鬼橋日誌(おにはしにっし) 
鬼界事務所の構成員、鬼界と橋本が書く日誌です
                    

・2000.5.12〜12.31の日誌は、こちら
・2001.1.4〜5.31の日誌は、こちら
・2001.6.1〜10.21の日誌は、こちら
・2001.10.22〜2002.3.30の日誌は、こちら
・2002.3.31〜8.31の日誌は、こちら

・2002.9.1〜12.31の日誌は、こちら
・2003.1.5〜5.5の日誌は、こちら
・2003.5.6〜9.2の日誌は、こちら
・2003.9.3〜12.31の日誌は、こちら
・2004.1.1〜4.30の日誌は、こちら
・2004.5.1〜8.31の日誌は、こちら
・2004.9.1〜12.31の日誌は、こちら

7月31日(日よう日) 日直・橋本
 初めてドンキホーテに行った。
私の愛用のシャンプーとトリートメントは、
「サロン専売品」と銘打ってるくせに、
ドラッグストアでも売っている。
定価よりチョットだけ安く。
が、
最近、
「ドンキで、お徳用サイズが売っている」という情報を入手したので、
寄ってみたのだ。
有った。バカデカサイズ。
どこにでも売ってんじゃん、サロン専売品。
結構、役に立つじゃん、ドンキって。
友人と店内を見物。
「ここは、よく燃えそうだ、確かに。」
思わず言ってしまったら、
周囲の客に、いっせいに、にらまれた。
失言。
暑いからね。
逆なでするような言動は慎まなければいけませんね。


7月30日(土よう日) 日直・橋本
 出先でバンドエイドが入用となり、
目に付いた薬屋に入った。
ほそぼそと処方箋も受け付けている、
見るからに、
昔ながらの古い薬屋だ。
入り口の外の棚に並んでいる数個の
クリネックスティッシュ5ヶ組みの箱が、色あせている。
1個も売れてないんだろう、10年ぐらい。
なにもかも定価で売っているような、
こんな薬屋で、
今どき、ティッシュ買うヤツは居ないよなぁ。
客も私だけ。
「・・探せば近所にマツキヨとかあるのかしら?」と思いつつも、
時間がないので、「もう、いいや、ここで」と、
レジ近くの棚でバンドエイドを物色していた。

いらっしゃいませ〜

昼メシを中断して接客にきた様子の店番女は、
こう言ったなり、カウンターの向こうで、不気味に、たたずんでいる。
白髪まじりの髪を、女学生のような‘おさげ’にしている。
行き遅れの看板娘かな?
と、入り口のガラス戸をガラガラと開けて、客が入ってきた。
ボンタンズボンをはき、
頭にネジリタオルを巻いた、
土方のオッサンだ。

「オレじゃねーんだけどよぉ、
虫歯が痛ぇっつってんだよ。
なんか、薬、みつくろってくんね?」

・・・バファリン、ありますよ〜

と看板娘が答えた。
その時、また客が入ってきた。
土方だ。
また土方のオッサンだ。今度は2人連れで。
この街は、土方の街か?
オッサン2人は、つまようじをくわえ、店内をそぞろ歩いている。
この店は、土方の人たちの食後の娯楽施設なのか?

「頭が痛ぇんだけど、薬、あっかなぁ?」

カウンターに向かって大声を出すオッサン。

「・・・バファリン、ありますよ〜」

答える看板娘。
レジは、
バファリンを持った土方の人たちで大にぎわい。
この店、
バファリンだけ売れ行き好調。


7月29日(金よう日) 日直・鬼界
暑い、とにかく暑い。
これだけ暑いと、何する気も全く起こらない。
ダラダラする。
グダグダする。
人間だって動物なんだから仕方がない。
こんな時はこういうもんさ。
と、
開き直れないのが日本人のツライところだ。
怠けてるとか、たるんでるとか
負の意識がつい先に立ってしまう。
ボルネオ人はそんなこと、これっぽっちも思わず、
思いっきりダラダラしてるだろうに。
日本人は悲しい。
が、
日本は文明国だ。
どこにいっても冷房がある。
快適快適。
厳しい夏もやり過ごすことができる。
ボルネオ人はクーラーなんか見たこともないに違いない。
ざまーみろボルネオ、だ。
でも、
暑い中、せっかく涼しくなったんだから、昼寝でもしましょうや。
という発想はない。
オフィスに冷房が入っているのは働くためで、
快適に休むためではない。
バカンスもなく働くためだ。
勤勉なのだ日本人は。・・・・悲しい。
ボルネオ人ならクーラーを18度に設定して
腰みの1枚で思いっきり昼寝するだろうに。

ボルネオ人に生まれれば良かった。


7月28日(木よう日) 日直・鬼界
昨日、
台風一家で猛裂に暑かった昨日、
代々木駅のホームで
Pコートを着て、毛糸のマフラーをまいてる女の子がいた。

キチガイ?

でも、長澤まさみにそっくりなんだぜ。
ただし、病的に激ヤセした長澤まさみだが。

ま、それだけなんですけどね。
寒かったのかな?                 マジ?


7月27日(水よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
その攻撃は思わぬ方面からやって来た。
肛門に熱湯を浴びせられたような熱さを感じたのだ。
反射的に肛門を閉じ、
バネのように起き上がった。
すると、下っ腹がキリキリ痛い。
アうン
そんな声を出しながら、トイレへ急いだ、
もちろん腸を刺激しないように、そっと。
座るやいなや、大噴火。
ロケット噴射で土星へ飛んで行けるかと思うくらいだ。
な、なぜ、三重苦?

やはり寝冷えか・・・
ここ何日か、クーラーをガンガンかけていたにもかかわらず、
短パンにタンクトップといったカッコで寝ていたのだ。
そのせいで、風邪はひくわ、おなかは壊すわ、
でも、歯茎痛はなぜ?
ついでに勃発しちゃえ〜、って感じなのかしら?

とにかく、つらい。史上最高にツライ。
30分おきにトイレに行くし、なお辛い。
そして、
何回目かにトイレに入り、もろもろ下ろして、便座に座ったのが
23日土曜日16;35だったのだ。
おわかりですね?
関東を襲った震度5強の地震発生の時刻です。
思わず笑ってしまった。
四重苦?
こんな態勢でこんな場所に閉じ込められるのか。
くだっているナニなので、鼻への攻撃がハンパじゃない。
そのクサさのせいで、頭痛が倍増、その結果、歯茎痛が激増、
そうなりゃ当然、節々や筋肉の痛みもとどまるところを知らず・・・・。
ああ、マジ死ぬな。
死を覚悟したら、余震が二回来た。
死は確信になった。
が、
それ以上の地震は来なかった。助かった・・・・。

その後、寝たり起きたりを繰り返し、
ようやく今日に至るというわけだ。
こんな日誌を書いてるくらいですから、無事回復いたしました。謝謝。

PS.歯医者さんにも行きました。
   熱のため、親知らずが活性化したそうです。この歳で親知らずかよ・・・。


7月26日(火よう日) 日直・鬼界
 病の記録
先週、金曜の夜、寝る時からヘンだったのだ。
なーんか腿の筋肉がモゾモゾするし、
なーんかヒザがワサワサする。
おかしいぞ?とは思ったものの、寝てしまったのだ。
で、
土曜の朝、起きたら、
頭はガンガン、腿の筋肉はシクシク、ヒザがズキズキ、
各所が各様に痛い。
測ると、38.5度だったのだ。
とにかく寝よう。
「1に睡眠、2にストナ」だ。
あいにく、ストナはないから、2も睡眠だ。
で、
寝た。
昼過ぎ、耳が痛くて起きた。
真っ昼間だから騒音対策にと耳栓をしたのがマズかったか。
慣れないことはするもんじゃない。が、
耳栓をとっても耳が痛い。
だんだん目が覚めてくると、痛いのは耳じゃない。ほっぺだ。
いや、違う。
歯だ!
おそるおそる舌を伸ばすと、下の左奥のはぐきが異様に膨れ上がっている。
エイリアンが飛び出しそうなくらいに盛り上がっている。
そこが、ドクンドクンと脈打って、痛いのだ。
うげぇぇぇぇぇぇぇ!
風邪なうえに歯痛ぁ?正確に言うなら、歯茎痛ぁ?
二重苦かよ・・・・
目を閉じても、眠れない。
口の中でドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク。
あまりにリズミカルだ。
ダンスの先生の手拍子みたいだ、ファイブ、シックス、セン、エイっ!
ああ、ねむれないねむれない
と思ってるうち、
ジャズダンスしてる夢を見てた。
突然、
新たな痛みに襲われ飛び起きた。
三重苦かよ・・・  (つづく)


7月24日(日よう日) 日直・橋本
 スポーツニュースを見たら、
相撲の勝敗表が出た。
今、現在、相撲には全く興味は無いが、
「かつて私が興味を示した四股名(しこな)」の力士たちは、
今でも元気でやっているかしらと、ちょっと見ていた。
私の高校名と同じ名前の力士は、
かろうじて幕内だった。
知り合いの名字のような四股名の力士は、もう居ない。
あと、
いかにも、
はかなそ〜な、弱そ〜な、負けそ〜な名前の、
なんだっけ、
砂山?砂浜?
とにかく、その名も無い。
やっぱり。
四股名が良くなかったんだ。
ウソでも、強そうな名前をつけなきゃダメなんだ。
と思って見ていたら、
こんな名前が目に飛び込んできた。
「安馬」。
やすうま?
もうちょっと無いのか、名前。
勝つ気は有るのか。
どうするの、
今後、キミの勝敗が気になって仕方ないじゃないの。
 そういえば、
先日観た映画『ターミナル』の中で、
「あなたはジャジャ馬だ」を、
英語力不足の男が「あなたは馬だ、馬だ」と女性に言ってしまうギャグがあった。
このあいだの5月公演の出演者である○○さん(男性)は、
「外人女性との○○○の最中、
その女性に「あなたは馬だ、馬だ」と叫ばれた(ただし英語で)。」という話を、
本番中のウォーミングアップの時にしていたっけ。
その話を聞いた時、私は、意味が解からず。
どうなんだろう、
それは、『ターミナル』式の解釈で、
「あなたは暴れ馬だ」という意味の「馬」だったのだろうか?
それとも、何か、他の意味が?
 とにかく。
「安馬」関、頑張れ。 

下の鬼界さんの絵文字(?)、
お馬さんの格好?


7月23日(土よう日) 日直・鬼界
 (トップページの今日トからのつづき)
38.5度もある。
なんじゃそりゃ・・・・_|¯¯|○
37度を超えただけでもフラフラするのに、8.5だとぉ。
節々が痛い、筋肉が痛い、頭が痛い
なのに、なんで僕は日誌なんぞ書いてんの??
いかん、寝よう休もう横になろう。
マジ、つらいっす。


7月22日(金よう日) 日直・橋本
  『折鶴お千』という、
例によって古い映画を観た。
1935年製作。
サイレント映画。
主演は山田五十鈴(いすず)。
出ました。
山田センセイ。(←あだ名。私が付けた。)
この人、まだ生きてる。
今から70年前に作られたサイレント映画の主演女優なのに、
いまも生きてる。
「山田センセイ以外、出演した俳優は全員とっくに死んでいる」というような映画も多いのに、
今も現役で舞台に立つというから驚く。
が、ここんとこ、名前を聞かない・・・。
で、
最近、チラと、ある疑惑が私の頭をよぎる。
その疑惑とは、
「山田センセイ、本当は、死んだのではないか?」だ。
本当は死んでいるのに、生きていることにしているのだ。
昔から、
死の隠匿は、珍しくない。
徳川家康殺害計画の際の、
「密かに暗殺したのでは、死んだという事実を隠される恐れがある。
おおぜいの目の前で殺さなければ。」という方針からも判る。
日本の戦国時代に限らず、
世界中で、
要人の死を隠す作戦は、戦時下、よく使われたのだ。
最高司令官の死は、敵にも味方にも知られてはマズイのだ。
・・・で、
山田センセイの場合は、なぜ隠す?
センセイの死を隠す意味は?
・・・無いな。
まったく無いな。
じゃ、
やっぱり生きてるんだ。


7月21日(木よう日) 日直・鬼界
  (きのうのつづき)
並「あのお、ちょっとおうかがいしたいんですが、
どこのお席を取るおつもりですか?」

な、なんだ、こいつ。異常にまともだぞ。

鬼「いや、まだ決めてないんだけど・・・」

並「第何戦のチケットをご希望なのですか?」

鬼「いや、それもまだ・・・」

まさか、始発で行ったくらいで一番に並ぶとは思ってなかったから、
実際、第何戦のどの席でもいいや、と考えていたのだ。

並「でしたら、外野指定席の1番から4番だけは譲ってもらえないでしょうか。
我々は地元の阪神ファン仲間なのですが、
中学時代から神宮球場の試合は毎回、ここに並び、
1番から4番の連番席で応援してるのです」

鬼「中学の時から、全部の試合見てるの?」

並「神宮だけです。東京ドームは見てない試合もあります」

ってことは、ドームもほとんど見てんだ。

鬼「甲子園にも行くわけ?」

並「いえ、ほとんど行きません。年に20試合見るか見ないかです」

出たよ、出たよ、出ましたよ。
虎キチガイだ。
そんなことしてっから、浪人すんだよ。

並「今日も会社を休んで、徹夜で並んでいたのですが

へ?浪人生じゃないのぉ???

並「うっかり、始発が到着する時間帯に誰もいなくなってしまったのです。
ここの窓口は、外野指定席券がだいたい8,9枚入荷します。
ですから、もし、外野指定をお買いになるのでしたら、
5番からの席を買ってもらえませんでしょうか?」

鬼「いいよ」

ん?すっかり向こうのペースじゃん?

並「ありがとうございます。
ただ、時によって、土曜の試合の外野指定席が、5枚しか入荷しないことが、
ごくたまにあるんです。
その場合、本当に申し訳ないのですが、
我々に譲ってもらうわけにはいかないものでしょうか?」

鬼「いいよ」

丸め込まれてるぅー!
さっき、どこの席でもいいって言ったし。
てゆうかね、こういう風に出られたら、僕だって、あっさり折れるわけですよ。

並「本当ですか!ありがとうございます。ありがとうございます。
9時50分になると、申し込み用紙が配られます。
もし、外野指定席をお買いになるなら、席種コード横の空欄に、‘原券’とお書きになり、
‘備考欄’に、‘席番、5番以降。但し、席番が7番以下の場合は

鬼「ちょっと待って。ややこしいから順番変わろう。
オレ、チケット取れりゃぁ、なんでもいいし。」

こうして僕は4番目に並びかえました。

無事チケットも取れたから、別に問題ないんだけど、
なんだか、並クンにまんまとやられた気がします・・・・。


7月20日(水よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
ジーンズにシャツ(もしくは、ヨレヨレTシャツ)の
これぞ浪人生!みたいな3人組は、
デブとチビと中肉中背の
まさしく浪人トリオ!みたいな体型だった。
仮に、「太」「小」「並」と呼ぶことにしよう。

太「ここぉ、オレたちが取ってたんすけどぉ」
小「ダンボールやったのもオレたちなんでぇ」

そっか、地面にガムテではっつけてあったダンボールは
席取りだったのか!
って、ま、そうなんだろうとは思ってたんだけど。

鬼界「あ、そうなんだ。でも、いなかったじゃん」

太「ケツが痛くなったんでぇ、ケツにしくものを取りに行ってたんっす」

デブのくせに、ケツ、ケツ、って、連呼すんな。

鬼「あ、そうなんだ。でも、いなかったじゃん」

小「ほんの一瞬いなかったけど、オレタチ、昨日の夕方から並んでるんす」

鬼「あ、そうなんだ。でも、いなかったじゃん」

太・小「・・・・・・・・」

どうでもいいけど、並クンはオシなのかい?
ひとっこともしゃべらないぞ。

太「オレたち、昨日の夕方からここに並んで、ダンボールはって、徹夜してるんです。
ほんのチョットの間、ケツにしくものを取りに行ってただけなんです。」

デブは無脳か?リピートしてんじゃねえよ。さっき全部聞いたよ。

小「ダンボールがあったらふつー・・・・」

鬼「あ、そう。じゃあ、ダンボールからは、どくよ」
と、ダンボールより前の位置に新聞紙を移動し、僕は座りなおした。


なんだか、僕が卑劣ないじわるをしてるようにも受け取れる展開ですが、
決してそうではありません。
4番目になっても絶対チケットは取れるのはわかってます。
最初の態度にカチンときたのです。
せめて、
「朝早く御並びのところ申し訳ありませんが、
私どもが先に並んでおったのでございます。
その証しと言っちゃなんですが、この小汚いダンボールは
私どもが敷かせて頂きました。
ご足労をおかけしますが、私どもの御後ろに御並びくださいますか?」
とでも言ってくれてれば
「ごめーんごめーん」と快く順番を譲ったのです。
悪いのは、浪人トリオなのです。


太クンがまたなにか言いそうになったので、
僕は“ここからお並びください”看板に書いてある注意書きを読んでやった。

「物を置いての順番取りはご遠慮ください。
防犯上、徹夜で並ぶことは固くお断りします。
って、書いてあるけど。」

浪人トリオは言い返す言葉もなくなり、
すごすごとダンボールの上に座った。
5分後、
後ろから声をかけてきた。
「あのお、ちょっとおうかがいしたいんですが・・・」
見ると、並クンだった。
しゃべれんじゃん! (つづく)


7月19日(火よう日) 日直・鬼界
先行予約でもプレリザーブでもプレオーダーでも、(各社名称が違う)
ぜーんぜんチケットが当たらないので、
いいかげん、あったまにきた。
ネットとか電話とか、
最新鋭の文明の利器にすがることをやめ、
チケット売り場に並ぶことにした。
どーせ行くなら、始発で行ってやれ!
4時起きした。
すでになんとなく蒸し暑いが、
さすがにまだ薄暗い。
こんな時間に起きてるヤツはいねえだろ
と思って、ふと、裏のアパートを見ると、
全室電気がついていた。
新聞配達員の寮か?
あっけに取られて見つめていると、
ベランダに洗濯物を干しに出てきた若い女の子と目が合った。
不審者を見るような目で見られた。
おい、その目はなんだ?
オマエがパンツ干すのを待ってたとでも?
うぬぼれんな!
オレにも見るパンツを選ぶ権利があるぞ!
そもそも、午前4時過ぎに洗濯物を干すあんたが不審者だよ!

いかんいかん、
心の中で毒づいてる場合じゃない。
早く行かなきゃ。

午前4時45分、到着。
なんと1番だった。意外。
ただ、
“ここからお並びください”と書かれた看板からビルに沿って、
地面にダンボールが貼り付けられている。
これはなーに?
ま、いっか。
ダンボールの上に新聞紙を敷いて、座り込んだ。
5分後、
「ダンボールが目に入んねえのかよ?」
大声を浴びせられた。
ダンボールを目に入れたら痛くてしょうがねえよ
と、寝ぼけた思考で振り返ると、
浪人生が3人、僕をにらみつけているではないか・・・(つづく)


7月18日(月よう日) 日直・橋本
 一昨日の飲み会で得た、
「チケット取りの電話がつながる裏ワザ」情報。
それは、
「地方伝説」。
田舎であれば田舎であるだけ繋がるらしい。
混雑すると、
まず、東京23区内からの電話がシャットアウトされるらしい。
都内寄りの地域も、まったく繋がらなくなるのは、
それの影響でなの?
地方は繋がるそうなのだ。
情報提供者は、
富山県の実家のお母さんに頼むと、
どんな人気チケットも100%の確立で取れるそうだ。
ただ、
繋がったら繋がったで、
お母さんが、
慌てふためき、プチパニックを起こすのが難点だそうだ。
オペレーターに「落ち着いてください。」と諭されるらしい。
いいなぁ。
こんなときにも、いいなぁ、実家が地方に有る人は。


7月17日(日よう日) 日直・橋本
 昨日は、
江古田駅そばの劇場に、お芝居を観に行った。
江古田は、私が通った大学の最寄駅だ。
懐かしいので、
終演後、飲み屋を物色しがてら、駅周辺をちょっと歩いてみた。
学生時代、クラブのコンパ会場として頻繁に利用した、
昔ながらの感じの居酒屋が数軒、
まったく変わらずに、有った。
今でも、毎夜、
いくつもの学生グループらが大騒ぎしてるのねぇ、ここで。
そんな店で飲みたかないわ、うるせぇ。
が、あまりの懐かしさに、
それらの店の戸をガラガラと開け、皆に店内を見せては、
「この店でゲロ吐いた。」
「この店でも吐いた。」と、紹介。
こうしてみると、
当時から存続している店すべてで、私はゲロを吐いていた。
言い換えれば、
私がゲロを吐いた店は、つぶれずに残っているということだ。
同行者の一人ちはるねーさんいわく、
「だから、江古田ってゲロ臭いんすね。
びっくりしましたよ、今日、来てみて。
鼻がひんまがりそうです。
数知れない学生たちのゲロの匂いが、しみついてるんすよ、江古田。」
積年のゲロの匂い漂う江古田駅。
お恥ずかしい。
ほっんと、
くせぇんだよ、江古田駅!
なんとかしろよ、江古田駅!
しこたま飲んで駅に向かう道々、
そのゲロの匂いで、あやうく吐きそうになっちまったぜ、きのうは。

ちなみに、
昨日の飲み代は、
例の「阪神チケットゲット作戦」の報酬として、鬼界さんがおごってくれた。
鬼界さんは、
トップページの「17日付け今日のトピックス(略して今日ト)」にあったように、
「リンゴ酒のソーダ割り」1杯で酔っていた。
ファジーネーブルにしときゃいいんだ。


7月16日(土よう日) 日直・鬼界
暑い。蒸し暑い。暑い。蒸し暑い。
なんで日本はこんなにネバネバしてるんだ。
太陽はギラギラ照り付けてる。
パソコンからも異様な熱が発散されている。
デスクトップって、こんなに熱くなるものなのか?
特に、モニターの上に手をかざすと、
猛烈な上昇気流を感じる。入道雲が発生しそうな熱い空気だ。
そのうえ、外ではカラスがカァーカァー鳴いている。
いや、そんな生易しいもんじゃない。
ギャァーギャァー大騒ぎしている。
夏に発情するのか?
暑苦しいぞ。
ただでさえ、真っ黒けで熱いのに。
ギラギラ照らされて、体内温度は50度を突破してるだろうに。
ああ、うるさい。
そっと近づいて、カラスに虫眼鏡で太陽光線を集めてやりたい。
黒いだけに一瞬でジュッとなるだろう。
羽の付け根がいいかな、それとも、くちばしをジュッとやってやろうか、
右目に食らわすのも楽しいかも。
いかん、いかん!
暑さのせいで、本性が露わになってしまってる。
だから、夏はキライだ。


7月15日(金よう日) 日直・橋本
中吊りに、こんなことが。
確か『女性自身』。

「日本でも大ヒット!!
5分でわかるスター・ウォーズのすべて!!
28年の歴史も丸わかりっ。Q&A」

『女性自身』の購買層向け「スター・ウォーズQ&A」。
どんな質問なんだろうか。
『女性自身』を読むような人向けのQ&Aだ。
あなどってはいけない。
こんなだろうか。

Q:スター・ウォーズって、何?

A:映画です。

Q:ダース・ベイダーって、誰?

A:悪役です。

昨日の推定年齢100歳のお爺ちゃんといい、
女性週刊誌の読者層といい、
老若男女に人気なのね。 


7月14日(木よう日) 日直・橋本
 昨日、
六本木ヒルズの映画館に『スター・ウォーズ エピソード3』を観に行った。
「THX」と「全席指定」に惹かれて、初めて行ってみた。
席は、真ん中よりチョイうしろあたり。
客席は「勾配式」様なので、
スクリーンを見やすいのと同様、客席も見渡しやすい。
レディースデーということで、
女性客が多い。
本編が始まる前、
6列ほど前の通路ギワ席の男性が、トイレにでも行くのか、
立ち上がったのが見えた。
歩き出してビックリ。
ほぼ直角に曲がった腰、
枯れ木のような腕と脚、
髪は生えてんだかハゲてんだか。
なに、あれ、人間?
100歳くらい?
手すりにつかまりながら、ヨロヨロと進んでいる。
だいじょーぶかよ。
上映中に死なない?
シニア割引で観られるとはいえ、
あの歳になっても映画館に足を運ぶとは。
名画鑑賞会でも、あれほどの年寄りには、お目にかからない。
 上映中。
また、立ち上がり、ゆっくりと出口へ向かうお爺ちゃん。
もしかしてお婆ちゃんか?
どっちゃでもいいや。
映画、理解不能で、リタイヤかしら。
と思ったら、帰ってきた。
トイレだったようだ。
年寄りだから、近いのだ、オシッコが。
しばらくのち、
また、オシッコへ。
で、帰ってきた。
そして、三たび、オシッコへ。
その時、私は、気がついた。
お爺ちゃんは、
「ヨーダの活躍シーン後に、トイレに立つ」ということに。
「さぁ、活躍シーンが終わった。
次の大活躍シーンに備えて、今のうちにオシッコに行っとこ。」ということなのだ。
お爺ちゃんは、ヨーダ・ファンなのだ。
なぜだ。
自分と似ているからか?
判らん。
と、そんなことなんかも思いつつ観ていたら、とうとう終わってしまった。
『スター・ウォーズ』が終わってしまった。


7月12日(火よう日) 日直・鬼界
そうです、阪神が好調なのです。
今年は、いえ、今年も優勝します。
僕はすでに浮き足立っています。
んが、
おととしほど盛り上がりきらないのは、
やはり、
監督の違いでしょう・・・
おととしの星野監督と、今年の岡田を比べると、
陽と陰、表と裏、男前とブ男くらいの差があります。
星野もベンチでは苦りきった表情をしてることが多かったのですが、
岡田はウンコをガマンしてるような顔に見えます。
インタビューも、
星野はハッタリをかましてましたが、
岡田はネットリしてるだけです。
監督をやめて、星野はCMに引っ張りだこでしたが、
岡田にはそんなことは起こらないでしょう。
よくて、関西ローカル1社。
んが、
勝たないより勝つ方がいいです。
だから、岡田の顔を見ないように応援してます。


7月11日(月よう日) 日直・橋本
 昨日の日誌について、
早速、情報をお寄せ下さった方がいらっしゃった。
その方が仰るには、
電話が繋がる‘裏ワザ’が有るそうな。
そのワザを使えば、
どんな人気チケットでもゲット出来るらしい。
最近は、
インターネットチケット販売における裏ワザ接続法も出回っているとか。
そうなんですか。
ビックリしました。
そんなワザを使って、皆さん、電話をかけてたのか。
じゃあ、繋がるわけないじゃん、私。
なーんだ。
悔しいなぁ。
ここだけの話、
実は、
翌日9日の午前10時に、再チャレンジしたのだ、私。
前日8日に取るはずだった試合とは、また別の日の阪神戦のチケットだ。
だって、悔しかったんだもーん。
こうなったら、なんでもいいから取ってやれ。
雪辱戦だ。
運だめしだ。
「チケットを取る」ことよりも、「電話が繋がる」ことに意義があるのだ、この場合。
キッチリ10時の時報と共にあちらに繋がるようにダイヤルするも、
またまた前日同様にダメ。
リダイヤルを繰り返した末、30分後に繋がった。
やた!
が、
例によって、また売り切れ。
なんだよ。
どーなってんだよ。
と思ってたら、こーなってたのね。
私のように運のないヤツぁ、裏ワザを使え・・とね。
M様、
情報、有難うございました。
電話が繋がらなかったのは、私のクジ運の悪さゆえ・・・とばかりは言えないのですね。
よーく判りました。
ついでに言わせて頂くならば、
その裏ワザをお教え頂きとうございました。

ちなみに、
9日の電話については、鬼界さんも繋がらなかったそうだ。
ザマーミロ。


7月10日(日よう日) 日直・橋本
 「阪神戦のチケットをとってくれないかなぁ」
と、鬼界さんにお願いされた。
「8日(金)の午前10時から電話受付開始なのだが、
仕事が入り、その時間に、どうしても電話できなくなった」と言う。
「平日の午前中だから、
ふつーに働いてる人には頼みにくい」ということらしい。
そりゃそうだ。
気持ちはわかる。
電話は大の苦手だが、
「とれたら、次の飲み会の時、飲み代をおごる」というので、引き受けた。
この「とれたら」という大きな落とし穴に、まったく気づかずに。 
 当日。
対ヤクルト戦(於甲子園球場)のチケットを取るべく、
10時に電話。
つながらない。
何度かけても「混みあってますので、おかけ直しください」。
切ってはリダイヤル、切ってはリダイヤル・・の繰り返し。
リダイヤル→繋がらない→切る→リダイヤル→繋がらない→切る→リダイヤル・・・
このプッシュホンボタン操作の繰り返しは、
単純だが、
やってみると意外に集中力を要する。
最初、片手で雑誌のページを繰りながら操作していた私だが、
そんな悠長なことしてる場合じゃない。
それでなくても繋がらないんだ、
集中して、ガンガン、リダイヤルしなくちゃだ。
早く確実に、リズミカルに。
アホみたいに手で拍子をとりながらのボタン操作を続けること1時間半。
やっと繋がった。
と思ったら、売り切れだ。
アホくさ。
なんだったんだ、1時間半は。
私の貴重な時間を返せ。
それにしても。
チケット取りづらすぎ。
阪神ならではの、この騒ぎ。
首位独走中だからって、また。
どうせ阪神ファンでもなんでもない人もチケットをとって、
とれなかったファンに高く売りつける魂胆なんでしょ。
で、買っちゃうんでしょ、阪神ファンが、また。
・・・そうか!
もし取れたら、高値で売ればよかったんだ、鬼界さんに。
「飲み代おごるだ?甘いよ。」ってね。
残念!


7月8日(金よう日) 日直・鬼界
近所の商店街に
紳士服屋が向かい合って2軒ある。
まさに、“紳士服屋”という名にぴったりの
昔ながらの店だ。
夏になると、ポロシャツをショーウィンドウに一着だけ飾るような店。
Yシャツがワゴンに並んで「お買い得品」と書いてあるけど、
全然安くないし、いつから並んでる品かもわからないような店。
店の奥に座った店主が、商店街を行き交う人を恨めしそうに睨みつけてるような店。
そんな店だから、客が入ってるのを見たことない。
人通りの多い商店街にあってブラックホール的存在になっている。
しかも、そんな店が向かい合って2軒あるのだ。
1軒でさえ、どうしようもないのに、
2軒つるんじゃ、どうしようにもどうしようもない。
が、一応、張り合ってるらしく、
片方がセールをやると、もう一方もすかさずセールをやる。
でも、どちらも公平にお客さんはさっぱり増えない。
仲が悪いんだか、良いんだか、わからない。
そのうちの1軒が先週、閉店セールを始めた。
「46年間、皆さまにご愛顧いただきましたが、このたび、閉店することにいたしました」
46年も前からやってたのか・・・
時代の流れには逆らえないわな・・・
向かいのライバル店の勝ちか・・・
いや、早くやめたほうが勝ちなのかな・・・・
などと思っていたら、今週
もう1軒のほうに、張り紙が出た。
「50年近くにわたり、皆さまにご愛用いただきましたが、このたび、閉店の運びとなりました」
仲が良いんだか、悪いんだか、わからない。
まるで、長年連れ添った夫婦のように
2軒の紳士服屋はその歴史に幕を閉じた。


7月7日(木よう日) 日直・橋本
 新宿西口JR改札の切符売り場辺りで、
会っていた知り合いを見送っていたら、
へんなオッサンが、
「池袋まで150円?」と訊いてきた。
「そう。」と適当に答えると、
「足りないんだ。わりぃんだけど、100円くれないかなぁ。」と言う。
七夕に免じて、
100円あげた。
 私鉄に乗り、次の用事へと向かう。
某駅で下車し、バスに乗るべく停留所へ。
運よく、発車寸前のバスに乗り込む。
走り出したバスに揺られながら財布を出し、
「いくらですか?」と尋ねると、
「210円。」という運転手の無愛想な答え。
「210円。」と無意なリピートをしつつ財布の中身を見て、愕然となる私。
げっ!銀貨が1枚しかない!
あとは銅貨が4枚・・
すなわち、140円しかねえ!
慌てて札入れを。
がび〜ん。
万札が1枚こっきり。
朝、出掛けに数枚入っていたはずの千円札らは、
一体、どこに行ってしまったんだ!
なぜ使ってしまったんだ、私は!
待てよ・・・
あれだ、
あのオヤジに100円あげなければ良かったのだ!
目には目をだ。
運転手の真後ろの席に座っている女性に、
「足りないの。わりぃんだけど、100円くれないかなぁ。」
・・・と言えたら、どんなにイイだろう。
言えそで言えない。
運転手にせっつかれ、
結局、
1万円札を出し、バスカードなるものをその場で購入。
帰りもバスに乗ることだし、
後々もバスに乗ることがあったら使えばいいじゃん・・とは思うのだが、
なんとな〜く損した気分・・。
ヘタな仏ごころは、いけません。
100円を笑うものは100円に泣く。

今年、笹飾りの短冊には、こうも書こう。
「お金は大事にします。だから金持ちにして。」


7月6日(水よう日) 日直・鬼界
昔よく行った、中華屋に行った。
当時は、デップリ太ったオバサンが「いらっしゃーい」と
愛想よく迎えてくれたっけ
と回想にふけりながら、扉を開けた。
シーンとしている。
オバサンもいなけりゃ、客もいない。
その上、薄暗い。
休みか?
と、突然、カウンターの向こうに
目つきの悪いオッサンが現れた。
店の主人だ。
昔は黒々フサフサとしていた頭が、今は白髪まばら、あほうどりみたいになってる。
思わず見つめ合ってしまった。
向こうも僕の顔を思い出したらしい。
が、
僕のことをジっと見てるだけ。
「いらっしゃいませ」も言わないし、水を出そうともしない。
仕方がないので、勝手に席につき、勝手に水をいれ、C定食を注文した。
返事なし。
おまえは、むかしのタクシー運転手か?
電話がかかってきた。出前の注文のようだ。

「レバニラ定食とタン麺と餃子ね。
30分くらいかかるけど、いい?」

客商売とは思えない口の利き方だ。

「確実に30分で行けるとは約束できないよ。
それがイヤなら、よそに頼んで。」ガチャン。

これで、よくつぶれないなぁ。
もしや、味は天下一流の頑固オヤジだったりして?

