鬼橋日誌(おにはしにっし)
鬼界事務所の構成員、鬼界と橋本が書く日誌です。
・2000.5.12〜12.31の日誌は、こちら
・2001.1.4〜5.31の日誌は、こちら
・2001.6.1〜10.21の日誌は、こちら
・2001.10.22〜2002.3.30の日誌は、こちら
・2002.3.31〜8.31の日誌は、こちら
・2002.9.1〜12.31の日誌は、こちら
・2003.1.5〜5.5の日誌は、こちら
・2003.5.6〜9.2の日誌は、こちら
・2003.9.3〜12.31の日誌は、こちら
・2004.1.1〜4.30の日誌は、こちら
・2004.5.1〜8.31の日誌は、こちら
12月31日(金よう日) 日直・橋本
12年前の今日、
真夜中、
私はニワトリになっていました。
某レストラン主催のカウントダウンパーティに、スタッフとして参加。
私の仕事は、
「ニワトリになって、年明けの瞬間、鳴く。」というもの。
「とにかく深夜0時ジャストに鳴いてくれれば。
あとはお任せします。」と。
「とにかく鳴けばいい。」と言われても、
ニワトリ(に扮装した人)が出てきて、
いきなり「コケコッコ〜!」と叫ばれても、
お客さんは、きっと、「はぁ〜?」だ。
ヘタしたら、場内シ〜ンだ。
世の中で、‘ある種のシ〜〜ン’ほど怖いものはない。
元旦からそんな目にあったら、
残り364日を生きていく自信も失せるってもんだ。
そうよ。
お客さんには、なんの違和感もなく「コケコッコ〜!」を受け入れてもらわねば。
そして、もしも、
拍手喝采・やんややんやの賞賛の嵐に包まれたなら、
私は、3度だって4度だって鳴いてみせるわ、コケコッコ〜と。
そうね。
深夜0時になるチョット前に登場し、
お客さんに、‘ニワトリ慣れ’してもらおう。
どこからともなくバタバタバタバタと飛んできて、
コケッコケッ・・コッコッコと、辺りのエサをつついていたと思いきや、
コケコッコ〜!と、ド肝を抜いた雄叫びで、新年の幕開けを告げる・・・と。ね。
よし、この段取りで行こう。
深夜0時までの数時間、
ミュージシャン達が、歌や演奏でお客さんを楽しませている中、
裏で、ひとり、ボサ〜ッと待つ私。
ニワトリの扮装にもなり終え、
これといってやることもないので、
ウイスキーのボトルをこっそり持って来て、飲むことに。
「ニワトリになって雄叫ぶ」なんてことをするには、
シラフより、少しくらい酒が入っていた方がいいのだ。
ひとり、グイグイ。
もう、ドンドン飲んじゃって。
ふと気づくと、
「5・・4・・3・・」という、場内、声を合わせたカウントダウン。
ヤベェ!
慌ててニワトリの頭をかぶり、
「ただ人間が走ってます」という走りで、ステージへ。
しかし、
時、既に遅し。
新年は明けて、もう14秒も経過していた。
新年の歌(?)が流れ、
「おめでとう!」「おめでとう!」と、皆が声を掛け合っている。
ぜんぜんニワトリの出る幕じゃない雰囲気。
私は、
コッ・・コッ・・コッ・・と、一応、声はニワトリのくせに、
「ただのウロタエた人間」の顔で、
誰にも聞こえないように、
ちっさな声で、コケコッコと鳴いてみた。
案の定、
だっれも聞いてないようなので、
ひとりスゴスゴと去ったのだった・・・。
あれから12年。
12年?!
うひ!成長してないぞ、私。
こんな私を、
今年も1年間、お見守り下さり、感謝いたします。
掲示板やメールでの皆様とのやりとりだけが、
私の、更新していく原動力でございます。
来年も、どうぞ宜しくお願いします。
12月31日(金よう日) 日直・鬼界
いよいよ今年も終わりです。
一年間どうもありがとうございました。
「本職は日記書きなの?」と尋ねられたこともありました。
よくぞ書いてると思います。自画自賛。
また来年も書いていこうと思います。
よろしくお願い申し上げます。
新たな年が皆様に幸多からんことを祈りつつ
2004年は以上でーす。
12月30日(木よう日) 日直・鬼界
中華屋へ行った。
ドアを開けるなり驚いた。
正面のテーブルで店のオバサンが大口開けて
焼いもを食ってるし、その横では
子供がイスに寝そべっている。
人んちの茶の間にお邪魔したのかと思った。
オバサンは慌てて焼きいもを飲み込み、
中国語で子供をしかった。
(言い忘れましたが、中国人夫婦がやってる中華屋です。
オバサンは、毛沢東に似ています。うっすらヒゲもはえてます。)
「ほらっ、お客さんが来たよ。あんたはあっち行っといで」
というようなことを言ったのかと思ったら
子供は姿勢を正し宿題を始めたではないか。
「ほらっ、お客さんが来たよ。行儀よく宿題しないと笑われるよ」
と言ったらしい。
叱り方が間違ってないか?
ここは店なのでは?
それとも、やっぱ、半・茶の間なのか?
「定食って、できますか?」
僕は尋ねた。
外に出してあった看板には
ランチの定食はあるが、夜は一品料理しか書いてなかったから。
オバサンは
「うーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいよ」
と熟考した末、言ってくれた。
ホントは夜は定食やってないんだけど、ま、サービスしましょ
てな感じ。
いいとこあるじゃん。
メニューを開けて驚いた。
“夜の定食”がズラ〜っと書いてある!
やってんじゃんかよ、夜も定食!!
オバハンはあの長い間で何を考えてたわけ?
(ええい、オバハンに格下げだ)
回鍋肉定食を食べてると、
後ろでクッチャクッチャというモノを食う不快な音が聞こえてきた。
おいおい、店で犬にエサをやるなよ!
振り返ると、厨房から出てきたオッサンが晩飯を食っていた。
家族3人そろって晩飯を食っていた。
完全に茶の間状態だ・・・・。
二度と行くまい、あの中華屋には。
それにしても、中国人って、なんであんなに食い方が汚いの?
12月29日(水よう日) 日直・鬼界
駅ビルの本屋へ行った。
雑誌コーナーに女の子がいた。
あ!知り合いだ!
でも誰だっけ?
前から知ってるような気がする・・・
でも最近会ったぞ。
演劇関係者?
いや違うな・・・
仕事で会った人?
いつだっけ?どこだっけ?
と、あれこれ考えてると、女の子がこちらを向いた。
目が合った。
おや?という顔をしてるじゃないか!
仕事関係だったらマズいぞ。
とにかく挨拶しちゃうか、
「いやぁ、こんなとこで会うなんて、すっごい偶然!その後、どう?」
とか言っちゃえばなんとかなるだろ。
と、ぐずぐず考えてると、女の子がそっぽを向き歩き始めた。
「この前、鬼界さんに会ったんだけど、シカトされちゃった」
とか、どっかで言われたら超マズよ。
僕は女の子を早足で追いかけた。
肩をたたこうと手を上げた瞬間、
ひらめいた。
いつも行くスーパーのレジの女の子だ!
仕事関係でもなんでもないじゃん・・・
よかった、声かけないで。
12月27日(月よう日) 日直・鬼界
スポーツ新聞にこんな記事が載っていた。
海外下半身ニュース 今年のベスト3
・アテネ空港で英国婦人の「貞操帯」が金属探知機に反応、別室で取り調べ
・アメリカの遊覧船の乗客がヌーディスト・ビーチを見ようと片側に殺到し船転覆
・ザンビアの52歳男性が鶏とのセックスを妻に見つかり自殺
まだまだ世界も捨てたもんじゃない。
12月26日(日よう日) 日直・鬼界
深夜、タクシーに乗った。
クリスマスといえども、さすがにこの時間だと道は空いている。
が、
前を行く配送のトラックとずっと同じ経路だ。
‘吉川運輸’と書かれたトラックは
相当、重量オーバーしてるのか、
超安全運転なのか、
やけにトロトロ走っている。
僕はイライラしてきた。
が、
タクシー運転手は全然、気にも留めてないようだ。
シレっとした顔のまま表情も態度も変えない。
ま、プロだもんな。
そして、いつもどおり高速に乗った。
その途端だ。
運転手がアクセルを踏み込んだ。
ぐんぐん加速する。
あっという間に150キロを越えた。
マ、マジ・・・・?
運転手の様子をそっとうかがうと、
シレっとした顔のまま表情も態度も変えていない。
こ、こういう人だったんだ・・・。
運転手は大型トラックをジグザグに抜き出した。
マ、マジ・・・?
タクシー運転手がそんなことしちゃいけないのでは・・・?
会社にバレたらクビになるのでは・・・?
「あの、そんなに急がなくていいですよ」
って言ってみようかしら?
でも、自分に批判的な言葉を聞いた途端、
シレっとした顔が豹変したらどうする・・・・?
と考えてる間にも、
タクシーは大型トラックを右に左に抜き去って行く。
そのたびに僕は反射的に足を踏ん張る。
足がつりそうだ・・・。
てゆうか、死ぬかも・・・。
あ、そうだ、車の中で一番生存率の高いのは運転手の後ろの席なんだ!
せめて、そっちへ移動しとこう
いや、でも、自分に批判的な行動を見た途端、
シレっとした態度が豹変したらどうする・・・?
でも、そんなチューチョをしてる間に
運転手がハンドルを切りそこなったら・・・・?
ああ、どうしよう、行くも地獄止まるも地獄だ。
と、その時、
タクシーが減速した。出口に来たのだ。
助かった・・・。
なんとか無事、家にたどり着くことができた。
でも、クタクタになった。
12月24日(金よう日) 日直・橋本きよみ
素敵なクリスマス・プレゼントが届きました。
金色のリボンに包まれて、
私のところにやって来た、その贈り物は、
絵本。
送って下さったのは、
いつも公演を観にいらして下さっている、
鬼界事務所のお客様。
公演時、
毎回、アンケートにご感想を書いて下さる方なので、
お名前は、よく存じ上げている。
同封頂いたお手紙には、
「ホームページ、毎日、拝見してますよ。」と、お書き添えが。
あぁ!
そうか!そうなんだ!
日誌に書いた、
私のグリム童話好きや、
手作り絵本のエピソードなどから、
この素敵な贈り物をお選び下さったんだ!
嬉しいなぁ・・・。
絵本の題名は、
『きよみちゃんのクリスマスのねがいごと』。
きよみちゃん、すなわち私が、大活躍するお話。
【サンタクロースさま
どうしても、サンタさんのおうちにいってみたいのです。
これがわたしのクリスマスのたったひとつのおねがいです。
よろしくね。 きよみより】
という、きよみちゃんからのお手紙を受け取ったサンタさんが、
わざわざ北極から、きよみちゃんを迎えに来てくれて、
世界中の子供たちへのプレゼント作りのお手伝いを、
きよみちゃんにさせてくれるのです。
おもに、木馬のしっぽをつけるのが、きよみちゃんの仕事です。
自分が主人公の絵本。
嬉しくて何度も開きました。
「きよみちゃんは さい。」
空白ですね。
さぞ、お困りだったことでしょう。
すみません。
年齢、自分で書き入れます。
うんにゃ!
汚したくないので、やっぱ、やめます。
毎回、心の中で「きよみちゃんは○○さい。」と読むことにします。
素敵なクリスマスを、どうも有難うございます。
皆さまも、素敵なクリスマスを。
メリー☆クリスマス!
12月22日(水よう日) 日直・鬼界
今日は真冬並みの寒さなのだそうだ。
ってヘンだぞ。
今は真冬じゃないの?
12月も末なら立派な真冬だろ、一般的に。
「いやいや、1月・2月にならないと真冬とは言えないでしょう」
とでも気象庁は主張するつもりか?
そのくせ、2月になったら
「暦の上では春なのにまだまだ寒さが続きます」
とか言ってんだぜ。
どの口でそんなご都合ばっか言えるのか。
「この口か、この口か」
と気象庁の口をつねり上げてやりたくなる。
師走ということでコンパクトにまとめてみました。
みんな忙しいもんね。
12月21日(火よう日) 日直・橋本
レニングラード国立バレエ『くるみ割り人形』を観に行った。
今回は、座った席が悪かった。
前から5列めという、
私にとっては理想的な席でありながら、
集中力を持続できなかったのは、
私の前に座ったアメリカ人青年2人組のせいだ。
2幕めの始まる直前にドヤドヤとやって来たアメリカ人2人は、
幕開きと同時に、
ワインボトルのコルク栓開けに取り掛かり、
手間取った挙げ句、
ちょうど静寂のシーンで、「ポンッ!」とコルク抜いちゃって。
「飲食禁止」なので、隠れるようにコソコソ飲んではいたが、
たった50分間の上演中、
トイレには行くわワインにはむせるわで、うるせぇ、うるせぇ。
で、カーテン・コールの時は、
「ブラボー!ブラボー!」連発。
きさまら、観てなかったじゃんかよ。
そもそも、1幕めは来てもいなかったじゃんかよ。
こうして、
このアメリカ人青年らは、
私の「集中」を、さんざんジャマしたわけだが、
最も脅かされたのは、やはり、あの時だ。
あの時は確実に「集中の糸」が、1度、プッツリ切れた。
あの時とは、
舞台上がタイツ姿の男で埋まった時。
舞台の上手(かみて)下手(しもて)から、
白いタイツ姿の男らが、ウヨウヨ、わいて出るように登場。
おとぎの国のプリンス達が、ズボンをハキ忘れたような格好で、
優雅に並んでる・・・。笑ってる・・・。
バレエ鑑賞初めての時は、のけぞったが、
今は、まったく平気。
のつもりだったが、
アメリカ人青年2人が、
プリンス達登場の際、ゴニョゴニョ内緒話をし、クスッと笑ったのがイケナかった。
それが呼び水(?)となり、
私の頭の中は、雑念で一杯に。
英会話のテキストに、
「次の文を英訳しなさい。
‘どんなことでもするが、僕はバレエのタイツ姿にだけは、なりたくない。’」
という問題が載ってい、
そのさし絵が、どエライふうに描いてあったこととか思い出し、
いや、イカン、イカン、
可笑しくない、可笑しくない、
だって、ほーら、タイツ姿ってカッコいい、
なんだったら、付き合う人は、いつもタイツ姿でいてほしい、
ホントか?笑っちゃうね、がっはっは、
ダメだ、なんか悲しいことを考えよう、
飼っていた猫の死とか、
そう、死んだミーコ(オス)の○○○は、
どぅああーーーっ!
・・・私は、自分を誉めたい。
1度は、気が狂いそうになったが、
精神力で「集中」を呼び戻すことに成功。
無事、クライマックスで感動を覚えることが出来た。
まったく・・・・。
馬鹿アメリカ人2人のせいで、
無駄に精神力を使ってしまったぜ。
12月20日(月よう日) 日直・鬼界
100円ショップといえば、
最近はその品揃えの多さに驚く
が、
僕には忘れられない思い出がある。
あれは忘れもしない、たしか2年か3年前、
いや、もう3年半くらい前になるのかな・・
とにかく、ちょっと前のある日、
100円ショップに行った。
「ストップウォッチはありませんか?」と丁寧に尋ねる僕に対し、
店長と思われるオッサンは
「ストップウォッチぃぃ〜??そんなものは100円ショップにありませんよ」
と、鼻で笑うように言い放ったのだ。
ないかもしれないな・・・と思えばこそ
丁寧に低姿勢で尋ねたのに
その返事はなんだっ!!
僕は一生、その100円ショップに行くまいと心に誓った。
そして、
その数日後、別の100円ショップで
「コードの巻取りは置いてないですか?」と尋ねると
バイトのネエちゃんは
ポカンと口を開いて「はぁ?」と言った。
「テレビとかの余ったコードを蚊取り線香みたいにグルグル巻き取るモノで・・・」
と5分くらいかけて必死に説明しても
ポカンと口を開けたまま、「はあ?」と言っただけだった。
白痴かもしれない、こいつは・・・。
この店に来るのもやめようと思った。
そしたら、どうです、
今や、スットップウォッチもコード巻き取り器も100円ショップで売ってるじゃないですか。
しかも、色もサイズもいろいろあって、けっこう売れ筋なのだ。
オイラには先見の明があったのかもしれない。
ちなみに、
僕が行かなくなった2軒の100円ショップはつぶれちゃいました。
ざまーみろ、だ。
12月19日(日よう日) 日直・鬼界
100円ショップで電卓を買った。
もちろん MADE IN CHINA だ。
電池の入れ方がわからないので説明書を読んだ。
【電池交換の仕方】
@裏面のネジを四箇所外して下さい。
うっへぇー、けっこうめんどくさいぜ。
Aドライバーの先など、細い物で裏フタを浮かせてから、
裏フタを裏けて下開い。(安全の為、本品は
裏フタをカマせて裏り、開きにくくくなっております)
は?
B電池を裏交換して下さい。
どんな交換だよ!
Cカチッと音がする様、裏フタをしっかりと閉じて、
ネジを裏めて裏さい。
中国人は裏が好きなのか?
VOW!みたいな日誌になってしまった。
12月18日(土よう日) 日直・鬼界
3つ口かあ、懐かしいなぁ。
小学校の6年間で組替えが3回あったが、
組替えするたびに
クラスに3つ口がいた。
水谷弥生と、吉沢○○子と、山田ナントカか山口ナントカ(山がついたと思う)だ。
生まれて初めて見た3つ口が水谷だったので、
印象深く、フルネームで覚えているのだが、
その後は「3つ口なんて当たり前」って感じになり
名前も覚えてない。
それくらい、3つ口の人はたくさんいた。
だから、中学へ行って驚いた。
中高一緒の学校で生徒もそこそこいたのに、
3つ口が一人もいないじゃないか!
世間的には、それが一般的なんですね。
まさに格言通りです。
井の中のかわず、と言うか
所変われば品代わる、と言うか
ユダヤ人はヒゲをはやすがイギリス人はステッキを持つ、と言うか、
カルチャーショックでした。
12月17日(金よう日) 日直・橋本
新聞折込のマンション広告を見ていた、友人H子。
H子は、購入を考えてもいるので、
広告の見方も、結構、真剣だ。
私にも聞かせるべく、
セールスポイントを読みあげるH子。
「使い勝手のいいシステムキッチンを採用。
例えば、
浄水器内蔵型のシャワー水栓や、
お手入れしやすいガラストップのコンロは、3つ口。」
ぎょぎょ!
み、み、みつくち!?
ちょっと待ってください、
「3つ口」って、使っていいんですか?!
差別用語じゃないの?
「ガラストップのコンロは、びっこ。」と言ったも同然なんじゃないの?
チガウの?
前に「コンロは、」と言ってるからいいの?
3日ほど前に、時代劇チャンネルで観た『忠臣蔵』。
その中で、
「御上のご成敗は、
どう考えても、・・・落ちである。」というセリフが、5回ほど出てきた。
5回とも「・・・」の部分の音声を消していたが、
「片手落ち」と言ったのだろうことは、まるわかり。
わかってもらわないことには、
あちらとしても困るから、
「落ち」だけは残したのでしょう。
でも、
「片手」だけ消すって、どうでしょう?
「片手」に「落ち」が付いて初めて差別用語になるのでは?
でもって、
差別用語を言っちゃいけないことになってるんだったら、
「片手落ち」全部を消さなきゃいけないのでは?
「落ち」だけ残すのは、それこそ片手落ち。
「つんぼ」の「つん」だけ消して「ぼ」だけ残すようなものでしょ?
その前に、
そもそも、
「片手落ち」って、差別用語なんですね?
知りませんでした。
私は、映画にしろテレビ時代劇にしろ、
古いものをよく観るのだが、
それらの中での、
現在は差別用語といわれる言葉の使用頻度は、非常に多い。
よって、音声を消される頻度も多い。
それは、
消された瞬間、「あ、○○と言ったのね。」と、
差別用語を思い浮かべる頻度も多いということになる。
なので、
過敏になっているのでしょうか?
「‘3つ口’は、ヤバイんじゃないかなぁ。」
と私が言ったら、
H子は、
「え?やっぱ4つ有ったほうがいい?」と。
「いや、コンロの話じゃなくてさ。」と言うと、
「じゃ、なんの話?」と。
・・・・・H子は、「3つ口」という奇形すら知らなかったようだ。
「3つ口」を差別用語だとばかり思っていたのは、
どうやら私だけ・・・?
12月16日(木よう日) 日直・橋本
普通のピアノだと、
夜はさすがに弾けない。
そこで、
夜でも、気が向いた時に、
ヘッドホンをつけて練習できるようにと、
電子ピアノを買いに行った。
案外、混んでいた。
12月って、何屋さんでも混むのね。
ピアノ自体は、
価格・性能・デザイン共、気に入ったものが見つかったのだが、
一緒に陳列されていたイスが、
どうも気に入らない。
他のを探そうと、
イスのみに焦点を定め、
再度、店内を物色。
イイのが有った。
ちょっとキュウクツだが、おとな2人がナントカ並んで座れるほどの幅で、
1人なら、充分、ゆったり座れる。
試しに座ってみなくても判る。
なぜなら、
そのイスには、既に、
若い男女のカップルが並んで腰かけていた。
幅のゆったり度は判ったが、
クッションや高さなど、座り具合は、是非、確かめたい。
私は、
「この2人、もうそろそろ、立つだろう。」と踏み、
座っている男女カップルのうしろに立ち、
‘座り心地試し’の順番を待つことにした。
その2人は、
込み入った話をしていた。
ピアノに向かって、並んでイスに座り、
うつむき加減で、ボソボソ話し込んでいるシリアスな様子は、
「予算的にキツイよな・・・でも、このピアノがいいね・・・」と、
大いに悩み、相談しているのだと思った、てっきり。
チガった。
「どうせなら、クリスマス前に別れよう」という話だった。
2人の会話から察するに、
彼女は、
隣に座っている彼とは別の彼とクリスマスを過ごしたがっているようだ。
‘交際申し込み’にしろ、‘別離宣告’にしろ、
クリスマス前は絶好の機会だ、
そして、
クリスマスは、もう目の前、
彼女のハヤる気持ちは解かる。
だが、しかし、
なんで、ピアノ屋さん?
「どこか喫茶店にでも落ち着いてから、別れ話を・・・」と、
密かに彼女は心に決め、
サ店を探しつつ、
彼と他愛もない会話を交わし、歩いていた。
が、
話の成り行きで、彼女の打ち明け話に突入。
ビックリした彼が、
「ちょ、ちょ、ちょー待ってよ!
聞いてねーよ、そんな話!
とにかく座って話そーぜ、あっ、あそこに座ろう!」
と発見したのが、
このピアノ屋さんの、この長イス?
そうとしか思えない。
ピアノやイスへの関心は、この2人には、まったく無い。ゼロだ。
待ちきれなくなった私が、
「あのぉ、ちょっと、このイスに座ってみたいんですが・・・」
と声をかけると、
2人、振り返り、
私を見上げ、
おもむろに立ち上がり、
店を出て行ったのだが、
その間も、
彼の彼女への説得が中断することは、なかったのだ。
ピアノのピの字も、見てない。
見えてない。
別れ話って、
いざとなれば、どこでも出来るのね・・・。
12月15日(水よう日) 日直・鬼界
なんだかわかります?
