゃなくて。
あー、良かった、ひとごとで。
 午後11時半、つぼ八を出る。
「歌いながら新年を!」ということで、近くのカラオケへ。
カクテルを数杯ずつ飲みつつ、ガンガン歌う、古い歌ばっかを。
明けて1月1日、午前2時半。
「初詣に行って、厄を落とそう!
今年は、いい年にするぞ!」
と意気込むR子にノッカリ、大きな神社へ向かう。
午前3時半。
大吉をひいたR子は、
「こーゆーのは、気のもんだから。まぁ、あんまり気にすんな!」
カンラカンラと笑い、
凶をひいた私をなぐさめ、
屋台でビールとたこ焼きをおごってくれた。
午前4時10分。
事故る。
R子の居眠リ運転。
道路の中央のガードレールのような柵に突っ込む。

R子、
2年連続、年明けを事故で飾る・・・の巻。
そして、私は、
暮れに‘寝ちがえ’て痛めていた首、悪化。すごく悪化。
整形外科医院通いは、続く・・・。
「凶」をひいたとたん、これかよ。
1年は、始まったばかり・・・。長いよ?1年。
こえ〜よ〜。
R子の二の舞いかよ〜。
ぜつぼうだ〜。
そして、「大吉」をひいたにもかかわらずR子の不幸も続く。