一口食べて、楽観的予想を捨てた。
味は天下最低のただのイヤなオヤジなだけだった。
近いうちにつぶれます。


奥さんだった、あのオバサンがいなくなったことが、すべての原因なのかな・・・・・・?
やっぱ、そうだよね・・・。


7月4日(月よう日) 日直・鬼界
花園町交差点で信号待ちしていた。
7,8人の老若男女がいた。
すると、黒のワンピースを着た若尾文子に似た女性が
遠くのほうから僕をめがけて近寄ってきて、
尋ねるではないか。
「ここをまっすぐ行くと、四谷三丁目の交差点に出ますね」
やけに確信を持った口調だった。
質問というより、断定だった。
僕は「ええ、行きます」と答えていた。
それにしても、なぜ、僕を狙って尋ねてきたのだろう。
「丸正の大きな店がある交差点ですよ、四谷三丁目は」
若尾文子は、なおも挑戦的に確認の言葉を重ねている。
「そうです、舟町と愛住町の交差点です」
何度か行ったことがあるので、僕もよく知っているのだ。
ようやく安心したらしく、
「御苑前から丸の内線に乗ったほうがいいかしら?」
と、打って変わって委ねる口調になったので
「歩いたほうが早いです」
と決めつけてあげると
「そう、じゃあ、歩いて行きます。どうもありがとう」
と殊勝に歩き出した。
いいことをした。
僕をピンポイントで狙ったのは正解だった。

その夜、気づいた。
あれは靖国通りじゃないか!歩いたって、曙橋に出るだけだ。
四谷三丁目に行くには、新宿通りに出なきゃ・・・。
なんで、そんな間違いをしたんだろう。
若尾文子のフェロモンに迷わされたのか。
後の祭りだった。
ああ、ごめんなさい、若尾文子さん。



固有名詞がたくさん出てきました。
秋田の人には、わからなかったかもね。
だって、人口の95%が百姓で、残りの6%が木こりの県なんでしょ。
足して100になんねえ?
んだ、計算もできねえ県だっぺ。

べつに、秋田を差別する気はさらさらないんですけど、
なんだか親近感がわいちゃって。


7月2日(土よう日) 日直・橋本
 ということは、
鬼界さんの2番めの兄貴は、
この日誌を読んでいるっちゅうことになるのでしょうか?
・・・まただ。
いつだったか、
鬼界さんの1番めの兄貴、
名前は、えーと、確か、
ウィトゲンシュタインさんだっけ?
その人のおかげで、一騒動だったんだよなぁ。
あの時は、
そのウィトゲンシュタインさんを、
「キ○ガイ、見〜っけ。」と、私が日誌で紹介した直後、
掲示板に、
ウィトゲンシュタインさん本人から、
「兄です。浩巳くん、連絡しなさい。」という書き込みがあり、
大ピンチに陥ったのだった。
幸い、
「メールがウマく送れず、ホームページを開けてみて、
わけもわからずカキコしちゃったの、僕。」という真相が判明し、
ホッと胸をなでおろしたものだが、
そーゆーの、もう、やめてほしいなぁ。
会ったこともない鬼界一族の悪口なぞ、これっぽっちも書いちゃいないのだが、
とりあえず、「読んでる。」と言われると、
「まさか、マズイこと書いてないよな?!」と、
ドキーッとすんだよね、条件反射で。
ウィトゲンシュタイン事件のトラウマなのかしら?
それとも、
私が、それほどウシロ暗いことをしてきた人間なのか?
とにかく。
知り合いに「日誌、読んでます。」と言われると、ドキーッとするのだ。
でも、
読んでる(らしい)知り合いって、ほんの数人。
それも、また、淋しい・・?


7月1日(金よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
兄から電話がかかってきた。

「浩巳、オレのことホームページに書いたやろ。
それが会社で問題になってんねん。
どっかに飛ばされるかもしれんわ・・・。」

それだけ言うと兄は電話を切った。

え?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

翌日、兄から電話がかかってきた。

「タイミングが悪かったんや。
丁度、曽我部長の後任人事で派閥争いしてた時やから。
秋田になったわ・・・。」

秋田って、東北の?
犬しかいないとこでしょ?
そんなとこへ・・・・マジ?
そんなマズイこと書いてないよ・・・・書いた?

数時間後、兄から電話がかかってきた。

「全部、ウソや。
ビックリしたけ?
秋田に行くのはホンマやけどな、栄転で。」

いくら僕でも信じちゃいませんでしたよ。
いくらなんでも、鬼橋日誌のせいで左遷されないでしょ。
あれで左遷になるなら、死刑になる人がいっぱい出てきちゃうよ。
しっかし、子供みたいなことするなぁ。
あの母にして、この兄あり!


6月30日(木よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
問題は、‘なぜ、詐欺電話が実家にかかってきたか’である。
なんらかの個人情報が漏れたに違いないが、
僕の兄なんだから、いい歳、というか、家庭を持った立派な成人である。
そんな人が、実家の電話番号を書いたり入力したりする機会はない。
では、いったい・・・・?

「あっ!1回だけ書いたわっっ!!」

兄が気づいた。
大学卒業時に作られた、高校の同窓会名簿だ。
就職先は決まっているが、
勤務地が決まっていないので、
連絡先を自宅にしたのだ。
これで全ての謎は解決した。
兄の名前と、会社名と、自宅電話番号が、その名簿に載っているのだ。

ろくなことしねえな、あの高校。
実は僕も同じ高校の出身なので、そのロクでもなさはよく知っている。
「洛○高校」関係者が名簿を詐欺屋に売ったか、
「○星高校」OBがオレオレ詐欺をしてるのか。
どちらにしても、ろくなことしねえぜ、「洛星○校」は。

高校名誉のため、実名は公表できません。


6月29日(水よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
母のもとに、電話がかかってきた。

「はい、鬼界です。」
「私、○○社の小林と申します」
「どーも、いつもお世話になっております」
「実は、政弘君が会社で大変な事件を起こされました」

落ち着いた、年配の声だったそうだ。
重要なポイントは2つある。
“○○社”と“政弘”だ。
政弘とは、僕の次兄の名で、
○○社とは、その兄が勤めている会社だ。
いきなり、「○○社の小林」と名乗られ、
母は「兄の上司からの電話だ」と思った。
そこへ、「政弘君」という実名をかぶせてくる。
正しい固有名詞を二つ続けられたら、
相手の話に耳を傾けてしまうのも無理のないことだ。

「先物取引のマーケットにおいて、
乱高下を繰り返す大豆とスティールを独断で大量買いなさったのです」

やはり、落ち着いた声で、そう言ったそうだ。
もっともらしい内容だ。
信じてしまっても無理のないことだ。

が、
母は違った。
意味がわからなかった。
「先物取引って、なに?マーケットって、スーパー?
ランコウゲ、って何?(字さえわからなかった)
大豆とスティールを大量買いって、どういうこと?」
疑問だらけなのに、
相手は落ち着いた声で、そんなようなことをどんどんしゃべり続けている。
専門用語を連発し、信憑性を高め、話を信じさせてしまう。
そういう手なのだ。
が、
母は違った。
話を信じるよりも、
話を聞くのが面倒になったのだそうだ。

エライ・・・。

「あのぉ、申し訳ないんですけど、おっしゃってることが、わかりまへんので、
直接、政弘に電話してもらえまっか?電話番号は、」

相手は慌てた。
こんなことを言い出すカモなんて、あんまりいないはずだ。
本人に電話したんじゃ、詐欺できない。

「いや、事が事だけに、政弘君に電話するのはマズイですよ。
あなたは政弘君の奥さんでしょ?
だったら・・・」

ここで母はピーンと来た。
‘電話してる先が政弘の実家だとわかってない’
   ↓
‘上司でもなんでもない’
   ↓
‘もしや、流行りのオレオレ詐欺に遭遇!?’
   ↓
‘ラッキーっ!’

専門用語には弱いが、こういうことには強い。

「・・・会社に与えた損害を負担してもらわなければならないんですよ。」
相手は金の要求をしていた。
ここだ!と母は思ったそうだ。

「わかりました。出来る限りの弁償をさせて頂きます。
1億円も出せばいいですか?」
そう言った瞬間、
相手はガチャッンと電話を切った。

「1億円て言うたんで、相手が気づいてしもたんや。
100万円とか言うとけば、もっと会話が続いたのになぁ。
もったいないことした。」

こうして我が家のオレオレ詐欺は未遂に終わったのである。
偉大なり母!


6月28日(火よう日) 日直・鬼界
僕の母親のもとに、オレオレ詐欺の電話がかかってきた・・・。 (つづく)

いきなり、「つづく」かよ!
だって、昨日、いっぱい書いて、疲れたんだもーん。


6月27日(月よう日) 日直・鬼界
驚いた、たまげた、ビックリした。
何の前触れもなく、その話題は登場した。

「大学時代に鬼界っていう同級生がいたんですよ」

ええっっっ

「同級生っていうか、サークルが一緒だったんです。
夏はスキー、冬はテニスをやる典型的な遊びサークルなんですけどね」

ふつー、夏はテニス、冬はスキーじゃないの?

「だからぁ、それだったら、テニスもスキーもやんなきゃなんないじゃないですかぁ。
なんにもしない、ただ集まっては飲む、典型的な遊びサークルなんです。」

やっぱ、渋谷とか青山とかで飲むの?

「いいえ、船橋とか錦糸町です。千葉の大学だったから。」

その遊びサークルに鬼界クンは入ってきた。
典型的な遊び人風
かと思いきや、正反対、地味ぃ〜な人だったらしい。
黒ブチの眼鏡をかけて、髪は横分けでショルダーバッグをいつも持っていた。
オタク?
しかも、チビで小太りだったそうだ。
マジ、オタクだ。
そんな人がなんで遊びサークルに入ってきたの?

「人生、変えたかったんじゃないっすか?」

あっさり言われちゃったよ・・・
でも、当たってるかもしれない、
暗ーい高校時代を送ったに違いないから、
大学に入ったら、青春をエンジョイしたかったんだろうな、きっと。
で、鬼界クンはうまくやってたの?

「飲み会で一言もしゃべらないんです。
カワイイ女の子がいる席に、なぜか必ず座ってんですけど、
いっつもニヤニヤ笑ってるだけなんです。
本人は明るく接してるつもりだったんだろうけど、
キモイって、陰で評判だったです」

飲み会で一言もしゃべれない鬼界クンは、
食堂なんかでサークルのメンバーが集まってるときにも一言もしゃべれなかったそうだ。
男ばっかりのときでも、しゃべれなかったそうだ。
が、
この話をしてくれた、僕の知り合いのEちゃんとは、友達だった。

「友達っていうか、泊めたり泊まったりするだけですよ。
週に2,3回しか会わないし」

じゅーぶん、友達だよ!
つーか、親友?
どんな話をしたの?

「それが全然思い出せないんです。
よく、オールでしゃべってたんですけど。
なに話してたんだろ・・・・?」

ホントに友達か?
で、その鬼界クンはどこの人?

「群馬です。ん?栃木だっけ?いや、茨城って言ってたような・・・・
とにかく、京都ではありません。北関東より北です。」

はっきりしました、友達じゃない。
なんでもいいから、紹介してよ

「今はどこにいるんだろう・・・・」

結局、鬼界クンは半年足らずでそのサークルをやめてしまったそうだ。
やめた途端に、Eちゃんとの交流も途絶え、
現在、消息不明です。

北関東より北の出身の鬼界クン、
あるいは、その他の鬼界さんをご存知の方はご一報ください。
ご連絡、熱望しております。

でもさあ、
もう5年の付き合いになるのに、
なんで今までこの話をしてくれなかったの?

「だって、訊かなかったじゃないですかぁ。」

そんなもん、いちいち訊くか?
「はじめまして。さて、あなたに鬼界という知り合いはいますか?」
って、尋ねるのか?

「なんたって、鬼界さんに話す機会がなかったですっ!!」

そのダジャレ、人生で100万回聞きました。・・・・合掌。


6月26日(日よう日) 日直・橋本
 初日に、
私の好きな人が、観にきた。
前日に、
「急ですが、明日、観に行きます。」という留守電メッセージが。
げっ。
来んのかよ。
とか言っちゃって。
 公演後、
再会の折、
なぜか、私の顔を正視せず。
いつもならば、
逆に、私の方が視線をそらしがちなのに。
なんだ、なんだ?
とうとう、私を好きになったのか?
照れてるのかい?
くそ、かわいいヤツめ。
というのは、どうもカン違いだったみたい。
眼をそらしつつ話すことには、
「当日、座った席は、最前列の真ん中だった」らしい。
「びっくりするくらい目の前だった。」
小劇場なので。
「いろんな顔してたね。」
悪いかよ。
推察するに、
どうやら、
私の顔を正視出来なくなったのは、
私のヘンな顔を、真近で見てしまったせいのようだ。
どうだろう、
それは、
あの顔を思い出すと「笑っちゃうから」ということなのか、
それとも「あわれになっちゃうから」ということなのか?
えらいチガイよ、それ。
ふん。甘いんだよ。
あのくらい序の口なんだよ。
ビビってんじゃねーよ。
あたしと付き合ってみ。
目にモノ見せてやるよ。


6月25日(土よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
きっかり1時間半後、中ボウは戻ってきた。
長〜いパイプを持って。
2メートルは楽々ある。
排水管を20センチばかり延長するのに、なんでそんなに長いの持ってくるわけ?
理由があるのか。
ベランダに出るまで一苦労だ。
壁やら机やらにコツンコツンぶつけて行く。
なんとかベランダにたどり着き、
ようやく作業再開。

まず、切断だ。
延長に必要な20センチ分をカットする。
って、やっぱ180センチは不要なわけじゃん!
理由はなかった。
元々ついてた排水管にあてがってみる。

「あっ!」

中ボウが小さな悲鳴をあげた。
案の定、サイズが合わないのである。

だから、言ったじゃねえかよっ!
パイプを持ってかなくていいのか、って!!!
ん?
言ってないんだ・・・。中ボウを信用したんだ・・・・。ガックリ・・。

持ってきたパイプの内径がほんの少しだけ小さいのだ。
中ボウは恨めしそうにパイプを覗き込んでいる。
ジッとジッと覗き込んでいる。
パイプが膨らみそうなくらいだ。
微動だにせず、まだ、覗き込んでいる。
もしかして、膨らむの・・・?
でも、膨らまなかった。
現実はそう甘くはない。
中ボウはカバンからカッターを取り出した。
持ってきたパイプの内側をガリガリ削り始めたではないか!
いくらなんでも、それはちょっと無理なんじゃないの?
素人だ、こいつ・・・。
一心不乱に削っている。
声をかけられない。
異様に真剣なのだ。
ヘタに声をかけたら、刺されそうだ。
僕はそっとベランダをあとにした。

20分後、ベランダに戻ると、
中ボウはまだ削っていた。
あたりは削りクズが山になっている。
憑かれたような顔になって、中ボウがギュッギュッっとパイプを接続してみた。
繋がった!
と思った瞬間、ポロッとはずれ落ちた。
一重の小さな目に涙をためて、中ボウが言った。
「パイプに切れ目を入れてもいいですか?」
気持ちはわかるが、
硬質塩化ビニール製のパイプだ。
切れ目を入れても、広がるわけがない。
素人以下だ、こいつ・・・。
これ以上、触らせない方がいい。

「もう、これでいいです」
僕は言った。

これでいい、ってゆうか、
中ボウは結局、なーんもしてないんだけど・・・。

20センチと180センチのパイプを持って、
コダマ住販のコダマくんは帰って行った。
え?
もしかして、こいつ、後継ぎってこと?
つぶれるね、コダマ住販は。


6月24日(木よう日) 日直・鬼界
昨日の日誌にも書いたが、
クーラー屋さんが修理に来た。
ベランダに固定してあった排水管がはずれただけなので、
わざわざ修理に来てもらうほどのこともないのだが、
アフターサービス無料期間中だったので、
遠慮なくお願いしたのだ。

ピンポーン。
「コダマ住販のコダマと申します。修理にうかがいました。」
社長自らやって来たのか?
でも、インターホンから聞こえる声はやけに若いぞ・・・。
ガチャ。
ドアを開けると、そこに立っていたのは
13歳の中ボウだった。
と、見間違うくらいガキっぽい。
実際、17,8歳だろう。
ってことは、高卒?もしかしたら、ちゅ、中卒ぅ?

いやいや、学歴なんか関係ない。
クーラー屋なんだから、腕で勝負だ。
ベランダに案内した。

「なるほどなるほど、この排水管がはずれてますね。」

なるほどなるほど?オタクか、こいつ?
はずれたから、あんたを呼んだんだろ?
と、少〜し懐疑心を抱きながらも、
今までは排水管を無理矢理引っ張って固定してたので
排水管を少し伸ばして固定してほしい
と要望を伝えた。

「たしかにたしかに、延長するほうがベターですね。」

たしかにたしかに?絶対オタクだ、こいつ。

「ただ、今、延長するパイプを持ってきてないので
取りに戻ってもいいでしょうか?」

どれくらいで戻って来れるの?

「そんなにはかかりません。片道1時間半くらいです」

かかりすぎだよっ!
どっから修理に来てんだ?
が、
日を改めると、また面倒だ。
仕方ないので、取りに行ってもらうことにした。

「荷物を置かしてもらっておいても、いいですか?」

なんか、まだるこやっしい日本語だけど、
気にしてる場合じゃない。
荷物を隅にまとめると、中ボウ少年は飛び出して行った。

手ぶらだ・・・。
延長される側のパイプを持ってかなくて大丈夫?
サイズわかってんの?
ま、素人が心配する必要はないはずだ。
なんたって、コダマ住販のコダマくんだ。
が、
この信用は音を立てて崩れ去ることになる・・・。 (つづく)


6月23日(水よう日) 日直・鬼界
ずいぶん、日誌を書いてないので、
書こうとした。

ん?でも、その前に、写真をもう1枚アップしておこう!
そっちを書き始めた。

すると、クーラー屋さんが来た。ちょっと修理があったのだ。
パソコンに向かう。
すると、宅急便が来た。
サインして、「ご苦労様」と声をかけ、パソに向かうと、
ペリカン便が来た。
続けざまに飛脚便が来た。

なんだよ、どうなってんだ?
鬼界事務所、千客万来。
僕って、人気者?

いい気になってたら、
うげっ、もうこんな時間だ!出かけなきゃ!!

というわけで、今日の日誌はこんなもんになってしまいました。
本日は、どーぞ、写真のキャプションをお楽しみください。


6月21日(火よう日) 日直・橋本
 このホームページにも載せている、今回の公演の舞台写真は、
ゲネプロを撮ったものだ。
撮ったのは、出演者の山口ちはるねーさんだ。

ゲネプロとは、
衣装・小道具、その他、全て本番同様に行なうリハーサル。
本番とチガウのは、
ただ「客席にお客さんが居ない」ということのみ。
公演初日の昼間に、そのゲネプロは行なわれた。
ゲネプロの前のウォーミングアップの時、
ちはるねーさんが尋ねた。
「舞台写真は、やはり、ゲネプロで?
どなたかが撮ってくれるんですか?」
鬼界さんが答えた。
「写真は、撮らない。
演劇は、砂に書いた文字だ。
跡形もなく消えてなくなるものなのだ。
我々も、潔く、消し去ろうではないか。」

実際問題として、
「舞台写真撮影」は、人に頼みづらい。
シャッターチャンスを狙う為には、
1度は稽古場に来て、通し稽古を見てもらわなくてはならない。
ご足労を頂く上に、
「失敗したらヤバくね?」というプレッシャーまで背負わすだろう。
照明との兼ね合いに加え、動く人を撮る、
「舞台写真撮影」は難しい。
こちらとしては、
撮ってもらえるだけで有り難いのだが、
撮り手にしたら、そうもいかないようだ。
だからといって、プロに頼むと、だいぶお金がかかる。
「じゃ、いっか、写真は・・・。
演劇は、砂に書いた文字なのだから!」
と、こうなったわけである。

ゲネプロ開始直前。
「写真、撮りましょうよ。
ケータイで、私、撮りますよ。
やっぱり、写真、有った方がいいですよ。」と、
ちはるねーさんが言った。
私はビックリした。
彼女は出演者だ。
「大丈夫。
出番じゃない時、客席に回って、撮りますよ。
出来は保証しませんけど。」と笑うちはるねーさん。
ゲネプロ中の写真撮影を買って出てくれた出演者は、
今まで舞台をやってきて、初めてだ。
いくらリハーサルとはいえ、
演技その他、本番同様にせねばならぬ中、
客席に回って写真撮影など、わずらわしいこと、この上ないだろうに。

だから、女性陣の舞台写真はほとんどない。
女性陣の出番は近寄っているので、
撮影は無理だったのだ。

ちはるねーさぁーん。
真っ暗けとかブレブレのが、たーくさーん有りましたぁ。
だが、しかし!
たとえ数枚でも、舞台写真をアップできたのは、
誰あろう、ちはるねーさんのおかげだ。


6月20日(月よう日) 日直・橋本
(つづき)

 どんぶりに大盛りのごはん、
大量の野菜炒め、
椀を満たしたタップリのスープ。
さらに香の物と、小鉢が。
見ただけで、お腹いっぱい。
見てるだけで、6分経つよ、これ。
うんにゃ、
投げてはいけない。
やれるところまで、やろう。
向かい側に座っている大滝さんを、ふと見ると、
自分の前に料理が置かれるなり、
食い始めている。
まずは白メシだ。
一口がデカイ。
豪快だ。
二口めも白メシだ。
白メシが大好物なのか?
そして、三口めの白メシをハシで口に運びつつ、
あいている手で、
テーブル中央の調味料立てからしょう油を取り、小鉢のモノにかけた。
「この小鉢の白いモノは、なーに?」と尋ねてみると、
「豆腐じゃないっすか?」と大滝さん。
一口食べて「冷やっこです。」と答えてくれた。
そして、また白メシだ。
いつになったら、野菜炒めを食うのだろう。
鬼界さんは、
例によって、お公家食い。
「わぁ〜、美味しそうだなぁ〜」と、まず、料理全体を愛でた後、
一つ一つ、
「これはスープ。」「これは、ザーサイ。」
何の為の確認なのか。
と、小鉢を手に取り、匂いを嗅いだり、ハシでつついたり。
一口食べて、
「大滝くん、これは、デザートのアンニン豆腐だよ。」
よく見ると確かにアンニンだ。
大滝さんにかかっちゃ、アンニン豆腐も冷やっこも一緒だ。がっはっは。
いかん、
貴重な1分を浪費した!
残り5分だ。
思い切って、申し出てみようか。
「大滝さん、私の、少し食べてもらえる・・?」と。
これは、なかなか言いづらい言葉だ。
特に、この時の場合、
「もう時間がない」「もともと大盛り」なわけだから、
たくさん食べそうな大滝さんにも、
「いや、僕は、これで、たくさん。」と断わられる可能性は大だ。
実際、
まず、鬼界さんを練習台にしてみたところ、
案の定、「あ、僕は、ちょっと無理かな。」と拒絶された。
断わることが重荷にならぬよう、さり気なく言ってみた。
「大滝さんは?私、まだ手をつけてないから、ご飯、チョットもらってくれる?」
すると大滝さんは、
「もらう、もらう!」
大滝さんが差し出すどんぶりに、
私のどんぶりから半分ほど、よそった。
大滝さんの快諾に勇気を得た私は、
「じゃ、おかずも。」と、
野菜炒めの半量を、大滝さんのお皿へ。
テンコ盛り。
牛舎の牛のエサのようだ。
その野菜炒めの山を、
すごいスピードで食べ崩していく大滝さん。
「アンニン豆腐もあげるね。」と、小鉢を大滝さんのお盆に乗せた。
それをペロペロッと平らげ、
カラの小鉢を、既にカラになっていた自分の小鉢に重ねつつ、
右手のハシで白メシを口に。
すごーい、すごーい。
懐かしの「テレビチャンピオン 早食い選手権」みたいだ。
嬉しいなぁ。
怖いものなしになった私は、
食べさしのご飯を、
「はい、じゃ、これね。」と、どんぶりごと大滝さんに渡す。
代わりに、
カラになった大滝さんのどんぶりを受け取り、私のお盆の上に。
「おかずも。」と、野菜炒めのお皿も、同様に交換。
私の「食べて、食べて」に、
大滝さんは、
「うん、うん」と素直に応じ、美味しそうにパクパク食べる。
なんだか、
食べ盛りの息子と食事をしている母親のような気持ちになってきた。
私の分も、たんとおあがり。
こんなふうに、パクパクパクパクと、気持ちいい食べっぷりが見られるんなら、
男の人と定食屋に入るのも、まんざらでもないな。
 お腹はいっぱいにはならなかったが、
心は満腹。
大滝さんと鬼界さんと私、
3人でご飯を食べたことは、いい思い出となって私の胸に残っている。


6月19日(日よう日) 日直・橋本
(つづき)

 私は、
「定食」が苦手。
家でもない、外の食事処における、
「ご飯・味噌汁・おかず」という、
いかにも自分の家ふうな食事スタイルに、なじめない。
というより、
家でもない処で、
自分の家で食べるふうなモノを、
自分の家ふうに食事する自分に、なじめないのかも。
食べ物の好き嫌いが結構あるので、
キレイに平らげる自信もないし。
残すことにも呵責がある。
「もう、面倒だ。はなから定食を選ばないにこしたことはない。」ということになる。
で、今日まできた。
その私が、
こともあろうに、初めて食事を共にする男性(←大滝さん)と、定食を?!
男と「一緒に飲みに行く」のはマダしも、
「一緒にご飯を食べる」のは苦手な私が、
いきなり定食を?
「やっぱり、ドトールのサンドイッチにしときゃよかったなぁ・・・。」
ヘンテコな内装の中華料理屋に入り、
テーブルについてから、ドキドキしてきた。
時間も迫っている。
決められている‘劇場入り時間’まで20分しかない。
折角の誘いを断わるのもなんだし、
「アクション俳優ならではの、独特な食事法があるのではないか。」などという、
大滝さんへの好奇心から、一緒に来てしまったが、
人の食べ方なんざ見てる場合じゃない。
男二人に比べたら、
食べるスピードだって、私が1番遅いに決まってる。
「早く出来るのは、何でしょう?」と店員のオッサンに訊くと、
「とれも早くてきるよ。」と言う。
私は、
せめて好きな野菜を・・と、野菜炒め定食を注文。
鬼界さんは、レバニラ炒め定食を。
大滝さんは、最初、しょうが焼き定食を注文したが、
直後、
「皆バラバラだと時間がかかるから。」と、
私と同じ野菜炒め定食に変更。
「野菜でスタミナもつ?
お肉、食べたかったのでは?」と心配すると、
「僕は、だいじょぶ、だいじょぶ。」と大滝さん。
約10分後、料理が来た。
鬼界さんの言ったとおり、すごいボリューム。
ごはんもおかずもスープも。
これを、正味6分ほどで食べ終わらねばならない。
        (つづく)


6月17日(金よう日) 日直・橋本
 公演最終日、
劇場へ向かう電車の中で、
鬼界さん、大滝さんと一緒になった。
「劇場に入る前に、一緒にメシを食おう」と、
鬼界さんが提案した。
大滝さんは、「行きましょう、行きましょう」と大賛成。
私は、
「今日の昼食は、ドトールのサンドイッチ。」と考えていたところなので、
遠慮しようかと思った。
「劇場入りの前は、あまりガッツリ食べない」のが、私の習慣だ。
シッカリ食べてしまうと、
私の場合、
いつまでもコナレず、「まだ、お腹いっぱい・・・」の状態で舞台に立つハメになる。
「ちょっとお腹すいてる」ぐらいが、動きやすい。
鬼界さんは、
「ウマくて、ボリューム満点の定食屋があるから、そこに行こう」と言う。
決められている‘劇場入り時間’まで20分しかないのに?
ざけんなよ。食えねーよ。
だが、待てよ。
ここで断わるのは、どうだろう。
鬼界さんは、まぁイイとして、
折角、ノリ気になってる大滝さんに悪くはないか?
繊細な大滝さんに、
「オレと一緒にメシ食うのがイヤなのかしら・・・」と思わせることにはならないか?
今日が最終日だというのに、
黄金のチームワークにヒビを入れるようなことをしていいのか?
つーか、
これは、チャンスだぞ。
実は、誰も、大滝さんがメシを食うところを見たことがない。
稽古中の、
夕ご飯休憩時も、
大滝さんは、食べない。
食べても小ぶりの菓子パン1個だ。
「身体が重くなる。メシは稽古が終わってから、家で食う。」のだそうだ。
さすがアクション俳優。
食事管理は、厳しい。
もちろん、酒席では、色々つまんではいたが、
「ご飯とおかず」という、いわゆる「食事」をする大滝さんを見る機会はなかった。
私は、密かに、思っていたのだ。
「人に見せられないような、
アクション俳優ならではの、独特な食べ方をするのではないか。」と。
       (つづく)


6月16日(木よう日) 日直・橋本
 一昨日の日誌の、
「ボクサーパンツ姿で下山さんは稽古した。」の「ボクサーパンツ」は、
私が下山さんに贈ったものだ。
下山さんは、
今回の公演の稽古中に、お誕生日を迎えた。
バックレようとも思ったが、
小道具を買いに新宿のハンズに行ったついでに、
隣りの高島屋デパートで、贈り物を見つくろうことにした。
以前、
稽古中、
下山さんが、私の目の前で、
「どうだ。」と言わんばかりに、
見せつけるようにパンツいっちょうになって着替えた際、
黒のボクサーパンツをはいていた。
当時、私は「ボクサーパンツ」なる物をまだ見聞きしたことがなく、
「ヘンな物はいてるなぁ。」と思ったものだが、
その後、
流行りがきたらしく、
稽古中、着替えるヤツ着替えるヤツ、黒のボクサーパンツをはいている。
皆、ボクサーパンツを見せびらかすように着替えるのは、なぜなんだ。
ということを思い出し、
贈り物は「ボクサーパンツ」に決めた。
 「下山さんにパンツをあげる」ことには、なんら抵抗はなかったが、
生まれて初めて、
「男性用下着売り場で、男に贈るパンツを選ぶ」のは、
なんともいえない気持ち。
とっとと買って帰ろう。
だが、そうはいかなかった。
いろ〜んな形があるのね、男のパンツ。
一体、どのタイプを愛用しているのか?
以前の、その、下山さんに見せつけられた際の残像を頼りに、
なんとか形を思い出すも、
「前あきか否か」までは、思い出せない。
前が開くタイプ、前がふさがっているタイプ、
半々の数を取り揃えているところを見ると、
両タイプ、どちらも売れているということだろう。
「どちらが便利か・・?」と、
私が一生懸命考えたところで、答えが出るはずもない。
そして、
サイズも大問題だ。
下山さんは痩せている。
おケツも小さい。
が、果たして、おケツのサイズだけで選んでよいものなのか?
何か他に、サイズを決定づけるモノが有ったりして?
「おケツが小さいから」と安易にSサイズを贈っていいの?
じゃ、Lサイズ?
見るからに小さいおケツの下山さんに、Lサイズ?
意味深ではなかろうか?
きゃ〜、わかんな〜い。
そんなこんなで、かれこれ、パンツ売り場に30分。
ちっ。こんなことしてたら、稽古に遅れるぞ。
もう、いいや、前あきで。
あいてりゃあいてるで、使うだろう。
サイズは、無難に、Mにしとこう。
赤いリボンを結んでもらい、カードを添えた。
 お誕生日当日の稽古終了後、
帰りがけに「家であけて。」と渡した。
「前あき&サイズ」の件、合っていたのかどうか、
翌日、下山さんが、
「いや〜、オレのお気に入りのパンツ、よく判ったなぁ。嬉しいなぁ」
とか言ってきたら、改めて訊いてみよう。
が、
翌日になっても、
下山さん、
な〜んにも言ってこない。
「パンツ」の「パ」の字も言わない。
やはり、サイズが違った?
前あきが気にくわなかった?
はたまた、ボクサーパンツ自体、もう、はかなくなっていたとか?
がっくり・・・。
と、そう思っていた矢先だ、
例の、通り雨があった日は。
もしかしたら、
下山さんは、
私があげたパンツをはいてる姿を見せる為に、
わざとビショ濡れになったのかもしれない。
「おぞましかった。」と鬼界さんは書いているが、
私は、とっても嬉しかった。


6月14日(火よう日) 日直・鬼界
梅雨入り宣言した途端、
雨が降らなくなった。
天気予報では「明日は午後から雨でしょう」などと
毎日、雨予報しているのに、ぜーんぜん降らない。
世界一無責任な職業は気象庁職員だ。楽すぎる。

雨といえば、
稽古期間から本番を通して、ほとんど降らなかった。
いや、正確に言うと、
降られなかった。
稽古休憩で外に出てみると、道路がビショビショに濡れていたり、
朝起きたら、シトシト降っていたのに、出かける頃には晴れたりした。
公演の千秋楽は
「午後からきっと大雨が降ります。絶対です。命かけます。」
と天気予報で断言してたのに、
打ち上げ会場に到着するまで降らなかった。
僕たちが到着するのを、雨さんが待っててくれたかのようだった。
(ちなみに、その予報士は今も生きている。無責任すぎる。)
「今回の公演は、お天気的にはものすごーくラッキーだったね」
と話し合う輪に入れない男が一人いた。
下山さんだ。
稽古中、通り雨があった。
みんなはうまい具合に雨を避けられ傘も差さずにすんだのに、
自転車利用の下山さんだけずぶ濡れで稽古場に来た。
通り雨の通り道と下山さんの通る道がぴったり合っていたのだ。
少し早いか遅いかすれば、ずれたのに、
時間的にもぴったり合っていたのだ。
しかも、家から稽古場まで降られっぱなしだったから、
速度的にもぴったり合っていたのだ。
ずっーと雨雲の下にいたのだ。
アメリカの偵察衛星さえ下山さんをとらえられなかったはずだ。

そして、稽古開始。
どうしたか?
半濡れのTシャツと、しっとり濡れのボクサーパンツという姿で下山さんは稽古した。
見ようによってはセクシーだが、
実際は結構おぞましかった。
眼のやり場に困り、稽古にならなかったです。


6月13日(月よう日) 日直・橋本
(一昨日のつづき)