実は、これ、バス車内の図なのです。
3、4才の子供が一番後ろの席に座り、
母親は通路に立っていました。
僕は子供の前の二人がけの席に座り、
僕の隣りでは若い女の子が熱心に本を読んでいました。
子供が母親に聞きました。
「今日は僕、押していい?」
母親は優しく笑い、うなづきました。
子供は停車ボタンを押したかったのです。
僕が降りる停留所になったので、
窓の横にある停車ボタンに僕は手を伸ばしました。
そのときです。
子供の声がしました。
「ここ?」
僕はとっさに手を止めました。
子供に押させてあげようと思ったからです。
でも、運悪く
僕の手は若い女の子の顔の前で止まっていました。
本を読んでいた女の子はびっくりして顔を上げ僕を見ました。
そして、ニコっと微笑むと、
停車ボタンを押しました。
読書の邪魔になるので僕が手を伸ばすのをためらった
と思った女の子は、僕の代わりにボタンを押してくれたのです。
でも、えらい子供でした。
不平を言うでもなく、泣き叫ぶわけでもなく、
「今度は押すよ」と母親に言いながら元気にバスをおりました。
母親は優しく笑い、うなづいていました。
僕も続いておりました。
見上げると、女の子はまた、熱心に本を読んでいました。
バスは走って行きました。
心温かい人たちが乗ったバスのお話でした。
12月13日(月よう日) 日直・鬼界
深夜、タクシーに乗った。
今日も無事、なんのトラブルもなかった。
充実感と安堵感に包まれる僕の目の前でタクシーのドアが開く。
乗り込もうとすると、ものすごいカレーの匂いだ。
運転手を見ると、ターバンをしていた・・・
なんてことはなく、
いつものところから乗車し、
いつもの道を通り、(近道を通るのはやめた)
いつものところで降りた。
いつもと同じ。
ただ、
運転手の名前が、“鬼海敏夫”だった。
鬼海と書くきかいさんは、たまーにいるんですよ。
でもスゴイと思う。
鬼の海ですぜ。どんな海なんだろう?
って、僕が他人のこと言えないね。
12月12日(日よう日) 日直・橋本
怪しい。
深夜、タクシーに乗って、
鬼界さんは、な〜にをウロチョロしとるのか?
深夜に暗躍する理由は、一体・・・?
検証してみましょう。
11月22日付けの日誌の最後、
「人には人にわからない人それぞれの幸せがあるのかもしれない
そんなことを想いながら、
僕はただ、窓の外を流れる街の灯りを見ていた。」
という文章から、
「タクシーの中では、
鬼界さんは、ちょっとアンニュイな気分で居る」ということが判る。
かつ、
ラジオ深夜便のロマンチックコンサートに耳を傾けているあたり、
普段の鬼界さんらしからぬムーディーな雰囲気に浸っても、いる。
一方、
12月7日付けの日誌、
「バックシートにもたれボンヤリしていたら、」
「・・・、まぶたが下がってきた。」
などの描写から察するに、
ずいぶん、お疲れのご様子。
何か、体力を消耗するような行為を済ませてきたことが、
容易に判断できる。
そして、
昨日の日誌。
「地図で調べると、」と有る。
‘出来うる限りの近道を地図で調べ上げる’ということは、
その道を通るのは、
1度や2度のことではなく、
今後も、同じ道を「通い続ける」ことを意味している。
だからこそ、
少しでもタクシー代を切り詰めなければ・・ということなのでしょう。
「高速にのって、」と有るのだ、
それでなくても、運賃は、かなり高額になるはず。
以上のことから、
おそらく、たぶん、だいたい、
鬼界さんの「深夜、タク帰り」の理由は、
以下のようなことだと思う。
最近、付き合い始めた鬼界さんの彼女は、
都心から離れた場所に住んでいる。
彼女は、亭主持ち。
ダンナは、
家の近所で、飲み屋『姫だるま』をやっている。
閉店は、午前2時。
ダンナが、チョットした片づけを終え、自宅に着くのは、
毎日、きっかり午前2時半。
狂いは、まず、無い。
鬼界さんは、
毎回、きっかり午前2時15分に、おいとまする。
そして、
その時間の唯一の交通手段であるタクシーを拾い、ご帰還。
と、まぁ、だいたい、おそらく、たぶん、
こういうようなことじゃないかと。
12月11日(土よう日) 日直・鬼界
深夜、タクシーに乗った。
今回は道順を変えた。
遠回りしていることに気づいたのだ。
井の頭通りを右折して、どこかで曲がれば家の前に出るはずだ。
地図で調べると、
家の前まで続く一本道があった。
そうだ、この道は以前、自転車で通ったことがある。
そうだ、井の頭通りとの角には天ぷら屋があった。目印になる。
そうだ、その曲がり角に来るまでの井の頭通りには
ニッサンかトヨタの店があって、交番があった。目印になる。
初めての道は不安なので、
地図を何度も確認し、記憶を何度も確認した。
運転手に言う言葉も何度も何度も練習した。
そして、
深夜、僕をのせたタクシーは井の頭通りに近づいた。
「井の頭通りにぶつかったら右へ曲がってください。」
百万回も繰り返したセリフのように何気なく言う。
いい感じだ。
言葉とは裏腹に、僕は必死に、ただし目だけで、目印を探す。
ありましたありました、トヨタではなくニッサンでした。
第一ポイントをなんなく通過。
次は交番だ。
なにげ感を演出するため、ウソあくびをしながら言った。
「もうすぐ交番が見えるので、それを過ぎたら左折です。」
完ペキだ。
大判の地図で2,3センチの距離だったから、
ちょっと走れば出てくるはず。
目を皿のようにして探す。
タクシーは順調に走る。
2,3センチの距離って、意外とあるもんなんだな。
信号をいくつか通り過ぎる。
コンビニを何軒も通りすぎ・・・・
おやぁ????いくらなんでも????ちょっとヘン????
で、でも
交番なかったっすよ????
あ!さっき、マンション工事してたぞ!もしや、あそこだったの??
で、で、で、でも
天ぷら屋は絶対なかったっ!!!!
あ!僕の見覚えがあるのは昼間の天ぷら屋・・・
もしや、のれんもしまい、電気も消えてたのでは?
「のでは?」って、そうに決まってんじゃん!真夜中だもん!!
僕がパニックに陥ってる間もタクシーは順調に飛ばしている。
ど、ど、どうする???
ドッと汗が出てきた。
運転手に聞くしかない。
「こ、こ、交番って通り過ぎましたか?」
なにげ感は吹っ飛び、崖っぷち感がモロ見えだ。
「は?」
運転手は素っ気無い返事だ。
「じ、実は、初めての道なんで、ちょっと自信なくて・・・」
あーあ、恥をしのんで、ぜーんぶばらしちゃった、
なのに、運転手はさらに素っ気無い返事だ。
「そうですか」
それ以上は何も言わず、ひたすらタクシーを走らせている。
うがっ!!この状況の全責任は僕にあるってこと??
なんとか打開せねば。
「じゃ、とにかく、駅へ行ってください」
もう降参って感じで僕は言った。
なのに、運転手は
「在京のタクシーじゃないんで、不案内です」
どこまで行っても素っ気無い!
突き放された絶望感を感じながらも
「へぇ、在京のタクシーって言うんだ」
と感心しかけたが、
「いかんいかん」と気を取り直したとき、
見覚えのある神社が見えた。
「ここ、左っ!」
思わず僕は叫んでいた。
近道をするはずが何倍も遠回りをして、ようやく僕は家にたどり着いた。
12月10日(金よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
で、結局、僕はわらびもちくず餅を買ったのか?
買ってないんですねぇ、これが。
1300円のわらびもちくず餅くらい買う余裕があったときは
十代の僕にもありました。
「♪フフ、フフン、今日は、わらびもちくずもーちでも買っちゃうか〜」
と鼻唄まじりで下宿を出たこともありました。
でも、
いざ、わらびもちくず餅屋の前に来ると、買う気がなくなるのです。
てゆうか、
買う気をなくさせるわらびもちくず餅屋だったのです。
店の前に立ち止まっても
「いらっしゃいませ」も言わないし、
わらびくずもちの箱を手に取っても
チラッとこちらを見るだけでほとんど無視状態。
売る気がないというか、
「チッ、客に来られたら迷惑だよ、ったく」って感じだったのです。
これじゃあ、人生の目標もくじけます。
そして、年がたつと、
マズそーなわらびもくずもちを買うことに抵抗感が生まれました。
どう考えても、もったいなすぎる。
わくらびずもちを買うくらいなら、金をドブに捨てたほうがマシだ。
そう思うようになったんです。
十代の純真さをなくしてしまったんですね。
そんなわけで僕はあのわらびもちくず餅を一生買わずじまいです。
※今日の掲示板もお読みください。そーしないと意味不明。
12月9日(木よう日) 日直・鬼界
昨日、新宿駅の東口改札を出て驚いた。
わらびもち屋がなくなっているではないかっ!!
驚きを表現するために、
この50倍くらいの大きさの文字にしたいけど、これが最大なので、
50倍の想像力をヨロシク。。。
いまごろ、なに言ってんの?
とあざけられるかもしれないけど、
この前、あそこを通ったときには、あったと思うんです、
改札正面の大きな柱にへばりつくように
ちょこんと店を出してるわらびもち屋が。
宇治から東京に上京した僕にとって、
あのわらびもち屋は大大大カルチャーショックでした。
あんなところでわらびもちを買う人がいるの?
だって、大都会・大新宿の大改札口の前ですぜ。
足を止めて、誰がわらびもちを買う?
名物でもなんでもないし、別に流行ってるわけでもないし、
はっきり言えば、わらびもちなんて別にうまいもんでもない。
なのに、
来る日も来る日もわらびもち屋は平然と店を出している。
これが東京なのか・・・・
十代の僕は愕然としました。
そして、
不思議なことに、
いつ見ても、積んであるわらびもちの箱の高さは同じです。
売れてんだか、売れてないんだか、まったくわからないし、
いつ作ったわらびもちかもわからない。
なのに、毎日、店をだしている。
これが新宿なんだ・・・
十代の僕はわらびもち屋に都市のエネルギーを感じました。
いつかは、あのわらびもち屋でわらびもちを買える金持ちになろう。
十代の僕の夢でした。
一箱1300円のわらびもちはあまりに高値な高嶺の花だった。
そんな人生の目標のわらびもち屋が突然なくなった。
ひとつの時代の終わりを感じてしまう。
12月8日(水よう日) 日直・橋本
私と同い年の男性で、
女子高の国語教師をしている知り合いが居る。
知り合いと言っても、会ったことはないが・・。
公演を観に来てくれたりする。
この人への年賀状が、
毎年の私の‘年賀状書き作業’の、
ストッパーというか、ブレーキというか、とどこおらせるというか、
とにかく、
ハタと作業を止まらせる。
どんな文句を書こうか、とても悩むのだ。
添削されそうで、なんか緊張する。
相手は、なんといっても、
『語句』のエキスパートであり、
日々、生徒らの作文やらテストやらで、添削グセがついているような人間だ。
気を許してはいけない。
まずは、
ちゃんとした美しい文字を書かねばなるまいな。
そして、
新年を祝い、
かつ、無沙汰を詫び、
かつ、こちらの近況を述べ、
かつ、あちらのご機嫌を伺い、
かつ、こちらの公演へのお誘い、
かつ、あちらの健康を祈る・・・と、これだけの内容を、
あのスペースに盛り込まねばならぬのよ。
しかも、
できれば美辞麗句をあやつってね。
理想をいえば、
短歌の1つも混じらせて、か?
なんせ、国語の先生だ。
古文、漢文、お手のもの。
こちらも負けてはおられまい。
その人への賀状にさしかかる前は、
順調に書き飛ばしていた。
「私の奴隷になれ」とか、
「10万ちょーだい」とか、
「坊主 ド坊主 クソ坊主」とかのチョットした挨拶のあとで、
例の、得意の『お尻マーク』、
あるいは、さらに簡略化された『ほくろ毛マーク』などを、
サササッと描き入れては、
「ハイ、次!ハイ、次!」と、絶好調ペースで枚数を重ねていたのに。
パッタリ手が止まった。
アンタのせいよ。
頭をひねり、知恵を絞り、
なんとか下書きが完成。
文法、誤字脱字の見直し。
推敲とかしちゃってさ。
しばし、いち女子高生に戻る私なのよ。
12月7日(火よう日) 日直・鬼界
深夜、タクシーに乗った。
「高速、おりたらお起こし致ししますから、寝てらしてください」
丁寧で親切な運転手さんだ。
僕がバックシートにもたれボンヤリしていたら、
運転手(敬称略)が汗をぬぐった。
汗っかきなのかな、
と思ううち、まぶたが下がってきた。
そのとき、運転手がまた、汗をぬぐった。
でも、なにかおかしい。
汗をぬぐうなら、腕を、額や頭に持ってくるのが普通だ。
でも、この運転手は
ハンドルを握ったままの腕に側頭部をなすりつけている。
汗、ふいてんじゃないんだ!
チック症だ!
見てると、だんだんわかってきた。
直線道路では平気なのだが、
曲がり角やカーブにさしかかると、チック症が勃発するのだ。
そして、車は高速にのった。
高速といえども、直線ばかりではない。
合流地点もあれば、カーブもある。
そのたびに運転手はチックしている。
時速100キロに近いスピードで車を走らせながら
0.何秒かは、前方を見ていないということだ。
「寝てらしてください」じゃねえよ!
ヘタしたら、そのまま一生、目を覚ませないよ!
僕はまんじりともせず運転手を見つめ続けた。
けど、できることはそれだけなんだよな。
バックシートにはハンドルもブレーキもないし・・・。
無力感の絶望の谷に僕は突き落とされた。
タクシーに乗って、なんでこんな思いをしなきゃいけないんだ?
病人を運転手に雇っちゃいかんよ。
12月6日(月よう日) 日直・橋本
某デパート内を通り抜ける際、
思わず立ち寄ってしまった、
‘クリスマス・グッズ’ショップ。
ツリーのオーナメントやロウソク立て等の小物から、
ケーキ型クッション等の大型の物まで、
どれもこれも、かなり可愛い物ばかりが並んでいる。
見るだけでも楽しいが、
「なにか1つ、買って帰ろ〜♪」
と心に決めて、あれこれ物色がてら見ると、
なお一層、楽しい。
所狭しと並べられた色とりどりのグッズを、
目移りしながらも、
細大もらさずナメるように見つつ、ショップ内を移動。
ふと、
ジッとたたずんで何かに見入る男の人に、
私は気づいた。
紺色のスーツ姿。
まだ、かなり若そう。
23,4才くらいか。
背の高さといい、横顔といい、
オリックスにいた頃のイチローに似た感じだ。
彼女へのクリスマスプレゼントを探しているんだな・・と直感。
デパートに来て、
私と同様、思わず、このショップに立ち寄ってしまったのだろう。
彼は、
それから、さらに2分ほど見入った後、
周辺の商品へと視線を移し、
徐々に、
たたずんでいた場所から離れていった。
逆に、
私は、「何に見入っていたんだろう?」との好奇心から、
徐々に、
彼がたたずんでいた場所へと移動。
見入っていたものは、すぐ判った。
私も見入ってしまったから。
高さ約30cm、直径約25cmの、
上部が丸みを帯びた円筒形の、透明プラスチック。
中には、
ミニチュアのお家やツリーや、トナカイのソリに乗ったサンタさん。
一面の雪景色。
小さな家々の屋根にも、積もっている。
窓から、ほんのり灯りが漏れている。
中は暖かいんだろうな・・・
クリスマスのご馳走を食べているのかな・・と、
「マッチ売りの少女」のような気持ちになって見入ってしまう。
台座のスイッチを押すと、
クリスマスソング数曲のメドレーが、インストで静かに流れ、
その小さな小さな「グリム童話のごとき世界」に、
静かに静かに雪が降るのだ。
・・・欲しいなぁ。
いいなぁ、これ・・・。
何度も雪を降らせてみては、
「買ってしまおうか?!」という誘惑にかられる。
1万2千円・・。
ちょっと高いね。
うーん、とりあえず、ガマンだ!
20分近く、そこにそうしていた挙げ句、
私は、やっと離れた。
すると、
あの彼が、どこからともなく舞い戻ってきて、
その「グリム童話の世界」を一目確認し、
お店の人に声をかけた。
「これを下さい。」
彼は、私が見入っていたのを、どこかで見ていたに違いない。
それで、自信を得たのに違いない。
「きっと、僕の彼女も気に入ってくれる!」と。
「おもちゃみたいで、彼女、気に入ってくれないかも・・・」という懸念が、
1度は、彼を、この「グリム童話の世界」から離れさせたのだが、
いい年の女(←私)も大喜びしているのを見て、
「いいんだね?いいんだね?プレゼントにモッテコイなんだね?」
と考え直したのに違いない。
イチロー似の彼、
キミは間違っていないと思うよ。
とても素敵なプレゼントを選んだと思うよ。
大丈夫、
彼女は、泣くほど喜んでくれると思うよ。
12月5日(日よう日) 日直・鬼界
2週間くらい前、
朝、ゴミ置き場で見知らぬオバサンと鉢合わせした。
「おはようございます」とむこうが挨拶するので、
「おはようございます」と僕も挨拶した。
それだけのこと。
それで終わるはずだった。
が、
それ以来、そのオバサンにやたらめったら会うのだ。
実際、ほとんど毎日会う。
朝、駅へ向かう途中で会う。
午前、商店街へ向かう途中で会う。
昼、公園の近くで会う。
午後、郵便局へ行く途中で会う。
夕方、図書館へ行く途中で会う。
朝、バス停へ向かう途中で会う。
午前、
と書き連ねてもキリがないのだが、
時間、場所に関係なく、
僕が行く所に必ずそのオバサンは出没するのだ。
尾けてんの?
それとも、もしや、僕がオバサンを尾けてんの?無意識に?赤い糸?運命?
いやいや。
オバサンはいつも白いベンツに乗っている。
ベンツでご近所をウロウロ、何してんの?
実は、あちこちの野良猫にエサをやっていたのだ。
すごーくネコ好きなんだろう、きっと。
でも、良くないんじゃないの?
あなたはエサをやる時だけ可愛がればすむけど、
ノラネコがそこでオシッコやウンコをすれば、
近隣住民がどれだけ迷惑すると思ってんの?
本当のネコ好きは、決してやらない行為だ。
いけません。
てゆうかさぁ、
そもそも、ベンツを乗り回して野良猫にエサをやりに行く、って
なんかヤな感じ。
12月4日(土よう日) 日直・鬼界
来年の年賀状のキャッチフレーズをご存知でしょうか?
年賀状 私が書くからあなたもね
ん?ちょっと違ったかな?
年賀状 私も書くからあなたもね
そうじゃないか・・・
年賀状 私書くから君も書け
近い気が・・
年賀状 この私が書くんだから君も書け
字余りだ
年賀状 私が書いたら君も義務
年賀状 俺は書かんが君は書け
年賀状 書く気はないが当たりくれ
とにかく、こんな感じのキャッチフレーズなんです、ホントに。
ちょっと押し付けがましいと思いません?
12月2日(木よう日) 日直・鬼界
風邪をひいて医者に行った。
張り紙がしてあった。
お知らせ
長谷川医師は退職となりました。
長い間、多大のご迷惑をお掛けした事
お詫び申し上げます。
院長 湯島佳伸
長谷川医師は一体なにをしたんだろう?
気になる。
12月1日(水よう日) 日直・鬼界
告発!
下の画像を見てもらいたい。
某コンビニのクリスマスケーキのチラシだ。
『素材本来の味を活かし、美味しさと安心にこだわった』そうで、
苺の生クリームケーキもモンブランケーキも確かにおいしそうだ。
が、
問題は緑色の部分だ。
予約締切日とお渡し日が書いてあるのだが、
意味のわかる人がいるだろうか?
“12月16日(木)18:00まで”に申し込めば、
“12月19日(日)〜22日(水)”にケーキを受け取ることができ、
“18日(土)まで”だと、受け取りが“23日(木)〜25日(土)”になるということか?
わざわざ早めに申し込んだのに、中途半端な時期にしかケーキが手に入らないのか?
平日の20日にクリスマスケーキを受け取って喜ぶバカがどこにいる?
そして、
24日、25日にケーキを受け取りたいなら、
17日と18日の2日間に申し込めということか?
「2日間しか受付ねえぜ」となぜにそんなに高飛車なのか?
まったく意味不明だ。
某コンビニのクリスマス物販担当者に告ぐ、
消費者サイドに立ったチラシ作りをするように。
あん?
なんだかんだとクリスマス的風潮を非難しながら、
ケーキのチラシにきっちり目を通してんじゃないの?
早期割引に間に合うように?
某コンビニったって、ローソンて書いてあるし・・。
11月30日(火よう日) 日直・鬼界
京橋を歩いていたら、
突然、便意を催した。
銀座のデパートまで足を伸ばすか、
などと安易に考えていたら、
便意は急速に高まり、怒涛のうねりが来襲した。
いかん!
周囲を見回すが、ビルばかり・・・。
そうだ!
中央区の地区会館がこの近くだ。
急げ!
震動を極力抑えた小走り姿は忍者のようだ。
お手洗いを借りたい旨を受付で告げ、
階段をソフトにソフトに駆け下り、
個室の扉を閉め、
パンツを下げ、座った途端、
死ぬかと思った。
便座が冷えきっていたのだ。
だってさぁ、今じゃ、どこのトイレも温便座になってんのが当たり前じゃん。
それに一刻を争うピンチだったから、
気が回らなかったわけよ。
それにしても、あそこの便座はひどすぎる。
特別仕様の冷便座?
キンキンに冷やしときましたっ!ってくらい冷たい。
寝不足だったら心臓麻痺で死ぬね。
あんなとこであんなカッコで死にたくないね。
ま、今日はおろしたてのパンツをはいてたからよかったけど。
どこでなにがあるかわかんないから、
やっぱ、ゴムの伸びたパンツは早めに捨てるようにしよう。
って、妙な決心してる僕。
11月29日(月よう日) 日直・橋本
「バカだ、バカだ」
と、何度か書いたと思いますが、
本当にバカです。
4年ほどかけて録り溜めた、
現フィギュアスケート界の王者プルシェンコ君が出場した試合のビデオ数本を、
ここらで編集しておこうと思い立った。
彼の演技のみを1本のビデオにまとめ、保存版にするのだ。
私の自作の「フィギュアスケーター保存版」は、
ストイコ君、キャンデロロ君のに次いで、3本目となった。
(誰だよ、それ。って?うへっ。)
ところで、
当然ながら、
この編集作業は、
録り溜めたプル君の演技を、一挙に全て見直す機会となった。
日本での大会(「世界選手権」)での演技などは、
ナマを見に行ったので、
今も目に焼きついてはいるが、
改めて見て、
これまた改めて感嘆。
さすが、天才プルシェンコ。
彼以外のスケーターは凡人だ。
彼を真似ようと試み、それが徒労に帰しているのは歴然だ。
あの表現力はプル君だけのものなのだ。
しかし、
それでも真似してみたいと思うのが人間だ。
しかも、
一挙に何度も何度も、繰り返しプル君の演技を見たことが、
「やれば出来たりして・・・?」
という、とんでもない錯覚をも引き起こしてしまったみたい。
プル君の得意技、
男性で出来る人はマレである、
“ビールマン・スピン”。
うしろに上げた片脚のつま先を、
両手で持って、スピンする。
究極のエビゾリ体勢。
このエビゾリを、「やれば出来たりして・・・?」と思ってしまったのだ。
「氷上でスピン」は無理だが、
「お部屋で形だけ」だったら・・・?と。
そう、
「死ぬほどノケゾレば、意外に出来そう・・・!」と。
・・・・・・・。
なんで、そんなこと思うかねぇ。
わたしゃ、
バレエどころか、体操もやったことないっつーの。
そんな人が、なんで、そんなエビゾれると思うのかねぇ。
ちょっとやって、ダメそうなら、そこでヤメときゃいいのに。
たまに自分が解からなくなる。
しっぷと飲み薬を病院で貰ってきた。
痛めた腰は、
完治まで、どうやら2週間ほどかかるらしい。
今年は、
首のムチ打ちで始まり、
腰をグギって終わるのね。
私って、本当にバカ。
11月28日(日よう日) 日直・鬼界
松屋で‘デミたまハンバーグ定食’を食っていると、
隣りに座った男が
自分の前に出された水を人差し指のツメでツンツンと隅に寄せ、
紙ナプキンでカウンターを拭き始めた。
まず、グラスに浸して水拭きし、
仕上げに乾拭きまでしている。
どうやら潔癖症らしい。
カウンター掃除が済むと、
はし箱の角に小指のツメをかけ、手首のスナップをきかし、ふたを開けた。
皮膚がはし箱に触るのがイヤなのだ。
どうやら重度の潔癖症らしい。
割り箸を割ると、
はし同士を猛烈にこすり始めた。
表面を削っているのだ。
男の足元にこすりクズが散乱し、割り箸は丸箸みたいになった。
箸の表面にはバイキンが付着してるが、内部にまでは浸透していないと考えているのだ。
どうやら極度の潔癖症らしい。
紙ナプキンを自分の前に広げた。
みそ汁を左右の人差し指と中指のツメの4点で持ち上げ、
紙ナプキンに載せると、
お椀を紙ナプキンでくるんで飲んでいる。
どうやら異常な潔癖症らしい。
そして、豚めしが出てくると、
箸で丼を引き寄せ、
丼をカウンターに置いたまま、豚肉と米を器用に箸ではさんで食べている。
丼には一切触れない。
豚めしをかきこまずに、
豆を食うみたいにして食べるのを初めて見た。
どうやら完璧主義の潔癖症だ。
が、しかし、
その男は毛玉のいっぱいついた薄汚れたグレーのフリースを着て、
最低3日は風呂に入ってないらしく、
髪の毛はコテコテなんだぜ。
そういうのはいいわけ?