 誉めるようで悔しいが、
鬼界さんが、いい意味で「男の気配を消せる」のは事実だ。
昔、酒乱だった頃の鬼界さんには、
それこそカケラもなかったことだが、
今の鬼界さんの、飲み会においての、「人の話を聞く」姿勢は、
少なくとも仲間うちの男性の中では、1番だ。
単に「聞き上手」というのではなく、
話し手、あるいは、語られる内容に対して、
鬼界さんが、
心底、
興味・好奇心を持って聞いているのが、よく判る。
だからこそ、
一昨日書いた「女子だらけの飲み会」では、
会が始まるやいなや無口となってしまったのだ。
女子各々に興味津々なもんだから、
彼女たちが語ること語ること、「へぇ〜、ヘェ〜」と興味深いのは当然なのだろうが、
その語り口調や、酔うほどに饒舌になる女性陣の会話のヤリトリ等含め、
鬼界さんは、全てを面白がっていた。
女子チームも調子に乗っちゃって、言わんでいいことまで喋っちゃって。
どもりながら「演劇を始めたキッカケ」とか話してたっけね?私。
キッカケなんて有ったのか。
初めて語ってみて、初めて知った、自分でも。
あの飲み会は、
私にとっても新鮮だった。
改めて、
女性陣に感謝。
「女の園」体験でラッキーな思いをした鬼界さんにも、一応、感謝しとくか。


6月11日(土よう日) 日直・橋本
 例によって今回も、
稽古中、何回か皆で飲みに行った。
どの回も、終始バカ話で盛り上がり、心から楽しめた。
その中で、
女性キャスト(ちはるねーさん・薫ちゃん・真里ちゃん・私)に舞台監督助手のますみさん、
そこに鬼界さんが加わって・・という、
鬼界さんにとって天国のような飲み会が、1度、あった。
ウマそうにビールで乾杯する女子に囲まれ、
「は〜い、鬼界さんのオレンジジュースがきましたよ〜」などと世話をやいてもらう鬼界さん。
ハーレム状態。
アホが、オレンジジュースで大ハシャギ。
女性陣も、皆、陽気な人ばかり。
途切れることなく会話が弾む。
酒も強い。
ボトルを頼んで、どんどん飲む。
飲むほどに饒舌になるのは、当然の成り行き。
いつしか、
話題は「本来ならば女子のみで話す話題」へと。
スッカリ「女の子だけの飲み会」のように。
一時は、
谷崎潤一郎の小説を彷彿させるような、妖しくも淫靡な世界へと・・・。
あー?
鬼界さん、あんた、居たのね。
ふと目に入った鬼界さんは、
ザブトンの上で、両膝をかかえ、
チンマリと、小さく、ウンコ虫のようになって座っている。
クソまずそうにヌルまったオレンジジュースを前に、
ジッと話に聞き入っている。
微動だにしない。
心なしか、眼が潤んでいる。
楽しい話は延々続き、
「その口元で判る○○さん(今回の出演者 男優)の○○○について」
という爆弾発言が出たところで、
惜しいことに時間となり、お開き。
楽しい飲み会でした。
鬼界さんいわく、
「いや〜、あの飲み会は、有意義だった。
僕の飲み会史上、ベストワンだ。
あんな話は、めったに聞けない。
透明人間になって女子校に入り込んでみたい・・という中学時代の夢が、
叶ったような感動を覚えた。」
なるほど、
あれは感動の涙だったのか。
確かに、
途中から透明人間化してた鬼界さん。
存在感ゼロ。
あそこまで「男の気配」を消せる人も、そうそう居ない。


今回の公演では、
補助席が出ていたこともあり、
劇場内が狭苦しく、
アンケートをお書きづらかったことと思います。
申し訳ないです・・。
後日、アンケートをわざわざお送り下さった方々、
本当に有難うございます!
皆さまのご感想は、いつも私達の支えであり励みです。
しかと胸に刻みます。
アンケートを事務所宛てFAXして頂けると、大変、嬉しいです。
よろしくお願い致します。


6月9日(木よう日) 日直・橋本
 実は、今回の公演の本番中、ツライことがあった。

「ここから脱出しましょう!
力を合わせれば出来ます。
合言葉は、勇気!」
私たち4人の手が重なり、脱出の成功を誓ったところで、舞台は暗転に。
直後のシーンは、
サーチライトの中、その4人が、舞台ソデ各所から順次走りこんできて、
再び手を重ね、「合言葉は、勇気!」となるシーンだ。
シーンとシーンの間の暗転時間は、極短い。
その間に、私は、
前シーンで着ていた「ゼッケン付きの白いケープ」を脱ぎ、
別の帽子にかぶり替えねばならない。
大忙し。
そこで、イイ方法を思いついた。
暗転になって、急いで舞台ソデに入る際、
暗闇に全く目が利かない私は、
下山さんに、導いてもらう約束を取り付けてあった。
(視力2.0。「暗闇でも、明るい時と同じように見える」と彼は言う。)
「その下山さんに、
導いてもらいがてら、ケープを脱がせてもらっちゃお。」という方法だ。
ケープは、
床屋や美容院で使用するケープ同様、
着脱は、首のうしろのマジックテープの付け外しで出来る。
暗転になったと同時に、
下山さんは、私を伴い、舞台ソデへと歩きつつ、
同時に、
私の首のうしろのマジックテープをバリバリッと外し、
スルスルッとケープを取り去る。
その間、私は、かぶっている帽子を脱ぎ、別の帽子をかぶる。
と、このような段取りを、ゲネプロ(本番同様のリハーサル)で試みたところ、
大成功。
さすが、下山さん。
闇の帝王だけあって、頼りになる。
(器用さと目の良さで、暗転中の転換(道具の出し入れ)の多くを引き受ける。
その活躍ぶりは、「役としての活躍以上だ」ともささやかれている。)
だが、しかし、
この「器用さ」に誤算があった。
「マジックテープをバリバリッと外し、
スルスルッと取り去る」作業のスピードが、
器用な下山さんの手にかかると、
回を重ねるごとに、異常に早まっていったのだ。
バリッ!と外し、
手品師が、おおっていた布を取り去るごとく、シュー!と一発で引き去る。
この「シュー!」の時、
私の首とケープとの間に、摩擦(まさつ)が生じる。
ドえらい熱さだ。
熱痛い。
こんなことをしていたら、今に首がチョン切れるのでは・・という不安に駆られたが、
こちらから頼んでおいて、今さらヤメテとも言えない。
器用さに絶対の自信を持つ下山さんのプライドを傷つけることにもなりかねない。
仕方ない。
ガマンしよう・・・。
そして、
苦痛の、その「地獄の暗転」も、いよいよ残すところあと1回となった公演最終日。
問題の暗転となり、
絶好調の下山さん、
過去最高のすごいスピードで、
マジックテープをバッ!と外し、
シュッ!とケープを引いた。
瞬間、

「熱っーーー!!」

ケムリが出た。
私は、見たのだ、ケムリを。
人間火おこし。
もう、ほんと痛かった。
終演後、鏡で見たら、首に赤い線が・・・。
しばらくヒリヒリと痛んだ。

下山さんには内緒だ。


6月8日(水よう日) 日直・橋本
(一昨日のつづき)

 「‘笑い’は、緊張の緩和(かんわ)から生まれる」とは、
私が好きな桂枝雀(かつらしじゃく 落語家 故人)の言葉だ。
なるほど、本当にそうだなぁと思う。
日常生活を振り返ってみると、よく解かる。
葬式や法事などの最中に笑ってしまった経験は、
私にも、何度か有る。
お経を上げる坊さんのハゲ頭に、ハエが3匹同時にとまった時は、爆笑した。
状況が、シリアスであればあるほど、
偶発したユーモラスな事がらが、より滑稽さを増す。
 
 鬼界さんが「ニシグチ一等兵、行ってまいります」と言った、
ちょうど、その時、
前髪に1つ巻いていたカーラーが、
なぜか、外れ落ちそうになった。
片側ハシッコに髪の毛数本のみを巻きつけ、
顔の前にブラ〜ンとぶら下がってきた。
その瞬間、
私の口からは、思わず、
クスっという笑いが、もれてしまっていた。
この笑いを許さなかったのは、
「行ってまいります!」と、
大シリアスに、
本番同様の気の入れようで、
大声張り上げてセリフを言ってみちゃった鬼界さんである。
「なにが可笑しいんだよ!なんで笑うんだよ!」と、突然、素(す)に戻って、
大激怒。
と、同時に、
かぶっていた衣装の帽子を脱ぎざま、その帽子で私を思いっきり殴った。
ぶら下がっていたカーラーが吹っ飛んだのは、言うまでもない。
ご想像下さい、その時の、悪〜い雰囲気を。
照明さんも、
「あ、も、立ってもらわなくてもいっかな、だいじょーぶみたい」と、
おびえるほどの気マズイ雰囲気。
しかも本番直前。
それも初日。
 当時の鬼界さんの辛辣さ、かつ凶暴性は、仲間全員が知るところだが、
そんな鬼界さんにまつわるエピソードの中でも、
これは特に印象的だったようで、
皆の間で、初演『グレート・エスケープ』の話になると、
必ず、この『鬼界vs橋本 帽子殴打事件』の話題が上る。
今回の打ち上げでも。
「雰囲気わるかったもんな〜。初日だぜ。
えらいことしてくれたぜ鬼界、と思ったよ。
もうこれで公演は失敗だなと思った。」と、初演時の座長。
続いて、皆から、
「当時どっちが悪いと思っていたか?」などという告白までも。
皆がそんなガキンチョだった頃にやった演目なんですねぇ、初演の『グレート・エスケープ』は。
そうだよなぁ、
1つだけとはいえ、この私が、カーラーなんぞ巻いていたのだから。
ガキです。
今回なんて、化粧もせず、髪の毛なんて、汗で、ご覧頂いたとおりです。
・・・自慢にはなりませんね。


6月6日(月よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 「いけない、いけない、怒っちゃいけない。平常心、平常心。」といえば、
思い出すのは、やはり、このこと。
それは、
初演の『グレート・エスケープ』の公演初日、
開場まで、あと30分ほどという時のこと。
照明さんから「ラストシーンの照明の最終チェックをしたい」と要請があり、
そのシーンに登場する5人に、舞台上への集合がかかった。
通常は、こんなに押し詰まった時間に照明チェックなどは有り得ない。
その時は例外だ。
なぜ、その時間になったのかは、忘れた。
とにかく、
「スポットライトの当たり具合を調節するだけだから。
ラストの位置に立ってみて。」ということだった。
ウォーミングアップがてら舞台上で雑談していた男子4人は、
「はーい。」と、すぐさま、対応。
そろそろメイクを開始すべく、
楽屋で、まず前髪にカーラーを1つ巻きつけていた私は、慌てて舞台に。
5人揃い、
「では、ラストの位置に立つべ。」という時に、
鬼界さんが、こんなことを言い出した。
「いきなりラストの位置に立つというのはどうだろうか。
チョット前から芝居をしよう。
‘気持ち’で動いた結果、その、ラストの位置に立つわけだから。
やらなきゃダメだ。」
でちゃったよ、また理屈が。
当時は現役一ツ橋大生だもんだから、今より、一層タチが悪い理屈屋だ。
そもそも、
「ラストの立ち位置」は、既に決まっていたのだ。
ラストシーンでは、5人各々にスポットライトを当てるので、
5人は、毎回、同じように、決まった位置に立たねばならない。
その位置は、ゲネプロ(本番同様のリハーサル)に臨む段階で、既に決めてある。
‘気持ち’もなにも、あんた、「立つ位置」は決まってるっつーの。
照明さんの意向も、
「立ってる5人へのスポットライトの角度&大きさ調整」だ。
あくまでも、「ラストの、いつもの位置に立ってさえくれれば。」のはずだ。
しかし、
鬼界さんに「もの申す」のは、ご法度だ。
100倍になって返って来る。
チョット前から芝居することに。
ラストシーン、いざ、5人が、
その、‘最後の「立ち位置」’に立つためのセリフを言う段になった。
Sくんが「キタガワ二等兵、行ってまいります」と立ち、
下山さんが「ミナミノ二等兵、行ってまいります」と立つ。
そして、鬼界さんが「ニシグチ一等兵、行ってまいります」と言った、その時、
この事件の発端となる
私自身、思いも寄らないことが起こったのだった。
           (つづく)


6月5日(日よう日) 日直・橋本
 そういえば、頭にきたことがある。
仕込みの日(公演が始まる前日)、
舞台で使う「体重増加ツール‘ゆで卵’」作製の為、
劇場近くのスーパーに、ひとり、「卵」を買いに。
巨大なザルにテンコ盛りにするためには、
一体、何個の卵が必要か?
見当もつかない。
どんな感じになるのか様子を見ながら積んでいきましょ、
ということで、
とりあえず、L玉20個を買うことにし、レジへ。
レジ係は、
紺色の制服を着た、デカイ女だった。
推定、身長167cm体重102kg。
色黒で、鼻の下にうっすらヒゲがはえている。
髪型は、最初の頃の「金八先生」の武田鉄也ふう。
これ、女?っつーようなソノ女がレジを打っている時に、
「領収証を下さい。」と私が申し出ると、
「先にお会計を済ませて下さい。」と、鼻で笑いながら言った。
ばーか、
スムーズに事が運ぶように、事前に言っておいたんじゃん。
と、ノドまで出かかったが、こらえた。
大人にならなきゃ、だ。
だから、
その女が、直後、領収証のことをスッカリ忘れ、
「なんなのさ。」というような顔でボサーッと私を見た時も、
「お手数ですが、領収証を下さい。」と、丁寧に申告し直したのだ。
私の「ジャージ・首に巻いたタオル・マスク」というスタイルも、
どうやら、女の冷笑を誘った原因らしい。
こんな店2度と来るか!といきたいが、
他にスーパーはないのだ。
仕方ない。
 劇場に戻り、ザルに20個を入れた感じを見て、
買い足すべく、再び、スーパーへ。
60個を持って、レジへ。
例の、おんな武田鉄也に、
「すみません、また領収証を下さい。」と言うと、
レジを打ちながら、
「わかってます。」と、不機嫌な声。
くそー。ガマン、ガマン。
 劇場に戻り、積んでみた結果、
あと10数個くらいイケそうなので、三たび、スーパーへ。
20個を手にとり、レジへ持っていった私。
私は、レジ女のヒトリ言を聞き逃さなかった。
「また卵だ。」
そーだよ、卵だよ!
卵買っちゃ、いけねーのかよ!
で、領収証が欲しいんだよ!
文句あんのかよ!
くっそーー!
・・・いけない、いけない、怒っちゃいけない。
明日から、本番、平常心、平常心。
領収証をもらい、
劇場に戻って、
ゆで卵100個の作製に取りかかった私なのであった。


6月3日(金よう日) 日直・鬼界
ここらでいっぱつ、写真を公開してみましょう。

なんじゃ、こりゃ。
覇気がないぞ、グッタリしてんぞ。
そうです、全公演が終わり、片付けも終わり、
打ち上げに行く前に客席で撮った写真です。
疲れるんですよ、演劇は・・・・

と、思わせといて、実は違います。
だって、打ち上げは朝まで大騒ぎしてたんですから。
「公演、大変でした。ヘトヘトでーす」みたいな写真を撮ってみたかったんですぅ。ウフ。
ええと、出演者以外に、
受付嬢のK子ちゃんと、舞台監督助手のMみさんと、照明操作のM男さんに
登場いただきました。
あれ?ちはるねーさんと薫ちゃんがいないぞ。
そっか、ちはるねーさんが撮ってくれたから、ねーさんはいないんだ。
でも、薫ちゃんは?
あ!2列目センターの下山さんとかぶってんだぁ!!
よく見ると、左耳だけが写ってる・・・。
かわいそすぎるぞ、薫ちゃん。
それじゃあ、これだ。

う〜ん、これでもまだダメだ。
全体的に暗い上に、僕の影に入っちゃってるよ、薫ちゃん。
じゃあ、これだ。


え?
劇場前の道ばたで座り込む鬼界。
結局、自分の写真をアップしたかっただけなのね。
仕込みの日に撮りました。
やる気マンマンって感じでしょ。


6月2日(木よう日) 日直・鬼界
公演が終わって、早、10日が過ぎた。
公演後の10日間と
公演前の10日間は同じ240時間なのに、
その濃さがまったく違う気がする。
実際、集中力とかアドレナリン量が違うのだろう。
今が怠けて生きているということは絶対にないけれど、
怠けて生きてるね、どっか、ちょっとは。
だって、お芝居の本番みたいなことは
なかなかないじゃん。
二度とやり直しができないみたいなことは。

って書いてて思い出したことがある。
あれは本番4日前の通し稽古のときだった。
ご存知のように、
通し稽古は本番を想定したものなので、
何があろうと止められない。
どんなトラブルが発生しても、なんとか切り抜けなければならない。
本番がそうだからだ。
昔、ある劇団の座長は
「通し稽古は命かけてやれよっ!!止めたら死んでもらうからなっっ!!」
と劇団員を脅したくらいのものだった。
だから、開始前には全員が気合を入れ、ビシッと集中する。
そして、本番4日前の通し稽古が始まった。
オープニングは‘しりとり’のシーンだ。
大滝さんがセリフを言う。
僕がセリフを言う。
大滝さんがセリフを言う。
僕がセリフを言う。
古郡さんがセリフを言う
はずなのに、黙ったままだ。
間を取っているのか?
いや、違う。
セリフを忘れたんだ!いきなり、第一声目で!!
稽古場にいた全員が
「あんたのセリフは『レマゲン鉄橋』だよ」と思った、
でも、当の本人だけが思わなかった。
そして、古郡さんが突然、手を上げ叫んだ
「止めよう!」
マジかよ・・・
開始1分で通し稽古を止めるヤツがいるとは・・・

古郡さんは言った。
「いやぁ、ビックリしたよ。
アガっちゃってさ。
緊張じゃないんだよ、アガっちゃったんだ。
うちのオヤジが突然、スピーチしなきゃならなくなったときとおんなじ。
あんだけアガっちゃったら、あのあと一言もセリフが
出てこないと思ったから、
まだ間に合うと思って止めたわけよ。いやぁ、まいったまいった」

うちのオヤジとおんなじ?
あんたは素人か!
まだ間に合う?まいったまいった?
死んでもらいたいさ!!
さっき書いた『ある劇団の座長』って古郡さんのことなんだから。

ま、人間、年を経ると何しでかすかわかんないよ、まったく。


6月1日(水よう日) 日直・橋本
(5月27日の日誌について)

ちはるねーさん、どうも有難う。
鋭いご指摘です。
さすがです。
初めてオノレを知る思いです。

橋本さんをよく知るメンバーは
「あぁ、きょみはそんなだよ」と相手にもしない』

私をよく知るメンバーというと・・・、
ふむふむ、彼らは私を相手にもしてないのですね?
よーくわかりました。
自分では、まったく気づかなかったことです。
有難う。

あそこで、嗅ぐ意味が解らない。なんで?」のように、
「あそこで○○する意味が解からない。なんで?」と、
皆に尋ねられることは、多い。
突然「やってみたくなる」のだ。
今回、他にも、
体重を訊かれて、「秘密。トップシークレット。」というセリフを言う際、
帽子のアゴヒモを鼻の下に持っていき、照れてみた。
あれは、
ちょっと長かったアゴヒモゴムを短くするために結わいていた、
その、小さい輪ッかになった結び目を、
突然、鼻の穴に入れてみたくなったからだ。
そして、本番3日めくらいからは、
鼻の穴に入った輪ッかを、「鼻息でヒラヒラさせる」ことを試みたくなり、
鼻息をフンフンしてみた。
「なんの間(ま)?」となったアレは、
「くそ。やはり無理か。」という挫折感の間(ま)だったのです。
・・・・そうですか。
これがアングラなのですね?
よーくわかりました。
有難う。

『「何が起こっても大丈夫!橋本シフト」が楽屋で敷かれた。
ガムテープ、安全ピン、ノリ、トンカチ、その他もろもろを用意し、
「かかって来い橋本」体制
であった。』
いや〜、思いもかけないことが起こりますよね、舞台は。
ゲネプロで、レンガが真っ二つに割れた時は、
私、大滝さんを殺したかと思いました。
ビックリしました。
人間の頭は、固いです。
いや、まったく。
そうね、
本番中、「とんでもねぇ嵐」かもしれないです。
今回で、よーくわかりました。
有難う。
それにしても、
帽子の替えごときで「嵐」になってて、
「衣装のスゴイ早替えが有るお芝居」なんて時は、どうなるんでしょうか、私。
すみませんが、ちはるねーさん、
その時は、共演をお願い致します。
「橋本シフト」敷いてください。
あなた無しでは、出来ません。


5月30日(月よう日) 担当・鬼界
緊急報告!ホームページはなぜ見られなくなったか
事件が発生したのは、
土曜日の夕方のことだった。
いつもどおり、HPを更新しようとしたら、
突然、
「ファイルを転送中にエラーが発生しました」という表示が出た。
エラー慣れしている僕は
(そうなのです、このパソコンは何か操作をすると3回に2回はエラーになります)
PCを再起動した。
たいていの場合はこれで解決する。
が、やはり、転送できなかった。
こうなりゃ、最後のとっておきの手段だ。
PCを終了させて、改めて電源を入れよう。
今までの経験上、これさえすれば、解決するはずだ。
が、しかし!
解決しなかった。
やれることはすべてやってみた。
もはや僕には・・・・。

早っ!
と思っちゃいけません。
本当にそんなもんなんですよ、僕のパソコンに対する知識なんて・・。

あきらめるわけにはいかない。
なんとかしなければ。
ここからが苦闘の始まりだった。
まず、パソコンを叩いてみた。
ダメだ。
どついてみた。
ダメだ。
揺すってみた。
ダメだ。
こうなりゃ、心理戦に持ち込むしかない。
頼んでみた。
知らんぷり。
懇願してみた。
知らんぷり。
脅してみた。
知らんぷり。
マウスを人質にとってみた。
知らんぷり。

この時点ですでに土曜の26時を過ぎていた。
そのとき、気づいた。
このパソコンは、3分間操作をしないと、
「スタンバイモードに入ってもいいですか?」という表示が出て、
電源が落ちるのだ。
ヤツも疲れてきて休みたがっているのだ。
これだ!
3分間、なーんの操作もしないで、ほったらかしておいて
「じゃあ、もう休んでもいいですよね?」と
ヤツが表示してきたら、「NO」をクリックしてやるのだ。
一晩中、寝かせないのだ。
容疑者を自白させるときに警察が使う手だ。
僕は持久戦に入った。
このパソコンはよっぽどバカである。
いくら「NO」をクリックしても、
きっちり3分後には、また「休んでもいいですか?」と聞いてくるのだ。
そのたびに僕は容赦なく「NO」をクリックしてやった。
僕はSかもしれない。
そして、夜が明けた。
そろそろ、音を上げたに違いないと、転送手続きをしてみた。
すると、
やはり転送できなかった・・・。

月曜日の朝イチでIBMのお電話ヘルプセンターに電話した。
(土日はお休みなんです。 休むなよっ!)

「パッシブモードを切り替えてください」

一言で解決した。

サーバーのセキュリティー更新、ウィルス対策ソフトの更新が
日々行なわれるため、
昨日はパッシブモードがONでよかったのが、
今日はOFFにしなければならないとか、
昨日はOFFで今日はONになったりするのだそうだ。
それだけのことらしい。
(で、パッシブモードってなに?)

というわけで、
土曜から月曜にかけて、HPを見ようとしてくれた皆さま、
大変ご迷惑をおかけしました。
「見れませんけど・・・」とメールをくださった皆さま、
お気遣いありがとうございました。
無事復活いたしました!

なお、
稽古日誌はまだまだ続きます。


5月28日(土よう日) 日直・鬼界
 (きのうの日誌について)
演劇をご存じない方のためにご説明しましょう。
台本は命なのです。
別の言い方をするならば、台本はパンツなのです。
24時間肌身離さずにいるべきものです。
稽古してるときは当然、手に持つ、
電車に乗っているときも手に持つ、
飲み会でも手に持つ、
ご飯を食べる時も手に持つ、
お風呂に入るときも手に持つ、
そういうものなのです。
イチローが寝るときにバットを抱いて寝るように、
宮里藍がオシッコするときにもクラブを抱えているように、
それがプロの姿なのです。
ですから、「台本は持って演じるが読まない」というのは
当たり前のことなのです。


うぅむ、自分で書いてて、あまりにも説得力がなさすぎるぞ・・・・

よしっ、じゃあこれだ。


ちはるねーさんが書いてくれた本番1週間前のエピソード。
確かに、僕と坪井さんは同じ上着を同時に手に取り、
首と裾の両方から同時に頭を突っ込みました。
確かに、バカです。
確かに、マヌケです。
が!
僕はちゃーんと裾から頭を突っ込みました
そしたら、僕の頭が出るべき頭の穴から別の頭が突っ込んできたのです!
どーですっ!!
僕はしっかり者じゃないですかっ!
僕はエライじゃないですかっっ!!


うぅむ、自分で書いてて、むなしくなる・・・。
目クソ鼻クソを笑うとはこのことか・・。
どちらかと言うと、僕は目クソになりたいな。


5月27日(金よう日) 日直・山口千晴ねーさん
今日、掲示板を見て、驚きました。
ちはるねーさんが稽古日誌を書いてくれてるではないかっ!!
素晴らしいっっ!!
んが、
掲示板ではやがて消え去ってしまう・・・。
そうだ!!カキコを日誌に移転すれば、永久保存できるではないかっっっ!!!
というわけで、
全文掲載、
鬼橋日誌史上初の第三の日直登場ですっ!
ちはるねーさん、ありがとう!!
明日はあなたの日誌のつづきを書くよ〜ん。

〜花も嵐も呼ぶ稽古日誌〜  投稿者: 山口千晴  投稿日: 5月27日(金)11時14分28秒

鬼界浩巳さんて、こんな人

昔はその名の通り「鬼」のような男だったらしい鬼界さん。
しかし今は、のんびりしたほのぼのキャラに変貌している。
稽古開始3日目。
そろそろ自分の台詞を覚え、台本を離してお稽古する役者も出始めた。
演出で忙しい鬼界さんは、まだまだ台詞を覚える段階まで行ってなかったらしく、
1人であたふたアセリだした。
そしてメンバーに向かい大きな声で言い放った。
「(台詞を覚えてても)台本を、持て!!お願いだから持って!!」
ほとんど、懇願であった。

稽古2週目。
鈴木薫ちゃんと海野真里子ちゃんは、台本への書き込みがすごい熱心な女優さんだ。
その時の自分の役の感情までも、台本にメモしてしまうので、
登場シーンのページは真っ黒になっていた。
あんまり頭でっかちになるのを危惧した鬼界さんが言い放った。
「台本、読んじゃだめ!」
これは、もっともである。
しかし、以上の2つのエピソードを実行すると、
「台本は持って演じるが読まない」という複雑怪奇なことになる。
邪魔ではないか、台本が。

本番1週間前。
稽古場に初めて衣装が届いた。
戦闘服を着る男性人は、早速早変りの練習も兼ね、
衣装を着けてお稽古開始。
ファーストシーンの「しりとり」が終わると、
鬼界さんと坪井さんは、上着を5秒ほどで着なくてはならない。
ボタンなどでモタモタ出来ないので、「頭からザックリ被る」
という解決方法をとった。
初めてで2人ともパニクッたのであろう。
同じ上着を同時に手にとり、首と裾の両方から同時に頭をつっこみ、
残った手足をバタバタしているという、ディズニーアニメが私の目の前で展開された。
つーか、トムとジェリーかよ。
しかも、2人とも気づかない。
非常に簡単な早変わりのハズだが、次の日から介護(手伝い)がつくことになった。
頑張れ、おじいちゃん。

とてもキュートな方です、鬼界浩巳。



〜花も嵐も呼ぶ稽古日誌〜  投稿者: 山口千晴  投稿日: 5月27日(金)11時13分25秒

橋本きよみさんて、こんな人

橋本さんは、シャイでかわいい女性だが、
こと演技のこととなると熱い。
芝居中は集中する余り、訳がわからなくなるらしく、
小道具をよく破壊する。
作り物だが、レンガで殴られる大滝君のノウシントウ場面を何度も目撃したし、
実際、ゲネプロでレンガを真っ二つに折った。
熱い。誠に熱い。
橋本さんをよく知るメンバーは
「あぁ、きょみはそんなだよ」
と相手にもしないが、初めて遭遇する私は、
「どうか、被害が私にまでおよびませんように」
と、神仏にすがるしかなかった。
いよいよ本番。
「暗転中に目が見えない」と、
婆さんのように下山さんに手を引かれ導かれてる橋本さんや、
「早替わりの帽子がどこかにいってしまった!」と助監の赤羽ますみさんに訴えてる橋本さんを遠くで見ても、「近づかなければ大丈夫」とホっとしていた。
しかし、嵐は向こうからやってきた。
最後の夫との悲しい(?)別れの場面へ向かおうとする私の目の前に
「どうにかして!!」と必死な目で訴える橋本さんが飛び込んできたのだ。
見れば白い軍服の肩部分(戦場では死体を引っ張る役目の持ち手部分ですね)
飾りのプレートが真っ二つに折れている。
確かに橋本さんは出ずっぱりで熱演しているが、派手なアクションシーンがあるわけではないのに、硬いプレートが何故曲がる???
ますみさん薫ちゃんと、とりあえずの応急処置を施し、
「大丈夫ですから!」とあせる橋本さんをなだめた。
・・・はっ!自分の出番だ!!
あやうく出とちりは免れたが、とんでもねぇ嵐である。
次の日、落ち着きを取り戻した橋本さんに、
「どの場面で曲がったんですか?」と聞いてみた。
「解らない。意味が解らない。」
・・・意味が解らないのは、私である。
次の日から、「何が起こっても大丈夫!橋本シフト」が楽屋で敷かれた。
ガムテープ、安全ピン、ノリ、トンカチ、その他もろもろを用意し、
「かかって来い橋本」体制であった。

さて、打ち上げ。
午後8時スタートの打ち上げは、
暖かく進行していた。
海野真里子ちゃんが舞台に出たのは今回が2度目。
前回は、バリバリのアングラ芝居だったと言う話題になり、
アングラを見たこと無い私は
「どんなの??」と質問を浴びせた。
その場にいた誰も、ハッキリとした説明が提示出来ないまま、
アングラ芝居の話は終結した。
そして今回の舞台に話題は移行。
私は舞台上を見ることが出来なかったのだが、
大滝さんをレンガで殴った後、橋本さんが大滝さんの頭の匂いをかいでいるらしいとの情報が、同じ場面に出演しているメンバーから出た。
「あそこで嗅ぐ意味が解らない。何で?」と、
出演者、作家、スタッフ一同で橋本さんを問いただすと、
彼女は一言こう言った。
「嗅ぎたかったから」

アングラだ!
最後のアングラ女優がここにいた!!
1ヶ月余り稽古し本番を終了した私の感想は、
「アングラって怖い」
であった。

いつも書かれてばかりじゃなんですので、
本日は山口千晴版、稽古日誌をお届けしました。
鬼橋日誌と違い、100%真実です。

短い間でしたがお世話になりました。
今後は、遠くから応援しています。(笑)

5月26日(木よう日) 日直・橋本
 Kちゃんは、
「美人さん」には、珍しく、
おおらかであけっぴろげな人だ。
ちっとも気取ったところがない。
 稽古も終盤に入り、
衣装をつけての「通し稽古」の日。
今回は、本番中、何度か「衣装替え」をする人が多く、
その段取りを練習するためにも、
衣装をつけての「通し稽古」は、大切だ。
通常は物置として使用されている小部屋を、
通し稽古中の「着替え場所」として、しつらえた。
各々の衣装を、
小部屋内にセッティング。
だが、
Kちゃんだけが、セッティングしなかったことを、
その時点で気づいていた者は、誰も居ない。
通し稽古が始まり、着替えのために、
皆、小部屋内へと、入れ替わり立ち代わりする中、
Kちゃんは、
なんと、舞台の横で着替え始めた。
上着は替えないし、
下の「スカートはき替え」も、
高度なテクニックで、‘モロ出し’しないように着替えてはいたが、
それでも、キワドイところが見えたぞ。
なぜ、舞台の横で?
どうして、小部屋に行かない?
「小部屋が少しでもスイタほうがいいかなと。
みんな、お芝居に集中してるから、絶対、誰も見ないし。」と、Kちゃん。
・・・だから、見たってば。
全員、見ましたってば。
お芝居中の人も、見てしまいました。
Kちゃん、
人間の集中力を甘く見てはいけません。
そう、
集中力なんて、そんな程度のものなのです。


5月25日(水よう日) 日直・橋本
 ご来場、誠に有難うございました。
ご好評のうちに、無事、公演を終えられたのも、
ひとえに皆さまのおかげでございます。

 「鬼界事務所のお芝居は、
必ず、何か、飲食しますよね。」
とは、よく言われることだが、
今回も例にもれず。
計5人が、舞台上で、結構な量の水分を摂取。
そのうちの1人Kちゃん。
アンパンと共に飲んだ大量のお茶のせいなのか、
そのシーンのあと、必ず、オシッコをしたくなり、
本番中、自分の出番じゃない時に、こっそりトイレに行くことを、毎回、‘決め’にしていた。
今回の「銀座小劇場」のトイレは、
客席のすぐ横に位置する。
壁1枚だ。
客席からと楽屋からと、両方から行けるように扉が2つ付いているが、
お客様同様、キャストも、
本番中、トイレに入ることは出来ない。
いや、厳密に言えば、
入ることは出来るが、流せない。
便器を洗浄する音が、劇場内に響き渡るからだ。
が、しかし、
オシッコを我慢することも出来ない。
そこで、Kちゃん、考えた。
「するだけしといて、終演後に流そう。」と。
念のため、
便器にぶつかるオシッコの音も軽減させるべく、
幾重かに折って置いたペーパーの上に放尿。
そのまま、こっそり楽屋に戻り、本番をやり終え、
あとは、
カーテンコールが終わった直後に、流しに・・・・
行けばよかったのだが、
すっかり忘れちゃった彼女。
毎度、毎度、
トイレから聞こえる「なにこれ?!」のお客様の声で、
自分の不始末を思い出す。
ビタミン剤を飲んでいるKちゃんのオシッコは、異様に黄色い。
終演後、
真ッ黄ッ黄に染まったペーパーの山を、
便器内に発見してしまった幾人かのお客様。
大変、申し訳ありませんでした。
彼女になり代わり、お詫びします。


5月21日(土よう日) 日直・鬼界
昨日、開演前にみんながウォーミングアップしていたら、
グレーのスーツを着た2人組が劇場にやってきた。

「保健所から参りました。
多くの人が集まる場所の空気を採取し、データを集めております」

「は・・・・?」
なんのことやら、全員が意味をつかみかねたが、
空気を採取したいというのだから、
思う存分、採取してもらおう。
「どうぞどうぞ。お好きなだけ採ってってください。
代金はいただきませんから。」
と、冗談交じりで応対すると、

「はい、代金はお支払いできません」
と、大マジで返答された。

さすが、保健所。さすが、公務員。
冗談なんか通じやしない。

「7時30分から劇は始まるのですね。
では、7時50分くらいに、またお邪魔します」
と帰ろうとする。
ちょ、ちょっと待って!!
7時50分って、お芝居の真っ最中じゃんか!!

「大丈夫です。
そっと入ってきて、観客席の何ヶ所かで空気を採取し、
そっと出て行きますから。」

そっともクソのねえだろ!
お芝居やってるときにグレースーツの2人組に
空気採取装置をもって、ウロウロされたら、お芝居どころじゃないよっ!!

「しかし、今、観客席が空席の状態で採取しましても・・・」

どうでもいいけど、観客席って言うなっっ!!
球場じゃないんだよ。
客席って言えっ!!!

開場してから、お芝居が始まるまでの時間に採取してはどうでしょう?

「なるほど、そういう手がありましたか。
では、そうさせていただきます」

金曜日の上演前に
客席内を不審な男がウロついているのを目撃されたお客様、
ヤツらの正体はこういうことだったのです。

さあ、残るは土曜と日曜だけです。
まだご覧になってないあなた、
是非、
てゆうか絶対来てね。みんなでお待ちしてます。


5月20日(金よう日) 日直・鬼界
昨日、初日の夕方、
坪井さんが豚まんをみんなに配ってくれた。
ホクホクの出来立てを差し入れでもらったので
みんなにおすそ分けしてくれたのだ。
有名店の有名豚まんだそうで、めちゃくちゃうまい。
みんなガツガツ食った。
うまいだけに匂いも濃厚だ。
劇場じゅうが一気に豚まん臭くなった。
嗅覚の鋭い、ちはるねーさんがたまらなくなり、
グレープフルーツのアロマを焚きだした。
劇場の匂いが豚グレープになった。
そのうえ鬼界がサロメチールを塗りだし、
隅っこで大滝さんがファブリーズをシュッシュし始めた。
劇場が豚グレサロメをファブした匂いで充満した。
いい匂いのようでもあり、刺激臭っぽくもあるけど、
食欲をそそらないでもない、
ま、一言で言うと、えげつない匂いだった。

初日にご来場くださった皆さま、
お鼻は大丈夫でしたか?
異臭を感じられた方がいらっしゃったら、原因はこういうことだったのです。

さあ、今日は2日目。
あなた様のお越しをお待ちしてまーす。


5月19日(木よう日) 日直・鬼界
祝!初日!!
いよいよ始まるのでございます。
鬼界浩巳事務所公演『グレートエスケープ』です。
ご来場、お待ちしております。


ん?
今日の日誌は面白くないぞ・・・


そうです、面白いことは劇場にあるのですっ!!
来なきゃダメよっ!!


5月18日(水よう日) 日直・鬼界
今日は、いわゆる、‘仕込み’
劇場で準備をする日です。
大道具、小道具を作ったり、衣装を縫ったり、掃除をしたり、
なんやかんや、いろんな作業をするので、
みんなジャージ姿です。
そして、そんなカッコのまんま、劇場近辺をウロウロするのです。
いつもの下北沢なら、問題はありません。
そんな人がいっぱいウロウロしてるからです。
が、
今回は、銀座なのだ!
エリートサラリーマンやステキなOLがさっそうと歩くなか、
きったねえジャージを着て、首にタオルを巻いてウロウロするのです。
白い目で見られます。
てゆうか、逮捕されるかも・・・。
演劇@銀座!
このアンバランスさがたまりません。

明日から始まります。
まだお席はございますので、皆々様のご来場、心よりお待ちしております。
マジで待ってるからさ、来てね〜ン。ウフ。


5月16日(月よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
薫ちゃんが稽古場でブツブツつぶやいている。
そう!薫ちゃんは人一倍、セリフの稽古をするのだ。
見慣れた光景になったので、誰も気にとめない。
すると、
大滝さんが僕にそっとささやいた。
「気づいてます?」
なんのことだろう?
実は、よく観察すると、
セリフによって、薫ちゃんが稽古する場所が決まっているのだ。

入り口近くでは「あなたぁ〜ン」と呼びかけるラブシーンの稽古をし、
スピーカー近くでは「あなたっ!!」と怒るケンカのシーンの稽古をし、
窓辺では「あなた?」で始まる長ゼリの稽古をし、
セットの壁際では「あなた・・・」という別れのシーンの稽古をしている。

確かに、大滝さんの指摘どおり、
場所とセリフがリンクしているのだ!!。
(こんなことに気づく大滝さんも、どうかと思うのだが・・・。ヒマなのか?)

なぜだ??

すると、橋本がさらにいいポイントに気づいた。
「いろんな場所で稽古しているけど、
ぜーんぶ稽古場の隅っこだ。」

その通りだ!広い稽古場の真ん中で、薫ちゃんは決してセリフの稽古をしない・・・
その瞬間、
全員の頭の中に同じ考えがひらめいた。

マーキングだ
犬のおしっこと同じだっっっ!!!


そうなのです、セリフでマーキングする女、
演劇界広しと言えども、薫ちゃん一人しか居ない。


5月14日(土よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
音響さんがSEを持ってきた。
今回のお芝居には、いろんな効果音が使われるのだ。

古いドアが開く音。「キィィィ〜〜」
すると、稽古場の隅で下山さんがそれに合わせて芝居してるではないか!
「悪魔の館に潜入し、ドアを開けると、そこには・・・・」
みたいな1場面をやっているのだ。

「おぉぉ〜」
みんなに受けた。

下山さんは、誰に見せるでもなく、一人で暇つぶしにやってたようなもんだが、
みんなに受けたもんだから、
俄然、ハリキっちゃった。

鋼鉄の扉が開く音が、流れると、
重っそうな巨大な扉を開ける芝居をしてくれるし、
巨木が倒れる音では、
その木を受け止める世界一の力持ちを演じている。
ビルが崩れる音では、レスキュー隊員になっている。

そのあたりでみんなが思った。
「下山さん、疲れちゃうよ・・・」
が、
本人は絶好調だ。
銃声、2発の銃声、マシンガンの乱射音、
バズーカ砲、地対空ミサイル、原爆、
それぞれの爆破音に合わせて、さまざまな死に方を見せている。

そして、SEチェックが終わり、通し稽古が始まった。
案の定、下山さんはクタクタに疲れ果て、
徹夜明けのサラリーマンみたいな無惨な演技をしていた。

ペース配分、考えようね、下山さん。


5月12日(木よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
大滝さんが相談に来た。
「役作りのために小道具を使ってもいいのでしょうか?」
もちろん大歓迎。
それぞれが独自に工夫すれば、より面白いお芝居になるというものだ。
そう説明すると、
「わかりました、フッフッフ」と不敵な笑みを残し、
大滝さんは帰って行った。

翌日、大滝さんが宣言した。
「ゾル大佐、持たせてもらいます」
へ?
ゾル大佐って何?てゆうか、誰?
「大佐を持つ」って何?いっこく堂みたいに人形でも持つの?

大滝さんがカバンから取り出したのは、1本のムチだった。

ゾル大佐とは仮面ライダーに登場する悪役キャラで、
その人がいつもそのムチを持っているのだそうだ。

なるほど。

その翌日、またまた、大滝さんが宣言した。
「X星人になります」
は?
と不思議に思うより、笑っちゃった。
変身でもしてくれるのだろうか?

X星人とは、ゴジラシリーズの中で
キングギドラを地球上に連れてきた悪い宇宙人で、
その方たちが、いつもサングラスを着用されているのだそうだ。
つまり、
サングラスをかけます、ということだったのだ。

なるほど。

大滝さんは役作りにとても熱心な俳優さんだ。
ただ、わかりにくい専門用語を使うのがタマに傷だ。


5月10日(火よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
海野真里子(通称:真里ちゃん)って、こんな人

昨日、飲み屋で
“演技とはなにか?”という高尚なテーマで激論した。
大激論だった。
他の客がうるさがって帰っちゃうほど、大大激論だった。

薫ちゃんが発言した。
「つまり、心がね、あいだみつをになるんですよ、ぜったいっ!!」
意味不明だ。
が、大激論で興奮してるから、とにかく他人の意見を冷静に聞けない。
「あいだみつをなんて、ケツです。」
と橋本が反論の口火を切った。
「なんでですかぁ??」
と薫ちゃんが反抗すると、
「なんか、ケツの匂いがします。」
と、これまた意味不明の理論を述べる。
「だって、全部ひらがなの名前の男なんて信じられないぜ。」とか
「みつおなら許すけど、みつをの‘を’、が狙いすぎ。」とか
全員で議論が沸騰したとき、
真理ちゃんがつぶやいた。

「私、あいだみつをの詩集、持ってます」

全員が凍りついた。

あいだみつをの詩集を実際に持ってるヤツがいるなんて・・・
てゆうか、持ってるか持ってないかの話なんてしてないし・・・
てゆうか、真里ちゃんの発言はそれだけで続きがないし・・・
持ってるから、どうしなんだよ!と言いたくなる。

真理ちゃん発言の呪縛から解けた、ちはるねーさんが持論を展開した。
「演技っつーのは、結局、ブルース・リーでしょ。(キッパリ)」
またもや意味不明だ。
と、思いきや、
坪井さんと大滝さんが大賛成した。
「そうだよ。その通り!」
「さすが、ちはるねーさん、わかってる!!」
と3人で盛り上がっている。
なんのこと?と尋ねると
ブルース・リーは出演映画の中で必ずいつも言う台詞があるのだそうだ。
坪井さんがモノマネしてくれた。
「ドンティン ピ〜」
は?余計わからない。
「Don’t think.Feel!」という英語をブルース・リーが発音すると
↑のように聞こえるのだそうだ。
「でも、ブルース・リーはヤク中で死んだじゃないか!」
と僕が反論しても
坪井・大滝コンビは「ドンティン ピ〜」と叫ぶばかりで議論にならない。
そのとき、真里ちゃんがつぶやいた。

「私、『燃えよドラゴン』のビデオ、持ってます」

全員が死んだ。

なんで、そんなビデオ持ってるわけ?しかも、セルビデオ。
てゆうか、今も、持ってるか持ってないかの話はしてないじゃん。
で、持ってるからどうなの?
と、真里ちゃんの言葉の続きを待ってみても、
真里ちゃんはニコニコ笑ってるだけだ・・・・・・

「じゃ、そろそろ帰ろっか」
誰ともなしに言い出して、大激論は非っ常に中途半端なまま、お開きになった。


5月9日(月よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
山口千晴さんって、こんな人 その2

ちはるねーさんには、もうひとつ鋭いところがある。

先日、初めての稽古場を使ったときのことだ。
そこは最近立て直したらしく、
超近未来的なデザインのキレイな建物だった。
が、スタジオのドアを開けた瞬間、
ちはるねーさんの足が止まった。
「うっ」とうめいたかと思うと、
「ダメ・・・とてもダメ」と顔が真っ青になっていく。
実は、その稽古場は第二次大戦中の陸軍病院の跡地に建っているのだ。

洞察力だけでなく、霊感力もすごいのか・・・・

ちはるねーさんが声をふりしぼった。
「く、くさい・・納豆くさすぎる・・・・」

その日の朝、納豆をたらふく食った僕の匂いに
ちはるねーさんはマイっていたのだ。

そうです!ちはるねーさんは、異常なまでに嗅覚が鋭いのです!

例1)
稽古の帰り、ちはるねーさんがつぶやいた。
「イカノニツケか・・・」
なんのことだか誰にもわからなかった。
が、そこから100メートルほどの飲み屋に入ると、
お通しが「イカの煮付け」だった。

例2)
稽古の帰り、ちはるねーさんがつぶやいた。
「猫がいる・・・」
みんながキョロキョロと探したが、猫なんていやしない。
さすがのちはるねーさんの嗅覚も間違いがあるんだ・・・
と思い、300メートルくらい歩いた。
ふと振り返ると、ちえみねーさんがつぶやいた場所に
黒猫がちょこんと座り、こちらを見つめていた。

マジ、すごいっすよ。


5月7日(土よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
山口千晴さんって、こんな人

山口さんは、ちはるねーさんと呼ばれている。
みんなよりも年上だから、ではなく、
一時期、お笑いの世界にいたからだ。
コンビを組んで、若手美人漫才として活躍していたのだ!

若手+美人=イジメ

という公式どおり、ちはるねーさんはめちゃくちゃイジメられ、
数々の修羅場をくぐり抜けてきた。
そのおかげで、人間観察がとても鋭い。

昨日の日誌の薫ちゃんナンパエピソードを聞いたときも
「男の人によく、声かけられるんだろうなぁと思ってたよ。
普段のしゃべり方でわかるもん」
と、当たり前のように見抜いていたし、
薫ちゃんがナンパにちょっとヘンな返事をすることも
「そういう対応なんだろうなぁと思ってたよ。
ダメ出しを聞く態度がそういう感じだもん」
と、これまた簡単に見破っていた。

鋭いっ!

その前の日誌の古郡さんのことも
「サンドイッチの食べ方を見てれば、
その手のタイプの人だってわかる」
と見通していた。

鋭いっっ!

その前の日誌の橋本のことも
「鉛筆の持ち方を見れば、
龍角散をそういう風に飲む人だなってすぐわかる」と
断言していた。

鋭いっっっ!!!
てゆうか、占い師?
サンドイッチの食べ方で方向音痴がわかったり、
鉛筆の持ち方で龍角散の飲み方が予測できるものなの?

「できるわよ。
髪の毛を一本もらえば、
本籍地、現住所、次に引っ越す住所と、その次に引っ越す住所くらいまではわかるわ」
と、ちはるねーさんはおっしゃった。

いくらなんでもそこまでは・・・・・。

とにかく、観察眼の鋭い頼りになる女、
それがちはるねーさんだ。


5月6日(金よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
鈴木薫ちゃんって、こんな人

薫ちゃんは、やたらとナンパされるそうだ。
つい先日も
駅前の自転車置き場で自転車の鍵を開けてたら
体育会系のイイ身体の若い男がやって来て
「オ、オレと付き合ってくださいっ!」
と突然、コクられた。
薫ちゃんのことを何度か見かけ、
ずっと、ステキだなぁと思っていたらしい。

すげえじゃん、薫ちゃん!
で、なんて答えたの?

「・・・・・・・・・あなたとは初対面だし、あなたのこと知らないし・・・やめときますっ

ん?なんかヘンなのでは?
ナンパに対し、真剣に応対してない?

また別の先日、
しばらく立ち読みをして、本屋を出ると
体育会系のイイ身体の若い男(↑の男とは別人)が駆け寄ってきて
「オ、オレと付き合ってくださいっ!」
と突然、コクられた。
薫ちゃんの立ち読み姿を、隣りに立ってずっと見続け、
ステキだなぁと思ったらしい。

すげえじゃん、薫ちゃん!
でも、パターン似てない?
てゆうか、ピンポイントで、もてるわけ?
で、なんて答えたの?

「やっぱり、あなただったのね!立ち読みしてる時にそばに立たないでくれます?
とても気が散るんです!!」

やっぱヘンなのでは?
「付き合ってくださいっ!」の答えに全然なってないっす・・。

やたらナンパされても、決してナンパ慣れしない。(もしくは、できない)
とてもカワイイ薫ちゃんだ。


5月4日(水よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
古郡さんって、こんな人

そもそも、なんて読むのか?
「ふるむれ」?「こぐん」?「ふるぐん」?
あるいは、ぱっと見て、「こと」?と思うかもしれない。
実は、「ふるごおり」と読むのです。
ヘンな名前っ!
って、ひとのこと言えませんが・・・・。

思い返せば、僕が演劇養成所に入ったときの先輩であり、
劇団の座長もやっていた人ですから、
とても頼りになる男です。

と言えれば、どんなに幸せだろう。

けっこー、抜けてんですよ、これが。

今、稽古してるところは
廊下の両側にずらっとスタジオが並んでいて、
出口やトイレへは
奇数番号のスタジオでは、出て左へ、
偶数番号のスタジオでは、出て右へ行きます。
昨日は、36スタジオでした。
なのに、古郡さんは、トイレへ行くのに、出て左へ行くのです。
1回だけじゃないですよ。
トイレへ行くたびに、そして、ジュースを買いに行くたびに、
稽古が終わって帰るときにもたったひとりだけ、左へ行くのです。
ふつー、1回失敗すりゃ学習しません?
しかも、
一昨日、奇数番号のスタジオだったときには
スタジオの扉を開けると、無条件に右へ行くのです。
なんで?
バカだから?
右か左、ふたつにひとつしかないのに、
なぜ、わざわざ間違ったほうを選択するのでしょう?
やっぱバカだから?

そういう人です、古郡さんは。


5月3日(火よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
鯉のぼりコントの稽古で
すっかり、声を枯らしてしまった橋本が
龍角散を持参した。
「ノドにきくんだよね〜」と言いながら、
口にいれた途端、
バフッ
と、全部、はき出した。
ご存知の通り、龍角散はチョークをけずったような白い粉末なので、
白い煙がもうもうと立ち込めている。
「おっかしいなぁ」と言いながら、再挑戦。
やはり、
バフッとむせながらモクモクと白い粉を撒き散らす。
「ヘンだなぁ」と言いながら、再度トライ。
しばらく耐えていたが、
ゲホッと言いながら、はき出した。
しかも、しばらくガマンしたもんだから、龍角散がツバを含み、
ボタ雪みたいなかたまり状ではき出した。
稽古場が汚染されていくことに耐えかねた下山さんが
介入した。
しばしの検証の結果、橋本の失敗の原因が判明した。
「テンコ盛りしすぎなんだよ」
添付のサジで、すり切り1杯飲むべきところを
アルプスなみに山盛りにして龍角散を飲もうとしていたのだ。

「だって、多く飲みゃ多く飲むほど、効くんでない?」
と言う橋本さん、
薬は、説明書どおりに飲みましょう。

ちなみに、説明書によると、龍角散は
3ヶ月以上1歳未満の子供には10分の1杯が適量なのだそうだ。

龍角散を飲める赤ん坊がいるのか?


4月30日(土よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
坪井さんって、こんな人 その3

バンビちゃんはサーカスの熊だから、
玉乗りとか綱渡りなんかの芸をするんだろうと思ってた。
ところが、
調教師兼通訳のペトロビッチさんが言うには
「バンビは芸なんぞしないであるである。
バンビは演技をする熊であるというよ。」ということらしい。
どうでもいいが、
ペトロビッチさんの日本語はちょっとヘンだ。

お芝居をすることになった。
『バンビくんの初デート』
気弱なバンビくんは、先輩の車に乗せてもらって
片思いのカノジョにコクりに行く、というストーリー。
もちろん、先輩役が坪井さんだ。

坪井さんがブッブーとクラクションを鳴らすと、
バンビちゃんが現れ、助手席に乗り込むのだが、
運転席にいるのが坪井さんだとわかった瞬間、
バンビちゃんの目の色が変わる。
ガルルルルとうなりだす。
ペトロビッチさんがバンビちゃんの兄弟という設定で(無謀な設定だ!)
常に隣りにいて鎖でつないではいるが、
いつ襲い掛かってくるかわからない。
坪井さんは生きた心地はしなかった。

そして、ツアーが進むにつれ、
散歩にも行けないバンビちゃんは
(日本の道路で熊を散歩させてたら、かなりの騒ぎになるし)
ストレスがたまりにたまり、
目は真っ赤に充血し、
ヨダレをダラダラ垂れ流し、
身体が小刻みに震えてきた。
そんなある日、
ペトロビッチさんのテントの前を通りかかった坪井さんは
「バンビが暴れ出すのは近いと思うあるよ。
わたしにはもう押さえられない。」
という言葉を聞いてしまった!

「あの日からだよ、
人間はいつ死ぬかわからない、やりたいことは今日のうちにやっちゃおう
と思ったのは」
そんなステキな人生哲学を持った男、それが坪井さんだ。

ちなみに、バンビちゃんが暴れ出す前にツアーは千秋楽を迎えました。
「あなたはとても運の強い男と言われているよ」
とペトロビッチさんに誉められた(?)そうです。


4月28日(木よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
坪井さんって、こんな人 その2

坪井さんは20代のころ、
レニングラードサーカスJAPANツアーの司会をやったことがある。
70倍ほどの競争率のオーディションを見事突破し、
サーカス団の人々と顔合わせをすることになった。

「忘れもしない、横浜のなんとかホテルの宴会場さ」

って、忘れてるやんけ!なにホテルなのよ??

「通訳の人を介してなんだけど、
空中ブランコのおにいさんと冗談まじりでしゃべってたら、
デブのモジャモジャひげのおっさんが隣りに来て、
ゲラゲラ笑ってるわけ。
なんだこのおっさん?と思ってたら、
それがサーカス団の団長だったんだよ」

団長は坪井さんを気に入り、
「司会だけじゃもったいない。コンビを組ませ、1コーナーを任せよう」
ということになったのだそうだ。
しかし、コンビの相手役は、なんと、
北極熊のバンビちゃんだったのだ。

「優しい、大人しい性格の熊だからね、バンビちゃんは。
安心だよ。楽しくやってもらえばいいから」
と軽く団長に言われ、
バンビちゃんとご対面することになった。
遠くから見てると、
なるほど、飼育係りのおじさんが頭をなでたり、肩をたたいても、
「クゥ〜ンクゥ〜ン」と鳴くだけで
とてもかわいい熊だ。
ホッと安心して、坪井さんはバンビちゃんのおりに近寄っていった。
その途端だ。
バンビちゃんがいきなり立ち上がり
「ガォーッ!ガォーッ!!」と吼えながら、坪井さんめがけて突進してくるではないか!

「マジでションベンちびりそうになったよ。
つうか、3滴くらいちびったよ。
おりがなかったら、あの瞬間に、食い殺されていたもんね」

坪井さんがテントから出て行くと、
バンビちゃんは、「クゥ〜ンクゥ〜ン」
坪井さんがテントに入ると、「ガオーッ!ガオーッ!!」

「おかしいねぇ、バンビちゃんは、いつもは大人しいのに・・・・。
でも、いっか。そのうち慣れるでしょ。」
という団長の安易な決断で
坪井さんの命をかけたJAPANツアーは始まった。 (つづく)


4月26日(火よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
坪井さんって、こんな人

この前の稽古休みの日、坪井さんは自宅でDVDを見ていた。
ジャングルを舞台にした戦争映画で、
「普通の映画とは違うぞ。
木々が焼き払われる煙がものすごくリアルだ。
CG技術がスゴイんだなぁ」
と思っていたのだそうだ。
お話が進むに連れ、ますます煙がリアルになり、
何も燃えてないシーンまでも煙りだしたのだそうだ。
なんかヘンかも?
と思い、電気をつけると、部屋中が煙っているではないか!
リアルな煙じゃなく、本物の煙だったんだ!
慌てて外に飛び出すと、1メートル先も見えないくらいの煙だ。
大変だ!
煙の元は
坪井さんの部屋の真下の、“居酒屋のんべえ”のようだ。
階段を駆け下り、“のんべえ”をのぞきこんだ。
定休日で暗い店内の奥のほうで、
オレンジ色の何かが、メラメラっとしてるというか、
ユラユラっとしてるというか、
とにかくオレンジ色の何かが見え隠れしているではないか。
超緊急事態だ!!
坪井さんは、階段をダッシュして、6階に住む管理人さんのドアを叩いた。

え?
ちょっと待ってください、坪井さん。
ヘンじゃない?
超緊急事態なんでしょ?
なんで119番しないわけ?
なんで6階までダッシュするの?
と疑問をなげかけると、

「そこが人間の不思議なところじゃないか。
理屈では計算できない行動をするのが人間というもんさ。
俳優なら、そのへんをわかんなきゃ」
と説教されてしまった。
そっかなぁ・・・・・?ま、いっか。
で、管理人さんの部屋に行ってから、どうなったんです?

管理人さんの手を引っ張って、階段を駆け下り、
「見てくださいっっ!!」
と管理人さんに“のんべえ”の店内をのぞかせた。
すると、
「坪井さんっ!私を呼んでる場合じゃないよ!!早く119番しなきゃっっ!!!」
と怒られたそうだ。

やっぱ、あんたの行動、ダメだったんじゃん!!

墓穴を掘るエピソードを披露してくれる、そんなかわいい坪井さんだ。


4月23日(金よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
下山さんって、こんな人

下山さんに関しては、
3/15と4/16の日誌に橋本が書いたので
だいたいどんな人かわかってもらえたと思います。
ただ、
今回の稽古で驚いたことがあります。
なんと、彼は禁煙したのです。
中学時代から吸い始めて、ン十年、
1日1箱のペースをきっちり守る、
かなりの愛煙家でした。
「自分がタバコをやめる日が来るとは思いもしなかった」そうです。
キッカケは
大みそかの深夜に初詣に行き、帰ってきたら、
突然、謎の高熱を発し、
1週間寝込んだときのこと。
夢を見たのだそうです。

「この夢は『やめろというお告げなんだ!』と思ったんだよ」
「へえ」
「かなり強烈な夢だったしね。なんせ、その夢のおかげで禁煙できたんだからさ」
「なるほど。で、どんな夢だったの?」
「それが思い出せないんだ」
「は?」
「『やめなきゃ』と思ったことはよく覚えてるんだけど
どんな夢だったかが、さっぱり思い出せないんだ」
「・・・・・・・」

スポーツバカというか、ホントのバカというか、
下山さんは愛すべき人である。

「禁煙してから1本も吸ってないの?」
「もちろん」
「たったの1本も?」
「もちろん」
「吸いたいと思うこともない?」
「もちろん」

それほど豪語するなら、
僕がタバコを吸ってると、必ずそばに近寄って来て、深呼吸するのはやめてください。


4月22日(木よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
大滝さんって、こんな人 その3

大滝さんはアクション映画にも多数出演している。
ある日、現場に行くと、
「大滝さん、コーヒーでも入れようか?」とか
「大滝さん、おしぼりお持ちしました」とか
やけに、待遇のいいときがあったのだそうだ。
?と思っていると、
助監督さんが
「大滝さん、出番です。お願いします」
と呼びに来た。
連れて行かれたのは、なんと、地上18メートルのやぐらの上だった。
監督が下から怒鳴っているが、
強風のため、なーんにも聞こえない。
助監督さんがトランシーバーを持ってきてくれて、やっと話ができた。

「大滝ちゃん、実はね、そっから飛び降りてほしいんだ」
「は?」
「実はね、スタントマンのプロダクションに頼んだんだけど、
昨日、マネージャーが現場視察に来て、
この高さじゃ無理です、ってドタキャンされちゃったんだよね」
「げ」
「大滝ちゃんなら、できるよぉ。大丈夫だよぉ。」
「そんな話、聞いてないっすよ。しかも、クッションになるエアーマットが敷いてないっすよ」
「そーなんだよねぇ、予算なくて。でも、砂山は作っといたから」
「む、む、無理っす。しかも、この強風ですよ」
「そーなんだよねぇ、ついてないよねぇ。
でも、主演の○○さんのスケジュールで今日しか撮れないんだよねぇ。じゃあいくよ」
「いや、ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ」
「あ、言い忘れたんだけど、地面に着地したら、
そのまま立ち上がって走り出し、あの車に乗り込んで発車してね」
「そ、そんな」
「じゃあ、カメラポジション決めたらすぐいくから、そこでスタンバってて。」ブチッ
トランシーバーは一方的に切られた。
そして、5分後、
大滝さんは地上18メートルの高さから空中へダイブしていた。

この話を聞いていた橋本がゴクリとツバを飲み込んで
大滝さんに尋ねた。
「大滝さんはスタントの仕事もやってたってこと?」
「ううん、やってないよ」
「でも、現場で突然やらされた?」
「そう、やらされた。だって、あの状況だとやらざるをえないじゃん。
追い込まれたら、人間、なんだってできるんだよ。
きよみちゃんだって、あの状況になったら、やるよ、きっと。」
「できないと思うなぁ・・・。」
「あの状況になったら、絶対できるって」
「・・・そーお?・・・そうね!」

なに納得してんだよ。
できるわけねえだろ!!


4月21日(水よう日) 日直・鬼界
 〜嵐を呼ぶ稽古場日誌
大滝さんって、こんな人 その2

18年前に一緒にお芝居をやったとき、
大滝さんは寡黙な人だった。
ニヒルな感じ、カッコいい感じ、
ブリザードが荒れ狂う断崖絶壁に立ち
ふんどし一丁で葉巻を吸い、意味もなくニヤリと笑う、
そんな感じの人だった。

そして、今回の顔合わせ、
みんながベロンベロンになった宴たけなわのとき、
「いぇーいっ、大滝く〜ん、たぁのしーくやってるぅ?」と話し掛けると

「ええ・・・・」

と、たった一言、ボソッとつぶやいた。

「しゃべってないんじゃないのぉ?」と尋ねると

「自分は無口ですから」

と、ボソッとつぶやいた。

高倉健か?
おおっっ、変わってないぜ、この人。
相変わらず寡黙だ!硬派だ!男はだまってサッポロビールだ!!
と尊敬してたら
「自分はシャイなんだと思うんです。こういう性格じゃいけないいけないと思い、
変えよう変えようとするんですが、なかなか理想どおりにはいかなくて、
この前もね、一晩飲み明かして、明け方寝たらね、
電話でたたき起こされたんですよぉ、『うっせえなあ、誰だよぅ〜』と
受話器を取ると、なじみのADさんが騒いでんですよ。
僕、寝過ごしたんですよぉ。ウヒャヒャヒャ。
あっわてて現場に行ったら、監督が怒る、プロデゥーサーが怒る、
もう修羅場だったんすよ、ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。
そんで、メーク室に行ったら・・・・」

30分間、しゃべりっぱなしだった。

大滝さん、あなたは変わりました。
ぜんぜんっっっ、無口じゃありません。
明るく楽しい愉快な野郎です。
ブリザードの断崖に立ったら、1秒で風邪ひくタイプです。
てゆうか、もはや立とうともしないね、今のあなたは。


4月19日(火よう日) 日直・鬼界
 〜稽古場日誌〜
まずは出演者の紹介から始めたいと思います。
チラシの名前順にいきましょう。

大滝明利。

『ウルトラマンティガ』でムナカタ副隊長を演じていました。
あの、ティガですぜ!
THE MOVIEにも出てるんですぜ!
全国のチビッコファンと
その筋の人(ウルトラ筋、とでも申しましょうか、マニアの方ですね)には
絶大な人気を誇る人なのです。

なぜ、そんな人が『グレート・エスケープ』に出てるのか?
実は、
18年前の『グレエス』にも出ていたのです。
といっても、
10年くらい音信普通だったので、連絡先も住所もまったくわかりません。
調べに調べ、
知人の知人の知人の知人の知人の知人の知人の知人の知人くらいの人から
ようやく情報を得ることができ、
涙の再会を果たした・・・ということなのです。


4月17日(日よう日) 日直・鬼界
稽古でストップウォッチが必要なので、
うちじゅう探した。
5年前のお芝居で使ったストップウォッチが確かどっかにあったはず・・・。
とにかく探した。
机の引き出し、タンスの引き出し、小物入れの引き出し、
洗面所の引き出し、台所の引き出し

いえ、べつに、引き出しだけ探したわけじゃないですよ。
いろんなとこ探したんだけど、
「引き出し探した」って書くとイメージしやすいじゃないですか。
「あらぁ、ハンコ、どこにしまっちゃったかしら」とか
奥さまがやってそうじゃないですか。
  ↑
奥さまに対するイメージが貧困かもしれない・・・。

とにかく、
ありとあらゆるところを探しながら、
「でも、5年前のストップウォッチだから止まってんだろうな。
電池換えなきゃいけないな。」
と思ってたのです。
そして、ついに、
タンスの裏に落ちているストップウォッチを発見しました!

なんでそんなとこにあるわけ?
タンスの裏でタイム計ったっけ?

という疑問よりも、
なんと、ストップウォッチの電池が切れてなかったのです。
なんの略語かわかんないけど、
SUMっていう字とRSAっていう字がチッコチッコ点滅してるんです。
あんな暗いところで生きてたんだ。
あんなほこりまみれの中、ひとりぼっちで点滅してたんだ。
そう思うと、
いとおしくて、いとおしくて、
日誌に書いて、世界の皆様に発信しようと思ったのです。



ぼちぼち、稽古場日誌を始めようかと思ってるんですよ、ウフ。


4月16日(土よう日) 日直・橋本 
 3月15日の日誌にも登場した、
今回の出演者の下山さん。
一昨々日の飲み会の待ち合わせに、遅刻して来た。
ずーっと向こうのほうから、
タッタッタと、かなりのスピードで走ってきた下山さんは、
私の前で止まると、
まるで、マラソンランナーのゴール直後のように、
腰を曲げ、両ヒザに手をおき、
ゼイゼイ、ハァハァと荒い息を整えること1分。
「遅れてワリィ。
ちょっとジムに行ってて。
やべぇ、遅刻だ!と、慌てて切り上げて来た。」
まただ。
またジムだ。
さすが、体力自慢の下山さん。
鍛えてるなぁ。
飲み会の直前までトレーニングに励むとは。
プロスポーツ選手も顔負けだ。
「マネできませんね。」と言うと、
「ま、ほら、俺さ、ずーっとスポーツやってたからさ、
身体動かしてないと調子悪くなっちゃうのよ。
もう、そういう身体なのよ、俺の身体。
風邪ひいてても、トレーニングで治っちゃうのよ、俺の身体。」
そう言って、カンラカンラと笑った。
 飲み会で、
大盛り上がりの皆の中、
最初の乾杯後に、なぜか、ひとり無口になった下山さん。
「どうしたんですか?」と尋ねると、
「すきっ腹でイッキしたから、胃が直撃されちゃったみたいで、気持ち悪い。
ここんとこ、胃腸、弱っちゃってさ、俺。」
そして、
カバンからタオルを取り出し、
「風邪気味の時は、温めるといいらしい。」
と、自分の首に巻いた。
次に、
ポケットティッシュを出し、鼻をかみだした。
「花粉症で鼻水がスゴイんだよね。アレルギーかな、俺。」
そう言うと、
おしんこをひとつツマんで、口に入れた。
すると、
タクワンが気管にでも入ったか、
下山さんは、死ぬほどムセ始めた。
グェーーーホ!グェーーーーホ!
ゲホ、ゲホ、ゴホ、ゲホ、グェーーーーーーーホ!!
・・・・・下山さん、
えっらい病弱な人にしか見えないんすけど?
「風邪?トレーニングで治っちゃうもんね、俺の身体。」って、
治ってないすよ、それ。
悪化してますよ、それ。
風邪の時は、安静にしてたほうが、いいっすよ、やっぱ。


4月15日(金よう日) 日直・鬼界
知り合いに5月公演のお知らせ手紙を書いていた。
その住所のひとつ

中区神久保

これ、なんて読むと思います?