11月27日(土よう日) 日直・鬼界
新宿の喫茶店で、
お会計をしようとレジに行くと、
ちょうど金を払おうとしている大学生のカップルがいた。
カップルとはいうものの、
付き合ってるとか
付き合おうとしてる二人ではない。
空気が違う。
クラブの帰り、たまたま一緒に時間をつぶした、先輩(男)と後輩(女)って感じ。
女の子がサイフを出そうとすると、
「いいよいいよ、ごちそうするよ」と
先輩が言った。
ま、仕方ないですね、こーゆー状況だと、
男だし、先輩だし、おごらなきゃならないです。
女の子のお顔を拝見すると、
「おごる気なくなるなぁー」という顔なんだけど、
ま、仕方ないです。
「ブレンドとアッサムロイヤルミルクティーで1750円になります」
高っ!
と僕が思ったように、
先輩もそう思ったようだ。
一瞬、サイフを開ける手が止まりましたから。
「顔に見合ったモノを頼まんかいっ!」
と心の中で叫んでも後の祭りです。
「おごる」って言っちゃったんだから。
先輩は千円札を2枚、レジに出した。
「おつりは250円になります」
と言いながら、レジのお兄さんがごそごそやっている。
50円玉がなくて、
10円玉を5枚数えているのだ。
ちょっと不器用で、スムーズに10円玉をつかめなかったが、
なんとか5枚を重ね、
100円玉を1枚加え、先輩に手渡した。
150円しかないじゃん!!
先輩も気づいたようで、
150円を受け取り、一瞬の間があり、サイフに小銭を入れた。
ま、言えないよなぁ、この状況で
「おつりが100円足りない」って。
なにも知らない女の子は
のーてんきに「ごちそうさまでしたっ」と言っていたが、
先輩は返事をしなかった。
そりゃそうだよね、「これぞ最悪」って感じだもんね。
11月26日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
タオルを持っていき、
先生の話が始まったら、
すかさず、前を隠すという方法をとりました。
先生や看護婦さんは、
一瞬、タオルに目をやったが、
先生は、普通に、また話を続けてた。
とにかく、無事に終了さ。』
わたくし、ド肝を抜かれました、
Yちゃんの方法に。
このメールを読んでからというもの、
診察室で繰り広げられた「異常な光景」が、
振り払っても振り払っても、
私の脳裡から消え去りません。
まさに狂気です。
先生の話が始まると、
おもむろに、
隠し持っていたタオルをベロ〜ンと伸ばし、
そのタオルの片方のハシを握りしめ、
もう片方のハシで、あそこを隠しつつ、
フンフン、なるほど、そうですか・・・と先生の説明を聞くYちゃんも狂気なら、
自分の顔面のド真ん前で、
タオルでフンドシ作ってる女を見ても、
クスリとも笑わない先生や看護婦も、狂気です。
なぜだ、
なぜだ、
なぜなんだ。
なぜ、
Yちゃんも先生も看護婦も笑わないんだ?
「ちょうどVの谷間に、先生のお顔が見え隠れ。」するだけでも、
充分、可笑しいのに、
そのVが、フンドシになってたら、もっと可笑しいと思うんだが。
「・・・センセ、とりあえず、パンツはいてからでいいですか?」が言えないのに、
なぜ、
‘タオルで隠す’などという、阿呆なことは出来るのか?
判らん・・・。
「病院の診察室」で、
しかも「検査」という、
特殊なシチュエーションにおいては、
普通だったらマヌケに思うことでも、
神妙にシリアスに受け止めることが可能になるのだろうか?
そうか?そうなのか?
これが、いわゆる‘病院マジック’?
うーむ、
きっと、そうだ。そうなんだ。
今、私は、作戦を思いついた。
来年、
「もろずみレディースクリニック」で検診を受ける際の、
Yちゃんの「フンドシ作戦」に勝る作戦だ。
題して
「穴あけ作戦」。
パンツに、
そこだけを見せられるような穴をあけておくのだ。
そうすれば、
パンツを脱がずとも、はいたままで診てもらえる。
フフフ・・・我ながら素晴らしい作戦を思いついたものだ。
今、想像すると可笑しいが、
そこは、病院マジック、
誰も笑うまい。
11月25日(木よう日) 日直・橋本
お友達のYちゃんから、メールが来た。
「Yちゃん」とは、
例の「もろずみレディースクリニック」を教えてくれた子だ。
ここ数年、毎年の「検診」を、
「もろずみ」で受けているYちゃんは、
「とても美しく優雅なクリニックよ。」
と絶賛。
「ショパンのピアノ曲が静かに流れる待合室には、
清潔な、かわいいピンクのスリッパが揃えられ、
フワフワのムートンカバーが掛かったソファに座り、
備品の美容雑誌を眺めながら、
診察の順番を待つ。
女医の麗子センセイは、
ファッショナブルな緑色の白衣をキリッと着こなし、
最新設備の超音波機を使って検診をしてくれる」んだそうだ。
「そこで、血液検査を受けてみたい。」
と言うY美に付き合って、
私も様子をうかがいに行ったことは、
10月30日付けの日誌にも書いたとおりだ。
確かに、
ビューティフルなクリニックだった。
45,6歳と見受けられた麗子センセイも、
キビキビしていて気持ちがいい。
ちょっとしたこちらの質問にも、
詳しく答えてくれる。
「いいんじゃな〜い?
検診を受ける時は、ここにしよう!」
Y美と私は、
そう決めて、もろずみクリニックをあとにしたものだ。
で、
冒頭の「Yちゃんからのメール」の話に戻る。
特別な用件は無く、
いうなれば近況報告。
その中に、
「今年も‘もろずみ’で検診を受けた」と有った。
そして、
Yちゃんが、
そのあと、おそらく何気なく書いたのであろう文章が、
私の目をクギ付けにした。
その文章とは、こうだ。
『麗子先生に、1つ不満が有る。
毎度のことなんだが、
先生は、
超音波機で診たあと、
ああだったこうだったと、詳しく説明したがる。
それは有り難い。
でも、
あの姿勢のままの私と会話をしようとするんだよねぇ・・・。
上半身と下半身を区切るカーテンをシャーと開け、
「終わりました。
でね、エコー(超音波)で診るとね、」という感じで、
延々話し出すの。
人の話を聞く時は、やっぱり、その人の顔を見るのが礼儀じゃない?
でも、あの体勢のまま、先生の顔を見るとなると、
「V字」越しに見ることになるんだよねぇ。
ちょうど「V」の谷間に、先生のお顔が見え隠れ。
可笑しくて笑いたくなるんだよねぇ。
「・・・センセ、とりあえず、パンツはいてからでいいですか?」
と言おうかと、毎回思うんだけど、
なかなかねぇ。
なので、今年の検診は、
(つづく)
11月24日(水よう日) 日直・鬼界
最近、とても面倒なことがあるんです。
スーパーなんかのレジです。
今、自動的にお釣りの出るのがふえてるでしょ。
レジの引き出しを開けないで、
手前の溝に小銭がザラザラっと出るやつです。
あれって、
レジのおばさんが溝に出た小銭を
右から左へザぁーっと集めてお客に渡すじゃないですか。
そうすっと、1円玉も5円玉も10円玉も50円も100円も500円も
ぜーんぶごっちゃになっちゃうわけですよ。
お財布の小銭入れポッケを
1円玉・5円玉グループと、それ以外グループにきちっと分けてる僕としては
いちいちより分けなきゃなんないから、
ものすごーく時間がかかって大変なんです。
レシートの上に乗せられた小銭を一枚一枚、
片手でより分けてると、バラバラっと小銭を落としちゃうこともしばしばあるし、
「なにしてんの?」的な目で見られることもしょっちゅうです。
かといって、
すべての小銭を一緒くたに入れる勇気はありません。
だって、ぜんぜん機能的じゃないから、
ついつい、お財布が小銭でパンパンにふくらんでしまうでしょ。
かといって、
たまった1円玉をコンビニのレジの募金箱に入れる勇気なんてさらさらありません。
1円玉でも10個集まれば10円だし、1億個集まれば1億円になるんですもの。
だからね、
まえみたいに、レジの引き出しを開けて人力でお釣りを渡してくれるほうが
嬉しいんですよ。
また、そうなんないかなぁ。
切にそう願ってんです。
ものすごく所帯じみたセコい話ですいません。
11月22日(月よう日) 日直・鬼界
深夜、タクシーに乗った。
乗車するなり、
「寒くはありませんか?」
と運転手が尋ねてきた。
べつに寒くはないと答えると、運転手は
「そうですか」と黙った。
しばらくすると、今度は
「暑くはありませんか?」と聞いてきた。
ゆるめにエアコンがかかっていたが、
べつに暑くはないと答えると、運転手は
「そうですか」と少し残念そうに黙った。
「お煙草、お吸いになっても結構ですよ」と言うので、
今はいいと返事すると、
「そうですか・・・」とさらに残念そうだ。
?
どうやらサービスをしようとしているらしい
と、気づいたとき、運転手が
「おひとついかがですか?」とガムを差し出してきた。
タクシーでガムを出されたのは初めてだ。
ひとつもらった。
消しゴムみたいな味のガムをかんでいると、
「あのぉ、お客様、ラジオを聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」
と運転手がおそるおそる言った。
この人はラジオが聞きたかったのだ!
そのためにせいいっぱいのおべっかを使っていたのだ。
僕はかまわないと答えた。
ラジオから音楽が流れてきた。
しかし、小さすぎてよくわからない。
信号で止まるたびに、運転手は
「あれ、おかしいな」と言いながら、チューニングを合わせるふりをして、
少しづつボリュームを上げていく。
はなから音量が大きいと僕に文句を言われるかもしれないから、
だましだまし適音にする作戦らしい。
涙ぐましい努力だ。
そんなにしてまで聞きたかったのは、
ラジオ深夜便のロマンチックコンサートだった。
聞いたこともない名前の熟年女性歌手が聞いたこともないシャンソンを歌っている。
お世辞にも上手いとは言いがたい。
なぜこんな歌をそんなにしてまで聞きたかったのだろう?
と思っていると、
運転手がハミングし出した。
ものすごく小さいハミングだ。
自分がハミングしていることに気づいてないのだ。
きっと自分では頭の中でハミングしているつもりなのだろう。
運転手のハミングも上手いとは言いがたかったが、
全ての曲を完璧にハミングした。
人には人にわからない人それぞれの幸せがあるのかもしれない
そんなことを想いながら、
僕はただ、窓の外を流れる街の灯りを見ていた。
11月21日(日よう日) 日直・鬼界
ご近所が次々にドアにリースをつけたり、サンタの人形を飾ったりしている。
10日以上前から電飾をチッカチッカさせてる家もある。
バカじゃねえの。
デパートやら街でクリスマスの飾りが
年々早くなるのは
あれは商売だからだ。
むこうはお仕事なの。
それを、流行りに乗っかって
11月の半ばからクリスマスやるって、ほんとバカ。
そもそも、サンクスギビングだって、まだじゃねえか。
アメリカ人に笑われるぞ。
てゆうか、
感謝祭なしで聖誕祭をやって家には仏壇があるんだろ?
世界一信用できない民族だな。
アメリカ人に軽蔑されるぞ。
あのアメリカ人に笑われ軽蔑されるなんてマジでサイテーだ。
11月20日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
稽古のあと、
ちょっとしたミーティングをする為に、
稽古場近くの、腐れ喫茶店へ。
黄ばんだメニューに書かれたドリンクは、以下のみ。
●コーヒー(ホット・アイス)
●紅茶(ホット・アイス レモン・ミルク)
●ミルク(ホット・アイス)
●ココア(ホット・アイス)
●ジュース(オレンジ・ミックス)
我々総勢9人、各々好みのドリンクを・・・。
好みのったって、
どれを注文してもクソまずそうなので、
「コーヒーでいいや。」てな感じで、
皆、コーヒーを注文。
たった一人を除いては。
そう、
天下のアマノジャク・鬼界さんだけは、
例によって、
「撲、ミックスジュース!」
「・・・こんな、はやってない腐れ喫茶店のミックスジュースなんて、
いつ買ったものか判らんぞ。
きっと腐っているにチガイない。」
と鬼界さん以外、全員思ったが、
怖いもの見たさもあるので、皆、黙っていた。
案の定、ビンからグラスに注ぐだけと見えて、
鬼界さんのミックスジュースだけが、
すぐさま運ばれてきた。
全員が見守る中、
チュルチュルとストローでジュースをすする鬼界さん。
4分の1ほどを飲んだところで、
ストローを離し、鬼界さんが言った。
「これ、オレンジジュースじゃないかしら?」
「なんで?」と、皆。
「なんか、オレンジの味がする。
ちょっと飲んでみてちょ。」
代表者2人が、ほんの一口づつ、味見。
「う〜ん、
ミックスと言われればミックスだし、オレンジと言われればオレンジかも?
てか、ミックスジュースなんて、あんまり飲んだことねーから、
味、判んねーよ。」
2人の玉虫色の感想を聞き、
「うんにゃ!これは絶対オレンジジュースだ!
ミックスじゃない!
苦情を言おう!取り替えさせよう!」
そう意気込んだ鬼界さんの計画は、こうだ。
「きさま、マチガえて俺にオレンジを出したな?
改めてミックスを持って来い。
で、そのミックスジュース代もタダにしろ。
俺は、一切、金は払わん。
なぜならばだ、
稽古のあと、ノドがカラッカラの時の、ミックスジュースのノド越しを楽しみに、
俺は、この喫茶店に入ったんだ。
でも、オレンジのせいで、ノドはカラッカラではなくなってしまった。
楽しみは、もう味わえない。
くそ〜!
俺は、
オレンジジュースではなく、ミックスジュースが好きなんだ!
ミックスを持って来い!タダにしろ!」
と、こういう展開だ。
「どうせだったら、もっと飲んどこ。」
と、グイグイ、ほとんど飲んでおいて、
ウエイターを呼びつけた鬼界さん。
残量わずかのグラスを指し示し、
「ミックスを頼んだんだけどさぁ、
これ、オレンジジュースじゃないの?
オレンジの味しかしないよ。
悪いけど、取り替えてくんない?」
ウエイターは、
「あ?!すみません!すぐにお取替えします!」
と、グラスを持ち、奥へ・・・・
となるはずだった、鬼界さんの計画では。
だが、
ウエイターは、意に反して、こう言った。
「ミックスジュースです。」
少々、横柄とも言える態度で、キッパリと。
私達の全視線を集めた鬼界さんは、
ゴクッと大きくツバを呑み、
そして、消え入るような声で言った。
「じゃぁ、いいです・・。」
なんだよ、
「じゃぁ、いいです・・。」ってのはよ!
おめーは、オレンジだと確信してたんじゃねーのかよ!
どっちつかずの、この玉虫野郎!
なにが「前進か、死か。
‘ALL or NOTHING’」だよ。
前進もなにも、
最初の1歩も踏み出さずに、死にやがって。
まったく、だらしのねぇやろうだぜ。
ところで。
ウエイターが去ったあとの鬼界さん。
てっきり取替え分も飲めると思って、
ウエイターを呼ぶ前にイッキ飲みしたので、
もう飲む物もなく、
すっかりショボクレちゃった。
私達は、
気まずさを紛らわすふうに、
鬼界さんに尋ねた。
「ミックスジュース、結構、飲みなれてんだ?
味のチガイとか判るんだ?」
鬼界さんは、答えた。
「ん?
撲、生まれてから1度も飲んだことないの、ミックスジュース。」
「・・・・・・。」
生まれて初めて飲んだミックスジュースに、
「これはミックスジュースじゃない!」とケチをつける男。
考えようによっちゃ、
これぞ、
クレーム・キング。
キング・オブ・クレーム。
11月19日(金よう日) 日直・橋本
「そんな玉虫色の解決策に妥協してどうするんだ!」と、
鬼界さんは、おっしゃっています。
「玉虫色の・・・」なんて形容詞、
今どき使ってるヤツ居たのかよ。
と思うと同時に、
「‘ALL or NOTHING’
すべてか無か。
それだけの潔さと大胆さとギャンブル魂と、ほんの少しのロマンがなければ、
苦情電話をかける資格はない」
と豪語する、
‘ミスター苦情・クレームキング’鬼界さん、
あなたに、
そんなことを言う、それこそ‘資格’があるのかい?と私は言いたい。
あれは、
ずっと昔、
そう、ちょうど、
鬼界事務所次回公演に予定している『グレート・エスケープ』の初演時の頃だから、
もう、今から十数年前のことになるのだが、
こんなことがあった。
(つづく)
11月18日(木よう日) 日直・鬼界
きのうの日誌を読んで感じた。
ダメだダメだ
ぜーんぜんダメだ!
アタマに血が上りすぎて、‘ダメ’がどす黒い紫色になってしまうくらいダメだ。
『‘中止の電話をした’証拠がない』のに苦情の電話をしたのは、大変ヨロシイ。
そして、
『返金は出来かねます。』と言われたのに、『金返せ』とダダをこねたのも、上出来だ。
が、しかし!
「7・8月分を、そちらにご負担頂き、
9・10・11月分を、こちらが負担させて頂くということで。」という提案に
『じゃぁ、それで、いいです。』と手を打ってしまうとはどういうことだ?
そんな玉虫色の解決策で
注)玉虫色・・・中途半端でどっちつかずでいいんだか悪いんだかわからない様子
満足しちゃダメだ。
ダメだダメだぜーんぜんダメだ!
考えてみなさい。
最初は「返金できない」って言ってたくせに、
ちょっとゴネたら、
一部返金すると言ってきた。
ってことはだ、
もっとゴネたら、
全部返金してくれるってことじゃないか!
もちろん、
ゴネすぎて、
「じゃあ、一部返金もやめます。最初言ってたとおり全額負担してくださいっ」
という結果になるかもしれない。
でも、それは結果論だ、臆病者のたわごとだ。
そんなことを怖れちゃいけないのだ。
‘前進か、死か’
‘ALL or NOTHING’
これこそ、“苦情の極意”なり。
ま、それだけの潔さと大胆さとギャンブル魂と、ほんの少しのロマンがなければ、
苦情電話をかける資格はない、と僕は思うね。
11月17日(水よう日) 日直・橋本
昨日の
「7億やら70億やら10万ルーブルやら」の
デカイ話のあとで、
すっごいチッサイ話なんですが。
6月1日付けの日誌にも書きましたが、
たった1本の映画を観る為だけに、
‘6月の1ヶ月間だけ’衛星劇場に加入しようと考えた私。
ソノお目当ての映画を観たら、もう衛星劇場には用はない。
計画通り、
6月の半ばに電話して、
さっさと契約を中止した。
・・・はずだった。
んが!!
‘引き続き契約’状態になっていたことが、昨日、判明。
なぜか今月に限って、
たまたまジックリと請求書を眺めていたら、
ゲロゲローーーーッ!!
「1800円 11月1日〜11月30」と、
シッカリ衛星劇場代を取られているではないの!
ってことは、なに、
7月分も8月分も9月分も10月分も取られていたってことなのかーー??!
・・・・1800円×5ヶ月=9000円
きゅ、きゅうせんえん!!
う、うげーーーーっ!!
頭に血が上り、吐きそうになったが、
気持ち悪くなってる場合ではない、
電話だ、電話!
ジェイコムお問い合わせカスタマ−センターに、電話だ、電話!
「わたくし、サワダが、うけたまわります。」
と言うので、
「契約解除したのに、
料金を引き落とされ続けている」旨を、
泣きそうになりながら、サワダに説明。
すると、サワダは、
泣きすがる私に、
優しさのカケラも見せないどころか、
冷たく言い放った。
「5月29日にご加入頂いてはおりますが、
中止手続きは、うけたまわっておりません。」
サワダの言葉は、
私を豹変させた。
「うけたまわっておりません、だ?
‘1ヶ月契約’にしたいなら、
6月半ばに電話しろと言ったから、
こっちは、ちゃんと6月の半ばに電話したんだ。
金返せ。」
「折り返し電話します。」
と、サワダは電話を切った。
しばし、サワダからの電話を待つ。
来ない。
こちらから電話。
「わたくし、スズキが、うけたまわります。」
チガウ女が出た。
「サワダという女を出せ。」
「オペレーターはたくさんおりまして、
探すことは出来ません。
わたくしスズキが、うけたまわります。」
かくかく、しかじか・・・と説明する私。
「では、早速、
サワダから、至急、電話させます。」
探せるじゃんかよ!
・・・ふざけたやろうだ、スズキ。
電話が鳴った。
出た。
サワダだった。
「こちらとしましては、
毎月、請求書をお送りしておりますので、
当然、そちらさまにご確認頂いているものと了承しておりました。
返金は出来かねます。」
と、もっともな理屈を述べてきた。
サワダのやろう、
誰かに、入れ知恵されたな?
くそ!
私もブレーンが欲しい。
私の頭じゃ、勝ち目はない。
ダダをこねることにした。
「請求書なんか見るか!
ジェイコムを信用してるからこそ、
確認もしなかったんだ!
金返せ。
あんたじゃダメなら、もっとエライ人を出せ。」
サワダは、
「折り返し、すぐに電話します。」
と言って、また切った。
10分後、
サワダは、
新たな知恵をつけられ、電話をかけてきた。
「こゆふうにしたらいかがでしょう?
中止の電話を頂いたのに、
手続きを怠ったのは、こちらのミス。
が、
ご確認頂く為に、
こちらとしては、毎月、請求書をお送りしているわけでして。
ですから、
こゆふうにしたらいかがでしょう?
7月分と8月分を、そちらにご負担頂き、
9月分、10月分、11月分を、こちらが負担させて頂くということで。」
「・・・・じゃぁ、それで、いいです。」
と、手を打った。
仕方ない。
‘中止の電話をした’証拠がないんだから。
激怒の理由は、自分で判っている。
この数ヶ月間、
衛星劇場の番組表を見ていて、
「あぁ、これ観たいなぁ。」
と思った映画が2本、有った。
「やっぱり、契約解除しなければよかった?」
とチラと思ったりして。
「ソノ映画を、私は、観られたんだ」
と思うと、なんだか悔しいのだ。
試しに、チャンネルを合わせてみればよかったなぁ。
でも、
まさか、「中止の手続きがされてない」なんて、夢にも思わなかったもんなぁ。
損しちゃったなぁ。
11月16日(火よう日) 日直・鬼界
気になるニュースがあった。
『モスクワ市内のマクドナルドで、
コーヒーをのせたトレーを片手に持っていたところ、
ドアが閉まりコーヒーがこぼれ、やけどをしたとして、
ロシア人女性がマクドナルドを提訴した。』
おおっ、ロシアもようやく先進国の仲間入りだ!