「ちゅんく」って?

おいっ!

安易なボケすると、僕は怒るよ。
中区は「なかく」です。
その後ろの3文字です。

なんと、「いもくぼ」と読むんです。
イモですぜ。
神をイモですぜ。

「昨日、合コン行ったら、ダサいイモねえちゃんばっかでよぉ」
というのを
「昨日、合コン行ったら、ダサい神ねえちゃんばっかでよぉ」
とか言うわけ?

絶対、バチ当たるね。
天国行けないね。
エンマさまに舌ぬかれるね。
よかった、そんな地区に生まれなくて。

てゆうか、いまどき、イモねえちゃんなんて言わねえな・・・


4月14日(木よう日) 日直・橋本
 昨夜は、
5月公演の出演者・スタッフ、合わせて11人ほどで、飲み会。
出演者の一人である坪井さんと、
制作を手伝ってくれているTちゃんとAちゃんが、
こんな会話を交わしていた。

坪井さん「コペンハーゲンでは、驚いた。
      日本でいえば、銀座のデパートのショーウィンドウが洋服で飾られるがごとく、
      メインストリートの馬鹿でかいショーウィンドウが、
      大人のおもちゃで飾られているんだ。」
Aちゃん「へぇ〜。
     ローターとかですか?」
坪井さん「そ。」
Aちゃん「ダッチも?」
坪井さん「ワイフもハズも。」
Tちゃん「日本で1番人気のハズバンドって、知ってます?」
坪井さん「柔道着なんじゃない?」
Tちゃん「ですよねー?」
Aちゃん「ケンさん。」
坪井さん「ワイフは、ほっきょく?」
Tちゃん「なんきょく。」

(注:私の耳が聴き取ったとおりを書いたまでなので、
正確さには欠けるということをお断りしておきます。)

なんなんでしょう、この会話。
今、日本には、
ダッチハズバンドなるものが有るのですか?
柔道着を着せた。
ケンさんという名の。
そして、それが1番人気だと。
あのー、
それって、ちまたでは、みんなが知ってるポピュラーなことなんでしょうか?
・・・だとしたら、
日本も、コペンハーゲンに負けず劣らずオープンだ。


4月13日(水よう日) 日直・鬼界
乗り込んできた乗客が僕の両隣に座った。
右側がデブのサラリーマン、
左側が新入社員っぽいOLだ。
OLはすぐに化粧を始めた。
そのときだ。

!くせ!!

卵の腐ったような臭いが僕の鼻をついた。
デブがあくびをしているではないか!
なんじゃ、こいつ、口から温泉わいてんのか?
それとも、イオウを食ってきたのか?
たまらない。
僕は本当に気持ち悪くなり、席を立ちかけると、
デブが電車を降りていった。
助かった・・・
と思ったとき、
さっき以上の強烈な臭いが襲ってきた。
隣りを見ると、化粧を終えたOLがため息をついていた。
お前やったんかい!

自分じゃ気づいてないのかな・・・・
若いのにかわいそうだ・・・


4月12日(火よう日) 日直・鬼界
電車の中でスペイン人女性が化粧していた。
マスカラを塗っているのだが、
目の開けかたがスゴい。
眼球を取り替えるみたいに目をひんむいている。
そんなにしなきゃ塗れないの?
ま、いいけどさ。
すごく長いまつ毛だ。
どう見ても、つけまつ毛なのに、あんなに丹念にマスカるのが
スペイン流なのだろうか。
おもむろにバッグからエアーサロンパスを取り出すと、
キャップをはずし、
目に噴射した。
げっ!これもスペイン流?
と思ったら、
エアーサロンパスの缶にそっくりの、ビューラーだった。
電気式なのかガス式なのか、
ハサミの親戚みたいなおなじみのビューラーとはパワーが違う。
アサガオのつるの先っぽみたいに、
まつ毛はクルンとなった。
ちょっと巻きすぎって気もするけど、
スペインさんは鏡を見て、とても満足げだ。
顔のあちこちをチェックしている。
と、突然、
スペインさんの顔が曇った。
バッグから小さなハサミを取り出すと、
頬から小鼻の横にかけて、産毛をチョキチョキ切り出したのだ。
驚きました。
公衆の面前で恥ずかしいとかみっともないとか、ぜーんぜん思わないのだろう。
これぞスペイン流。
日本人にはできない行為だ。


4月11日(月よう日) 日直・鬼界
5月公演『グレート・エスケープ』は
いよいよ、本日前売り開始でございます。
皆さま、是非是非ご来場くださいませ。
「オレが行かなくたって」
「私ひとりくらい予約しなくたって」
という考えはいけません。
駅前の放置自転車と同じです。
歩道に自転車が溢れてて、危ない思いイヤな思いをした経験がございましょ?
ですから、各自がおのおの、みんながみんな
予約の電話、メールをすれば、
放置自転車のない明るい社会が築けるわけです。
さあ、できることからやりましょう。
「レジ袋はいりません」「グレエスのチケットを予約します」
この一言が地球を救う!


4月10日(日よう日) 日直・橋本
午後3時45分。
ただ今、先行予約受付中のお時間でございます。
橋本、働いております。
朝から大忙し。
「お客様にチケットをお送りするのに必要な切手を買っていなかった!」
と気づき、
切手を購入してから事務所へ駆けつけることに。
日曜日でも窓口の開いている大きな郵便局を探し出し、
小包を出したり受け取ったりの大行列に並び、
イヤな顔をされながらも、
わざわざ記念切手を出してきてもらい、
無事、購入。
私が、先行予約開始時間に遅刻したのも、こういう事情じゃ仕方あるまい。
皆さまへの「お封筒」には、
私が選んだ記念切手が、私の唾液で、ステキに貼られていますのよ〜。
舌、コテコテ。
「科学技術&アニメーション」シリーズを選んでみましたの。
タイムボカンのドロンジョ様の切手のかた、大当たり〜。
あ、
こうしているうちに終了時間の午後4時となりました。
いや〜、働いた、働いた。
皆さま、ご予約、本当に有難うございました。


<以下、鬼界writes>
あのですね、橋本さんは気づいておられなかったみたいですが、
普通の80円切手は大量に買ってあったのです・・・。

メールでの申し込みが圧倒的に多いだろうと予測していたのですが、
なんと、お電話の方が圧倒的に多かった。
予測するってぇのはムツカシイぜ。
予測上手になって、1000万円の馬券を当てたいもんだ。


4月9日(土よう日) 日直・橋本
 京王線の某駅ホームで、
電車を待っていると、
私のうしろに、女性2人連れが来て、並んだ様子。
話が弾んでいるようで、
途切れることなく、
しかし、とても穏やかな調子で、会話を続けている。
声から察するに、
一人は60歳代の上品な感じの婦人で、
もう一人は、30歳前後の明朗活発な感じの女性。
年配の婦人が、
若いほうの女性に尋ねた。
「じゃぁ、今は、もう大阪に?」
30歳前後の女性は、明るい声で答えた。
「はい、先週から。
‘なにも大阪に行かなくても・・・
もう1年勉強してみる?’って言ったんですけど、
‘浪人すると、ひとに遅れをとるようで嫌だ’って言うんですよ。
私としては、
浪人しても、東京の大学に行って欲しかったんですけどね。」
「そう・・・。
お寂しくなりますわねぇ。」
「はい。
両親が亡くなってから、ずっと2人で暮らしてきましたから、
急に一人になると、やっぱり、ちょっと寂しいです。
向こうは、案外、のびのび楽しくやってるようですけど。うふふ。」
「でも、あと、ちょっとね。
あとちょっとで、あなたもラクになるわねぇ。」
「はい、あとちょっと、頑張ります。うふふ。」
準特急を待たずに、
2人は、
ホームの反対側に滑り込んできた各駅停車に乗って、行ってしまった。
2人が列を離れる際、
私はチラと振り返り、
後ろ姿を見た。
若いほうの彼女は、
春物のスーツを着た、ショートカットの、小柄な女性だった。
大阪の大学に進学したのは、
妹なのか、弟なのか、どっちなんだろう。
彼女・・・、いいお姉さんだなぁ。


4月8日(金よう日) 日直・橋本
 眼がカユいので、
再度、眼医者へ。
駅前の6階建てのビルの4階が、その眼医者。
エレベーターに乗り、
4階のボタンを押す。
到着。
扉が開く。
勢いよく、茶色のジュータン敷きのフロアに歩み出た。
・・・・・茶色のジュータン?
瞬時の疑念をかき消すように、
出迎える明るい声、声、声。
「ハロー!」「ハ〜イ!」「ウェルカム!」
外人、日本人、入り混じって、
私を歓迎している、
ここは、どこ。
「異次元の4階」で降りてしまったのか?
わけもわからず、
とりあえず「ハロー。」と答えた。
そして、
答えながら、思い出した。
5階が「英会話のジオス」だったことを。
慌ててエレベータのボタンを押す。
5階で停まったままだったらしいエレベーターの扉は、すぐ開いた。
私のほうへ歩を進めつつあった美しい金髪女性に、
「エクスキューズ・ミー。」と会釈し、
エレベーターに飛び乗る。
今度はマチガエないよう、慎重に、4階を押す。
到着。
扉が開く。
見覚えのあるタイル張りの待合いロビー。
うつむき加減で順番を待つ、多数の老若男女。
そうそう、
これが現実。
ほんのささやかな日常の、
一瞬の白昼夢もどき。


4月7日(木よう日) 日直・鬼界
『グレート・エスケープ』のチケット取り扱いをお願いしてる、
プロ・フィールという会社の
男前で身長が高く優しくて度胸があってワイルドだけどジェントルで、
星野真里も綾瀬はるかも一目ぼれするに違いない偉大な社長に
あいさつに行った。

え?「言いすぎじゃないの?」って?
ううん、ぜんっぜんっ、言いすぎじゃないですよっ!!
「その社長がこの日誌読んでっから、ヨイショしてんじゃないの?」ですって?
ま、まさか!
そういう発想をしてしまう人は、心の曲がった人です。
私は人生において、ヨイショとかウソを言ったことはありません。
心の澄み切った、生まれたてのゴマアザラシのような男ですから。

書こうとしているのは、あいさつに行ったことではなく、
その前のことなのです。

手土産を買うためにデパ地下に行った。
人だかりのしている洋菓子屋で、‘桜むうす’を買うことにした。
応対してくれたのは
星野真里にちょっと似た子で、
かっわいい笑顔で
「持ち歩かれるのは何分くらいですか?」と
かっわいい声で聞いてきた。
「30分くらい」と答える僕の声も自然とはずむ。
「少々、お待ちください」と
かっわいい声で言うと、ボックスにむうすを詰め出した。
と、そのとき、
ひとりのオバハンが走ってきて、真里ちゃんを怒鳴りつけた。
「ちょっとちょっと、ケーキの数が違うわよ」
どうやら、真里ちゃんが箱詰めしたらしい。
「大変申し訳ありません」と
かっわいい声で詫びながら、後ろにいた女の子に僕のむうすを手渡し、事情を説明した。
箱を受け取った子が振り返ると
綾瀬はるかに似ていた。
マジ?
なぜ、デパ地下の洋菓子屋がこんなに高レベルなわけ?
時給8000円の洋菓子屋?
不可解だ!
と思いながらも、
これまた、かっわいい声で「持ち歩かれるのは何分くらいですか?」と聞かれると、
「30分くらい」とはずんだ声で答えてしまう。
あれ?さっきも答えたぞ、これ。
でも、いっか。
はるかちゃんが箱つめしてると、
オバハンの応対を終えた真里ちゃんが戻ってきて、
はるかちゃんと代わった。
おぉ、責任感の強い子なんだ!
と感心してたら
「持ち歩かれるのは何分くらいですか?」と
かっわいい声で聞いてきた。
さっきも聞かれたよ、この質問・・・・。
でも、いっか、かっわいいから。
「30分くらい」と答えたところで、
隣りにいたはるかちゃんが真理ちゃんに何か尋ねた。
かっわいいマジ顔で何か答えると、
真理ちゃんは、むうす詰めを再開し、
ようやく、僕のむうすはすべて箱に納まった。
すると、真里ちゃんがかっわいい声で聞いてきた。
「持ち歩かれるのは何分くらいですか?」
顔はかわいいけど、脳はハトなみだな。

脳はハトだけど、かっわいいから、ま、いっか。


4月6日(水よう日) 日直・鬼界
ぼくんちの裏に、
南仏風のアーチの横に、ドイツ風のヴィーナス像を置いた、イタリア風の造りの
アパート、いや
コーポ、いや
フラット、いや
なんて言うか・・・・・・
とにかく、若い女性を狙った、おシャレな、
でも、統一感のまったくない賃貸物件がある。
今日、その2階の窓を見上げると、空き部屋になっていた。
2,3日前まではピンクのカーテンがかかっていたのに。
春ですからね。
引越しシーズンですからね。
でも、
この前、この部屋が空き部屋になったのは、
確か、真冬だった、しかも、今年だ。
その前、その部屋が空き部屋になったのは
去年の残暑の頃だったはず。
ん?
みんな半年以内に引越してんじゃん。
なんで?
やっぱ、出んのかな?
夜中にギギギギとヘンな音がするとか、
ふと目を覚ますとお腹の上にザンバラ髪の女がいるとか?
それとも、
隣りの部屋の住人がすっごくうるさいのかな?
あるいは、
隣りの住人がすっごくクサいのかな?
ヤだなぁ、見た目はオシャレなのに、中に入ったら鼻が腐りそうなアパートなんて。
でも、
すぐに次の住人が引っ越してくるに違いない。
そして、すぐに引っ越していくに違いない。


4月5日(火よう日) 日直・鬼界
地下鉄南北線に親子づれが乗って来た。

「お父ちゃん、この地下鉄、ごっつ深いとこにあんねんな」
「ほんま、エスカレーター、長かったもんなぁ」

関西弁の親子だ。
東京が初めてなのか、地下鉄が初めてなのか、
子供ははしゃぎ、
父親もウキウキしてるようだ。
親子二人、楽しい旅なのだろう。

「ほら、見てみ、ホームの板が閉まるぞ」

南北線はホームにも扉があり、
電車から見ると、二重にドアが閉まるのだ。

「ホンマや、閉まった閉まった!
あんなん見たん、はじめてや。
ヘンな電車やなぁ、なんであんなもん、あんのかな?
東京の人はおかしいんちゃうか?」

子供のテンションは上がり、いやがうえにも楽しそうだ。
が、父親の返答がない。
見ると、
父親は深刻な顔で一点を見つめていた。
視線の先は

クレジット・サラ金でお苦しみの方
債務整理いたします。
費用分割・秘密厳守


という弁護士事務所の広告だった。

見た目ほど楽しい旅じゃないのかもしれない・・・・


4月4日は、オカマの日!
 って、子供の頃よく言った鬼界が今日の日直

近所の工事現場に簡易式トイレが設置されている。
よく見ることだ。
が、トイレのドアにでかでかと“水洗式”と書かれているのだ。
へぇぇーっ。
驚きました。今はそういう風になってんだ。
と感心したが、
配水管が道路わきの下水に突っ込まれてるじゃありませんか。
マンホールとかじゃないですよ。
昔はただの溝だったけど、今はコンクリートのフタでふさいで隠しました
という、住宅街のふつーの道のふつー下水ですよ。
それっていいの?
コンクリートのふたをはがすと、アレやらコレやらが流れてるの?
流れて行ってりゃ、まだいいですよ。
あんな溝の水量で、肉体労働のオッサンが排出するナニがすんなり流れます?
こんもりしてんですよ。
ドッサリしてんですよ。
あー、いやだ、おー、いやだ、うー、想像したくない。


4月3日(日よう日) 日直・橋本
 「にっぽん歌謡全史」といえば。
2ヶ月ほど前から、
事務所のホワイトボードの下の隅っこに、
    山田パンダ 洛陽
と書いてあるのが、どーも気になる。
これって、
やっぱり、アレかしら、
鬼界さんが、打ち上げのカラオケで唄うつもりの歌なのかしら。
小林旭の全ヒット曲を全レパートリーとする鬼界さんだが、
聴かされるほうは元より、
唄う鬼界さん自身も、さすがに飽きたのか、
前回の打ち上げの時、
「新しい歌にもチャレンジだ。」と、
『傷だらけのローラ』(by西城秀樹)を唄っていた。
どこが新しい歌なのか?
「脳よ、トロケよ。耳よ、クサレよ。」と言わんばかりのド腐れ歌で、
例によって私たちを悪酔いさせておきながら、
本人、大満足。
で、
その、前回の公演前、
稽古に入る直前あたりから、
事務所のホワイトボードの片隅には、
     西城秀樹 ローラ
というメモが書かれてあったのだ。
今回は、山田パンダか・・・。
一体、どこから引っ張り出してくるのか。
打ち上げに唄う曲を考える前に、
しなきゃいけないことが山積みなのでは?
うーむ、
『洛陽』ときたか。
私は、まずは『人形の家』(by弘田三枝子)だな。
古郡さんは、『Zokkon 命』(byシブがき隊)かね、相変わらず。
で、下山さんは、『大都会』(byクリスタルキング)?また?
・・・「にっぽん歌謡全史」を地で行く私たち。


4月2日(土よう日) 日直・鬼界
休憩時間に雑談していた。
がんこオヤジタイプの俳優さんが
「最近、地震多いじゃない?
だから、ほとんど毎晩、大地震に襲われる夢を見てたんだけど、
あの記事を読んでから、
毎晩、大地震に襲われる夢を見るんだ」
と言った。

2,3日前の夕刊フジだかゲンダイだかに
“1週間以内に関東大地震が起こる!”
という予知記事が載っていたのだそうだ。

「ええっ!毎晩って、毎日見るんですかぁ?」
と若い女の子が驚くと、
がんこオヤジさんは、
「そう、毎日。100%必ず毎日、見て、汗グッショリになるんだよ・・・」
とナイーブに答えていた。
「見かけによらず、小心者なんですねぇ」
と一人の青年が発言し、
その場は笑いに包まれた。

休憩時間のちょっとしたエピソードをご披露してみま
ん?
ちょっと待って。
ってことは、
がんこオヤジさんは大地震が起こるまでずーーっと地震の夢を見るってこと?
毎日毎日、汗グッショリ?
うっわ、ツラっ!
大地震が起こったほうが楽じゃん。
てゆうか、早く地震が起こんないと、死ぬね、このがんこオヤジさんは。


4月1日(金よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき、と申しますか、回答だな)
なぜ、もみあげ+αをきれいに剃ったか?
答えは簡単。
カッコよくするために。
「大学進学の春、ふとイメチェンを思い立ち、
それまでの坊ちゃん刈りから、パンチパーマにした」のと同じ理由だ。
カッコよくするために。
なぜ、テクノ?
スパッとしてていいじゃん。
てゆうか、今流行りのもみあげとかちょろヒゲってすごくカッコ悪いじゃん?

テクノ=カッコいい
オレ=テクノ
すなわち、
オレ=カッコいい!

うん、明快な論証だ。


3月31日(木よう日) 日直・橋本
 昨晩、
たまたまチャンネルを合わせてしまった、
TBS『昭和〜平成 にっぽん歌謡全史』という番組中の、
「レコード大賞 名場面集」。
ちょうど、
マッチが、受賞曲「ギンギラギンにさりげなく」を泣きながら唄ってる、当時のシーン。
もう20年余りも前の映像ということになるのだろうか?
とにかく、
その映像を見て、
私は、衝撃の事実を知った。
 先日の事務作業の日。
隣りに座った鬼界さんの横顔が、どうもオカシイ。
なにかオカシイ。
作業をしながら、チョイチョイ盗み見ていたら、
やっと、その原因が判った。
散髪したてらしい、その髪、
もみあげが、まったく無い。
もみあげどころか、
「耳のてっぺんと同ライン」という、かなりハイな部分から下が、
すっぱり剃り落とされている。
さり気なく、反対側を見に行くと、
やはり、
同様に、もみあげ+αが、カンペキに消失している。
床屋のミスか?
人並みハズれた鬼界さんの頭のデカさで、
床屋の、普通サイズの頭に馴染んだ感覚に、狂いが生じてしまったのか?
可哀想に。
恨むべくは、そのデカイ頭だ。
 だが、
私の、その憶測はマチガイだった。
昨晩の「名場面集」で、
「ギンギラギンにさりげなく」を熱唱する、当時のマッチの横顔がアップになった時、
私は、あっ!となった。
もみあげ+αが、きれいに剃られている。
そうか、そうだったのか。
鬼界さんは、
’80年代の流行の髪型にしたつもりだったのだ。
テクノだったのだ。
決して、いとうせいこうの真似をしたわけではなかったのだ。
だが、
なぜ、今、テクノ?
鬼界さんには、
「大学進学の春、ふとイメチェンを思い立ち、
それまでの坊ちゃん刈りから、パンチパーマにした」という経歴がある。
春になると、
イメチェンの虫が騒ぐのだろうか?
春になると猫が発情するように?


3月30日(水よう日) 日直・橋本
 球団名の話。
私の応援する「ダイエー」が、「ソフトバンク」に変わった。
知人M子の勤め先なので、
聞き覚えのある会社名ではあるのだが、
「やった!ソフトバンク、4連勝!」とスムーズに言えるようになるには、
まだ日数がかかりそうだ。
ついつい「ダイエーが、」となってしまう。
そんな、ここ最近、
ふと考えた。
「ところで、オリックスって、何の会社?」と。
今さらだけど。
球団を経営するくらいだから、
デカイ会社ではあるんでしょ?
が、
私の世間知らずもあってか、
球団名以外で「オリックス」を耳にしたことがないので、
いまだに何の会社か知らないでいる。
「阪急ブレーブス」から「オリックス・ブレーブス(現ブルーウェーブ)」に変わった当時、
「オリックス?
クリネックスに似てるな。」と思い、
そこから、
「クリネックス→ティッシュ→生理用ナプキン→ユニ・チャーム」という連想で、
なんとな〜く、
「オリックス」をユニ・チャームな会社に感じていた。
その、チャームな企業のイメージのまま、うやむやにしておいた。
「まさかな、
ナプキン作ってる会社じゃないよな。」とは思いつつ。
「オリックス」は、一体、何の会社?
 そして、
こちらは球場名。
「西武ドーム」が「インボイスSEIBUドーム」に。
インボイスって、なんです?


3月28日(月よう日) 日直・鬼界
あぁ神よ、罪深い私をお許しください。
昨日および一昨日の日誌に書かれた暴力事件のことです。
私はくわえタバコのオッサンにカチンときてしまいました。
まず、タバコの煙が私の鼻を直撃し、ツーンときたのです。
その時点でカチン度は30でした。
ケムいなぁと思った瞬間きづいたのです、
鼻を直撃してるということは、
マスクをタバコの煙が大量に通過してるじゃないか!と。
私を恐怖の花粉から守ってくれている大事な大事なパンティーマスクさんは
どんなにケムがっているだろう、
かわいそすぎる!!
と胸を痛めた瞬間、カチン度はイッキに120に達し、針が振り切れていたのです。
あぁ、なんと短気な私でしょう。
神よ、お許しを。
そして、オッサンの蹴りをレジカゴで受けたことを
私は今、猛烈に反省しております。
オッサンは私に都合6回蹴りを入れてまいりました。
一発目から私はカゴの角をオッサンのスネにジャストヒットさせました。
ゴチン!
生々しい感触が私の手に!
小学校のとき、掃除の時間にホウキで友達のスネを叩きまわった、
あの懐かしくも甘い感触。
禁断の果実の味が私を興奮させました。
ガツン!
ゴツ!
ガギ!
グガ!
逐一、微妙に角度を変えながら、オッサンのスネにレジカゴを的確に叩き込みました。
カゴがステンレスであったなら、スネは砕けていただろうに!
物足りないような満ち足りた幸福感に包まれていました。
が、しかし、
6発目の蹴りに対して私は
骨をはずしてしまったのです。
グニュッ!
オッサンのたるんだスネの肉にカゴはむなしく食い込んでいました。
そして、結果的にそれが最後の蹴りとなったのです。
あぁ、神よ、なぜ私は最後の最後で失敗を犯したのでしょう、
悔やんでも悔やみきれません。
思いっきり骨にガツンとやってやりたかったのに。
猛烈に反省しております。
主よ、
ここに私は昨日の事件を心から懺悔するのでございます。


3月27日(日よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 「このやろーー!!」
そう言いザマ、
オッサンは、鬼界さんに、蹴りを入れてきた。
・・・あら?殴るんじゃねーの?
じゃ、そのワナワナ震わせた、胸の前の握りこぶしは、なんなんだ。
まさに、
意表をつく攻撃。
が、哀しいかな、
上げてみて初めて判明したのだが、
オッサンの脚は、異常に短い。
怒りのキックは、
わずかに、鬼界さんのムコウズネをかすり、空を斬った。
ギャラリー、失笑。
そう、
この時には、ドラッグストアの店頭には、人だかりが。
オッサンと鬼界さんを取り囲むような形で、
野次馬が、成り行きを見守っていたのだ。
オッサンは、
「蹴りが命中しなかったのは、自分の脚の長さが足りなかったから」
とは気づかず、
再度、トライ。
「このやろーーー!!」
だが、
たとえ届かないにしても、
そこで、黙って蹴られているような鬼界さんではない。
オッサンが蹴り上げると同時に、
手に提げていたレジカゴを、
ちょうどオッサンのスネがくる辺りに、サッと差し出した。
思いもよらない反撃だ。
ギャラリーもびっくり。
カゴの底の硬いワクの部分で、
ムコウズネをしたたか打ったオッサンが、
思わず、叫んだ。
「いてぇ!」
が、オッサン、大きく顔をゆがめながらも、
攻撃の手をゆるめる気配はない。
次の瞬間、
「このやろ!このやろ!」
と、連続蹴りをかましてきた。
一方、
その連続蹴り攻撃に対し、
鬼界さんも、連続レジカゴ防ぎょ態勢。
短い脚で「エィ!エィ!」蹴ってるオッサンと、
それをいちいちカゴで受けてる鬼界さん。
そのカゴは、サンドバッグなのか?
引っ込みのつかなくなったオッサンは、
からくり人形のように、
鬼界さんが差し出すカゴを蹴り続けている。
そこへ、ドラッグストアの店長、登場。
アンパンマン、そっくり。
2人の間に割って入り、
「まぁ、まぁ、ケンカはやめましょうよ、ね。」
明らかに救われたオッサン、
ピタッとケリ運動を止め、
クルッと背を向け、
「ふざけんじゃねーよ、このやろ、ばかやろ、ふざけやがって」
いつまでも、捨てゼリフを吐き続けながら、
人垣を分け、逃げるように去って行った、連続カゴ蹴りで痛めた脚をかばいつつ。
あとに残った鬼界さん、
足元のパンティーマスクを拾い、
ホコリを払い、ポケットに。
そして、何事も無かったような顔をして、
お気に入りのシャンプー探しに戻ったのだった。

正義感なのか、
はたまた、
大好きな「ドラッグストア・タイム」を、パーフェクトに楽しみたいが為なのか。
正義の男なのか、
こだわりの男なのか。
居酒屋で、
ファジーネーブルを嬉しそうにチビチビ飲む鬼界さんの姿を目にしながら、
しばし考える私たちなのであった。


3月26日(土よう日) 日直・橋本
 事務作業を終え、
「飲みに行こう。」となり、
駅前へと向う、その途中。
大きなドラッグストアで、大売り出しを知らせる声。
過去の日誌からも察せられるが、
鬼界さんは、
大の‘ドラッグストア好き’らしい。
私たちに、
「ちょっと待っててね。」と言い置くと、
いそいそと、レジカゴを取りに行き、
まるで、お母さんが八百屋で野菜を物色するような体裁で、
店頭の安売り品を一つ一つ手に取っては、
ためつすがめつしている。
鼻歌なんぞ唄ってるところを見ると、
よっぽど楽しいんだろう。
と、そこへ、
すすけたような色のジャンバーを着た、60年配のオッサンが、
ズボンのポケットに両手を突っ込み、
くわえタバコで、やって来た。
オッサンは、
「どらどら?」といった感じで、
店先に所せましと並べられた安売り品らを、
順々にノゾキ込んでいる。
くわえタバコのままで。
灰が、商品の上に、落ちていく。
そんなオッサンに、
隣りに来られて、やっと気づいた鬼界さん、
手に取って、裏の説明書きを熟読していた「ヘア・コンディショナー フローラルブーケの香り」を、
静かに、自分のカゴに入れたかと思うと、
いきなり、
オッサンの肩をつかみ、
グイと自分のほうに振り向かせ、
こう言った。
「タバコ、消せよ。」
突然のことに唖然となったオッサンだが、
例の花粉用パンティーマスクを装着した鬼界さんを、
一瞬にして甘く見てとったのか、
「なんだと?!もういっぺん言ってみろ!」と、
ドスの利いた声で言い返し、
くわえていたタバコを地面に叩きつけた。
その、オッサンの行為で、
イッキに火をつけられた鬼界さん。
同様に、
パンティーマスクを顔からハギ取り、
地面に叩きつけ、
「タバコを消せって言ってんだよ!」と、
わざわざオッサンの耳元に顔を寄せ、怒鳴った。
オッサン、激怒。
胸の前で、
両の握りこぶしをわなわなと震わせ、
「このやろーー!!」
                (つづく)


3月25日(金よう日) 日直・鬼界
戦前に建てられたような古い木造家屋の二階の窓に
人が立っていた。
遠目に見ると、白いスリップを着たきゃしゃな若い女性が
陽の光に輝く長い髪をブラッシングしているらしい。
僕はその家へ超ダッシュした。
ただし、足音はたてないように。
相手がこちらの存在に気づけば、部屋へ引っ込んでしまうかもしれない。
そんな最悪の事態は避けねばならぬ。
目標まであと10メートルという地点で
僕の足は止まった。
なんと老婆だったのだ。
白いスリップに見えた服は、
もともとはおそらくピンクだったネグリジェの洗いに洗ったなれの果ての姿で、
きゃしゃに見えたのは、ただやせ細っているだけだった。
陽の光に反射するバサバサの白髪を古ぼけたクシですいているのだ。
内心の落胆を押し隠し、
何事もなかったようにその家の前を通り過ぎようとしたとき、
突然、門内から犬が吠えかかってきた。
と思ったら、
しゃがみこんだ老人が怒鳴っているのだ。
あろー」(「なんだばかやろう」)と言っているのが
わぉわぉん」と聞こえるのだ。
しかも、しゃがんでいるから音源の方向が犬と同じだし、
声の太さは大型犬そっくりなのだ。

キチガイ屋敷だ・・・・

僕は歩を速め、その場を立ち去った。


3月24日(木よう日) 日直・鬼界
商店街にあるスーパーの前に花屋ができた。
ちゃんとした店舗ではなく、屋台風の花屋だ。
若い女の子が3人働いている。
顔の可愛さを10点満点で言うと、
8.72と、4.88と、−4.88だ。
花屋の向かいに八百屋がある。
ここに若い男が働いている。
今風にヒゲなぞはやし、パンツ丸見えにズボンをずり下げているが
3.14という感じ。
この円周率君が八百屋の仕事をほったらかして
花屋にちょくちょく入り浸っているのだ。
水のバケツを持ってやったり、
カッターナイフに詰まった樹皮なんかをほじくってやったりしながら
4.88ちゃんとザックに仲良くしているが、
ともすれば視線は8.72ちゃんに流れている。
そして、−4.88ちゃんをば極力避けている。

どうだろうか、こんな男。
下心見え見えというか、露骨というか、サイテーだと思う
けど、
ものすごーく理解できたりはする。
あぁ、男の哀しい性だ。

ちなみに、女性陣は円周率君をぜんぜん相手にしてません。
かなり迷惑そうな感じ。
なのに頑張っている円周率君をを見るにつけ、
男の哀しい性を痛感する。


3月23日(水よう日) 日直・鬼界
地下鉄にカップルが乗っていた。
二人ともバク睡していて、頭がグラングラン揺れている。
ぶつかりそうでぶつからない。
ぶつかれぶつかれ、と念じていたら、
四谷三丁目で男が目を覚ました。
隣りでグラングランと頭を揺すっている女を見て
「だらしなく寝やがって」って感じで
イヤそ〜にチッと舌打ちをした。
まもなく、男は再び深い眠りに落ち、
頭をグラングラン揺すり始めた。
すると、国会議事堂前で、今度は女が目を覚ました。
隣りでグラングランしている男を見て
「なに、この男、ダサっ」って感じで
イヤそ〜にフンっと鼻を鳴らした。
こちらもまもなく、グラングラン運動に戻っていった。
そして、
電車が東京に到着する直前に、男が眼を覚まし
「起きろよ、ミキ」と優しく声をかけると、
ミキは「もお着いたのぉタクちゃぁんねむうい」と甘えていた。

なんじゃこいつら。
ビデオに録って、互いの仕打ちを見せてやりたいぜ。
でも、
似たもの同士、似合いのカップルなのかもしれない。。。


3月22日(火よう日) 日直・橋本
 右眼まぶたが、
ポッテリと赤く腫れて、なんだか痛い。
なに、これ、花粉症?
そして、
ボサ〜ッとご飯食べてら、ホッペの裏側を噛み、
噛んだ箇所が口内炎に。
さらに、口角炎も。
クチビルの端が、肛門の形態を成してます。
ふふふ、最悪なツラだぜ。
史上最強の防花粉マスク『ドクターマスク』を、
「パンティーそっくりのマスクなんざ、
こんりんざい、しません。
そんな、顔面生殖器のようなザマをさらしてまで、
花粉を防ぐつもりはございません。」と書いた私ですが、
クチビルの端が、おしりの穴に似た状態になってしまったのは、
なにか因果関係でも?
くそ。
いまいましいぜ。
免疫力、急降下中。


3月20日(日よう日) 日直・橋本
 昨日、
俳優をやっている友人・E子と会い、
こんな話を聞いた。
E子が先日やった映像の仕事。
台本のト書きに「スリップ姿でベッドに横たわる」と有った。
といっても、
それは別にベッド・シーンというわけではなく、
「毛布をかけて、一人、横たわっている」というもの。
スリップの下には、
衣装さんが用意してくれた肌色のチューブトップ型の‘胸隠し’も付け、
掛けた毛布で隠れる下半身は、
「どうせ見えないし、寒いから。」と、
ジャージズボンをはかせてくれた。
それは良かったのだが、
E子には、
「激しいあえぎ声」のアフレコが待っていた。
なんでも、
E子演じる女性Aが、
「浮気(不倫だったかな?)の後ろめたさから、
自分のあえぎ声の幻聴に悩まされる・・・」とかなんとか。
で、
「E子のあえぎ声」、もとい、E子演じる「女性Aのあえぎ声」が必要となったわけ。
E子は、
録音室のマイクの前に座り、
ひとり、延々と、あえぎ声を出し続けたらしい。
最初、遠慮がちだったE子、
「もっと激しく。思いっきり、どうぞ。」と言われ、
「あ、じゃ・・・。」と、半分ヤケ気味で。
「こんなアホ声出すヤツ、居るのかよ。
真夜中の動物園から、こんな声がちょくちょく聞こえるらしい。」とか思いつつ・・・。
あまりに激しくあえいだので、
酸欠状態に陥り、一時、目の前が真っ暗になったそうだ。
あえぎ声を出す俳優が酸欠になるのは、よく有ることらしい。
E子は言う。
「やってるほうも、録ってるほうも、
こんなヤツ居ねーよと思っちゃいるのよ。」
イメージってやつですかね。
これぞ、
「想像力のなせるワザ」。


3月19日(土よう日) 日直・鬼界

特価!! クリネックス 198円!!本日限り!!!

という手書きのポスターに誘われ
クソばばあや陰険オバハンとケンカなみの争奪戦を繰り広げ
クリネックスを買った。
もちろん5連パックだ。これはマジ安い。
超ラッキーっ!
得した!
もうけた!
オレは世界一の買い物上手!
などと思いながら、
箱をひっくり返してみると、
320枚(160組) と書いてある。

あはん?
ティッシュボックスって、どれも200組じゃないの?
160組なんてのがあんの?
160組で198円だったら、争奪戦するほど安くないぞ・・・。

僕は再び商店街に出かけ
ドラッグストアめぐりをした。

【その結果】
花粉症用の『鼻セレブ』などワンランク上の商品を除く、
一般的なティッシュボックスには
160組・170組・180組・200組の4種類を発見。

知ってました?
特価!!なんて言葉に飛びつくと損しちゃう、ということですよ。


3月17日(木よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
で、佐川ゆうメールとはどういうものだったのか?

きのう登場したドライバーに電話すると、
DMを集荷に来てくれます。
そして、佐川急便が鬼界浩巳事務所に代わって差出人になり郵便局へ持って行きます。
郵便屋さんがそのDMを配達するというシステム。
つまり、
集荷だけ佐川がやって、
あとの配達は郵便局にやらせるのです。
しかも、
普通に郵便で出したら80円かかるところが
なんと73円!

これでいいの?

これじゃ、郵便局は下請けじゃん。
郵政省じゃなくなったとはいえ、公社でしょ。
おおやけのかいしゃが、ふんどしした飛脚にこき使われてるわけでしょ。
だって、
郵便局が自分でDMを集荷に来るサービスをすれば
料金は80円とれるのに、
佐川にピンはねされてるのを指をくわえて見てるわけでしょ。
てゆうか、
ヘタしたら、佐川に感謝してるかもしれない。
扱う仕事が増えた!って。

郵便局、しっかりしろよ!
と言いたいとこですが、
安くなるので、今回の公園案内は佐川ゆうメールを利用しようかと思っています。


3月16日(水よう日) 日直・鬼界
‘佐川ゆうメール’がDMに良いかも・・・
という話を耳にしたので、
佐川急便の営業所に電話した。

「あの、佐川ゆうメールのことでちょっとお聞きしたいんですが」
「それでは、担当のドライバーからご説明させますのでお電話番号を頂戴できますか」

営業所の人は説明できなくて、
配達で忙しいドライバーが説明するの?
なぜ?
代金とか配達に要する日数とか、ごく基本的なことなのに
営業所の人にはわかんないのか?

と不思議に思いつつ、電話番号を告げると、

「オニカイ様ですね」と言われた。

ガクゼンとした。
オニカイと間違えられたことではない。
僕はこれまでの人生で佐川急便を利用したことがないのに
名前も住所も知られているのだ。
もちろん、佐川急便で荷物を受け取ったことはある。
そんな受取人の情報までも
佐川急便はデータとして蓄積してるということだ。

これってコワくない?
勝手にデータに入れないで!って感じよ。


3月15日(火よう日) 日直・橋本
 5月公演の出演者の1人、下山さんは、
かなりのスポーツマンだ。
早稲田大学に入るまでバレーボールをやっていただけあって、
そのジャンプ力は彼の自慢でもあるらしく、
以前から、
稽古場における、下山さんの、
「オレ、天井に手がつくの。やってみせるから100円ちょーだい。」は有名だ。
一昨日、
スケジュール確認のため下山さんに会った時も、
「今、ジムに行ってきたところだ。」と言っていた。
ヒマさえあればジム通いしてるらしい。
まるで郷ひろみのようだ。
 昔、下山さんが、
スポーツバカの役を演ることになった時のこと。
どちらかというと色の白い下山さんは、
「スポーツマンは日焼けしてなくちゃ。」と、
始発で湘南海岸まで行き、
日光浴をし、
午後1時からの稽古に来る・・ということを、
毎日、1週間ほど続けた。
が、まったく焼けない。
そりゃそうだ。
稽古開始時間に間に合うために、
太陽が昇る前に帰って来ちゃってんだから。
やっと、それに気づいた下山さんは、
「日焼サロン」に通いだした。
連日、
稽古場で、ブリーフのスソをめくり、
おケツの白さと比較しては、
焼け具合を、皆に自慢していた。
褐色の引き締まった体。
ピタとハキこなした競泳用ビキニパンツ。
舞台上の、オノレの見事な裸体を想像しては、
いそいそとサロンに通っていた下山さん。
すっかり忘れていたのだろう、
自分の役が、
「草野球に熱中する人」だってことを。
「衣装は、
ハイネックの長袖に、長ズボン」と知らされた時、
死ぬほどガックリしていた。
役ではなく、
地が、もう、
ホントの「スポーツバカ」って感じ?


3月13日(日よう日) 日直・橋本
 鬼界さんの掃除機が壊れた話を、笑ってはいられなくなった。
私が日々愛用しているヘッドホンが、
突然、壊れた。
まったく突然、ウンともスンとも聞こえなくなったのだ。
わずか3年前に買ったんですよ、
そのヘッドホン。
乱暴な使い方してたわけじゃないよ。
レンタルした映画や、
その他、録画したものなどを観る時は、
ほとんどヘッドホンを使うので、
使用頻度は多いかもしれないが、
その分、
「長生きしてね。」という思いで、
ずいぶん丁寧に扱ってたんだがなぁ。
3年ぽっちでダメになるものなのかしら?
どうなんでしょう?
思うに、
アレがいけないんじゃないかな。
アレとは、
コードの途中に有る、
「MONO/STEREOを換えたり、ボリューム調節する」、あのコントローラー。
ウォークマンにおいては、
手元調節は、無くてはならない機能だが、
家でテレビ観る時に、
ヘッドホン・コードの途中のチッコイ調節器で、
ボリューム調節する人って、居るのかな?
皆さん、テレビのリモコンで調節しているのでは?
じゃ、必要ないのでは?
コードが、
途中でブッタ切られることもなく、
シンプルに繋がっているほうが、
もしや壊れにくいのでは?
という考えに至った私、
「シンプルなのにしよう。」と、ヘッドホンを買いに。
そして、
買ったのが、
「コードレスヘッドホン」だ。
コードの途中の調節器どころか、
コード自体が無いんだもんね、
至ってシンプル。
「コードが届かないよー。」てなことも、
逆に、
「コードが邪魔だよー。」てなこともなくなる。
しかも、
かなりの「高音質&迫力の臨場感」を謳っている。
う〜ん、楽しみだ。
早速、
コードレスヘッドホンをして、
プラズマテレビで映画を観ることに。
・・・・ありゃ?
ザーザーと、ノイズばかりが大きくて、
音声が、まったく聞こえないぞ?
あれこれやってみたが、
大きな雑音が聞こえてくるだけ。
おかしいなぁ・・・と、
説明書を熟読すると、
【ご注意!】の箇所に、こんな文章が。
「ヘッドホンシステムは、赤外線を利用してますので、
プラズマディスプレイ等の赤外線を出している機器の近くでは使えません。」
・・・・・。
プラズマテレビには使えないんだとよ。
なんの為に買ったのさ。
今後、
テレビは、プラズマや液晶の時代だっていうのに、
それらには使用できないヘッドホン作ってどーすんのさ。
まいっちゃったなぁ。
明日、またヘッドホンを買ってこなきゃだ・・・。


3月12日(土よう日) 日直・橋本
 私が「公演の電話先行予約の日が近づくと、悪夢を見る」ことは、
その都度、日誌にも書いてきました。
今回は、早いです。
5月公演の先行予約日は、
まだ1ヶ月近く先の4月10日だというのに、
もう、悪夢を見てしまいました。
チラシ完成が原因だと思います。
こんな夢です。
  
  例によって、
  先行予約の電話応対に臨むべく、
  怠りなく準備をする私。
  ‘聞き返し’を、少しでも減らすために、
  「よ〜く聞こえる ダンボちゃん」という商品名の‘つけ耳’を購入。
  ダンボちゃんを装着し、
  「よし。これで、よく聞こえるぞ。」
  意気揚揚と、電話を待つ。
  午前10時キッカリ。
  1番めのお客さまからの、嬉しいお電話が。
  出る私。
  「有難うございます!
  では、まず、お名前とご住所をお教え下さいませ。」
  と、最初にしては、いつになく好調な滑り出し。 
  お答え下さるお客様。
  「フニャラフニャラです。」
  「は?」
  「フニャラフニャラです。」
  ヤバシ。
  まったく判らない。
  あせる私。
  つけ耳ダンボちゃんのビロビロが邪魔くさく、
  かなぐり捨てて、再度、お伺いするも、まったく聞こえず。
  試しに、
  「青木さんと仰る?」と、テキトーな名でカマをかけてみる。
  が、「フニャラフニャラです。」と、お客様。
  「では、広田さん?」と、
  神に祈るような気持ちで、アテズッポウを言ってみるが、
  相変わらず「フニャラフニャラです。」としか聞こえない。
  ラチがあかないので、
  名前は、さておき、住所を先に・・・と、ご住所を尋ねると、
  「フニャラフニャラフニャラフニャラフニャラフニャラです。」
  何度尋ねても、
  「フニャラフニャラフニャラフニャラフニャラフニャラです。」
  このヤリトリは一生続くのか?!という恐怖に駆られた私は、
  「判りました。
  フニャラフニャラフニャラにお住まいの、
  フニャラフニャラさんですね。
  早速、チケットをお送りいたします。」
  と、電話を切ってしまった。
  やべぇ・・・まったく聞き取れなかったぜ・・・
  と、そこへ、また電話。
  気を取り直し、出る。
  「初日を2枚。」と仰る声は、
  先ほどのかたとは違う、新たなお客様の声だ。
  今度こそはと、私は気を引き締め、
  お名前を尋ねた。
  お客様は、答えた。
  「フニャラフニャラです。」
  ・・・うわーーーーーーん!!

怖かったです、ほんと。
チラシが完成しました。
本番までの忙しい日々の幕開きです。

ところで、お願いがあります。
今回の公演『グレートエスケープ』はスーパー・デラックス・リメイク版です。
初演をご覧下さったお客様、
もしも、いらっしゃいましたら、
メールにて、ご一報頂けますでしょうか?
よろしくお願い致します。


3月11日(金よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
でもね、壊れた掃除機はわずか2年前に買ったんですよ。
ちょっと早すぎない?
たしか、同じヨドバシの掃除機売り場で買ったと思う。
当時もずらっ〜っと掃除機が並んでいて、
多くの掃除機が
‘光リモコン’をウリにしていた。
リモコンったって、テレビのリモコンみたいなもんじゃない。
ホースに‘リモコン’スイッチがついていて、
そこから赤外線で掃除機本体にON/OFF、強/弱の指令を飛ばすのだ。
それって意味ある?
離れたところから操作できるから、リモコンつうのは便利なのでは?
てゆうか、離れたところから操作するから、リモート・コントロール、略してリモコンでしょ。
テレビのリモコンがテレビ本体にくっついてて便利?
チャネル変えるためにわざわざテレビのとこまで行かなきゃなんないんですよ。
四つ足テレビと同じなのでは?
つまり、
それまでの掃除機のように、
ホースについてるスイッチから掃除機本体まで
ホースのじゃばらの中を電線が通っていけばいいのではないでしょうか?
リモコンにする利点は?
そんなことを当時、店員に質問したら、
「リモコンの方が壊れにくいですから、今はこういう機種が多いんですよ」
と答えていたのだ。
でも、たった2年で壊れたやんけぇー!!
うそつきーっ!
しかもだ、
今、掃除機売り場に行っても、
‘光リモコン’の掃除機なんて売ってやしない。
どういうことよ?

新しい掃除機を買って、嬉しいものの、
な〜んかモヤモヤっとしたもんが胸のうちに残るんだよね・・・。


3月10日(木よう日) 日直・鬼界
朝、掃除をしてたら、突然、
ホントに突然、掃除機が壊れた。
まったく突然、止まってしまい、ウンともスンとも言わなくなったのだ。
あわててヨドバシカメラに行きました。
掃除機売り場。
ずらっ〜っと掃除機が並んでいる。
当たり前だ。掃除機売り場にずらっ〜っと冷蔵庫が並んでるはずがない。
てゆうか、それじゃ冷蔵庫売り場だ。
とにかく、掃除機売り場。
驚いたのは、平日の中途半端な時間なのに
掃除機を買う人がけっこう大勢いるのだ。
特に熱心なのが、中年の男性陣。
持ち具合、動かし具合、小回りがきくか、狭い隙間にも入るか、などなど
真剣に試している人が多い。
なぜ?
あの人たちのおうちでは、掃除はお父さんの仕事なのだろうか?
いい歳なのに・・・、ちょっと哀愁。
と、感慨にふけれないのが、掃除機売り場だ。
お父さんたちが実際にスイッチオンにして
ぶぅぅいぃぃぃぃーんと掃除機を使ってみているのだ。
だから、うるさいうるさい。
店員に質問なんかできやしない。

「この掃除機は他の色もありますか?」

「こちらの商品は、ぶぅぅいぃぃぃぃーん、です」

「え?」

「ですから、ぶぅぅいぃぃぃぃーん、ですね」

「聞こえないんですけど」

ぶぅぅいぃぃぃぃーんぶぅぅいぃぃぃぃーん

「え?」

ぶぅぅいぃ、(ピタッ)、でございますっっ

こんな古いコントみたいなことを実際にやってくれた店員さん、
僕はとても楽しかったです。


3月9日(水よう日) 日直・鬼界
爆発的に花粉飛散が始まった昨日、
お台場周辺で仕事をした。
キャスト・スタッフの中にも、花粉症の人は多かったのだが、
なかでもひどかったのは
クライアントの人だった。
仮に名前を岡崎さん(実名)としておこう。

遠くから見ると、岡崎さんの鼻がヘンだ。
鼻の穴が白いのだ。
近くに寄ると、
鼻の穴に詰め物をしている。
銃弾の形をしたコットンのかたまりで、
鼻水ジュルジュル患者用にこんなグッズまであるらしい。
特殊コットンで息苦しくない設計なのだが、
想定された鼻水量の何百万倍ものジュルジュルを垂れ流す岡崎さんは
あっという間に、コットンが水浸しになり、
鼻にようかんを突っ込んだような状態になってしまうのだ。
ヘタすると窒息死だ。
コットンを鼻に詰めては、間もなく「フンっ」という鼻息と共に引き抜く。
まさに、銃弾を装てんしては発射するような動きを3分おきくらいに繰り返すのだ。
気が散ってしゃぁーねえや。

かと思うと、
「同録です。お静かに。本番っ!」
と声がかかるたびに必ず、
「ふぇっっくしょん、ふぇっくしゃん、ぶぇっくしょんん」と
マシンガンのようにくしゃみの連発する。
気が散ってしゃぁーねえや。

かと思うと、
屋内シーンになり、音楽をかぶせるシーンなので、
「音は録りませんので、岡崎さん、くしゃみOKです。では、本番っ!」
と声がかかると、
くしゃみのくの字もしない。消音銃より静かな岡崎さん。
「どうしたんですか?」と聞くと
「いや、さすが室内だね。花粉の量が全然少ないよ」だって。
それはそれで、気が散ってしゃぁーねえや。


3月8日(火よう日) 日直・鬼界
 (おとといのつづき)
一昨日書いたメガネドラッグの言い分ですが、
正確に記すと、
『その花粉用ゴーグルのメーカーとは取引がないので、
当店で扱っている同種のレンズですと、6300円になります』
ということだったのだ。
それなら、次の手として、もちろん、僕は
製造元に直接連絡することにした。
これでバカゴーグルもめでたく復活するはずだ。
が、
プラスチック製のシャレた外箱には
会社名しか書いてない。
連絡先を調べるのが面倒なので、
ゴーグルを買ったロフトに電話した。

「そちらで買った花粉用ゴーグルのレンズを取り寄せてほしいんですが、
どれくらいの時間と費用がかかるのかを調べて
折り返し電話をもらえますか?」

非常に簡潔に用件を述べ、さっさと電話を切った。
バカゴーグルにこれ以上かかずらうのはゴメンだ。

数十分後、
新宿ロフト健康グッズセクションのチーフからじきじきに電話がかかってきた。
・・・・なんでわざわざチーフから?

「お電話いただきました件で
メーカーに問い合わせましたところ、
メーカーではレンズだけの販売は行なっていないとのことでございました」

「は?どういうこと?」

「つまり、レンズのお取り寄せはできかねるということでございます」

「え?でも、外箱に‘レンズ入替え可能です’って書いてあるんですが」

「はい、確かに記載されておりますのを、私も確かに確認致しましたので
その旨メーカー側に伝えましたところ、
『わが社では交換していないが、眼鏡店に持ち込めば、交換できないことはない』
という意味らしいのです」

「へ?それってサギじゃない」

「はあ、私も一個人の立場に立てば、
そういう具合に解釈されても致し方ない部分があると思わないではございません。
今回の件ではお客様のご要望にお応えできず、誠に申し訳ありませんでした。」

こういうことだったんだ、チーフから電話がかかってきたのは。
ロフトもチーフもぜーんぜん悪くない。
てゆうか、とても恐縮しなすって、チーフなんかとても好人物だ。
悪いのは、バカゴーグルの製造メーカーだ。
信じられん。
そんなやり方でよく商売やってるよ、ったくウンコ並みだ。
サイテ−だ、バカだ、ボケナスだ。
火つけて丸焼けにしてやろうか。
メーカー名は書かないで、ここまできたが、
ええい、書いてやる。

その名は、名古屋眼鏡株式会社です。


3月6日(日よう日) 日直・鬼界
 (3月3日のつづき)
つづき、つづき、って、なんのつづきか、わかんなーい!
などという
ご意見ご指導ご鞭撻は無視し、つづきなのでございます。
花粉ゴーグルの話なのです。

皆様ご承知のように、
僕の愛用する、
人間様に対し非常に失礼な花粉ゴーグルは
大きくヒビが入ってしまいました。
が、
さすが5000円もする高価なゴーグルですから、
プラスチック製のシャレた外箱に、ちゃ〜んと書いてあるのです。

●レンズは入れ替え可能です。お近くの眼鏡店にご相談下さい。

さっそく、お近くのメガネドラッグに行きました。

ああいう安売りメガネ屋の店員って、
なんであんなにバカっぽくてチャラチャラした若い男の店員ばっかなんだろ?
ほとんどがそう。
残りの少数は、メガネかけたひ弱そうでイジメられタイプの若い男。
ま、メガネ屋に就職する若者なんて、そんなもんかもしれないが。
機会があれば、
そういう安売りメガネ店をのぞいてみてください。
ホントにそんな店員ばっかですから。

と、いきなり、話がわき道へそれてますが、
とにかく、メガネドラッグへゴーグルを持ち込んだのです。

「このゴーグルのレンズを交換してほしいんだけど」
と、バカっぽ店員に言うと
「は?」
と、アインシュタインの死因を教えてほしいんだけど、
という質問をされたみたいなマヌケ顔をしてやがる。
外箱に書かれた注意書きを見せて説明しても、
アインシュタインは男か女か、
という質問をされたみたいなトボケ顔のままなので、
「店長はいらっしゃいますか?」
と店長を呼んでもらった。
出てきたのは
さっきのバカ店員より、わずかに3歳くらい年上の
やはり別タイプのバカっぽ顔をした若いヤツだった。
大丈夫か・・・?
と思いながら、同じ説明をすると、
さすが店長。
即答した。
「こちらにフィットするレンズですと、1枚2000円プラス消費税ですが、
お持ちになられたゴーグルはUVカット加工がされてますので、
UVカットレンズにいたしますと、
1枚につきプラス1000円プラス消費税となります。
ですから、左右両方の交換ですと、
トータル6300円ですね。
どういたしましょう?」

はああああああああああああああああああああああ??????????????????????
どういたしましょうじゃねえよ!
6300円なら、新しいの買ったほうが安いじゃないかっ!!

くっそ、どこまでも人間様に失礼な、ムカつくゴーグルだ。
最悪のゴーグルだ。
でも待てよ、そもそも、
僕の顔が人並に小さければ、こんなトラブルは起こらなかった・・・?
いや、ダメだ、
そんな弱気になっちゃ、ダメだダメだっ!!!
悪いのはあくまでもゴーグルのほうなのだ。
僕はちーっとも悪くない。
くそっ、どうしてくれよう、このゴーグル。


3月5日(土よう日) 日直・橋本
 過去に、
いま話題の堤さんの恩恵を蒙ったことがある。
 高2の夏休み、
同じクラスの香織に、旅行に誘われた。
行き先は、
‘流れるプール’と‘波のプール’で有名な、
あの大磯ロングビーチ。
「隣接する大磯プリンスホテルの部屋が、
すぐ取れるよ。」と言う。
香織の父親は、堤さんと友達なので、
堤さんに頼めば、
そんなことは、オチャノコらしい。
もう一人、やはり同じクラスの金井という子を誘って、
2泊3日のバカンスへ出かけた。
大磯駅に到着すると、
プリンスホテルからの迎えの車が待っていた。
ロビーでは、支配人が挨拶に来、
その支配人自らが案内してくれた部屋は、
スイート中のスイート、
1番いい部屋だった。
プールサイドでは、
これまた1番お高い場所の‘パラソル&チェア’に案内され、
時間無制限の、使いたい放題。
お高いドリンクも、注文し放題。
ホテルのレストランでのディナーは、
当然、1番いい席でのフルコース。
全てにおいてVIP待遇。
たかが17歳の小娘連中を。
一銭の金も払わず、2泊3日の滞在を終えた。
 ニュースでの、
プリンスホテル関係者の話。
「堤オーナーは、ご自分を‘神様以上の存在’だと思っていたようだ。
全プリンスホテルの、
ジュータンの色、手すりの色・形など、
あらゆるものをご自身で決めていた。」
なるほど。
ジュータンの色や手すりの形を決め、
一方では、
友人の娘たちの部屋をリザーブか。
神様は、いろいろコマゴマやってたのね。


3月4日(金よう日) 日直・鬼界
ひな祭りの昨日、
キオスクで夕刊紙の見出しが踊っていた。

堤逮捕
多英セックス



笑いました。
アナーキーというか、ナンセンスというか、
里谷多英の事件を知らなければ、まったく意味不明。
それにもかかわらず、
堤氏は多英のことが羨ましいんだろうなぁとか、
多英ってキチガイ?でもハッピーなキチガイだ!とか、
いろんなことを考えさせちゃうもんね。
久々のヒットでした。



2月28日のラーメン屋のつづきはどうなってんだ?


3月2日(水よう日) 日直・鬼界
 (きのうのはんろん)
もちろん、私は新宿ロフトにおきまして
花粉用ゴーグルのLサイズも試着いたしました。
すると、どうでしょう。
ゴーグルはズルズルとずり落ち、
まるで大村昆のようになるではありませんか。
どうされました?
お顔が「?」になっておりますが・・・。
ああ、例えがいささか古かったのですね。失敬失敬。
つまり、鼻の突端にまでゴーグルが滑り落ちるわけです。
そこはそれ、なにせ五千円もする高価な品でありますから、
眼鏡のツルの部分が特殊ラバーになっておりまして、
自由自在に調整できます。
私はツルをキュッと曲げ、ずり落ちないようにいたしました。
すると、どうでしょう。
装着した途端に、頭が万力で締め付けられるような痛みです。
孫悟空のかくあれかしと思わんばかり。
どうされました?
またまた、お顔が「?」になっておりますが・・・。
「万力とは何ぞや?」との疑問でござりまするか。
‘百万馬力の力持ち’を縮めて、万力というのでございます。
孫悟空はご存知ですね。
堺正章の別名です。これまた古い。
いやいや、脱線しすぎました。
とにかく、頭がガンガン痛くなるにもかかわらず、
目じりに親指一本以上の間隙ができるのです。
これでは意味なしです。
Lサイズは私には大きすぎるのです。
では、どんな大顔のかたを想定して作っているのでしょう?
そんなヤツいんの?
という疑問はさておいて、
私にはMサイズが最適ということになるわけです。
なのに、なのにです。
あのゴーグルはつけただけでヒビ割れるのです。
失礼この上ないゴーグルです。
非は私にあるのでしょうか。
いえ、そうではありません。
悪いのはゴーグルです。
アメリカならば、陪審員全員が無罪の判決を下し、
ゴーグルに懲役125年の刑を言い渡すでしょう。
日本も5年後ならば、裁判員制度が定着し無罪が確実なのに、
現時点では、このような弁明を行なわなければなりません。
とにかく、
私はちっとも悪うございません。
ここに申し開きをいたすのでございます。


3月1日(火よう日) 日直・橋本
 5日前の定例ミーティングの時、
鬼界さんは、
例の花粉用パンティーマスクに加え、
花粉用ゴーグルを装備して現れた。
あまりのマスクのブザマさに比べ、
ゴーグルは、
至極マトモな印象を受けた覚えがある。
鬼界さんいわく、
そのゴーグルは、
スキャンティーマスク同様、
いや、それ以上に高級なシロモノだそうだ。
「5千円近くした。」と言っていた。
 そして、昨日。
事務所関連のモノの受け渡しのため、
再び、鬼界さんと会った。
5日前よりも相当クタビレた感の有るパンティーマスクの上に装備したゴーグルは、
5日前と同じモノだったが、
どうしたわけか、
両方のレンズに、ヒビが入っている。
外側の上の角から斜め下方向へ、
左右のレンズの、まったく同じ場所にヒビが入っているのだ。
「何かにぶつかったんですか?」
と尋ねると、
「ハエすらもぶつかったことはない。原因不明。」
と言う。
そして、
鬼界さんが、
「高級品のくせに、ヤワだ、ヤワすぎる!」
と、文句タラタラ、ゴーグルをはずしかけた、その時!!
私は、この目で見てしまった。
なんと、
レンズのヒビが、
ピリピリと音を立てて、
さらに距離を伸ばしたのだ。
「どひぇ〜〜!ヒビが〜〜っ!
・・・・あっ!」
と、そこで私はヒラメイタ。
「ちょっと、また、かけてみて下さい!」という私の声に促され、
鬼界さんがゴーグルをかけ直すと、
案の定、
ピリピリと、ヒビは、また距離を伸ばした。
そう。
まさしく、これが、原因が判明した瞬間。
驚くなかれ。
鬼界さんの特大サイズの顔面が、
ゴーグルのフレーム部分に、予想外の負担を与えていたのだ。
フレームの荷重をはるかに超えていたのだ。
5千円弱のゴーグルが、早くもオダブツだ。
高級マスクのゴムヒモを、
極限まで伸ばしきって、単なるヒモにしただけじゃ飽き足らず、
今度は、
高級ゴーグルのレンズに、ヒビを入らせた。
恐るべし。
高級品をガラクタに変える大きなお顔。
で、不思議なのが、
「やっぱ、僕にはMサイズじゃ小さかったかな・・・?」だとよ。
なんでLサイズを買わないんだろう?
不思議だ。


2月28日(月よう日) 日直・鬼界
けっこう近所にあるのに、今まで入ったことのない中華屋がある。
『とん骨ラーメン とん吉』
いかにも、とん専門な店名だが、
窓際に雑誌やマンガがうず高く積まれていて中の様子がわからない。
そのため、今までご遠慮していたのだが、
昨日、ついにトライした。

カランコロンカラン

中華屋に不釣合いな、喫茶店風ドアベルが鳴り響く。
なんだか異様な匂いが鼻をつく。

いらっしゃいませ

大柄なくせにやけに小声のおじさんが一人カウンターの中にいる。
メニューを見ると、
とん骨をはじめ、各種ラーメンが並んでいる。
‘定食は裏にあります’
と書かれているので、メニューをひっくり返すと、
焼きサバ定食
焼きサケ定食
焼きサンマ定食
焼きホッケ定食
焼き赤魚定食
焼きカレイ定食

ずら〜っと魚の定食が並んでいる。
てゆーか魚の定食しか並んでいない。
ふつー、中華屋なら、
回鍋肉定食とかニラレバ定食とか餃子定食があるはずなのに、
一切なし。
魚のみ。しかも、焼き魚のみ。
サバ味噌なんかも一切なし。焼き魚のみ。
こだわりなのだろうか?
店内の異様な匂いは、とん骨と焼き魚が融合した匂いだったのだ。

僕は注文した。
「焼きサバ定食と、とん骨ラーメンをください」

おぉ、このチャレンジャー精神。
サバととん骨。英語にすると、サバァ・アーンド・ピッグボーン!
こんな取り合わせで頼むか、ふつー?
てゆーか、こんな取り合わせで頼める店があるか、ふつー?

とん一丁、サバ一丁

大柄なくせにやけに小声のおじさんが奥にむかってオーダーした。
え?あんたが作んじゃないの?
奥に誰かいたの?
てゆーか、こんな声で奥の誰かに聞こえるの?

そんなシロートの不安をよそに、
奥から現れたのは・・・・  (つづく)


2月27日(日よう日) 日直・鬼界
家の前の道を掃き掃除している女性がいた。
年の頃なら、60そこそこ。
品が良くて健康で、ちょっと若めのお婆さんという感じ。
世間一般、よく見かける光景だ。
ただ、服装が・・・。
紺ブレにグレンチェックのスラックスをはき
首にはスカーフをあしらったうえ
ワインレッドのピーコートを着て、掃き掃除しているのだ。
ホウキの代わりにステッキを持てば英国紳士だ。(パイプでも可)
どういうこと?
英国男装コンテストの当日、
突然、中止の連絡が入り、
「せっかく着たのにぃぃっ!!」と、腹立ちまぎれに衣装のまんま、掃き掃除してるのだろうか?
それとも、あれがお部屋着なの?

そういえば、バブルの頃、洋服の青山で
“スーツ 100円!”というクレイジーなセールをちょくちょくやっていた。
知り合いの貧乏な演劇人が
「ジャージ買うより安いじゃん」と
スーツを部屋着にしてたっけ。

まさか、それと同じ?
ってことはあるまいし・・・・
どういうことなんだろう?


2月26日(土よう日) 日直・橋本
 パンティーそっくりのマスク。
そんな、
顔面生殖器のようなザマをさらしてまで、
花粉を防ぐつもりはございません。
ドクターマスク?
なんだそれ。
大手を振ってパンティーを顔にあてがってみたい野郎が企画開発し、
その意図に大いに賛同した野郎が買う、
変態くん向けマスクだ、それ。
 
 私の場合、
マスクが苦手な理由として、
「マスクをしてると、具合が悪くなってくる」というのが有るのです。
電車内で、
キチガイや酔っ払いに遭遇すると、
からまれるのを避けるべく、
そいつらの、
「病人だからほっといてやるか・・・」という同情心を誘うために、
病人になりすます私の手口は、以前、書いたとおりです。
その小道具として「マスク」は必需品です。
ですから、
実は、
私は、外出時には必ずマスクを持っては、いるのです。
座席を確保でき、喜んだのもつかの間、
隣りに座ってたヤツが、ひとり言を・・・。
「ちっ。キチガイか。」
そんな時には、マスクの出番です。
おもむろにポケットから出し、装着。
あたかも、肺の奥のほうから出ているような悪〜い咳を、
これでもかと、続ける。
たまに、「今、血、吐いた・・?」と思わせるような爆裂咳を、かましてみる。
ハァハァと苦しげな息づかいを、
早めてみたり、遅めてみたり。
はたまた、
「・・・死んだ?!」とビックリもさせてあげるためには、
思い切って、息をするのを止めてもみたり。
ほとんど、危篤状態。
このような呼吸法は、
適度な‘息の、こもり具合’を生むマスクが有ってこそ、なのです。
そして、
この「危篤状態の人の息づかい」と「マスク」との強い関連性は、
私の中で決定的となり、
いつしか、
 「マスクをする」
   ↓
 「呼吸が荒くなる」
   ↓
 「マジで具合が悪くなったような気がしてくる」
   ↓
 「本当に具合が悪くなる」
と、まぁ、こんなふうなことになるようになっちゃったわけです。
花粉も怖いが、
マスクの先導は、より怖い。
これぞ、
まさしく「病は気から」。


2月25日(金よう日) 日直・鬼界
確かに、「僕にはちょっと小さいかな・・・?」とは思ったのだ、あのマスク。

あ、言い忘れましたが、(きのうのつづき)です。
てゆうか、(きのうのはんろん)だな。

しかし、あのマスクは、
開店したばかりの新宿LOFTの花粉コーナーの
ずら〜っと並んでいる花粉マスクの中の一っ番高価なヤツなのだ。
その名も、“Dr.mask ドクターマスク”。
日本語にすると、<マスク医師>だ。スゴイだろ。
1ヶ1200円也。
マスクですぜ、ただのマスクが1200円ですぜ、税抜きだから、結局1260円ですぜ。
その素晴らしさが計り知れよう。
パッケージには様々な宣伝文句が並んでいる。

‘世界初『グラフト技術』フィルター採用!’
‘『グラフト技術』で花粉を99%以上カット!’
‘『グラフト技術』は特許取得済 1893229’
‘厚さ0.4mmの超極薄グラフトフィルターはマスク革命!’