ただ、
状況がよくわからない。
どこのドアが閉まったの?
日本だったら、コーヒーを買ってから席に座るまで
ドアなんてないじゃん。
もしや、マクドナルドで買ったコーヒーをトレーに乗せて持ち帰るとき、
自分ちの玄関のドアが閉まって
マクドナルドで買ったコーヒーがこぼれたから
マクドナルドを訴えたとか?
おおっ、それならアメリカを抜く超先進国だぜっ!
ま、くわしい状況はおくとして、
アメリカでは、
ホットコーヒーを飲んでヤケドしたのは、「ホットです」と明記しなかったマクドナルドのせいだ
と、7億だか70億だかもらって
一生遊んで暮らしているヤツがいるのだ。
ロシア人もついにその真似をしたわけだ。
ガッポリ取ってやれ、というわけで
このモスクワの訴訟では、
請求額が10万ルーブル(約37万円)。
一生遊んで暮らせ
へ?
さんじゅーななまんえん?
37万円で一生遊んで暮らせんの?
そーゆーとこなの、ロシアって?
じゃあ、プロミスで500万も借りて、ロシアに亡命したら、
ロシアいちの金持ちってこと?
カムチャッカ半島ぐらいは買えるってこと?
す、すげ・・・
だってね、この訴訟を起こした女性は
「ゆすりやたかりなんかでは決してありません。」ってわざわざ会見してまで言ってんですよ。
つまり、
「ゆすりやたかりでしかありません」って宣言してるようなもんでしょ。
そんな人が請求する額ですよ、10万ルーブル。
ロシアは天国かもしれない。
ちなみに、10万ルーブルにはヤケドの治療費も含まれている。
「3週間毎日毎日、モスクワの大病院に通って、
相当の治療を受けた。」そうで、
治療費・薬代はトータルで400ルーブル、
約1300円。
安っ!
11月15日(月よう日) 日直・鬼界
駅からの帰り、通ったことのない道を通ってみた。
歩いていると、
どこからかなにか聞こえてくる。
かなり密集した住宅街だ。
いったいなんだろう?
だんだん、音は大きくなる。
どうやら、ベースの音のようだ。
空き地でバンドの練習でもしてるのか?非常識な!
さらに、音は大きくなる。
そして、角を曲がると、
開け放たれた二階の窓から大音量でヘヴィメタが流れていた。
思わず口を開けて見上げちゃいました。
お見事っ!とか思っちゃいました。
一戸建てばっかりの閑静な地域で、このアナーキーぶり。
お隣さんともめるとか、
玄関を出た瞬間に刺されるとか、そういうことは一切考えてないもんね。
よしんば、
家庭内暴力で手のつけられない息子がこの音の原因だとしても、
親がなんとかするでしょ。
だって、何十メートルもむこうから聞こえてんですよ。
息子に殴られるか、
ご近所の人にものすごい嫌がらせを連日されるかを選ぶなら、
息子に殴られるでしょ。
この地区は毎日、こんなんなのかなぁ・・?
地獄やね、音地獄、英語でいうと、サウンドヘル?
いやはや、とにかく、この近くに住んでなくてよかった。
11月14日(日よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
「手編みのマフラー」ですか。
Mさん、
あなたも、結構、手間掛けてらっしゃいますねぇ。
ご苦労さまです。
実は、
私も、
手間掛けたこと、あります、1度だけ。
編みました、マフラー。
やってしまいました。
消し去りたい過去です。
人生の汚点です。
シミです。
そもそも、私は、編物が初めてでした、その時が。
ムチャをしてしまいました。
あたら、9800円の毛糸をドブに捨てたようなものでした。
毛糸屋が悪い。
ド素人だから判るまいと踏み、
「マフラーには、こんなのがイイんでないかしら?」
と、ヘンな毛糸を売りつけた、
マリー・オリギン(占い師)似の、
あの毛糸屋のババァが悪い。
今にして思えば、到底マフラー用とは思えない、
編物上級者がセーターかなんかを編むのに選ぶような、
いや、選ばないな、
あんな高くてヘンな毛糸。
売れ残りだ、売れ残り。
4玉で9800円。
糸がケバケバと毛羽立ったうえに、
その糸が数本づつ束ねられているもんだから、
異様に野太い。
同様に売りつけられた『みるみる編める』という本と首っ引きで、
ナントカ出来上がったが、
「編んだのはマフラー」と知っている私でさえ、
「何を編んだの?」と自分に問いたくなるシロモノだった。
細長〜いマフラーの形を重々承知の上で編んだはずが、
‘長方形の玄関マット’に似ちゃったのは、
なーぜ?
せめて、‘ふさ’を付けるべきだった?
「ま、いいか。」と、
Kクンに、‘愛の告白’をしつつ、プレゼント。
寝耳に水の、突然の‘告白’もプレッシャーなら、
手編みのマフラー(もどき)も、かなりのプレッシャーとなった様子のKクン。
茫然自失気味に、
「はぁ・・。」「はぁ・・。」としか答えない。
ええい、巻いてしまえ!と、
立ちすくむKクンの首に、玄関マットのようなマフラーを強引に巻きつけた。
顔面のほぼ3分の2が埋まった。
息をするために、なんとかアゴを出したKクンは、
重度のムチ打ち患者のようだ。
「ありがとう・・。」の言葉が苦しげなのは、
明らかに、マフラーのせいだ。
そして、
うしろから見ると、
頭頂部あたりまでおおい隠す勢いの、ヘンなマフラーを巻いて、
身体の自由を奪われたようにギクシャクと歩き去るKクンの後姿を見送りながら、
私は、確信するのだった。
「Kクン、2度としねーな、あのマフラー。」
と。
そして、
私も、2度と、
それ以後、2度と、マフラーは編んでおりません。
11月13日(土よう日) 日直・橋本
10日付けの日誌について、
メールを頂きました。
『手作りのプレゼントなんて素敵じゃないですかぁ〜(^^)
私はもらったことありませんよ〜
ちなみに私は、手編みのマフラーは、3本ほど贈りましたけど。
3本とも違う男にです(>_<)』
ごもっとも。
「手作り」は、素敵です。
あのように書いてはおりますが、
私にしても、
贈ってくれたNクンの気持ちが嬉しかったからこそ、
指は欠け折れ、
ウンコ色に変色し、
発掘された土器のようになってもなお、
飾ってあるわけでして。
「手作り」は、なんてったって、手間が掛かります。
その‘手間の量’が、
相手への‘想いの強さ’とも言えますよね。
彼女のいる人を好きだった時、
その彼が、
「谷川俊太郎の詩集を買ってあげる。」
と言って、
何かのついでに、本屋に連れて行ってくれたことがあった。
‘男の子から女の子へ贈る物’として、
「詩集」というのは、
私の中では、まったくの予想外。
思いも寄らなかった。
「へぇ〜、詩集を、ねぇ〜」
意外な思いとともに、
だからこそ、
「ありきたりのものではない、
‘私に’選んでくれた、
特別な贈り物」のようで、
かなり嬉しかった。
後日、
こんな話を、偶然、耳にした。
「その彼は、
彼女の誕生日に、手作りの絵本を贈った。」
彼が詩を創り、
挿絵まで描いて綴じた絵本だそうだ。
出来合いの詩集と、
正真正銘「手作り」の詩集とのチガイ。
これぞ、
‘手間の掛けかた’のチガイ、
イコール
‘想いの強さ’のチガイ・・・なんですねぇ。
11月11日(木よう日) 日直・鬼界
おとといまでの日誌に書いたように、
無事、機種変更を済ませました。
そして、
使わなくなった古いケータイを
vodaoneショップへ持って行きました。
リサイクルしてんでしょ、ケータイって。
ホントにやってるかどうかわかんないけどね。
「使わなくなったケータイを持ってきたんですけど」
「ありがとうございます。消去はなさいました?」
「いえ、なにも」
「では、こちらで消去しておきます。どうもありがとうございました」
ショップを出て、ふと店内を見ると、
僕のケータイを受け取った店員がパソコンを叩いていた。
早速、消去作業をしているのだろう。
でもさぁ、
あれって、絶対見るよね、中身。
メールがあったら絶対読むし、
写真があったら絶対のぞくよね。
「これ、燃やしといてくれる」
と日記を渡されたら、
絶対読むもんね。
100人が100人とも読む。
つうか、100億兆万人が100億兆万人とも読む。
プライバシーもなんもあったもんじゃない。
でもね、
僕のケータイにはメール機能はないし、
写真だって1枚も撮ったことがない。
ざまあみろ、
のぞき見したって、な〜んもないんだよ。
11月10日(水よう日) 日直・橋本
録画しておいた「恋のから騒ぎ スペシャル」を見たら、
さんちゃん(明石家さんま)が、
「彼女の誕生日に、
彼女の顔をモデルに、石こうを固めたものを贈ったことがある。」
と言っていた。
(高校の音楽室に、
ベートーベンの首から上の彫刻が飾ってあったが、
創った当時のさんちゃんが頭に描いた‘出来上がりのイメージ’は、
きっと、ああいう感じだったのだろう、と私は想像する。)
それを聞いた女の子たちは、
「きゃ〜!気持ちわる〜い!」と。
さんちゃんが、
「え?!そーゆーの欲しくない?」
と聞いたら、
「全然、欲しくな〜い!」と。
実は、
私、
お誕生日に「私の彫刻」頂いたこと、あります。
当時、一緒にお芝居をやっていた男の子が、
「お誕生日の贈り物をしたい。
それについて、あなたの‘手のサイズ’が、知りたい。」
と言ってきた。
なにかしら?!
指輪?!
・・・まさかな。
貧乏な、しかも彼氏でもなんでもないヤツが、指輪なぞくれるハズがない。
手袋でも編んでくれるのかしら。
「手の型をとりますから。」
と言うので、一緒にソノ男の子の家へ。
「右手と左手、どっちがお好み?」
と聞かれたので、
「しいて言えば、左。」
と答えた。
「じゃ、ここに左手を入れて。」
と、台所から持ってきたのが、
何やら‘固まる前のセメント状’のものがタップリ入った缶。
「お好きな手のポーズをとって、どうぞ。」
とうながされた私は、
わけもわからず、
‘「白鳥の湖」を踊るバレリーナの指先’を完璧に模した、
自分の左手を、
セメント状の中に突っ込んだ。
そのままジっと、待つこと30分。
2人、無言。
ハッキリ言って、苦痛。
なに、これ、拷問?
あたしは一体、何をしているの?
と、我に返りかけた時、
「はい、もういいです。固まりました。」
と。
抜き出した私の左手は、
なんか、カスがこびりついていた。
「くそ!落ちねぇじゃんかよ!」
と手をゴシゴシこすっている私に、
彼は、
「じゃ、この型に石こうを流し込んで、
固まったら、プレゼントしますので。」
と言った。
・・・・・・・・・・・・・・。
嬉しかねーーーよ!
んなもの、もらってもよぉ!
と、ノドまで出たが、ガマンした。
‘「白鳥の湖」を踊るバレリーナの指先’を完璧に模した、
私の左手の彫刻は、
今でも、 私の部屋の飾り棚に置かれている。
いつか落っことしてしまい、
小指が欠けて、無い。
指をツメられたみたいで、なんとも哀れ。
しかも、ドス黒くなっている。
もう、今となっては、なんの物体なんだか。
でも、
自分の手型だと思うと、
捨てられないんだよねぇ・・・。
Nクン、
あなた、とんでもないもの贈ってくれましたね。
11月9日(火よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
通りの向かいに、
vodafoneでもdocomoでも各社のを扱ってるケータイ屋があった。
ウンコみたいなJ−POPがガンガン流れている。
店の奥にいるのはアタマの悪そうな茶茶髪のにいちゃんだ。
ダメもとで行ってみるか。
「ハァ〜イ、いらっしゃぁ〜イ」
アタマの悪そうな大声を出して茶茶髪のにいちゃんが迎えてくれた。
「すわってぇ、すわってぇ」
「機種変更したいんだけど」
「あん?ボオォーダフォンね?ボオォーダ、ボオォーダと」
とヘンな抑揚をつけながら
にいちゃんは、パンフを取り出した。
さっき、ショップで見せられたのと同じやつだ。
「希望の機種とかあるわけ?」
「とにかく安いのがいいんだけど」
「じゃあ、J−SA06は?これなら0円」
はああああああああああああああああアああああああああああああああああああああああぁああああ??
J−SA06って、ないんじゃないの?
で、なんで0円になるわけ?
「お客さん、番号を教えてくれる?」
どこまでもタメ口のにいちゃんがパソコンをカチャカチャやっている。
これでダメだ。
期間が短いとか、アフターサービス契約してないとかで、
結局、値上がっていくんだ。
「オッケー、出ました、J−SA06は在庫あり、と。
んでもって、お客さんは・・・・
契約が2年になってないから、5000円なんだけど、
今月からアフターサービス契約してくれる?
そうすっと、2000円にできっから。
んでもって、ポイントが115あるから、
ポイント引きで0円ね。
これでいい?」
は?
物事には裏があるものなのだ。
アフターサービス契約を今すれば、アフターサービス価格になるのだそうだ。
しかも、来月に解約してもいいそうだ。
そして、ポイント制度はかなりてきとーらしくて、
ポイントがゼロじゃなければ、2000円くらいは値引きできるのだそうだ。
というわけで、0円。
あっちのショップじゃ、11,429円。
どういうこと、これは?
アタマの悪そうなにいちゃんに感謝しながら店を出ようとしたら、
「あっと、お客さん、
うちの手数料はかかっからね。
1900円。
来月、一緒に引き落としになっから。よろしく」
1900円なんか安いもんじゃん。
どーぞどーぞ引き落としてちょうだい。
僕は店を出た。
ん?
こんなに快くお金を払うって?
アタマの悪そうなにいちゃんがホントは一番アタマいいんじゃない?
11月8日(月よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
本当は、都子はニコッと優しく微笑んだのかもしれない。
でも、都子に対してすでに偏見を持っている僕には、
「どぉ、わかった?これが、ワタシご自慢のヌディオよ。
今人気のヌディオも知らないなんて、あんた百姓?
しかも、12,000円で驚いてるなんて、ドン百姓ね。
キシュヘンなんかやんないで、稲刈りしてれば?
小作人には糸電話がお似合いよ」
という勝ち誇った笑みに見えたのだ。
くっそぉーっ、そこまで言わなくても。
だいたい、オマエのヌディオなのか?
オメエは何様だよ、くさくてカン高くて会話もできんくせにぃっ!
怒りにメラメラ燃える目で都子を見つめていると、
不思議そうな顔で
「お客様、どちらの機種にいたしましょうか?」
と都子が聞いた。
いかんいかん、都子は一言もドン百姓なんて言ってないんだ。
妄想と現実が混ざっちゃってるよ、僕。
「お金がかからない機種変更ってあるんですか?」
「それはございません。」
‘キッパリ’という音が聞こえそうなくらい、はっきりと否定されてしまった。
「じゃあ、一番安いのはどれですか?」
「そうですねぇ、今ですと、こちらのV401SAが4000円で、
さらに、たまっておりますポイント分をお値引きさせていただきます。
ポイントをお調べしますね」
都子はパソコンをカチャカチャやった。
「あ、申し訳ございません。
お客様のご利用期間を勘違いしておりました。
vodafoneを2年以上ご利用の場合は4000円なのですが、
お客様の場合ですと、8,000円からポイント分をマイナスということになります」
は、はっせんえん?
でも、ポイント分が引かれるもんね。
「お客様の現在のポイントは115ポイントなので、
7885円プラス消費税で、8279円となります」
は、はっせんにひゃくぅ?さっきより高くなってんじゃん!
「あ、申し訳ございません。
お客様はvodafoneアフターサービスをご契約してらっしゃいませんので、
一般価格となります。
11,000円から115ポイントをお引きして、消費税プラスで
11、429円となります」
これはなに?
僕は壺を買わされてんの?
なんでどんどん値上がっていくの?
機種変更するだけだよ?
「あのぉ、もっと安いのはないですか?」
「お客様の場合ですと、アップグレード価格は11,429円が一番お安いですね」
「大昔の機種でダウングレードでいいんですけど」
「そういうものはございません」
また、‘キッパリ’だ。
パンフを見ると、アフターサービスご契約価格1,000円というのがあった。
「このJ−SA06という機種はないんですか」
「ございません」
‘キッパリ’
「じゃあ、もう、いいです」
僕はショップを出た。
でも、なんとかしなきゃいけないんだよな・・・・ (つづく)
11月7日(日よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
「イラッシャイマセェ〜」
都子の声は異常にカン高かった。
キミは鳥か?
くさいしカン高いし、たまらんぜ・・・・。
僕は用件を伝えた。
「あのぉ、このケータイを機種」
「アア、キシュヘンデスネエ〜」
こらこら、人の話を最後まで聞けよ。
くさくてカン高いうえに会話もできんか・・・。
おまけに、やけに慣れ慣れしいし。
「イマデスネぇ
と、書いてると外人と話してるみたいなので、普通の書体に戻します。
「今ですねぇ〜、ヌディオはお待ちいただくことになるんですよぉ〜」
「は?」
「え?ですから、ヌディオ・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
こらこら、都子、人をみくびってもらっちゃ困るぜ。
ヌディオなんか知るわけねえだろ。
ケータイ持ったのだって、ついこの前なんだぞ、オレは。エヘン!
そーゆーノリじゃないことに気づいた都子は言葉を改めた。
「お客様のお電話番号を頂けますか?」
なんだよ、やりゃできんじゃんか!
相変わらず、声はカン高いけど。
「現在、受け付けております変更可能な機種はこちらになります」
都子はパンフを広げた。
「先ほど申しましたヌディオはこちらなんですが、
先ほど申しましたとおり、しばらくお待ちいただくことになります」
へぇぇー、vodafoneイチオシの最新機種だったのか、ヌディオって。
ヒゲソリみたいに見え
うへぇぇっ
値段を見てビックリした。
赤字で12,000円って書いてあるじゃん!
ケータのキシュヘって、そんなにかかるの???マジ???
驚いて顔を上げると、
都子がニヤッと笑いやがった。
な、な、な、なんだよ、その笑みは・・・。 (つづく)
11月6日(土よう日) 日直・鬼界
ケータのキシュヘをした。
シブヤの高校生とかは、こんな風に言ってんでしょ、
「携帯電話の機種変更をした」ってことを。
って、よく知らないから、テキトーに略してみたんですが・・・。
こんな風には言ってねえのかな?ま、いいか。
とにかく、ケータのキシュヘです。
生まれて初めてやりました。
べつにやりたくないんだけど、
電池の充電がめんどくさくなったのです。
フル充電しても、3時間くらいでアンテナ1本になるのだ。
充電時間と消費時間がほぼ一緒!
なんかバカらしくない?
vodafoneショップに行きました。
窓口にいるのは、
竹内結子にけっこう似たおねえさんだった。
うおぉぉっ!ラッキーっ!
竹内結子のファンでもないし、
竹内結子なんか好きでもキライでもないが、
どうせやってもらうんだったらカワイイ女の子のほうが得じゃん。
って、損得の問題か?ま、いいか。
僕はまっしぐらに竹内にむかって直進した。
あと3歩で竹内に到達するという瞬間、
「隣りの窓口をご利用ください」というプレートを出して
結子は奥へ入ってしまった。
隣りを見ると、
‘ピンクの電話’の竹内都子に似た大デブが座っていた。
なんじゃそりゃ、サギだっ!
同じ「竹内」でも大違いだ。
てゆうか、違いすぎっ!話になんねえっ!
美人局にも似てねえか?
余談ながら、「美人局」という熟語の読み方を知ったときは感動しました。
「美」で「つつ」なのか、「美」で「つ」なのか、それとも、
「美人」で「つ」なのか、
高校生のとき、水泳部の部室で議論したなぁ。ケガレを知らない頃だったんだなぁ。
でも、仕方ありません、ケータのキシュヘをしなくちゃならないんですから。
僕は都子に近づいた。
と、
化粧系のにおいがプゥ〜ンと押し寄せてくる。
これはなに?
香水?
都子さんはドレッシングみたいにドバドバと香水をおかけになったの?
それとも、
都子さんは昨晩、ボトル1本まるまる使ってシャンプーなさったの?
しかも、よくすすがれなかった?
それくらいの強烈な匂いなのだ。
なんだよ、どういうことだよ、
キミでもいちおー窓口のおねえさんなんだろ?
そのにおいでいいのかい?
キミの鼻はピノキオの鼻?
ウソをつくと伸びるけど、鼻としては機能してないんじゃない?
でも、仕方ありません、ケータのキシュヘですから。
僕はフレーグランス都子の前に座った・・・。 (つづく)
11月4日(木よう日) 日直・橋本
私は、
友人Y美のマンションの部屋の合鍵を持っている。
Y美んちに泊まった翌朝、私だけ早く出かけなければいけない時などのために、
「合鍵持ってて。
私は寝てるから、勝手に出てって。」
と渡された。
出て行く時だけじゃなく、
入る時も、ということになった。
部屋に遊びに行った際、
「いちいち玄関に出迎えに行くの面倒だから、勝手に入ってきて。」
と言われ、
一応インターホンは押すものの、
まるで自分の家のように、鍵をあけて入る。
「なんかあったら、部屋、使っていいよ。」とも。
しかし、
「なんかあったら」の「なんか」って何?
Y美に至急渡すものがあったので連絡すると、
「私は出ちゃうけど、部屋に置いといてよ。」と。
仕方ないので、行った。
Y美が留守の時に合鍵で入るのは、
初めてだ。
来なれてるとはいえ、主の居ない部屋に勝手に入るのは、
やってみると、意外にウシロメタイ。
鍵を開けてるところを、近隣住人に見られ、
「ぬあっ!キサマ、この部屋の人じゃないな!?」
と問い詰められたらメンドーだ。
キョロキョロッと周囲をうかがい、
カチャカチャッと鍵を開け、
ササササッと入室。
ドアをソソ〜ッと閉め、ホ〜ッとする。
・・・あたしゃ、コソドロ?
しかし、
入っちゃったら、こっちのもんだ。
Y美に渡す物を置き、
Y美お気に入りのカウチに座り、
一息つく。
この部屋における初めての静寂を味わいながら、
改めて、見渡す。
広々している。
居心地もいい。
ふと思いつく。
「使えるんでない?」
そう、
「打ち上げの2次会に、この部屋、使えるんでない?
そのまま皆で泊まれるし。
お風呂も入れる。
心おきなくゲロも吐ける。」
Y美も言っていた。
「なんかあったら、使っていいよ。」と。
Y美は、
その晩、どっかに泊まってもらってさ。
このアイデア、
いいんでな〜〜い!
と喜んだところで、
またまた、ふと気づく私。
そういえば、
男の人から、
「これ、俺んちの合鍵。持ってて。」
と言われたことって、
もしや、
今まで1度もなかったのでは?
・・・・・・。
なんでしょう、
それって、
‘Y美が私を信用する程には、私は男から信用されてはいなかった’
ってことになるのかしら?