どうです、グラフト技術は特許まで取っているのです。
ただ、グラフト技術に関する説明が一切ないので、
どんな技術かわからないのがタマにキズ。
でも、特許ですぜ、特に許されてるんですぜ。

そんな素晴らしいものなら、少々小さかろうが、絶大なる効果があるに決まっている。
それを、マスクすらしない無防備な橋本に批判されるいわれはない!
あの日、一日で100万個もの花粉を吸い込んだにちがいない橋本に!

そもそも
『色は、
白ではなく水色。』
なんて言われたくない。
パッケージには、‘カラー:アイスブルー’と書いてあるのだ。
みずいろなんて野暮な名前じゃない、アイスブルーだ!
‘パールピンク’もあるのだ、Dr.maskは、2色展開だ。
そして、なにより、
『クッション性の有る布の感じといい、
中心の縫い目といい』という描写は間違っている、読者に誤解を招く。
正しくは
「光沢のある布の感じといい、
中心よりもサイドに目立つレース風の縫い目といい」と書くべきで、
そっくりなのは
『ブラ』はなく、「パンティー」だ。
たたんだ時の、手のひらに納まるクシュクシュ感といい、
どう見ても、パンティーだ。
絶対、パンティーだ。


2月24日(木よう日) 日直・橋本
 春一番が吹き荒れた昨日、
定例ミーティングが開かれた。
会場に現れた鬼界さんは、
まさに「怪しいヤツ」だった。
花粉ゴーグルは、まぁ、ヨシとして、
あの花粉マスクは、なんなんだ。
色は、
白ではなく水色。
形は、
「ワイヤーなしAカップブラジャー」を真っぷたつに切った、その片方みたいな形。
クッション性の有る布の感じといい、
中心の縫い目といい、
ソックリだ。
そして、
異様に、ちっこい。
鬼界さんのデカい顔面にあてがわれたソレは、
笑っちゃうぐらいに小さい。
鼻は、なんとか隠れているが、
下クチビルは、はみ出している。
鼻マスク?それ。
耳にかけたゴムヒモが、
極限まで伸ばされ、もうゴムではなく、ただのヒモと化し、
頬の肉に食い込んでいる。
マスクの、異様に小さい「本体部分」から、
異様にデカい顔の「耳」までの距離は、
異様なほど遠いのだ。
あんなのして、よく、街に出てこられるなぁ。
なんで平気でいられるのだろう。
人生、捨てているのだろうか。
そのマスクして、アウシュビッツのガス室、行けよ。
てっきり手作りなのかと思っていたら、
エライ高級品なのだそうだ。
花粉を99%以上カットできるスグレモノらしい。
あ、そう。
でも、
クチビルはみ出してちゃ、意味ないんじゃないかな。
自分の顔のサイズに合ったマスクした方が、いいんじゃないかな。


2月23日(水よう日) 日直・鬼界
春一番がふいた。
突風に乗って、黄砂が飛来したそうだ。
中国の砂漠の砂が空中に大量に浮遊しているのだ。
目に入ると、角膜が傷つくかもしれないし、
肺に入ると、胸砂病にもなる。
胸砂病とはモンゴル人の4人に5人がかかっている病で
肺胞に砂が蓄積し
ジャンプすると胸でザラザラ、音がするらしい。
もちろん、花粉も爆発的に飛散した。
昨日までは1uあたり70個だった花粉が一気に1000個を超えたそうだ。
僕は花粉ゴーグルと花粉マスクを着用した。
重装備をすればするほど、
有毒ガスが充満した危険地帯を歩いている気になる。
じゃあ、服は?ズボンは?靴は?
すべてが汚染されているはずだ。
玄関先ですべて脱ぎ捨て、焼却処分しなければいけない、という気になる。
髪は?頬は?首は?手は?
家に入る前に洗い流さなくては感染する。
つまり、家の前ですっぽんぽんになりザバザバと水をかぶらなければ安心できないってことだ。
大変だ。
このご時世、ヘンタイとして通報されるかもしれない。
でも、それくらいしないと今年の春は乗り越えられないのだ。
だから、
無防備で歩いている人が信じられない。
あれはアウシュビッツのガス室で深呼吸してるようなものだ。
なんで平気でいられるのだろう。
人生、捨てているのだろうか。
あの潔さ、
ある意味、うらやましい。



日誌を書いてて、ふと気づいたんですけど、
公演情報って、毎回欠かさず読まないと意味が通じないのでは?
いきなり、「出演者が9人!」て書かれても、
はああ?
って感じじゃない?
もちろん、皆様全員が毎回読んでらっしゃるものとして書いてたんだけど
なかには、1人くらい、たまーにしか読まない不届きモノがいたりして?
そういうモノのために、前回までのあらすじをくっつけるか、
とふと思ったんです。
じゃ、そう、すっか。

って、日誌に書くことじゃない?
独り言みたいなもんですよ、これ。
言うじゃないですか、独り言。
僕も今日、「なんでこんなに風、強いねん。しばいたろか。」
と思わず独り言、つぶやいてました。
誰をしばくんでしょうね?


2月22日(火よう日) 日直・鬼界
銀行のATMに並んでいると、
ライブドアの堀江社長に似た男(ただし、体重は半分くらい)が
床を見ながらウロウロキョロキョロしている。
明らかに何かを落としたようだ。
僕もそこらを見回したが、何も落ちてない。
堀江社長は泣きそうな顔になり、
トボトボ出口へ向った。
ちょうどそのとき、出口のそばにいた警備員に女の人が
「これ、落ちてたんですけど」と
一枚の紙を手渡していた。
それを見るやいなや、堀江社長は
「あっ!それっ!」と
泣きそうな顔になって飛びついた。
大事な振込先の口座のメモなのかもしれない。
まるで命が助かったように、
何度も何度も頭を下げお礼を言っていた。

これだけなら、ちょっとした美談で終わるのだが、
問題は
その‘一枚の紙’なんです。
広告でした、その紙。
大事な取引先の口座を広告の裏に書きます?
たぶん、あれは、
奥さんに言いつけられた買い物のメモなんですよ。
メモをなくして、とんちんかんなものを買って帰ったら
奥さんにすごーく怒られるんですよ、きっと。
だから、必死で探し回って、
見つかったときには、文字通り、命が助かったんですよ、きっと。

あぁ、銀行にもドラマがあるなぁ。


2月20日(日よう日) 日直・鬼界
乗り換えのため、新宿駅の階段を急いで下りていた。
僕の右斜め前のオッサンが鼻クソを取り出した。
うげっ!
なんで至近距離でこんなもんを見せられなきゃなんないんだ?
離れようとしてスピードを緩めたら
ドスン!
後ろのオバサンがぶつかってきた。
夕方なので結構、混んでいるのだ。
ちっ!
思う間もなく、オッサンが鼻そうじを終了した。
そうじに使用した指をこねこねしている、
腕を勢いよく振りながら。
そして、それは左手。
オッサンがいるのは僕の右斜め前。
つまり・・・・
うわぇうぇぃっ!!
ななななにすんねん!
そんなもんをブンブン振り回すなよっ!!

あっ!あぶないっ!!
抜群の反射神経で間一髪のところでよけた。
あれがズボンに当たったら・・・・
躊躇無く立ち止まった。
すかさず、オバサンがぶつかってきた。
僕が止まっているので、
オバサンは露骨に迷惑そうな顔をして僕をすり抜け前へ出た。
ふっ、これでこのオバンが地獄行きだ・・・
都会では自分の身は自分で守らなければならないのだ。


2月19日(土よう日) 日直・鬼界
ある重大な発見をした。
これはその一部始終である。

地下鉄に乗っていると、オシッコがしたくなった。
でも、途中下車してトイレに行く時間はない。
僕はガマンした。
が、どんどん尿意は増すばかり。
オシッコ筋に満身の力を込め、なにげに足踏みをしたりして必死に耐えていた。
すると、どこからともなくウンコがやって来た。
ウンコは大腸に殺到し、ウンコがしたくてしたくてたまらなくなった。
ウンコ筋に満身の力を込め、なにげに肛門を引きすぼめたりして必死に耐えた。
その時、気づいた。
オシッコがしたくなくなっている!
その証拠にオシッコ筋は完全脱力状態じゃないか!
前の敵は去った、守るは後ろのみ。
後方に神経を集中させたおかげか、
ウンコは大腸から小腸へと退却し、便意は遠のいた。
すると、入れ替わりに猛烈な尿意に襲われたのだ。
痛烈な波状攻撃!
これが重大な発見です。
つまり、ウンコは小便道をブロックするのだ。
両方同時にしたくなることは人類にとってありえないのだ。

どうです?過去の経験を思い出してみてください。
その通りでしょ?
素晴らしい発見でしょ?
自分の頭をなでたくなった。


2月17日(木よう日) 日直・鬼界
肩が痛い。
昨日、散髪へ行ったからだ。
女性の方はあまりご存知ないだろうが、
散髪屋さんではカットが終わると肩もみサービスがつくのだ。
僕の髪を切ってくれたのは
柴田行彦そっくりのにいちゃんだった。

もしかして、柴田行彦って知らない?
マジ?
僕の高校のときの同級生なんだけど。
知らない?
今、京都大丸の呉服売り場にいるんだけど。
知らない?
そっか・・・

女形みたいな、のっぺりした顔で
まるでオカマ風なんだけど
実はすっごい女好きで、野獣と呼ばれた柴田そっくりのにいちゃんは
顔に似合わず、
ごつい手をしていた。
ジャンボメロンパンみたいな手。
ほくろが多かったから、
チョコチップ入りジャンボメロンパンだ。
そのメロンパンにチクワみたいな指がついている。
ゲテな組み合わせだ、食いたくない。

その手で肩もみされた。
不器用そうな手に似合わず、とても上手。
ソフトでいてハード、
スローでいてクイック。
思わず誉めてしまった。
すると、嬉しそうに、
「資格、取ったんです」とつぶやき、はにかんでいる。
手に似合わずナイーブな人だ。
でも、
なんの資格?
それ以上の説明がないからわかんない。
あんまの資格?
それって目明きでも取れんの?
それとも、「この前、二級建築士の資格を取ったんです」という
新たな話題が始まるのかしら?
それにしてはその後、無言なのはなぜ?
あ、そっか。
「四角、取ったんです」って言ったのか!
でも、どこの四角?なに、四角って?
じゃあ、視覚?視角?それとも、刺客?
わからん、さっぱりわからん
などと思い巡らせ、ふと気づくと
にいちゃんはずっと肩をもみ続けていたのだ。
もみすぎ・・・
いくら誉めたからって、もみすぎ・・・
やっぱ、あんまの資格だったんだ・・・?

というわけで、僕は今日、猛烈なもみ返しに襲われているのです。


2月16日(水よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

以下、社長Jちゃんの返信メールです。

『件名:「寂しい・・・」

「あんたの時代も完全に終わったね。」
家に帰るなり、言われました、かみさんに。

死ぬほどチョコレートが食べたいわけではありません。
その気になれば、ゴディバの株を買い占めて、
オーナーになるくらいのお金だってあります。
(ウソです。ちょっと足りないかも・・・)

唯一の心の支えを失った私は・・・、
吉良邸襲撃を前に、内蔵助さんが下痢した場合の四十七士の様な、
はたまた、オリンピック出場を控えて、監督が不在になった選手の様な?
そんな、寂しさに襲われています。

ワインがいけなかったのですね。
もう一生ワインなんか飲んでやるか!
・・・なこと言って、また飲むんだろうなきっと。』

「あんたの時代も完全に終わったね。」
バレンタインデーに、帰宅した旦那を迎える第一声として、
これほど素晴らしい言葉を、私は他に知りません。
‘毎年必ず送られてきていたチョコが、送られてこなかった’
そんなこととはツユ知らず、
旦那は、ウキウキ帰宅。
そんな旦那に、
余計な言葉は一切はさまず、
いっぺんに‘あらゆる事実’を通告し得る聡明さには脱帽。
それ以前に、まず、
「チョコが来なかった」という、ほんの一事から、
‘あらゆる事実’を悟る洞察力は、素晴らしいの一言だ。
そして、
ゴディバの株を買占められる(かもしれない)ほどの資産力。
だからといって、
「金にモノをいわせた、気にくわぬやり方(フジテレビ会長談)」でのオーナーへの道は、
あくまでも選ばぬ、確固たる独自の理念。
すなわち、イデオロギティック・プレジデント・ポリシー、
平たく言えば、帝王学。
素晴らしい。
心が洗われます。
ただ、
どうかな〜、
「支えを失った寂しさ」を表わす例えが、
いまひとつなのが、
玉にキズといえば玉にキズかな〜。


2月15日(火よう日) 日直・橋本
 毎年バレンタインデーに、
私は、Jちゃんにチョコを贈っていた。
Jちゃんというのは、
2001.2.11〜2.15の日誌に登場した、
連載『私の名は社長』の主人公、「社長」だ。
その社長Jちゃんにチョコを贈るのを、
私は、今年から、やめた。
バージン好きのJちゃんに、
今後、私のバージンを奪われる危険性を感じたからではない。
理由は、
昨年のホワイトデーに、
「お返しに。」と、Jちゃんから送られてきた高級ワインに有る。
だからといって、
「こんなに高いんですよ、これ。」と、
値札をつけたまま送り、
いたいけな演劇人(←私)に恩を売るような、
そんな非道なことをする社長ではない。
「美味しいワインを、さぁさ、召し上がれ!」の一心で、
そんな純粋すぎるほどの純粋さで、
「飲んで!飲んで!飲んで!」と送ってくれたことは、
Jちゃんの人柄からして、まずマチガイない。
頂きましょう。
そして、金持ちだ。
くれるっちゅうんだから、
なんでもかんでも、もらっときゃいいんだ。
遠慮なく頂きましょう。
エビでタイ?
関係ありません。
金持ちには、
エビもタイも、大したチガイではないのだ。
んじゃ、
なぜ、
今年からチョコを贈るのをやめたのか?
実は、
昨年、Jちゃんの高級ワインは、
ホワイトデーの翌日に送られてきた。
私は、大きな衝撃を受けた。
「お金を使わせてしまった」ことにでは、ない。
「神経を遣わせてしまった!」ことが判ったからだ。
「あぁ、Jちゃんに悪いことしちゃった・・・」
そのことに初めて気づかされるような思いだった。
忙しいJちゃんは、
きっと、ふとした時に思い出したのです。
「うげーーーーーっ!!
明日はホワイトデーじゃんかよーー!
買ってね−よ!やっべぇーーー!」
きっと慌てたにチガイないのです。
で、急いで、デパートで、ワインを送る手配をしたのです。
そうなんです。
忙しい人に、ホワイトデーなんぞにまで気を回させることが、
なんとも申し訳ないことに思えてきたのです。
なので、
今年、Jちゃんにはメールを送りました。
「もうチョコはあげません。
昨年のワインのせいです。
気持ちだけ贈ります。
あしからず。」と。
すると、
今日、Jちゃんから返信メールが届いていた。
      (つづく)


2月13日(日よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
よっちゃんバンドなんて、今やほとんどの日本人は知るまい。
ってことは、世界中でほんの数人しか知らないってことだ。
ご説明申し上げましょう。

昔昔、あるところに、超人気者の3人組がいました。
3人の頭文字をとって、‘たのきんトリオ’と呼ばれてました。
その3人とは
田原俊彦・野村義男・金大中。
他の二人はけっこー売れたのですが、
バイク屋の息子の野村くんだけはあまり売れませんでした。
でも、音楽が大好きでした。
ある日、野村くんはひらめきました。
「他の二人がやってないことやろっ。そうだ、バンドやろっ。そしたら売れるかもっ。」
その道のスゴ腕(と思われる人)を集め、勢い込んで、バンドを作りました。
でも、あまり売れませんでした。(おわり)

そんなバンドのデビューLPを買ったのだ。
   ↑
もちろん、そんなもんを買ってるのは僕ひとりだった。
その頃から時代にずれていたのだ。
   ↑
ところで、なんで買ったの?
それが思い出せないんです。
僕の名誉のためにはっきり言いますが、ファンだったわけではありません。
慈善事業?
それとも、当時、二重人格でもうひとりの僕が買った?
わかりません。


さっそく、ターンテーブルにレコードをのせ、針をおろしました。
1曲目はシングルカットされた、
『今夜はロックでキメるぜ』です。
いや、
『今夜はロックでイェーイ』というタイトルだったかな?
『ベイベー、ロックだ、トゥナイト』だったかな?
とにかく、そんな感じのイカしたタイトルです。

ろくとぅなぁぁぁいとろくとぅなぁぁぁいとうぅううぅううう
ろくとぅなぁぁぁいとろくとぅなぁぁぁいと
ろくとぅなぁぁぁいとろくとぅなぁぁぁいとうぅううぅううう

お経か?

そんな曲がだらだら続き、ようやくA面の5曲が終わりました。
すると、
寸劇風セリフが入ってました。

バンドのメンバーたち「A面は終わりだよ。早くB面に行こうぜ」
(走り去る足音SE)
よっちゃん「おーい、待ってくれよー」(走り出すがこける)「イテっ」

これを聞いて、
B面を聞くのをやめました。

2700円も払って買ったのに、
A面だけを1回だけしか聞いてないレコード。
野村よっちゃんは僕には思い出深い人なのです。

こんなことを今、日誌に書いてる僕は
ホントに時代にずれてると思う。


2月12日(土よう日) 日直・鬼界
昨日は、時代にずれていることを実感した一日だった。
紅白の再放送を見た。
   ↑
なんで2月も半ばになって紅白なんぞ見てるんだ?
あんなもん見るもんじゃないし。
百歩譲って、もし万一、見るなら大晦日に見ろよ。
時代にずれてるねぇ。


ぼんやり見てると、
すっごい化粧をした、ぶっさいくな女が歌ってた。
よく見ると、Gacktだった。
   ↑
時代にずれてるというか、こりゃもうオヤジ化だね。
たまりまセブン。
   ↑
つうのがオヤジ化的時代ずれだ。てゆうか、もう、・・・


さらに見てると、
すっごい化粧をした、ぶっさいくな男が歌ってた。
よく見ると、浜崎だった。
   ↑
・・・・・・・・・・・。


すると、驚いたことに
よっちゃんが写った。

「うわっ!よっちゃんだっっ!!」
あまりの懐かしさのあまり思わず叫んでしまった。
   ↑
一緒に見ていた兄に
「今ごろなに言うてんねん?よっちゃんはずっと、AYUのバックやってるぞ」
と痛烈に言われた。
全然、知らなかった・・・なんて時代にずれてるんだろ・・・
   ↑
でもさぁ、なんで、あの兄がそんなことに詳しいわけ??


なぜ、そんなに懐かしいかと申しますと、
僕は
よっちゃんバンドのデビューLPを買ったのだ!

ま、マジっすか・・・?  (つづく)

(正確には、ザ・グッバイというのバンド名なのですが・・・ま、いいか)


2月11日(金よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき) 

 「バスに乗ったら乗ったで、
早速、
あちらこちらで、ヒソヒソ話が始まる。
‘ほら、あの子ら、例の佐々木んとこの・・・’と。
道を歩いていても、
買い物に行っても、その調子。
どこに行っても、皆、ヒソヒソヒソヒソ・・・」などと、
S子の語り続ける、茨城の姉家族の惨状を耳にしながら、
私は、思う。
なに?
そこって、人口50人くらいの村?
或るひとつの「不倫」を、住民全員が知っている。
そして、
それに対する、重大事件に足る扱い。
まるで、
『サザエさん』の町だ。
「カツオが必死に隠したはずのテストの赤点を、
翌日には、なぜか、町民全員が知っている」という、
サザエさんの町と同じだ、そこは!
そんな町が存在するとは。
恐るべし、茨城県○○町。
人間の情念うずまく、陸の孤島、茨城県○○町。
そんな、文明社会から取り残された、
いまだ封建的価値観に包まれた過疎の町に起こった「不倫騒動」の波紋や、いかに?
などと、
S子の話を聞きながら、ひとり、考えをめぐらす私であった・・・・・。
だって飽きちゃったんだも〜ん、S子の話。
聞いてるうちに、どうでもよくなったんだも〜ん。
とにかく。
S子の公演が有る限り、
姉の、ジロウとの逢びきは続くということらしい。


2月10日(木よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 S子の姉アヤコ(仮名)の相手は、
アヤコと同じ茨城県○○町に住む、歯科医ジロウ(仮名)。
「いい男だべな〜、あの歯医者。」
と、町内での評判は、すこぶる高い。
その評判を聞きつけたアヤコ、
ちょうど、
子供達のかかりつけの歯医者を探していたので、
どうせなら・・・と、
ジロウのところを選んだ。
中学生に付き添うこともないだろうに、
アヤコは、
長女、次女、それぞれの通院には必ずくっついて行き、
あるいは自分の歯のお掃除を・・とかなんとか言っては、
ふと気が付くと、通いづめ。
ジロウのほうも、まんざらではない様子。
そんな2人を、
たったひとりの看護婦であるジロウの妻は、
もっと警戒すべきだったのだ。
父親の歯科医院を継ぐムコとして、
ジロウとお見合いし、結婚。
子供はまだ無いが、
ジロウの容姿にホレた妻、
妻の財産にホレたジロウ、
それはそれで、ウマくいっていたのだ、アヤコが出現するまでは。
この妻、
二枚目のジロウに虫がつかないよう、
他に看護婦も雇わんと、
女性患者にも目を光らせ、
万全を期していたはずなのに、
気づいた時には、
既に、夫とアヤコはイイ仲に。
妻に気づかれた2人は、
開き直ったか、
堂々と町中でデートなぞするように。
目撃者はドンドン増え、
ウワサは、またたく間に町中に広まった。
「えらいこっちゃ。
佐々木んとこのアヤコが、
歯医者のジロウとデキちまっただ。」
「おんやまぁ!
○○町始まって以来の不祥事だべぇ。」
「子供も居るだに、どうすべちゅうのかに。」
ウワサは茨城県にとどまらず、
栃木県にも伝わった。
「子持ち女が、歯医者をたらしこんだずら。」
ウワサがウワサを呼び、
興味本位で来る人達で、
ジロウの医院の患者は、倍増。
可哀想なのが、
アヤコの家族だ。
ムコ養子の夫は、
居たたまれず、実家に帰ってしまった。
実家といっても、同じ町内。
通勤以外は、引きこもっているらしい。
もっと可哀想なのが、
子供らだ。
ある日、
長女と次女が、
バスに乗ろうと、バス停に行くと、
そこのブロック塀に、
どこぞの子供が書いた「あいあい傘」の落書きが。
並んでいる名は、「歯医者」と「佐々木アヤコ」。
その横には、ヘタクソな字で、
「毎晩ヤってます」。
      
      (つづく)

こんなこと書いてる場合じゃないんだけどな、私・・・。


2月9日(水よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 詳しいことは飲みながら・・・ということで、
劇場を出、居酒屋へ。
S子は、へんなジャケットを着ていた。
つんつるてんのチェック柄のブレザーのソデに、
ビラビラビラビラと、フリンジがたくさん付いている。
トラッドとウエスタンの融合を図ったのかな?
明らかに共倒れだ。
こんなの、どこで売ってんの?
で、なんで買うの?これを。
テーブルに落ち着くと、
思い切ってS子に尋ねてみた。
「・・・そのジャケットは、どっかの国のお土産?」
S子は言った。
「銀座よ、銀座。
お姉ちゃんの彼が、
銀座で、お姉ちゃんに買ったんだけど、
茨城で着ると目立つから、アンタ、私の代わりに着てよ、ってさぁ。
カンベンしてよって言ったら、
お願いお願いって泣いて頼まれちゃって。
今日、彼と観に行くから、
ロビーで会う時、これを着て出てね、って。
彼には、
‘妹が気に入って、どうしても欲しいって言うから、あげたの。って言ってあるから。’ってさ。」
最初、
笑いながら、そう説明しだしたS子は、
最後のほうになると、
怒り心頭という様子。
・・・仕方あるまい、こんなジャケット着せられちゃっちゃ。
それにしても、
驚いた。
S子の姉の連れは、てっきり、姉の旦那だとばかり思っていた。
なかなかの男前で、
美形の姉とはお似合いだなと思っていた。
S子の公演のたびに、
必ず揃って茨城から観に来る2人を、
私は、心底、
エライなぁ、いい姉夫婦だなぁと思っていた。
ところが、どっこい、そうではなかったのだ。
S子の公演は、
2人にとっては好都合の「逢びきのチャンス」だったのだ。
「お芝居?
そんなもなぁ、どうでもいいから、ちゃっちゃと終わらせて。
ささ、早いとこホテルへ行きましょ。」
ってなもんだったのだ。
ふてぇ姉だ。
そして、
S子の怒りは続く。
「あのバカ2人のせいで、
茨城じゃドえらいことになってんだから。」
           (つづく)


2月8日(火よう日) 日直・橋本
 知人S子のお芝居を観に行くと、必ず、
S子の、茨城県在住の姉も観に来ている。
S子と2つ違いのソノ姉は、
S子に似て美形。
紹介されて言葉を交わしてみると、
これまたS子に似て、明るく社交的な感じ。
チガウところといえば、
S子は独身だが、
姉は結婚して早15年、
中学生2人の母親だということ。
そして、
妹のS子は、
東京で、好き勝手をしているが、
姉は、茨城の実家の跡継ぎとして、
ムコを取り、
兼業農家を営む両親と同居している。
実の親ゆえ、気がねなどはないだろうし、
広々した家での安定した暮らしではあろう。
が、
若いうちに見合い結婚をし、
田舎から出ず、実家を守る・・・なんざ、まったくもってエライ。見上げる。立派だ。
そのうえ、
「たった一人の妹の舞台、何が何でも観なくっちゃ。」と、
S子の公演には、
わざわざ茨城くんだりから、毎回毎回、足を運ぶ。
しかもだ、
来る時は、必ず、ムコすなわち旦那も連れて来ている。
エライ!
お客は、一人よりも二人。二人よりも三人。
そこんところを、お姉さんは、よーく判ってらっしゃる。
「夫婦で妹の舞台を観賞なんて、いいじゃな〜い。この、円満家族!」
私は、
そういう姉を持つウラヤマシさも込めて、S子に言った。
だが、
S子の口からは、意外な言葉が返ってきた。
「あぁ、あれ、旦那じゃないんだよねぇ。」
        (つづく)


2月6日(日よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
「このベッドに横になって」
60年前のこの人にこんな風に言われたかったな・・・
などと思いながら、
上半身、裸になった。
心電図を取るために、電極をつけるのだ。
両足首、両手首は、クリップ方式ですんなりはさめた。
が、
胸につける吸盤方式の電極がうまくつかない。

簡単に説明すると、
スポイトの尻というか、豆腐屋のラッパのゴムというか、灯油ポンプの頭というか、
パフパフする部分と吸盤が一体化されていて、
パフパフをぺしゃんこにして吸盤を皮膚につけ、
パフパフを放すと、吸盤の中の空気が吸い出されて真空状態(?)になるので
吸盤は皮膚に密着する、
という仕組みなのだ。

うぅむ、こういう説明はむつかしいなぁ
わかってる人にはわかってもらえるが、
わかってない人にはわかってもらえないに違いない。
うぅむ、それって当たり前?

おばあちゃん看護婦は何度も吸盤を僕の胸にくっつけようとするが、
うまくいかない。
「つかないわ」
「とれちゃうわ」
「うまくいかないわ」
失敗するたびに独り言を言っている。
見たまんま、状況をそのまま説明する独り言だ。
たぶん、自分が独り言を言ってるのに気づいてないと思う。
うちでもこういう感じなのかなぁ。
「あら、氷川きよしだわ」とか
「若いわねぇ」とか
「歌がうまいわ」とか
見たまんまのことを口に出しているのかしら?
オバサン的であるのだが、優しいまろやかな感じがするのは年の功なのかな?

パフパフのつぶし方が足りないので、
真空力(?)が弱くて、くっつかないのだ。
でも、おばあちゃん看護婦はそれに気づかない。
僕が協力するしかない。
胸の皮膚がなるべくたるむように、
ベッドに横になりながら、猫背になる体勢をとった。
ピタッ!
「ついたわ」
成功。
パンツを脱がせやすいように腰を浮かせるときの女の人みたいだな、僕。

心電図を取り始め、しばらくすると
「あらっ!」
と、おばあちゃん看護婦が素っ頓狂な声を出した。
「電極がはずれました」
と僕が言うと
「よかったわ。そうだったのね。突然、パルスが微弱になったので、驚いちゃったわ」
と、のたまった。
ど素人なのか、プロなのか、よくわからない人だ。

このあと、X線、採血とたどたどしくこなし、
健康診断はなんとか無事終了しました。
しばらくしたら、検査結果を聞きに行かねばなりません。


2月5日(土よう日)
(きのうのつづき)
  って、ウソ言っちゃいけない、昨日はズル休みしたもーん!!
(おとといのつづき)
案の定、おばあちゃん看護婦が待合室に現れ、
僕に駆け寄ってきた。

きかいさん(忘れちゃいけない、あのイントネーションだぜ)
御取りになったお小水は、どこにお置きになったかしら?」

「え?どこって・・あの小窓を開けたとこですけど・・・」

と申しますか、そこ以外に置くとこないんですけど。
トイレの洗面台に置く?ホカホカのションベンを?
ありえない。
便座の上に置き忘れる?あんな置きにくいところに?
なおありえない。
一体どういうことだ??????????
すると、
「あったわ、あった」
と、おばあちゃん看護婦の歓喜の叫びがトイレから聞こえてきた。

どいうこと?
さっきはどこを探したわけ?
なんで見つからなかったわけ?
うぅむ、このおばあちゃん看護婦、あなどれないかもしれない。

「鬼界さん、どうぞ」
診察室の中から先生に呼ばれた。

この先生がまた、あなどれないのだ。
カネゴンに似ている。
なおかつ、オールバック。
ま、オールバックのカネゴンは想像しやすいとは思うけど
って、どこが想像しやすいねん!!

うぅむ、今回の連載はなんだかベタだな
おばあちゃん看護婦の影響かも・・・・

とにかく、オールバックなカネゴンが尋ねた。
「現在、身長と体重はどれくらい?」

あはん?(外人風に読むとよろしい)

まずそれから調べるのが検診なのでは?
そこの身長計と体重計は飾りかいっ!

そんな風にして検診は始まった。
まず、最初は心電図だ。

「どうぞ、こちらへいらして」
ベッドのそばで微笑んで手招きしているのは、
おわかりですね?