あっらー。
あららららっらー。
11月3日(水よう日) 日直・鬼界
寝坊した。
豪徳寺で仕事なのに、もうギリギリだ。
僕は5段飛ばしで階段を駆け上り、
小田急線新宿駅に飛び込んだ。
黒山の人だかりだ。
ヤな予感。
アナウンスが流れた。
「ポイント故障が発生しました影響で、ダイヤが大幅に乱れております。
お急ぎのところ、大変申し訳ありません」
マジかよ・・。
豪徳寺には各停しか止まらない。
が、急行が下北沢で各停に連絡するなら、そのほうが早い。
各停に乗るべきか?、急行に乗るべきか?、
そもそも、どの電車が先発するんだ?
一刻を争うのに、?が多すぎる。
駅員のところへ直行した。
「豪徳寺へ一番早く行くには、何に乗ればいいですか?」
要を得た端的な質問だ。
端的な答えが返ってくる
と思いきや、
「20分ほど前に新宿駅構内で発生したポイント故障のため、
ただ今、ダイヤが乱れています。
豪徳寺は普通電車しか止まりませんので、
普通電車に乗っていただくのが確実ですが、
急行にお乗りいただくと、下北沢で一本前の普通電車に連絡できるかもしれませんので、
そうなるとそちらのほうが早いかと思われます」
まったく意味ない答えだ。
時間がないんだよ。
最後まで聞いて大損だ。
「で、結局、今は、急行に乗ったほうが早いの?普通が早いの?」
「ええと・・・急行です」
一言で済んだ。
急行ホームへダッシュした。
まだ発車してない。
ホッと胸をなでおろし、座席に座った。
が、発車する様子がない。
どうなってんだ?
駅員に聞いた。
「豪徳寺へ一番早く行くには、この急行でいいんですよね?」
「20分ほど前に新宿駅構内で発生したポイント故障のため、
ただ今、ダイヤが乱れています。
豪徳寺は普通電車しか止まりませんので、
普通電車に乗っていただくのが確実ですが、
この急行にお乗りいただくと、下北沢で一本前の普通電車に連絡できるかもしれませんので、
そうなるとそちらのほうが早いかと思われます」
おまえらはコピーロボットか!
小田急電鉄の社員教育の徹底ぶりをほめるべきなのか?
「どの駅員にでもお尋ねください。必ず同じサービスを提供いたします!!」
そういう会社の方針なのか?
こんなことを考えていた僕を見て、
駅員は勘違いしたらしい。
「ポイント故障というのはですね、あそこの線路がカーブしてる個所がございますでしょ」
ポイント故障の説明を始めやがった!!
バカじゃねえの。
てゆーか、マジバカ。
小田急はどうなってんだ。
と、その時、
「8番線から小田原行き普通電車が発車いたします。
この電車は成城学園まで一番先に参ります」
とアナウンスが流れた。
ポイント故障説明の途中で申し訳なかったが、
僕は8番線へダッシュした。
5分遅刻して豪徳寺へ到着した。
11月2日(火よう日) 日直・橋本
日誌によると、
鬼界さんは、
ここのところ、立て続けに、‘天下のボケナスくん’に遭遇しているもよう。
思うに、
電車ごっこを楽しむ「どですかでん」なヤツは無害だからイイとして、
ハイパーじじぃを、
なんのタメライもなく、街に放り出す家族も、悪い。
野放しにしてはイカン。
私が薬屋の店員だったら、
「誰か、付き添いのかた、居ませんかぁ!?」
と、悲鳴をあげちゃうね。
もしくは、
「ハイパーは、無いです、ここには。」
と、早々に、かかわりを絶つね。
ま、そーゆー人、日誌のネタにはなるけど。
で、
歩道の信号待ちの時、
チャリンコに乗った、こんな人が隣りに。
どんな人かというと、
「鼻唄でムチャをする人」。
皆さんは、
ミュージカル映画『ウェスト・サイド物語』の劇中歌「アメリカ」という歌を、
ご存知ですか?
街の不良グループ‘シャーク団’の男女が、
派手な衣裳で踊りまくるシーンで歌われる、
パワフルでアップテンポなナンバーです。
私、好きなんです、この歌。
大勢の男女が、‘掛け合い’で歌うんです。
なにせ「ミュージカル」ですから。
「歌う」というよりも、
「音楽にのせて、人々がセリフを掛け合う」んです、
スッゴイ早口で。
しかも、
当然ながら、英語ですからね。
どう考えても、
信号待ちなんかで、気軽に鼻唄できるような歌ではありません。
集中し、歌詞カードと首っ引きになってでさえ、
歌いこなすのは至難です。
が、しかし、
そのチャリンコの彼は、
歌っていました。
ンチャチャ、ンチャチャ、あめ〜りか!
ンチャチャ、ンチャチャ、あめ〜りか!
ズタタ、ズタタ、あめ〜りか!
ンタタ、ンタタ、あめ〜りか!
「おめぇはよ、結局はよ、
・・・‘あめりか!’しか言ってねぇじゃんかよ!」
ってやつです。
「アメリカ」以外の歌詞は、
全部「ンチャチャ」か「ズタタ」か「ンタタ」。
この、アメリカ万歳野郎!
ま、気持ちは解からないでもないです。
どうしても、それを歌いたかったのでしょう。
かくいう私も、
イーグルスの名曲『ホテル・カリフォルニア』を鼻唄する時は、
「ホテルカリフォルニア」のみで、
歌いきります。
ダダダダッダッダ、ほってるか〜りふぉ〜るにあ〜
11月1日(月よう日) 日直・鬼界
昨日。昼間。ドラッグストアにジジイが入ってきた。
ジジイ「ハイパーあるか?ハイパーあるか?」
店員「は?」
ジジイ「ハイパーあるか?ハイパーあるか?」
店員「何に使うものでしょうか?」
ジジイ「見りゃわかる」
店員「は?」
ジジイ「見りゃわかる」
オウムか?このジジイ。
なに言ってんだ?
このあと、延々と続いた不毛な繰り返し会話の末、
やっとジジイの真意がわかった。
どうやら、家で
「おじいさん、これ、ハイパーっていうんですけど、
これと同じものを買ってきてくれませんか」と頼まれたらしいのだ。
何に使うものかを聞いてくりゃいいのに、
品物だけを覚えこんでドラッグストアにやって来たから、
「ハイパーあるか?」
「見りゃわかる」
の繰り返しになっていたのだ。
困ったのは店員だ。
ハイパーなんて品物、聞いたことない。
でも、マジメそうな若いニイちゃんだから一生懸命、
ハイパーの大きさ、色、形、固さなんかを聞いている。
犯人捜査の若手刑事みたいだ。
そして、ついに、
「これじゃありませんか?」と取り出したのは、
キッチンハイターだった。
「おお、これこれ、ハイパーハイパー」
ハイパーじゃねえよ、ハイターだよっ!
口には出さなかったが、同じ言葉を叫び、
僕は店員さんと心がひとつになったのを感じた。
10月31日(日よう日) 日直・鬼界
先日。夕方。目黒にて。
小学生が猛ダッシュで僕を追い越していった。
そして、交差点で大声でブツブツ言っている。
「くそくそくそくそっ、なんでオレはいつもいつも。
くそっ、あー悔しっあー悔しっ。
くそくそくそくそっ!!」
小学生が一体、なにをそんなに悔しがってんだ?
「ダメだダメだちょーダメだ。
くそくそくそっ!」
よっぽどなんかあったんだ。
「あんなに走ったのに赤信号になっちゃった。
あとちょっとだったのに、渡れなかった、くそくそくそっ」
そんなことでこんなに悔しがってんのかい!
こいつは将来、すっごい大物になるか、せっこいオヤジになるかのどっちかだ。
10月30日(土よう日) 日直・橋本
あの『‘地獄の子宮ガン検診’騒動記』に登場した、
「もろずみレディースクリニック」で、
Y美が血液検査をするというので付き合った。
その騒動記に、
『Y美は、梅子院長の問診で、「生理が不順なんですぅ」と訴えた。』
と書いたが、
最近、
「それは、ホルモン値のバランスが崩れているためでは?」
という、いかにもな情報を仕入れたY美。
人間は、
性別を問わず、
「男性ホルモンと女性ホルモン」の両方を分泌しているらしい。
といっても、当然、
男性は‘男性ホルモン’をより多く、
女性は‘女性ホルモン’をより多く分泌しているのだが。
とにかく、
女性においては、
分泌される、この「男性ホルモン」の量が多過ぎても少な過ぎても、
身体に多大な影響を及ぼすのだそうだ。
特に、生理方面(とでも言っておくか。)に。
が、
内服薬で男性ホルモン値を正常に戻せば、
その悪影響は改善されるそうだ。
というわけで、
Y美も、
「私の男性ホルモン値を調べても〜らおっ。」
となった次第。
自分の身体の中の男性ホルモンの量・・・。
わけもなく興味がわくぞ・・・。
う〜む、知りたい・・・知ってみたい・・・なんの得にもならないが。
いや、
数値によっては、何かの自慢になるのでは?
一体、何の?
で、
「私も男性ホルモン値を調べても〜らおっ。
血をとるだけだしね。」
となり、Y美に付き合ったというわけ。
自分の男性ホルモン値を知りたいが為だけに、
検査料7千円を払うバカ女、それは私・・・。
しかも、
その結果たるや。
『あなたの男性ホルモンの量は、一般女性の半分です』ときたもんだ。
一説によると、
「男性ホルモンは、闘争心の源。
人間のヤル気をかりたてて、頑張らせてくれるのが男性ホルモン」だそうだ。
「そのホルモンが、あなたにゃ足りな過ぎますぜ」という結果。
イコール「ヤル気も足りず、頑張りも足りねぇ」と。そゆことね?
ふ〜ん。
あ、そう。
そうなの。
へぇ〜。
自分の男性ホルモン値を知って、
得になるどころか、
ヤル気ゼロ。活力ゼロ。 闘争心ゼロ。
バーゲン行っても、収穫ゼロ。
だってさ〜、
男性ホルモン、少ないからさ〜、あたし。
ホッント、病は気から。
神経のもんだ。
知らなきゃよかった。
10月29日(金よう日) 日直・橋本
先日の旅行の際に宿泊したホテル。
「当ホテルの枕は、違います。」
と、パンフレット上で枕自慢。
なんでも、
「米国航空宇宙局(NASA)が開発した枕」らしい。
はは〜ん。
温泉の大浴場などでも、
自慢の岩塩石鹸や炭シャンプーを備え付けて客に使わせ、
「こちらはフロントにて販売中」
という手口は常套。
「枕屋とホテルが手を結んだのね」ぐらいに思って、
さして気にも止めず。
が、
一晩、寝てみてビックリ。
寝心地満点。
さすがNASA。
「使用者の体温・体圧によって、身体のラインどおりに形状変化する」というスグレモノ。
帰京後、
早速、販売元を調べ、注文。
枕カバーつきで2万円。
昨晩から使用。
急に肌寒くなってきたと同時に気になり始めたお肌の乾燥。
「いいクリームがあるよ。」
と友人H子。
なんでも、
「NASAの宇宙物理学者が、6000回のテストを繰り返して創り出したクリーム」らしい。
叶姉妹やジェニファー・ロペスが、
全身に塗ったくってる魔法のクリームらしい。
「翌朝の肌にオドロキ!」のミラクルクリームらしい。
さすがNASA。
早速、注文。
30mlで1万5千円。
昨晩から使用。
なにがどう「さすが」なんだか判らんが、さすがNASA。
なんでも作るのね。
それもこれも宇宙に行く飛行士のための開発?
でもって、
せっかくスグレモノを開発したんだから、
商品化しなきゃ損・・・ってか?
ハイテク技術を駆使して作ったモノだから、
お高いのも当然・・・って?
枕とクリームが、
今後、どれほど威力を発揮してくれるかは判らないが、
「宇宙飛行士も、
スペースシャトルの中で
このクリームでスキン・ケアし、
この枕に頭を乗せ、
寝るのかしら・・・」
と思いながら、
眠りについた昨晩の私でした。
10月28日(木よう日) 日直・鬼界
住宅街を歩いていると、
道路の真ん中を電車が突進してきた。
と言っても、
本物の電車じゃない。
車掌になりきっているアタマの弱い青年が
トコトコ走ってくるのだ。
とは言うものの、
バカにしちゃいけない。
チンチンとかプシューとかキィッッとかグィィンとか擬音は多彩だし、
運転レバーの使い方、計器の読み方、指差確認など
ものすごーく緻密で、完璧に理解・熟知・記憶している。
なんで、あーいう人って、そーいうところはスゴイんだろう?
なんで、その理解力が日常生活には生かせないんだろう?
なんで、その記憶力が普段は死んでいるんだろう?
なんで、電車を運転してない時は、「はひふへほぉー」とか叫んでいるんだろう?
などと考え、ボンヤリしてると、
車にひかれそうになった。
慌てて飛びのいたら、電車青年にぶつかりそうになった。
すると、
「危険ですから、走行中の車両に近づかないでください」
と注意されてしまった。
本物の運転手より、運転がウマイかもしれない。
10月26日(火よう日) 日直・鬼界
母怒る その7
「いろいろ検査した結果ですね、
おっしゃってた右の肺の影なんですけど、
何もないんですよ。
両肺ともキレイなもんですよ、一点の曇りもなし。
船で受けられた検査が間違いだったんですね」
これを聞いて母怒る
「わたしの苦しみは、なんやったん?」母怒る
「ぼんやりと海を見つめてムダにした時間を返してほしいわ」母怒る
「ついでにお金も返してほしいわ」母怒る
「言うてなんやけど、検査代も払ってほしいわ」母怒る
「ホンマ、しょうもないことさされたわ。
人の言うことなんか、おいそれと信じたらあかんね。」母怒る
母は怒っているものの、
結果的には母の健康が証明され、僕はホッと胸をなでおろしたのであります。
10月25日(月よう日) 日直・鬼界
母怒る その6
引き続き、いくつかの検査をこなすと、
医師のひとりが
「気管支鏡もやっときますか?」と気軽に尋ねた。
母も気軽に「お願いします」と答えた。
気管支の神経を眠らせ、鏡を入りやすくするため、麻酔をしなければならない。
まず、麻酔液でうがいをする。
ノドの奥の感覚がなくなる。
そして、細いノズルのついた噴霧器でノドの奥の奥に麻酔液をかける。
母の口の中に、医師が噴霧器を突っ込む。
それだけで、猛烈にえずいた。
「わたしは検査に向かない体かも」
母はそう思った。
医師「では、気管支鏡を入れていきますからねぇ。
気持ちが悪くなったりしたら、左手を上げてくださいねぇ」
了解のしるしに母は右手を上げた。
医師「だんだん入ってってますからねぇ。もうすぐですよぉ。だんだん画像が
あっ!
き、き、鬼界さん、ど、ど、ど、ど、どうされたんですか、大丈夫ですかっ!!」
母の顔は真っ赤に充血していた。
医師はあわてて気管支鏡を引き抜いた。
「大丈夫ですか?」
「(ハァハァハァハァ)」
「どうされたんですか?」
「・・・きが・・」
「は?」
「息ができませんっっ!」
「はああ?」
「こんな管が入ってたら、息ができません」
「ふんっ、そんなことはないでしょう。皆さん、普通に息しておられますよ」
「ええっ、そうなんですか??」
「そーですよ。じゃ、いきますよ」
再び、気管支鏡が入れられた。
医師「はい、行きますよぉ。息してくださねぇ」
母「(コクコクとうなづく)」
医師「だんだん奥まで行きますよぉ」
母「(コクコクうなづく)」
医師「鬼界さん、息してください」
母「(うなづこうとするが・・)」
医師「息してくださいって!」
母「(瞳孔が開く)」
医師「だから、息すんですよっっ!!!」
母「(手足が震え出す)」
医師「鬼界さん、死にますよっ!!!!」
母「(もがき苦しむ)」
再び、気管支鏡が引き抜かれた。
「私は医者を30年やってますが、こんなに苦しむ人は初めて見ました」
気管支鏡検査は中止になった。
「ああ、わたしは死ぬんやな・・、と思たで、ホンマに。
あんな苦しかったことは今までないっ!
息でけへんねんもん。
息してくださいーって言うたはるけど、でけんもんはでけん。
それより、でけんって言うてんねんから、
あのお医者さんもなんとかしてくれんとアカンわ。
けどな、あんなに苦しい目に会うたんやから、
検査してほしかったで。
鏡を入れたは入れたんやから、その間に、ピャピャッと見られんもんかね。
ホンマ、アカンたれやわ、あのお医者さん」
気管支鏡とお医者さんに母怒る。
そして、一週間後、検査の結果が出た・・・。 (つづく)
10月24日(日よう日) 日直・鬼界
母怒る その5
検査が始まった。
健康診断も人間ドックもやったことのない母にとって、
すべてが初めての経験だ。
身長、体重、血圧、心電図、尿検査、血液検査、痰検査、レントゲン、CTと
次々にこなし、
MRIを受けることになった。
MRIを受ける前に点滴だ。
まず、水だけを点滴する。
その後、写りをよくするために、造影剤を点滴した。
全ての準備をすませ、
母は受診台に乗り、MRIが始動した。
その途端、
気持ちが悪くなった。
「ちょっと止めて」
母は声をかけた。
看護婦が飛び込んできた。
「大丈夫ですか?」
「なんや知らんけど、急に気分が悪なって・・・」
「造影剤で吐き気を催される方がたまにいらっしゃるんですよ」
「その『たま』の方なんやわ、わたし」
「大丈夫ですか?」
「うん、もう平気」
「じゃあ、横になってください。」
再び、MRIが動き出した。
その途端、気持ち悪くなって、母は叫んだ。
「ちょっと止めてぇ!」
こんなことを5回も繰り返したそうだ。
そのうちに看護婦もキレてきた。
「こんなことしてたら、造影剤の効果がなくなっちゃうんですよっ!
ちょっとくらいはガマンできないんですか?
それとも、日を改めますか?
でも、そうなると、また造影剤を点滴することになりますけど。」
半分、脅しだ。
しょうがないから、母は必死に吐き気をこらえた。
が、口の中に酸っぱいツバがどんどんわいてくる。
飲み込んでも飲みこんでも、わいてくる。
飲み込んだツバが気持ち悪くて、余計に吐き気がする。
すると、余計に、酸っぱいツバがわいてくる。
酸っぱいツバの悪循環だ。
もうダメだと、あきらめかけた時、
「はい、終了です」
MRIが停止した。
起き上がるやいなや、母は検査室の片隅の水道に飛びついた。
「口じゅうにたまった、酸っぱい酸っぱいツバを吐いたんや。
バケツ一杯ぶんくらいあったな。
もう気持ちわるうて気持ちわるうて。
なんでこんな目に合わなあかんねん。」
MRIに母怒る。
が、こんなもんはまだ序の口だったのだ・・・。 (つづく)
10月23日(土よう日) 日直・鬼界
母怒る その4
母は個室を希望した。
ゲボゲボ咳き込んだり、ヒーヒーうめいている患者と同室だと、
それだけで病気になりそうだから。
が、
あいにく個室は満室、二人部屋も満室、四人部屋も満室、
六人部屋しかあいてなかった。
「みなさん、明るい方ばかりなので、ご心配はいりませんよ」
と、山岡久乃そっくりの婦長が言ってくれたので、
母は六人部屋に入った。
確かに、明るい人ばかりだった。
隣りのベッドの杉本さんは、常に頭にスカーフを巻いているオシャレさんだし、
はす向かいの太った吉田さんは、いきなり、冗談で笑わしてくれた。
母はホッとした。
が、
それもつかの間だった。
しばらくすると、吉田さんがナースコールをかけた。
3人の看護婦がやって来た、車椅子とともに。
看護婦がフトンをめくった瞬間、母は見た、
吉田さんの両足がありえない方向へねじ曲がっているのを。
もちろん、その両足はピクリとも動かない。
3人の看護婦は手際よく太った吉田さんを車椅子に乗せ、病室を出て行った。
吉田さんは尿意を催すたびに、
3人の看護婦をわずらわせ、トイレへ連れて行ってもらうのだ。
母は隣りの杉本さんに尋ねた。
「吉田さんは、よほどお悪いんですか?」
「悪性腫瘍が足に転移して、いずれは両足切断になるらしいですよ」
ガーン!
母はショックを受けつつも、杉本さんと話をしていた。
すると、看護婦がやってきて、
「治療の時間ですよ」と
杉本さんを連れ出した。
病室を出て行く杉本さんの後頭部がスカーフの間からかいま見えた。
そこに髪の毛はなかった。
地肌だった。
え?
母が、もしやと思っていると、
向かいのベッドの大木さんが教えてくれた。
「杉本さんは抗ガン剤と放射線治療で髪の毛がなくなったんですよ。
身体中に転移してて、もうダメなんじゃないかな・・・。」
最悪の病室やんか!母怒る
母は山岡久乃そっくりの婦長に文句を言ってやろうとした。
が、ハタと気づいた。
「山岡久乃って、ちょっと前に、死んだやん、ガンで。なんか縁起わるぅー・・・。」
母は文句をやめにした。 (つづく)
10月22日(金よう日) 日直・鬼界
母怒る その3
「3ミリ程度の異物の影が右肺上部にあります。
赤く表示されてますから、
悪性のものである可能性は非常に低いと考えられますが、
航海後、精密検査を受けることをお勧めします」
と医者は言った。
母は愕然とした。
病気だと思っていた重野さんが健康で、
健康だと思っていた自分が病気だったなんて・・・。
愕然としている母にむかって医者はさらに
「ま、いずれにせよ、今すぐどうこうというものではないですから、
心配なさることはありません。
残りの航海を存分にお楽しみください」
と笑顔で付け加えた。
「あの医者、アホちゃう?
『お宅がボヤですけど、まだ全焼はしてませんから、残りの航海をお楽しみください』
て言われて、
『はあ、そうですか。ほな、遠慮なく』
て楽しめるわけないやろ。」
例えがビミョーにズレてる気がしなくもないが、母の言いたいことはよくわかる。
母は残りの航海をただボンヤリと海を見て過ごしたそうだ。
そして、
家に帰るやいなや、精密検査のアポを取った。
2泊3日の検査入院だ。
ここから、母の怒りが始まった。母怒るだ。 (つづく)
10月21日(木よう日) 日直・鬼界
母怒る その2
すべての船内アトラクション(?)をクリアした母は、
“最新機器による健康診断”にまで手を伸ばした。
てゆーか、そんなサービス(?)まであるところがスゴイと思う。
母は健康に自信がある。
診断を受けても、「非常に健康体です」と言われるに決まっている。
でも、それじゃ、おもしろくない。だから、
船上でお友達になった、重野さんと一緒に医務室へ行った。
重野さんはお金持ちのマダムを絵に描いたような、
化粧の濃い、香水くさい、でっぷり太ったオバさんだ。
どう見ても、糖尿だ。
なのに、重野さんはここ2年ばかり医者に行ってなくて、
自分のことを、まあ健康、と思っているのだ。
でも、ここで健康診断を受ければ、当然、結果は・・・。
診断後、どうなぐさめようかとか、どう元気付けようかとか、
母はそんなことまで考えながら、診察室へむかった。
注)こう書くと、母がものすごーく悪人みたいですが、
そもそも、「健康診断に行きません?」と誘ってきたのは、重野さんのほうだったんですよ。
母がめぐらした、いじわるな陰謀ではありません。念のため。
診察室から重野さんが出てきた。
「私、健康なんですって。血圧は少し高いけど」
と、重野さんは誇らしげな顔で言った。
母は「少しガッカリした」そうだ。
「重野さんが病気だったらいいと思ってたわけじゃないけど、
糖尿です!って診断されたほうが、盛り上がるやん。
なんかワクワクするやん。そう思わへん?
当たり前の人間やったら、絶対そう思うと思う。
ま、こんなこと絶対、人には言えんけどね。
浩巳も誰にも言うたらアカンよ」
と母は言っていた。
誰にも言ってはいないが、日誌に書いちゃった・・・。ま、いいか。
そして、母が診察室へ入った。
「PTAとかPCBとかいう、なんかベージュ色の機械で、なんか、身体を、なんか、するねん」
という、とてもわかりやすい説明を母はしてくれた。
そのPTAの画像を見ながら、医者が言った。
「肺に影があります・・・」 (つづく)
10月20日(水よう日) 日直・鬼界
母怒る その1
ことの始まりは、豪華客船の旅だった。
‘高級クルーズ船でゴージャスな九州一周を。’
そんなツアーに母は今月初め、参加した。
とてもゼイタクな旅行だ。
行きは太平洋、帰りは日本海を通り、
有名どころにはすべて寄港し、添乗員付き観光をする。
これでさえ、いたれりつくせりだが、
本当にスゴイのは船内なのだ。
船内の施設の利用はオール無料。
食事もタダ。
プールで泳いだあとに、第一ダイニングで中華のフルコースを食い、
ビリヤードをしてから、ラウンジでシェフのオリジナルケーキを食べ尽くし、
デッキで昼寝をしつつ、幻の地酒と幻の焼酎をちゃんぽんにして飲み、
映画を見た後、第二ダイニングで会席料理を3人分いただいても、
タダなのだ。
そればかりじゃない。
船内では太極拳やエアロビのレッスンがあるし、
英会話教室やパソコン教室や押し花教室も開かれているし、
ボールルームでは毎夜、ダンスパーティーだ。
こんな旅行に母は生まれて初めて参加した。
当然、舞い上がりまくった。
かたっぱしからやっていった。
マイケルのネバーランドに招待された子供と同じだ。
もう楽しくて楽しくて、遊んでも遊んでも遊びきれず、
この上ない幸福に酔いしれる毎日だった。
が、
マイケルのネバーランドに落とし穴があるように、
この豪華客船にも落とし穴があった・・・。 (つづく)
10月19日(火よう日) 日直・鬼界
テレビショッピングを見ていた。
美容品特集だ。
特に目を引いたのは、
シミ対策の‘シミコンク’と、シワ対策の‘シワコンク’。
このネーミング!
オバサマには、こういうほうが受けるのかもしれない。
ご愛用者の“ミエコ様”というオバサマと
スタジオの司会者が電話で話している。
司会「ミエコ様は、シワコンクとシミコンクのどちらをお使い頂いているのですか?」
ミエコ様「両方使っています」
司会「期間的にはどれくらい?」
ミエコ様「2年になります」
司会「ご愛用、本当にありがとうございます」
ミエコ様「娘二人も一緒に使ってるんですよ」
司会「まぁ!娘さんもお使いに?!嬉しいですぅ!娘さんはおいくつですか?」
ミエコ様「23と27です」
司会「どぅえっっ!!そんな大きなお子さんがぁぁ!!
私てっきり4,5歳のお子さまかと思ったんですよぉぉぉ!
だって、お声がお若いから、そんなお子さんがいらっしゃるとは絶対絶対思えないですよぉぉ!!!」
ミエコ様「うふふ、そうですか、ありがとうございます」
「うふふ」じゃねえよ、ミエコ様。
ミエミエのお世辞、言ってるだけじゃんか。否定しろよ、否定。
おめえは、お得意様、てゆうか、いいカモなだけなんだよ。
そんでもって、おい、司会。
オマエの耳はロバの耳か?
「娘二人と一緒に使ってる」って言ってるだろうが。
4、5歳の娘がシワとシミに悩んで、シワコンクとシミコンクを愛用してんのか?
どこの世界にそんな女児がいるんだよ。
いるんだったらお目にかかりたいよ。
てゆうか、もしいたら、シワコンクとシミコンクなんか愛用してねえよ。
医者へ行ってるよ、医者へ。
あんなことをよく言えるもんだ。
ま、ミエコ様はぜーんぜん気づいてないようだったが。
10月17日(日よう日) 日直・鬼界
友達んちの裏の家が立て替え工事をしている。
なんだか、完成を急いでいるらしく、
朝早くから夜まで、
平日はもちろん、土日もトンカントンカンやっているそうだ。
「裏の工事がうるさくて、落ち着いてメシも食ってられねえよ」
と友達がぼやいた。
文字で書くと、これだけのことなんですが、
友達のぼやきを声に出して読んでみてください。
ほーら、どうです。おっかしいでしょ?
え?わかんない?
僕は、友達の言葉を
「裏小路(うらのこうじ)がうるさくて、落ち着いてメシも食ってられねえよ」
と聞き間違えたのです。
まるで、お公家さんじゃないですか。綾小路(あやのこうじ)とか、そういうやつ。
「まろはピーマンがキライでごじゃる」とか
「ニンジンは星の形にせんと食えぬ」とか
「ややっ、このサンマは奇っ怪な匂いがするぞえ。即刻、陰陽師を呼べ!」とか
靴べらみたいな板を持った公家が
人んちにやっかいになってるくせに、
人んちの食事に文句ばっか言ってる場面が思い浮かぶじゃないですか。
え?思い浮かばない?
そうなんです、僕がニヤニヤ笑ってると、友達はけげんな顔をしてました。
10月16日(土よう日) 日直・橋本
徳島駅前のバス・ターミナルで、
ナンパされた。
Y美と、
時刻表を見ながら、あれこれバス・ルートを検討していると、
男が二人、
歩いて近づいて来、
私たちに声をかけたのだ。
「車、あそこに有るんだけどさぁ、」
男が親指で指し示す方をチラと見ると、
徳島ナンバーの白い乗用車が停めてあった。
「よかったら、
一緒に、渦潮(うずしお)、見に行かない?」
出た。
さすが、
徳島の田舎もん。
誘い文句が、チガウね。
「うずしお、見に行かない?」ときたもんだ。
それも仕方ないといえば仕方ない。
徳島には、
‘鳴門の渦’と‘阿波踊り’しかないのだ。
あまりにも少なすぎるデート・スポット。
可哀相に。
昔から、
女の子をデートに誘う時の文句は、
「今度の休みに、渦潮、見に行くッぺ?」
「今晩、阿波踊り、見に行くッぺ?」
この2つに1つだったのだろう。
先祖代々からの‘バカの一つ覚え’が、
今や、‘徳島男児の習性’にまで進化したのだ。
さらに、
また、
‘観光地に生まれ育った者ならではの誘い文句’
とも言える。
全国各地から観光客をドンドン集められるほどの‘名物’が、
なまじ有るもんだから、
ついつい、その名物に頼ってしまうのだ。
埼玉なんぞは何も無いから、
浦和駅におけるナンパの文句は、
ふつーに、
「飲みに行かない?」だ。
せっかくの徳島、
「飲みに行かない?」よりは「渦潮、見に行かない?」の方が旅情はあるが、
私は言いたい、
「おめーが渦潮を作ったのかよ。」と。
自然現象を金づるにして、
まんまと儲けやがって、徳島。
タダで見せろよ、タダで。
バス案内所のオッサンが、
「うず潮?
春じゃなきゃダメ、ダメ。
この時期のウズはコマい(小さい)よ。
直径はバスのハンドルぐらいだぁ。ワッハッハ。」
と教えてくれた。
ひでぇ。
コマいウズしか出来ないの判ってながら、
春に撮影した直径10数メートルのウズ潮写真をポスターに載せ、
「さぁ、秋の徳島へ!渦潮を見に来ませんかキャンペーン」とか、すんなよ。
詐欺だぜ。
10月15日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)
Y美と私だけが身体検査された理由が判明した。
その理由とは、
アホのY美がカバンに入れていた‘カミソリ’だった。
「友達に、
‘羽田で、しつこく検査された’と報告したら、
その友達に、
‘バッグをエックス線に通す時、怪しいモノが写ってたんじゃない?
それで、疑われたんじゃないの?’
と言われた。
やっぱり、あのカミソリが原因だったんだよ!」
と、Y美が連絡してきた。
あのカミソリが原因だったんだよ!じゃねーよ。
鼻息荒くしやがって。
・・・そうか、あのカミソリのせいだったのか。
Y美が身体検査を終え、
エックス線検査を終えたバッグを受け取ろうとすると、
係員に、
無表情かつ事務的な口調で、
「危険物は、入ってませんか?」
と聞かれた。
Y美は、
カミソリを化粧ポーチに入れてきたことを思い出したが、
この上、荷物まで調べられるのは面倒だと考え、
バックレを決めこんだ。
いつものアホ面で、
「持ってませ〜ん。」
と。
係員、相変わらず事務的口調で、
「カミソリとか入ってませんか?」
Y美、ドキッとするも、
「え?持ってないですぅ〜。」
係員、
「化粧ポーチにカミソリとか入ってませんか?」
Y美、ドキドッキーンしながら、
「はい、たぶ〜ん。」
係員、
「荷物、開けますね。」
と、Y美のバッグのフタを開けると、
化粧ポーチが、調べてくれと言わんばかりに、1番上に。
係員、
化粧ポーチのファスナーをチャ−ッと開け、
ギッシリ詰まったメイク道具の中から、
アッという間にカミソリをつかみ出し、
きわめて冷静に、
「これですね?」
Y美、真っ赤なお顔で、
「あっ!カミソリだ!」
・・・ほんと、アホですわ、あの女。
バレバレ。
係員も、お人が悪い。
エックス線に、しっかり写ってたんですね?カミソリ。
わかってたくせに、カマかけちゃってぇ。
なんか、私達、
大ウソつきの、おバカコンビみたいじゃないですかぁ。
それにしてもだ、
あの女、
なんで、旅行に‘カミソリ’なんか持ってくるかねぇ。
‘お顔のウブ毛そり用’だったら、まだ解かるが、
あんな、カミソリカミソリしたカミソリ、
今どき使ってるヤツが居たことにも、ビックリだ。
機内で落ち着いてから、
「何の為に?」と、聞いてみた。
Y美いわく、
「糸、切るの。」
・・・おめーは、お針子さんか?
なんじゃい!糸っつーのは!?
取り上げられたカミソリは、到着後、返された。
帰りの空港で、
金属探知機ゲートをクグッたら、
身体検査どころか、
チャイムのピンポンのピの字も鳴らなかった。
行きでは、あんなに鳴ったのに。
思うに、
行きの時は、係員が、チャイムを故意に鳴らしたのだ、きっと。
「バッグの中にカミソリを入れた女2人連れ・・・
念のため、他に刃物などの危険物を隠し持っていないか、調べてみよう。」
ということで、
ひそかにチャイムを鳴らし、
身体検査に持っていくようにしたのだ。
帰り、まったくノーマークだったのは、
Y美がカミソリを捨てて、もう持っていなかったからなのだ!
10月14日(木よう日) 日直・橋本
Y美と、旅行に行った。
「ダイエーを応援しに、福岡へ行こう。」
と思い立った旅行だが、
万が一、
プレーオフなんかで、ダイエーの負け試合でも見ようもんなら、
胸クソ悪いので、
行き先を変更して、
四国へ行って来た。
あぁ、でも、まさか、本当にダイエーが負けるとは・・・。
あの4.5ゲーム差は、なんだったの?
プレーオフなんてクソ食らえ!だ。くそっ。
ところで。
今回、
羽田で、飛行機に乗る前、
金属探知機ゲートで、思いっきり止められた。
鍵やらカメラやらの金属モノをトレーに出し、
私の身ひとつ、スムースに通過できるはずなのに、
なぜか、チャイムがピンポンと。
「はい、では、こちら側から、またクグッて下さい。」
と、係員に言われ、
「はーい。」
とクグると、またピンポン。
で、また、あちら側からこちら側へクグリ直すと、またまたピンポン。
なんだ、なんだ、ブラの金具にも鳴るのか?
「身体検査させて頂きます。」
と、女性の係員の前へと、うながされる。
その間、
私のスグうしろで、探知機ゲート、またまたチャイム鳴りっぱなし。
振り返って、見ると、
案の定、
私と同様、Y美がゲートを行ったり来たりしている。
ピンポンピンポン鳴らして、ヘラヘラ笑っている。
「あなたも、こちらへ。」
と、Y美も、別の女性係員の前へ。
私とY美、2人並ばされ、
イッセイに調べ始められる。
「靴を調べますから。」と脱がされ、スリッパに。
頭のテッペンから、つま先まで、
身体中、なめるように、
レンズ無しの虫眼鏡のデッカイような物で、触わっていく。
どうやら、
より細かく調べる金属探知機らしい。
ファスナーの持っ手のような、どんな小さな金属にでも、
ピユピユという音で反応する。
ピユピユすると、
係員は、いちいち手で触って確認する。
ブラのワイヤーの形までも、確認。
パンツ・・・とシャレた呼び名で書くと誤解を招くので、
今日の場合、ズボンと書くが、
ズボンの中にまで手を突っ込まれて、確認。
股グラに、一体、何が有るというのだろう。
なぜだ、なぜだ、なぜなんだ、
なぜ、
私とY美だけが、身体検査されるんだ?
身体のスミズミまでイジリまくられた末、
「ご協力有り難うございました。」
と、解放された。
こんなことは、初めてだ。
皆さんは、
空港で身体検査されたことって有ります・・・?
10月13日(水よう日) 日直・橋本
昨日の日誌について、メールを頂きました。
『世田谷区に、上馬と下馬はありますよ。
上野毛も世田谷ですよね。
下野毛は、はっきりしたことは言えませんが、
僕も聞いたことあるような・・・。』
S藤さま、
情報、どうも有難うございます。
そうですよね!
上馬(かみうま)下馬(しもうま)は、有りますよね!
私、
どうやら、それとゴッチャになっていたようです。
そして、
そうですか、
下野毛も有るかもしれないんですね?
ま、ね、
下野毛も、
漢字で書くと、一見、どうっちゅうこともないタダの地名に思えますので、
日本のどこかに有ったとしても、
不思議じゃないですよね。
「ウジ」「ゲロ」だって有るんですから。
「下の毛」在住の皆さん、
ちっとも恥ずかしがることはありません!
イヤラシイと思うから、イヤラシイんです!
下の毛。
人間味あふれるイイ地名じゃないですか!
私は住みたくありませんが。
10月12日(火よう日) 日直・橋本
友人Y美と、
共通の友人の話をしていた。
Y美が、
「あの子、今、上野毛(かみのげ)に住んでるんだよね。」
と言った。
私は、
「ふ〜ん、上野毛かぁ。
下野毛っつーところも有るよね。」
と答えた。
Y美は、
「へぇ〜、そうなんだぁ。」
と感心していた。
・・・私、間違ったかもしんない。
地名で、上(かみ)下(しも)が付くのは、
「上馬(かみうま)」「下馬(しもうま)」だったかもしんない。
いや、
これもハッキリしたこたぁ言えない。
だが、
とりあえず、
「下野毛」は、無いような気がしてきた。
どう考えても、イヤラシ過ぎる。
アホのY美は、
きっと、今日にでも、誰かに自慢するにチガイない。
「しものけっつーのも、有るらしいよ。」と。
そのあとに、
「きよみから聞いた。」
と、Y美が言わないことを願おう。
10月11日(月よう日) 日直・鬼界
さくらやでエレベーターに乗った瞬間、
鼻がもげそうになった。
めちゃくちゃ、ウンコくさいのだ。
誰かがオナラをしたのね
なんてレベルじゃない。
どっかのボケナスがウンコをたれたんだ!
っていうくらいクサイ。
これは日誌に書かなきゃいかんな、と考えていたら、
ピンクハウス風のヒラヒラスカートに
カントリー調ブラウスを着て
胸にテディベアのミニぬいぐるみをつけたデブが乗ってきた。
エレベーターに2歩入ったところで
階数ボタンを見るフリをして、僕をチラっと見やがった。
おい、ちょっと待てよ、デブ。
今のチラ見は、
オレがウンコたれてると疑ってんのかよ。
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふざけんな!
「ウンコくさいのはオレじゃねえっ!」
と胸グラをつかんでやろうかと思ったが、
突然そんなことをしたら、キチガイと思われる。
ウンコたれと思われるか、キチガイと思われるか、
微妙な選択だ。
その間にデブはなにげに、僕から一番遠い位置へ移動した。
こら、デブ。
ぜーんぜん似合わないキチガイみたいなカッコしてるくせに、
その態度はなんだよ。
そもそも、
階数ボタンを見るフリして誤魔化そうとしたり、なにげに移動したり、
その根性が気に食わねえ。
誤魔化せてもいなけりゃ、なにげでもねえぞ。
おめえの行動なんてお見通しなんだよ。
そして、4階で、デブは降りた。
売り場案内板を見るフリをして、僕をまたチラッと見ていった。
あんなデブに軽蔑の視線を送られるいわれはねえよっ!
くそっ、
こんなことなら、本当にウンコしてやればよかった。
どうせ、ウンコたれと思われてるなら、
そのほうがスッとしたぜ。
今度、一緒になったら、あのデブの鼻に向けて脱糞してやる。
10月10日(日よう日) 日直・橋本
旅行に行くので、
2日分の日誌を鬼界さんに送っておいた。
そしたら、
「10月9日」付で公表するぶんまで、
「10月8日」付の日誌と一緒に公表されてしまっていたらしい。
しかも、
文章が、途中でブチ切れていたらしい。
「どゆことですか?」
と問い合わせると、
「ちょっとカン違いしちゃった。」
だとさ。
なんなんだよ、「ちょっとカン違い」って。
いやがらせかしら?
しかし、
銀座公演の時、
「日にちを間違えて劇場をおさえてしまった」という、
前代未聞の「カン違い」をした私なので、
あまり強くも責められず・・・。
その「10月9日付にするはずだった、途中でブッタ切られた日誌」は、
どこにいっちゃったかというと、
「ヤバイ。橋本が怒るかも。証拠隠滅しよう。」と思い、
消してしまった。」そうだ。
・・・意味不明。
なにしろ、
ひっでぇー。
あぁ、幻の「秋祭りの神社で、スッゴイ拝んでる女の人」エピソード。
惜しいなぁ、
あそこから、
スッゴイ面白い展開になってたんだよねぇ。
これで、
鬼界さんに、「貸し1」だぜ。
10月8日(金よう日) 日直・橋本
昨日の日誌を読んで・・・
「見ても見なくてもどっちでもいいんだけど」
という「消極的」な態度のワリに、
たった1つのニキビを許さない・・・か。
守備範囲が広いようでいて、
実は、
かなりタイトなのね。
「お、なんだ?食い物か?」
と、なんでもかんでも、とりあえず寄ってくるワリに、
「ちっ。また、腐れシマウマかよ。」
と選り好みするハイエナのようだ。
しかし、
そうやって‘こだわり’続けた男のカンって、スゴイね。
私が見落とした、
「パンツ(正確にはブルマー)のエッジぎりぎりの個所のニキビ」を、
目ざとくも一瞬にして捕らえ、
そして、
その「膿んだニキビがポツンと有る太もも」から、
ニキビの持ち主である、その「女子高生」の全体像を、
これまた一瞬にして思い描き、
さらに決定づけ、
その結果、
「ちぇっ。」と舌打ちし、「顔をそむける」・・・という行動に出る。
う〜む・・・
鬼界さんの、
自分の想像力に対する、この「自信」は、
長年に渡って磨きに磨かれた‘こだわり’のナセルわざなのか?
とぎすまされた嗅覚で、
「おのれの目の保養となる可愛い子」をかぎ分ける。
そうでない子を振るい落とす。
まさに、人間ハイエナ。
そして、そのカンは鋭い。
坂道を登りきったところの横断歩道で、
ソノ女子高生と信号待ちし、
顔を見ることが出来た。
(その時点では、私は、既に尾行をやめ、鬼界さんに挨拶済み。)
確かに、
・・・パンツ見なくていいかな・・・という顔でした。
10月7日(木よう日) 日直・鬼界
昨日の日誌を読んで・・・
誤解のないように書いておきますが、
僕は、女子高生のあとを密かにつけるようなストーカー的行動は
決して決して決してしません!
僕にだってプライド、モラル、常識があります!!!
いやいや、これだけじゃ、僕の憤りが伝わらねえ。
まだ、言葉が足りねえ。訂正だ訂正だ。
僕は、脚の太い女子高生のあとを密かにつけるようなストーカー的行動は
決して決して決してしません!
僕にだってプライド、モラル、常識があります!!!!!
これでよし、と。
ですから、あの日はあの女子高生のあとをつけてたわけではありません。
「見ても見なくてもどっちでもいいんだけど、
どうせ見られるんだったら、
わざわざ見ないより、
見てたほうがまだましか。」
という消極的な理由で、女子高生の立ちこぎに歩調を合わせてただけなのです。
そして、問題の核心、“なぜ、4回目で顔をそむけたか?”
1回目のピラ〜ンのとき、
僕は反射的に見つめてしまいました、パンツ(正確にはブルマー)を。
言い訳するわけではありませんが、
目の前でパンツがピラ〜ンしたら、日蓮でもキリストでも見ちゃいます、絶対。
男の本能です。
文句のある人は神様に言ってください。
2回目のピラ〜ンのときは、
「そんなに見たくもないけど、
見せてくれるっていうんだから、
わざわざ断る理由もない」
という気持ちで見ていました。
が
その時、発見したのです、
パンツ(正確にはブルマー)のエッジぎりぎりの個所に
赤いモノがあることに。
3回目のピラ〜ンのとき、
初めて僕は凝視しました。
(ですから、『3回は凝視出来たのに』という橋本の記述は誤りです。)
蚊に刺されたあとなのか、ニキビなのか判別できません。
僕は歩調を速め、女子高生との距離を詰めました。
そして、
4回目のピラ〜ンがきました。
それは、いま最高潮にジュクジュクした、脈打ってそうなニキビだったのです。
僕は顔をそむけました。
お判りいただけましたでしょうか?
僕はどこへ出しても恥ずかしくない清廉潔白な行動をとっただけなのです。
橋本の言う『鬼界さんお得意の‘妄想’』なぞしていたわけではありません。
誤解のないように書いておきます。
10月6日(水よう日) 日直・橋本
昨日の日誌を読んで、
こんなことを思い出した。
あれは、確か、
初めて使用する稽古場の下見に行った時だったと思う。
最寄駅から歩いてソノ稽古場へ向かう途中、
前方を歩く鬼界さんを発見。
私は、
気づかれないように近づき、
鬼界さんの行動を観察することにした。
頭がデカイ種族は鋭敏な動きが苦手、と聞く。
従って、
「なんらかの気配を察知し、瞬時に後方確認」
などということは、できっこない。
尾行は容易だ。
鬼界さんの、あのデカイ頭の中身のほとんどは、
おそらく、
有っても無くてもドッチでもイイような、
なんかの液体にチガイない。
私は、
鬼界さんの、ほとんど、真うしろにまで接近。
案の定、まったく気づいていない。
しめしめ。
と、その時になって初めて、私は、
鬼界さんのド真ん前に、
チャリンコをこぐ女子高生が居ることを知った。
鬼界さんの頭で、スッカリ隠れて見えなかったのだ。
登り坂を、ゆっくりゆっくり‘立ちこぎ’する女子高生の、
スローなペースは、
鬼界さんの歩くスピードとピッタリだ。
(そのスグうしろにピッタリ私が・・・という状況。)
女子高生は、
白いブラウスに、アイボリーのベスト、チェックの超ミニスカート
という、極一般的な制服。
黒髪は、肩より少し長い。
超ミニのスカートからは、
少々、太めの脚が、
太ももの、ほとんど‘付け根’附近から、あらわに出ている。
ペダル上に立った姿勢の女子高生は、
ソノ太めの脚で、
グイッグイッとペダルを踏み込み、
力強く坂道を上って行く。
その時!!