もちろん、すんなりいくはずがない・・・ (つづく)


2月3日(木よう日) 日直・鬼界
(きのうのつづき)
昨年、行ったときには、
田中律子に似た看護婦さんがいたのに・・・
律っちゃんが血を採ってくれて、律っちゃんが心電図を取ってくれたから、
今年も同じとこに行ったのに・・・
なんでそんな高齢看護婦なの・・・?
そんな歳の人、雇っていいの?労働基準法違反なのでは?
てゆうか、サギだ!
と、心の中でブツブツ言ってたら、
おばあさん看護婦が声をかけてきた。

きかいさん注)、いの一番にお小水をとっていただけますかしら?」

さすが、大正デモクラシーの時代に生まれただけのことはある、
言葉使いが美しい。

僕はトイレに入り、備え付けの紙コップに用を足した。

いつも思うのですが、
あれってどれくらいいれるのが適当なのでしょうか?
あんまり少ないと調べられないんじゃないかと思うし、
表面張力するくらい入れたら扱いにくいし。
目安線とか付けといてくれればいいのに。

今回もそんなことを思いながら、
ちょっと出してはピッと止め、またまた出してはキュッと締め、
う〜ん、もうちょっと足しとこうかなと、1滴づつ出して、
きっちりカップ半分のお小水を採取した。
僕はお小水を自由自在に操れるのだ。子供の頃からの特技なのだ。大して役にはたたないが・・・。

診察室につながる小窓にカップを置き、
待合室に戻った。
しばらくすると、
「あら、いやだわ」「どうしたのかしら」というとても困った声がトイレの方から聞こえてくる。
もちろん、おばあさん看護婦だ。
なーに?どーしました?だいじょーぶですかー? (つづく)

注)おばあさん看護婦は、
「きかいさん」のイントネーションを「死体さん」と同じ発音するのです。
ちょっと言ってみて。
ね、きっもいっしょ?
ふつーは「機会」と同じイントネーションだもん。


2月2日(水よう日) 日直・鬼界
健康診断に行った。
区が誕生月に無料でやってくれる、ごくシンプルな検診だ。
ちゃっちゃと済まそうと、診察開始の9時より前に近所の医者に行った。
メガネをかけた真面目そうな青年が先に待っていた。

ま、2番目なら、ちゃっちゃと終わるだろう。
雑誌でも読んでるか、ジャァ〜〜
女性自身にしよっと、ジャァ〜〜
なになに、‘マツケンサンバ、ブレイクの予感?!’って、いつの雑誌だよ、ジャァ〜〜
古いジャァ〜〜雑誌しかジャァ〜〜ないのかよジャァ〜〜ここはジャァ〜〜

どうでもいいけど、なんでこんなにジャァ〜〜ジャァ〜〜トイレを流してんだ?
もう9時すぎたけど・・・ジャァ〜〜ジャァ〜〜

ガチャッとトイレのドアが開き、
ひじまでのゴム手袋をした看護婦が現れた。
念入りにトイレ掃除してたのか・・・診察開始時間を過ぎてまでも・・・・
几帳面なのか、時間にルーズなのかわからない、その看護婦は、
なんと、髪の毛が真っ白で80近いおばあさんだった。
だ、だいじょうぶ・・・?  (つづく)


2月1日(火よう日) 日直・鬼界
トイレの通風口フィルターを掃除することにした。

「格子状のプラスチックカバーのへこみに指をかけ
引き下げていただきますと、簡単にはずれます」
と説明書に書いてある。

‘へこみ’というのは、天井とカバーの切れ込みの間にできた5ミリくらいのすき間のことだ。
そこに人差し指の先っぽを差し込み、
グイっと引き下げた。
あうっ!
指がちぎれたかと思った。
カバーはびくともせず、
ウツボに噛み付かれたような状態だ。
指にカバーの噛み跡が一直線についている。
冬だから余計に深くついている。
痛ぁーーーーーい。

ふざけろよ(使ってみた)、便所のカバーのくせに人間様にはむかいやがって、クソっ。

「簡単にはずれない場合は、
親指でカバーの端を押さえながら、引き下げてください」
と説明書に書いてある。

親指でグッと押さえつつ、へこみに人差し指を差し込み、引き下げた。
あうあうっ!!
親指の骨が折れたと思った。
冬だから、そのプラスチックは親指の100万倍くらい硬く、
びくともしやがらない。
こめた力がすべて親指に返ってきたわけだ。
しかも、人差し指の噛み跡はグランドキャニオンみたいに深くなっちまった。
痛ぁぁぁーーーーーーーーい。

よし、そっちがその気なら、
一生、掃除なんかしてやんねえよ。
汚れ放題、ホコリがたまりにたまって腐り果ててしまえ、便所のフィルターよ。
人間様にたてつくと、どうなるか思い知れ。


1月31日(月よう日) 日直・鬼界
その家のガレージの前を通りかかると、
灰色の物体が飛び出してきた。
ウサギだった。
ビックリしたような、まーるい、濡れた、茶色の目で
僕を見上げている。
かわいい。
僕は思わず手を出した。
ウサくんはすかさず僕の手の匂いをかいでいる。
そして、ひょいと顔を上げ、
つぶらな瞳で僕を見つめ、
鼻をヒクヒク小刻みに動かした。
ウサギ特有の仕草だ。
かわいい。
僕が微笑んで見ていると、
ウサくんは突然、クルッと半回転し、
僕に向かって、ボタボタとまーるいウンコをし、走り去って行った。
かわいくねーっ!!
なんだよ、あのウサギ、畜生のくせに人間様をバカにしやがって、クソっ。


1月30日(日よう日) 日直・橋本 
 きのう書いた、
「ふざけろよ。」は、
「ふざけんなよ。」のマチガイではありません。
確かに、
ふざけた野郎には「ふざけんなよ。」と言ったほうが正解だとは、
私も思うのですが、
実は、
この耳で、人がちゃんと言ってるのを聞いたことがあるのです。
スケ番が言ったんです、
「ふざけろよ。」と。
私は、
「ふざけろよって、おい。」と笑いましたが、
皆、マジでした。
「ふざけろよ。」は、
「ふざけんなよ。」と同様に、
ふざけた相手に対する‘返し言葉’だったんですね。
初耳でした。
(余談ですが、
これまた大マジでケンカ中、
相手に何か言われて、
激昂し、
「冗談ポイだ!」と叫んでいた人を見たこともあります。
おそらく、
「冗談言ってんじゃねーよ!」と同意なのでしょうが、
これは、敵にも味方にも笑われてました。)
以上、
あなたは、どちらをお使い?のコーナーでした。


1月29日(土よう日) 日直・橋本
(昨日のつづき)

 私の真っ白い豊満な乳房が、あらわになった。
(↑私小説ふう。)
ハト胸、丸出し。
(↑日誌ふう。)
どっちゃでもいいや。
とにかく、
予想だにしなかったジジィの行動は、
まるで、私のスキをねらったかのようなハヤワザだった。
不意うちを食らった私に、抵抗の余地は無い。
くそ!
・・・ちぇ。
恥ずかしさと悔しさで顔が赤くなるのが判ったが、
「このジジィは医者。」と自分に言い聞かせ、
ことさら「私は、ちっとも恥ずかしがってなんかいません。」という顔を作り、
胸を出されたまま、聴診を待った。
ジジィは、
トントントンと、てきとーな感じで聴診。
「ふむ、ふむ、ふむ。」と、あたかも内臓の音にイチイチ反応してるふうで、
そのじつ、なんにも聞こえちゃいないという感じ。
と、
「むむ?」と、なにやら、いぶかしげな顔になったジジィ、
「ちょっと、乳ガンのほうもね・・・」と、つぶやいたかと思うと、
なんと、
いきなり、私の豊満な胸をモミやがった。
「あっ!!!」の声も出ないほどビックリした私は、
そのあとも、
「むむ?」
「やや?」
「あらら?」
「どらどら?」
などと、イチイチいぶかしがる様子を表わす言葉を言っては、
私の胸をモミほぐすジジィに、
拒絶の言葉も出てこない。
「どした、どした、どしたーー!?」とパニクっているうちに、
ジジィ、モミ終了。
終始ムンズとつかんでいた私のスソを、
ようやく降ろし、
「なんか大丈夫みたい。」と、ジジィ。
ムンクの叫びもどきの顔から、やがて、
「ふざけろよ。どーゆーことなんだよ。」の顔に変わってきた私を見て、
ジジィは言った。
「わたしねぇ、乳ガン検診もやるのよ。
玄関に、札も出てるでしょ。」
フダだぁ!?
フダ出しゃ、なにやってもいいのかよ!
おめーは、内科小児科だろーが!
よくよく考えたら、「乳ガン」の専門は外科だぜ!
くっそーーーーー!!!
いいのか?!医療現場は、これでいいのか?!
って、あとから憤っても、もう遅い・・・・・。
なんだか、とってもクヤシイ気持ち。
風邪、悪化しちゃうよ・・・。


1月28日(金よう日) 日直・橋本
 風邪っぽいので、
昨日、医者へ。
かかりつけの医院は休診日なのだが、
早めに・・と思い、
超近所の、別の医院へ。
要は、風邪薬を処方してもらえさえすればいいのだ、
この場合、
どこの医院でも、大した違いはないであろう。
だったら、より近い方がイイもんね。
ということで、
西尾内科小児科医院に、初めて行ってみることに。
見た目、ボロクソ。
待っている患者は居ない。
受付も居ない、看護婦も居ない。
診察室から「ど〜ぞ〜。」と呼ばれ、中へ。
声の主である、白衣を着たそのジジィが、どうやら西尾らしい。
ノドを診た後、
西尾は聴診器を準備しながら、
「じゃ、次、胸。」と。
最近は、
服を首あたりまでめくって胸をベロ〜ンと出さずとも、
上着のスソから手を差し入れて、衣服でおおって聴診・・・という、
デリカシーのある医師が増えた。
実際、それで事足りるわけだから、
なにも上半身を露出する必要などは、まったく無いのだそうだ。
たとえ「まくりあげろ。」と言われても、
厚手のセーターを重ね着していた私は、
せいぜい胃ぐらいまでしか上がらない感じだ。
私は、
医師が手を入れやすいように、
セーターらの分厚いスソを、体から充分に離して、スタンバイ。
と、即座に、
西尾は左手で、
その分厚いスソを、ムンズと、つかんだ。
そして、そっと右手を進入させてくる・・・
のかと思いきや、
ジジィは、
スソをグイ〜ンと持ち上げた。
到底、胸までは持ち上げられまいと思っていた、
分厚いセーターやらなにやらのスソを、
何かコツでもあるのか、
ジジィは、一挙に巻上げた。
       (つづく)


1月26日(水よう日) 日直・橋本
 マスクと聞いて、
思い出すのが、シンナーだ。
中学時代の、
ある冬、やたらとマスクをするヤツが増えた。
特に、
サッカー部と野球部の連中は、全員、マスクをして登下校していた。
「集団感染かしら。
ハードな練習で疲れてるから、風邪が移りやすいのね・・・」
そう思った私は、
当時、好きだった、サッカー部のNクンの下駄箱に、
匿名で「トローチ」を、そっと入れておいた。
そして、
マスク姿もカッコいいNクンをマネて、
翌日、
風邪もひいとらんのに、私もマスクをして登校。
教室に入ると、
これまたマスクをした悪ガキグループが、
いつものように、北角(きたかど)クンをイジメていた。
  北角クン・・・あだ名は‘きゃ〜マン’
          イジメると喜ぶ不思議なヤツ
          かわいそうに、修学旅行のとき、旅館の2階から私に突き落とされた


北角クンもマスクをしていた。
北角クンは、
その、しているマスクをハギ取られようとしてい、
「きゃ〜!やめてくださいよ〜、
ぼく、本当に風邪ひいてんですよ〜、きゃ〜、きゃ〜!」
と大喜びだ。
「本当に風邪ひいてる」・・・。
「本当に」・・・とは?
と、少々疑問に思いつつ、
放課後になって、部活へ。
マスクをして更衣室に入った私を見るなり、
Aちゃんが言った。
「シンナーやってんの?!」
「・・・シンナー?」
何を隠そう、その時、私は初めて‘シンナー’という言葉を知った。
Aちゃんによると、
どうやら、悪ガキたちは、
マスクにシンナーなるモノをしみ込ませたりしているというのだ。
本当?
半信半疑ながら、かなりビックリ。
だって、あのトローチはどうなるの。
だが、
その後すぐ、マスクの流行は終わったように記憶している。
うわさが先生の耳にも入り、
マスクを禁止したとかしないとか。
「マスクにシンナー」、
今となっては、真偽は判らない。
ただ。
ガーゼのマスクをしている人を見ると、つい思い出す。
あの時のAちゃんの言葉。
「知らないの?
マスクしてる子、シンナー吸ってるらしいよ。」


1月25日(火よう日) 日直・鬼界
夜の銀座を歩いていると、
目の前に黒塗りのベンツが停まった。
運転席から飛び出してきたのは、
夜だというのに真っ黒のサングラスに真っ黒のスーツのパンチパーマの男。
どう見てもヤクザの下っ端だ。
パンチくんがドアを開けると、
降りてきたのは
梅宮辰夫みたいなイカツいヤクザと
力也みたいなコワそうなヤクザと
山城新伍みたいなエロそうなヤクザだった。
恐っ!
世界一恐ろしいスリーショットだ。
が、3人とも超立体マスクをつけていた。
ヤクザも花粉症になるのね。
笑いそうになった。


1月23日(日よう日) 日直・橋本
 「デジタル放送」における、
あらたな機能を発見。
どうやら、
テレビでラジオが聴けるらしい。
ひとよんで「テレビでラジオ」。
・・・・・必要なのか?
ラジオを聴けばいいんでない?
うんにゃ。
ふつーのAM・FMのラジオ番組を流すわけではなく、
“テレビでしかやらないラジオ番組”らしいのだ。
「BSデジタルラジオ放送 チャンネルラインナップ」によると、
チャンネルは、22も有る。
へぇ〜!
面白い番組が有るんだったら、
通常のラジオと同様、
何か作業をしながら聴くのにイイかもね。
チャンネル表を見ながら、チャンネルを合わせてみる。
BSラジオ290チャン。
出た。
黒い画面に、
「このチャンネルは、ありません。」
ねーのかよ。
なんだ、それ。
んじゃ、300チャン。
出た。
「渡辺利夫の拓殖アジア塾」。
拓殖大学の校舎(おそらく)の静止画像に乗って、
アジアについてしゃべるオッサンの声。
次、301チャン。
出た。
「医学講座 高齢患者の術後管理の留意点」。
「東大 手術部長」と書かれた、
ほほ笑むオッサンの写真の静止画像に乗って、
オッサンのしゃべる声。
次、316チャン。
出た。
どうやら、ミュージックチャンネルのよう。
へんなハワイの歌をBGMに、
地球が映っている。
静止画面で。
いつかは、他の映像に変わるのかしら?と見ていたら、
数分後、
月に変わった。
静止画像の。
また変わるかな?と見ていたら、
数分後、
地球に戻った。
まさか、また月に?と思い、見ていたら、
案の定、月に。
では、また地球に?
月に?地球に?月に?と、かれこれ30分見続けた。
・・・・・私が思うに、
この「ラジオ機能」は、なくてもいーかな。
へたに画像を出されちゃうと、
そこはそれ、
あくまでも、「テレビ」だからさ、
いくら、写真のごとく静止した画面とはいえ、
ついつい見ちゃうんだよねぇ。
「何か作業をしながら聴く」どころか、
アホみたいに、繰り返し地球と月を見ていた30分って、
なに?


1月22日(土よう日) 日直・鬼界
郵便受けにチラシが入っていた。

琉球テラス JoyFul オープン!
沖縄出身のシェフが創る、オリジナル沖縄料理と
本場沖縄限定の泡盛・焼酎・地ビールが自慢です。
深層海層水と深層海層氷・南極氷のみを使用した、
健康重視のラウンジです。
沖縄の輝く海、サンセットを大画面で見ながら
安らぎのホットタイムを。

ここまで読むと、
流行りに便乗してはいるが、なにやら、よさげな店のようだ。
チラシはさらにつづく

ジョイフルレディがあなたのお越しをお待ちしています。
ジョイフルレディはこんな女性です。
スチュワーデス・バスガイド・デパガ・エレベーターガール・受付嬢
レースクィーン・タレント・女優・歌手・ダンサー・コンパニオン
OL・証券レディ・銀行員・トレインレディ・イベコン・ミス○○など

ジョイフルレディは全て元○○なのです。
当時の制服に身を包み皆様をお迎えします。
完全明朗会計

絶対に行かんね、この店には。



トップに書かれることを思うと、
やっぱ、スチュワーデスの人気は根強いようだ。
でも、それの続くのがバスガイド?それはどうだろう?
証券レディと銀行員の制服の違いってかなり微妙な気がする。
でも、その趣味の人にとっては譲れない差があるのだろう、きっと。
トレインレディって、かなりディープなマニアじゃない?
だって、美人の乗務員なんて見たことないもん。
そんなものに手を出すとは・・・。


1月21日(金よう日) 日直・鬼界
深夜、タクシーに乗らなくなった。
もう、深夜、タクシーに乗る必要がなくなった。
寂しい。
出会いがあれば、別れがある。
別れたくないと思っても、別れがある。
楽しかった時間もすぎてしまえばただの過去。
指の間から砂がサラサラと落ちていく。
サヨナラだけが人生だ。


1月20日(木よう日) 日直・鬼界
昨年のクリスマス頃から、やたらとメールが来るようになった。

Get VIAGRA here!とか
VIAGRA $2.99!!とか
バイアグラを売り込むメールなのだ。
しかも、全部、英語で来るのだ。
しかも、KristyとかVictoriaとかJacquelineとか女性が送信者なのだ。

なんで?
僕がバイアグラを必要としているという噂が世界に広まってるの?
ブロンド美人的名前なら僕がだまされるとでも?

Hi kikai、We Sells VIAGRA!
なんて名指しのメールもある。
どうでもいいけど、WeのときはSellのままなんじゃないの?
三人称単数のときだけ動詞にsが付くって習ったぞ。

Dr.Santana offers low−preiced VICODINE
というもあった。
Dr.Santanaって誰だよ?
VICODINEってなんだよ?

ViiiiiiiiiiiiCooooooooDiiiiiiiiine!!!!!!!!!!!!!!!!
というリキみタイプもある。
日本語で言うと、
「あぁぁぁかぁぁぁまぁぁぁむぅぅぅぅぅぅぅしぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!」って感じ?

世界の皆さんに訴えたい。
バイアグラもビコディンも買いませんからメール送らないでください。


1月19日(水よう日) 日直・橋本
 NHKのアナウンサーは、さすがだ。
民放アナとは、ちょとチガウ。
昨晩のニュースでも、
「性犯罪者対策、首相が直接指示。」
という文を、
こともなげに、流れるようにイッキ読み。
「せいはんざいしゃたいさく、しゅしょうがちょくせつしじ」でっせ。
いくつも山場が有るよ、これ。
「せいはんざいしゃたいさく」は、初めの緊張感でナントカ乗り越えられる。
「しゅしょう」も、
「たいさく」で、とりあえず納まる形を取れるので、
ナントカいける。
が、
実は、これが思わぬ落とし穴となる。
「しゅしょう」で、思いのほか、
つっかえないようにしなくちゃパワー’を使っていることに、気づかないのだ。
なので、
その、パワーを必要とする「しゅしょう」を言い終えると、
無意識に気がゆるみ、
本来ならば、この文の中で一番、滑舌(かつぜつ)にチカラを要する「ちょくせつ」が、
ともすると、骨抜きになってしまうのだ。
頑張って、「ちょくせつ」をクリア出来たとしても、
そこには、「しじ」が待っている。
一瞬たりとも気を許すことができない、
試練続きの文なのだ。
気合を入れ、ちからワザで、勢いよく言い放つ・・という方法をとれば、
つっかえずにすむ可能性はデカイが、
「おまえ、ケンカ売ってんのか?」と言われてしまう。
あくまでも、
ふつうのトーンで言わなきゃ、なのだ。
え?そんなに難しくないよ?と思うなかれ。
アナは、この文だけを読むのではないのです。
『ニュース』の時間中、ずっ〜と、
よどみなくニュースを読み続けなきゃ、なのです。
そう。
前後の文にも、
難関は潜んでいるのです。
「性犯罪者対策、首相が指示。」を、難なくクリアしたアナ。
「では、次のニュースです。ニセさす・・・」
惜しい!
「ニセさつ」で、まさか失敗するとは。
気ぃ抜いちゃったんだねぇ。
「性犯罪者〜。」の方を、本番前に、何度となく練習したぶん、
「ニセさつ」は、気持ちの中で、おざなりになってしまったのねぇ。
解かるなぁ、その気持ち。
本番直前まで練習し続けた「たまごかけごはん」というセリフを、
見事、本番でクリアしたはいいが、
そのあとに続く、「が好きだった、あの頃。」をすっかり言い忘れた。
つっかえないようにしなくちゃパワー’を使い切っちゃったみたい。
「たまごかけごはん!」って叫ばれてもねぇ。
アンタは、昼メシをねだる子供か?という、
俳優・K界さんの例も有るし。
 とにかく。
サ行は、難しい・・・。


1月18日(火よう日) 日直・鬼界
自慢じゃないが、僕の父親は
年賀状を2枚書くのに3枚書き損じる男だ。
誤字脱字も多いが、
書いた字の形が気に入らなくて、書き直すケースも多い。
ただ、NGハガキとOKハガキを見比べても、
僕には違いがまったくわからないのだが・・。

その書き損じハガキを父がくれた。
ざっと200枚。
何が当たるか楽しみだ。
1等のハワイ旅行は不可能だ。なにしろ100万本に2本しか当たらないのだ。
2等のデジカメも無理だろう。なにしろ10万本に1本しか当たりがないのだ。
3等の地域の特産品小包もありえない。なにしろ1万本に2本の確立なのだ。
4等なら当たるだろう。なにしろ100本に3本は当たるはずだから。
4等って、なんだっけ?去年はたしかレターセットだったはず・・・と見てみると、
切手シートだった。
なんだ、ガッカリ・・・経費削減かよ・・・サービス悪いぞ郵政省・・今は公社か・・・どっちでもいいけど

とにかくチェックし始めた。
4等の当選番号は、「16」「34」「64」だ。
すごいぜ、僕の父!
「15」「33」「35」「63」「65」は複数枚づづあるのに、
「16」「34」「64」は1枚もないのだ!
ある意味、相当のクジ運だ。
と、
「8155」というのがでてきた。
ん?どっかで見たような・・・・あっ!3等の当選番号が「8165」じゃないか!!
1枚めくると、
「8159」だ。
ゴクリとツバを飲み、もう1枚めくると、
「8160」が現れた。
一気にめくっていった。
「8161」「8162」「8163」「8164」「8166」「8168」「8180」
「8165」にかぎって父は書き損じなかったようだ・・・。

最終的に
1枚も当たらなかった。
ちょっと悲しい。


1月17日(月よう日) 日直・鬼界
オーディションに行った。
開始時間なのに僕一人だった。
おかしい・・・
「他の方がみえるまで、開始を遅らせます」と言われ
待っていると、
30分も遅刻して、やっと一人来た。
バングラデシュ人だった。
は?
今日はなんのオーディションだっけ?
と思う間もなく、
次から次にやって来た。
タイ人、スリランカ人、ミャンマー人、インドネシア人、
チョコレート色の肌ばかりだ。
ついでに言うなら、津波の被害地ばかりだ。
こんなとこでこんなことしてていいのか?
てゆうか、チョコに囲まれた僕は何?
てゆうか、チョコは時間にルーズなんだ
などと感心してたら、
皆さん、カバンをゴソゴソやっている。
全員、パスポートを取り出して、チェックしているのだ。
しかも、コソコソ、人に見られないようにやっている。
あんたら、ビザ切れか?
不法滞在なのか?
綱渡りな出稼ぎタレントなのか?
そんな中にいる僕は何?
思わず、笑っちゃったよ。


1月15日(土よう日) 日直・橋本
 「プラズマテレビとDVDレコーダー。
機械音痴のあなたには、
早晩、‘宝の持ち腐れ’となるのでは・・・?」
というご意見も頂いておりますが、
ほっときやがれです。
失礼な。
確かに、
私が、
「携帯電話を持っていながら、鳴るとビックリするので、絶対に電源は入れないらしい。
留守電の聞き方すら、いまだ知らないらしい。」
という話は、有名だ。
ウワサによると、携帯でお買い物も出来るようになった(意味が解からん。)とかいう今、
「電話をかける」という最低限の機能のみを、たまに使うことしか出来ない自分を、
我ながら、「どーしよーもねーなー。」と思わないこともない。
でも、いいの。
携帯は、捨てた。
電話をかける・受ける、これさえ出来ればいいや。
今となっては、もう、その進歩した全機能を掌握するのは、無理だ。
携帯に関しては、明らかに、出遅れた。
私のように機械音痴なヤツは、
順を追って、1つ1つ、時間をかけて、
機能を把握していかねば、使いこなせるようにはなれない。
跳び箱だって、
いきなり10段は跳べない。
3段、4段、5段と跳んでいって、
気がついたら、なんと10段も跳べていた・・ってなもんなのだ。
積みかさねよ、積みかさね。
出遅れは、致命的なのよ。
だからこそ!!
「今度こそ、おいてかれないぞ!ついていくぞ!」と、
必死なわけよ。
というわけで、、
ケーブルテレビを「デジタル」に変更する工事をしてもらいました。
そして、
その工事のオッサンから、
「またまた信じられない機能」の情報を入手。
「ビデオ オン デマンド」。
ひとよんで「VOD(ヴイ オー デー)」。
どうやら、近々、
レンタルビデオ屋さんのほうが、私の家に来てくれるようになるらしい。
どゆことかというと・・・
観たいレンタルビデオが有るとする。
「リスト画面」を出すと、タイトルがズラ〜〜〜〜っと出て来る。
その中から「んじゃ、これ!」と選ぶと、
あら、スゴイ!
お部屋に居ながらにして、レンタルできるというわけさ!
貸し出し期間は、1泊2日だってさ〜!
うふふふふ〜!
・・・・・。
まったく意味が解かりません。
なに、1泊2日って?
誰か、取りに来んの?
延滞したら、どーなんの?
半額デーとかは、ないの?
・・・・・。
ま、おいおいね。
順を追ってね。
とりあえず、
今は、チャンネルの変え方すら判んない状態だからさ・・・。


1月14日(金よう日) 日直・鬼界
性犯罪者の名前やらなんやらをいよいよ公表する
というニュースを昨晩やっていた。
小さな女の子と手をつないだお父さんが
本当にホッとした様子でインタビューに答えていた。
公表すべきだ。問題ない。
が、ここで問題なのは
お父さんと手をつないでいた小さな女の子だ。
お父さんが一生懸命しゃべってる隣りで、
鼻クソをほじっていたのだ。
インタビュー中、ずっとほじっていた。
しかも、人差し指で鼻の頭をあちこちに動かして、
粘膜の奥に隠れている鼻クソを誘い出すと同時に、
鼻の穴に突っ込んだ中指を巧みに動かして、鼻クソを採取しているのだ。
鼻クソ取りのプロだ。
僕は純粋に、「すごい」と尊敬した。
でも、
あの子、今日、学校で、ものすごくいじめられてると思う・・・。
いじめるどころか、尊敬すべきなのに。
子供にはあのすごさがわからないのだ・・・。


1月13日(木よう日) 日直・鬼界
忘れないうちに、お正月の京都の話を。

京阪電車(京都と大阪をつなぐ関西のローカル私鉄)の中で
オバハン2人がしゃべっていた。

「それがもう、ごっつぃ評判になってんねん。
えげつない化粧して、
香水のにおいプンプンさせて、
真っ昼間から男とイチャイチャしてんねん。
近所の人とかが、ほんネキに(すぐそばに)いてても
ぜんぜんかまわんで、チューすんねん。
ほんでな、この前なんか、腕グワァー組んで
車道の真ん中歩いてるさかい(歩いているので)
『歩道、歩きぃ』言うたら
『ひいたらひいたほうが悪いんや』言うて、
イチャイチャしっぱなしや。」

「ホンマ、かなんわ。あの人、85歳やで」

関西老女おそるべし・・・。


1月12日(水よう日) 日直・鬼界
寒い、とても寒い。
近所で飼ってる金魚の池が凍ってた。
金魚は大丈夫なのだろうか、心配だ。
路地を曲がると、
雪が残っていた!
年末に降った雪だ。
人通りが少ないせいか、白いまんまだ。
こういうのを見ると、ガマンできない。
辺りに人のいないことを確認し、
雪に向けて立ちションした。
カキ氷にシロップをかけるように、
黄色くジュジュッと溶けていく
かと思いきや、
カチカチに凍った雪の表面を黄色い液体が湯気をあげながら滑り落ちていく。
なかなか美しい。
ちょっといいことをした気になって爽やかだった。


1月11日(火よう日) 日直・橋本
 言っちゃなんだが、
プラズマテレビさん、
あなたも、あんまりお利口さんとは言えませんよ。
「DVDレコーダーよりも、
オレ様のほうが、もっともっとエライ。
なんたって、
きよみちゃんの好きな映画を、
こんなに大画面で観せてやってるんだぜ。」
と、デカイ面して威張っている。
まぁ、確かに・・。
有難う。
それに関しては、素直にお礼を言おう。
でもね、
それに関してだけ威張ればいいんじゃないのかな。
「DVDレコーダーよりエライんだぜ。」
と言うのは、どうだろう。
「だってよぉ、オレ様は、DVDレコーダーに命令が出来るんだぜ。」
どうやら、
プラズマテレビは、「テレビから録画予約が出来る」らしい。
お!それは有り難いぞ。
番組表が列記状態で出るDVDに比べ、
表(ひょう)で出るテレビのほうが、見やすく選びやすく、
よって、予約操作しやすい。
予約すると、
テレビが、信号を発して、DVDレコーダーに命令するらしい。
「これとこれを、いついつに録画してくれ。
いいか、わかったな?」と。
スゴイじゃん。
やってみることにした。
「オレのケツに、このコードを差してみな。
コードの先っぽから信号を発して、
DVDの野郎が、言いなりになるぜ。」
とテレビが言うので、
その「変なコード」をテレビのケツに差し込んだ。
・・・・・DVD、なんの反応もせず。
うんともすんとも。
信号発射部分である、そのコードの先っぽを、あちこち向けてやってみるも、
まったく知らんぷり。
・・・どーゆーことなんだよ。
ケツにコード差した意味、あんのかよ。
無視されてんじゃんかよ。
あんた、
DVDレコーダーにナメられてんじゃないの?
正面から見るとデカイけど、
横から見るとウスっぺらいもんね。
いかにも中身なさそうな感じ。
どう見ても、いろんなこと出来そうなふうには見えない。
見栄はっちゃって。
よし、わかった。
あんたは、
「大きな画面で、綺麗に、観せてくれる」、
それだけでいいや。
それだけを、しっかりやって。
無理しないでいいや。


1月10日(月よう日) 日直・橋本
 恐るべし、DVDレコーダー。
信じられないような機能を、またまた発見。
ひとよんで「時間変更おまかせクン」。
数週間前に‘毎週録画予約’に設定しておいた「恋のから騒ぎ」。
通常は夜11時に始まる番組だ。
ところが、
おとといは、なぜだか知らんが、
11時6分開始だった。
だが、そのことを、
私は、今、初めて知った。
なにげにテレビガイドを眺めていたら、「11時6分開始」になっていたのだ。
ちっ。と思いつつ「から騒ぎ」を再生して観たところ、
ややや!
ちゃ〜んとアタマから録画されているではないか!
なんと、
ご主人様の私が知らなかった「番組の時間変更」を、
いち早く察知して、
独自に対応してくれていたのだ。
「いいの、いいの、ボクにまかせて。
あなた様は、ゆっくりお眠りね。
ボクにおまかせね。」
と、人知れず働いてくれていたのだ。
DVDクン、
キミは、どうやって番組変更を知ったんだい?
ちっちゃいテレビガイドを持っていて、
それを、首っ引きで見ているのかい?
苦労をかけるね・・・有難う。
それに比べて、
ビデオの怠慢さは、どうだろう。
何度、痛い目をみたことか。
楽しみに録画した映画のアタマやケツが切れてた・・なんてことは茶飯事だ。
‘怠慢’というより、
‘お役所仕事’だね。
「毎週11時から録画してくれと設定されましたので、
11時から録画したまでです。
ケツが6分欠けてた?
知ったこっちゃありません。
決まったことですから。
どんなに署名を集めても、決定事項は変えません。」
まったく融通がきかない奴だ。
「きよみちゃんが楽しみにしている番組だ、
ちゃんとアタマからケツまで見せてあげよう。」
という優しい気持ちにはなれないもんかね。
・・・と、
あまり悪口を言うと、へそを曲げるかもしれないのでヤメとこ。
これからも世話になることだし。
でもねぇ、
やっぱ、私は誉めちゃうよ、DVDレコーダー。


1月9日(日よう日) 日直・橋本
 昨晩。
お正月に録画しておいた漫才番組を見終え、
リモコンの停止ボタンを押すと、
(明石家)さんちゃんが画面に。
「恋のから騒ぎ」を‘毎週録画予約’に設定してあるので、
ちょうど録画中だったのだ。
恐るべし、DVDレコーダー。
録画しながら、
録画しておいた別の番組を再生して観れるなんて。
ビデオじゃ、有り得なかったぞ。
「10時から、また1本、映画を録るから、
それまでに、このビデオを見終えちゃわないと。」
と、時間割りを組まなきゃならなかった。
でも、
DVDなら、お構いなし。
録画中だろうと何だろうと関係ない。
そして、
さらに信じられない機能を、今日、また発見。
ひとよんで「追っかけ再生」。
なんと、
録画途中の番組を、
まだ終わってないっつーのに、アタマから再生して観ていけるのだ。
どゆことかというと、たとえば・・・
リアルで観ようと思っていた『たけしの本当は怖い家庭の医学』。
しかし、始まる直前、ウンコがしたくなった。
仕方ない、録画しとこう。
録画ボタンを押し、おトイレへ。
戻ってくると、既に、番組が始まって10分経過。
途中から観たんじゃ意味不明。アタマから観なくちゃ。
で、「追っかけ再生」ボタンを押す。
すると、
今、録画中の番組を、アタマから観せてくれるのだ。
「日本中の国民が夜8時から観始めた番組を、
私だけは夜8時10分から観始めた。」ということになるのだ。
・・・これは、
言うなれば、
タイムスリップ状態?
私は、「10分前の世界」の住人なのか?
いいの?いいの?
こんなことが出来て、いいの?
節操がないというか、
してはいけないことをしてしまったというか、
○○の領域に踏み入れてしまったというか、
禁忌(タブー)を破ってしまったというか、
そんな気がして怖いの、私。
人道主義にハズレやしまいか?
「男女産み分け」
あるいは、
「天皇陛下の前へ行って、バーカと言う」、
これに匹敵する『おきて破り』のような気がしないでもないような・・・。


1月8日(土よう日) 日直・鬼界
世界各地からスマトラ地震被災地に寄付が寄せられてるそうだ。
そんな中、世界各地にこんなメールが送信されてるらしい。

私は地震ですべてを失いました。
食べるものも、寝るところもありません。
どうか、お金を恵んでください。
1セントでも1シリングでも1円でも結構です。
下記口座に振り込んでください。

世界各地の善意ある人々に必死に救いを求めているのだ。

って、パソコン持ってるやんけ!
すべて失ってないやんけ!
それとも、車も冷蔵庫もベッドも家も流されたけど、
奇跡的にパソコンだけは無事だったのか?
がれきの中にポツンとパソコンが?そっから発信してる?

こんなチープな詐欺なのに、だまされる人が大勢いるらしい。


1月7日(金よう日) 日直・鬼界
 (きのうのつづき)
年末年始、京都に帰っていて、することもないので
ずっーーっとテレビを見ていた。
すると、朝も昼も晩も深夜も
タケモトピアノのCMが流れまくりなのだ。

財津一郎が出てきて
売ってぇ〜ちょーだいっ!!」と軽く叫ぶCM

どうやらピアノ買取専門店らしいのだが、
そんな商売が成り立つのか?
買ったピアノをどこで売りさばくの?
いまどき、ピアノ買う人なんていないのでは?
それとも、豊臣家の財宝の隠し場所の地図が、あるピアノに埋め込まれていて
それを探しているとか?
???????????の顔をしてたら、
姪が聞きました。

「このCM知らんの?」

知らないと答えると

えええええええええええっっtぅtっっ!!」と驚かれた。

関西では、7時のニュースと同じくらいおなじみなのだそうだ。
泣き叫ぶ赤ん坊に、このCMを見せると、泣き止むのだそうだ。
鶴橋でも関空でも阪急電車の中でも必ず誰かが口ずさんでいるそうだ。
まじかよ・・。

関西恐るべし。日本は狭いようで広いです。



って、どこが、きのうのつづきやねん!!
そうです、今年のテーマは“意外性”です。
“いい加減”とも言えますが・・・。


1月6日(木よう日) 日直・鬼界
な、な、なんと、もう6日も日が暮れた!
2005年の日誌第一回がなぜこんなに遅いんだ??

もちの食いすぎで指が丸々と太ってしまい、
ある意味、‘野口英世の指’状態でパソコンが操作できなかったのか?

まあ、それに近い状態ではあるんですが、(太ったのさ)
ドスコイドスコイっ
実は大変だったんすよ。

1月4日、
気持ちも新たに早々と日誌を書こうとパソコンを開けました。
んが!
ウィィ〜ンという音はいつもどおりなのに
ぜーんぜん立ち上がらないのです。
ジッと待ってるのもなんだから、オシッコに行きました。
戻ってきても、まぁだ、画面真っ暗。
どどどどどどどうしたの?
と思っても、なにもできません。
でも、なんとかしなきゃ。
ちょっとでも助けてやんなきゃ。負荷を減らさなきゃ。
そうだっ!
モニター画面を専用布で拭こう。ホコリの分だけ軽くなる。
丁寧に丁寧に拭きました。
すると、パソコンが動き出した!!

まあ、「拭いた」から「動き出した」のではなく、
「動き出す」ときにたまたま「拭いた」ってことは、
さすがの僕にもわかってはいますが、
やっぱなんか嬉しいじゃないっすか。

と喜んだのもつかの間、
マウスを動かしても画面のポインタが動かない!!!
正確に言うなら
動いちゃいるんです。
ただ、
マウスを机の端から端まで動かしたうえに
横の壁に沿って掛け時計までマウスを滑らせ上げても
ポインタは3ミリ進むだけ。
前人未到の大竜巻みたいにマウスをグルグル動かしても
ポインタは半径2ミリの円を半周進むだけ。

これじゃ、話にならんぜ。
よっしゃ、富士通コールセンターに電話すっぺ!! (つづく)