にわかに風が強まった。
女子高生のスカートが、ピラ〜ン。
ペダルを、左右、踏み込むごとに、ピラ〜ンピラ〜ン。
その度に丸見えになる紺色のブルマーを3回眼前にし、
さらにピラ〜ンとめくれたスカートから、
4回目にブルマーが露出された時、
私は、
私がまったく予想しなかった‘鬼界さんの行動’を見た。
大きく、顔をそむけたのだ。
「電車にひかれた無惨な夫の轢死体を見せられた若妻」が、
そうするのを、映画で見たことはある。
だが、
こんなふうに、実際に、
『とんでもない物を見た瞬間、大きく顔をそむける』人を見たのは、
初めてだ。
日常でも、やる人はやるんだねぇ。
しかも、鬼界さん、‘舌打ち’までして。
だが、
ここで、ある疑問が。
「女子高生のパンツ(正確にはブルマー)丸見え」は、
果たして、
大きく顔をそむけるほど、
そんなに『とんでもない物』だったのか?
しかも、舌打ちまでして。
私が見たところ、普通だったと思うのだが。
私が見落とした『何か』があるのか?
それを鬼界さんだけが見たのか?
さらに、
なぜ、
3回は凝視出来たのに、4回めで顔をそむけたのか?
鬼界さんお得意の‘妄想’が、
頭の中で、
4回めあたりに、とんでもない結末を迎えた・・・とか?
10月5日(火よう日) 日直・鬼界
BOOK・OFFの店頭のワゴンで
中2くらいの女の子が
しゃがみこんでCDを探していた。
いきなり、
パーカーのすそから手を突っ込んで背中をかき出した。
わき腹から背中の白い肌が丸見えだ。
ドキッとした。
でも、本人は平気でボリボリかいている。
あの歳じゃ、まだその手の恥ずかしさはないのかなぁ。
中2はまだ子供かぁ。
え?でも、いまや中2といやぁ、もう立派な女じゃないの?
てことは、この子は小6くらい?
けっこう大きな6年生。
だが待てよ、今どきの小6は化粧もするし立派な女だぜ。
つうことは、この子は小2?
うえぇぇっ!!今の小2ってこんなデカいの???
オレよりデカいじゃん!
いや甘いな、最近の出会い系を考えると、もっと下かも。
ぐげっ!こ、こ、こやつは幼稚園生ぃぃ?
きりん組でお遊戯してるくせに、こんなに各部が発育してんのぉぉ???
こいつが18になったら、一体どんな・・・
と、無駄な妄想は時間のムダなので、やめた。
10月4日(月よう日) 日直・鬼界
換気扇の掃除をした。
あちこちに油がつかないように、そっと換気扇カバーをはずす。
なんだかんだで結構よごれるものだ。
羽根止めをはずし、羽根をはずし、枠もはずす。
敷いておいた新聞紙に、それらを並べ、
ティッシュをかぶせた上から、マジックリンをかける。
流れ落ちず、マジックリンの効果が高まる。
10分ほど待つ。
着なくなったTシャツを半分に切ったもので、換気扇のパーツを拭く。
その後、もう片方の半分Tシャツに
ほんの少しだけマジックリンを含ませ、二度拭きする。
最後に清潔なティッシュで三度拭きして完了だ。
枠をはめ、羽根をセットし、羽根止めで固定し、新しい換気扇カバーを装着し、
換気扇の掃除を終えた。
え?これだけ?今日の日誌はいつおもしろくなるの?
とお思いのあなた。
今日の日誌はこれだけです。
だって、換気扇の掃除をしたんですよ。
換気扇ですよ!
掃除ですよ!!
誰かにやってもらったんじゃなくて自分でやったんですよ!!!
この肌寒いシトシト雨の日にですよ!!!!
事実を報告させてもらってもバチは当たらないと思います。
10月3日(日よう日) 日直・鬼界
商店街のアーケードを歩いていると、
オッサン二人が電気屋の前に立っている。
テレビを見てるらしい。
大リーグ中継だ。
画面は写ってるが、音声は消えている。
無音のテレビをボォーっと見てるなんて、よっぽどヒマ人なんだな、ププッ
と通り過ぎようとしたら、
イチローが写った。
おっ、イチローが打つなら見てこっ
と思ったのに、
どうやら次の次のバッターがイチローらしい。
ま、いいか。
僕はオッサン二人の横に立ち、画面に見入った。
あん?これじゃあ、
“無音のテレビをボォーっと見てる、よっぽどヒマ人”の仲間入り?
ま、いいか。
イチローの打席になった。
初球ボール。
「あっ、イチローだ」
と叫びながら、子供たちのグループがやってきた。
振り返ると、続々と人が集まってきている。
イチローを見てる場合じゃない。
僕はテレビに背を向け、商店街を見ていた。
すごいのなんのって、
通行人の全員が立ち止まるのだ。
右から来る人も左から来る人も
年寄りも若者も、男も女も、キレイな人も、カワイイ子も、・・・そうじゃない人も、
通る人間全員が野球中継を見るために立ち止まる。
ドブ川に捨てられた自転車にどんどんゴミが溜まっていくみたいだ。
って、なんでそんな汚い例えなわけ?
商店街のアーケードはギッシリ黒山の人だかりになった。
ワールドカップの日本戦のときよりスゴい。
そして、イチローが凡退すると、
波が引くように人だかりは散っていった。
ホントにサーっと波が引くようだった。
昔の人はうまい例えを思いつくなぁ。
10月2日(土よう日) 日直・鬼界
先月末、西武信用金庫にお金をおろしに行った。
訳あって、そんなマイナー銀行に口座を持っているのだが、
そんなマイナー銀行でも月末は現金自動払い機に長蛇の列だ。
なにせ、そんなマイナー銀行だから払い機が2台しかないのだ。
そんなマイナー銀行のロビーで最後尾に並び順番を待っていた。
そんなマイナー銀行のくせに全然、列が進まない。
そんなマイナー銀
って、しつこいよっ!
係員もいないから、状況もわからない。
自動払い機の音声だけが聞こえてくる。
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
どうやら、同じ客がずっと払い機を使い続けているようだ。
一人は何度も何度も振込みを繰り返しているらしい。
じゃあ、もう一人は何をトロトロやってんだ?
イライラしてると、
自動払い機の音声が変化した。
「いらっしゃいませ」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「ありがとうございました」
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「いらっしゃいませ」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「ありがとうございました」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
「恐れ入りますが、画面の上に物を乗せないでください」
何を始めたんだ?
一人は相変わらず振込みを繰り返している。
ってことは、もう一人が画面の上に何かを置いて何かをしているんだ。
何を置いて何をしてるんだ?
しかも、こんなに執拗に。
気になる。
でも、列を離れると、また最後尾に並ばなきゃならない。
僕はガマンした。
こんなマイナー銀行に口座を持つのも良し悪しだ。
10月1日(金よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
無事、両輪とも反射板をつけ、僕は走り出した。
5メートルも行かないうちに
お爺さんが大の字に立ちふさがった。
「今ね、秋の交通安全運動やってましてね、自転車の反射板を配ってんですよ」
見りゃわかるだろ、もうついてるよ!
と言いたい気持ちを抑え
「さっきつけてもらったんですよ。ほら。それじゃどうも」
と明るく答え、自転車を走らせた。
2メートルも行かないところで
左右両方からお婆さんが飛び出して来た。
「今ね、秋の交通安全運動を」
「今ね、秋の交通安全運動を」
今、爺さんと話してたの見てねえのかよ!とか
タイヤ見りゃわかるだろ!とか
こうなると、もう言えない。
ゾンビの群れに襲われてるのかと思った。
そして、僕はなんとか、駅前広場を脱出した。
9月30日(木よう日) 日直・鬼界
駅前広場を自転車で走ってたら、
「ちょいと、お兄さん」
と呼び止められた。
日焼け止めだかおしろいかを真っ白に塗りたくったお婆さんだった。
ござを持ってたら夜鷹だ。
「今ね、秋の交通安全運動やっててね、自転車用の反射板を配ってるのよ。
つけてさしあげるわ、お兄さん」
この年齢の方にかかっては、僕も‘お兄さん’だ。
「こうやってね、スポークにはさみこむだけなのよ。
簡単につけられるの。
あら・・・・・・。(うまくいかない)
本当に簡単なの。
私みたいなお婆ちゃんでもつけられるのよ。
はさみこむだけだから。よいしょっと・・・・・あら。(うまくいかない)
朝から何台もやってあげてるのよ。
車の光を反射するから安全なの、これ。
すぐにつきますからね・・・あら。(うまくいかない)
簡単につくのよ、本当は。
こ、こ、ここが、ひ、ひっかかって・・・ううん、ううん、もう一息、よいしょっ!
ほら、簡単についたでしょ」
どこが簡単やねん!!
と言いたい気持ちを抑え、
「どうもありがとうございます」とお礼を言うと、
気を良くしたお婆さんは
「後ろの車輪にもつけてあげるわ」
と再び作業にとりかかった。
「コツがわかったから、後ろは簡単よ。
ここをこうして、よいしょっと!!(ポキッ) ほら、簡単に折れちゃった」
実生活でコントの王道をまのあたりした。
お婆さんは
「後ろはご自分でつけてくださいね」と新しい反射板を僕に渡し
恥ずかしそうに、そそくさと去って行った。 (つづく)
9月29日(水よう日) 日直・鬼界
近所のスーパーに行った。
お買い得!!もやし1袋 25円!!!
デカい字で貼りだしてあるだけあって、
さすがに安い。
が、その下に、
まとめて買うと割引!!もやし2袋 49円!!!
と書いてあるのは、何?ギャグ?それとも、お客サマをナメてんの?
1円まけてもらっても嬉しくねえやっ!!
9月28日(火よう日) 日直・橋本
新宿の紀伊國屋に、
ピアノの楽譜を買いに。
6階(だったと思う)奥の窓際が、楽譜売り場。
客は、居ない。
明るく静かな中、
ゆっくり楽譜選びが出来そうだ。
と、そこへ、一人の客が。
本棚と本棚にハサマレた通路に立って、
あれやこれや楽譜を取り出して見ている私のうしろを、
その客は、
ゆっくりゆっくり行ったり来たりしだした。
なんとなくウザくなって、
チラと見ると、
見るからにウザいヤツだった。
白ッ茶けたコウモリ傘の柄(え)を、
英国紳士がツエをそうするように、
曲げた左腕に引っ掛け、
同じく曲げた右腕は何をしているかというと、
顔の前で、小さく拍子をとっている。
人差し指で、‘チッコイ4拍子’を。
誰を指揮しているんだい?
キミの頭の中の、こびとのオーケストラかい?
アホだ、こいつ。
若いくせに、竹村健一にソックリってのも、どうだろう。
あ〜ヤダヤダ、
映画でキチガイの役を演る時、
決まって‘ひとり指揮’するゲーリー・オールドマンみたいだ。
それをヤれば‘狂人’に見えるとでも思ってるんだろうが、甘いんだよ。
・・・・・待てよ、
ってことは、なに?
この竹村健一は、狂人?
そういえば、どことなく変質者っぽい。
「紀伊國屋書店6階で、女性刺される」
という新聞記事の見出しが頭に浮かんだ瞬間、
突如、恐怖が。
たまたま手に持っていた「冬のソナタ」の楽譜を、急いで置いた。
こんなミーハ−なものを持ってる時に刺されてちゃイカン。
急いでクラシックコーナーへ。
音楽の父・バッハの楽譜を開いた状態で持ち、
ゆっくりと通路を往復するゲーリー竹村の動きに合わせ、
なにげに、横移動で逆・往復する私。
すれちがう時の恐怖を何度か味わった頃、
なんだか知らんが、
携帯で話しながら来る客が、次々と。
どうやら、
電話がかかってきちゃった他の売り場の客は、皆、
この楽譜売り場に移動してきて話すようだ。
窓際だから電波状態が良くなる?
楽譜コーナーが、そうやってテレフォンコーナーと化した時、
ゲーリー竹村は、
いつの間にか、居なくなっていた。
もしや、ヤツは万引きを企んでいた?
無理。
ぜんぜん‘静かな売り場’じゃないや、
紀伊國屋・楽譜コーナー。
9月27日(月よう日) 日直・鬼界
秋の全国交通安全運動が行なわれている。
駅前でティッシュとガムを配っていた。
ティッシュには自転車のための標語が書かれている。
‘あぶないよ 無灯火 携帯 二人乗り’
ひねり無し。
確かにあぶないとは思うが、ひねり無し。
文字どおり、そのまんま。
ガムには車の標語だ。
‘あわてるな はやる心に ベルト締め’
やっと、けいしちょうの標語っぽくなった。
と思いきや、
‘もしもしは もしもの事故を まねくもと’
どうです?ユーモアもあるでしょ?イケてるでしょ?ナウいでしょ?
って感じになってしまった。
そしたら、その下に
“交通安全 注意んガム” だって・・・。
全身、脱力した。
9月26日(日よう日) 日直・鬼界
電車が駅へ着くと、
各車両から数人づつが降りた。
まばらな人波が階段へと流れていく。
と、
階段近くで、中州をはさんでふたつに分かれるように、
その波が大きく広がっている。
なにかがあるのだ!
僕は歩を急いだ。
中州にいたのは、
二人の男女だった。
1.5メートルくらいの距離を置いて、真剣な眼差しで見詰め合っている。
自分たちが他人の通行の邪魔をしてることには
気づいてないようだ。
愛が燃え上がってる瞬間なのか?
それとも、ケンカの真っ最中か?
こういう場合は、女性の顔を見るに限る。
女の表情は雄弁だから。
が、
ジロジロ見ると、我に返って羞恥心を思い出させてしまうから、
あくまでもチラッと、軽く見るのが鉄則だ。
でも、その一瞬で状況を把握しなければならない。
かなりの集中力が要求される。
彼女の瞳は潤んでいた。
泣いていたのか。別れ話か。
けれど、頬はつやを帯び、
唇の両端がこころもち上がり気味だ。
晴れか雨かでいうと、晴れの表情だ。
むむっ、むつかしいぞ。
笑っていても泣いているよな濡れた目か。
確認するため、
僕はなにげなく何歩か行きすぎ、なにげなくUターンした。
そこに二人はいなかった。
どっかのド素人がジロジロ見つめたに違いない。
そんなことしたら、男女はその場を去るに決まってんじゃんか!
ホント、イヤになる。
こっちがどれだけ神経つかってるか!
ひとの仕事をジャマしないでほしい!!
9月25日(土よう日) 日直・橋本
「セーラー服」といえば、
「自分は、いつまで、“セーラー服”がオッケーか?」
という実験を試みた時期がある。
これは、一見、
「いつまで“女子高生”で通せるか?」
と同意語のようであるが、
実は、チガウ。
‘私服’で勝負する場合は、
「どう見たって、高校生にゃ見えねーな・・・」という年齢は、
アッという間に来る。
(中には、
現役の頃から、高校生に見てもらえない人も居るが。)
しかし、
‘セーラー服着用’の場合は、
やめよう、この話題。
私のバカが露呈するだけだ。
9月24日(金よう日) 日直・橋本
住宅街を歩いていた。
カドを曲がったら、
フンドシ一丁で歩いてるデブに出くわした。
「ぅわぁっ!」
と、思わず、
ビックリした時の見本のような驚き方をしてしまった自分が、
ちょっと恥ずかしかったが、
もっと恥ずかしいのは、
そのデブだ。
なんだ、その格好は。
住宅街をフンドシ一丁で歩いてイイと思ってるのか?
デブは、
私に驚かれて、まるで、忘れていた羞恥心を思い出したかのように、
きびすを返し、
もと来た方向へ、ノッシノッシと戻っていく。
あとをつけるまでもなく、
デブが、建物の中に入っていくのが見えた。
確認しに行くと、
大きな表札には、
「○○大学相撲部稽古場」と書かれてあった。
フンドシは、相撲のユニフォーム。
テレビで観戦してるぶんには、
さほど違和感も感じないが、
‘住宅街を歩く相撲取り’って、
ありゃ、ただのキチガイだな。
肛門と○○○を隠せばイイってもんじゃないね。
その扮装が許されるテリトリーを出ちゃった時、
人は、こんなにもアホに見えるもんなのですね。
・・・・・今、ふと思い出した。
以前、
舞台で、‘チア・ガール’の扮装をする役を演った。
白いヒラヒラの超ミニスカートに、白いハイソックス。
その格好で、
劇場から数百メートルの伊勢丹デパートへ、ちょっと買出しに行った。
・・・それって、
「テリトリーを出ちゃったアホ」の部類ですかね?
でも、
同じく衣裳のセーラー服で買出しに行っちゃった○○子よりは、マシだよね?
9月23日(木よう日) 日直・鬼界
昨日の日誌を読み返して、思った。
欲求不満?
最近、読んだ本は
『それから』『こころ』『世界の中心で、愛を叫ぶ』『東京湾景』だ。
内容的にこのラインナップが欲求不満に拍車をかけてるのかも。
しかも、組み合わせも良くない気がする。
玄米を食べながら、おかずにハンバーガーを食ってるようなものだ。
その副作用でより強烈な欲求不満になっているのかも。
よしっ、これからは高尚な日誌をめざし、生活を改めよう。
9月22日(水よう日) 日直・鬼界
まさか、こんなところでそんなことしてるの?
いやでも、世の中にはいろんな方がいらっしゃって、、
どんなとこでどんなことをするかわかったもんじゃない。
オッサンの車は車高の高いワゴン車だ。
バスか大型トラックからでもないと、覗きこめない。
それをいいことに、あんなとこでそんなことをしてるのだろうか?
それとも、すべては僕のお得意の妄想で
オッサンは布問屋で買ってきた白い布をいとおしく撫でてるだけなのか?
とにかく、日誌担当者として事実を確認せねば!
てゆーか、見たいっっ!!
僕は必死に顔を窓ガラスに押し付けた。
オッサンの車とバスの距離はジリジリと広がるばかりだ。
もしも、助手席の白い布地が、本当に女体ならば、
あれはワンピースのはずだ。
ってことは、スリットとか縫い目とか、
服の証拠が見えるに違いない。
僕は眼をこらした。
ダメだ、遠くてわからない。
ただ、女性の体に見えるだけだ。
てゆーか、そう見ようとしてるのかも・・・。
てゆーか、そう見たがってるんだ、僕の内面が。
思わず中腰になった。
ふと横を見ると、乗用車から子供が不思議そうに僕を見つめている。
バスの座席に並んだ乗客の中で
たった一人だけ、頭の位置が突出しているのだ。
子供にとっては不思議な光景に違いない。
ええい、そんなことには構ってられない。
大人には、子供にわからない大事ぃ〜な仕事があるのだ。
願いが通じたのか、
バスがオッサンの車に少し近づいた。
そのときだ。
オッサンの手の動きが変化した。
今までは手のひらと指で撫で回していたのに、
ツメで、こういうふうに、ツーッとやっているのだ。
と、僕は今、パソコンの前で実演しているのだが、
無意味だ。
ほら、やるじゃん、指のツメで、ツーって。
ツメで優しくすりあげるっていうのか、ツメでソフトにこするというのか、
引っかくのと反対の動き。
相手の背骨にそってツーって、やるじゃん。
あれよ、あれ。
文字で説明するのは大変だ・・・。映像はいいなぁ・・。
とにかく、オッサンの動きがセクシュアル度を増したのだ!
うっひょーっ!!
もう少しだ、近づけ、近づけ、もっと寄れ!
頑張れ、東急バスっ!
この世に神はいないと思う。
こんなに願ったのに、オッサンの車は遠くへ行ってしまった・・。
車内で何をしてたのか、わからずじまいだ。
オッサンの車は
“野田33 さ 69−19”だった。
ちっ、しょーもない語呂合わせが出来ても、楽しくないぜ。
9月21日(火よう日) 日直・鬼界
昨日、バスに乗った。
休日の夕方、渋谷に向かう道はかなり渋滞。
ぼくは窓から隣りの車線をぼんやり眺めていた。
のろのろと車がバスを追い越していく。
トヨタありニッサンありシボレーあり
コンバーチブルありワゴンあり引っ越しトラックあり
家族連れありカップルありいい色に焼けたオッサ
え?ちょっと待てっっっっっっっっ!!!!!!
いい色に焼けたオッサンの車は
今、右斜め前方にいる。
車内の一部しか見えない。
オッサンは黒いTシャツを着ている。
左手にはゴールドのブレスレットをしている。
問題なのは
左手のゆくえだ。
助手席で山型に盛り上がった白い布地をまさぐっているのだ。
あれはなに?
この位置からではよくわからないが、
白い布地の下は柔らかそうな肉のようだ。
といっても、和牛とかじゃなく、人間の肉体。
でも、顔とか腕は見えない。
オッサンが左足を助手席に乗せてるの?
いやでも、腿にしてはボリュームがありすぎだ。
異常に肥大した象足病のオッサン?
いやでも、もっとこう、丸みを帯びているぞ。
丸型象足病のオッサン?
などと、
ダラダラ書くのはやめ、結論に跳び付こう。
そうです、皆さんもおわかりのとおり、
どうやら、女性の腰部なのです。
助手席に座った女性が窓側に腰をむけ、
運転席方向へ乗り出し、
顔も腕も見えない体勢になっているようなのです。
うへっ!まさかね・・・ (つづく)
9月20日(月よう日) 日直・橋本
地下鉄に乗っていたら、
突然、
「警察に行きましょう!」
という女性の大声が。
私は車両の真ん中くらいに座っていた。
その声は、どうやら車両の端の方からのようだ。
折角、確保した座席ではあるが、
これまた折角の、日誌のネタを見逃すのも惜しい。
見に行くことにした。
立ち上がって、移動開始。
割り合いに混んでる中、
しかも、折角の座席を惜しげもなく捨て、
わざわざトラブルを見に行く私を、
「この女、すげぇ野次馬根性。」
という目で、皆が見る。
「貴様ら、
日誌を書いてみろってんだ。
大変なんだぞ。」
と、心の中で反撃するうち、
トラブル地点に到着。
30代半ばのOL風の女性と、
50代のサラリーマンのオッサンが、言い争っている。
女性は、
「新宿で降りましょう!警察に行きましょうよ!」
を繰り返し叫び、
オッサンは、
「なんだ、コノヤロ!新宿なんかで降りねぇよ、俺ぁ!」
を繰り返し叫んでいる。
新宿までは、あと4つほど駅が有る。
なぜ、新宿?
なぜ、次の駅ではイケネーの?
と疑問に思いながら、ケンカの原因を探る私。
お互いの主張が、
「新宿で降りましょう!」「降りねぇよ!」の繰り返しが主なので、
ハッキリしたことは言えないが、
おそらく、
「痴漢行為は、やめて!」
と抗議した女性に、
「どこが痴漢行為だ!」
と、オッサンが開き直って反撃に出たことが発端のようだ。
女性は、
顔を真っ赤にし、目を潤ませ、
興奮で声も震えがちだ。
そりゃそうだよな、
痩せたサラリーマンのオッサンとはいえ、
大の男に「なんだ、コノヤロ!」とスゴまれたら、怖いよなぁ。
かわいそうだなぁ。
こんな時、
「私が、ひみつのアッコちゃんだったら」と、またしても思う。
電車に乗る時は、いつも、黒人の大男に変身して乗り、
痴漢を見つけては、
ソイツの肩をポンポンと叩き、
「そういうことをしてイイと思ってるのかい?え?」と言うのだ。
痴漢に限らず、
電車の中には、ポンポン肩を叩きたいヤツが、たくさん居る。
あぁ、私がコワモテの大男に変身できたらなぁ。
しかし
「弱者の危難を救う正義漢」なんて、そんな場面、
私は、映画でしか見たことない。
居るのか?そんな男。
私の横に立っていた30代のカップルの男は、
女性とオッサンのトラブルを見て、ニヤニヤ笑っていた。
笑うこたぁ、ないぜ。
そんな男と、よく付き合ってるなぁ、あの彼女。
もしも、万が一、
オッサンが暴力に出たら、
その時は、私のカバンを盾にして、女性をかばおうと決心し、
ひとりドキドキしていたら、
オッサンは、
新宿まで行かず、次の次の駅で、逃げるように降車していった。
9月19日(日よう日) 日直・橋本
天王洲アイルに、
知り合いが出演するお芝居を観に行った。
天王洲アイル駅で下車するのは初めて。
何度か書いているが、
私は、超方向音痴なので、
知らない場所に一人で行く時は、ドキドキする。
が、
お芝居のチラシによると、
「劇場は駅改札から1分。」とある。
ホッとする。
駅のド真ん前に有るか、
もしくは、
駅ビルみたいなものの中に有るのね、
楽勝じゃん、
アホでも行けるわ。
しかし、
劇場は「自由席」なので、座れなかったら困るし、
万が一、駅で迷ったら・・・
と思い、
早めに家を出たら、
開場(開演30分前)時間の前に、駅に到着。
で、
駅の案内板に従って歩いたら、1分で劇場到着。
楽勝じゃ〜ん。
やはり早めに着いたのか、
結構な人数の人が、劇場の玄関前で待っている。
しばし、
その人たちに混ざって待つ私。
・・・・・・。(待っている。)
どうも、おかしい。
おとといの鬼界さんの日誌に出てきたようなオバさまたちばっかりなのは、なーぜ?
ホントに、小劇団が演るチェーホフの「かもめ」を観に来た人たち?
この人たちが?ホントに?小劇団を観に?ウソだぁ〜
ウソだった。
そこは、元・宝塚の人主演のミュージカルを観る人たちの群れだった。
よくよく見ると、ポスターが貼ってあった。
タイトル『私、女優よ!』・・・。
さらによくよく見ると、お花が飾ってあった。
「峰さを理様へ」と書かれてあった・・・。
げげーっ!
チェーホフは、どこ?
「かもめ」は、いずこ?
受付の人に、
‘もう1つの劇場’の所在を尋ね、ダッシュ。
まさか、天王洲アイルに、劇場が2つ有るとは!
間に合ったぜ〜。
危なかったぜ〜。
受付を済まし、ホッとする。
と、そこへ、
「ボラボラ島の洛陽を思わせるアイシャドウのグラデーション」を施した2人連れのオバさまが。
ヒソヒソと小声で、
「かもめって書いてあるわよ?」
「かもめ???」
「チガウんじゃなーい?チガウんじゃなーい?」
おそるおそる受付のお姉さんに、
「峰さを理さんのでは・・・」
「チガイます。」
‘もう1つの劇場’の存在を知らされ、
オバさまたち、ダッシュ。
間に合ったかなぁ。
・・・天王洲アイル、
わかりづらいよ。
9月17日(金よう日) 日直・鬼界
エレベーターに乗ったら、目がチカチカした。
真っ赤のドレス、
真っ黄のドレス、
真っブルーのドレスetcのレディーたちで華やいでいたから。
と書くとステキだが、事実は
社交ダンスのオバさんたちで
狭いエレベーターがごった返していたのだ。
発表会でもあるのか、
今日は特に気合を入れてゴージャスにしているようだ。
そのなかで
「私、ちょっと地味だわ・・・・」
とつぶやくオバさんがいた。
たしかに、くすんだ緑で学校のカーテンみたいなドレスだ。
すると、隣りにいた、真っ金金のオバさんが
「あ〜ら、あなたは大丈夫よ。お顔が派手ですもん」
となぐさめた。
顔が大作りで西洋人みたいな顔なのかと、
そのお顔を見ると、
単に化粧が派手なのだった。
特に、アイシャドウのグラデーションは
セイシェルの夕陽を思わせる、見事な塗りたくり具合だった。
9月15日(水よう日) 日直・鬼界
悲しいです、
昨日の日誌。
キチガイのつぶやき、みたいになっちまってるし、
あれじゃぁ、わけわからん。
ホントはね、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・の海の中に
「あれ?」と「なんで黙ってるの?」が漂い、
さらに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・の砂漠の中に
「お客さんと話しなさいって習ったんじゃないの?」と「どうしたの?」が
こつぜんと浮かび上がり、
なおも
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・が嵐のように押し寄せるが
いきなり、ニイちゃんの
「かゆいところはありませんか?」という発言によって
・・・・・・・・・・・・が断ち切られる。
鬼橋日誌を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で埋め尽くそうとする、、
ある試みだったのに・・・。
ノータリンのうわごとになってしまいました。ちっ。
秋風吹くなか、心にも秋風が吹いています。
9月14日(火よう日) 日直・鬼界
〜ある試み〜 その3
シャンプーをしてくれるのは
アゴにヒゲをはやした、青いアロハのニイちゃんだった。
若い女の子だったら、どうしよう・・・
と心配していたのだ。
困らせちゃったらかわいそうじゃん。
よっしゃぁ、頭の軽そうなニイちゃんだっ!
作戦開始だっ!!
「こちらへどうぞ」
頭軽ニイちゃんがシャンプー台へ案内してくれ、
タオルやら水濡れ防止エプロンをかけてくれる。
「苦しくないですか?」
いいぞ、いいぞ、筋書きどおりだ。
「ええ、大丈夫です」
素直に答える僕。
椅子が倒され、ガーゼがのせられ、お湯が出て、
いよいよシャンプーが始まった。
「熱くないですか?」
「大丈夫です」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
しばしの無言。
そして、来た。
「今年は台風がスゴいですねぇ」
ある、ある、ありがち、ありがち
まずは無難に天気の話題から入るパターンね。
それから、仕事の話とかに移行すんでしょ。
「日本中で洪水が起こってるもんね」
僕も軽く受け、相手の次の言葉を出やすくする。
さあ来い!
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あれ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・なんで黙ってるの?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お客さんと話しなさいって習ったんじゃないの?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしたの?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「かゆいところはありませんか?」
え?
台風のことを一言話して終わりかい!
こうして、僕の‘ある試み’は終わった。
次こそは!
9月13日(月よう日) 日直・鬼界
〜ある試み〜 その2
「・・・・先月、リストラされちゃって・・」
と言ったら
「えっ・・あ・・・そ、そうですか・・・・・」
と絶句するのだろうか?
それとも
「今、そういう方、多いですもんね。
僕らも1年ごとの契約ですごく不安定なんですよ。しかも給料やすいし。」
となぐさめ系の受け答えをするのだろうか?
それとも
「ああ、この前来たお客さんもリストラされたって言ってました。
たしか、先週、首つりましたよ、その人。不景気ですもんね」
と冷静に会話を続けるのか?
そもそも、
黙ってシャンプーしちゃどうなの?
と思うわけです。
必ず話しかける必要があるのでしょうか?
そのことを見習いさんに気づかせ、自分の頭で考えさせるためにも、
この試みは実行の価値があります。
うん、なかなか、それっぽい大義名分だ、よしよし。
そして、金曜日、
僕は髪の毛を切りに行った。 (つづく)
9月12日(日よう日) 日直・鬼界
〜ある試み〜 その1
僕は必ず平日の午前中に散髪に行く。
すると、シャンプー担当の若い見習いさんに、
ほぼ100%、
「今日はお仕事、お休みですか?」
と聞かれる。
そういう風に話のキッカケを作りなさい
と、美容師学校で習うのだろうが、
ウンザリだ。
「ええ、まあ」
とアイマイに答えていたのだが、
めんどくさくなって
「八百屋なんです」とか
「タクシー運転手なんです」とか
「作家なんです」とか
てきとーな職業を名乗るようになった。
てきとーに会話もはずみ、
僕も見習いさんも、てきとーに時を過ごせる。
その中で
一番気に入ったのは
「探偵なんです」
と言ったときだ。
興味シンシンになったらしく、
シャンプーしながら
「尾行とかって、ホントにドラマみたいにやるんですか」とか
「危険な目にあったことありますか」とか
いろいろ質問してきたが
「尾行は・・・やっぱ、職業上の秘密だから言えないな・・」
と、いかにもって感じで、もったいぶって、
一切ノーコメントで押し通してやった。
けっこー気持ちよかった。
が、職業を考えるのがめんどくさくなった。
考えてみりゃ、
毎回違う職業にするからめんどくさくなるわけであって、
‘探偵’イッポンで通せば楽なんだけど、
それじゃあ、なんか芸がないんで
毎回、違う職業を名乗っていたのです。
毎回、見習いさんは違う人なんだけど。
で、思いついた。
「・・・・先月、リストラされちゃって・・」
と答えたらどうなるだろう? (つづく)
9月11日(土よう日) 日直・橋本
『夢占い』の最新の御投稿者から、
「読みました。」と、ご一報を頂いたのが、一昨日。
返信を差し上げ、
再度、今日、メールを頂いた。
『 お返事ありがとうございます!
先日は夢占いありがとうございました。
そして、日記読みました。
「音沙汰なしかい!」は私ですよね。
デート(?!)をすっぽかしてまで対応してくれたのに
すみません。
まさかすぐに占ってくれるなんて思ってもみませんでした。
嬉しいです。
まりりんさんのご指摘の通り、このところキツイ状況です。
つかまる夢はいい夢なんですね、不思議。
そんな夢が見られるようになるようになることを祈りつつ。
またご相談するかもしれませんがよろしくお願いします。』
「音沙汰なしかい!」
ブワッハッハッハ〜!
ちがうんですよぉ、のんた様ぁ(←妙になれなれしい)、
『夢占い』への御投稿者の中で、
「音沙汰なし」の方が、結構、多く、
良い機会だから、ちょっと甘えたこと言っちゃおっと。
という感じで、日誌に書いたのですよ〜。
のんた様にとっては、
「良い機会」どころか、まさにバッド・タイミングでした!
飛んで燈に入る夏の虫です。
蜘蛛の巣に掛かった、可憐なバタフライです。
魔女の魔法で囚われの身となった、眠りの森の美女です。
・・・いいですか?これくらいで。
申し訳ないことをしてしまいました。
いやぁ〜、
良かった、良かった、
読んで頂けて、本当に良かった。
デートをすっぽかしてまで対応した甲斐が有りました、ガッハッハ!
って、この大ボラが、
また死を招く・・・。
9月10日(金よう日) 日直・橋本
私の、
‘捨てきれない夢’の1つに、
「彼氏のギター弾き語り」
というのが有ります。
高校の時くらいから、
「歌の上手い彼氏がイイ。」
と思ってはいましたが、
ディテールにまでこだわった理想型が確立されたのは、
20代後半ですか。
その「理想型」というのはですね、
ま、イメージとして、
極、近いのは、井上陽水ですね。
シチュエーションとしては、
例えば、
彼が、窓辺に座り、
ひとり静かに、黙々と、
竹を削って竹トンボを手作りしていたかと思うと、
突然、
「キミの歌を作ったから、唄ってあげよう。」
と、愛用のギター(注:名器)を手に取り、
ポロロロロ〜ンと弾き語り。
その歌詞は、まさに、
‘私’を投影している。
ま、イメージとしては『ダンスはうまく踊れない』ですね。
そんなクソ難しい曲を、
サラサラっと弾き語り終えた彼は、
ギターを置き、
「僕の竹トンボ、風と遊んでくれるかな。」
と、空を見つめる。
そして、
歌の感動が冷めやまない私に、ニッコリと笑いかける。
「キミも風と遊ぶかい?」
どうです、
この、かすみ食って生きてるような男。
1歩まちがえばキチガイです。
これを、井上陽水以外の人がヤったら、
ただの神経衰弱です。
タイヘン難しく、タイヘンきわどいシチュエーションなのです。
で、
今、書いてて、思い直しました。
もう、シチュエーションなんか、どうでもイイです。
ウンコしてトイレから戻った直後でもイイです、
私のことを歌った歌を、
素晴らしい声で、弾き語ってもらえるんなら。
私の、
この「弾き語り」への憧れが、
‘ポエティックで浮世離れした人’に惹かれるゆえん・・・とでもいうのか?
とかなんとか、ハタと考えるフリをしては、
ピアノの前で手を休めているもんだから、
『恋は水色』の練習が、
まったく進みやしねぇ。
9月9日(木よう日) 日直・橋本
〜ここ3,4日、気がかりなこと〜
●「気になって気になって・・・」
と、書き添えられたお言葉に、
「おまかせあれ。」
とばかりに、
その夜のデートをすっぽかして(ウソ)仕上げた『夢占い』。
・・・ご本人から、音沙汰なし。
なんで読んでくれね〜の〜?!
気になってたんじゃなかったんでつか〜〜い?
また今回も、
「依頼者は、結局、読んでくれたのだろうか・・・?」
と、‘気がかりなままヤリ過ごしていく’パターンになるのかなぁ・・・。
●例の「ハープ君」に、
「ポピュラーピアノが趣味です。」
と大ボラ吹いたら、
(『舞台でピアノを弾いて私は地獄を見ました篇』は、こちらから11/12〜17です)
「セッションしましょう。」だとよ。
「『恋は水色』とか?」だとよ。
天地真理の歌ではありません。
「青い海は、白い波に溶ぉけぇるぅ。
白い波は、青い海に溶ぉけぇるぅ。
風よ、さぁ唄えぇ!」
という、
神経病んでるような、
日本語の歌詞がムリヤリ付けられた、
「トワ・エ・モア」風、
外国のポピュラーソングです。
「即興で適当にアレンジして、弾きましょう。」だとよーーーっ。
即興・適当・アレンジ・・・だ?。
それが出来りゃ、プロだぜ。
だから、
楽譜見ないで、ソラで、フルコーラス弾けるのは、
『猫ふんじゃった』だけだっつーの!
・・・仕方ない。
楽譜買ってきて、
死ぬ気で練習して、覚えこむしかない。
なに?これって、また試練?
なぜだ、
やることなすこと、裏目に出るぞ、最近。
それにしても。
あの宮殿のような怪しいバーで、
ハープ君奏でるハープに合わせてピアノを弾く・・・か。
俺たちゃ貴族か?
「怪しいサークル活動」のようだぜ、まったく。
9月7日(火よう日) 日直・鬼界
昨夜、自転車で住宅街をとばしていた。
突然、頭の10メートル上を
なんの音もなく、光る物体が通過していった。
UFOだ・・
ついに見てしまった!
3秒ほど高速で直進すると雲に隠れてしまった。
え?雲?
そんな高いとこ飛んでたの?
そして、かすかにゴォォォォ〜という音が聞こえてきた。
どうやら、大気圏に突入した隕石だったようです・・・。
でも、実際に、10メートルくらい上、
というか、すぐそこを飛んでる感じに見えたんですよ。
だから、見た瞬間はドキッとしました。
てっきり、UFOだと思ったから、
戻ってきて連れ去られちゃうんじゃないかと怯えました。
火星人に拉致されて素っ裸にされて身体検査とかされたらどうしよう?
僕のサイズが人間の標準だと思われていいものだろうか?
人類として、ちょっと恥ずかしくない?
人体実験されたらどうしよう?
痛い実験はイヤだな。
でも、改造されてスパイダーマンみたいになればいいな。
わずか3秒ほどの間にこれだけのことを考えました。
9月6日(月よう日) 日直・橋本
冷凍ブルーベリーを買いに行ったら、
「冷凍食品、本日半額」だったので、
ブルーべリーを買いだめすることにした。
その店の冷凍庫は、
コンビニのドリンク棚のように、
手前に並んでるやつから取っていくようなスタイルとなっている。
しかし、
扉が無い。
いくら、エアなんとかで冷気が確保されていても、
どうしたって、
手前のは、溶けてるっぽく思えてしまう。
うんにゃ、
「溶けてんじゃねーの?」
と、皆が、いちいち、必要以上に触って確かめるから、
確実に溶けてるとみた。
そう、
そして、
奥に並んでるものになればなるほど、
ガチガチに凍ってる・・・
それを買いたい・・・
と思うのが人情だ。
人情だが、セコイ。
1mほど離れたところで、
冷凍ギョウザを何個買うか話し合っている、
30才くらいのカップルの目が気になる。
あまり無理せず、
手前から4個ほど後ろのから、
5,6個取れば、いいか。
冷凍庫棚には商品がギッチリ詰まっているので、
手前の4個をどけないと、後ろのが取れない。
棚の最下段だけは、
‘平置き’スタイルになっていて、
整然とは並べづらい「冷凍カットかぼちゃの袋詰め」が、
無造作に、
ドサッと山積みされていた。
冷凍ブルーベリーを、手前から順番に4袋取り、
とりあえず、
それを、
その最下段の、山積みされた「カットかぼちゃ」の上に置いておき、
私が買う分のブルーベリー5袋を取り、カゴに入れる。
で、
カップルの目を盗み、
「カットかぼちゃ」の上に置いておいたブルーベリー4袋を、
元通りに、そっと棚に戻す。
と、こうなるはずだった。
が、
買う分のブルーベリー5袋を手に取った瞬間、
とんでもない事態となった。
それまでは、それでもナントカ均衡を保っていた、
「カットかぼちゃ袋」の不安定な山が、
私が乗せたブルーベリー4袋が引き金になって、
ナダレを起こしたのだ。
そればかりではなく、
ブルーベリー袋の列だけが、突然、スカッと空いたことで、
これまた均衡を欠いた商品らが、
上からナダレ落ちてきた。
なにせ、皆、凍って、袋がツルッツルになっているので、
よくスベる。
ザラザラザラザラと、勢いよく床にスベリ落ちていく。
店員がスッ飛んできた。
「床に落ちているブルーベリー4袋」と
「私が手に持っているブルーベリー5袋」で、
何をしようとしてこうなったのかは、一目瞭然。
さすがに、バツが悪い。
恥ずかしい。
悪いことは出来ないね。
もう、こんなセコイことはやめよう。
冷凍食品は、
ちゃんと、1番手前に並んでるのから買おう。
・・・いや、
やっぱ、2番めの、で。
カップルの男性は、
「大騒ぎになっちゃった!」と笑いながら、一緒に拾ってくれた。
初めから見てたのね・・・。
9月5日(日よう日) 日直・鬼界
今年も近所の神社のお祭りだ。
去年は素人マジシャンに存分に楽しませてもらった。(’03.9.8の日誌参照)
そのせいか、
今年は奉納演芸がなくなってしまった。
そのかわり、
朝からずっとお囃子の音が鳴り響いている。
計5時間くらい見ていた。
4、5人が一組になってお囃子を演奏し、
しばらくすると、別のグループと交替する。
総勢20人くらいなので、
ずっ〜と見てると
入れ替わり立ち代わり、いろんな人の組み合わせのお囃子が楽しめるのだ。
驚いたのは、
お囃子メンバーの半分以上は
中高生なのだ。
女子中学生が横笛を吹いたり、茶髪の女子高生が太鼓を叩いたり、
ニキビのデブ高校生が鉦をたたいているのだ。
伝統を受け継ぐ十代もいるんだ。
そして、残りのメンバーはずっと年が離れて初老の男女。
働き盛りの人々はそんなことに関わってられないもんね。
と思ってたら、
社務所の奥から神輿がいくつも出てきた。
ワイワイ担いでいるのは、働き盛りの人々だった。
老若男女が祭りで一体となっている。
地元に根付いた住民の方々というのか、
自治活動が盛んというのか、
実は素晴らしい地区だったのだ、この辺りは。
9月4日(土よう日) 日直・鬼界
そして、いつの間にか、しゃっくりが止まっていた。
昨日のつづきを書いてます。
といっても、今日まで延々としゃっくりが続いていたわけではない。
けれど、相当長い間、しゃくっていた。
お茶を入れて飲んでる時もヒックしてたし、
シャンプーしてる時も、
特殊部隊突入のニュースを見てるときも、しゃっくりしてた。
なのに、いつの間にか止まってた。
最後の1回はどれだったんだろう?
思い返せば生まれてこのかた、
自然に止まった、しゃっくりの最後を認識した覚えがない。
蚊に刺されたところが痒くなくなる瞬間を認識しないのと同じだ。
「だって、虫さされはだんだん痒くなくなるから、
そういう瞬間はないのでは?」という考えは間違っている。
蚊に刺された時に
「さっきの半分くらいの痒さにおさまった」などという経験はないですから。
なにはともあれ、
しゃっくりが止まって、よかったです。
9月3日(金よう日) 日直・鬼界
しゃっくりが止まらない、ヒック。
大戸屋に入ったら異常に冷房がきいていて
くしゃみをした、ハクション。
その途端、しゃっくりが出たのだ、ヒック。
くしゃみとしゃっくりは仲間か?
混んでいたのでずいぶん待たされた、ヒック。
早く来ないかなぁ、ヒックヒック。
恥ずかしいぜ、ヒックック。
長茄子と豆腐のあんかけ豚竜田添え 生姜ご飯をイッキに食う。
ふぅう〜、腹いっぱいだ。
おや?しゃっくりも止まってるぞ、ラッキー!
外に出たらモワッと暑く汗がふきだした、ドッ。
その途端、しゃっくりが出た、ヒック。
しゃっくりは汗とも仲間か?
そして、今もヒックヒックだ。
いいかげん、ノドと胸が疲れてきた、ヒック。
横隔膜よ、痙攣するな、ヒック。
9月2日(木よう日) 日直・鬼界
原辰徳と同じ控え室になった。
原は1シーンだけの特別出演でセリフもないし
気楽そうだった。
マネージャーと堀内の悪口を言っては、ワハハとバカ笑いしている。
僕は部屋の隅で小声でセリフの練習をしていた。
突然、
「キミ、それ、違うな」と原が叫んだ。
驚いて振り返ると、いつの間にかマネージャーがいない。
「今のセリフをもう一回」
なんと、僕に対して言っているのだ。
僕は仕方なく、セリフを繰り返した。
「ダメだ、ダメだ。語尾がハーフスイングになってる。もう一回!」
僕はおとなしく、セリフを繰り返した。
「違う!もう一回!!」
厳しく指導する原に対して、僕は言った。
「ちょっと待ってください」
そして、考えた。
語尾がハーフスイングって、なんだろう?
語尾がハーフスイングって、なんだろう?
語尾がハーフスイングって、なんだろう?
僕はなんで原にダメ出しされてるんだろう?
僕はなんで原なんかにダメ出しされてるんだろう?
僕はなんで原なんかにダメ出しされなきゃなんないんだ?
原に腹がたってきた。
僕は怒りにまかせて、机を思い切り叩き
「原っ!!」と大声で叫んだ
その瞬間、目が覚めた。
とてもヘンな夢だった。
9月1日(水よう日) 日直・橋本
最近知ったのだが、
小さい子供が、
祖父母のことを、
「ジイジ」「バアバ」
と呼ぶのが流行っているらしい。
ま、子供の親が、そう呼ぶように教えたのだろうが、
私には、耳慣れない呼び方ではある。
友人Mの家に遊びに行き、
Mがキッチンに立っている間、
Mの子供(女・5才)と話すハメになった。
話題が見つからず、
困っていると、
子供が、
「ジイジとバアバのところに、
遊びに行ったんだよ。」
と、突然、夏のバカンスの報告をしてきた。
「よし!
バカンスのことを、色々、話させて、時をかせごう!」
子供が苦手な私でも、
話題さえ見つかれば、なんとかなる。
よかっつ!
「おジイちゃんとおバアちゃんのお家で、何して遊んだの?」
と尋ねようとして、
ハタと考えた。
この子供は、「ジイジ」「バアバ」と呼んでいる。
ヘタに私が「おジイちゃん」「おバアちゃん」などと言って、
「ちがうもん。」と、
子供の気分を害しても、面倒だ。
ここは、子供と同じ呼び方をするべきだな。
よし。
尋ねた。
「ジジイとババア・・・いや、チガウ!!」
「ジイジ」「バアバ」って、
意外と言いにくいのね・・・。